特許拒絶査定不服審判
2022-003538
マッサージ機
- 審判番号
- 2022-003538
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-231164外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年03月08日
- 審決日
- 2023年09月21日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ファミリーイナダ株式会社
- 分類
- P18 .113-WZ (A61H) / P18 .121-WZ (A61H) / P18 .537-WZ (A61H)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2017-231164「マッサージ機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月22日出願公開、特開2018-183561〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成29年11月30日(優先権主張 平成29年4月27日)の出願であって、その後の手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和 3年 6月16日付け:拒絶理由通知
令和 3年 7月19日提出:意見書、手続補正書
令和 3年12月 6日付け:拒絶査定
令和 4年 3月 8日提出:審判請求書、手続補正書
令和 4年10月27日付け:拒絶理由通知(当審)
令和 4年12月15日提出:意見書、手続補正書
第2 本願発明
本願の請求項1ないし12に係る発明は、令和 4年12月15日提出の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「1種以上の感覚情報を提供する感覚情報提供手段と、
揉み玉、エアセル及び押し棒からなる群から選択される1種以上の施療子を有するマッサージユニットと、
前記施療子の動作速度、動作距離、動作時間間隔及び/又は動作位置を含むマッサージ内容を示すマッサージユニット制御信号を前記マッサージユニットに出力する制御部と、
複数のバーチャルリアリティコースを記憶するための記憶部とを備えるマッサージ機であって、
前記感覚情報は、視覚情報としての映像であり、
前記複数のバーチャルリアリティコースは、
次々と連続的に提供される前記感覚情報中の一区切りとなる場面の各内容の提供開始のタイミングと、場面の各内容に結びつけられた前記マッサージ内容の提供開始のタイミングと、が一致するようにそれぞれのコースごとに予め対応付けて設計されており、
前記映像と前記マッサージ内容は、目的に応じてバーチャルリアリティコースごとにそれぞれ異なっており、
前記制御部は、選択されたバーチャルリアリティコースに基づいて、前記マッサージ内容を示すマッサージユニット制御信号を前記マッサージユニットに出力し、
前記映像の場面の各内容に結びつけられたマッサージ内容を実行することを特徴とするマッサージ機。」
第3 当審において通知した拒絶の理由の概要
当審において令和 4年10月27日付けで通知した拒絶理由は以下の理由を含むものである。
理由3.この出願の請求項1に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.特開平6-231573号公報
第4 引用文献の記載、引用発明
1.引用文献1
引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は、理解の一助のために当審が付したものである。)。
(ア)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、その目的とするところはビデオソフトから再生される映像及び音声に同期させて被制御機器を制御することができるビデオ映像同期制御装置に提供するにある。」
(イ)「【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。図1は被制御機器としてマッサージ機1を用いた実施例を示しており、この実施例ではビデオソフトとして既存のフォーマットのビデオテープを使用し、ビデオテープに設けられる2チャンネル(ステレオ音声等の記録に用いる)の音声トラックの一方(実施例では右チャンネル)に、映像トラックに記録されているビデオ信号に対応する音声信号を記録し、他方(実施例では左チャンネル)にプッシュホンのダイヤル発呼に使用するDTMF信号を用いてマッサージ機1の動作を制御するための制御データと、ディスプレイ装置5へのビデオ信号及び音声信号の送出を制御するための制御データとを同期させたい映像、音声の各信号の記録位置に対応させて記録してある。」
(ウ)「【0010】つまりマッサージ機1が被制御機器である本実施例の場合では、マッサージ機1に内蔵されている揉み玉1A,1Bの位置、強さ等、リクライニング機能、振動機能の制御を行ってマッサージ機1の機能パターンの変化と、ビデオソフトから再生される映像、音声とを同期させ、マッサージ機1の動作によって得るリラックス効果や、リフレッシュ効果に加えて映像、音声によって精神的なリラックス効果や、リフレッシュ効果を得るような映像、音声、及び制御データを記録したビデオテープが使用される。」
(エ)「【0011】一方本実施例で使用するハードウェアは、ビデオテープを再生する市販の録再型或いは再生専用のVTR2と、このVTR2で再生され、左チャンネルの音声出力端子より出力されるDTMF信号を入力してこのDTMF信号から制御データを解読するデコーダ3と、上記VTR2で再生され、ビデオ信号端子より出力されるコンポジットのビデオ信号と、右チャンネルの音声出力端子より出力される音声信号と、デコーダ3からの制御データとを取り込み、制御データに基づいてマッサージ機1の制御信号を作成するとともに、ビデオ信号及び音声信号の送出をオン/オフ制御する制御装置4と、制御装置4を通じて送られくるビデオ信号及び音声信号を再生するディスプレイ装置5とから構成される。」
(オ)「【0012】ここで記録される制御データは0~9及び*,#等の記号に対応するDTMF信号を組み合わせたコードにより構成され、デコーダ3はDTMF信号の組み合わせよるコードから制御データを解読し、解読した制御データを制御装置4に与えるようになっている。ディスプレイ装置5は図2に示すように、ゴーグルの形状に形成された頭部搭載型のもので、左右両眼に対応する液晶ディスプレイ5A、5A及び音声信号を再生する音響装置5Bを備えている。」
(カ)「【0013】制御装置4はデコーダ3から出力される制御データに基づいてマッサージ機1の制御信号を作成するとともに、VTR2からの音声信号、ビデオ信号の送出をオン/オフする制御信号を作成する制御信号作成部4Aと、制御信号によりVTR2からの音声信号、ビデオ信号の送出をオン/オフするスイッチ部4Bとを備えている。」
(キ)「【0014】而して、リラックス効果やリフレッシュ効果を高めるための映像と音声と、これらシーンに合わせたマッサージ機1の機能パターンを設定する制御データとを記録したビデオテープをVTR2にて再生すると、制御装置4はデコーダ3で解読された制御データに基づいてマッサージ機1を制御する制御信号を作成してマッサージ機1を制御するとともに、使用者が装着しているディスプレイ装置5への音声信号、ビデオ信号の送出を制御する。これにより使用者はディスプレイ装置5で映し出される映像と再生される音声に加えてこれらに同期したマッサージ機1の機能パターンの変化により、相乗的にリラックス効果やリフレッシュ効果が高められることになる。」
(ク)図1
[図:0001404057000001.jpg]
2.引用発明
上記記載を総合し、本願発明の記載に倣って整理すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「映像を映し出し、音声を再生するディスプレイ装置5と、
揉み玉1A,1Bが内蔵されているマッサージ機1と、
揉み玉1A,1Bの位置、強さ等の制御を行ってマッサージ機1の機能パターンを設定する制御データに基づいて制御信号を作成してマッサージ機1を制御する制御装置4と、
リラックス効果やリフレッシュ効果を高めるための映像と音声と、これらシーンに合わせたマッサージ機1の機能パターンを設定する制御データとを記録してあるビデオテープと、
を備えるビデオ映像同期制御装置付きマッサージ装置であって、
前記ビデオテープは、マッサージ機1の機能パターンを設定する前記制御データと、ディスプレイ装置5へのビデオ信号及び音声信号の送出を制御するための制御データと、を同期させたい映像、音声の各信号の記録位置に対応させて記録してあり、
シーンに合わせたマッサージ機1の機能パターンを設定する前記制御データに基づいて、制御装置4は前記制御信号を作成してマッサージ機1を制御するとともに、使用者が装着しているディスプレイ装置5への音声信号、ビデオ信号の送出を制御することにより、使用者はディスプレイ装置5で映し出される映像と再生される音声に加えてこれらに同期したマッサージ機1の機能パターンの変化により、相乗的にリラックス効果やリフレッシュ効果が高められる、
ビデオ映像同期制御装置付きマッサージ装置。」
第5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「映像を映し出し、音声を再生する」ことは、本願発明の「1種以上の感覚情報を提供する」ことに相当し、
引用発明の「ディスプレイ装置5」は、本願発明の「感覚情報提供手段」に相当する。
引用発明の「揉み玉1A,1Bが内蔵されているマッサージ機1」は、本願発明の「揉み玉、エアセル及び押し棒からなる群から選択される1種以上の施療子を有するマッサージユニット」に相当する。
引用発明の「マッサージ機1の機能パターンを設定する制御データに基づいて」「作成」する「制御信号」は、本願発明の「マッサージ内容を示すマッサージユニット制御信号」に相当し、
引用発明の「マッサージ機1の機能パターンを設定する制御データに基づいて制御信号を作成してマッサージ機1を制御する制御装置4」は、制御装置4が制御信号をマッサージ機1に出力するから、本願発明の「マッサージ内容を示すマッサージユニット制御信号を前記マッサージユニットに出力する制御部」に相当する。
引用発明の「ビデオテープ」は、本願発明の「記憶部」に相当し、引用発明の「リラックス効果やリフレッシュ効果を高めるための映像と音声と、これらシーンに合わせたマッサージ機1の機能パターンを設定する制御データとを記録してあるビデオテープ」は、本願発明の「バーチャルリアリティコースを記憶するための記憶部」に相当する。
引用発明の「ビデオ映像同期制御装置付きマッサージ装置」は、本願発明の「マッサージ機」に相当する。
引用発明の「ディスプレイ装置5」で「映し出」される「映像」は、本願発明の「視覚情報としての映像」に相当する。
引用発明の「制御装置4は前記制御信号を作成してマッサージ機1を制御する」ことは、制御装置4が前記制御信号をマッサージ機1に出力するから、本願発明の「前記制御部」が「前記マッサージ内容を示すマッサージユニット制御信号を前記マッサージユニットに出力」することに相当する。
引用発明の「シーンに合わせたマッサージ機1の機能パターンを設定する制御データに基づいて」「制御信号を作成してマッサージ機1を制御する」ことは、映像のシーンに合わせたマッサージ機1の機能パターンの制御データに基づくマッサージを実行することであるから、本願発明の「前記映像の場面の各内容に結びつけられたマッサージ内容を実行する」ことに相当する。
そうすると、本願発明と引用発明は
「1種以上の感覚情報を提供する感覚情報提供手段と、
揉み玉、エアセル及び押し棒からなる群から選択される1種以上の施療子を有するマッサージユニットと、
マッサージ内容を示すマッサージユニット制御信号を前記マッサージユニットに出力する制御部と、
バーチャルリアリティコースを記憶するための記憶部とを備えるマッサージ機であって、
前記感覚情報は、視覚情報としての映像であり、
前記制御部は、前記マッサージ内容を示すマッサージユニット制御信号を前記マッサージユニットに出力し、
前記映像の場面の各内容に結びつけられたマッサージ内容を実行する、
マッサージ機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1>
本願発明では、マッサージ内容が、「前記施療子の動作速度、動作距離、動作時間間隔及び/又は動作位置を含む」のに対して、引用発明では、マッサージ機1の機能パターンが、揉み玉1A,1Bの位置、強さ等の制御を含む点。
<相違点2>
本願発明は、記憶部が「複数の」バーチャルリアリティコースを記憶し、「前記複数のバーチャルリアリティコースは、次々と連続的に提供される前記感覚情報中の一区切りとなる場面の各内容の提供開始のタイミングと、場面の各内容に結びつけられた前記マッサージ内容の提供開始のタイミングと、が一致するようにそれぞれのコースごとに予め対応付けて設計されており」、「前記映像と前記マッサージ内容は、目的に応じてバーチャルリアリティコースごとにそれぞれ異なっており」、「選択されたバーチャルリアリティコースに基づいて」制御するのに対して、
引用発明は、ビデオテープが、リラックス効果やリフレッシュ効果を高めるための映像と音声と、これらシーンに合わせたマッサージ機1の機能パターンを設定する制御データとを記録してあり、前記ビデオテープは、マッサージ機1の機能パターンを設定する前記制御データと、ディスプレイ装置5へのビデオ信号及び音声信号の送出を制御するための制御データと、を同期させたい映像、音声の各信号の記録位置に対応させて記録してあり、シーンに合わせたマッサージ機1の機能パターンを設定する前記制御データに基づいて、マッサージ機1を制御する制御信号を作成してマッサージ機1を制御するとともに、使用者が装着しているディスプレイ装置5への音声信号、ビデオ信号の送出を制御することにより、使用者はディスプレイ装置5で映し出される映像と再生される音声に加えてこれらに同期したマッサージ機1の機能パターンの変化により、相乗的にリラックス効果やリフレッシュ効果が高められるものである点。
第6 判断
1.相違点1について
引用発明は、揉み玉1A,1Bの位置の制御を行うものであって、マッサージ内容として施療子の動作位置を制御するものであるから、相違点1は、実質的な相違点ではない。
2.相違点2について
引用発明の制御データは、シーンに合わせたマッサージ機1の機能パターンを設定し、映し出される映像と再生される音声に同期したマッサージ機1の機能パターンの変化により相乗的にリラックス効果やリフレッシュ効果を高めるためのものであり、引用発明のビデオテープは、マッサージ機1の機能パターンを設定する制御データと、ディスプレイ装置5へのビデオ信号及び音声信号の送出を制御するための制御データと、を同期させて記録してあるものであるから、映像の一区切りとなるシーンの映し出し開始のタイミングと、当該シーンに対応したマッサージ機1の機能パターンへの切り替わりのタイミングとは、通常一致するように予め対応付けて設計されていると解される。
マッサージ機において、例えば、リラックスコース、リフレッシュコースといった機能パターンの異なる複数のコースを用意し、使用者が目的に応じたコースを選択できるようにすることは、例示するまでもない慣用技術であるところ、引用発明は、リラックス効果やリフレッシュ効果を相乗的に高めるものであるから、例えば、リラックス効果に適したいくつかの映像・音声のシーンと、それぞれのシーンに合わせたマッサージ機の機能パターンとを有するリラックスコースや、リフレッシュ効果に適したいくつかの映像・音声のシーンと、それぞれのシーンに合わせたマッサージ機の機能パターンとを有するリフレッシュコース、といった映像とマッサージ機の機能パターン
のコースをビデオテープに用意し、使用者がそれらのコースを選択できるようにし、選択されたコースに基づいて制御することは、当業者が必要に応じて適宜になし得たことである。その際、複数のコースは目的に応じて映像とマッサージ内容が異なることは自明である。
したがって、引用発明において、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到することができたことである。
3.作用・効果について
本願発明の奏する作用効果は、引用発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
4.小括
したがって、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである
第7 請求人の主張について
請求人が、令和 4年12月15日提出の意見書の「(3)本願発明1の進歩性について」において説明する引用発明1の内容は、当審が令和 4年10月27日付けで通知した拒絶理由中で引用した引用文献1に記載された内容と、明らかに無関係の内容であり、当該主張は採用できない。
第8 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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