2022-004857
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- 審判番号
- 2022-004857
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-208203外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年04月01日
- 審決日
- 2022年09月22日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】Kepler株式会社
- 【請求人代理人】加藤 竜太
- 【請求人代理人】樋熊 政一
- 【請求人】国立大学法人東北大学
- 【請求人代理人】加藤 竜太
- 【請求人代理人】樋熊 政一
- 分類
- P18 .575-Z (G09G) / P18 .121-Z (G09G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 13項目
第1 手続の経緯
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本願は、令和元年11月18日の特許出願であって(優先権主張 平成30年11月19日)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
同年 4月 1日 :審判請求書、手続補正書の提出
同年 6月 2日付け:前置報告書
同年 8月 1日 :上申書の提出
第2 令和4年4月1日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年4月1日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の補正内容
令和4年4月1日にされた特許請求の範囲についての補正(以下「本件補正」という。)は、以下の(1)に示す本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載を、以下の(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正することを含むものである。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前
「 【請求項1】表示光を放出するため2次元的に配置された画素を備えた表示パネルと、外光を検出する少なくとも1つの光センサと、を備え、印刷表示媒体の外光に対する拡散反射光を再現するために、前記表示パネル内の特定領域において、前記光センサで検出される、外部から前記表示パネルの前記特定領域に入射する外光の光束に対して、前記特定領域内の画素から出射される光束が、所定の割合の拡散反射率と前記特定領域に入射する外光の光束との積により制御され、前記画素の放射光強度の角度依存性が、ランベルトの余弦法則に基づき、完全拡散板の均等拡散分布になる、もしくは輝度の半値角が120°以上で、基板面垂直方向からなだらかに減少する配光分布を有することを特徴とする表示装置。」
(2) 本件補正後
「 【請求項1】表示光を放出するため2次元的に配置された画素を備えた表示パネルと、外光を検出する少なくとも1つの光センサと、を備え、印刷表示媒体の外光に対する拡散反射光を再現するために、前記表示パネル内の特定領域において、前記光センサで検出される、外部から前記表示パネルの前記特定領域に入射する外光の光束に対して、前記特定領域内の画素から出射される光束が、所定の割合の拡散反射率と前記特定領域に入射する外光の光束との積により制御され、前記画素の放射光強度の角度依存性が、ランベルトの余弦法則に基づき、完全拡散板の均等拡散分布になる、もしくは輝度の半値角が120°以上で、基板面垂直方向からなだらかに減少する配光分布を有し、前記印刷表示媒体の外光に対する拡散反射光を再現する場合の画素の輝度は、前記光センサで検出された照度を用いて、画素の輝度=拡散反射率×照度/πの計算式に基づき設定されることを特徴とする表示装置。」
2 本件補正の目的
(1) 本件補正は、請求項1において、「前記印刷表示媒体の外光に対する拡散反射光を再現する場合の画素の輝度は、前記光センサで検出された照度を用いて、画素の輝度=拡散反射率×照度/πの計算式に基づき設定されること」という構成を追加するものである。
(2) この補正は、本件補正前の「前記表示パネル内の特定領域において、前記光センサで検出される、外部から前記表示パネルの前記特定領域に入射する外光の光束に対して、前記特定領域内の画素から出射される光束が、所定の割合の拡散反射率と前記特定領域に入射する外光の光束との積により制御され[る]」という構成について、その制御内容を計算式により具体的に限定したものである。
(3) そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
(4) よって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
3 独立特許要件についての当審の判断
本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、本件補正後における請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討を行う。
(1) 本件補正発明
本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。
(2) 引用文献に記載された事項並びに引用発明及び技術常識の認定
ア 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定
(ア) 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された文献である米国特許出願公開第2014/0285477号明細書(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。
下線は合議体が付した。摘記の後の括弧内に合議体が作成した日本語訳を示す。以下同様である。
「[0010] Accordingly, an aspect of the present disclosure relates to an image processing method for display device to imitate the optical characteristics of substantial paper under ambient environment. To provide such a natural image quality of the prints on the display device under certain ambient light condition, the ambient light characteristics and the optical characteristics of substantial paper can be used to imitate the characteristics of the image content printed on the paper.」
(したがって、本開示の一態様は、周囲環境下で実質的な紙の光学特性を模倣するための表示装置のための画像処理方法に関する。特定の周囲光条件下で表示装置上において印刷物のそのような自然な画像品質を提供するために、周囲光特性及び実質的な紙の光学特性が、その紙に印刷された画像コンテンツの特性を模倣するために用いられることができる。)
「[0011] In one embodiment, a method for simulating paper-like images on a display measures one or more ambient light characteristics from one or more sensors, determines maximum brightness values for red, green and blue (RGB) sub-pixels of a display pixel based on a light reflectance rate of a paper type and the ambient light characteristics, determines minimum brightness values for the RGB sub-pixels of the display pixel based on a light reflectance rate of an ink type and the ambient light characteristics, scales red, green and blue (RGB) color values of image data associated with the sub-pixels of each of the display pixels in reference to the maximum brightness values and the minimum brightness values and activates each of the display pixels using the scaled RGB color values of the image data.」
(一実施形態では、ディスプレー上において紙のような画像をシミュレートする方法は、一つ以上のセンサーから一つ以上の周囲光特性を測定し、用紙タイプの光反射率及び周囲光特性に基づいて、表示画素の赤、緑及び青(RGB)サブ画素の最大輝度値を決定し、インクタイプの光反射率及び周囲光特性に基づいて、表示画素のRGBサブ画素の最小輝度値を決定し、最大輝度値及び最小輝度値を参照して、表示画素のそれぞれのサブ画素に関連付けられた画像データの赤、緑及び青(RGB)色値をスケーリングし、画像データのスケーリングされたRGB色値を使用して、表示画素のそれぞれをアクティブ化する。)
「[0013] In one embodiment, ambient light characteristics includes an illuminance of the ambient light, and wherein the scaled RGB color values of the image data are compensated with a preset value for the display to maintain a minimal luminance when the illuminance of the ambient light is below a threshold value.」
(一実施形態では、周囲光特性は、周囲光の照度を含み、画像データのスケーリングされたRGB色値は、周囲光の照度がしきい値を下回るときに最小輝度を維持するように、ディスプレーのためのプリセット値で補償される。)
「[0067] The display device 100 includes a processing unit 120 including image characteristics determining unit 122 and an image processor 124, and a display unit 130. In simulating the image content printed on a paper, the display device 100 is configured to consider one or more of a plurality of factors 110. The plurality of factors 110 may include sensor measured values 111, image analysis 112, application information 113, position information 114 from a Global Positioning System (GPS) module, characteristics of paper 115. The processing unit does not necessarily need to consider all of the plurality of factors described in the present disclosure.」
(表示装置100は、画像特性決定部122及び画像処理部124を含む処理部120と、表示部130を備える。紙に印刷された画像コンテンツをシミュレートする際に、表示装置100は、複数の要因110のうちの一つ又は複数を考慮するように構成される。複数の要因110は、センサー測定値111、画像解析112、アプリケーション情報113、全地球測位システム(GPS)モジュールからの位置情報114、用紙の特性115を含むことができる。処理部は、必ずしも本開示で説明する複数の要素の全てを考慮する必要はない。)
「[0068] The display device 100 may be exposed to various ambient light conditions and the sensor measured values 111 may be measured by one or more light sensors. The light sensor may be referred to as a “light module”, a “photodiode”, a “phototransistor”, an “image sensor” which is capable of measuring information of a visible light wavelength. The light sensor detects characteristics of ambient light and converts the light into a digital value. Depending on the type of light sensor, various kinds of ambient light characteristics can be measured, for example an illuminance value, a color value, a color temperature value and/or a distance value can be measured. Some of the light sensor may be disposed in a display area while some of the light sensors may be disposed in a non-display area of the display device.」
(表示装置100は、様々な周囲光条件にさらされ得るものであり、センサー測定値111は、一つ又は複数の光センサーによって測定され得るものである。光センサーは、可視光波長の情報を測定することができる「光モジュール」、「フォトダイオード」、「フォトトランジスター」、「イメージセンサー」と呼ぶことができる。光センサーは、周囲光の特性を検出し、光をデジタル値に変換する。光センサーのタイプに応じて、様々な種類の周囲光特性を測定することができ、例えば、照度値、色値、色温度値及び/又は距離値を測定することができる。前記光センサーの一部は、前記表示装置の表示領域に配置され、前記光センサーの一部は、前記表示装置の非表示領域に配置されてもよい。)
「[0075] The display unit 130, as described above, may be the LCD device or the OLED device, and may receive an image-processed image to display an image. Image characteristics of the image displayed by the display unit 130 can be measured by displaying a test pattern on the display unit 130 and measuring with a luminance measuring device, an illumination measuring device, color temperature measuring device or the like.」
(表示部130は、上述したように、液晶表示装置又は有機発光表示装置であり、画像を表示するために画像処理された画像を受信することができる。
表示部130が表示する画像の画像特性は、表示部130にテストパターンを表示し、輝度測定装置、照度測定装置、色温度測定装置などで測定することにより測定できる。)
「[0107] To determine the maximum brightness values of the paper mode for red (R), green (G) and blue (B) sub-pixels of a display pixel based on a light reflectance rate of a paper type and the ambient light characteristics, the reflectance of visible wavelength of the paper and the ambient light intensity distribution of visible wavelength can be used. By multiplying the reflectance of visible wavelength and ambient light intensity distribution of visible wavelength, the image characteristic determining unit 122 can simulate the reflected ambient light.」
(表示画素の赤(R)、緑(G)、青(B)のサブ画素の紙モードの最大輝度値を、用紙タイプの光反射率及び環境光特性に基づいて決定するために、紙の可視波長の反射率及び可視波長の環境光強度分布を使用することができる。可視波長の反射率と可視波長の環境光強度分布を乗算することにより、画像特性決定部122は、反射された環境光をシミュレートすることができる。)
「FIG.1B(図1B)[図:0001404086000001.jpg]」
「FIG.1C(図1C)[図:0001404086000002.jpg]」
(イ) 引用発明の認定
上記(ア)に摘記した引用文献1の記載内容を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
「周囲環境下で実質的な紙の光学特性を模倣するための表示装置であって、特定の周囲光条件下で表示装置上において印刷物の自然な画像品質を提供するために、周囲光特性及び実質的な紙の光学特性を用いて、その紙に印刷された画像コンテンツの特性を模倣することができ、([0010])一つ以上のセンサーから一つ以上の周囲光特性を測定し、用紙タイプの光反射率及び周囲光特性に基づいて、表示画素のRGBサブ画素の最大輝度値を決定し、インクタイプの光反射率及び周囲光特性に基づいて、表示画素のRGBサブ画素の最小輝度値を決定し、最大輝度値及び最小輝度値を参照して、表示画素のそれぞれのサブ画素に関連付けられた画像データのRGB色値をスケーリングし、画像データのスケーリングされたRGB色値を使用して、表示画素のそれぞれをアクティブ化するものであり、([0011])周囲光特性は、周囲光の照度を含み、画像データのスケーリングされたRGB色値は、周囲光の照度がしきい値を下回るときに最小輝度を維持するように、ディスプレーのためのプリセット値で補償され、([0013])表示装置100は、画像特性決定部122及び画像処理部124を含む処理部120と、表示部130を備え、([0067])周囲光の特性を検出する光センサは照度値を測定することができ、光センサーの一部は表示装置の表示領域に配置されており、([0068])表示部130は有機発光表示装置であり、([0075])表示画素のRGBのサブ画素の紙モードの最大輝度値を、用紙タイプの光反射率及び環境光特性に基づいて決定するために、用紙の可視波長の反射率及び可視波長の環境光強度分布を使用することができ、可視波長の反射率と可視波長の環境光強度分布を乗算することにより、画像特性決定部122は、反射された環境光をシミュレートすることができる、([0107])表示装置。」
イ 引用文献2、6に記載された事項と技術常識1の認定
(ア) 引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された文献である米国特許出願公開第2011/0043501号明細書(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。
「[0049] The display surfaces of these and other embodiments preferably emit or reflect light in a lambertian fashion, which results in brightness approximately constant with respect to viewing angle, as is the case with many physical materials. Many electro-luminescent (“organic LED”) displays and front projection systems have approximately lambertian radiance, as do most CRTs. Many liquid crystal displays (LCDs) are designed with highly non-lambertian radiance, but this is a design decision rather than a limitation of the technology. Recent LCD technologies including IPS, S-IPS, and VA pixel structures allow for good contrast and color reproduction over a wide viewing field, and when combined with a lambertian backlight are suitable for use in the present invention.」
(これら及び他の実施形態のディスプレー表面は、好ましくは、多くの物理的材料の場合のように、視野角に対してほぼ一定の輝度をもたらすランバート様式で光を放出又は反射する。多くのエレクトロルミネセント(有機LED)ディスプレー及びフロントプロジェクションシステムは、たいていのCRTと同様に、ほぼランバート放射輝度を有する。多くの液晶ディスプレー(LCD)は、高い非ランバート放射輝度を有するように設計されている。しかし、これは、技術の制限というよりはむしろ設計上の決定である。IPS、S-IPS及びVAピクセル構造を含む最近のLCD技術は、広い視野にわたって良好なコントラスト及び色再現を可能にし、ランバートバックライトと組み合わされると、本発明における使用に好適である。)
(イ) 引用文献6記載された事項
当審において新たに引用する文献である特開2010-40352号公報(以下「引用文献6」という。)には次の記載がある。
「【0003】有機EL表示装置の特長は、実用化が進んでいる液晶表示装置やプラズマ表示装置などとの対比で語られることが多い。以下の特徴を持っている。(1)薄型:液晶表示装置のようなバックライトが不要で薄型化できる。フレキシブル:プラスチックなどの基板を使えば、柔らかく折り曲げることができるディスプレイを作ることが可能。しかし、プラスチックシートを基板に使用すると酸素などを透過して発光体を劣化させ、寿命を短くしてしまうことから透過を阻止する層の研究が行われている。続きを表示(全11行)(2)低電圧・低消費電力:液晶表示装置のようにバックライトをカラーフィルタに通して色を出すのではなく、色の着いた光を直接出せるためエネルギーの変換効率が高い。また、プラズマ表示装置のような放電発光ではなく有機半導体内の励起子により発光するので、発光そのものに必要な電圧も数V程度と低い。(3)応答速度が速い:液晶表示装置では液晶の分子の方向を変えることで輝度を変えているため、応答速度が鈍く動画再生などで問題になる。有機EL表示装置は励起子の発光時間は非常に早く、電流を変化させれば輝度が瞬時に変化するので、非常に応答速度が早い。(4)視野角が広い:液晶表示装置のように見る方向によって階調が変わってしまうことがなく、またコントラストの低下も低く、視野角は180度に近い。プリズムシートで集光して表面輝度を向上させている液晶表示装置とは異なり、ランバート分布に近い発光分布を持つが、マイクロキャビティー効果を用いることで集光させる事も可能である。(5)高輝度:液晶表示装置ではカラーフィルタを通して発色させているため、発光量の3分の1しか利用できないが、有機EL表示装置では(方式によっては)発生した光のすべてを生かすことができる。ただ、生産性を向上させるため、カラーフィルタを利用する方法も検討されている。(6)高解像度:有機EL表示装置は薄く作ることができるため、三色の発光層を縦に重ねることもできる。この手法を用いると既存のものより解像度を高くすることができる。(7)磁気の影響を受けない:ブラウン管とは異なり磁気の影響を受けない。(8)色再現範囲:分子設計によって所望の色を表示可能であり、色再現域が広い。フルカラーディスプレイだけでなく、特定の色のみを発光する素子が自由に作れる。」
(ウ) 技術常識1の認定
前記(ア)及び(イ)に摘記した引用文献2及び引用文献6の記載事項に例示されるように、有機EL表示装置に関する次の技術事項は、技術常識(以下「技術常識1」という。)である。なお、上記記載事項における「ランバート」は、Lambertを独語読みして表記した「ランベルト」に置き換えて認定した。
[技術常識1]
「有機EL表示装置は、視野角に対してほぼ一定の輝度をもたらすランベルト分布に近い発光分布を持つこと。」
ウ 引用文献7、8に記載された事項と技術常識2の認定
(ア) 引用文献7記載された事項
当審において新たに引用する文献である中川靖夫「照明教室 光の計測」照明学会雑誌58巻6号、39~46頁、昭和49年、照明学会(以下「引用文献7」という。)には次の記載がある。
なお、下線は本件補正発明の理解に必要な技術用語に関連する箇所にも付している。
「 2.2 各種の測光量と放射量2.2.1 光束,放射束媒質(空間と考えてよい)を伝わる光パワー(または放射)の流れを光束(放射束)という.磁束,電束などと同様の概念である.単位は光については後述するlm(ルーメン),放射ではWである.光源などがまわりの空間へ放出する光束の総和を全光束(全放射束)という.2.2.2 照度,放射照度続きを表示(全23行)単位面積を通過する(単位面積が受ける)光(放射)パワーの密度をいう.磁束密度,電束密度などと同じ概念である.単位は光ではlm/m2=lx(ルクス),放射ではW/m2である.2.2.3 光度,放射強度光度とは,光源の特定方向への光パワーの強さを表わす度合いである.光源からある方向へ向かう光は,光源を頂点においた円すい状のビームを形成する.円すいの頂角として微小角を考えて,その中の光束を全部とってみれば,距離の増大による照度の低下とは無関係に光源自身の強さを定めることができる.つまり,ある方向への光束を微小立体角(円すい状の頂角が作るひろがり)で除したものを光度(放射については放射強度)とする.単位はlm/sr=cd(カンデラ),W/srである(sr:ステラジアン).また,すべての方向に対して一様な光度分布をもつ光度1cdの点光源(後述)から1srの立体角内に放射される光束を1lmとし,全空間の光束(全光束)は4πlmである.[図:0001404086000003.jpg]2.2.4 光束発散度,放射束発散度光源(電球のような一次光源でも,反射面のような二次光源いずれでもよい)が放出(発散)する単位面積当たりの光束(光束密度)を光束発散度という.実質的な意味で照度と全く同じであるが,照度は光を受ける立場での量で,光束発散度は光を出す側について考えたときの量である.たとえば,反射率ρの面に照度Eの入射があればその面の光束発散度MはM=ρEである.この単位はlm/m2であるが,lxではなくrlx(ラドルクス)という.放射についてはW/m2である.2.2.5 輝度,放射輝度輝度という概念は,他の物理測定量で類似した概念がないために,かなりわかりにくい感じを与えるようであるが,要するに観測者からみた光源の明るさの度合いといえる.たとえば,けい光ランプと電球からある面に同じ照度が与えられていても,その面から光源をみる観測者は(発光面積の小さい)電球をより明るく感ずる.では観測者は光度,あるいは単位面積当たりの光度を感じているのであろうか.そうではない.もし,けい光ランプを傾けながら光度を測って行けば,管の長手方向(管軸)と直角の位置で光度は最大となり,直角からはなれるほど光度は下がっていく.しかし観測者の見たけい光ランプの明るさはほとんど変わらない.これはなぜであろうか.図5に示すように,観測者は発光面の長さを1/cosθに短縮してみているからである(もし,円板を前後に傾けながらみれば上下のつまった長円にみえ,遠距離からみた後に傾いた樹木は,背の低い木として観測されるであろう.それと同じである.つまり,目でみた物体の明るさは光度を,その光が発する部分の面積と発光面の法線からのはずれ角の余弦で除したものである.この量を輝度L(放射の場合は放射輝度)といい,L=I/(dAcosθ)とする(Iは光度,dAは発光面積).われわれが感ずる物体の明るさはそのものが一次光源ならば光源の輝度,それ以外のときは光源からの反射または透過の輝度である.[図:0001404086000004.jpg]輝度の単位はlm/(sr・m2)=cd/m2=nt(ニト),放射輝度はW/(sr・m2)である.なお,表2にこれら諸量の記号,定義式,単位とその相互関係を示す.2.3 点光源と完全拡散面たとえば,電気回路の測定をするときには純粋な正弦波とか純粋なL,C,Rを仮定する.しかし,これらがそれぞれ単独で存在することはなくて,仮定をするわけであるが,その仮定によって得た結果が現実と実際上十分な精度で合致すれば,仮定はさしつかえないわけである.測光についても,点光源と完全拡散面という仮定(約束)を用いる.点光源とは大きさを考えない,空間に一様に光を発散する光源で,逆二乗の法則はこの光源について満足される.また,光度の定義も点光源の慨念によってなされている.しかし,実際の光源でも発光最大長の数倍以上の距離ではほぼ点光源とみることができる.完全拡散面とは,どの方向からみても輝度が一様な面である.具体的にはつやのない白い壁面や白いチョークなどがこれに近い.これらの物体は視線の方向にほぼ関係なく,その白さ(明るさ)が一様にみえる(白壁の任意の一点に視点を固定しながら移動しても,白く見える度合いはあまり変化しないことは容易に経験できる).方向に関係なく輝度が一定であるためには,その面の光度は,面の法線方向を最大として法線からはずれるにしたがってはずれ角θの余弦に比例して,低下しなければならない(図6).[図:0001404086000005.jpg]また,完全拡散面では輝度Lと光束発散度Mとの間にはM=πLの関係がある.測定,照明設計の過程では多くの場合,光源や測定器が,これらの条件に十分近似していることを前提としている.」
(イ) 引用文献8記載された事項
当審において新たに引用する文献である岩永敏秀、中村広隆、海老澤瑞枝、山本哲雄「分光放射輝度の実用校正技術の開発」東京都立産業技術研究センター研究報告5号、34~37頁、2010年(以下「引用文献8」という。)には次の記載がある。
「2. 校正の理論光源(分光放射照度の値がついたもの)と拡散反射板を図1のように配置したとき,拡散反射板の反射面で反射した全分光放射束Φe(λ)は,反射面の光源からの放射光による分光放射照度E(λ),反射面の分光反射率ρ(λ)および反射面の面積(十分小さく,面内で分光放射照度と分光反射率が一様であると仮定する)dSを使って,次式で表せる。[図:0001404086000006.jpg][図:0001404086000007.jpg]続きを表示(全13行)一方,反射面で反射した放射束の配光分布(θ,φ方向の放射強度)をIλ(θ,φ)で表すと[図:0001404086000008.jpg]の関係がある。今,反射面が均等拡散面(ランベルトの余弦則に従う面=観測方向により輝度が変化しない面)であるとき,反射面の法線方向(θ=0°)の放射強度をIλ(0),分光放射輝度をL(λ)とすると次式が成立する。[図:0001404086000009.jpg](3)式を(2)式に代入して計算すると[図:0001404086000010.jpg](1)式と(4)式により次式が成立する。[図:0001404086000011.jpg](5)式から,反射面の分光反射率と分光放射照度が既知であれば,分光放射輝度を決定することができる。(5)式は,反射面が均等拡散面(ランベルトの余弦則に従う面)であり,E(λ)とρ(λ)が面内で一様である場合のみ成立する。積分球内壁や反射率標準に用いられている拡散反射板は,均等拡散面に近い反射面として知られているが,本研究では改めて余弦則への一致度や反射面の照度むらの程度を測定により検討し,校正技術への適否を考察した。」
(ウ) 技術常識2の認定
ランベルトの余弦法則に関する次の技術事項は、技術常識(以下「技術常識2」という。)である。技術常識を示す文献として、前記(ア)及び(イ)で示した引用文献7及び引用文献8を提示する。
[技術常識2]
「ランベルトの余弦法則とは、均等拡散面の光度(放射強度)が、面の法線方向を最大として法線からのはずれ角θの余弦に比例して低下し、均等拡散面の輝度が、観測方向に関係なく一定であることであり、反射面の反射率ρと照度Eから、L=ρ×E/πにより輝度Lを決定することができるのは、反射面がランベルトの余弦法則に従う均等拡散面であることを前提とすること。」
エ 引用文献3に記載された事項と技術常識3の認定
(ア) 引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された文献である米国特許出願公開第2017/0103728号明細書(以下「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている。
「[0042] Display control circuitry 30 and associated thin-film transistor circuitry associated with display 14 may be used to produce signals such as data signals and gate line signals for operating pixels 52 (e.g., turning pixels 52 on and off, adjusting the intensity of pixels 52, etc.). During operation, display control circuitry 30 may control the values of the data signals and gate signals to control the light intensity associated with each of the display pixels and to thereby display images on display 14.」
(表示制御回路30及び表示部14に関連する薄膜トランジスター回路は、画素52を動作させる(例えば、画素52をオン及びオフにする、画素52の強度を調節する等)ためのデータ信号及びゲート線信号等の信号を生成するために使用されてもよい。動作中、表示制御回路30は、データ信号及びゲート信号の値を制御して、表示画素の各々に関連する光強度を制御し、それによって表示部14上に画像を表示することができる。)
「[0051] When viewing an object in ambient light, the spectrum of light that reaches one's eye is a function of the surrounding illuminants and the object's reflectivity spectrum. Thus, to mimic the appearance of a diffusely reflective object illuminated by ambient light, display control circuitry 30 may determine the brightness and color of ambient light using color-sensitive light sensor 42 (FIG. 6). Then, using known reflectivity behavior of the colors that the display is attempting to reproduce (e.g., known reflectivity data stored in device 10), display control circuitry 30 may adjust the color and brightness of display light such that the displayed images mimic the appearance of diffusely reflective objects.」
(周囲光の中で物体を見るとき、人の目に到達する光のスペクトルは、周囲の照明光源及び物体の反射スペクトルの関数である。したがって、周囲光によって照明される拡散反射物体の外観を模倣するために、表示制御回路30は、色感知光センサー42(図6)を使用して、周囲光の明るさ及び色を決定してもよい。次いで、表示部が再現しようとしている色の既知の反射率挙動(例えば、デバイス10に記憶された既知の反射率データ)を使用して、表示制御回路30は、表示画像が拡散反射物体の外観を模倣するように、表示光の色及び明るさを調節してもよい。)
「[0054] FIG. 8 is a diagram illustrating how display 14 may be operated in different modes based on the ambient lighting conditions. The x-axis of FIG. 8 represents illuminance (e.g., the intensity of ambient light incident on an object such as display 14 or a piece of paper). The y-axis of FIG. 8 represents luminance. Curve 60 shows how the luminance of a diffusely reflective object such as paper changes as the intensity of the illuminant changes. Curve 62 shows how the luminance of display 14 may change as the intensity of the illuminant changes.」
(図8は、表示部14が周囲照明条件に基づいて異なるモードでどのように動作され得るかを示す図である。図8のx軸は照度(例えば、表示部14又は紙などの物体に入射する周囲光の強度)を表す。図8のy軸は輝度を表す。曲線60は、照明光源の強度が変化するにつれて、紙などの拡散反射物体の輝度がどのように変化するかを示す。曲線62は、照明光源の強度が変化するにつれて表示部14の輝度がどのように変化し得るかを示す。)
「[0058] In paper mode, display control circuitry 30 may adjust display light such that the appearance of displayed images mimics that of a diffusely reflective object such as paper. This may include, for example, determining the brightness and color of ambient light using color-sensitive light sensor 42 and then using known reflectivity behavior of the colors that the display is attempting to reproduce to adjust the color and brightness of display light such that the displayed images mimic the appearance of diffusely reflective objects. As shown in FIG. 8, between ambient light levels L1 and L2, curve 62 corresponding to the luminance of display 14 closely matches curve 60 corresponding to the luminance of paper under the given illuminant.」
(紙モードでは、表示制御回路30は、表示される画像の外観が紙などの拡散反射物体の外観を模倣するように、表示光を調節してもよい。これは、例えば、色感知光センサー42を使用して周囲光の明るさ及び色を決定し、次いで、表示部が再現しようとしている色の既知の反射挙動を使用して、表示画像が拡散反射物体の外観を模倣するように表示光の色及び明るさを調整することを含むことができる。図8に示すように、周囲光レベルL1とL2の間では、表示部14の輝度に対応する曲線62は、所与の照明光源下での紙の輝度に対応する曲線60にぴったりと一致する。)
「[0059] For most ambient lighting conditions (e.g., between illuminance values L1 and L2), operating display 14 to mimic the appearance of printed paper may be the desirable mode of operation. In dim lighting conditions or very bright lighting conditions, however, it may be desirable to achieve other effects with display 14. To account for these different ambient lighting conditions, display control circuitry 30 may operate display 14 in low light mode when the ambient light levels are less than L1 and in bright light mode when ambient light levels are greater than L2.」
(ほとんどの周囲照明条件(例えば、照度値L1とL2の間)では、印刷された紙の外観を模倣するように表示部14を動作させることが、望ましい動作モードであり得る。しかしながら、薄暗い照明条件又は非常に明るい照明条件では、表示部14で他の効果を達成することが望ましい場合がある。これらの異なる周囲照明条件を考慮するために、表示制御回路30は、周囲光レベルがL1未満であるときには低光モードで、周囲光レベルがL2よりも大きいときには明光モードで表示部14を動作させることができる。)
「FIG.6(図6)[図:0001404086000012.jpg]」
「FIG.8(図8)[図:0001404086000013.jpg]」
(イ) 技術常識3の認定
前記(ア)に摘記した事項(特に[0054]、[0058]及び図8(図8の曲線60))から「紙のような印刷表示媒体を反射面とする外光の照度とその反射光の輝度は比例関係にあること」が読み取れる。
したがって、次の技術事項は、技術常識(以下「技術常識3」という。)である。
[技術常識3]
「紙のような印刷表示媒体を反射面とする外光の照度とその反射光の輝度は比例関係にあり、表示部における外光の照度と放射輝度の関係を、印刷表示媒体を反射面とする外光の照度とその反射光の輝度の関係に一致させることにより、外光による印刷表示媒体の外観を模した表示画像とすること。」
(3) 対比・判断
ア 対比
(ア) 対比分析
以下、本件補正発明の発明特定事項の記載に沿って、本件補正発明と引用発明を対比する。
a(a) 引用発明の「表示部130」は、本件補正発明の「表示パネル」に相当する。
(b) 引用発明の「表示部130」は、「表示画素のRGBサブ画素」を有する「有機発光表示装置」であるところ、「有機発光表示装置」の「表示画素」は自発光素子(有機EL素子)を含み、各「表示画素」が2次元的に配置されていることは自明であるから、引用発明の「表示画素」は、本件補正発明の「表示光を放出するため2次元的に配置された画素」に相当する。
(c) したがって、本件補正発明と引用発明は、「表示光を放出するため2次元的に配置された画素を備えた表示パネル」を備える点で一致する。
b 引用発明の「周囲光」は、本件補正発明の「外光」に相当し、引用発明の「周囲光の特性を検出する光センサー」は、「照度値を測定する」ものであるから、本件補正発明と引用発明は、「外光を検出する少なくとも1つの光センサ」を備える点で一致する。
c(a) 引用発明の「印刷物」は、本件補正発明の「印刷表示媒体」に相当する。
(b) 引用発明の「特定の周囲光条件下で表示装置上において印刷物の自然な画像品質を提供する」ことは、「表示装置」において表示される「印刷物」の画質が、「特定の周囲光条件下」に「印刷物」が置かれたときの肉眼での見え方と違和感がない(「自然な」)ようにすることを意味する。
(c) ここで、「特定の周囲光条件下」に「印刷物」が置かれたときの肉眼での見え方は、「印刷物」の「特定の周囲光」に対する拡散反射光に依存するから、引用発明では、「印刷物」の「特定の周囲光」に対する拡散反射光を肉眼が受光したときの見え方を再現するように「表示装置」における「印刷物」の表示を行なっているといえる。
(d) そうすると、本件補正発明と引用発明は、「印刷表示媒体の外光に対する拡散反射光を再現する」ことで一致する。
d(a) 引用発明の「周囲光の特性を検出する光センサー」の「一部は表示装置の表示領域に配置されて」いるところ、表示領域内の領域であって、光センサーがその周囲光の特性として照度を検出する領域(以下「検出領域」という。)は、本件補正発明の「前記表示パネル内の特定領域」に相当する。
(b) 引用発明の「周囲光の特性を検出する光センサー」は、「照度値を測定する」ものであるから、検出領域において、外部から検出領域に入射する「周囲光」を検出しているといえる。
(c) そうすると、本件補正発明と引用発明は、「前記表示パネル内の特定領域において」、「外部から前記表示パネルの前記特定領域に入射する外光」を「前記光センサで検出」する点で共通する。
e(a) 引用発明の「可視波長の反射率と可視波長の環境光強度分布を乗算すること」における「可視波長の反射率」は、本件補正発明の「所定の割合の拡散反射率」に相当する。
また、引用発明の「可視波長の環境光強度分布」は、上記dの検討内容を踏まえると、本件補正発明の「前記特定領域に入射する外光の光束」に相当する。
そうすると、引用発明の「可視波長の反射率と可視波長の環境光強度分布を乗算すること」は、本件補正発明の「所定の割合の拡散反射率と前記特定領域に入射する外光の光束との積」を計算することに相当する。
(b) 引用発明の「画像特性決定部122は、反射された環境光をシミュレートすることができる」ことは、用紙で反射された環境光を、検出領域内の表示画素からの発光により画像として再現できることを意味するところ、表示画素から発光する出射光の強度を全立体角で積分したものは、検出領域内の表示画素から出射される光束であるといえるから、引用発明の「シミュレート」された「反射された環境光」は、本件補正発明の「前記特定領域内の画素から出射される光束」に相当する。
(c) 引用発明では、「可視波長の反射率と可視波長の環境光強度分布を乗算することにより、画像特性決定部122は、反射された環境光をシミュレートすることができる」としており、これは、検出領域内の表示画素から出射される光束が、「可視波長の反射率と可視波長の環境光強度分布を乗算すること」により制御されることを意味するから、上記(a)及び(b)を踏まえると、本件補正発明の「前記特定領域内の画素から出射される光束が、所定の割合の拡散反射率と前記特定領域に入射する外光の光束との積により制御され[る]」ことに相当する。
(d) したがって、前記dにおいて検討した内容も踏まえると、本件補正発明と引用発明は、「前記表示パネル内の特定領域において、前記光センサで検出される、外部から前記表示パネルの前記特定領域に入射する外光の光束に対して、前記特定領域内の画素から出射される光束が、所定の割合の拡散反射率と前記特定領域に入射する外光の光束との積により制御され[る]」ことで一致する。
f 本件補正発明と引用発明は「表示装置」の発明である点で一致する。
(イ) 一致点及び相違点の認定
前記(ア)の対比分析の検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の一致点において一致し、以下の相違点1及び相違点2において相違する。
a 一致点
「表示光を放出するため2次元的に配置された画素を備えた表示パネルと、外光を検出する少なくとも1つの光センサと、を備え、印刷表示媒体の外光に対する拡散反射光を再現するために、前記表示パネル内の特定領域において、前記光センサで検出される、外部から前記表示パネルの前記特定領域に入射する外光の光束に対して、前記特定領域内の画素から出射される光束が、所定の割合の拡散反射率と前記特定領域に入射する外光の光束との積により制御される、表示装置」である点。
b 相違点1
本件補正発明は、「前記画素の放射光強度の角度依存性が、ランベルトの余弦法則に基づき、完全拡散板の均等拡散分布になる、もしくは輝度の半値角が120°以上で、基板面垂直方向からなだらかに減少する配光分布を有[する]」ものであるのに対して、
引用発明は、このような配光分布を有するものであることの特定がない点。
c 相違点2
本件補正発明では、「前記印刷表示媒体の外光に対する拡散反射光を再現する場合の画素の輝度は、前記光センサで検出された照度を用いて、画素の輝度=拡散反射率×照度/πの計算式に基づき設定される」のに対して、
引用発明では、測定された周囲光の照度に基づいて決定された、表示画素のRGBサブ画素の最大輝度値及び最小輝度値を参照して、表示画素のそれぞれのサブ画素に関連付けられた画像データのRGB色値をスケーリングし、画像データのスケーリングされたRGB色値は、周囲光の照度がしきい値を下回るときに最小輝度を維持するように、ディスプレーのためのプリセット値で補償される点。
イ 判断
(ア) 相違点1について
a(a) 「有機EL表示装置は、視野角に対してほぼ一定の輝度をもたらすランベルト分布に近い発光分布を持つこと」は技術常識であるから(技術常識1参照)、引用発明の「有機発光表示装置」についても、視野角に対してほぼ一定の輝度をもたらすランベルト分布に近い発光分布を持つものであるといえる。
(b) そして、引用発明の「有機発光表示装置」がランベルト分布に近い発光分布(配光特性)を持つときには、「表示画素」(有機EL素子)単位でみた場合の発光分布も、ランベルト分布に近いものであるのが通常である。
(c) ここで、上記「ランベルト分布」とは、ランベルトの余弦法則に従う発光分布を意味することは明らかであるところ、ランベルトの余弦法則に従う発光分布であることとは、「均等拡散面の輝度が、観測方向に関係なく一定であること」を意味するから、輝度は面の法線方向からのはずれ角θに対して一定の値となり(技術常識2参照)、この場合は、輝度が半値を取ることはなく、輝度の半値角(視野角)は定義できない。
(d) 引用発明の「有機発光表示装置」の「表示画素」の放射光強度(光度)の角度依存性は、ランベルトの余弦法則に基づく均等拡散分布に近くなっているのであるから、上記(c)において述べた理想的なランベルト分布の場合とは異なり、輝度は面の法線方向からのはずれ角θに対して一定の値という関数形からずれると考えられる。そして、表示装置は、正面の輝度が斜め方向よりも若干高くなっているのが通常であるから、基板面垂直方向から次第に減少するような輝度の配光分布を有する。「有機発光表示装置」の「表示画素」の放射光強度(光度)の角度依存性のランベルト分布からのずれが非常に小さい場合、はずれ角θ=0°に対してはずれ角θ=90°の輝度の低下は非常に小さいから、厳密には半値角(視野角)は定義できないが、本件補正発明は、その目的からして、このようなものを除外するとは考えられないから、この場合には、半値角(視野角)は180°以上とすると考えるのが相当である。なお、「有機発光表示装置」の「表示画素」の放射光強度(光度)の角度依存性のランベルト分布からのずれがさらに大きくなり、角θ=90°の輝度がはずれ角θ=0°の輝度の半分以下になると、厳密な意味でも半値角を定義することが可能である。
(e) そうすると、相違点1の「前記画素の放射光強度の角度依存性が、ランベルトの余弦法則に基づき、完全拡散板の均等拡散分布になる、もしくは輝度の半値角が120°以上で、基板面垂直方向からなだらかに減少する配光分布を有する」のうち、「輝度の半値角が120°以上で、基板面垂直方向からなだらかに減少する配光分布を有し」との構成は、引用発明の「有機発光表示装置」がランベルト分布に近い発光分布(配光特性)を持つことを、表示画素の輝度という物理量を用いて表現した程度のものというべきであるから、実質的な相違点とはいえない。
(f) 仮に、「輝度の半値角が120°以上」であることが引用発明において必然的に満たされるものではないという意味で、実質的な相違点であるとしても、視野角を可能な限り広くすべきということは表示装置における当然の要請であるから、「輝度の半値角が120°以上」であるべきことは、自明のことである。
(g) すなわち、相違点1のうち、「輝度の半値角が120°以上で、基板面垂直方向からなだらかに減少する配光分布を有し」との構成は、引用発明の「有機発光表示装置」が満たしているものであるか、少なくとも、自明のものにすぎない。
b 相違点1のうち、「前記画素の放射光強度の角度依存性が、ランベルトの余弦法則に基づき、完全拡散板の均等拡散分布になる」との構成について検討すると、そもそも「均等拡散面」とはランベルトの余弦法則に厳密に従う理想的なものであるから(技術常識2参照)、本件補正発明において、厳密な意味での「完全拡散板の均等拡散分布」をどのようにして実現できるのか不明であるものの、引用発明の「有機発光表示装置」においても視野角を可能な限り広くするためにランベルトの余弦法則に厳密に従うようにすることにより、「前記画素の放射光強度の角度依存性が、ランベルトの余弦法則に基づき、完全拡散板の均等拡散分布になる」ようにすることは、技術思想としては自明である。
c 以上のとおりであるから、相違点1に係る本件補正発明の構成は、引用発明の「有機発光表示装置」が満たしているものであるか、少なくとも、技術思想として、自明のものにすぎず、格別なものではない。
(イ) 相違点2について
a 「表示部における外光の照度と放射輝度の関係を、印刷表示媒体を反射面とする外光の照度とその反射光の輝度の関係に一致させることにより、外光による印刷表示媒体の外観を模した表示画像とすること」は技術常識であるから(技術常識3参照)、「周囲環境下で実質的な紙の光学特性を模倣するための表示装置」である引用発明において、かかる技術常識に従って、「表示部130」において「光センサー」で「検出」された「照度値」と放射輝度の関係を、「印刷物」を反射面としたときの「周囲光」の照度と反射光の輝度の関係に一致させるようにすることは、当業者ならば当然なし得た設計事項にすぎないものである。
b また、紙のような印刷表示媒体を反射面とする外光の照度とその反射光の輝度は比例関係にあるという技術常識を踏まえると(技術常識3参照)、「周囲環境下で実質的な紙の光学特性を模倣するための表示装置」である引用発明において、「光センサー」で「検出」された「照度値」と放射輝度が比例関係にあるようにすべきことも当然である。
c そして、前記相違点1において検討したとおり、引用発明の「有機発光表示装置」の配向分布はランベルトの余弦法則で近似できるものであるところ、ランベルトの余弦法則に従う反射面を前提にして、反射面の反射率ρと照度Eから、L=ρ×E/πにより輝度Lを決定できるのであるから(技術常識2参照)、引用発明における上記bの比例関係の比例定数が「ρ/π」に相当することは、自明な事項である。
d したがって、引用発明において、「前記印刷表示媒体の外光に対する拡散反射光を再現する場合の画素の輝度は、前記光センサで検出された照度を用いて、画素の輝度=拡散反射率×照度/πの計算式に基づき設定する」ことに相当する構成とすることは、容易に想到し得たものである。
(ウ) 総合検討
相違点1及び相違点2を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する効果は、引用発明及び技術常識1~3から当業者が予測できる程度のものにすぎず、格別顕著なものであるということはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明及び技術常識1~3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
ウ 請求人の主張について
(ア) 審判請求書の主張について
a 請求人の主張内容
請求人は、審判請求書において次の主張をしている。
引用文献1の図8には、紙の反射率が80%の場合の紙モードにおける外光照度に基づく輝度が示されているところ、引用文献1には具体的な計算式は記載されていないものの、この図8に基づき外光照度と輝度の関係を数値で読み取ると概ね以下のようになる。
外光照度(Lux) 輝度(nit)
50 20
100 25
500 45
1000 70
5000 140
一方、本件補正発明の計算式によると、外光照度と輝度の関係は例えば以下のようになる。
外光照度(Lux) 輝度(nit)
50 13
100 25
500 127
1000 255
5000 1274
上記の外光照度と輝度の関係を見れば明らかなように、引用文献1に記載された表示装置は、本件補正発明に係る表示装置とは全く異なる表示特性を有しており、例えば、勉強や読書等をするのに適しているとされる照度は500Lux~1000luxといわれており(例えばJIS Z9110:2010には、書斎や勉強室での読書における照明設計基準として750Luxが規定されている)、本件補正発明の表示装置は、上述の発明特定事項を備えることにより、このような照度においても、あたかも表示装置が紙のような印刷媒体であるかのような感覚を与えることが可能であり、その具体的な表示特性は、引用文献1に記載された表示装置の表示特性とは全く異なる。
このように、引用文献1には、具体的な計算式が示されておらず、本件補正発明で得られるような表示特性とは異なる表示特性が示されており、本件補正発明の、「前記印刷表示媒体の外光に対する拡散反射光を再現する場合の画素の輝度は、前記光センサで検出された照度を用いて、画素の輝度=拡散反射率×照度/πの計算式に基づき設定される」という特徴は、記載も示唆もされていない。
そして、本件補正発明を見た後の事後的であればともかく、主引用発明としての引用文献1を出発点として、引用文献1の記載を根拠に、当業者が、「前記印刷表示媒体の外光に対する拡散反射光を再現する場合の画素の輝度は、前記光センサで検出された照度を用いて、画素の輝度=拡散反射率×照度/πの計算式に基づき設定される」という、「画素の輝度=拡散反射率×照度/π」という具体的な計算式を規定する発明特定事項を有する、本件補正発明にまで容易に到達するという論理付けを行うことは困難であると思料する。
b 請求人の主張についての検討
折りたたみ中(クリックで表示)
(a) 請求人の主張は、要するに引用文献1の図8に示された照度と輝度の関係の具体例が本件補正発明の規定する関係式と整合しないとするものであるところ、本件補正発明の「画素の輝度=拡散反射率×照度/π」という具体的な計算式についても想到することが容易であることは、前記イ(イ)において説示したとおりであるから、請求人の主張は、本件補正発明に係る合議体の判断を左右するものでない。
(b) さらに、請求人の主張に沿って検討する。
引用文献1の図8に示された照度と輝度の関係では、単純に紙を模すだけでなく、外光が弱い状況でも見ることができるような配慮をするとともに、外光の照度が徐々に大きくなっても輝度がそれに単純に比例して大きくならないように配慮している。これに対して、本件補正発明は、このような配慮をしておらず、「画素の輝度=拡散反射率×照度/π」という計算式により画素の輝度を設定するものである。
本件補正発明のような画一的な計算式による画素輝度設定では、外光がゼロのときには表示装置を見ることができず、また、外光が強いときには表示装置がまぶしく見えるという本来ならば望ましくない表示状態を含むことになるものの、その点がむしろ本件補正発明と引用発明の相違点であって、引用発明から本件補正発明に想到することの困難性を生じるとの主張も考えられる。
(c) しかしながら、一般に、引用発明にある構成を備えるように変更を加えることにより、予測可能な望ましくない効果を奏するだけである場合、そのような変更を加えることに積極的な動機付けはないとしても、自明であるとして、本願発明の進歩性は否定される(参考裁判例として、東京高等裁判所平成15年3月27日判決(平成13年(行ケ)第364号)参照)。
上記の考え方は、進歩性の判断の結果の国際調和の観点からも肯定されるものであり、例えば欧州の審査ガイドライン(Guidelines for Examination in the EPO Part G - Chapter VII-10.1参照)には、次のように規定されている。翻訳は、JETROによるものであり(URL: https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/europe/ip/pdf/guidelines_part_g.pdf)、括弧書きに記した。
「10.1 Predictable disadvantage; non-functional modification; arbitrary choiceIf an invention is the result of a foreseeable disadvantageous modification of the closest prior art, which the skilled person could clearly predict and correctly assess, and if this predictable disadvantage is not accompanied by an unexpected technical advantage, then th e claimed invention does not involve an inventive step (see T 119/82 and T 155/85). In other words, a mere foreseeable worsening of the prior art does not involve an inventive step. However, if this worsening is accompanied by an unexpected technical advantage, an inventive step might be present. Similar considerations apply to the case where an invention is merely the result of an arbitrary non-functional modification of a prior-art device or of a mere arbitrary choice from a host of possible solutions (see T 72/95 and T 939/92).」
(「10.1 予見可能な不利;非機能的な変更;恣意的な選択
発明が,最も近接する先行技術を予見可能な不利となるように変更した結果であって,当該技術の熟練者であれば明らかに予測して正確に評価することができ,この予見可能な不利が予想外の技術的利点を伴っていなければ,クレームされた発明には進歩性が含まれていないことに留意すべきである(T 119/82及びT 155/85参照)。換言すれば,先行技術を単に予見可能に悪化させることは進歩性を含んでいない。ただし,この悪化が予想外の技術的利点を伴っていれば,進歩性が存在しているかもしれない。ある発明が先行技術装置の単なる恣意的かつ非機能的な変更の結果である場合,又は多数の可能な解決からの単なる恣意的な選択である場合にも,これと同様の考え方が適用される(T 72/95及びT 939/92参照)。」)
(d) 上記(c)において述べた考え方に基づくと、引用発明において、外光が弱い状況でも見ることができるような配慮や、外光の照度が徐々に大きくなると輝度がそれに単純に比例して大きくならないような配慮をせずに、「画素の輝度=拡散反射率×照度/π」という計算式により画素の輝度を設定すると、予測可能な望ましくない効果を奏することになるものの、そのような望ましくない効果を甘んじて受け入れるように構成の変更を加えることについては、積極的な動機付けはなくとも、当業者には自明のものであるから、本件補正発明の進歩性は認めることができない。
(イ) 上申書の主張について
a 請求人の主張内容
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請求人は、令和4年8月1日に提出された上申書において次の主張をしている。
前置報告書において、新たに発見された拒絶の理由(明確性要件違反及びサポート要件違反)が指摘されたものの、拒絶査定時の拒絶理由に対する審判請求人の反論については何ら説示されておらず、拒絶査定時の拒絶の理由は、審判請求時の補正により解消しているものと推察したため、上記明確性要件違反を解消すべく、以下の<補正案>を含む補正を行う用意がある。
なお、サポート要件違反については、本件補正後の請求項1~10に係る発明は、発明の詳細な説明に記載された、「印刷表示媒体の光学特性を再現する表示装置を提供し、あたかも表示装置が紙のような印刷媒体であるかのような感覚を与え、視認者に対して見慣れた印刷媒体であるかのような表示を行って、違和感なく情報を伝える」(段落0008)という課題を解決するための手段が反映されたものとなっており、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求することになる場合には該当しないと思料する。
<補正案>
[請求項1]
表示光を放出するため2次元的に配置された画素を備えた表示パネルと、
外光を検出する少なくとも1つの光センサと、を備え、
印刷表示媒体の外光に対する拡散反射光を再現するために、
前記表示パネル内の特定領域において、前記光センサで検出される、外部から前記表示パネルの前記特定領域に入射する外光の光束に対して、前記特定領域内の画素から出射される光束が、所定の割合の拡散反射率と前記特定領域に入射する外光の光束との積により制御され、
前記画素の放射光強度の角度依存性が、ランベルトの余弦法則に基づき、完全拡散板の均等拡散分布になる、もしくは輝度の半値角が120°以上で、基板面垂直方向からなだらかに減少する配光分布を有し、
前記印刷表示媒体の外光に対する拡散反射光を再現する場合の画素の輝度は、前記光センサで検出された、外部から前記表示パネルの前記特定領域に入射する外光の光束に基づく照度を用いて、画素の輝度=拡散反射率×照度/πの計算式に基づき設定されることを特徴とする表示装置。
b 請求人の主張についての検討
折りたたみ中(クリックで表示)
合議体は、本件補正発明の独立特許要件について、進歩性欠如の理由を説示したところ、上記補正案において新たに特定された、「光センサで検出された」「照度」が「外部から前記表示パネルの前記特定領域に入射する外光の光束に基づく」ものであることは、当業者にとって自明な事項であるから、この補正案によっても、引用発明及び技術常識1~3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたという判断に変わりはない。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
エ 小括
以上検討のとおり、本件補正発明は、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
したがって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明について
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~10に係る発明は、令和3年11月12日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は前記第2の1(1)に摘記した事項により特定されるとおりである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての理由は、次の理由を含むものである。
理由1(進歩性)
本願発明は、下記の引用文献1~5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
3 引用文献に記載された事項
上記引用文献1には、第2の3(2)ア(イ)において認定したとおりの引用発明が記載されていると認められる。
また、技術常識1~3は、前記第2の3(2)イ(ウ)、ウ(ウ)、エ(イ)において認定したとおりである。
4 対比・判断
(1) 本願発明は、本件補正発明から、「前記印刷表示媒体の外光に対する拡散反射光を再現する場合の画素の輝度は、前記光センサで検出された照度を用いて、画素の輝度=拡散反射率×照度/πの計算式に基づき設定されること」という限定を省いたものである。
(2) そうすると、本願発明の構成を全て含み、さらに他の構成を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3において説示したとおり、引用発明及び技術常識1~3に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、本願発明は、引用発明及び技術常識1~3に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。
第4 むすび
以上検討のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-004857