2022-003111
バッテリーモジュール及びバッテリーパック
- 審判番号
- 2022-003111
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-503913外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年03月01日
- 審決日
- 2023年01月05日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
- 【請求人代理人】飯田 雅人
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 分類
- P18 .56 -WZ (H01M) / P18 .121-WZ (H01M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
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本願は、2018年(平成30年)10月5日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2017年10月16日、韓国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 令和4年3月1日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年3月1日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(請求項1に係わる補正の内容)
(1)本件補正は、特許請求の範囲の請求項1の記載を次のとおり補正することを含むものである(下線部は、補正箇所である。)。
「【請求項1】電気伝導特性を有する金属性のパックケース内に配置されるバッテリーモジュールにおいて、一方の側が開口された形状に形成され、開口された一方の側の終端にL字状の第1の結合部が形成される第1のモジュールケースと、一方の側が開口された形状に形成され、前記第1のモジュールケースの第1の結合部に対応する第2の結合部が形成される第2のモジュールケースと、前記第1のモジュールケースと第2のモジュールケース内に幅方向に収容される複数の円形バッテリーセルと、を備えており、前記第1のモジュールケースの第1の結合部は、第2のモジュールケースの第2の結合部の内側に収容されて嵌合をなすことを特徴とし、前記第1のモジュールケースと第2のモジュールケースは、所定の長さの沿面距離を形成するように右側の外殻が所定の範囲だけ切削された第1の結合部と、前記第1の結合部と対応する位置に前記第1の結合部の切削された大きさと同様に内側に所定の範囲だけ切削された第2の結合部と、をそれぞれ備え、前記第1のモジュールケースと第2のモジュールケースは、円形バッテリーセルの一方の端が嵌着できるように水平方向に連通された複数の貫通溝をさらに備え、前記第1のモジュールケースと第2のモジュールケースは、電気絶縁性素材からなることを特徴とするバッテリーモジュール。」
(2)本件補正前の、令和3年7月8日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】電気伝導特性を有する金属性のパックケース内に配置されるバッテリーモジュールにおいて、一方の側が開口された形状に形成され、開口された一方の側の終端にL字状の第1の結合部が形成される第1のモジュールケースと、一方の側が開口された形状に形成され、前記第1のモジュールケースの第1の結合部に対応する第2の結合部が形成される第2のモジュールケースと、前記第1のモジュールケースと第2のモジュールケース内に幅方向に収容される複数の円形バッテリーセルと、を備えており、前記第1のモジュールケースの第1の結合部は、第2のモジュールケースの第2の結合部の内側に収容されて嵌合をなすことを特徴とし、前記第1のモジュールケースと第2のモジュールケースは、所定の長さの沿面距離を形成するように右側の外殻が所定の範囲だけ切削された第1の結合部と、前記第1の結合部と対応する位置に前記第1の結合部の切削された大きさと同様に内側に所定の範囲だけ切削された第2の結合部と、をそれぞれ備えることを特徴とするバッテリーモジュール。」
2 補正の適否
請求項1に係る本件補正は、以下の補正事項を含むものである。
ア 本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第1のモジュールケース」と「第2のモジュールケース」について、「円形バッテリーセルの一方の端が嵌着できるように水平方向に連通された複数の貫通溝を更に備え」るとの限定を付加する。
イ 本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第1のモジュールケース」と「第2のモジュールケース」について、「電気絶縁素材からなる」との限定を付加する。
上記補正事項ア、イは、本件補正前の請求項1に係る発明を特定する事項を限定するものであって、本件補正前の請求項1に係る発明と本件補正による請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、請求項1に係る本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正発明が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項、引用発明
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ア 引用文献1
(ア) 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1(国際公開第2017/169728号)には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審で付加した。)。
「[0001] 本発明は、複数の電池セルをホルダーケースの定位置に収納してなる電池パックに関し、とくに、電池セルの中間部をホルダーケースの内部に表出する状態で収納してなる電池パックに関する。」
「[0004] 多数の電池セルを備える電池パックとして、円筒形の電池セルを筒状の電池収納部に収納する電池ホルダを備える電池パックが開発されている(特許文献1参照)。この電池パックは、多数の電池セルを収納するために、筒状の電池収納部を多数形成してなる電池ホルダを備えている。この電池ホルダは、電池セルの中間において二分割されており、一対の分割ケースで電池セルを両側から挟み込むようにして保持する構造としている。以上の電池ホルダは、絶縁性などの観点から樹脂製とすることが一般的であり、このような二分割された分割ケースを各々金型で射出成形する場合、筒状の電池収納部の数が増えるに従い、脱型時の摩擦抵抗が増加する。このため、多数の電池セルを収納する電池ホルダを構成しようとしても、金型成型が困難となって製造コストが高騰するという問題があった。」
「[0007] 電池セルの両端部を電池収納部で保持する電池ホルダ92は、図12に示すように、一方の分割ケース92X(図においては下ケース)の電池収納部93に電池セル91の一端を挿入した状態で、他方の分割ケース92Y(図においては上ケース)の電池収納部93に電池セル91の他端を挿入して両側から挟持する。このとき、一方の分割ケース92Xの電池収納部93に一端が挿入された電池セル91の他端の位置が前後左右に移動する状態となると、電池セル91の他端を他方の分割ケース92Yの電池収納部93に速やかに案内するのが難しくなる。とくに、多数の電池セル91を収納する場合には、全ての電池セル91の他端を同じタイミングで対向する分割ケース92Yの電池収納部93に挿入する必要があって、この作業に手間がかかる。困ったことに、この問題点は、電池収納部93を浅くして電池セル91が表出する領域を広くするほど顕著になる。[0008] すなわち、電池ホルダは、一対のケースに形成される電池収納部である筒部の深さを深くすると挿入される電池の姿勢を特定し易くして組み立てを楽にできるが、金型が複雑になって脱型も難しくなり、また製造コストも高くなる。さらに、電池ホルダの内部に表出する電池セルの面積も小さくなり放熱特性が低下する。反対に電池収納部を浅くすると、金型の構造を簡単にして脱型もし易くなる。このため、製造コストを低減でき、さらに、電池ホルダの内部に表出する電池セルの面積も大きくできるが、多数の電池セルを電池ホルダの定位置に配置しながら、対向する一対のケースで両側から挟み込むように保持するのが難しくなり、組み立て作業の効率が低下する。以上のように、電池収納部を浅くして電池ホルダや金型を簡単な構造とすることと、一対のケースからなる電池ホルダの電池収納部に電池セルの両端部を速やかに案内して多数の電池セルを両側から挟持することは、互いに相反する特性であり、両方を同時に満たすことはできなかった。[0009] 本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、その目的の一は、ホルダーケースを簡単な構造として、金型の構造を簡単にし、脱型もし易くし、しかも製造コストを低減でき、さらには多数の電池セルを一対のケースの間に位置決めしながら配置し、電池セルの両端部を一対のケースで両側から簡単に保持して挟持できる電池パックを提供することにある。さらに、本発明は、電池セルの両端部をホルダーケースで保持しながら、電池セルの中間部の広い面積をホルダーケース内に表出させて放熱特性を向上できる電池パックを提供することにある。」
「[0028] 図1~図6に、本発明の一実施形態に係る電池パックを示している。これらの図において、図1は電池パックの斜視図、図2は図1の電池パックのII-II線断面図、図3は図1の電池パックのIII-III線断面図、図4は図1の電池パックの分解斜視図、図5は図4の電池パックを下側から見た分解斜視図、図6はホルダーケースの分解斜視図をそれぞれ示している。[0029] これ等の図に示す電池パック10は、筒状で有底の外装缶11の開口部を封口板12で閉塞してなる複数の電池セル1と、複数の電池セル11を互いに平行な姿勢とし、かつ各電池セル1の両端に設けられた電極端子13を同一面に配置する姿勢で保持するホルダーケース2とを備えている。ホルダーケース2は、電池セル1の一方の端部を挿入して保持する保持部21を内側に複数設けた第1ケース2Xと、電池セル1の他方の端部を挿入して保持する保持部21を内側に複数設けた第2ケース2Yとを備えている。ホルダーケース2は、第1ケース2Xと第2ケース2Yで複数の電池セル1を長手方向の両側から挟持して、複数の電池セル1の両端部を保持部21で保持して中間部をホルダーケース2内に表出させている。さらに、電池パック10は、第1ケース2Xの保持部21と第2ケース2Yの保持部21との間に配置されて、電池セル1の中間部を位置決めしながら保持する位置決スペーサー3を備えている。」
「[0030] (電池セル1)電池セル1は、充放電できるリチウムイオン二次電池である。ただ、電池セルは、リチウムイオン二次電池に限定されず、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池等の充放電できる電池であってもよい。さらに、本実施例の電池パックでは、円筒形電池が使用されているが、これに限定されず、角形電池や扁平形電池とすることもできる。」
「[0033] (ホルダーケース2)図2、図3、及び図6に示すホルダーケース2は、複数の電池セル1を互いに平行な姿勢で収納している。複数の電池セル1は、同じ向きとなるように配置されている。すなわち、図においては、外装缶11の底側の端部が下方となり、封口板12で閉塞された端部側が上方となる姿勢で配置されている。ホルダーケース2は、各電池セル1の両端に設けられた電極端子13を同一面に配置する姿勢で定位置に保持している。[0034] ホルダーケース2は、図6に示すように、電池セル1の長手方向であって、厚さ方向の中間において、第1ケース2Xと第2ケース2Yに二分割されている。第1ケース2Xと第2ケース2Yは、それぞれ円筒状の電池セル1の端部を個別に挿入して保持するための保持部21を内側に設けている。第1ケース2Xと第2ケース2Yは、電池セル1の端部を挿入する複数の保持部21を内側面に設けた端面プレート部22と、端面プレート部22の周囲に沿って形成された周壁23とを備えている。第1ケース2Xと第2ケース2Yは、全体の外形を略矩形状として、周壁23の対向する開口縁を互いに連結している。[0035] (保持部21)保持部21は、電池セル1の端部を挿入して保持できる形状に形成されている。図に示す保持部21は、電池セル1の外周面に沿う形状であって、好ましくは電池セル1の外周面に接近ないし接触して、電池セル1の外周面との間を隙間なくできる形状の凹部として端面プレート部22の内側に複数設けている。複数の保持部21は、ここに挿入される電池セル1を端面プレート部22に対して略垂直姿勢で保持できるように形成されている。ここでは、電池セル1は円筒形二次電池を使用しているため、円筒形の電池セル1を収納できるように、ホルダーケース2は、内部を円柱状とする保持部21を形成している。これ等の保持部21は、図6の分解斜視図に示すように、第1ケース2Xと第2ケース2Yとを電池セル1の両側から挟み込むように接合することで、複数の電池セル1をホルダーケース2の内部の定位置に収納可能としている。ただ、保持部は、電池セルの外形に沿う形状の内形を有する筒部とし、この筒部を複数並べることもできる。」
「[0041] (成形樹脂)このような第1ケース2Xと第2ケース2Yは、それぞれ金型を使用した射出成形により形成される。ホルダーケース2は、絶縁性に優れた部材、好適には樹脂で構成される。このような樹脂として、PC(ポリカーボネート)やPP(ポリプロピレン)、PBT等の熱可塑性樹脂や、不飽和フェノール樹脂や不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂が使用できる。なお、熱硬化性樹脂の場合、圧縮成形や射出圧縮成形により形成される。」
「[0047] 以上の位置決スペーサー3は、第1ケース2Xと第2ケース2Yの対向する周壁23で挟着されてホルダーケース2の中間に配置されている。図に示すホルダーケース2は、下ケースである第1ケース2Xの周壁23の開口縁に沿って位置決スペーサー3を嵌合させる段差凹部23Aを設けている。このホルダーケース2は、位置決スペーサー3を第1ケース2Xの段差凹部23Aに嵌合させて位置決めする状態で、第1ケース2Xと第2ケース2Yの対向する周壁23で位置決スペーサー3を挟着して定位置に固定する。ただ、段差凹部は、第2ケースに設けることもできる。また、位置決スペーサーは、接着して、あるいはネジ止めや係止構造によりホルダーケースに固定することもできる。[0048] 以上のようにして、内部に複数の電池セル1が収納されるホルダーケース2は、図6に示すように、第1ケース2Xと第2ケース2Yの対向位置に設けた連結ボス29に連結ネジ39がねじ込まれて第1ケース2Xと第2ケース2Yが固定される。図に示す第1ケース2Xは、端面プレート部22と周壁23に連結ボス29を一体的に成形して設けている。ただ、第1ケースと第2ケースは、連結ボルトとナットを介して互いに連結することもできる。」
「[0049] (バスバープレート4)さらに、図2~図5の電池パック10は、ホルダーケース2の上下の外側に、ホルダーケース2に収納される複数の電池セル1の両端の電極端子13を接続するバスバープレート4を備えている。バスバープレート4は、端面プレート部22の外側をカバーする平板状の金属板であって、端面プレート部22の接続孔24から表出する複数の電池セル1の電極端子13を接続するために複数の貫通孔40を開口している。これ等の貫通孔40は、端面プレート部22に開口された接続孔24と対向する位置に開口されている。・・・(省略)・・・。[0054] さらに、図4と図5に示すバスバープレート4は、端面プレート部22の外周縁から周壁23に沿って折曲された折曲片41、43を備えており、折曲片41、43の先端部をさらに折曲して外部接続部42、44としている。図1~図5に示す電池パック10は、外形を矩形状とするホルダーケース2の対向する側面であって、第1面2Aに折曲片41を配置し、第3面2Cに折曲片43を配置している。このように一対のバスバープレート4の折曲片41、43をホルダーケース2の対向する側面に配置することで、これ等の折曲片41、43が互いに干渉するのを阻止している。」
「[0057] (カバー部材)さらに、電池パック10は、図1~図6に示すように、バスバープレート4が固定されたホルダーケース2の上面側及び下面側の外側に位置して、バスバープレート4を被覆するカバー部材5を備えている。図に示すカバー部材5は、バスバープレート4の表面を被覆して絶縁している。カバー部材5は、絶縁性部材とすることが好ましく、好適には樹脂製とする。これにより、絶縁性と軽量化を安価に実現できる。また耐久性と熱伝導性を考慮すれば、アルミニウムなど金属製のカバー部材も利用できる。この場合は、金属製のカバー部材の表面を、ラミネートフィルムやビニールなどの絶縁性部材で被覆し、あるいは絶縁性の塗料を塗布して絶縁することもできる。[0058] カバー部材5は、ホルダーケース2の上下面を被覆する形状と大きさを有している。図に示すカバー部材5は、ホルダーケース2の外形に沿う平板状の閉塞プレート部51とこの閉塞プレート部51の周囲に連結してなるカバー部52とを備えている。カバー部52は、ホルダーケース2の外周面に設けた係止凸部31に係止して固定される。図2~図5に示すカバー部52は、係止凸部31を係止する係止部53として係止穴を開口しているこのカバー部材5は、カバー部52をホルダーケース2の係止凸部31に係止状態で係止させて定位置に固定される。」
図1
[図:0001397747000001.jpg]
図2
[図:0001397747000002.jpg]
図3
[図:0001397747000003.jpg]
図4
[図:0001397747000004.jpg]
図5
[図:0001397747000005.jpg]
図6
[図:0001397747000006.jpg]
(イ)上記記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
a 段落[0001]、[0033]乃至[0034]、図1乃至図6によれば、引用文献1には、「電池パック」についての発明が記載されている。
b 段落[0030]には、「電池セル1は、充放電できるリチウムイオン二次電池である。」、「本実施例の電池パックでは、円筒形電池が使用されている」と、それぞれ記載されている。また、段落[0033]には、「図2、図3、及び図6に示すホルダーケース2は、複数の電池セル1を互いに平行な姿勢で収納している。複数の電池セル1は、同じ向きとなるように配置されている。」と記載されている。
そして、図2、図3、及び図6によれば、「電池パック」が、ホルダーケース2を備え、ホルダーケース2は、複数の電池セル1をお互いに平行な姿勢で収納し、複数の電池セル1は、同じ向きとなるように配置されていることが見て取れる。
よって、引用文献1に記載された「電池パック」は、ホルダーケース2及び該ホルダーケース2内に平行な姿勢で同じ向きに収納される複数の円筒形の電池セル1を備えているといえる。
c 段落[0034]には、「ホルダーケース2は、図6に示すように、電池セル1の長手方向であって、厚さ方向の中間において、第1ケース2Xと第2ケース2Yに二分割されている。第1ケース2Xと第2ケース2Yは、それぞれ円筒状の電池セル1の端部を個別に挿入して保持するための保持部21を内側に設けている。第1ケース2Xと第2ケース2Yは、電池セル1の端部を挿入する複数の保持部21を内側面に設けた端面プレート部22と、端面プレート部22の周囲に沿って形成された周壁23とを備えている。第1ケース2Xと第2ケース2Yは、全体の外形を略矩形状として、周壁23の対向する開口縁を互いに連結している。」と記載されている。
また、図2、図3、及び図6によれば、ホルダーケース2は電池セル1の長手方向において第1ケース2Xと第2ケース2Yに二分割されていること、電池セル1は第1ケース2Xと第2ケース2Y内に該電池セル1の長手方向に収納されていること、第1ケース2Xは電池セル1の端部を挿入する側、図6で言うところの第1ケース2Xの上側が開口された形状に形成されていること、第2ケース2Yも電池セル1の端部を挿入する側、図6で言うところの第2ケース2Yの下側が開口された形状に形成されていること、つまり、前記第1ケース及び前記第2ケースはそれぞれ一方の側が開口された形状に形成されていること、第1ケース2Xと第2ケース2Yは電池セル1の端部を挿入して保持するための複数の保持部21を内部に設けていることが見て取れる。
よって、引用文献1に記載された「電池パック」が備えるホルダーケース2は、一方の側が開口された形状に形成された第1ケース2Xと、一方の側が開口された形状に形成された第2ケース2Yを含み、第1ケース2Xと第2ケース2Yに電池セル1の長手方向に二分割され、該第1ケース2Xと該第2ケース2Yは、電池セル1の端部を挿入して保持するための複数の保持部21を備え、該電池セル1は、該第1ケース2Xと該第2ケース2Y内にその長手方向に収納されているといえる。
d 段落[0035]には、「保持部21は、電池セル1の端部を挿入して保持できる形状に形成されている。図に示す保持部21は、電池セル1の外周面に沿う形状であって、好ましくは電池セル1の外周面に接近ないし接触して、電池セル1の外周面との間を隙間なくできる形状の凹部として端面プレート部22の内側に複数設けている。複数の保持部21は、ここに挿入される電池セル1を端面プレート部22に対して略垂直姿勢で保持できるように形成されている。ここでは、電池セル1は円筒形二次電池を使用しているため、円筒形の電池セル1を収納できるように、ホルダーケース2は、内部を円柱状とする保持部21を形成している。これ等の保持部21は、図6の分解斜視図に示すように、第1ケース2Xと第2ケース2Yとを電池セル1の両側から挟み込むように接合することで、複数の電池セル1をホルダーケース2の内部の定位置に収納可能としている。ただ、保持部は、電池セルの外形に沿う形状の内形を有する筒部とし、この筒部を複数並べることもできる。」と記載されている。
また、図2、図3、及び図6によれば、第1ケース2X及び第2ケース2Yは、円筒形の電池セル1の一方の端部を挿入して保持できる、前記電池セル1の外周面との間を隙間なくできる形状の、凹部としての複数の保持部21を備えること、第1ケース2Xの保持部21の1つと第2ケース2Yの保持部21の1つは電池セル1の両側から挟み込むように接合して向かい合い、その内部を円柱状とすることが見て取れる。
よって、引用文献1に記載された「電池パック」が備えるホルダケース2の第1ケース2Xと第2ケース2Yは、円筒形の電池セル1の一方の端部を挿入して保持できる、該電池セル1の外周面との間を隙間なくできる形状の、凹部であって、向かい合って電池セル1を挟み込むように接合し、その内部を円柱状とする、複数の保持部21を備えるといえる。
e 段落[0041]には、「このような第1ケース2Xと第2ケース2Yは、それぞれ金型を使用した射出成形により形成される。ホルダーケース2は、絶縁性に優れた部材、好適には樹脂で構成される。」と記載されている。
よって、引用文献1に記載された「電池パック」が備えるホルダーケース2の第1ケース2Xと第2ケース2Yは絶縁性に優れた部材からなるといえる。
f 段落[0047]には「図に示すホルダーケース2は、下ケースである第1ケース2Xの周壁23の開口縁に沿って位置決スペーサー3を嵌合させる段差凹部23Aを設けている。このホルダーケース2は、位置決スペーサー3を第1ケース2Xの段差凹部23Aに嵌合させて位置決めする状態で、第1ケース2Xと第2ケース2Yの対向する周壁23で位置決スペーサー3を挟着して定位置に固定する。」と記載されている。
また、図2、図3及び図6によれば、第2ケース2Yの開口された一方の側の周壁23の縁に、当該周壁23の内側を所定の長さだけ残しつつ、当該周壁23の外側が所定の範囲だけ切削された部分(以下、「L字状の部分」という。)が形成されていること、第1ケース2Xの開口された一方の側の周壁23の縁に前記第2ケース2XのL字状の部分に対応する段差凹部23Aが形成されていること、前記第2ケース2YのL字状の部分は、第1ケース2Xの段差凹部23Aの内側に収容されていることが、それぞれ見て取れる。
よって、引用文献1に記載された「電池パック」が備えるホルダーケース2は、開口された一方の側の周壁の縁にL字状の部分が形成される第2ケース2Yと、開口された一方の側の周壁の縁に前記第2ケース2YのL字状の部分に対応する段差凹部23Aが形成される第1ケース2Xとを備えており、前記第2ケース2YのL字状の部分は、第1ケース2Xの段差凹部23Aの内側に収容されているといえる。
g 段落[0049]には、「図2~図5の電池パック10は、ホルダーケース2の上下の外側に、ホルダーケース2に収納される複数の電池セル1の両端の電極端子13を接続するバスバープレート4を備えている。バスバープレート4は、端面プレート部22の外側をカバーする平板状の金属板であって、端面プレート部22の接続孔24から表出する複数の電池セル1の電極端子13を接続するために複数の貫通孔40を開口している。」と記載されている。また、段落[0054]には、「バスバープレート4は、端面プレート部22の外周縁から周壁23に沿って折曲された折曲片41、43を備えており、折曲片41、43の先端部をさらに折曲して外部接続部42、44としている。」と記載されている。
そして、図2によれば、バスバープレート4が備える折曲片41が、第1ケース2Xや第2ケース2Yの外側の周壁23に沿って折曲され、前記周壁23の縁に形成されたL字状の部分が段差凹部23Aの内側に収容されている位置の外側まで伸びていることが見て取れる。
よって、引用文献1に記載された「電池パック」が備えるホルダーケース2の、第2ケース2YのL字状の部分が第1ケース2Xの段差凹部23Aの内側に収容されている位置の外側に金属板のバスバープレート4が備える折曲片41、43が存在しているといえる。
h 段落[0057]には、「電池パック10は、図1~図6に示すように、バスバープレート4が固定されたホルダーケース2の上面側及び下面側の外側に位置して、バスバープレート4を被覆するカバー部材5を備えている。」と「アルミニウムなど金属製のカバー部材も利用できる。」とそれぞれ記載されている。また、段落[0058]には、「カバー部材5は、ホルダーケース2の上下面を被覆する形状と大きさを有している。」が記載されている。
そして、図2及び図3によれば、電池パック10はカバー部材5に挟まれていることが見て取れる。
よって、引用文献1に記載された「電池パック」は、電気伝導特性を有する金属性のカバー部材5で挟まれているといえる。
(ウ) 上記(イ)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「電気伝導特性を有する金属性のカバー部材に挟まれている電池パックにおいて、一方の側が開口された形状に形成され、開口された一方の側の周壁の縁にL字状の部分が形成される第2ケースと、一方の側が開口された形状に形成され、前記第2ケースのL字状の部分に対応する段差凹部が形成される第1ケースと、前記第2ケースと前記第1ケース内にその長手方向に収納される複数の円筒形の電池セルと、を備えており、前記第2ケースのL字状の部分は、第1ケースの段差凹部の内側に収容されていることを特徴とし、前記第2ケースのL字状の部分が第1ケースの段差凹部の内側に収容されている位置の外側に金属板のバスバープレートが備える折曲片が存在しており、前記第2ケースと第1ケースは、円筒形の電池セルの一方の端部を挿入して保持できる、該電池セルの外周面との間を隙間なくできる形状の凹部であって、向かい合って電池セルを挟み込むように接合し、その内部を円柱状とする複数の保持部をさらに備え、前記第2ケースと第1ケースは、絶縁性に優れた部材からなることを特徴とする電池パック。」
イ 引用文献5
(ア) 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献5(特開2015-011956号公報)には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審で付加した。)。
「[0013] 図1に示すように、蓄電装置1は、外装ケース20を備える。外装ケース20は、前面板20a、背面板20b、上面板20cおよび下面板20d、並びに、2つの側面板20eおよび20fからなる略直方体状の筺体である。」
「[0014] 図2に示すように、蓄電装置1の外装ケース20内には、電池ユニット51および電池ユニット52と、電池ユニット51および電池ユニット52の間に介在された絶縁材55と、制御回路ブロック等が搭載された基板(図2では図示を省略)等が収容されている。電池ユニット51および電池ユニット52のそれぞれは、電池ブロック群および複数の電池セルを電気的に接続するタブ等の部材が、トップケース61aおよびボトムケース61bが合わせられた電池ケース61に収容されたものである。電池ブロック群は、例えば、直列に接続された複数の電池ブロックで構成され、1つの電池ブロックは、並列に接続された複数の電池セルで構成される。電池セルは、例えば、円筒型リチウムイオン二次電池等の二次電池である。なお、電池セルは、リチウムイオン二次電池に限定されるものではない。」
「[0015] 例えば、電池ユニット51および電池ユニット52は、トップケース61aの底面部および上面部が水平方向に向く縦置き状態で、水平方向に2段積層されて外装ケース20に収容されている。」
「[0047] (外装ケースの構成材料)外装ケース20の材料としては、高い熱伝導率および輻射率を有する材料を用いることが好ましい。すなわち、前面板20a、背面板20b、上面板20cおよび下面板20d、2つの側面板20eおよび20fには、高い熱伝導率および輻射率を有する材料を用いることが好ましい。これにより、優れた筐体放熱性を得ることができ、外装ケース20内の温度上昇を抑制することができる。例えば、外装ケース20を構成する板状体は、アルミニウムまたはアルミニウム合金または銅または銅合金等の金属板等である。」
図1
[図:0001397747000007.jpg]
図2
[図:0001397747000008.jpg]
(イ)上記記載から、引用文献5には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
a 段落[0013]によれば、引用文献5には、「蓄電装置1は、外装ケース20を備える。」ことが記載されている。また、段落[0014]によれば、引用文献5には、「蓄電装置1の外装ケース20内には、電池ユニット51および電池ユニット52と、電池ユニット51および電池ユニット52の間に介在された絶縁材55と、制御回路ブロック等が搭載された基板(図2では図示を省略)等が収容されている。」が記載されている。段落[0047]によれば、引用文献5には、「外装ケース20を構成する板状体は、アルミニウムまたはアルミニウム合金または銅または銅合金等の金属板等である。」ことが記載されている。
よって、引用文献5に記載された「電池ユニット」は、電気伝導特性を有する金属性の外装ケース20内に収容されるものであるといえる。
b 段落[0014]によれば、引用文献5には、「電池ユニット51および電池ユニット52のそれぞれは、電池ブロック群および複数の電池セルを電気的に接続するタブ等の部材が、トップケース61aおよびボトムケース61bが合わせられた電池ケース61に収容されたものである。電池ブロック群は、例えば、直列に接続された複数の電池ブロックで構成され、1つの電池ブロックは、並列に接続された複数の電池セルで構成される。電池セルは、例えば、円筒型リチウムイオン二次電池等の二次電池である。」ことが記載されている。また、段落[0015]によれば、引用文献5には、「電池ユニット51および電池ユニット52は、トップケース61aの底面部および上面部が水平方向に向く縦置き状態で、水平方向に2段積層されて外装ケース20に収容されている。」が記載されている。
さらに、図2によれば、電池ケース61は水平方向にボトムケース61bとトップケース61aに二分割され、円筒型リチウムイオン二次電池は該ボトムケース61bとトップケース61a内に水平方向に収容されることが見て取れる。
よって、引用文献5に記載された「電池ユニット」は、ボトムケース61bと、トップケース61aと、前記ボトムケース61bとトップケース61a内に水平方向に収容される複数の円筒型の電池セルを備えるものであり、トップケース61aの底面部及び上面部が水平方向に向く縦置き状態で外装ケースに収容されるものと認められる。
(ウ)上記(イ)から、引用文献5には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「電気伝導特性を有する金属性の外装ケース内に収容される電池ユニットにおいて、ボトムケースと、トップケースと、前記ボトムケースとトップケース内に幅方向に収納される複数の円筒型の電池セルと、を備えており、前記トップケースの底面部及び上面部が水平方向を向く縦置き状態で、前記外装ケース内に収容される」こと。
(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明1とを対比する。
(ア)引用発明1の「カバー部材」は、「電気伝導特性を有する金属性」であるから、本件補正発明の「電気伝導特性を有する金属性」の「パックケース」に相当する。
ただし、引用発明1は「カバー部材」に挟まれるものであるが、本件補正発明は、「パックケース内に配置される」ものであるから、この点で相違する。
(イ)引用発明1の「第2ケース」は、「一方の側が開口された形状に形成され、開口された一方の側の周壁の縁にL字状の部分が形成される」ものであるから、本件補正発明の「一方の側が開口された形状に形成され、開口された一方の側の終端にL字状の第1の結合部が形成される第1のモジュールケース」に相当する。
(ウ)引用発明1の「第1ケース」は、「一方の側が開口された形成に形成され、開口された開口された一方の側の周壁の縁に前記第2ケースのL字状の部分に対応する段差凹部が形成される」ものであるから、本件補正発明の「一方の側が開口された形状に形成され、前記第1のモジュールケースの第1の結合部に対応する第2の結合部が形成される第2のモジュールケース」に相当する。
(エ)本件補正発明の「前記第1のモジュールケースと第2のモジュールケース内に幅方向に収容される複数の円形バッテリーセル」に関し、本件明細書の段落[0061]には、「バッテリーセルは、一般に、駆動に際して、バッテリーセルの側面から発せられる熱の量よりも、電流が流れる各電極端子から発せられる熱の量がさらに多いため、バッテリーセルの電極は、下部面が物体により閉塞されている上/下方向ではなく、大気にオープンされた左/右方向(幅方向)に配列する。」と記載されている。また、本件図面の図2から、第1のモジュールケースと第2のモジュールケースは円形バッテリーセルの長手方向に分割されること、円形バッテリーセルは第1のモジュールケースと第2のモジュールケース内にその長手方向に収容されることが見て取れる。つまり、ここでいう「幅方向」とは円形バッテリーセルの長手方向であるといえる。
してみると、引用発明1の「複数の円筒形の電池セル」は、「前記第2ケースと前記第1ケース内にその長手方向に収納される」ものであるから、本件補正発明1の「前記第1のモジュールケースと第2のモジュールケース内に幅方向に収容される複数の円形バッテリーセル」に相当する。
(オ)引用発明1の「電池パック」は、第2ケース、第1ケース、及び複数の円筒形の電池セルを備えるものであるから、本件補正発明の第1のモジュールケース、第2のモジュールケース、及び複数の円形バッテリーセルを備える、「バッテリーモジュール」に相当する。
(カ)引用発明1の「第2ケースのL字状の部分」は、「第1ケースの段差凹部の内側に収容され」るものであるから、本件補正発明の「第1の結合部」と、「第2のモジュールケースの第2の結合部の内側に収容される」ものであることで共通する。
ただし、本件補正発明の「第1の結合部」は、「第2の結合部」の内側に収容されて嵌合をなすのに対し、引用発明1の「第2ケースのL字状部分」は、「第1ケースの段差凹部」の内側に収容されるのみであり、嵌合をなすか不明である点で相違する。
(キ)上記(カ)のとおり、引用発明1の「第2ケースのL字状の部分」は、本件補正発明の「第1の結合部」と、「第1のモジュールケース」の「開口された一方の側の終端」に形成されるものであり、「第2のモジュールケースの第2の結合部の内部に収容される」ものであることで共通する。また、引用発明1の「第1ケースの段差凹部」は、本件補正発明の「第2の結合部」と、「第2のモジュールケース」に「第1のモジュールケースの第1の結合部に対応する」ように形成されたものであり、その内側に「第1のモジュールケース」の「第1の結合部」を収容するものであることで共通する。
ただし、本件補正発明の「第1の結合部」は、「所定の長さの沿面距離を形成するように右側の外殻が所定の範囲だけ切削され」ており、「第2の結合部」は「前記第1の結合部と対応する位置に前記第1の結合部の切削された大きさと同様に内側に所定の範囲だけ切削され」ているのに対し、引用発明1の「L字状の部分」及び「段差凹部」は、それぞれそのように切削されているか不明である点で相違する。
(ク)引用発明1の「保持部」は、第1ケース及び第2ケースが複数備えるものであるから、本件補正発明の「貫通溝」と、「第1のモジュールケースと第2のモジュールケース」が複数備えるものであることで共通する。
また、引用発明1の「保持部」は、円筒形の電池セルの一方の端部を挿入して保持し、該電池セルの外周面との間を隙間なくできる形状の凹部であるから、該「保持部」は円筒形の電池セルの一方の端を嵌め込めるものであるといえ、本件補正発明の「貫通溝」と、「円形バッテリーセルの一方の端が嵌着できる」ものであることで共通する。
さらに、引用発明1の「保持部」は、向かい合って電池セルを挟み込むように接合し、その内部を円柱状とするものであるから、該「保持部」は向かい合って接合することで、連通された貫通溝を構成するといえ、本件補正発明の「貫通溝」と、「連通された貫通溝」であることに共通する。
してみると、引用発明1の「保持部」は、本件補正発明の「前記第1のモジュールケースと第2のモジュールケースは、円形バッテリーセルの一方の端が嵌着できるように」「連通された複数の貫通溝」に相当する。
ただし、本件補正発明の「貫通溝」が水平方向に連通されたものであるのに対し、引用発明1の「保持部」が水平方向に連通されたものであるか特定されていない点で相違する。
(ケ)引用発明1の「第2ケースと第1ケースは、絶縁性に優れた部材からなる」ことは、本件補正発明の「前記第1のモジュールケースと第2のモジュールケースは、電気絶縁性素材からなる」ことに相当する。
イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「バッテリーモジュールにおいて、一方の側が開口された形状に形成され、開口された一方の側の終端にL字状の第1の結合部が形成される第1のモジュールケースと、一方の側が開口された形状に形成され、前記第1のモジュールケースの第1の結合部に対応する第2の結合部が形成される第2のモジュールケースと、前記第1のモジュールケースと第2のモジュールケース内に幅方向に収容される複数の円形バッテリーセルと、を備えており、前記第1のモジュールケースの第1の結合部は、第2のモジュールケースの第2の結合部の内側に収容されていることを特徴とし、前記第1のモジュールケースと第2のモジュールケースは、円形バッテリーセルの一方の端が嵌着できるように連通された複数の貫通溝をさらに備え、前記第1のモジュールケースと第2のモジュールケースは、電気絶縁性素材からなることを特徴とするバッテリーモジュール。」
【相違点1】
バッテリーモジュールについて、本件補正発明は、「電気伝導特性を有する金属性のパックケース内に配置される」のに対し、引用発明1は、電気伝導特性を有する金属のパックケースに挟まれている点。
【相違点2】
本件補正発明は、「第1のモジュールケースの第1の結合部は、第2のモジュールケースの第2の結合部の内側に収容されて嵌合をなす」のに対し、引用発明1は、第1のモジュールケースの第1の結合部が、第2のモジュールケースの第2の結合部の内側に収容されているものの、両者が嵌合をなすか特定されていない点。
【相違点3】
本件補正発明は、「第1のモジュールケースと第2のモジュールケースは、所定の長さの沿面距離を形成するように右側の外殻が所定の範囲だけ切削された第1の結合部と、前記第1の結合部と対応する位置に前記第1の結合部の切削された大きさと同様に内側に所定の範囲だけ切削された第2の結合部と、をそれぞれ備え」るのに対し、引用発明1は、第1の結合部及び第2の結合部について、それぞれどのように切削されているのか、特定されていない点。
【相違点4】
本件補正発明は、「第1のモジュールケースと第2のモジュールケースは、円形バッテリーセルの一方の端が嵌合できるように水平方向に連通された複数の貫通溝を更に備え」るのに対し、引用発明1は、貫通溝が水平方向に連通されたものであるか特定されていない点。
(4)相違点に対する判断
以下、各相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用文献5には、上記(2)イ(ウ)で認定したとおり、「電気伝導特性を有する金属性の外装ケース内に収容される電池ユニットにおいて、ボトムケースと、トップケースと、前記ボトムケースとトップケース内に幅方向に収納される複数の円筒型の電池セルと、を備えており、前記トップケースの底面部及び上面部が水平方向を向く縦置き状態で、前記外装ケース内に収容される」ことが記載されている。
引用発明1と引用文献5に記載された電池ユニットはいずれも、2つのケースと、前記2つのケースに収容される複数の円筒形のリチウムイオン二次電池を備えるものであることから共通する技術分野に属する。さらに、引用文献1の段落[0057]には、熱伝導性を考慮してカバー部材としてアルミニウムを用いることができると記載されている。他方、引用文献5の段落[0047]には、引用文献5に記載された電池ユニットが配置される外装ケースは、高い熱伝導率を有する材料を用いることが好ましいといえ、外装ケースを構成する板状体の例として、アルミニウムが記載されている。
してみると、引用発明1を挟み込むカバー部材を、引用文献5に記載された電池ユニットを内に収容する外装ケースを採用して、相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
イ 相違点2について
引用発明1は、上記(2)ア(ウ)で認定したとおり、「一方の側が開口された形状に形成され、開口された一方の側の周壁の縁にL字状の部分が形成される第2ケース」と「一方の側が開口された形状に形成され、前記第2ケースのL字状の部分に対応する段差凹部が形成される第1ケース」とを備えるものであり、「第2ケースのL字状の部分は、第1ケースの段差凹部の内側に収容されていることを特徴と」する、「電池パック」である。
一方の側が開口された形状に形成された2つのケースにて構成される物品において、2つのケースの当接部を嵌合する関係として形成し、物品を組み立てることは、当業者にとって常套手段にすぎない。
してみると、引用発明1に接した当業者にとって、引用発明1において、第2ケースと第1ケースの当接部であるL字状の部分及び段差凹部を嵌合する関係とし、該L字状の部分は、該段差凹部の内側に収容されて嵌合をなすように形成して、相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
ウ 相違点3について
引用発明1は、上記(2)ア(ウ)で認定したとおり、「前記第2ケースと前記第1ケース内にその長手方向に収納される複数の円筒形の電池セルと、を備えており、前記第2ケースのL字状の部分は、第1ケースの段差凹部の内側に収容されていることを特徴とし、前記第2ケースのL字状の部分が第1ケースの段差凹部の内側に収容されている位置の外側に金属板のバスバープレートが備える折曲片が存在して」いる、「電池パック」である。
そのため、引用発明1において、第2ケースのL字状の部分が第1ケースの段差凹部の内側に収容される位置において、該L字状の部分が該段差凹部の内側に収容される分だけ、該L字状の部分と該段差凹部の壁面に沿って、前記第2ケースと前記第1ケースの内側と外側の間に沿面距離が生じている、また、第2ケースのL字状部部分が第1ケースの段差凹部の内側に収容される位置に置いて、第2ケースと第1ケースの内側には導体の電池セルが存在し、他方で、外側には導体の折曲片が存在しているといえる。
してみれば、引用発明1は、その第2ケースが第1ケースの内側に収容される位置において、その内側と外側にそれぞれ存在する導体と導体の間にとるべき所定の沿面距離が結果的に形成されているものと認められる。
したがって、相違点3に係る構成は本件補正発明と引用発明1との実質的な相違ではない。
エ 相違点4について
引用文献5には、上記(2)イ(ウ)で認定したとおり、「電気伝導特性を有する金属性の外装ケース内に収容される電池ユニットにおいて、ボトムケースと、トップケースと、前記ボトムケースとトップケース内に幅方向に収納される複数の円筒型の電池セルと、を備えており、前記トップケースの底面部及び上面部が水平方向を向く縦置き状態で、前記外装ケース内に収容される」ことが記載されている。
引用発明1と引用文献5に記載された電池ユニットはいずれも、2つのケースと、前記2つのケースに収容される複数の円筒形のリチウムイオン二次電池を備えるものであることから共通する技術分野に属する。
してみると、上述のアのとおり、引用発明1を挟み込むカバー部材を、引用文献5に記載された電池ユニットを内に収容する外装ケースを採用する際に、水平方向に外装ケースに収容することとし、結果的に引用発明1の第2ケース及び第1ケースが備える保持部を水平方向に連通したものとし、相違点4に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(5)まとめ
したがって、本件補正発明は、引用発明1及び引用文献5に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
以上から、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和4年3月1日にされた手続補正は、上記のとおり却下された。そのため、本願の請求項1乃至10に係る発明は、令和3年7月8日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1乃至10に記載された事項により特定されるものである。よって、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記「第2[理由]1(2)」に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由の概要
本願発明についての原査定の拒絶の理由は、次のとおりのものである。
「3.(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものである。
<引用文献等一覧>
1.国際公開第2017/169728号
5.特開2015-011956号公報
3 引用文献、引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用文献1の記載事項、引用文献5の記載事項は、前記「第2[理由]2(2)」に記載したとおりである。
4 引用発明との対比
本願発明と引用発明1の相違点は、前記「第2[理由]2(3)イ」で検討した、相違点1乃至3と認められる。前記「第2[理由]2(4)ア乃至ウ」で判断したとおり、相違点3に係る構成は本願発明と引用発明1との実質的な相違ではなく、また、引用発明1に引用文献5に記載の技術的事項を採用して、該相違点1乃至2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
5 判断
したがって、請求項1に係る発明は、引用発明1及び引用文献5に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
6 令和4年7月11日提出の上申書について
審判請求人は、当該上申書において請求項1の記載を「・・・(省略)・・・・、一方の側が開口された形状に形成され、前記第1のモジュールケースの第1の結合部に対応する逆L字状の第2の結合部が形成される第2のモジュールケースと、・・・(省略)・・・。」(下線部は、補正箇所である。)と補正する旨を主張している。
しかしながら、前記「第2[理由]2(2)ア(ウ)」で検討したとおり、引用発明1の段差凹部は、第1ケースに形成されるものであり、第2ケースのL字状の部分に対応するものであるから、引用発明1に接した当業者にとって、第2ケースに形成されるL字状の部分に対応する第1ケースに形成される段差凹部を逆L字状とすることは、容易に想到し得たことである。
また、審判請求人は、当該上申書において請求項1の記載を「・・・(省略)・・・・、前記第1のモジュールケースと第2のモジュールケースは、所定の長さの沿面距離を形成するように右側の外殻が所定の範囲だけ切削された第1の結合部と、前記第1の結合部と対応する位置に前記第1の結合部の切削された大きさと同様に内側に所定の範囲だけ切削された第2の結合部と、をそれぞれ備え、前記第1の結合部と前記第2の結合部とが嵌合した状態で前記第1のモジュールケースと前記第2のモジュールケースとは面一に形成されており、・・・(省略)・・・・。」(下線部は、補正箇所である。)と補正する旨も主張している。
しかしながら、前記「第2[理由]2(2)ア(ウ)」で検討したとおり、引用発明1の電池パックは、第2ケースのL字状の部分が第1ケースの段差凹部の内側に収容されることを特徴とするとものであり、引用文献1に記載されているような2つのケースのうち、一方が他方の内側に収容されて構成される物品において、両ケースを面一に形成することは、当業者にとって常套手段にすぎず、引用発明1に接した当業者にとって、第2ケースと第1ケースとが面一に形成されるよう試みることはごく自然な発想に過ぎず、格別な技術的困難性を伴うものではない。
よって、審判請求人のいずれの主張を採用することはできない。
第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1乃至5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項に該当し、特許を受けることができない。したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-003111