2022-004847
使い捨ておむつ
- 審判番号
- 2022-004847
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-211004外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年04月01日
- 審決日
- 2023年09月20日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (A61F) / P18 .537-Z (A61F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
本願は令和元年11月22日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 令和4年4月1日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年4月1日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は以下のとおり補正された(下線部は補正箇所である。)。
「【請求項1】股間部を含む範囲に内蔵され排泄液を吸収し保持する吸収体、及び、液透過性を有するものであり当該吸収体の肌側を覆うようにして前後方向に延伸しているトップシートを備える使い捨ておむつであって、前記トップシート上における前記吸収体に対応する範囲内であって、前後方向中央より後方側に形成された、第1便収納部を備え、前記第1便収納部は、肌側に膨らむようにして前記トップシート上に幅方向両端及び前後方向後端が直接接合され、かつ、ギャザーとは離間している第1便収納シートによって形成され、前後方向前端側が開口していることを特徴とする使い捨ておむつ。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和4年1月20日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】股間部を含む範囲に内蔵され排泄液を吸収し保持する吸収体、及び、液透過性を有するものであり当該吸収体の肌側を覆うようにして前後方向に延伸しているトップシートを備える使い捨ておむつであって、前記トップシート上における前記吸収体に対応する範囲内であって、前後方向中央より後方側に形成された、第1便収納部を備え、前記第1便収納部は、肌側に膨らむようにして前記トップシート上に幅方向両端及び前後方向後端が直接接合された第1便収納シートによって形成され、前後方向前端側が開口していることを特徴とする使い捨ておむつ。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第1便収納シート」について、図2の断面図及び図4の断面図の記載に基づき「ギャザーとは離間している」という限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献2の記載事項
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ア 引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由で引用された文献である、特表平10-504987号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の記載がある(下線は当審が付した。)。
「第1図は、本発明の使い捨ておむつの実施例の平面図であって、下に位置する構造を示すため、部分的に切り取られている。第2図は、第1図の使い捨ておむつの実施例の斜視図である。」(7ページ1行~3行)
「第5図は、曲げられた障壁脚部カフスとポケットカフスとの接合部を示すために拡大された、第1図の使い捨ておむつの実施例の略平面図である。第6図は、第1図の線6-6に沿った略断面図である。第7図は、第1図の線7-7に沿った略断面図である。」(7ページ6行~9行)
「第9図は、第1図の線9-9に沿った略断面図である。」(7ページ11行)
「第1図は、本発明のおむつ20の平面図であって、構造をより明瞭に示すため構造の一部が切り取られており、図面において手前側が装着者に接するおむつ20の部分である。第2図は、おむつ20の斜視図であって、図面において手前側が装着者に接するおむつ20の部分である。第1図および第2図に示されるおむつ20は、第1の前腰部領域22と、第2の後腰部領域24と、前腰部領域22と後腰部領域24との間に配置された股部領域26と、長さ方向縁部30と前および後端縁部32とによって定められる周囲28とを有している。おむつ20は更に、側方中心線34と、長さ方向中心線36とを有している。第3図は、第1図の線3-3に沿った概略断面図である。第1図~第3図を参照すると、おむつ20は、液体透過性のトップシート38を備えており、おむつ20の液体収容面がトップシート38によって全体として構成され、参照番号40で示されている。おむつ20は又、トップシート38に結合された液体不透過性のバックシート42と、トップシート38とバックシート42との間に位置決めされた吸収コア44とを備えている。吸収コア44は、側縁部46と、前および後腰部縁部48とを有している。おむつ20は又、少なくとも股部領域26において吸収コア44の各側縁部46から側方かつ外方に延びた縁側部フラップ49を有している。おむつ20は更に、トップシート38の上に位置するポケットカフス50を有している。ポケットカフス50は、後腰部領域24と並置された閉鎖縁部52と、側方に間隔をへだてた開放縁端部55の間に延びた開放縁部54とを有している。第1図に示される実施例では、開放縁部端部55は、側方中心線34と後端縁部32との間に位置決めされている。開放縁部54は、長さ方向中心線36上に実質的に位置決めされた先端157を有し、弾性部材154を備えていてもよい。ポケットカフス50とトップシート38は一緒になって、第3図に示されるように、間に糞便収容ポケット空間51を構成する。第1図に示される実施例では、おむつ20は又、ポケットカフス50に長さ方向後方の力成分を及ぼすためのポケットカフス付勢手段60を有している。ポケットカフス付勢手段60は、開放縁部54を形作り、開放縁部54を側方中心線34およびトップシート38から遠去かる方へ付勢する。”長さ方向後方”は、長さ方向中心線36と略平行であり且つ第1図において矢印18で示されるような方向を意味する。”側方外方”は、側方中心線34と略平行であり且つ第1図において矢印19で示されるような長さ方向中心線36から離れた方向を意味する。ポケットカフス付勢手段60は、側部フラップ49に接合されたバリヤーカフス62の一部を備えている。ポケットカフス開放縁部54は、開放縁端部55間に延びている。各端部55は、それぞれのバリヤーカフス62に接合されている。第1図では、各バリヤーカフス62の一部が、それぞれの開放縁端部55から長さ方向後方および側方外方に延びている。各バリヤーカフス62の一部は又、それぞれの開放縁端部55から長さ方向前方に延びている。おむつ20は又、長さ方向の力成分をポケットカフス開放縁端部55の間でポケットカフス50に及ぼすための、弾性部材161のような、長さ方向に配向された付勢手段61を有している。”長さ方向に配向された付勢手段”は、長さ方向中心線36に対して45度以下の挟角A(第1図)を形成するように配向された力を及ぼす付勢手段を意味する。」(8ページ19行~10ページ7行)
「おむつ20は、第1の腰部領域22と、おむつの周囲28の端縁部32からおむつ20の側方中心線34の方へ、おむつの長さの約1/3の距離(好ましくは約1/8~約1/4)それぞれ延びた第2の腰部領域24とを有している。腰部領域22、24は一般的に、装着時に装着者の腰部を取り囲むおむつ20の部分を備えている。股部領域26は、第1の腰部領域22と第2の腰部領域24との間に位置決めされたおむつ20の部分であり、装着時に装着者の脚部の間に位置決めされ装着者の下半身を覆う、おむつ20の部分を備えている。第1図および第3図を参照すると、吸収コア44は、トップシート38とバックシート42との間に配置されている。トップシート38およびバックシート42は吸収コア44の側縁部46を超えて延び、側部フラップ49を形成している。各側部フラップ49は、バリヤーカフス62の外側に位置決めされた1つ以上の弾性ストランド105(第1図では、3つのストランドが示されている)を備えたガスケットカフス104を有している。このようなガスケットカフス104の構造を示すため、1987年9月22日にローソンに付与された米国特許第4,695,278号および上述の米国特許出願第3,860,003号を参考文献としてここに含める。」(11ページ8行~23行)
「第1図、第4図および第9図を参照すると、各バリヤーカフス62は、近位縁64、遠位縁66、前腰部領域24に位置決めされた第1のバリヤーカフス端部72と、後腰部領域24に位置決めされた第2のバリヤーカフス端部74とを有している。バリヤーカフス62は更に、バリヤーカフス62と作動的に関連し、トップシート38から遠位縁66の間隔を隔てるための間隔保持部76を備えている。間隔保持部76は、第9図に示されるように、1つ以上の弾性部材77を備えている。バリヤーカフス62は、液体不透過性のポリエチレンフィルム69に固定された不織布材料層67のラミネートを備えている。層67、69は、当該技術分野において周知の方法によって互いに固定することができる。」(16ページ7行~15行)
「ポケットカフス50は好ましくは、柔軟で柔らかく、装着者の皮膚を刺激しない材料からなる。ポケットカフス50は、液体透過性または液体不透過性の材料で形成することができる。適当なポケットカフス50は、穴開きプラスチックフィルム、(木繊維または綿繊維のような)天然繊維の織布または不織布ウェブ、或いは(ポリエステル、ポリプロピレン、またはレイヨン繊維のような)合成繊維のような種々の材料で形成される。ポケットカフス50を、弾性ウェブ材料で形成してもよい。好ましくは、ポケットカフス50は、トップシート38とポケットカフス50との間に形成されたポケット空間51内に収容された液体から装着者の皮膚を隔離するため、疎水性である。ポケットカフス50を製造するのに、多くの技術を使用することができる。たとえば、ポケットカフス50は、スパンボンデッドされ、けば立てられ、湿式堆積され、溶融吹き込みされ、ハイドロエンタングルされた繊維の不織布ウェブである。適当なポケットカフス50は、米国マサチューセッツ州ウォルポールのインターナショナルペイパー社の一部門のフェラテック・インクによって製造されているP-8、P-9、P-10のような、ステープル長のポリプロピレン繊維のウェブからなる。」(18ページ下から2行~19ページ13行)
「上述のようにして形成されたポケットカフス50は、後腰部領域24からの身体排出物の漏れを防止するため、閉鎖縁部52に沿っておむつ20の下に位置する要素に接合される。ポケットカフス50は、第1図および第2図に示されるように、閉鎖縁部52に沿ってトップシート38に接合される。或いは、トップシート38が後腰部領域24内に完全に延びていない場合には、ポケットカフス50をバックシート42に接合してもよい。ポケットカフス50は、当該技術分野において周知の幾つかの方法のうち任意のもので、閉鎖縁部52に沿っておむつ20の下に位置する要素に接合される。ポケットカフス50は好ましくは、身体排出物がポケットカフス50とおむつ20の下に位置する要素との間から漏れないように、閉鎖縁部52に沿っておむつ20の下に位置する要素に対して液密関係に接合される。たとえば、ポケットカフス50は、超音波接着、熱/圧力シール、或いは上述のHL-1258接着剤またはスリーエム社の1524テープの連続層を使用して、トップシート38に接合される。閉鎖縁部52は、第2図に示されるように、略前方に延びた部分182の間に延びている略側方に配向された部分180を有している。閉鎖縁部52は好ましくは、後腰部領域24と関連したコア縁48の後方に延びている。また、閉鎖縁部52は好ましくは、コア縁46の側方外方に延びている。第2図に示されるように、閉鎖縁部52の側方に延びた部分180は、後腰部領域24において端縁部42の前方に間隔をへだてており、閉鎖縁部52の前方に延びた部分182は、後腰部領域24においてバリヤーカフス62から側方内方に間隔をへだてている。或いは、側方に延びた部分180は、端縁部32と一致しており、前方に延びた部分182は、後腰部領域においてバリヤーカフス62の近位縁64と一致している。ポケットカフス50の開放縁部54は、側方に間隔をへだてた開放縁端部55の間に延びている。開放縁端部55は、第1図、第2図および第5図に示されるように、一対の側方に間隔をへだてた接合部155のところでバリヤーカフス62に接合されている。各接合部155は、バリヤーカフス62の第1の端部72と第2の端部74との間に位置決めされている。第1図は、第1のバリヤーカフス端部72のところで近位縁62の側方内方に延びた遠位縁66と、第2のバリヤーカフス端部74のところで近位縁64の側方外方に延びた遠位縁64を有する、曲げられたバリヤーカフス62を示している。第6図~第9図は、バリヤーカフス62の曲げ性状を示している。第6図は、接合部155の後方の、第1図の線6-6に沿った断面図である。第6図は、バリヤーカフス62の遠位縁66が近位縁64の側方外方に延びている、”ひっくり返された”バリヤーカフス62を示している。第8図および第9図は、接合部155の前方における断面図である。第8図および第9図は、バリヤーカフス62の遠位縁66が近位縁64の側方内方に延びている、股部領域26において”ひっくり返された”バリヤーカフス62を示している。弾性部材77は、溝177を形成するため、トップシート38の上方でバリヤーカフス62の遠位縁66と間隔をへだてている。溝177およびバリヤーカフス62は身体排出物を収容し、装着者の脚部とおむつ20との間から排出物が漏れるのを阻止する。第1図および第7図を参照すると、各開放縁端部55は、バリヤーカフス62の遠位縁66に接合されている。或る好ましい実施例では、弾性部材154は、開放縁端部55の間に延びている。各開放縁端部55は、弾性部材154がバリヤーカフス62の遠位縁66と作動的に関連した弾性部材77と並置されるように、遠位縁66に接合されている。弾性部材77は、テープタブファスナ82の下に位置するように、各接合部155から長さ方向後方および側方外方に延びている。開放縁端部55は、超音波接着、熱/圧力シール、或いは上述のHL-1258接着剤またはスリーエム社の1524テープの連続層を使用して、バリヤーカフス62の遠位縁66に接合される。第7図を参照すると、ポケットカフス50がバリヤーカフス62の遠位縁66に局部的に接合される場合には、ポケットカフス50の閉鎖縁部52とバリヤーカフス62の近位縁64との間に溝171が形成される。第8図を参照すると、ポケットカフス50は、溝171を閉鎖するためにバリヤーカフス62の全幅Wに沿って連続的に接合され、これによりバリヤーカフス62とポケットカフス50との間での身体排出物の長さ方向の漏れを阻止する。」(22ページ13行~24ページ13行)
「【図1】[図:0001404085000001.jpg]」
「【図2】[図:0001404085000002.jpg]」
「【図5】[図:0001404085000003.jpg]」
「【図6】[図:0001404085000004.jpg]」
「【図7】[図:0001404085000005.jpg]」
「【図9】[図:0001404085000006.jpg]」
イ 引用文献2に記載された発明(以下「引用発明」という。)
上記記載から、引用文献2には、以下の引用発明が記載されているものと認められる。
「液体透過性のトップシート38を備えており、トップシート38と液体不透過性のバックシート42との間に位置決めされた吸収コア44とを備えたおむつ20であって、トップシート38の上に位置するポケットカフス50は、後腰部領域24と並置された閉鎖縁部52に沿ってトップシート38に接合され、側方に間隔をへだてた開放縁端部55の間に延びた開放縁部54とを有し、ポケットカフス50とトップシート38は一緒になって、間に糞便収容ポケット空間51を構成し、ポケットカフス付勢手段60は、開放縁部54を形作り、開放縁部54を側方中心線34およびトップシート38から遠去かる方へ付勢し、トップシート38およびバックシート42は吸収コア44の側縁部46を超えて延び、側部フラップ49を形成し、各側部フラップ49は、バリヤーカフス62の外側に位置決めされた1つ以上の弾性ストランド105を備えたガスケットカフス104を有しているおむつ20。」
(3)対比
本件補正発明と引用発明を、その機能、作用又は技術的意義を考慮し対比する。
引用文献2の第1、2図の配置をみれば、「吸収コア44」が装着者に装着された際に股間部を覆うものであることは自明であるから、引用発明の「トップシート38と液体不透過性のバックシート42との間に位置決めされた吸収コア44」は、本件補正発明の「股間部を含む範囲に内蔵され排泄液を吸収し保持する吸収体」に相当する。
引用文献2の「第1図の線6-6に沿った略断面図」である第6図、「第1図の線7-7に沿った略断面図」である第7図の配置をみれば、引用発明の「液体透過性のトップシート38」は、装着者に装着された際に肌側に位置していることが認められる。また、「おむつ20の液体収容面がトップシート38によって全体として構成され」(8ページ28行~9ページ1行)の記載に加えて、第1図の「トップシート38」の大きさをみれば、前後方向に延伸している「トップシート38」であることは自明である。したがって、引用発明の「液体透過性のトップシート38」は、本件補正発明の「液透過性を有するものであり当該吸収体の肌側を覆うようにして前後方向に延伸しているトップシート」に相当する。
引用発明の「おむつ20」は、「使い捨ておむつのような吸収物品に関し、より詳細には、糞便収容ポケットカフスと臀裂スペーサを有する吸収物品に関する」(4ページ7~8行)ものであるから、本件補正発明の「使い捨ておむつ」に相当する。
引用発明の「糞便収容ポケット空間51」は、本件補正発明の「第1便収納部」に相当し、引用発明の「後腰部領域24と並置された閉鎖縁部52に沿ってトップシート38に接合され、側方に間隔をへだてた開放縁端部55の間に延びた開放縁部54とを有し、ポケットカフス50とトップシート38は一緒になって、間に糞便収容ポケット空間51を構成」することは、「前記トップシート上に、前後方向中央より後方側に形成された、第1便収納部を備え」る限りにおいて、本件補正発明の「前記トップシート上における前記吸収体に対応する範囲内であって、前後方向中央より後方側に形成された、第1便収納部を備え」ることに一致する。
引用発明の「ポケットカフス50」は、本件補正発明の「第1便収納シート」に相当する。そして、引用文献2の「曲げられた障壁脚部カフスとポケットカフスとの接合部を示すために拡大された、第1図の使い捨ておむつの実施例の略平面図」である第5図には「閉鎖縁部」の符号「52」が幅方向及び前後方向にも付されており、「閉鎖縁部52は好ましくは、後腰部領域24と関連したコア縁48の後方に延びて」、また、「閉鎖縁部52は好ましくは、コア縁46の側方外方に延びている」ものである(22ページ28行~23ページ2行)。してみると、引用発明の「トップシート38の上に位置するポケットカフス50は、後腰部領域24と並置された閉鎖縁部52に沿ってトップシート38に接合され、側方に間隔をへだてた開放縁端部55の間に延びた開放縁部54とを有」することは、本件補正発明の「前記第1便収納部は」、「前記トップシート上に幅方向両端及び前後方向後端が直接接合され」る「第1便収納シートによって形成され」ることに相当する。
引用発明の「ポケットカフス付勢手段60は、開放縁部54を形作り、開放縁部54を側方中心線34およびトップシート38から遠去かる方へ付勢」することは、本件補正発明の「第1便収納シート」が「肌側に膨らむように」されており、「前記第1便収納部」が「前後方向前端側が開口している」ことに相当する。
したがって、本件補正発明と引用発明とは以下の点で一致し、相違する。
<一致点>
「股間部を含む範囲に内蔵され排泄液を吸収し保持する吸収体、及び、液透過性を有するものであり当該吸収体の肌側を覆うようにして前後方向に延伸しているトップシートを備える使い捨ておむつであって、前記トップシート上に、前後方向中央より後方側に形成された、第1便収納部を備え、前記第1便収納部は、肌側に膨らむようにして前記トップシート上に幅方向両端及び前後方向後端が直接接合される第1便収納シートによって形成され、前後方向前端側が開口している使い捨ておむつ。」
<相違点1>
「前記トップシート上に、前後方向中央より後方側に形成された、第1便収納部を備え」ることについて、本件補正発明は、「前記トップシート上における前記吸収体に対応する範囲内であって、前後方向中央より後方側に形成された、第1便収納部を備え」るのに対し、引用発明は、「後腰部領域24と並置された閉鎖縁部52に沿ってトップシート38に接合され、側方に間隔をへだてた開放縁端部55の間に延びた開放縁部54とを有し、ポケットカフス50とトップシート38は一緒になって、間に糞便収容ポケット空間51を構成」するものの、糞便収容ポケット空間51がトップシート38上における吸収コア44に対応する範囲内に形成されているか不明である点。
<相違点2>
本件補正発明は、「ギャザーとは離間している第1便収納シート」によって「第1便収納部」が形成されているのに対して、引用発明は、「糞便収容ポケット空間51」が「ポケットカフス50」により形成されているものの、「バリヤーカフス62」または「ガスケットカフス104」とは離間している「ポケットカフス50」により形成されるものであるか否か不明である点。
(4)判断
以下、上記相違点について検討する。
ア 相違点1
引用発明において、「ポケットカフス50とトップシート38は一緒になって、間に糞便収容ポケット空間51を構成」するところ、引用文献2の第1図の「平面図」には「吸収コア44」を覆うように「ポケットカフス50」が設けられていることが示されており、「第1図の線6-6に沿った略断面図」である第6図には、「吸収コア44」の上方に「ポケットカフス50」が配置されていることが示されている。
そして、「糞便収容ポケット空間51」は糞便を収容するものであり、この「空間51」と「吸収コア44」との間の「トップシート38」は「液体透過性」であるところ、当該収容に際して「トップシート38」を透過する液体等に対して「吸収コア44」が作用できるように、「糞便収容ポケット空間51」を「吸収コア44」に対応する範囲内に配置することは、当業者が容易に想到し得たことである。
イ 相違点2
(ア)引用発明の「ガスケットカフス104」は「バリヤーカフス62の外側に位置決めされた1つ以上の弾性ストランド105」を備え、「各側部フラップ49」により構成されるものである。そして、「ガスケットカフス104」を構成する「1つ以上の弾性ストランド105」は「バリヤーカフス62の外側に位置決めされた」ものとされているから、「バリヤーカフス62」の外側に「ガスケットカフス104」が配置されるものである。
そして、引用文献2の第1、2図の「ガスケットカフス104」及び「各側部フラップ49」の形状や配置等をみれば、引用発明の「ガスケットカフス104」は、本件補正発明の「ギャザー」に相当する。
一方で、当該「バリヤーカフス62」は、「1つ以上の弾性部材77を備えている」「間隔保持部76」を備えている(16ページ10行~13行)。さらに、引用文献2の第1、2図の「バリヤーカフス62」の形状や配置等をみれば、「ガスケットカフス104」だけでなく「バリヤーカフス62」も、本件補正発明の「ギャザー」に相当する。
(イ)第1図の「平面図」には、「ガスケットカフス104」が「ポケットカフス50」の外方側に配置されていることが示されている。さらに、当該第1図からは「ガスケットカフス104」は第1図の線6-6付近で「ポケットカフス50」に接近していくことがみてとれるところ、「第1図の線6-6に沿った略断面図」である第6図にはそのような第1図の線6-6付近であってもなお、「ガスケットカフス104」が「ポケットカフス50」の外方側に配置されていることが示されている。してみると、「ポケットカフス50」は「ガスケットカフス104」と離間しているものと認められる。
したがって、上記相違点2は実質的な相違点ではない。
(ウ)また、引用文献2の「第1図の線6-6に沿った略断面図」である第6図から、少なくとも、「糞便収容ポケット空間51」が「ポケットカフス50」により形成されている当該線6-6の位置においては、当該「バリヤーカフス62」が「ポケットカフス50」と離間していることがみてとれる。
したがって、この点からも「ポケットカフス50」は「バリヤーカフス62」と離間しているものであって、上記相違点2は実質的な相違点ではない。
(エ)また、引用発明の「バリヤーカフス62」について、「ポケットカフス50の開放縁部54は、側方に間隔をへだてた開放縁端部55の間に延びている。開放縁端部55は、第1図、第2図および第5図に示されるように、一対の側方に間隔をへだてた接合部155のところでバリヤーカフス62に接合されている。」(23ページ8行~12行)とされ、特に「曲げられた障壁脚部カフスとポケットカフスとの接合部を示すために拡大された、第1図の使い捨ておむつの実施例の略平面図」である第5図の符号「155」が付されている箇所に着目すれば、確かに「ポケットカフス50」と「バリヤーカフス62」は当該「接合部155」において接合されている。これは、「ポケットカフス付勢手段60」が、「開放縁部54を形作り、開放縁部54を側方中心線34およびトップシート38から遠去かる方へ付勢する」(9ページ18行~20行)ための構成であると解される。
一方で、引用文献2の「第1図の線6-6に沿った略断面図」である第6図から、「糞便収容ポケット空間51」が「ポケットカフス50」により形成されている当該線6-6の位置において、当該「バリヤーカフス62」が「ポケットカフス50」と離間していることがみてとれる。
してみると、「ポケットカフス50」が「バリヤーカフス62」と離間していても「糞便収容ポケット空間51」自体は形成できるのであるから、当該「ポケットカフス付勢手段60」の機能を損なわない程度に、「バリヤーカフス62」とは離間している「ポケットカフス50」により、「糞便収容ポケット空間51」を形成する程度のことは、当業者が適宜なし得たことである。
ウ 以上から、本件補正発明は、引用発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和4年4月1日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和4年1月20日にされた手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものであると認められる。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、下記の引用文献2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
記
2.特表平10-504987号公報
3 引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2に記載された発明は、前記第2の[理由]2(2)イに記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、本件補正発明から、「第1便収納シート」について、「ギャザーとは離間している」という限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明と引用発明とは上記相違点1で相違するところ、この点は前記第2の[理由]2(4)で検討したとおりである。
したがって、本願発明も、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-004847