特許拒絶査定不服審判
2022-019930
生成装置、生成方法及び生成プログラム
- 審判番号
- 2022-019930
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-094323
- 請求日
- 2022年12月08日
- 審決日
- 2023年09月25日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ヤフー株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 中野 裕二
- 審判官 山内 裕史
- 審判官 野崎 大進
- 分類
- P18 .537-WY (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019- 94323「生成装置、生成方法及び生成プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年11月26日出願公開、特開2020-190798、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和1年5月20日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 2月22日付け:拒絶理由通知書
令和4年 4月28日: 意見書、手続補正書の提出
令和4年 9月 5日付け:拒絶査定
令和4年12月 8日: 審判請求書、手続補正書の提出
令和5年 6月13日付け:拒絶理由通知書
令和5年 8月 9日: 意見書、手続補正書(以下、この手続補正書
による手続補正を「本件補正」という。)の
提出
第2 原査定の概要
原査定(令和4年9月5日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。
・請求項 1-12
1 令和4年4月28日付け手続補正書による補正によって、補正前の請求項1の「生成装置」の「生成部」に関し、関する「前記取得部により取得された求職者情報に基づいて、求人者が登録した情報から前記求人情報を生成する」という事項は、「求人者が登録した情報が入力されると、前記求職者が選択した求人情報が有する表現と類似する表現を出力するよう学習したモデルと、前記取得部により取得された求職者情報とに基づいて、当該求人者が登録した情報から前記求人情報を生成する」という事項に変更された。
補正後の当該事項も、「生成装置」の「生成部」が、一定の演算や情報の加工等によって、「求職者情報」及び「求人者が登録した情報」から生成結果の「求人情報」を導き出す情報処理であることが明らかである。しかし、補正後の請求項1には、「求人者が…出力するよう学習したモデル」に基づいていることが記載されるようになったものの、「求人情報」を導き出すための具体的な演算や情報の加工等も、「求人者が登録した情報」の具体的なデータ要素を示すデータ構造等も規定されておらず、どのようなデータ構造等の「求人者が登録した情報」から生成結果の「求人情報」をどのように導き出す、どのような情報処理であるかを把握できない(なお、「学習したモデル」にどのように基づいているのかも不明である。)。
したがって、依然として、当該事項は技術的に十分に特定されていないことが明らかであり、請求項1の記載から発明を明確に把握できない。請求項2-12も同様である。
2 補正前の請求項5の「前記求職者が選択した求人情報が有する特徴を学習したモデルを用いて、前記求人情報を生成する」という事項は、補正後の請求項1の「求人者が登録した情報が入力されると、前記求職者が選択した求人情報が有する表現と類似する表現を出力するよう学習したモデルと、前記取得部により取得された求職者情報とに基づいて、当該求人者が登録した情報から前記求人情報を生成する」という事項に変更された。
補正後の当該事項について、「求人者が登録した情報」という入力データが規定されるようになったものの、当該入力データは、「求人者が登録した」という情報の得られる過程等が規定されるのみで、具体的な内容やデータ構造等が規定されたものではない。そのため、当該事項中の「モデル」は、入力データが不明明確でありはなく、情報処理において取り扱われるモデルとして技術的に十分特定されていないことが明らかである。
また、当該事項中の「モデル」は、「求人者が登録した情報」という入力データに対して、「前記求職者が選択した求人情報が有する表現と類似する表現」という入力データとの関係性が不明なデータを出力するものとして記載されており、その技術的な意味内容を理解できない(このような出力のためには「前記求職者が選択した求人情報」が入力データとなる必要があるのではないだろうか。)。
したがって、請求項1の記載から発明を、依然として明確に把握できない。請求項2-12も同様である。
第3 当審拒絶理由の概要
当審が令和5年6月13日付けで通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。
(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。
・請求項 1-12
・備考
1 請求項1の「前記求職者が選択した求人情報に含まれる求人に関する条件が入力された場合に当該求人情報を出力するように学習されたモデル」の記載における、当該モデルから出力される「当該求人情報」の具体的な内容が不明確である。
また、当該モデルから出力される「当該求人情報」の具体的な内容が不明確であるから、当該モデルから出力される「当該求人情報」と「前記求職者に対して提供される求人情報」の具体的な差異についても不明確である。
さらに、当該モデルから出力される「当該求人情報」と、「前記求職者が選択した求人情報に含まれる求人に関する条件が入力された場合」の記載における「求人情報」は、同じ情報であると把握できるから、当該モデルにおける入力情報と出力情報にどのような関係があるかについても不明確である。
2 請求項1の「求人者が登録した情報に含まれる求人に対する条件を入力することで、前記求職者に対して提供される求人情報を生成する」の記載における、「求人者が登録した情報に含まれる求人に対する条件」は、「前記求職者が選択した求人情報に含まれる求人に関する条件が入力された場合に当該求人情報を出力するように学習されたモデル」の入力である「前記求職者が選択した求人情報に含まれる求人に関する条件」と同じものを指すのか、あるいは、別途いずれかのユーザにより入力された情報や、生成装置により選択された情報を指すのか、明確でない。
上記1、2は、請求項1を引用する請求項2-10、請求項1を別カテゴリとして記載した請求項11、12についても同様である。
よって、請求項1-12に係る発明は、明確でない。
第4 本願発明
本願請求項1-11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明11」という。)は、本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1-11に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-11は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
求人に関する情報である求人情報の提供先となる求職者に関する求職者情報であって、当該求職者が選択した求人情報を含む求職者情報を取得する取得部と、
前記求職者が選択した求人情報に含まれる求人に関する条件が入力された場合に当該求人情報において用いられた表現を出力するように学習されたモデルに対して、新たに求人者が登録した情報に含まれる求人に対する条件を入力し、出力された表現を用いて当該求人者が登録した情報の表現を変更することで、前記求職者に対して提供される求人情報を生成する生成部と
を有することを特徴とする生成装置。
【請求項2】
前記生成部により生成された求人情報を前記求職者に提供する提供部
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の生成装置。
【請求項3】
前記提供部は、
前記求人者が登録した情報に基づいて、前記求職者に前記求人情報を提供するか否かを判断する
ことを特徴とする請求項2に記載の生成装置。
【請求項4】
前記取得部は、
前記求職者情報として、前記求職者の属性を示す属性情報を取得し、
前記生成部は、
前記求職者の属性情報に基づいて、前記求人者が登録した情報から前記求人情報を生成する
ことを特徴とする請求項1~3のうちいずれか1つに記載の生成装置。
【請求項5】
前記取得部は、
前記求職者情報として、前記求職者の状況を示す状況情報を取得し、
前記生成部は、
前記求職者の状況情報に基づいて、前記求人者が登録した情報から前記求人情報を生成する
ことを特徴とする請求項1~4のうちいずれか1つに記載の生成装置。
【請求項6】
前記生成部は、
前記求職者情報に基づく優先度に応じた順序で前記求人者が登録した情報を提供する前記求人情報を生成する
ことを特徴とする請求項1~5のうちいずれか1つに記載の生成装置。
【請求項7】
前記生成部は、
前記求人者が登録した情報に含まれる所定の情報を変更せずに前記求人情報を生成する
ことを特徴とする請求項1~6のうちいずれか1つに記載の生成装置。
【請求項8】
前記取得部は、
前記求職者情報として、前記求職者の行動を示す行動情報を取得し、
前記生成部は、
前記求職者の行動情報に基づいて、前記求人者が登録した情報から前記求人情報を生成する
ことを特徴とする請求項1~7のうちいずれか1つに記載の生成装置。
【請求項9】
前記生成部は、
前記求人情報として、前記求人者が登録した情報からサムネイルを生成する
ことを特徴とする請求項1~8のうちいずれか1つに記載の生成装置。
【請求項10】
生成装置が実行する生成方法であって、
求人に関する情報である求人情報の提供先となる求職者に関する求職者情報であって、当該求職者が選択した求人情報を含む求職者情報を取得する取得工程と、
前記求職者が選択した求人情報に含まれる求人に関する条件が入力された場合に当該求人情報において用いられた表現を出力するように学習されたモデルに対して、新たに求人者が登録した情報に含まれる求人に対する条件を入力し、出力された表現を用いて当該求人者が登録した情報の表現を変更することで、前記求職者に対して提供される求人情報を生成する生成工程と
を含むことを特徴とする生成方法。
【請求項11】
求人に関する情報である求人情報の提供先となる求職者に関する求職者情報であって、当該求職者が選択した求人情報を含む求職者情報を取得する取得手順と、
前記求職者が選択した求人情報に含まれる求人に関する条件が入力された場合に当該求人情報において用いられた表現を出力するように学習されたモデルに対して、新たに求人者が登録した情報に含まれる求人に対する条件を入力し、出力された表現を用いて当該求人者が登録した情報の表現を変更することで、前記求職者に対して提供される求人情報を生成する生成手順と
をコンピュータに実行させるための生成プログラム。」
第5 原査定についての判断
1 上記第2の1について、本件補正により、請求項1、10、11は、「前記求職者が選択した求人情報に含まれる求人に関する条件が入力された場合に当該求人情報において用いられた表現を出力するように学習されたモデルに対して、新たに求人者が登録した情報に含まれる求人に対する条件を入力し、出力された表現を用いて当該求人者が登録した情報の表現を変更することで、前記求職者に対して提供される求人情報を生成する」という、「求職者に対して提供される求人情報」を生成する具体的な情報処理が記載されるものとなり、また、「求人者が登録した情報」の具体的なデータ要素についても記載されるものとなった。
よって、この拒絶の理由は解消した。
2 上記第2の2について、本件補正により、請求項1、10、11は、「求人者が登録した情報」の具体的なデータ要素が記載されるものとなり、また、「モデル」が、「前記求職者が選択した求人情報に含まれる求人に関する条件が入力された場合に当該求人情報において用いられた表現を出力するように学習された」ものである記載となった。
よって、この拒絶の理由は解消した。
第6 当審拒絶理由についての判断
1 上記第3の1について、本件補正により、請求項1、10、11は、「モデル」が、求人情報に含まれる求人に関する条件が入力された場合に、当該求人情報において用いられた表現を出力するように学習される点が明確となり、また、「モデル」から出力される情報と、求職者に対して提供される情報との差異についても明確となった。さらに、「モデル」における入力情報と出力情報の関係についても明確となった。
よって、この拒絶の理由は解消した。
2 上記第3の2について、本件補正により、請求項1、10、11は、「モデル」に入力される情報が、「新たに求人者が登録した情報に含まれる求人に対する条件」であり、「前記求職者が選択した求人情報に含まれる求人に関する条件」とは異なる情報である点が明確となった。
よって、この拒絶の理由は解消した。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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