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特許拒絶査定不服審判

2022-003077

デバイスおよび通信手段を備える容器

審判番号
2022-003077
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-516071外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年03月01日
審決日
2023年02月17日
公報発行日
2023年08月25日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (B65D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-516071「デバイスおよび通信手段を備える容器」拒絶査定不服審判事件〔平成29年12月14日国際公開、WO2017/211708、令和1年9月5日国内公表、特表2019-524586〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 7項目
理 由

第1 手続の経緯

令和3年 4月26日付 拒絶理由通知書

令和3年10月 6日 意見書及び手続補正書の提出

令和3年10月29日付 拒絶査定

令和4年 3月 1日 審判請求書

第2 本願発明

本願の請求項1から23に係る発明は、令和3年10月6日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1から23に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は以下のとおりである。

「【請求項1】
バルク商品を保管するのに使用することのできる容器であって、第1デバイスと、容器と受信器の間でデータを転送するための通信ユニットとを含み、
前記第1デバイスは、第1センサもしくは情報記憶デバイスまたはその両方であり、
前記容器は、前記第1デバイスに接続された電子デバイスをさらに含み、
前記電子デバイスは、プリント回路基板、フレキシブルプリント回路基板、有機電子デバイス、または有機材料および無機材料を含む電子デバイスからなる群から選択され、前記電子デバイスは、前記第1センサから得られたデータの解析を実施し、前記第1デバイスに備えられた前記第1センサから得られた1以上の値が所定の範囲外であるときに信号を送ることができる、前記容器。」

第3 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由、すなわち令和3年4月26日付けで通知した拒絶の理由の概要は以下のとおりである。

本願発明1から23は、以下の引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>

引用文献1.国際公開第2015/069916号

引用文献2.国際公開第2015/066594号

なお、本願発明は、出願当初の請求項1、14、15及び16を引用する請求項17に、「バルク商品」に関する限定を付加したものである。

第4 当審の判断

1 引用文献

(1)引用文献1

ア 引用文献1には、以下の事項が記載されている。なお、日本語訳は当審が付した。

(ア)「発明の技術分野
本発明は、一般に、容器管理システムに関し、その実施形態は、コンピュータシステムと通信するか、またはコンピュータシステムを含むように構成される。」(第1ページ第12から第15行)
(イ)「発明の背景
消費者は、食品、飲料、その他の消耗品、クリーニング製品、およびその他の非消耗品を保管するために容器を使用することがよくある。基本的な容器は、消費者が製品を保管することのみを許可するが、通常、製品の現在のステータスまたは履歴ステータスに関する情報はほとんど提供しない。
例えば、基本的な飲料容器は、飲料を貯蔵するように構成することができる。しかしながら、飲料またはその容器の現在の状態に関する情報を得るために、消費者は通常、飲料容器を物理的に操作しなければならない。例として、容器内の飲料の温度をテストするために、消費者は容器の外側に触れるか、飲料を少し飲むか、少量の飲料を手に注ぐか、指を飲料に浸す。飲み物が熱すぎる場合、そのようなテスト方法はやけどの原因となる。また、そのような試験方法は飲料を汚染する。
一部のより高度な容器には、容器内に配置された温度計が含まれている場合があり、消費者は、火傷の危険や飲料を汚染することなく温度を評価できる。しかし、そのような先進的な容器でさえ、消費者は一般に、温度計自体または統合された温度計出力ディスプレイからのみ温度の読み取り値を見ることができる。このような容器は、一般に、経時的な温度測定値を追跡する機能や、消費者が離れた場所から飲料の温度を確認できるようにする機能を欠いている(例えば、容器が車の中にあり、消費者が用事を実行している間)。」(第1ページ第16行から第2ページ第11行)

(ウ)「明らかに、容器またはその内容物に関する情報の検出、追跡、記録、および通信を可能にするように構成された容器管理システムが必要であり、そのような情報には、容器内容物の温度または蓋開口部を自動的に覆うための指示が含まれる場合がある。本発明のある実施形態は、この要望を満たす。」(第2ページ第18行から第22行)

(エ)「容器管理システムおよび関連する方法の特定の実施形態は、コンピュータシステムと通信するか、またはコンピュータシステムを含むように構成され得る、蓋またはリテーナを有する容器システムを含む。
容器管理システムはまた、以下でより詳細に説明する、様々なセンサ、アクション要素、コンピュータ要素、および追加の構成要素から構成されてもよい。
このアプリケーションの目的のために、通常、消耗品または非消耗品を所定の位置に保持する。リテーナには、製品だけでなく、周囲の空気、真空空間などの他の内容物も含まれる場合がある。リテーナの例としては、ボトル、カップ、マグカップ、タンブラー、フラスコ、ピッチャー、カラフェ、ポンプポット、コーヒーポット、ティーポット、水筒、デカンター、カップホルダー、ジャー、缶、ドラム缶、バイアル、注射器、箱、クーラーボックス、ランチキットまたはバッグがある。
リテーナは、製品を受けるように構成されたリテーナ本体を含むことができる。より具体的には、リテーナ本体は、リテーナ空間を画定するようなサイズおよび形状にすることができる。リテーナ本体は、一般に剛性の材料、一般に柔軟な材料、一般に絶縁された材料、または一般に非絶縁の材料を含む任意の適切な材料から作られ得る。リテーナ本体の材料の例には、金属(例えば、ステンレス鋼)、ガラス、ゴム、シリコーン、プラスチック(例えば、食品グレードのプラスチック)、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。断熱材には、二重壁の真空断熱構造またはフォーム断熱材が含まれる場合がある。」(第2ページ第24行から第3ページ第14行)
(オ)「本発明のシステムおよび方法は、リテーナ、蓋、またはリテーナの内容物に関連する特性またはイベントを検出するようにそれぞれが構成された、1つまたは複数のセンサを含むことができる。各センサは、蓋またはリテーナの中または上に配置するか、または蓋またはリテーナから吊るすことができる。各センサは、第1の状態の検出(例えば、向きの変化の検出時、特定の音量の検出時、GPS位置の変化の検出時、特定の温度の検出時)に応答して、特定の定期的または不規則な時間間隔で何らかの状態を検出するように構成可能であり得る。
センサの例としては、温度センサ、方位センサ、容量センサ、容積センサ、位置センサ、圧力センサ、画像センサ、熱画像センサ、フロートセンサ、蓋取り外しセンサ、歪みゲージまたは力センサ、光学認識センサ、pHセンサ、蒸発ガスセンサ、誘導センサ、ホール効果センサまたはスイッチ、抵抗センサ、または当技術分野で知られている他のタイプのセンサである。
特定のセンサの実施形態は、以下でより詳細に議論される。
より具体的には、保持器内の製品の温度、保持器の温度、蓋の温度、または保持器空間の外気の温度などを検出する温度センサを配置することができる。
続きを表示(全13行)
温度センサの例としては、熱電対、サーミスタ、抵抗温度検出器、白金抵抗温度計、有機液体充填温度計、または他のタイプの温度計が挙げられる。例えば、容器システムまたはその中の内容物の向きを検出するために、向きセンサを配置することができる。
方向センサの例としては、加速度計、ジャイロスコープ、圧電センサ、傾斜センサ、または傾斜スイッチが挙げられる。
例えば、リテーナ内にどれだけの製品が存在するかを検出するために、容積センサを配置することができる。容積センサは、センサ自体と製品の上面との間の距離を測定するように構成されたセンサを含むことができる。例えば、超音波は波動イニシエータから放出され、波受信機は、そのような波が跳ね返るのにかかる時間を測定することができる。別のタイプの容量センサは、第1の静電容量要素が製品の表面と相互作用する静電界を生成する静電容量感知を使用することができる。次いで、場分析要素が、そのような相互作用の後に場を測定し、そのような測定を使用して、容積センサと製品の表面との間の距離を計算することができる。
他の実施形態では、リテーナの内側または蓋の下降部分、ボリュームセンサが製品に接触している場合、ボリュームセンサの高さに沿って複数の容積センサを配置することができる。
そのような検知の実施形態は、「ポイントレベル測定」と呼ばれる場合がある。さらに追加の実施形態では、容量センサは、製品が存在するかどうか、存在する場合はどれだけ存在するかを感知するために、リテーナの全長または一部の長さまたは高さに沿って配置されるようなサイズおよび形状にすることができる。
製品が液体またはその他の導電性物質である場合、容量センサは連続静電容量または寄生静電容量を使用する場合がある。そのような容量センサは、センサが液体と直接接触する必要がないように、間接容量を使用することができ、代わりに、センサは材料または保護要素の何らかの層によって保護される。
容器システムの地理的位置を検出するように位置センサを構成することができる。位置センサの例には、全地球測位システム(GPS)、他の衛星ナビゲーションシステム、他の三角測量システム、コンパス、または磁場センサが含まれる。システムは位置センサを地図情報と組み合わせて使用し、ユーザが飲料ベンダー、他のレストラン、自動販売機、水飲み場、または製品に関連する他の場所の近くにいるかどうかを確認して警告することもできる。位置センサは、他の容器管理システムが近くにあるかどうかをディスプレイまたはコンピュータシステムで示すためにも使用され、場合によっては、特定の地理的領域(例えば、公園、建物、近隣、都市内)の他のユーザの位置または数を示すマップを生成することができる。マップに表示されるユーザは、ユーザが知っているかどうかに関係なく、以前に何らかのソーシャルネットワークを介して友人として識別されたユーザまたは他のユーザである可能性がある。また、特定の実施形態では、ユーザは、自分の位置を示す地図または他のインジケータをソーシャルネットワークにエクスポートすることができる。
圧力センサは、圧力が特定の閾値または範囲に達したときに、圧力の解放を検出し、場合によっては圧力の解放を引き起こすように構成され得る。例えば、スープや飲み物が腐敗してガスを放出し、それによって圧力が上昇した場合、圧力センサはこれを検出できる。
いずれのセンサも、デジタル形式またはアナログ形式の検出情報を含むセンサ出力を生成することができる。(検出された情報の一部がアナログ形式である場合、システムはそのような変換を容易にするためにアナログからデジタルへのコンバーターを含む場合がある。)センサ、またはシステム内の別のコンポーネントは、検出された情報を1つまたは複数のコンピュータ要素に送信できる。センサは、当技術分野で知られている任意の有線または無線通信システムを介してコンピュータ要素と通信することができる。」(第4ページ第24行から第7ページ第9行)
(カ)「本発明のシステム及び方法の実施例は1つまたは複数のコンピュータ要素を含む。コンピュータ要素の例には、プロセッサ、システムメモリ、キャッシュ、システムバス、シャーシ、ファン、電源、基本入出力システム(BIOS)、ハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、非一時的なコンピュータ可読媒体、およびUSBまたはシリアルポートが含まれる。
蓋またはリテーナの中または上に配置されたコンピュータ要素は、「内部コンピュータ要素」、および一般に蓋およびリテーナから分離されているコンピュータ要素は、本出願の目的のために「外部コンピュータ要素」と呼ばれる。内部コンピュータ要素のグループまたは外部コンピュータ要素のグループは、それぞれ内部コンピュータシステムまたは外部コンピュータシステム、または一般に「コンピュータシステム」を形成することができる。本発明のシステムおよび方法は、任意のタイプのコンピュータシステムを含むことができる。
外部コンピュータシステムの例には、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ネットブックコンピュータ、携帯情報端末、タブレット、スマートフォン、特定の他の種類の携帯電話、MP3、ウェアラブルコンピュータユニット(GooGle Glass〇R(当審注、“R”を丸囲みした登録商標を示すマークを代用記載した。)、コンピュータ化された腕時計、コンピュータ化されたグローブ、コンピュータ化された靴、e-テキスタイルなどのヘッドマウントユニットなど) またはその他のハンドヘルドまたはパーソナルコンピューティングデバイスが含まれる。」(第10ページ第5行から第22行)

(キ)「システム出力要素の例には、表示要素、音声出力要素、または触覚出力要素が含まれる。表示要素は、タッチスクリーン、非タッチディスプレイスクリーン(例えば、LCDスクリーンまたはLEDスクリーン)、アナログ表示要素、プロジェクタ、または単一または小グループの発光ダイオードであり得る。(ユーザは、表示要素を介してユーザインターフェイスにアクセスできる。)オーディオ出力要素は、どのような種類のスピーカーでもかまわない。触覚出力要素は、何らかの他の構成要素の動きまたは触覚応答を引き起こすように構成された振動要素または他の構成要素であり得る。」(第11ページ第7行から第14行)

(ク)「本発明の方法の実施形態は、センサを使用して、蓋、リテーナ、またはリテーナの内容物に関する情報(例えば、位置、充填量、蓋開口部のアクセス状態など)を検出することを含み得る。特定の情報が検出されると、その検出された情報は、場合によっては外部ソースの情報と組み合わせて、「計算された情報」と呼ばれる第2レベルの情報を計算または編集するために使用される場合がある。計算された情報には、計算された情報と統計情報が含まれる。それぞれについては、以下で詳しく説明する。場合によっては、センサを使用して情報を検出する前または後に、精度を向上させるためにセンサをゼロの読み取り値に校正することがある。」(第11ページ第15行から第24行)

(ケ)「本発明の追加の方法の実施形態は、センサを使用して状態を検出し、場合によっては、検出ステップを短期間に数回繰り返すことを含むことができる(例えば、1秒未満または1秒)。センサは、容器システムに配置された内部プロセッサに情報を送信することができる。ここで、内部プロセッサは、検出イベントのバーストから受信した読み取り値との差が重大であるかどうかを決める。あるいは、1つまたは複数のセンサが多数の読み取り値を取得し、内部プロセッサが意味のある時間間隔(たとえば、分数分の1、1分、3分、5分、10分、時間など)。 内部プロセッサは、時間で区切られた読み取り値の差を計算する場合がある。計算された情報は、有線通信システム(USBコードなど)または無線通信システム(Wi-Fi、Bluetooth、Zigbee、近距離無線通信、赤外線、ANT+、ワイヤレスUSB、Z-wave、IEEE標準802.15.4、IEEE標準802.22、RFID、またはその他の短距離無線通信技術、または長距離無線通信技術など)を介して外部コンピュータ要素に送信される。計算された情報は、内部プロセッサによる計算の完了時、一定量の情報が収集された後、一定の時間間隔で、または計算された情報が最近生成された計算された情報と異なる場合にのみ、外部のコンピュータ要素に送信される場合がある。
特定の実施形態では、内部コンピュータ要素は、計算された情報ではなく、処理されていない(例えば生の)検出情報を特定の外部コンピュータ要素に直接送信する。」(第11ページ第25行から第12ページ第19行)

(コ)「検出された情報および/または計算された情報は、外部コンピュータ要素(例えば、おそらくスマートフォンまたはアプリケーションソフトウェアの一部であるシステムメモリ)、内部コンピュータ要素(例えば、おそらく容器システムの一部である内部システムメモリ)、または他のシステムの場所に格納されてもよい。」(第13ページ第8行から第12行)

「さらに、検出された情報に通知をトリガーする情報が含まれている場合、ユーザインターフェイスは、プッシュ通知、電子メール、テキストメッセージ、アラート、アラーム、表示要素の表示の変更、またはユーザへの通知をトリガーする情報を伝えるように構成されたその他のメッセージなどの通知を提供する場合がある。
通知をトリガーする情報の例としては、リテーナまたはリテーナの内容物の温度が特定の温度(たとえば、内容物の魅力が低下する温度(たとえば、お茶やコーヒーが冷たすぎる)またはより魅力的である温度(例えば、紅茶やコーヒーは火傷の危険を最小限に抑えるために十分に冷めている)に達した、一定の時間が経過した(例えば、コーヒーポットのコーヒーが長時間放置され、苦すぎたり、酸化しすぎたりした、ティーバッグは、理想的な浸漬時間の後に取り出されるべきである、非常に多くの補充後にフィルターエレメントを交換する) ことが含まれる場合がある。ユーザインターフェースはまた、容器システムまたはその可能性のある内容に関連する情報をユーザが入力、追跡、または予測できるように構成することもできる。」(第15ページ第17行から第30行)

(サ)「表示要素の開口部は、図2Bに示される発光ダイオード(LED)などの第1の表示要素312A又は、・・・などの第2表示要素312Bに適合するようなサイズおよび形状にされ得る。」(第23ページ第29行から第24ページ第1行)

(シ)「図4Aに示すように、蓋支持要素306は、存在する場合、センサ、アクション要素、またはコンピュータ要素など、システムの特定の他の要素に対して構造的支持を提供するように構成される。」(第24ページ第9行から第11行)

(ス)「上部内側フレーム要素322Aは、小型コンピュータシステム500または様々なコンピュータ要素502を支持することができる。
図4Dに示されるように、集積回路基板342(少なくともプロセッサおよびシステムメモリを含むことができる)は、図示の実施形態ではネジとして示される固定要素319を介して上部内側フレーム要素322Aに固定され得る。」(第26ページ第4行から第9行)

(セ)「現在のシステムと方法それぞれがリテーナ、蓋、またはリテーナの内容物に関連する特性またはイベントを検出するように構成された、より多くの追加のセンサ。例えば、加速度計などの方位センサは、フレキシブルプリント回路基板または集積回路基板342に、またはそれらによって組み込まれてもよい。」(第29ページ第1行から第5行)

(ソ)「
[図:0001399960000001.jpg]
FIG.2B」
(タ)「
[図:0001399960000002.jpg]
FIG.2C」

イ 上記アで摘記した各事項から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。

(ア)上記ア(エ)の「リテーナは、製品を受けるように構成されたリテーナ本体を含むことができる」から、製品を保管するのに使用することのできるリテーナが記載されている。

(イ)上記ア(オ)の「リテーナ内にどれだけの製品が存在するかを検出するために、容積センサを配置」されるところ、「センサは、当技術分野で知られている任意の有線または無線通信システムを介してコンピュータ要素と通信することができる」から、リテーナとコンピュータ要素の間でセンサのデータを転送できる。

(ウ)リテーナは「集積回路基板342(少なくともプロセッサおよびシステムメモリを含むことができる)」(上記ア(ス))を有する。さらに、「方位センサは、フレキシブルプリント回路基板または集積回路基板342に、またはそれらによって組み込まれてもよい」(上記ア(セ))。したがって、集積回路基板はプロセッサ、メモリ及びセンサを有する。

(エ)上記ア(キ)、(サ)、(ソ)及び(タ)から、リテーナは、ユーザインターフェイスを有する。そして、上記ア(コ)から、「リテーナまたはリテーナの内容物の温度が特定の温度・・・に達した」場合や「一定の時間が経過した」場合などの、「検出された情報に通知をトリガーする情報が含まれている場合」には、前記ユーザインターフェイスは電子メールや表示要素の表示の変更を通じてユーザに通知する。そうすると、ユーザインターフェイスは、センサの検出値が一定値に達したことをユーザに通知するものである。

ウ 上記ア及びイの記載を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「製品を保管するのに使用することのできるリテーナであって、センサ及びシステムメモリと、リテーナとコンピュータ要素の間でデータを転送するための有線または無線通信システムとを含み、
前記リテーナは、前記センサ、システムメモリ及びプロセッサを有する集積回路基板をさらに含み、
前記リテーナのユーザインターフェイスは、前記センサの検出値が一定値に達したことをユーザに通知する、
前記リテーナ。」

(2)引用文献2

ア 引用文献2には、以下の事項が記載されている。なお、日本語訳は当審が付した。

(ア)「技術分野
本開示の実施形態は、ドラフト(ドラフト)ビールの在庫および流通など、在庫および流通に関連する情報の管理に関する。
本発明のさらなる実施形態は、生ビールおよび他のバルク飲料在庫の監視、ならびに自動注文、注文を促すこと、およびモバイルマーケティングを含む関連データ分析に関する。」(第1ページ第3行から第8行)
(イ)「バックグラウンド
レストランやバーなどの施設は、顧客が消費する飲料などの製品を流通業者から受け取ることがよくある。ある施設で特定の製品が不足すると、通常、施設は流通業者に連絡して、施設の製品在庫を再供給する。 ただし、このプロセスには時間がかかる場合がある。特に、特定の製品が樽などで大量に供給される場合など、施設が特定の製品の数量を確認することが難しい場合はそうである。本開示の発明者は、樽入りビールなどの特定の製品のサプライチェーンの改善が必要であることを認識した。本開示のある特徴は、これらおよび他の必要性に対処し、他の重要な利点を提供する。」(第1ページ第10行から第19行)
(ウ)「本開示の少なくとも1つの実施形態は、樽の底の下のこの空間に嵌合するなど、樽の底に取り付けられるセンサおよびトランスミッタ(センサ/トランスミッタと呼ばれることがある)を含む。一実施形態では、図1~3を参照すると、センサ100は一般に圧力センサであり、少なくとも1つの実施形態では、重量をフル樽の重量に較正されたアナログ値に変換するアナログ電子デバイスである。センサ100が樽の底に取り付けられると、センサ重量要素108は床に置かれる。一部の使用シナリオでは、樽が互いに積み重ねられている。このような状況では、システムベンダーは、樽の上部にフィットし、次の層にある樽センサ/送信機が置かれるように硬くて水平な表面を提供できる、硬質の硬質プラスチックのマット(図示せず)を提供できる。この積み重ねシナリオでは、下部の樽のセンサを調整して、上の樽との間で重量情報を転送するなどして、センサ重量要素 108 の上部に置かれている 2つ以上の樽が存在することを考慮することができる。図示の実施形態では、センサ100は、円形の中央部分を有し、接続ブラケットがほぼ星形の構成で外向きに延在しているが、他の形状も考えられる。
センサ100は樽の重量から圧力を記録する。最大容積および最大重量を有する満杯の樽の場合、センサは最大アナログ値を記録し、これは、本実施形態では、センサ/送信機ユニットのマイクロコントローラチップに搭載されたアナログデジタル変換器(ADC)によってデジタル値に変換される。いくつかの実施形態では、変換は8ビット値を使用するが、他の実施形態では、別の範囲のデジタル出力(0~20など、または他の実施形態では、0~10、0~50、0~100、0~100、0~240)を使用する。この後者の形式を例として使用すると、樽が空になると、値が20から19、18、17などに変化し、0(ゼロ)まで下がる。これは、空の樽の重量に対応する値である。樽のセンサ/送信機の電子機器は、0~20の重量値を樽送信機に伝えられる。樽の送信機は、樽の底に収納することができ、樽のセンサに有線(または無線)で接続されている。本実施形態では、樽の送信機は、ローカルアップリンク/ゲートウェイ(ZigBeeプロトコル、Bluetoothプロトコル、他のIEEE802.15、IEEE802.11、または類似の無線プロトコルを利用して)、つまり、より大きなネットワーク(携帯電話ネットワークまたはメッシュネットワーク)で通信する。代替の実施形態は、本開示を考慮して当業者に想起されるように、代替の無線データ伝送技術を利用する。」(第9ページ第13行から第10ページ第7行)
(エ)「センサ200は、樽内の流体の特性に関する情報を含む電子デバイス(通常、RFIDデバイスなどの樽に取り付けられている)からデータを受信する受信機204をさらに含む。(本明細書で使用される場合、樽内の液体の特徴には、ブランド名、種類、製造日、または流通業者、小売業者、または消費者が関心を持つ液体に関する他の特徴が含まれるが、これらに限定されない。)受信機204は、受信機カバー204aによって覆われたコンパートメント(例えば、受信機空洞204d)内に収容されてもよく、オプションで防水ストリップ204bを含んでもよい。 受信機204はまた、受信機204と同じコンパートメント内に収容され得るアンテナ205を含み得る。 受信機204および/またはアンテナ205は、プリント回路基板(PCB)であってもよい。
センサ200は、無線ネットワークと通信し、センサ200が取り付けられた樽内の流体の特性に関する情報および/または無線ネットワークへの樽の重量に関する情報を送信することができる送信機206をさらに含む(受信機204を介して樽に関連付けられたRFID装置220から受信され得る)。(例えば、図14を参照。)送信機206は、送信機カバー206aによって覆われたコンパートメント(例えば、送信機キャビティ206c)に収容されてもよく、オプションの防水ストリップ206bが含まれて、水が送信機コンパートメントに入るのを阻止してもよい。一実施形態では、送信機206は、例示的な送信機206によって示されるように外観が比較的平坦であり、プリント回路基板(PCB)上にあってもよい。
代替実施形態では、受信機204は、樽内に含まれる液体に関する情報を含む樽に関連付けられた電子デバイス(例えば、RFIDデバイス)との双方向通信が可能な受信機および送信機の両方である。
代替実施形態では、送信機206は、無線ネットワークとの双方向通信が可能な受信機および送信機である。」(第12ページ第1行から第24行)

(オ)「可聴信号(チャイム、ベル、アラーム、ブザー、またはその他のノイズメーカーなど)または視覚信号(LED、電球など、点滅など)を生成する信号装置は、開示されたシステムにオプションで含まれている。いくつかの実施形態では、信号装置はセンサと通信しており、センサに取り付けられてもよい。信号装置は、1つまたは複数の所定の基準が満たされると個人に警告するように設計されている。例えば、センサは、センサに関連付けられた樽が空であると判断されたとき、空であることを超える所定の重量で、low batter level(当審注;原文ママ)の場合、またはその他の場合に、可聴信号装置を起動するように設計されたプログラミングロジックを含むことができる。 いくつかの実施形態では、シグナリングの所定の基準は、特定の地理的位置でのセンサの検出、または温度、加速度、重量、または液体の流れの特定の値への到達を含むが、これらに限定されない。別の例では、信号装置は、ユーザ(例えば、小売業者)が信号装置に関連付けられた樽に関連するアラートを受信すると起動するように構成され得る。」(第37ページ第14行から第26行)

(カ)「加速度計を樽に取り付け、加速度計はワイヤレス電子通信デバイスと通信する。加速度計によって収集された加速度情報をワイヤレス電子通信デバイスからセンサ/送信機に転送する。加速度に関する情報をセンサ/送信機から無線ネットワークを介してコンピュータのデータベースに送信する。
コンピュータデータベースに転送される化学的特性には、液体の糖分および/またはアルコール分に関する情報が含まれる。
重量センサを樽に取り付け、重量センサは無線電子通信装置と通信する。重量センサによって収集された重量情報をワイヤレス電子通信デバイスからセンサ/送信機に転送する。無線ネットワークを介して、重量に関する情報をセンサ/送信機からコンピュータのデータベースに送信する。
樽に温度センサを取り付け、重量センサは無線電子通信装置と通信する。温度センサによって収集された温度情報をワイヤレス電子通信デバイスからセンサ/送信機に転送する。温度に関連する情報をセンサ/送信機からワイヤレスネットワークを介してコンピュータデータベースに送信する。
温度が閾値を超えると、樽に関する温度情報がコンピュータデータベースに送信される。
樽に関する温度情報は、所定の間隔でコンピュータデータベースに送信される。
加速度が閾値を超えると、樽に関する加速度情報がコンピュータデータベースに送信される。」(第67ページ第7行から29行)
(キ)「
[図:0001399960000003.jpg]
」(FIG.14)

イ 上記アの記載を総合すると、引用文献2には、次の事項(以下「引用文献2に記載された事項」という。)が記載されている。

「製品を保管するのに使用することのできる樽において、
樽には当該樽の重量を把握するための圧力センサが取り付けられ、
当該圧力センサに取り付けられた信号装置は、当該圧力センサから得られた値について1つまたは複数の所定の基準が満たされると警告を送ることができること。」

2 当審の判断(1)対比

本願発明と引用発明とを対比する。

引用発明の「製品を保管するのに使用することのできるリテーナ」は「容器」である限りにおいて、本願発明の「バルク商品を保管するのに使用することのできる容器」に一致する。

引用発明の「リテーナとコンピュータ要素の間でデータを転送するための有線または無線通信システム」は「データを転送するための通信ユニット」である限りにおいて、本願発明の「容器と受信器の間でデータを転送するための通信ユニット」に一致する。

引用発明の「センサ」、「システムメモリ」はそれぞれ、本願発明の「第1センサ」、「情報記憶デバイス」に相当する。

引用発明の「集積回路基板」は、「回路基板」である限りにおいて、本願発明の「プリント回路基板、フレキシブルプリント回路基板」「からなる群から選択され」る「電子デバイス」に一致する。

したがって、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、相違する。

<一致点>

「容器であって、データを転送するための通信ユニットを含み、
第1センサ及び情報記憶デバイスを含み、
回路基板を含む、前記容器。」

<相違点1>

容器について、本願発明は保管されるものが「バルク商品」であるのに対して、引用発明は保管されるものが「製品」であってバルク商品であるか不明な点。

<相違点2>

データを転送するための通信ユニットについて、本願発明では、容器と「受信器」との間で行われるのに対して、引用発明では、リテーナと「コンピュータ要素」との間で行われる点。

<相違点3>

回路基板について、本願発明は、「第1センサもしくは情報記憶デバイスまたはその両方であ」る「第1デバイス」を有し、「前記第1デバイスに接続され」る、「プリント回路基板、フレキシブルプリント回路基板、有機電子デバイス、または有機材料および無機材料を含む電子デバイス」を有するのに対し、

引用発明は、「前記センサ、システムメモリ及びプロセッサを有する集積回路基板」である点。

<相違点4>

本願発明は、「電子デバイスは、前記第1センサから得られたデータの解析を実施し、前記第1センサから得られた1以上の値が所定の範囲外であるときに信号を送ることができる」のに対し、引用発明は、「前記リテーナのユーザインターフェイスは、前記センサの検出値が一定値に達したことをユーザに通知する」点。

(2)判断

ア 相違点1について

本願発明の「バルク商品」の意味するところについて、本願明細書には、「個別に包装されていない(例えば、単独使用部分として包装されていない)」(【0008】)ものとされ、容器として「ドラム缶」(【0009】)が例示されている。したがって、「ドラム缶」に保管される内容物も「個別に包装されていない(例えば、単独使用部分として包装されていない)」から「バルク商品」であるといえる。

そして、引用発明においても、容器としてドラム缶も想定されている(上記1(1)ア(エ))から、ドラム缶に保管されるものとしてバルク商品とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

イ 相違点2について

引用発明はリテーナ(本願発明の「容器」に相当。以下同様。)と「コンピュータ要素」との間でデータの転送を行うものであるところ、コンピュータ要素を、データを受信する受信器として機能させることは常套手段であるから、引用発明においてコンピュータ要素を受信器とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

ウ 相違点3について

電子回路基板の技術分野において、制御回路上の主要要素であるセンサ、システムメモリ及びプロセッサの機能を有する回路部分をどのように分割・統合して設置するかは回路設計上の設計的事項である。

そうすると、引用発明におけるセンサ、システムメモリ及びプロセッサの機能を有する回路部分を、センサ及びシステムメモリを有する回路部分(本願発明の「第1デバイス」に対応)と、それに接続される他の回路部分(同「電子デバイス」に対応)とに分割して配置する構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、その際に、集積回路基板としてプリント回路基板、フレキシブルプリント回路基板、さらには有機電子デバイス、または有機材料および無機材料を含む電子デバイスとすることは、回路設計上の常套手段の選択に過ぎず、格別の創意を要しない。

エ 相違点4について

引用発明は、リテーナ(容器)に設けたセンサの検出値が一定値に達したことをユーザに通知するものであり、また、引用文献1にはセンサとして圧力センサも記載されている(上記1(1)ア(オ))。そして、引用文献2に記載された事項は、圧力センサに取り付けられた信号装置が、当該圧力センサから得られた値について1つまたは複数の所定の基準が満たされると警告を送ることができるものであるから、両者は、センサ付き容器という共通の技術分野に属すると共にセンサ検出値に基づいて通知を行うという同様の機能を有するものである。

また、上記1(1)ア(コ)にあるように、引用文献1には、通知の形態として、信号の発信を伴う「電子メール」も例示されている。

そうすると、引用発明において、センサの検出値が一定値に達したことをユーザに通知する構成として、通知のための信号を発する信号装置をセンサに取り付ける構成とすることは、引用文献1の上記例示及び引用文献2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、引用発明の集積回路基板はセンサ及びプロセッサを有しており、引用文献2に記載された事項における信号装置もセンサに取り付けられているから、引用発明のセンサに信号装置を取り付けた際に、プロセッサを有する集積回路基板(回路基板からなる電子デバイス)に信号装置の機能を併せ、該集積回路基板(回路基板からなる電子デバイス)が信号を送るものとし、また、集積回路基板(回路基板からなる電子デバイス)はプロセッサを有していることから、引用発明において検出値が一定値に達したかどうかを判断するために、電子デバイスがデータの解析を実施するものとすることに、格別の創意を要しない。

なお、引用発明においてユーザに通知する条件を、「一定値に達した」に代えて「所定の範囲外」とすることは、設計事項に過ぎない。

オ 効果

そして、本願発明は、全体としてみても、引用発明及び引用文献2に記載された事項から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。

3 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-003077

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