審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2023-013907

薬剤容器識別するための識別キット及び薬剤用包装ユニット

審判番号
2023-013907
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-560325外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年08月18日
審決日
2024年09月03日
公報発行日
2025年02月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-Z (A61J) / P18 .121-Z (A61J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-560325「薬剤容器識別するための識別キット及び薬剤用包装ユニット」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年10月 8日国際公開、WO2020/200706、令和 4年 5月23日国内公表、特表2022-526193〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2020年(令和 2年) 3月13日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2019年 3月29日 (DE)ドイツ連邦共和国)を国際出願日とする出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。 令和 4年 9月28日付け:拒絶理由通知 令和 4年12月27日提出:意見書及び手続補正書 令和 5年 4月13日付け:拒絶査定 令和 5年 8月18日提出:審判請求書及び手続補正書 第2 令和 5年 8月18日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和 5年 8月18日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1の記載を、次のとおり補正することを含むものである(下線部は、補正箇所である。)。 「【請求項1】 外周部を有する容器本体と、取り外し可能な容器クロージャとを備える薬剤用容器を識 別するための識別キットであって、 前記識別キットは、少なくとも、 三次元成形品として形成された容器アタッチメントと、 識別すべき薬剤用容器の外周面に貼り付けるラベルと、 薬剤用容器及び/又はその内容物を電子的に識別するためのRFIDトランスポンダと を備え、 前記容器アタッチメントは、前記容器に所定の相対位置において取り付け可能及び/又は位置決め可能であり、付加的にラベル付け可能な及び/又は電子的に識別可能な周壁及び/又は外周面となる外側の周面を備え、 前記ラベル及び/又は前記RFIDトランスポンダは、前記容器本体の外周に沿って形成された周面及び前記容器アタッチメントの周面の両方を、少なくとも部分的に覆うように貼り付ける及び/又はカバーするように、及び/又は前記薬剤用容器に前記容器アタッチメントを取付けるように、設計され、 前記容器アタッチメントの周壁及び/又は周面は、前記容器及び/又は容器本体の対称軸の周りに形成され、前記容器本体の直径、周囲、及び/又は壁面形状と同一の直径、周囲、及び/又は壁面形状を有し、前記容器アタッチメントの周壁及び/又は周面と前記容器本体の周面は、互いに面一又は少なくとも整列して延在する、 識別キット。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、令和 4年12月27日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 外周部を有する容器本体と、取り外し可能な容器クロージャとを備える薬剤用容器を識 別するための識別キットであって、 前記識別キットは、少なくとも、 三次元成形品として形成された容器アタッチメントと、 識別すべき薬剤用容器の外周面に貼り付けるラベルと、 薬剤用容器及び/又はその内容物を電子的に識別するためのRFIDトランスポンダと を備え、 前記容器アタッチメントは、前記容器に所定の相対位置において取り付け可能及び/又は位置決め可能であり、付加的にラベル付け可能な及び/又は電子的に識別可能な外壁及び/又は外周面となる外側の周面を有する周壁を備え、前記容器アタッチメントの、半径、外周、及び/又は壁面形状は、識別すべき容器の周面の半径、外周及び/又は壁面形状と一致して選択され、 前記ラベル及び/又は前記RFIDトランスポンダは、前記容器本体の外周に沿って形成された周面及び前記容器アタッチメントの周面の両方を、少なくとも部分的に覆うように貼り付ける及び/又はカバーするように、及び/又は前記薬剤用容器に前記容器アタッチメントを取付けるように、設計されている、 識別キット。」 2 補正の適否 本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「容器アタッチメント」の「周壁」及び/又は「周面」について、「前記容器及び/又は容器本体の対称軸の周りに形成され」るとの限定を付加するものを含み、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項及び引用発明 (2-1)引用文献の記載事項 ア 原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、米国特許出願公開第2015/0090625号明細書には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線及び和訳は当審で付与したものである。)。 (ア)「[0001] The present invention relates to a closure element for a receptacle holding a pharmaceutical content.」 (当審訳) [0001] 本発明は、医薬内容物を収容する容器用の閉鎖要素に関する。 (イ)「[0068] FIG. 7A shows a cross-section through a receptacle filled with a pharmaceutical liquid. In the upper region, this receptacle 40 has an opening 41 through which the liquid can be filled in and taken out. In the illustrated Figure, the opening 41 is closed with a seal 42. [0069] For the purpose of sealing the receptacle 40, a closure capsule 10 is put over the opening 41 first. As a next step, a label 30 is wrapped around the bottleneck 43 and affixed thereto such that it is connected to the capsule 10 in a first area 39 and connected to the bottleneck 43 in a second subarea 38. In this way, the closure capsule 10 is firmly connected to the receptacle 40 by means of the label 30 and cannot be detached without destroying the label 30. [0070] FIG. 7B shows an alternative arrangement of a closure element on a receptacle 40. Here, a closure capsule 10 is put over the opening 41 in such a manner that the capsule 10 covers the opening as well as the entire bottleneck 43. The lateral area 13 of the closure capsule 10 extends downward to the bottle body 44 of the receptacle 40. Subsequently, the label 30 is attached to the lower area 44 of the receptacle 40 such that the capsule 10 is fixed. In doing so, a cavity is produced in the upper area between the bottleneck 43 and the capsule 10.」 (当審訳) [0068] 図7Aは、医薬液体が充填された容器を通る断面を示す。上部領域において、この容器40は、液体を充填したり取り出したりすることができる開口部41を有する。図示の図では、開口部41はシール42で閉じられている。 [0069] 容器40を密封するために、まず、閉鎖カプセル10を開口部41に被せる。次の段階として、ラベル30がボトルネック43に巻き付けられ、第一の領域39でカプセル10に接続され、第二のサブ領域38でボトルネック43に接続されるように貼り付けられる。このようにして、閉鎖カプセル10はラベル30によって容器40にしっかりと接続され、ラベル30を破壊することなく取り外すことはできない。 [0070] 図7Bは、容器40上の閉鎖要素の代替配置を示す。ここでは、閉鎖カプセル10が開口部41を覆うように被せられ、カプセル10は開口部だけでなくボトルネック43全体を覆う。閉鎖カプセル10の側方領域13は、容器40のボトル本体44まで下方に延びている。その後、ラベル30は容器40の下部領域44に貼り付けられ、カプセル10が固定される。その際、ボトルネック43とカプセル10との間の上部領域に空洞が生じる。 (ウ)「[0092] As the capsule 10 and the label 30 are irreversibly destroyed during the opening procedure in all embodiments, it is not possible to use these parts once again to reclose the receptacle. A closure element which has been destroyed in this way can be readily identified by a user, so that a fraudulent reuse is prevented.」 (当審訳) [0092] すべての実施形態において、カプセル10とラベル30は開封手順の間に不可逆的に破壊されるので、容器を再閉鎖するためにこれらの部品を再び使用することは不可能である。このように破壊された閉鎖要素は、使用者が容易に識別できるため、不正な再使用が防止される。 (エ)「[0101] FIG. 18A to FIG. 18D show two further developments in which an identification feature is provided for the electronic encryption of an ID code, safety code or any other code which is suitable for individualizing a respective receptacle. According to FIG. 18A, a receptacle 40 has a closure element fastened thereto, which is further provided with an RFID chip 1 in addition to the closure capsule 10 (see FIG. 19A, 15B or 16B) and the label 30 (see FIG. 15D or 16D). An antenna 2 for reading out the RFID chip 1 is also provided; said antenna may extend around the RFID chip e.g. in the manner of a ring or spiral or anyway in the form of a plurality of loops or turns. It is preferred that the RFID chip is a passive RFID chip which is suitable for storing an electronically encrypted ID code (basically, any other chip which cannot be read out via RFID could also be used). The readout process is then performed from outside with the aid of a reading device and an excitation of the chip via the antenna 2. To this end, any suitable technology such as RFID (Radio Frequency Identification) can be used, for instance NFC (Near Field Communication), or alternatively Bluetooth. RFID for reading out the chip is particularly suitable for the readout over short distances of only few centimeters. An individual, consecutive number or other marking assigned to the specific closure element or receptacle and its pharmaceutical content can be stored in the chip. The RFID chip can be read out in particular by a smartphone or optionally an iPhone, permitting the access to an electronic database in the internet or at any other place, in order to verify?on the part of the original manufacturer?the authenticity of the pharmaceutical product, of its receptacle or in particular of the closure element which is described here, for instance. The access authorization of the user or operator can also be checked by reading out the RFID code. Alternatively or in addition, a further identification feature (such as a visual ID code; more on this later) offers the possibility to check the access authorization of the user or operator already prior to reading out the RFID code. To this end, further elements (in particular visual ID codes) may be provided in or on the closure element to authorize the process of matching the data with an external database. This implies that such further markings, in addition to the RFID chip, are arranged in such a position that they can be read out and scanned, creating even further enhanced safety during tracking the merchandize traffic of the marked receptacles.」 (当審訳) [0101] 図18A~図18Dは、IDコード、安全コード、またはそれぞれの容器を個別化するのに適した他のコードの電子的暗号化のための識別機能が提供される、2つのさらなる発展を示している。図18Aによれば、容器40は、閉鎖カプセル10(図19A、図15Bまたは図16B参照)およびラベル30(図15Dまたは図16D参照)に加えて、RFIDチップ1を備える閉鎖要素を備えている。RFIDチップ1を読み出すためのアンテナ2も設けられており、当該アンテナは、RFIDチップの周囲に、例えば、リング状もしくは渦巻き状に、またはいずれにせよ複数のループもしくはターンの形態で延びていてもよい。RFIDチップは、電子的に暗号化されたIDコードを格納するのに適したパッシブRFIDチップであることが好ましい(基本的には、RFIDを介して読み出すことができない他のチップも使用可能である)。読み出しプロセスは、読み取り装置とアンテナ2を介したチップの励起を利用して外部から実行される。この目的のために、RFID(Radio Frequency Identification)、例えばNFC(Near Field Communication)、あるいはBluetoothなどの適切な技術を使用することができる。チップを読み取るためのRFIDは、わずか数センチメートルの短い距離での読み取りに特に適している。特定の閉鎖要素又は容器及びその医薬品内容物に割り当てられた個体、連続番号又は他のマーキングは、チップに保存することができる。RFIDチップは、特にスマートフォンや任意にiPhoneで読み取ることができ、インターネットやその他の場所にある電子データベースにアクセスすることで、その容器、特にここに記載されている閉鎖要素の医薬品の真正性を製造元側で確認することができる。また、RFIDコードを読み取ることによって、使用者または操作者のアクセス許可を確認することもできる。別法として、またはそれに加えて、さらなる識別機能(視覚的IDコードなど、これについては後述する)は、RFIDコードを読み取る前に、すでに使用者または操作者のアクセス許可をチェックする可能性を提供する。この目的のために、データを外部データベースと照合するプロセスを許可するために、閉鎖要素内または閉鎖要素上にさらなる要素(特に視覚的IDコード)を設けることができる。これは、RFIDチップに加えて、そのような更なるマーキングが、読み出され、スキャンされることができるような位置に配置されることを意味し、マーキングされた容器の商品トラフィックを追跡する間、更に強化された安全性を生み出す。 (オ)「[0112] The closure element may be provided or shaped for a receptacle which tapers toward the upper end, for instance, and is configured as in FIGS. 7A, 8A to 8C or 10. In particular, the receptacle may comprise an opening area or head area or bottleneck 43 which has a smaller radius and perimeter than another (preferably lower) part of the receptacle, for instance a belly of the bottle (such as the bottle body 44) which is wide enough for circumferentially surrounding the actual content of the receptacle (usually a liquid). The head area (or opening area or bottleneck 43) of the receptacle, however, may have an outer circumference which is smaller than the outer circumference (and preferably also smaller than the inner circumference) of the circumferential outer wall of the belly of the receptacle. The diameter and/or circumference (in particular the inner circumference) of the closure capsule described in the present application may be dimensioned so as to be conformed to the diameter and/or circumference (in particular the outer circumference) of the receptacle. The closure element can then be attached to the head area of the receptacle without the need that the belly of the receptacle has to be covered or overlapped by the closure element; the belly of the receptacle is exposed after having attached the closure element.」 (当審訳) [0112] 閉鎖要素は、例えば、上端に向かって先細りになる容器のために設けられるか、または形づけられてもよく、図7A、図8A~図8Cまたは図10のように構成される。特に、容器は、容器の別の(好ましくは下側の)部分、例えば、容器の実際の内容物(通常は液体)を周方向に取り囲むのに十分な幅を有するボトルの腹部(ボトル本体44など)よりも小さな半径および周囲を有する開口領域またはヘッド領域またはボトルネック43を含んでよい。しかしながら、容器のヘッド領域(または開口領域またはボトルネック43)は、容器の腹部の周方向外壁の外周よりも小さい(好ましくは内周よりも小さい)外周を有していてもよい。本出願に記載の閉鎖カプセルの直径および/または円周(特に内周)は、容器の直径および/または円周(特に外周)に一致するように寸法決めされてよい。その結果、容器の腹部が閉鎖要素に覆われたり重なったりする必要なしに、閉鎖要素を容器の頭部領域に取り付けることができる;容器の腹部は、閉鎖要素を取り付けた後に露出する。 (カ)図7B 「 [図:0001418794000001.jpg] 」 (キ)図18A 「 [図:0001418794000002.jpg] 」 イ 上記アの記載及び図示内容から、引用文献には次の事項が記載されている。 (ア)段落[0101]及び図18Aに記載される「閉鎖カプセル10」は、段落[0070]の記載を踏まえれば、容器40に固定されるものであり、側方領域13を備えるものである。 また、図7Bから、側方領域13は、容器40の軸Zの周りに形成されることが看て取れることから、段落[0101]及び図18Aに記載される「閉鎖カプセル10」が備える側方領域13は、容器40の軸の周りに形成されている。 (イ)図18Aから、「ラベル30」は、容器40の外周に沿って形成された周面及び閉鎖カプセル10の周面の両方を、部分的に覆うように貼り付けられることが看て取れる。 (2-2)引用発明 上記(2-1)アの記載及び同イの事項を総合すると、引用文献には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「医薬内容物を収容する容器用の閉鎖要素であって、 閉鎖カプセル10と、 ラベル30と、 RFIDチップ1及びアンテナ2と を備え、 閉鎖カプセル10は、容器40に固定されるものであり、側方領域13を備え、 ラベル30は、容器40の外周に沿って形成された周面及び閉鎖カプセル10の周面の両方を、部分的に覆うように貼り付けられ、 閉鎖カプセル10の側方領域13は、容器40の軸の周りに形成されている、 閉鎖要素。」 (3)対比・判断 (3-1)対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「医薬内容物を収容する容器」は、引用文献の段落[0068]~[0070]の記載を参酌すれば、ボトル本体44と、シール42とを備えるものであり、ボトル本体44が外周部を有することは明らかであり、また、シール42が取り外し可能であることは技術常識であるので、本件補正発明の「外周部を有する容器本体と、取り外し可能な容器クロージャとを備える薬剤用容器」に相当する。 イ 引用発明の「医薬内容物を収容する容器用の閉鎖要素」は、引用文献の段落[0092]の「カプセル10とラベル30は開封手順の間に不可逆的に破壊されるので、・・・このように破壊された閉鎖要素は、使用者が容易に識別できる」との記載、及び段落[0101]の「RFIDチップは、・・・読み取ることができ、・・・その容器、特にここに記載されている閉鎖要素の医薬品の真正性を製造元側で確認することができる」との記載、並びに上記(1)の事項を踏まえれば、本件補正発明の「外周部を有する容器本体と、取り外し可能な容器クロージャとを備える薬剤用容器を識別するための識別キット」に相当する。 ウ 引用発明の「閉鎖カプセル10」は、図18Aの図示内容からみて、容器40の上から被せて固定するものであるので、三次元成形品として形成されることが明らかであり、本件補正発明の「三次元成形品として形成された容器アタッチメント」に相当する。 また、引用発明の「閉鎖カプセル10」が、「容器40に固定されるものであ」ることは、本件補正発明の「容器アタッチメント」が、「前記容器に所定の相対位置において取り付け可能及び/又は位置決め可能であ」ることに相当する。 さらに、引用発明の「閉鎖カプセル10」が備える「側方領域」は、上記(2-1)のイ(イ)の事項を踏まえれば、ラベル30が貼り付け可能な外周面であるといえるので、引用発明の「閉鎖カプセル10」が「側方領域13を備え」ることは、本件補正発明の「容器アタッチメント」が、「付加的にラベル付け可能な及び/又は前記電子的に識別可能な周壁及び/又は外周面となる外側の周面を備え」ることに相当する。 エ 引用発明の「容器40の外周に沿って形成された周面及び閉鎖カプセル10の周面の両方を、部分的に覆うように貼り付けられ」る「ラベル30」は、該「容器40」が識別すべき容器であることは明らかであるので、本件補正発明の「識別すべき薬剤用容器の外周面に貼り付けるラベル」に相当し、「前記ラベル及び/又は前記RFIDトランスポンダは、前記容器本体の外周に沿って形成された周面及び前記容器アタッチメントの周面の両方を、少なくとも部分的に覆うように貼り付ける及び/又はカバーするように、及び/又は前記薬剤用容器に前記容器アタッチメントを取付けるように、設計され」る「ラベル」に相当する。 オ 引用発明の「RFIDチップ1及びアンテナ2」は、引用文献の段落[0101]の「RFIDチップは、・・・読み取ることができ、・・・電子データベースにアクセスすることで、その容器、特にここに記載されている閉鎖要素の医薬品の真正性を製造元側で確認することができる」との記載を踏まえれば、本件補正発明の「薬剤用容器及び/又はその内容物を電子的に識別するためのRFIDトランスポンダ」に相当する。 カ 引用発明の「閉鎖カプセル10の側方領域13」は、上記ウを踏まえれば、本件補正発明の「容器アタッチメントの周壁及び/又は周面」に相当し、引用発明の「容器40の軸の周りに形成されている」ことは、本件補正発明の「容器及び/又は容器本体の対称軸の周りに形成され」ることに相当する。 したがって、本件補正発明と引用発明とは、 「外周部を有する容器本体と、取り外し可能な容器クロージャとを備える薬剤用容器を識別するための識別キットであって、 前記識別キットは、少なくとも、 三次元成形品として形成された容器アタッチメントと、 識別すべき薬剤用容器の外周面に貼り付けるラベルと、 薬剤用容器及び/又はその内容物を電子的に識別するためのRFIDトランスポンダと を備え、 前記容器アタッチメントは、前記容器に所定の相対位置において取り付け可能及び/又は位置決め可能であり、付加的にラベル付け可能な及び/又は電子的に識別可能な周壁及び/又は外周面となる外側の周面を備え、 前記ラベル及び/又は前記RFIDトランスポンダは、前記容器本体の外周に沿って形成された周面及び前記容器アタッチメントの周面の両方を、少なくとも部分的に覆うように貼り付ける及び/又はカバーするように、及び/又は前記薬剤用容器に前記容器アタッチメントを取付けるように、設計され、 前記容器アタッチメントの周壁及び/又は周面は、前記容器及び/又は容器本体の対称軸の周りに形成される、 識別キット。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点> 本件補正発明は、容器アタッチメントの周壁及び/又は周面は、「前記容器本体の直径、周囲、及び/又は壁面形状と同一の直径、周囲、及び/又は壁面形状を有し、前記容器アタッチメントの周壁及び/又は周面と前記容器本体の周面は、互いに面一又は少なくとも整列して延在する」のに対し、引用発明は、閉鎖カプセル10の側方領域13が、そのように特定されていない点。 (3-2)判断 ア 上記相違点について検討する。 引用文献の段落[0112]には、「閉鎖カプセルの直径および/または円周(特に内周)は、容器の直径および/または円周(特に外周)に一致するように寸法決めされてよい。その後、容器の腹部が閉鎖要素に覆われたり重なったりする必要なしに、閉鎖要素を容器の頭部領域に取り付けることができる」ことが記載されており、当該記載を踏まえれば、引用発明における「閉鎖カプセルの側方領域13」は、その直径および/または円周が、容器40の直径および/または円周に一致する構成、すなわち同一の直径、周囲、及び/又は壁面形状を有するものとすることが記載されており、その場合、閉鎖カプセル10の側方領域13と容器40の周面は、互いに面一又は少なくとも整列して延在する構成となることは明らかである。 してみれば、上記相違点は実質的な相違点ではなく、本件補正発明は引用発明である。 イ 仮に上記相違点が実質的な相違点であるとしても、引用文献の段落[0112]の上記記載に鑑みれば、引用発明において、「閉鎖カプセルの側方領域13」の直径および/または円周が、容器40の直径および/または円周に一致する構成とすることは、当業者が適宜なし得る程度の事項にすぎない。 また、本件補正発明の効果についても、引用発明及び引用文献の記載事項から当業者が予測し得る程度のものである。 したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 3 本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定する要件に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和 5年 8月18日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の各請求項に係る発明は、令和 4年12月27日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~16に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の[理由]1(2)に記載されたとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、概略、次の理由を含むものである。 理由2.本願発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 理由3.本願発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献:米国特許出願公開第2015/0090625号明細書 3 当審の判断 (1)引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。 (2)対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「容器アタッチメント」の「周壁」及び/又は「周面」について、「前記容器及び/又は容器本体の対称軸の周りに形成され」るとの限定事項を実質的に削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)に記載したとおり、引用発明であり、また、引用発明及び引用文献の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明であり、また、引用発明及び引用文献の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また、本願発明は、引用発明及び引用文献の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2023-013907

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ根拠条文の審決8,304件(特許法29条1項3号、特許法29条2項)
  • 2023-017048拒絶査定不服審判 / 2024-12-24 / 請求不成立薬剤調合システムの入力装置のための空気力学的に流線形化されたエンクロージャ
    共通の条文: 特許法29条1項3号、特許法29条2項
  • 2018-010669拒絶査定不服審判 / 2020-03-24 / 請求不成立医薬品容器用の上蓋
    共通の条文: 特許法29条1項3号、特許法29条2項
  • 2024-017241拒絶査定不服審判 / 2026-07-08 / 請求不成立ろ過方法およびろ過装置
    共通の条文: 特許法29条1項3号、特許法29条2項
  • 2025-000898拒絶査定不服審判 / 2026-06-26 / 請求不成立金属カーバイドおよび炭化水素の製造方法、ならびに炭素含有部材
    共通の条文: 特許法29条1項3号、特許法29条2項
  • 2025-000154拒絶査定不服審判 / 2026-06-17 / 請求不成立吸収材供給装置
    共通の条文: 特許法29条1項3号、特許法29条2項
同じ論点・分野の審決(審決分類)257件(113・A61J、121・A61J)
  • 2024-015088拒絶査定不服審判 / 2026-03-31 / 原査定取消(特許/登録すべき)固形剤小分け装置及び固形剤販売方法
    共通の審決分類: 113・A61J、121・A61J
  • 2024-002375拒絶査定不服審判 / 2025-12-09 / 原査定取消(特許/登録すべき)神経毒プレフィルドバイアル
    共通の審決分類: 113・A61J、121・A61J
  • 2024-001167拒絶査定不服審判 / 2025-05-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)薬品払出装置、調整方法
    共通の審決分類: 113・A61J、121・A61J
  • 2024-002195拒絶査定不服審判 / 2025-04-30 / 原査定取消(特許/登録すべき)画像処理装置、プログラム
    共通の審決分類: 113・A61J、121・A61J
  • 2023-014119拒絶査定不服審判 / 2025-04-22 / 原査定取消(特許/登録すべき)取り揃え支援システム、取り揃え支援方法、取り揃え支援プログラム、照合支援システム…
    共通の審決分類: 113・A61J、121・A61J

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存