特許拒絶査定不服審判
2021-005166
容器アセンブリ用の混合要素
- 審判番号
- 2021-005166
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-193706外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年04月21日
- 審決日
- 2022年09月27日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
- 【請求人代理人】弁理士法人谷・阿部特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (A61J) / P18 .537-WZ (A61J)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-193706「容器アセンブリ用の混合要素」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 3月 7日出願公開、特開2019- 34175〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2012年(平成24年)10月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年10月20日、(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2014-537229号の一部を平成28年8月10日に新たな特許出願とした特願2016-158096号の一部を平成30年10月12日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和1年 8月 9日付け:拒絶理由通知書
令和1年11月20日 :意見書、手続補正書の提出
令和2年 3月 2日付け:拒絶理由通知書
令和2年 8月11日 :意見書、手続補正書の提出
令和2年12月17日付け:拒絶査定
令和3年 4月21日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和3年12月21日付け:拒絶理由通知書
令和4年 4月 4日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願発明は、令和4年4月4日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
開いた上端部、第2の端部、および前記開いた上端部と前記第2の端部の間に延び、容器内部を画定する側壁を有する容器であり、容器縦軸を定める容器と、
前記容器の前記開いた上端部を密封する刺し貫くことが可能な閉鎖体と、
混合要素であって、前記容器が前記容器縦軸を軸に回転したときに渦を発生させ、前記渦が、前記容器内部に提供された第1の物質と前記容器内部に提供された第2の物質の混合を達成する、前記容器上部の前記開いた上端の近くで前記容器の側壁に直接成形され前記容器に突き出た混合要素と
を備え、
前記混合要素の縦軸は前記容器の縦軸に沿ってまたは平行に延伸し、
前記混合要素は、実質的に平坦な頂部面と、実質的に平坦な底部面と、前記底部面から前記頂部面へ延びる実質的に平坦な内部混合面と、前記底部面から前記頂部面まで延びる第1の外部混合面であって、前記内部混合面に対して第1の角度を形成する第1の外部混合面と、前記底部面から前記頂部面まで延びる第2の外部混合面であって、前記内部混合面に対し第2の角度を形成する第2の外部混合面とを含み、
前記混合要素は前記容器内で前記第1の物質と前記第2の物質とを混合するために前記渦を発生させるのを助けるように設計され、
前記第1の外部混合面および前記第2の外部混合面は先端に向かう方向で、もう一方に対して前記容器の中心に向かって角度がつけられ、
前記実質的に平坦な内部混合部面は前記第1の外部混合面と前記第2の外部混合面との間を延伸する
ことを特徴とする容器アセンブリ。」
第3 当審における拒絶の理由
当審の拒絶の理由である、令和3年12月21日付け拒絶理由通知書の拒絶理由の理由1における請求項1に対する理由は、概略、次のとおりのものである。
この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日(以下、「優先日」という。)前日本国内又は外国において頒布された下記の引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1.特開2010-85125号公報
引用文献2.特開昭50-149475号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3.特開昭61-228865号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4.特開平6-335514号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5.特開2004-345958号公報(周知技術を示す文献)
引用文献6.実願平1-142045号(実開平3-81558号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)
第4 引用文献
1 引用文献の記載事項
(1)引用文献1
ア 引用文献1の記載事項
引用文献1には、以下の事項が記載されている。
「【0023】
撹拌装置1は、反応容器2を容器保持部15に収納後、モータ11が駆動すると、ギア12が回転し、隣接する反応容器2の伝達部21にその動力が伝達されて、反応容器2が回転する。ここで、反応容器2の回転は、隣接するモータ11または反応容器2が互いに逆方向に回転する。図1において、モータ11の回転方向が矢印で示す方向の場合、ブロック13に並んで配置される反応容器2は、矢印で示すように隣接する反応容器2と反対方向に回転する。」
「【0024】
また、反応容器2は、図2,3に示す模式図のように、撹拌を促進させる凸部22を有することが好ましい。図2は、反応容器2の側面図であり、図3は、反応容器2を上方から見た平面図である。凸部22は、反応液収容部20内部に、軸心を通過する相対位置にそれぞれ形成される。反応容器2の回転によって凸部22も回転し、凸部22が回転することによって撹拌流が起こり、反応液収容部20に収容された検体と試薬との撹拌を促進できる。」
「【0027】
ここで、反応容器2の変形例1である反応容器を、図6,7を参照して説明する。図6は、反応容器2の側面図であり、図7は、反応容器2を上方から見た平面図である。図6,7に示す反応容器2は、ポリスチレン等の合成樹脂で形成されており、反応液を収容する反応液収容部20と検体の分析を行う検体分析部23とを有する。反応液収容部20は円柱状であって、底部は、底部側が凸になる略円錐状に形成されている。また、検体分析部23は、上端部が反応液収容部20底部と同軸同径であって、開口面に平行な方向の任意の断面(横断面)のなす円の径は、開口面から底部に行くにしたがって小さくなり、底部が略円錐状に形成される。なお、検体分析部23内部には担体Sが収容されており、検体と試薬とを反応させた凝集反応の程度によって、遠心処理後の担体S中の反応物の位置が異なり、この担体S中の反応物の位置によって検体の分析を行う。また、反応液収容部20は、上部外周側面に開口面から円柱状に形成される伝達部21が設けられ、内部側面に撹拌を促進する凸部22を有することが好ましい。」
「【0028】
・・・。さらに、収容した担体S及び溶液の漏れを防ぐために、反応液収容部20開口面にシール材等で蓋をすることが好ましい。」
【図1】
[図:0001394382000001.jpg]
【図6】
[図:0001394382000002.jpg]
【図7】
[図:0001394382000003.jpg]
イ 引用文献1に記載されている技術的事項
(ア)反応容器2について
段落【0027】に、反応液収容部20と検体分析部23を有し、伝達部21が設けられた反応容器2が記載されている。また、段落【0023】に、伝達部21により反応容器2が回転することが記載されており、また、図1には、反応容器が容器縦軸を中心に回転することが記載されている。ここで、段落【0023】及び図1に記載されている反応容器2と段落【0027】に記載されている反応容器2は、それぞれ別の実施例におけるものであるが、いずれも伝達部21を有するものであり反応容器2の回転については同様に回転するものであることは明らかであるから、段落【0027】の反応容器2も容器縦軸が定められているものといえる。また、図6の記載から、段落【0027】に記載されている反応容器2が、開いた上端部、下端部である第2の端部、および上記開いた上端部と第2の端部の間に延び、容器内部を画定する側壁を有することは明らかである。
そうしてみると、引用文献1には、開いた上端部、第2の端部、および前記開いた上端部と前記第2の端部の間に延び、容器内部を画定する側壁を有する反応容器2であり、容器縦軸を定める反応容器2が記載されていると認められる。
(イ)シール材について
段落【0028】に、収容した担体S及び溶液の漏れを防ぐために、反応液収容部20開口面にシール材等で蓋をすることが記載されている。
そうしてみると、引用文献1には、反応容器2の開いた上端部を密封するシール材を設けることが記載されていると認められる。
(ウ)凸部22の機能について
段落【0027】に、反応液収容部20には、内部側面に撹拌を促進する凸部22を設けることが記載されている。そして、図6に、反応液収容部20は反応容器2の上端側にあり、さらに、凸部22は上端近くに設けられることも記載されている。
そうしてみると、引用文献1には、反応容器2上部の開いた上端の近くで反応容器2の側壁に形成され反応容器2に突き出た凸部22を設けることが記載されていると認められる。
また、段落【0023】に、反応容器2が回転することが記載されており、また、図1には、反応容器が容器縦軸を中心に回転することが記載されている。さらに、段落【0024】に、反応容器2の回転によって凸部22も回転し、凸部22が回転することによって撹拌流が起こり、反応液収容部20に収容された検体と試薬の撹拌を促進することが記載されている。そして、段落【0023】、【0024】、図1の実施例と、段落【0027】、図6の実施例は、別の実施例であるが、反応容器2の動作や凸部22の作用は同様であり双方に共通するものであることは明らかである。そうしてみると、段落【0027】に記載された凸部22も、反応容器2が容器縦軸を軸に回転したときに撹拌流を発生させ、撹拌流が、反応容器2内部に提供された検体と試薬の撹拌を促進するものであると認められる。
そうしてみると、引用文献1には、凸部22であって、反応容器2が容器縦軸を軸に回転したときに撹拌流を発生させ、撹拌流が、反応容器2内部に提供された検体と反応液収容部20に収容された試薬の混合を促進する、反応容器2上部の開いた上端の近くで反応容器2の側壁に形成され反応容器2に突き出た凸部22を設けることが記載されている。さらに、当該記載事項から、凸部22は、反応容器2内で検体と試薬とを混合するために撹拌流を発生させるのを助けるように設計されていることは明らかである。
(エ)凸部22の配置について
段落【0024】、図6、7には、凸部22が、反応液収容部20内部に軸心を通過する相対位置にそれぞれ形成されることが記載されている。
そうしてみると、引用文献1には、凸部22の縦軸を反応容器2の縦軸に沿ってまたは平行に延伸させることが記載されていると認められる。
(オ)凸部22の形状について
図6、7に、凸部22の上下に伸びる各面が、それぞれ、底部から頂部まで延びる第1の外部混合面、底部から頂部まで延びる第2の外部混合面であること、また、反応容器2の中心に向かって角度がつけられる第1の外部混合面および第2の外部混合面であることが記載されている。
そうしてみると、引用文献1には、凸部22に、底部から頂部まで延びる第1の外部混合面、底部から頂部まで延びる第2の外部混合面を設けること、また、第1の外部混合面および第2の外部混合面は先端に向かう方向で、もう一方に対して反応容器2の中心に向かって角度がつけられることが記載されていると認められる。
ウ 引用発明
上記の(ア)~(オ)を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
【引用発明】
「開いた上端部、第2の端部、および前記開いた上端部と前記第2の端部の間に延び、容器内部を画定する側壁を有する反応容器2であり、容器縦軸を定める反応容器2と、
前記反応容器2の前記開いた上端部を密封することが可能なシール材と、
凸部22であって、前記反応容器2が前記容器縦軸を軸に回転したときに撹拌流を発生させ、前記撹拌流が、前記反応容器2内部に提供された検体と前記反応容器2内部に提供された試薬の混合を促進する、前記反応容器2上部の前記開いた上端の近くで前記反応容器2の側壁に成形され前記反応容器2に突き出た凸部22と
を備え、
前記凸部22の縦軸は前記反応容器2の縦軸に沿ってまたは平行に延伸し、
前記凸部22は、底部から頂部まで延びる第1の外部混合面、底部から頂部まで延びる第2の外部混合面を含み、
前記凸部22は前記反応容器2内で前記検体と前記試薬とを混合するために前記撹拌流を発生させるのを助けるように設計され、
第1の外部混合面および第2の外部混合面は先端に向かう方向で、もう一方に対して前記反応容器2の中心に向かって角度がつけられる、
容器アセンブリ。」
(2)引用文献2の記載
引用文献2には、以下の事項が記載されている。
「第3図の拡大頂上平面図に示されている、孔をあけられることのできる再密封可能ダイアフラム34は密封外周部分36及び中央孔あけ部分38を有している。孔あけ部分38は、皮下注射針または孔あけスパイキをダイアフラム上に位置決めするための案内として作用する直立標的リング40によつて取囲まれている。」(第3頁左下欄第16行~右下欄第2行)
上記の記載から引用文献2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「孔をあけられることのできる再密封可能ダイアフラム」
(3)引用文献3の記載
引用文献3には、以下の事項が記載されている。
「第1図乃至第3図を続けて参照すると、第3図には薬びん又は容器10が示されており、この薬びんはゴム栓12からなる閉鎖体を有し、ゴム栓12はアルミニウムキャップ14によってびんの口部に保持され、このキャップ14のプラスチックフリップ頂部分は、針16で刺し通すために取り除かれて栓を露出させている。」(第3頁右下欄第14行~第20行)
上記の記載から引用文献3には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「針16で刺し通すことができるゴム栓12」
(4)引用文献4の記載
引用文献4には、以下の事項が記載されている。
「【0012】本発明に係わる注射剤用止栓の一形態を図1を参照して具体的に説明する。図1において、止栓1は容器本体2と一体に融着または接着されている。前記止栓1は、薬液通出用針が通入される2層の熱可塑性エラストマー層3、4と前記熱可塑性エラストマー層3、4の間に形成された内部空間5とを有する薬液通出用針の刺入部を備えている。このような構成の止栓1において、図2に示すように薬液通出用針6は前記熱可塑性エラストマー層3、内部空間5および熱可塑性エラストマー層4に通入することにより刺入される。このような構造にすることによって、前記針6の抜き取りの際、前記針6の先端に残留した薬液7は前記内部空間5の下方に位置する前記熱可塑性エラストマー層4で止め、また前記熱可塑性エラストマー層4から滲み出た薬液は前記内部空間5の上方に位置する前記熱可塑性エラストマー層3によって完全に遮断されるという著しい効果が奏される。」
上記の記載から引用文献4には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「刺入部を備える止栓1」
(5)引用文献5の記載
引用文献5には、以下の事項が記載されている。
「【0054】
図2は、前記ボトル14を詳細に示すものである。
同図に示すように、該ボトル14は、首部41と、胴部42とからなり、該首部41には、図示しない蓋部と螺合するように螺子山43が設けられている。胴部42の外側面の一部は陥没し、該ボトル14の半径方向に沿って内方に突出する縦長の凸部44が、底部45より所定高さ位置から所定長さ設けられている。
該凸部44が前記攪拌用突出部に相当する。なお、前記凸部44を前記底部45から所定高さだけ高い位置に設けているのは、前記濁度を測定する際に、該凸部44によって、光の進行を妨げないようにして、正確な濁度の測定を行うためである。
さらに、該ボトル14は、該ボトル14の容積を表示する目盛り46を設けている。」
「【0079】
該ボトル14が回転すると、該ボトル14内に設けた凸部44が前記ボトル14内の溶液を効果的に攪拌する。」
【図2】
[図:0001394382000004.jpg]
ここで、図2には、凸部44が、実質的に平坦な頂面部と、実質的に平坦な底面部を有していることが記載されていると認められる。
そうしてみると、引用文献5には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「ボトル14が回転するとボトル14内の溶液を効果的に攪拌する凸部44において、凸部44は、実質的に平坦な頂面部と、実質的に平坦な底面部を有していること」
(6)引用文献6の記載
引用文献6には、以下の事項が記載されている。
「それ故、この考案に係る容器にあっては、容器本体が適宜に回転手段によって回転したときに、この回転に伴って内部に突設された突起体も回転するわけであるから、この突起体の回転によって容器本体内の液体が攪拌されるため、容器本体の回転に対する液体の即応性が良好となり、効率的な回転攪拌を行なうことができる。」(明細書第3頁第10行~第16行)
「第1図と第2図は、この考案の第1実施例に係る容器を示しており、該容器本体1は、上端部に開口2を有し、かつ、有底状の断面略凹状に形成されており、該容器本体1の内周面には、該容器本体1内に収容された液体3を攪拌する突起体5が形成されている。
突起体5は、容器本体1の内周方向に沿って90度毎に4本突設されており、各突起体5の下端は容器本体1の内底部4まで延び、かつ、その上端は、容器本体1の上端部より若干下がった位置まで延設されている。」(明細書第3頁第20行~第4頁10行)
【図1】
[図:0001394382000005.jpg]
【図2】
[図:0001394382000006.jpg]
ここで、図1、2には、突起体5に実質的に平坦な頂部面を設けること、また、突起体5の下端から上端へ延びる実質的に平坦な内部混合面を有することが記載されていると認められる。
そうしてみると、引用文献6には、以下の技術的事項が記載されていると認められる。
「容器本体が回転したときに液体を攪拌する突起体において、突起体5に実質的に平坦な頂部面を設けるとともに、突起体5の下端から上端へ延びる実質的に平坦な内部混合面を設けること。」
第5 対比
本願発明と引用発明を対比する。引用発明の「反応容器2」、「シール材」、「検体」、「試薬」、「凸部22」は、それぞれ本願発明の「容器」、「閉鎖体」、「第1の物質」、「第2の物質」、「混合要素」に相当する。また、引用発明の「撹拌流」と本願発明の「渦」は、「流」である点で、さらに、引用発明の「混合を促進する」と本願発明の「混合を達成する」は、「混合する」限りで一致する。さらに、引用発明の凸部の「頂部」、「底部」と、本願発明の混合要素の「頂部面」、「底部面」とは、「頂部」、「底部」である限りで一致する。
そうしてみると、本件発明と引用発明との一致点及び相違点は次のとおりである。
【一致点】
「開いた上端部、第2の端部、および前記開いた上端部と前記第2の端部の間に延び、容器内部を画定する側壁を有する容器であり、容器縦軸を定める容器と、
前記容器の前記開いた上端部を密封することが可能な閉鎖体と、
混合要素であって、前記容器が前記容器縦軸を軸に回転したときに流を発生させ、前記流が、前記容器内部に提供された第1の物質と前記容器内部に提供された第2の物質の混合をする、前記容器上部の前記開いた上端の近くで前記容器の側壁に成形され前記容器に突き出た混合要素と
を備え、
前記混合要素の縦軸は前記容器の縦軸に沿ってまたは平行に延伸し、
前記混合要素は、底部から頂部まで延びる第1の外部混合面、底部から頂部まで延びる第2の外部混合面を含み、
前記混合要素は前記容器内で前記第1の物質と前記第2の物質とを混合するために前記流を発生させるのを助けるように設計され、
前記第1の外部混合面および前記第2の外部混合面は先端に向かう方向で、もう一方に対して前記容器の中心に向かって角度がつけられる、
容器アセンブリ。」
【相違点1】
閉鎖体に関して、本願発明は「刺し貫くことが可能」であるのに対し、引用発明はそのような特定がなされていない点。
【相違点2】
容器が容器縦軸を軸に回転したときに発生する流が、本願発明では「渦」であるのに対し、引用発明では「撹拌流」であり、その結果として、容器内部に提供された第1の物質と容器内部に提供された第2の物質の混合が、本願発明では「達成」されるのに対し、引用発明では「促進」される点。
【相違点3】
混合要素に関して、本願発明は、容器の側壁に「直接」成形されているのに対し、引用発明では「容器の側壁に形成され」ているが「直接」との特定がない点。
【相違点4】
混合要素に関して、本願発明は「実質的に平坦な頂部面と、実質的に平坦な底部面」と、「前記底部面から前記頂部面へ延びる実質的に平坦な内部混合面」及び「前記実質的に平坦な内部混合面は前記第1の外部混合面と前記第2の外部混合面との間を延伸する」構成を有するのに対し、引用発明はそのような構成が明記されていない点。
また、本願発明は、「前記底部面から前記頂部面まで延びる第1の外部混合面であって、前記内部混合面に対して第1の角度を形成する第1の外部混合面と、前記底部面から前記頂部面まで延びる第2の外部混合面であって、前記内部混合面に対し第2の角度を形成する第2の外部混合面」を有するのに対し、引用発明では、「底部から頂部まで延びる第1の外部混合面、底部から頂部まで延びる第2の外部混合面」であって、「前記第1の外部混合面および前記第2の外部混合面は先端に向かう方向で、もう一方に対して前記容器の中心に向かって角度がつけられる」ものであり、本願発明が、第1及び第2の外部混合面が、底面部と頂面部、また、内部混合面との関係で特定されているのに対し、引用発明では、そのような関係において構成が特定されていない点。
第6 判断
以下、相違点について検討する。
1 相違点1について
上記第4、1(2)~(4)で示されるように、容器に液体を流入、流出させるために閉鎖体を刺し貫くことができるようにすることは周知技術である。そして、引用発明の反応容器も検体や試薬を収納するものであり、針を用いて流体を流入、流出させることは通常のことであるから、引用発明のシール材を刺し貫くことができるようにすることは、単なる周知技術の付加にすぎず、当業者であれば容易に想到し得たことである。
2 相違点2について
引用発明の凸部は、撹拌流を生じさせ、混合を「促進」するものであり、撹拌を行った場合に渦が発生することは技術常識である。そして、混合が促進されるとその結果、混合が達成できることは明らかである。
したがって、相違点2は実質的な相違点ではない。
3 相違点3について
引用発明の凸部が反応容器に「直接」形成されることは明記されていない。しかし、反応容器を形成するために、その構成要素を一体で形成するか別体で形成するかは、通常に知られた形成方法の中から適宜選択し得る程度のものであり、設計的事項にすぎない。また、凸部を反応容器に直接形成することに格別の技術的困難性を伴うものではない。そうしてみると、引用発明の凸部を反応容器に直接形成することは、単なる設計的事項にすぎない。また、その効果も格別なものがあるとは認められない。
4 相違点4について
上記第4、1(5)で、引用文献5に、凸部44の形状を、実質的に平坦な頂面部と、実質的に平坦な底面部とすること、上記第4、1(6)で、引用文献6に、突起体5に実質的に平坦な頂部面を設けることが記載されていることを示したように、撹拌のための凸部の形状として、実質的に平坦な頂面部と、実質的に平坦な底面部を有する形状は、周知である。
また、上記第4、1(6)で、引用文献6に、容器本体が回転したときに液体を攪拌する突起体において、突起体5の下端から上端へ延びる実質的に平坦な内部混合面を設けることが記載されているように、撹拌のための凸部において、凸部の下端から上端に延びる実質的に平坦な内部混合面を設けることは、普通に行われているものである。
そうしてみると、引用発明の凸部22の形状として、実質的に平坦な頂面部と、実質的に平坦な底面部を有する形状とすること、凸部の下端から上端へ延びる実質的に平坦な内部混合面を設けることは、単に、周知技術及び普通に採用される形状を参照して、当業者が設計上適宜なし得たことである。また、引用発明の凸部を実質的に平坦な内部混合面を有するものとした場合に、実質的に平坦な内部混合面は第1の外部混合面と第2の外部混合面との間を延伸する構成となることは明らかである。
また、引用発明に上記のような構成を採用した場合、引用発明の「凸部22」は、底部面から前記頂部面まで延びる第1の外部混合面であって、前記内部混合面に対して第1の角度を形成する第1の外部混合面と、前記底部面から前記頂部面まで延びる第2の外部混合面であって、前記内部混合面に対し第2の角度を形成する第2の外部混合面を有する構成となることは明らかである。
したがって、引用発明において相違点4に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
また、凸部の形状を相違点4に係る構成とすることにより奏される効果は、引用発明及び周知技術から当業者が想到し得る範囲のものであって格別なものでない。
5 本願発明の奏する効果について
上記相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術から予想される範囲のものにすぎず、格別顕著なものでない。
6 請求人の主張について
請求人は、令和4年4月4日提出の意見書において、「引用文献1を参照すると、図3等に記載のように、第1の外部混合面と第2の外部混合面がそのまま端部で結合し、内側混合面を有する構造ではありません。一方、本願明細書図18に見られるように、本願発明は第1の外部混合面と第2の外部混合面との間に内側混合面を有し、台形状の断面を有します。このように、引用文献1に記載の発明と本願発明とでは混合要素の形状が異なるから、混合要素による混合効果も相違します。」と主張している。
しかし、引用発明に内側混合面を設けることは、上記4及び5で示したように、当業者であれば容易に想到し得たものであり、その効果も当業者が予想し得た程度のものであって格別なものとはいえない。よって、請求人の主張は採用できない。
また、請求人は、「これらに加え、引用文献1を参照すると、引用文献1の混合要素は反応容器の下部に設けられています(図2等参照)。一方、本願発明は、混合要素が容器上部の開いた上端の近くで容器の側壁に直接成形され容器に突き出た構造であり、混合要素を下部に設けた引用文献1とは、試料を収集したのちにすぐに添加剤を添加し、混合する際において、同様の効果をもたらすものではありません。」と主張している。
しかし、引用発明は、図2の実施例ではなく図6の実施例に基づいて認定したものである。そして、図6には、凸部22(混合要素)が開いた上端の近くで容器の側壁に成形されることが記載されている。よって、請求人の主張は採用できない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶するべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-005166