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特許拒絶査定不服審判

2024-006690

液晶媒体

審判番号
2024-006690
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-117577
請求日
2024年04月19日
審決日
2025年10月03日
公報発行日
2026年03月27日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
  • 【請求人代理人】伊藤 克博
審判長/審判官
  • 審判長 岡田 吉美
  • 審判官 吉野 三寛
  • 審判官 野村 伸雄
分類
P18 .55 -Z (C09K) / P18 .536-Z (C09K) / P18 .121-Z (C09K) / P18 .575-Z (C09K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法17条の2第3項特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第36条、特許法第29条第2項、特許法第44条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-117577「液晶媒体」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年11月25日出願公開、特開2021-181569〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 1 出願分割の経緯の概略 本願は、令和3年7月16日にされた特許法44条1項の規定による特許出願であって(パリ条約による優先権主張 2012年8月31日 欧州特許庁 2012年10月17日 米国)、平成25年8月30日に出願した特願2013-179367号を最先の出願とする、いわゆる第2世代の分割出願であるところ、出願の分割の経緯は、次のとおりである。なお、括弧内は当該出願の提出日を示す。 最先の出願 :特願2013-179367号(平成25年8月30日) 第1世代分割:特願2018-166898号(平成30年9月 6日) 第2世代分割:特願2021-117577号(令和 3年7月16日) 2 本願の手続の経緯の概略 本願の出願後の手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和3年 7月30日 :手続補正書の提出 令和4年 8月 5日付け:拒絶理由通知書 令和5年 2月 8日 :意見書、手続補正書の提出 同年 5月16日付け:拒絶理由通知書(最後) 同年10月 5日 :意見書、手続補正書の提出 同年12月14日付け:補正の却下の決定 同日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月19日 :原査定の謄本の送達) 令和6年 4月19日 :審判請求書、手続補正書の提出 以下、2012年(平成24年)8月31日を「優先日」という。 第2 令和6年4月19日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年4月19日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 補正の内容 (1) 本件補正についての請求人の説明 令和6年4月19日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正をするものであるところ、本件補正後の請求項1及び請求項2は、いずれも他の請求項を引用しない形式の請求項(いわゆる「独立形式の請求項」)である。 当該請求項1及び請求項2について、請求人は、審判請求書において、令和5年12月14日付け補正の却下の決定により却下された令和5年10月5日付け手続補正書に記載された請求項1及び請求項2と同一の内容である旨説明している。 そこで、令和5年10月5日付け意見書を参照すると、請求項2については、旧請求項1を旧請求項9で限定して、独立形式の新請求項2とした旨説明している。 (2) 本件補正後の請求項2と本件補正前の請求項1 本件補正により、次のアに示す本件補正前(令和5年2月8日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記イに示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項2に記載に補正された。下線は補正箇所を示す。 ア 本件補正前 「【請求項1】 正の誘電異方性を有する液晶媒体であって、 1種類以上の式Iの化合物と、 式D3、D4、D5、Xa~Xd、XfおよびXIaの化合物から選択される1種類以上の化合物と、 液晶媒体全体に対して40重量%以上の合計濃度で、式CC-n-VおよびCC-n-V1から選択される1種類以上の化合物とを含む液晶媒体。 【化1】 [図:0001432532000001.jpg] (式中、 R1は1~15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を表し、ただし加えて、これらの基における1個以上のCH2基は、それぞれ互いに独立に、O原子が互いに直接連結しないようにして、-C≡C-、-CF2O-、-CH=CH-、 【化2】 [図:0001432532000002.jpg] -O-、-CO-O-または-O-CO-で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子はハロゲン原子で置き換えられていてもよい。) 【化3】 [図:0001432532000003.jpg] (式中、 R0は1~15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を表し、ただし加えて、これらの基における1個以上のCH2基は、それぞれ互いに独立に、O原子が互いに直接連結しないようにして、-C≡C-、-CF2O-、-CH=CH-、 【化4】 [図:0001432532000004.jpg] -O-、-CO-O-または-O-CO-で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子はハロゲン原子で置き換えられていてもよく、 X0は、F、Cl、1~6個のC原子を有し一フッ素化または多フッ素化されたアルキルまたはアルコキシ基、2~6個のC原子を有し一フッ素化または多フッ素化されたアルケニルまたはアルケニルオキシ基を表し、 Y1およびY2は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表す。) 【化5】 [図:0001432532000005.jpg] [図:0001432532000006.jpg] (式中、 R0は1~15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を表し、ただし加えて、これらの基における1個以上のCH2基は、それぞれ互いに独立に、O原子が互いに直接連結しないようにして、-C≡C-、-CF2O-、-CH=CH-、 【化6】 [図:0001432532000007.jpg] -O-、-CO-O-または-O-CO-で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子はハロゲン原子で置き換えられていてもよく、 X0は、F、Cl、1~6個のC原子を有し一フッ素化または多フッ素化されたアルキルまたはアルコキシ基、2~6個のC原子を有し一フッ素化または多フッ素化されたアルケニルまたはアルケニルオキシ基を表し、 Y1およびY2は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表す。) 【化7】 [図:0001432532000008.jpg] (式中、 nは、1~15の整数を表す。)」 イ 本件補正後 「【請求項2】 正の誘電異方性を有する液晶媒体であって、 1種類以上の式Iの化合物と、 式D3、D4、D5、Xa~Xd、XfおよびXIaの化合物から選択される1種類以上の化合物と、 液晶媒体全体に対して40重量%以上の合計濃度で、式CC-n-VおよびCC-n-V1から選択される1種類以上の化合物とを含む液晶媒体であって、 式APUQU-n-FまたはPGUQU-n-Fの化合物から成る群より選択される1種類以上の化合物を含む液晶媒体。 【化9】 [図:0001432532000009.jpg] (式中、 R1は1~15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を表し、ただし加えて、これらの基における1個以上のCH2基は、それぞれ互いに独立に、O原子が互いに直接連結しないようにして、-C≡C-、-CF2O-、-CH=CH-、 【化10】 [図:0001432532000010.jpg] -O-、-CO-O-または-O-CO-で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子はハロゲン原子で置き換えられていてもよい。) 【化11】 [図:0001432532000011.jpg] (式中、 R0は1~15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を表し、ただし加えて、これらの基における1個以上のCH2基は、それぞれ互いに独立に、O原子が互いに直接連結しないようにして、-C≡C-、-CF2O-、-CH=CH-、 【化12】 [図:0001432532000012.jpg] -O-、-CO-O-または-O-CO-で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子はハロゲン原子で置き換えられていてもよく、 X0は、F、Cl、1~6個のC原子を有し一フッ素化または多フッ素化されたアルキルまたはアルコキシ基、2~6個のC原子を有し一フッ素化または多フッ素化されたアルケニルまたはアルケニルオキシ基を表し、 Y1およびY2は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表す。) 【化13】 [図:0001432532000013.jpg] [図:0001432532000014.jpg] (式中、 R0は1~15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を表し、ただし加えて、これらの基における1個以上のCH2基は、それぞれ互いに独立に、O原子が互いに直接連結しないようにして、-C≡C-、-CF2O-、-CH=CH-、 【化14】 [図:0001432532000015.jpg] -O-、-CO-O-または-O-CO-で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子はハロゲン原子で置き換えられていてもよく、 X0は、F、Cl、1~6個のC原子を有し一フッ素化または多フッ素化されたアルキルまたはアルコキシ基、2~6個のC原子を有し一フッ素化または多フッ素化されたアルケニルまたはアルケニルオキシ基を表し、 Y1およびY2は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表す。) 【化15】 [図:0001432532000016.jpg] (式中、 nは、1~15の整数を表す。) 【化16】 [図:0001432532000017.jpg] (式中、 nは、それぞれ1~15の整数を表す。)」 2 新規事項について (1) 補正事項A 本件補正後の請求項2の記載は、発明を特定するために必要な事項として次の技術事項(以下「技術事項A」という。)を含むところ、以下に詳細に検討するとおり、技術事項Aを追加する補正はいわゆる新規事項を追加するものであるから、本件補正は特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。なお、下線は審判合議体が付したものである。以下、同様である。 <技術事項A> 「液晶媒体全体に対して40重量%以上の合計濃度で、式CC-n-VおよびCC-n-V1から選択される1種類以上の化合物を含むこと。 【化15】 [図:0001432532000018.jpg] (式中、 nは、1~15の整数を表す。)」 (2) 当初明細書等の記載 本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、それぞれ「当初明細書」などといい、まとめて「当初明細書等」という。)には、以下の記載がある。 ア 【0001】~【0028】 【技術分野】 【0001】 本発明は、液晶媒体(LC媒体:liquid-crystalline媒体)と、電気光学的目的のためのそれの使用と、この媒体を含有するLCディスプレイとに関する。 【背景技術】 …(中略)… 【0014】 テレビおよびビデオ用途向けには、現実に近い品位で、例えば、映画およびビデオゲームなどのマルチメディアコンテンツを再生できるためには、速い応答時間を有するディスプレイが必要である。特に、粘度、特に、回転粘度γ1について低い値を有し、高い光学的異方性(Δn)を有する液晶媒体を使用すれば、その様な短い応答時間を達成できる。 【0015】 シャッターメガネによって3D効果を達成するために、低い回転粘度と、対応して高い光学的異方性(Δn)とを有する高速スイッチング混合物が特に使用される。ディスプレイの2次元的表示を3次元的な裸眼立体表示に切り替えることのできる電気光学的レンズ系を、高い光学的異方性(Δn)を有する混合物を使用して達成できる。 【0016】 よって、非常に高い比抵抗を有すると同時に、広い動作温度範囲、低温においても短い応答時間および低い閾電圧を有しており、これらの不都合を有していないか、低減された程度にのみ有するMLCディスプレイが引き続き強く要求されている。 【0017】 TN(Schadt-Helfrich)セルの場合、セル中で以下の利点を容易にする媒体が望まれる: -広げられたネマチック相範囲(特に、低い温度まで)、 -極度に低い温度でのスイッチ能力(屋外使用、自動車、航空)、 -UV放射に対する増大された抵抗(より長い寿命)、 -低い閾電圧。 【0018】 先行技術から入手可能な媒体では、同時に他のパラメーターを保持しながらこれらの利点を達成することはできない。 【0019】 スーパーツイスト(STN:supertwisted nematic)セルの場合には、より大きなマルチプレックス能力および/またはより低い閾電圧および/またはより広いネマチック相範囲(特に、低温において)を可能とする媒体が望まれる。この目的のために、利用可能なパラメーターの自由度(透明点、スメクチック-ネマチック相転移または融点、粘度、誘電パラメーター、弾性パラメーター)を更に広げることが、至急望まれている。 【0020】 最近のLCDの最も重要な特性の1つに、動画の補正再生がある。液晶媒体の応答速度が遅すぎると、そのようなコンテンツの望ましくないアーチファクトがディスプレイにおいて発生する。液晶混合物の応答時間を本質的に決定する物理的パラメーターは、回転粘度γ1および弾性定数である。後者は、また、LCDの良好な暗状態を確かなものとするためにも特に重要である。しかしながら、一般に、弾性定数の増加に伴い、混合物の透明点、よって、混合物の回転粘度も増加することが観察され、これは、応答時間の改良は不可能であることを意味する。特に、テレビおよびビデオ用途(例えば、LCD TV、モニター、PDA、ノート型パソコン、ゲーム機コンソール)向けのLCディスプレイの場合、応答時間を著しく短縮することが望まれる。理論的にはLCセルにおけるLC媒体の層厚d(「セルギャップ」)を小さくすると結果として応答時間がより速くなるが、適切な光学的リターデーション(d・Δn)を確実とするためには、より高い複屈折率Δnを有するLC媒体が必要となる。しかしながら、また、従来技術より既知の高い複屈折率のLC材料は一般に同時に高い回転粘度を有し、応答時間に悪影響を有することとなる。 【0021】 従って、速い応答時間、低い回転粘度および比較的高い複屈折率を同時に有するLC媒体に対する要求がある。 …(中略)… 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0024】 本発明は、特に、このタイプのMLC、TN、STN、OCB、正VA、FFS、PS(polymer stabilised:ポリマー安定化)-FFS、IPS、PS-IPSディスプレイ用で、上で示した所望の特性を有し、上で示した不具合を示さないか、低減された程度にのみ示す媒体を提供する目的に基づく。特に、LC媒体は、速い応答時間および低い回転粘度と同時に、比較的高い複屈折率を有していなければならない。加えて、LC媒体は、高い透明点、高い誘電異方性、低い閾電圧および非常に良好な低温安定性(low-temperature stability:LTS)を有していなければならない。 【課題を解決するための手段】 【0025】 ここで、式Iの1種類以上の化合物を含むLC媒体を使用すれば、この目的を達成できることが見出された。 【0026】 本発明は、式Iの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする液晶媒体に関する。 【0027】 【化1】 [図:0001432532000019.jpg] 式中、 R1は1~15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を表し、ただし加えて、これらの基における1個以上のCH2基は、それぞれ互いに独立に、O原子が互いに直接連結しないようにして、-C≡C-、-CF2O-、-CH=CH-、 【0028】 【化2】 [図:0001432532000020.jpg] -O-、-CO-O-または-O-CO-で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子はハロゲン原子で置き換えられていてもよい。」 イ 【0029】~【0050】 「【発明を実施するための形態】 【0029】 式Iの化合物の結果、上で示した所望の特性を有するLC混合物、特に、非常に低い回転粘度を有するLC混合物を得る。本発明による混合物は非常に高い弾性定数を有し、よって、非常に良好な応答時間が可能となる。更に、本発明による混合物は少なくとも-20℃において安定であり、結晶化する傾向を示さない。回転粘度γ1は、一般的に、120mPa・s未満である。更に、本発明による混合物は、回転粘度γ1と透明点との非常に良好な比、高い値の光学的異方性Δεおよび高い複屈折率Δnと、ならびに、速い応答時間、低い閾電圧、高い透明点、高い正の誘電異方性および広いネマチック相範囲によって際立っている。更に、式Iの化合物は、液晶媒体中において、非常に容易に溶解できる。 【0030】 式Iの化合物は広い範囲の用途を有しており、特に、非常に高い弾性定数によって際立っている。置換基の選択に依存して、式Iの化合物は液晶媒体を主に構成する基礎材料として働き得るが、例えば、このタイプの誘電体の誘電的および/または光学的異方性に影響を与えるために、および/または、このタイプの誘電体の閾電圧および/または回転粘度を最適化するために、式Iの化合物に、他の種類の化合物からの液晶基礎材料を加えることもできる。その結果、本発明によるLC混合物は、高い弾性定数によって、ディスプレイのコントラストにとって重要なディスプレイの良好な暗状態をを支持し、同時に、非常に良好な応答時間が可能となる。 …(中略)… 【0040】 更に好ましい実施形態を下に示す。 【0041】 ・媒体は、式IIおよび/またはIIIの1種類以上の中性化合物を追加的に含む。 【0042】 【化5】 [図:0001432532000021.jpg] 式中、 Aは、1,4-フェニレンまたはトランス-1,4-シクロヘキシレンを表し、 aは、0または1であり、 R3は、2~9個のC原子を有するアルケニルを表し、 および、R4は式IにおいてR1に示される意味を有し、好ましくは、1~12個のC原子を有するアルキルまたは2~9個のC原子を有するアルケニルを表す。 …(中略)… 【0049】 式Iの1種類以上の化合物に加えて、本発明による液晶媒体は、好ましくは、5~70重量%、特に10~50重量%、非常に特に好ましくは20~45%重量の下式の化合物を含む。 【0050】 【化10】 [図:0001432532000022.jpg] ・式IIIの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。」 ウ 【実施例】(【0211】~【0283】) 「【実施例】 【0211】 …中略… <混合物例> …(中略)… 【0219】 【表27】 [図:0001432532000023.jpg] <例2> PS-IPS混合物を調製するために、0.25%の化合物RM-1を混合物M1に添加する。 【0220】 【化62】 [図:0001432532000024.jpg] 【0221】 【表28】 [図:0001432532000025.jpg] <例M4> PS-FFS混合物を調製するために、0.3%の化合物RM-41を混合物M3に添加する。 【0222】 【化63】 [図:0001432532000026.jpg] 【0223】 【表29】 [図:0001432532000027.jpg] <例M6> PS-FFS混合物を調製するために、0.25%の化合物RM-1を混合物M5に添加する。 【0224】 【化64】 [図:0001432532000028.jpg] <例M7> PS-IPS混合物を調製するために、0.25%の化合物RM-17を混合物M5に添加する。 【0225】 【化65】 [図:0001432532000029.jpg] 【0226】 【表30】 [図:0001432532000030.jpg] <例M9> PS-FFS混合物を調製するために、0.25%の化合物RM-1を混合物M8に添加する。 【0227】 【化66】 [図:0001432532000031.jpg] <例M10> PS-FFS混合物を調製するために、0.2%の化合物RM-61を混合物M8に添加する。 【0228】 【化67】 [図:0001432532000032.jpg] 【0229】 【表31】 [図:0001432532000033.jpg] <例M12> PS-FFS混合物を調製するために、0.25%の化合物RM-1を混合物M11に添加する。 【0230】 【化68】 [図:0001432532000034.jpg] <例M13> PS-IPS混合物を調製するために、0.3%の化合物RM-80を混合物M11に 添加する。 【0231】 【化69】 [図:0001432532000035.jpg] 【0232】 【表32】 [図:0001432532000036.jpg] <例M12> PS-IPS混合物を調製するために、0.25%の化合物RM-17を混合物M12に添加する。 【0233】 【化70】 [図:0001432532000037.jpg] 【0234】 【表33】 [図:0001432532000038.jpg] <例M14> PS-FFS混合物を調製するために、0.25%の化合物RM-1を混合物M13に添加する。 【0235】 【化71】 [図:0001432532000039.jpg] 【0236】 【表34】 [図:0001432532000040.jpg] 【0237】 【表35】 [図:0001432532000041.jpg] 【0238】 【表36】 [図:0001432532000042.jpg] <例M18> PS-FFS混合物を調製するために、0.25%の化合物RM-1を混合物M17に添加する。 【0239】 【化72】 [図:0001432532000043.jpg] 【0240】 【表37】 [図:0001432532000044.jpg] 【0241】 【表38】 [図:0001432532000045.jpg] 【0242】 【表39】 [図:0001432532000046.jpg] 【0243】 【表40】 [図:0001432532000047.jpg] 【0244】 【表41】 [図:0001432532000048.jpg] 【0245】 【表42】 [図:0001432532000049.jpg] 【0246】 【表43】 [図:0001432532000050.jpg] 【0247】 【表44】 [図:0001432532000051.jpg] 【0248】 【表45】 [図:0001432532000052.jpg] 【0249】 【表46】 [図:0001432532000053.jpg] 【0250】 【表47】 [図:0001432532000054.jpg] 【0251】 【表48】 [図:0001432532000055.jpg] 【0252】 【表49】 [図:0001432532000056.jpg] 【0253】 【表50】 [図:0001432532000057.jpg] 【0254】 【表51】 [図:0001432532000058.jpg] 【0255】 【表52】 [図:0001432532000059.jpg] 【0256】 【表53】 [図:0001432532000060.jpg] 【0257】 【表54】 [図:0001432532000061.jpg] 【0258】 【表55】 [図:0001432532000062.jpg] 【0259】 【表56】 [図:0001432532000063.jpg] 【0260】 【表57】 [図:0001432532000064.jpg] 【0261】 【表58】 [図:0001432532000065.jpg] 【0262】 【表59】 [図:0001432532000066.jpg] 【0263】 【表60】 [図:0001432532000067.jpg] 【0264】 【表61】 [図:0001432532000068.jpg] 【0265】 【表62】 [図:0001432532000069.jpg] 【0266】 【表63】 [図:0001432532000070.jpg] 【0267】 【表64】 [図:0001432532000071.jpg] 【0268】 【表65】 [図:0001432532000072.jpg] 【0269】 【表66】 [図:0001432532000073.jpg] 【0270】 【表67】 [図:0001432532000074.jpg] 【0271】 【表68】 [図:0001432532000075.jpg] 【0272】 【表69】 [図:0001432532000076.jpg] 【0273】 【表70】 [図:0001432532000077.jpg] 【0274】 【表71】 [図:0001432532000078.jpg] 【0275】 【表72】 [図:0001432532000079.jpg] 【0276】 【表73】 [図:0001432532000080.jpg] 【0277】 【表74】 [図:0001432532000081.jpg] <例M57> PS-IPS混合物を調製するために、0.3%の化合物RM-1を混合物M56に添加する。 【0278】 【化73】 [図:0001432532000082.jpg] <例M58> PS-FFS混合物を調製するために、0.3%の化合物RM-41を混合物M56に添加する。 【0279】 【化74】 [図:0001432532000083.jpg] 【0280】 【表75】 [図:0001432532000084.jpg] 【0281】 【表76】 [図:0001432532000085.jpg] 【0282】 【表77】 [図:0001432532000086.jpg] 【0283】 【表78】 [図:0001432532000087.jpg] LC混合物M62は、3Dレンズディスプレイ用途に特に適している。」 (3) 新規事項の判断 ア 濃度の上限の捨象の問題 (ア) 技術事項Aは、「液晶媒体全体に対して40重量%以上の合計濃度で、式CC-n-VおよびCC-n-V1から選択される1種類以上の化合物を含むこと(化学式は省略)」であり、「式CC-n-VおよびCC-n-V1から選択される1種類以上の化合物」の合計濃度(以下「式CC-n-VとCC-n-V1の合計濃度」という。)について上限値の記載は無い。 すなわち、技術事項Aは「式CC-n-VとCC-n-V1の合計濃度」の概念を明示的に含むものであるところ、当該濃度の値の上限に定めがないから、前記濃度の値が例えば99%であるものも包摂するものである。 (イ) 当初明細書の発明の詳細な説明のうち、【実施例】(【0211】~【0283】)の記載を参照しても、「式CC-n-VとCC-n-V1の合計濃度」としては、【0263】に記載の<例M42>の55%が最高値であるし、この例は、「式D3、D4、D5、Xa~Xd、XfおよびXIaの化合物から選択される1種類以上の化合物」が包含されていないから、本件補正後の請求項2に係る発明の実施例ではない。 本件補正後の請求項2に係る発明の実施例としては、【0262】に記載の<例M41>の49%が、「式CC-n-VとCC-n-V1の合計濃度」の最高値である。 (ウ) しかも、前記(2)アに摘記した本願明細書の発明の詳細な説明の記載事項を参酌すると、本件補正後の請求項2に係る発明は「1種類以上の式Iの化合物」を含むことを課題解決のための重要な構成としている発明であるところ、当該発明の実施例の記載においては、その含有量としては例M55の2.50%が最小値であり、「式CC-n-VとCC-n-V1の合計濃度」が99%のようなもの(この場合、「1種類以上の式Iの化合物」の濃度は1%未満となる。)は、当初明細書等の記載からは認識することができない。 (エ) 以上のとおりであるから、「式CC-n-VとCC-n-V1の合計濃度」について適切な上限の設定のない技術事項Aを含む本件補正は、当初明細書等に記載された全ての事項を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。 イ 「式CC-n-VとCC-n-V1」だけに着目する問題 (ア) さらには、技術事項Aは、【0041】や【0113】に記載された中性の化合物であって「式CC-n-VとCC-n-V1」以外の中性の化合物の濃度については特定が無いから、当該濃度の如何によらず、あるは、当該濃度を捨象して、中性の化合物のうちの「式CC-n-VとCC-n-V1の合計濃度」だけに依存する作用効果の存在を含意することになるところ、当該技術事項は当初明細書等の記載からは認識することができない。 (イ) したがって、中性の化合物のうち「式CC-n-VとCC-n-V1」だけの濃度を特定する技術事項Aを含む本件補正は、当初明細書等に記載された全ての事項を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。 ウ 請求人の主張について 請求人は、補正事項Aの適法性に関連する主張として、次のことを主張している。 本願実施例について、誘電的に中性の化合物として式Iに属する化合物CC-3-2V1、並びにCC-3-V及びCC-3-V1の全てを含んでおり、これ以外に誘電的に中性の化合物を含まない混合物例に着目すると、化合物CC-3-VおよびCC-3-V1の合計濃度は40.0~44.0重量%の範囲内であり、請求項3に係る補正は、本願実施例から自明な事項であり、当該補正は新規事項の追加には当たらない。 しかしながら、当該主張は、本件補正後の請求項3についての主張であって、本件補正後の請求項2に対する主張ではないから、前記ア及びイの結論を左右するものではない。 (4) 新規事項の有無及び本件補正の適否についてのまとめ 以上のとおり、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてしたものであるとはいえないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 3 独立特許要件について 前記2において検討したように、本件補正は当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではないところ、この点を措(お)くとしても、以下に詳細に検討するとおり、本件補正後における請求項2に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものであるとの結論に変わりはない。 (1) 補正の目的 ア 本件補正のうち請求項2についてする補正は、本件補正前の請求項1に記載された「液晶媒体」について、次の限定をするものである。 「式APUQU-n-FまたはPGUQU-n-Fの化合物から成る群より選択される1種類以上の化合物を含む [図:0001432532000088.jpg] (式中、 nは、それぞれ1~15の整数を表す。)」 イ そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項2に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 ウ したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。 エ 本件補正は、前記ウのとおり、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するから、本件補正後の請求項2に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。 (2) 本件補正発明の認定と分説 本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成Xと構成Aから構成Dまでに分説する。 <本件補正発明の分説> X 正の誘電異方性を有する液晶媒体であって、 A 1種類以上の式Iの化合物と、 B 式D3、D4、D5、Xa~Xd、XfおよびXIaの化合物から選択される1種類以上の化合物と、 C 液晶媒体全体に対して40重量%以上の合計濃度で、式CC-n-VおよびCC-n-V1から選択される1種類以上の化合物とを含む X 液晶媒体であって、 D 式APUQU-n-FまたはPGUQU-n-Fの化合物から成る群より選択される1種類以上の化合物を含む X 液晶媒体。 A 【化9】 [図:0001432532000089.jpg] (式中、 R1は1~15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を表し、ただし加えて、これらの基における1個以上のCH2基は、それぞれ互いに独立に、O原子が互いに直接連結しないようにして、-C≡C-、-CF2O-、-CH=CH-、 【化10】 [図:0001432532000090.jpg] -O-、-CO-O-または-O-CO-で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子はハロゲン原子で置き換えられていてもよい。) B 【化11】 [図:0001432532000091.jpg] (式中、 R0は1~15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を表し、ただし加えて、これらの基における1個以上のCH2基は、それぞれ互いに独立に、O原子が互いに直接連結しないようにして、-C≡C-、-CF2O-、-CH=CH-、 【化12】 [図:0001432532000092.jpg] -O-、-CO-O-または-O-CO-で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子はハロゲン原子で置き換えられていてもよく、 X0は、F、Cl、1~6個のC原子を有し一フッ素化または多フッ素化されたアルキルまたはアルコキシ基、2~6個のC原子を有し一フッ素化または多フッ素化されたアルケニルまたはアルケニルオキシ基を表し、 Y1およびY2は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表す。) 【化13】 [図:0001432532000093.jpg] [図:0001432532000094.jpg] (式中、 R0は1~15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を表し、ただし加えて、これらの基における1個以上のCH2基は、それぞれ互いに独立に、O原子が互いに直接連結しないようにして、-C≡C-、-CF2O-、-CH=CH-、 【化14】 [図:0001432532000095.jpg] -O-、-CO-O-または-O-CO-で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子はハロゲン原子で置き換えられていてもよく、 X0は、F、Cl、1~6個のC原子を有し一フッ素化または多フッ素化されたアルキルまたはアルコキシ基、2~6個のC原子を有し一フッ素化または多フッ素化されたアルケニルまたはアルケニルオキシ基を表し、 Y1およびY2は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表す。) C 【化15】 [図:0001432532000096.jpg] (式中、 nは、1~15の整数を表す。) D 【化16】 [図:0001432532000097.jpg] (式中、 nは、それぞれ1~15の整数を表す。) (3) 実施可能要件・委任省令要件違反について ア 技術事項Aの技術上の意義についての請求人の説明 請求人は、審判請求書において、技術事項Aの技術上の意義について次のとおり説明している。 特開2012-007020号公報(以下「引用文献1」という。)の実施例3に記載される組成物(以下「引用組成物」という。)は本願化合物CC-3-Vに相当する化合物3-HH-Vおよび本願化合物CC-3-V1に相当する化合物3-HH-V1を含み、それらの合計濃度は39重量%である。 引用組成物及び本願液晶媒体は一見すると類似しているように見えるかもしれない。しかしながら引用組成物の誘電異方性Δεは3.6であるのに対し、本願液晶媒体の誘電異方性Δεは典型的には本願実施例の多数の組成物でも確認されているとおり10.4以上と非常に高く、引用組成物とは大きく異なる。このように誘電異方性Δεが大きく異なるのは、引用組成物及び本願液晶媒体において採用される誘電的に正の化合物が大きく異なるからである。 具体的には本件補正発明においては、そのような誘電的に正の化合物として式APUQU-n-FまたはPGUQU-n-Fの化合物から成る群より選択される1種類以上の化合物を採用する。その結果、得られる液晶媒体において極めて高い誘電異方性Δεを実現しつつ、高い複屈折率Δnなどの優れた特性を同時に実現可能となることが本願実施例の多数の混合物例において確認されている。 イ 技術事項Aの技術上の意義についての検討 (ア) 「式CC-n-VおよびCC-n-V1から選択される1種類以上の化合物」の合計濃度(以下、単に「合計濃度」ともいう。)が、40%未満であっても、Δεが10を超えるものとして、次の例が本願の明細書に開示されている(括弧内に合計濃度とΔεの値を示した。段落番号も合わせて示した。)。 <例M24>(39.0%、+15.2)(【0245】) <例M25>(39.0%、+15.6)(【0246】) <例M28>(37.0%、+17.8)(【0249】) <例M29>(39.5%、+17.5)(【0250】) <例M30>(38.5%、+17.4)(【0251】) <例M35>(38.5%、+15.9)(【0256】) <例M56>(34.0%、+18.3)(【0277】) (イ) 逆に「式CC-n-VおよびCC-n-V1から選択される1種類以上の化合物」の合計濃度が40%を超えるものであってもΔεが10未満のものとして、次の例が本願の明細書に開示されている。 <例M41>(47.0%、+9.1)(【0262】) <例M42>(55.0%、+4.2)(【0263】) (ウ) 以上のとおりであるから、技術事項Aの特定には、Δεが10以上となることとの関係での技術上の意義は認められない。 したがって、本願の明細書の発明の詳細な説明の記載は、経済産業省令(特許法施行規則24条の2)で定めるところにより(すなわち、当業者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載することにより)、当業者が本件補正発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないから、本願は、発明の詳細な説明の記載が、本件補正発明について、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない。 (エ) 以上検討のとおり、本願は、発明の詳細な説明の記載が、本件補正発明について、特許法第36条4項1号に規定する要件を満たしていないから、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 (4) 進歩性の欠如について ア 各引用文献の記載事項及び引用発明等の認定 (ア) 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定 a 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された引用文献1(特開2012-7020号公報)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記bの引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。 (a) 特許請求の範囲 「【請求項1】 第一成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第二成分として式(2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および第三成分として式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物。 [図:0001432532000098.jpg] ここで、R1およびR2は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニルであり;R3およびR4は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルコキシメチル、炭素数2から12のアルケニル、または任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり; 環A、環B、および環Cは独立して、1,4-シクロへキシレン、1,4-フェニレン、2-フルオロ-1,4-フェニレン、3-フルオロ-1,4-フェニレン、またはテトラヒドロピラン-2,5-ジイルであり; X1、X2、X3、およびX4は独立して、水素またはフッ素であり; Y1は、フッ素、塩素、またはトリフルオロメトキシである。 Z1は独立して、単結合、エチレン、またはカルボニルオキシであり; mは、0、1、または2である。 【請求項2】 第一成分が式(1-1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および第二成分が式(2-1)から式(2-6)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項1に記載の液晶組成物。 [図:0001432532000099.jpg] [図:0001432532000100.jpg] [図:0001432532000101.jpg] [図:0001432532000102.jpg] ここで、R1およびR2は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニルである。 【請求項3】 第二成分が式(2-1)、式(2-3)および式(2-5)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項2に記載の液晶組成物。 【請求項4】 第二成分が式(2-1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項2に記載の液晶組成物。 【請求項5】 第三成分が、式(3-1)から式(3-13)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の液晶組成物。 [図:0001432532000103.jpg] [図:0001432532000104.jpg] [図:0001432532000105.jpg] [図:0001432532000106.jpg] [図:0001432532000107.jpg] ここで、R3およびR4は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルコキシメチル、炭素数2から12のアルケニル、または任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルである。 【請求項6】 第三成分が式(3-1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物 である請求項5に記載の液晶組成物。 【請求項7】 第三成分が式(3-1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および式(3-7)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物の混合物である請求項5に記載の液晶組成物。 【請求項8】 液晶組成物の全重量に基づいて、第一成分の割合が5重量%から50重量%の範囲であり、第二成分の割合が5重量%から50重量%の範囲であり、第三成分の割合が5重量%から80重量%の範囲である請求項1から7のいずれか1項に記載の液晶組成物。 【請求項9】 第四成分として式(4)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する請求項1から8のいずれか1項に記載の液晶組成物。 [図:0001432532000108.jpg] ここで、R5は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニルであり; 環Dは独立して、1,4-シクロへキシレン、1,4-フェニレン、2-フルオロ-1,4-フェニレン、3-フルオロ-1,4-フェニレン、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、またはテトラヒドロピラン-2,5-ジイルであり; X5およびX6は独立して、水素またはフッ素であり; Y2はフッ素または塩素であり; Z2は独立して、単結合、エチレン、カルボニルオキシ、またはジフルオロメチレンオキシであり; nは1または2である。 【請求項10】 第四成分が、式(4-1)から式(4-17)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項9に記載の液晶組成物。 [図:0001432532000109.jpg] [図:0001432532000110.jpg] [図:0001432532000111.jpg] [図:0001432532000112.jpg] [図:0001432532000113.jpg] [図:0001432532000114.jpg] [図:0001432532000115.jpg] [図:0001432532000116.jpg] [図:0001432532000117.jpg] ここで、R5は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニルである。 【請求項11】 第四成分が式(4-16)および式(4-17)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項10に記載の液晶組成物。 【請求項12】 液晶組成物の全重量に基づいて、第四成分の割合が5重量%から60重量%の範囲である請求項9から11のいずれか1項に記載の液晶組成物。 【請求項13】 第五成分として式(5)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を更に含有する請求項1から12のいずれか1項に記載の液晶組成物。 [図:0001432532000118.jpg] ここで、R6は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニルであり; 環Eは独立して、1,4-シクロへキシレン、1,4-フェニレン、2-フルオロ-1,4-フェニレン、3-フルオロ-1,4-フェニレン、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、またはテトラヒドロピラン-2,5-ジイルであり; X7およびX8は独立して、水素またはフッ素であり; Y3はフッ素または塩素であり; Z3は独立して、単結合またはエチレンである。 【請求項14】 第五成分が式(5-1)から式(5-5)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項13に記載の液晶組成物。 [図:0001432532000119.jpg] [図:0001432532000120.jpg] [図:0001432532000121.jpg] ここで、R6は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニルである。 【請求項15】 液晶組成物の全重量に基づいて、第五成分の割合が5重量%から30重量%の範囲である請求項13または14に記載の液晶組成物。 【請求項16】 請求項1から15のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶表示素子。」 (b) 【0001】-【0011】 「【0001】 本発明は、主としてAM(active matrix)素子などに適する液晶組成物およびこの組成物を含有するAM素子などに関する。特に、誘電率異方性が正の液晶組成物に関し、この組成物を含有するTN(twisted nematic)モード、OCB(optically compensated bend)モード、IPS(in-plane switching)モード、FFS(fringe field switching)、またはPSA(polymer sustained alignment)モードの素子などに関する。 【背景技術】 【0002】 液晶表示素子において、液晶の動作モードに基づいた分類は、PC(phase change)、TN(twisted nematic)、STN(super twisted nematic)、ECB(electrically controlled birefringence)、OCB(optically compensated bend)、IPS(in-plane switching)、VA(vertical alignment)、FFS(Fringe Field Switching)、PSA(polymer sustained alignment)モードなどである。素子の駆動方式に基づいた分類は、PM(passive matrix)とAM(active matrix)である。PMはスタティック(static)とマルチプレックス(multiplex)などに分類され、AMはTFT(thin film transistor)、MIM(metal insulator metal)などに分類される。TFTの分類は非晶質シリコン(amorphous silicon)および多結晶シリコン(polycrystal silicon)である。後者は製造工程によって高温型と低温型とに分類される。光源に基づいた分類は、自然光を利用する反射型、バックライトを利用する透過型、そして自然光とバックライトの両方を利用する半透過型である。 【0003】 これらの素子は適切な特性を有する液晶組成物を含有する。この液晶組成物はネマチック相を有する。良好な一般的特性を有するAM素子を得るには組成物の一般的特性を向上させる。2つの一般的特性における関連を下記の表1にまとめる。組成物の一般的特性を市販されているAM素子に基づいてさらに説明する。ネマチック相の温度範囲は、素子の使用できる温度範囲に関連する。ネマチック相の好ましい上限温度は約70℃以上であり、そしてネマチック相の好ましい下限温度は約-10℃以下である。組成物の粘度は素子の応答時間に関連する。素子で動画を表示するためには短い応答時間が好ましい。したがって、組成物における小さな粘度が好ましい。低い温度における小さな粘度はより好ましい。組成物の弾性定数は素子のコントラストに関連する。素子においてコントラストを上げるためには、組成物における大きな弾性定数がより好ましい。 【0004】 [図:0001432532000122.jpg] 【0005】 組成物の光学異方性は、素子のコントラスト比に関連する。組成物の光学異方性(Δn)と素子のセルギャップ(d)との積(Δn×d)は、コントラスト比を最大にするように設計される。適切な積の値は動作モードの種類に依存する。TNのようなモードの素子では、適切な値は約0.45μmである。この場合、小さなセルギャップの素子には大きな光学異方性を有する組成物が好ましい。組成物における大きな誘電率異方性は素子における低いしきい値電圧、小さな消費電力と大きなコントラスト比に寄与する。したがって、大きな誘電率異方性が好ましい。組成物における大きな比抵抗は、素子における大きな電圧保持率と大きなコントラスト比に寄与する。したがって、初期段階において室温だけでなくネマチック相の上限温度に近い温度でも大きな比抵抗を有する組成物が好ましい。長時間使用したあと、室温だけでなくネマチック相の上限温度に近い温度でも大きな比抵抗を有する組成物が好ましい。紫外線および熱に対する組成物の安定性は、液晶表示素子の寿命に関連する。これらの安定性が高いとき、この素子の寿命は長い。このような特性は、液晶プロジェクター、液晶テレビなどに用いるAM素子に好ましい。組成物における大きな弾性定数は素子における大きなコントラスト比と短い応答時間に寄与する。したがって、大きな弾性定数が好ましい。 【0006】 TNモードを有するAM素子においては正の誘電率異方性を有する組成物が用いられる。一方、VAモードを有するAM素子においては負の誘電率異方性を有する組成物が用いられる。IPSモードまたはFFSモードを有するAM素子においては正または負の誘電率異方性を有する組成物が用いられる。PSAモードを有するAM素子においては正または負の誘電率異方性を有する組成物が用いられる。正の誘電率異方性を有する液晶組成物は特許文献1に開示されている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0007】 【特許文献1】特開2009-270102号公報 【0008】 望ましいAM素子は、使用できる温度範囲が広い、応答時間が短い、コントラスト比が大きい、しきい値電圧が低い、電圧保持率が大きい、寿命が長い、などの特性を有する。1ミリ秒でもより短い応答時間が望ましい。したがって、組成物の望ましい特性は、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、紫外線に対する高い安定性、熱に対する高い安定性、大きな弾性定数などである。 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 本発明の1つの目的は、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、紫外線に対する高い安定性、熱に対する高い安定性、大きな弾性定数などの特性において、少なくとも1つの特性を充足する液晶組成物である。他の目的は、少なくとも2つの特性に関して適切なバランスを有する液晶組成物である。別の目的は、このような組成物を含有する液晶表示素子である。別の目的は、適切な光学異方性、大きな誘電率異方性、紫外線に対する高い安定性、大きな弾性定数などを有する組成物であり、そして短い応答時間、大きな電圧保持率、大きなコントラスト比、長い寿命などの特性を有するAM素子である。 【課題を解決するための手段】 【0010】 第一成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第二成分として式(2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および第三成分として式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物、およびこの組成物を含有する液晶表示素子である。 [図:0001432532000123.jpg] ここで、R1およびR2は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニルであり;R3およびR4は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルコキシメチル、炭素数2から12のアルケニル、または任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり;環A、環B、および環Cは独立して、1,4-シクロへキシレン、1,4-フェニレン、2-フルオロ-1,4-フェニレン、3-フルオロ-1,4-フェニレン、またはテトラヒドロピラン-2,5-ジイルであり;X1、X2、X3、およびX4は独立して、水素またはフッ素であり;Y1は、フッ素、塩素、またはトリフルオロメトキシである。Z1は独立して、単結合、エチレン、またはカルボニルオキシであり;mは、0、1、または2である。 【発明の効果】 【0011】 本発明の長所は、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、紫外線に対する高い安定性、熱に対する高い安定性、大きな弾性定数などの特性において、少なくとも1つの特性を充足する液晶組成物である。本発明の1つの側面は、少なくとも2つの特性に関して適切なバランスを有する液晶組成物である。別の側面は、このような組成物を含有する液晶表示素子である。他の側面は、適切な光学異方性、大きな誘電率異方性、紫外線に対する高い安定性、大きな弾性定数などの特性を有する組成物であり、そして短い応答時間、大きな電圧保持率、大きなコントラスト比、長い寿命などの特性を有するAM素子である。」 (c) 【0012】~【0040】 「【発明を実施するための形態】 …(中略)… 【0015】 本発明は、下記の項などである。 【0016】 1. 第一成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第二成分として式(2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1 つの化合物、および第三成分として式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物。 [図:0001432532000124.jpg] ここで、R1およびR2は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニルであり;R3およびR4は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルコキシメチル、炭素数2から12のアルケニル、または任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり; 環A、環B、および環Cは独立して、1,4-シクロへキシレン、1,4-フェニレン、2-フルオロ-1,4-フェニレン、3-フルオロ-1,4-フェニレン、またはテトラヒドロピラン-2,5-ジイルであり; X1、X2、X3、およびX4は独立して、水素またはフッ素であり; Y1は、フッ素、塩素、またはトリフルオロメトキシである。 Z1は独立して、単結合、エチレン、またはカルボニルオキシであり; mは、0、1、または2である。 【0017】 2. 第一成分が式(1-1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および第二成分が式(2-1)から式(2-6)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である項1に記載の液晶組成物。 [図:0001432532000125.jpg] [図:0001432532000126.jpg] [図:0001432532000127.jpg] [図:0001432532000128.jpg] ここで、R1およびR2は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニルである。 【0018】 3. 第二成分が式(2-1)、式(2-3)および式(2-5)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である項2に記載の液晶組成物。 【0019】 4. 第二成分が式(2-1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である項2に記載の液晶組成物。 【0020】 5. 第三成分が、式(3-1)から式(3-13)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である項1から項4のいずれか1項に記載の液晶組成物。 [図:0001432532000129.jpg] [図:0001432532000130.jpg] [図:0001432532000131.jpg] [図:0001432532000132.jpg] [図:0001432532000133.jpg] ここで、R3およびR4は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルコキシメチル、炭素数2から12のアルケニル、または任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルである。 …(中略)… 【0035】 本発明の組成物を次の順で説明する。第一に、組成物における成分化合物の構成を説明する。第二に、成分化合物の主要な特性、およびこの化合物が組成物に及ぼす主要な効果を説明する。第三に、組成物における成分の組み合わせ、成分化合物の好ましい割合およびその根拠を説明する。第四に、成分化合物の好ましい形態を説明する。第五に、成分化合物の具体的な例を示す。第六に、組成物に混合してもよい添加物を説明する。第七に、成分化合物の合成法を説明する。最後に、組成物の用途を説明する。 【0036】 第一に、組成物における成分化合物の構成を説明する。本発明の組成物は組成物Aと組成物Bに分類される。組成物Aはその他の液晶性化合物、添加物、不純物などをさらに含有してもよい。「その他の液晶性化合物」は、化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)、化合物(4)、および化合物(5)とは異なる液晶性化合物である。このような化合物は、特性をさらに調整する目的で組成物に混合される。添加物は、光学活性な化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素、消泡剤、重合可能な化合物、重合開始剤などである。不純物は成分化合物の合成などの工程において混入した化合物などである。この化合物が液晶性化合物であったとしても、ここでは不純物として分類される。 【0037】 組成物Bは、実質的に化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)、化合物(4)、および化合物(5)から選択された化合物のみからなる。「実質的に」は、組成物が添加物および不純物を含有してもよいが、これらの化合物と異なる液晶性化合物を含有しないことを意味する。組成物Bは組成物Aに比較して成分の数が少ない。コストを下げるという観点から、組成物Bは組成物Aよりも好ましい。その他の液晶性化合物を混合することによって物性をさらに調整できるという観点から、組成物Aは組成物Bよりも好ましい。 【0038】 第二に、成分化合物の主要な特性、およびこの化合物が組成物の特性に及ぼす主要な効果を説明する。成分化合物の主要な特性を本発明の効果に基づいて表2にまとめる。表2の記号において、Lは大きいまたは高い、Mは中程度の、Sは小さいまたは低い、を意味する。記号L、M、Sは、成分化合物のあいだの定性的な比較に基づいた分類であり、0(ゼロ)は、値がほぼゼロであることを意味する。 【0039】 [図:0001432532000134.jpg] 【0040】 成分化合物を組成物に混合したとき、成分化合物が組成物の特性に及ぼす主要な効果は次のとおりである。化合物(1)は誘電率異方性を大きく上げる。化合物(2)は上限温度を上げ、そして誘電率異方性を大きく上げる。化合物(3)は下限温度を下げ、そして粘度を下げる。化合物(4)は誘電率異方性を大きく上げる。化合物(5)は上限温度を上げ、そして誘電率異方性を上げる。」 (d) 【0102】~【0110】 「【0102】 実施例により本発明を詳細に説明する。本発明は下記の実施例によって限定されない。比較例および実施例における化合物は、下記の表3の定義に基づいて記号により表した。表3において、1,4-シクロヘキシレンに関する立体配置はトランスである。実施例において記号の後にあるかっこ内の番号は化合物の番号に対応する。(-)の記号はその他の液晶性化合物を意味する。液晶性化合物の割合(百分率)は、液晶組成物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)であり、液晶組成物には不純物が含まれている。最後に、組成物の特性値をまとめた。 【0103】 [図:0001432532000135.jpg] 【0104】 [比較例1] 特開2009-270102号公報に開示された組成物の中から実施例6を選んだ。根拠は、この組成物が第一成分の化合物(1-1)、第三成分の化合物(3-1)、化合物(3-5)、および化合物(3-7)を含有しているからである。本願と同じ測定条件にて物性の比較をするために、本組成物を調合し、上述した方法により測定した。この組成物の成分および特性は下記のとおりである。 3-HHB(F,F)-OCF3 (1-1) 3% 4-BB(F)B(F,F)XB(F,F)-F ( - ) 8% 3-HH-V (3-1) 48% 3-HH-V1 (3-1) 7% V-HHB-1 (3-5) 5% 1-BB(F)B-2V (3-7) 8% 2-BB(F)B-2V (3-7) 9% 3-BB(F)B-2V (3-7) 8% 3-BB(F,F)B(F)-OCF3 ( - ) 4% NI=74.3℃;Δn=0.123;Δε=3.1;η=9.0mPa・s. 【0105】 [実施例1] 比較例1の組成物において、4-BB(F)B(F,F)XB(F,F)-Fを本発明第2成分の化合物である4-HB(F)B(F,F)XB(F,F)-Fに置き換えて、本発明の液晶組成物とした。本組成物を調合し、上述した方法により測定した。この組成物の成分および特性は下記のとおりである。 3-HHB(F,F)-OCF3 (1-1) 3% 4-HB(F)B(F,F)XB(F,F)-F (2-5) 8% 3-HH-V (3-1) 48% 3-HH-V1 (3-1) 7% V-HHB-1 (3-5) 5% 1-BB(F)B-2V (3-7) 8% 2-BB(F)B-2V (3-7) 9% 3-BB(F)B-2V (3-7) 8% 3-BB(F,F)B(F)-OCF3 ( - ) 4% NI=74.3℃;Δn=0.119;Δε=3.0;η=8.8mPa・s. 実施例1の組成物は比較例1と較べて、ネマチック相の上限温度やΔεは同等であるが、Δnが小さく、粘度も少し小さくなり、優れた特性を有する。 【0106】 [実施例2] 3-HHB(F,F)-OCF3 (1-1) 7% 3-HBBXB(F,F)-F (2-1) 8% 5-HBBXB(F,F)-F (2-1) 8% V2-HBBXB(F)-F (2-2) 5% 3-HH-V (3-1) 30% V-HHB-1 (3-5) 3% 3-HBB-2 (3-6) 2% 2-BB(F)B-3 (3-7) 4% 3-H2HB(F,F)-F (4-11) 3% 3-BB(F,F)XB(F,F)-F (4-16) 15% 3-HHXB(F,F)-F (4-17) 12% 3-HHBB(F,F)-F (5-1) 2% 3-HH2BB(F,F)-F (5-2) 1% NI=90.5℃;Tc≦-30℃;Δn=0.109;Δε=8.4;γ1=68.0mPa・s;η=13.5mPa・s. 【0107】 [実施例3] 2-HHB(F,F)-OCF3 (1-1) 4% 3-HHB(F,F)-OCF3 (1-1) 8% 5-HHB(F,F)-OCF3 (1-1) 8% 3-HBBXB(F,F)-F (2-1) 8% 5-HBBXB(F,F)-F (2-1) 8% 3-HH-V (3-1) 29% 3-HH-V1 (3-1) 10% 1-HH-2V1 (3-1) 10% 3-HH-2V1 (3-1) 10% V2-HHB-1 (3-5) 5% NI=87.2℃;Tc≦-20℃;Δn=0.091;Δε=3.6. 【0108】 [実施例4] 3-HHB(F,F)-OCF3 (1-1) 5% 3-HBBXB(F,F)-F (2-1) 7% 5-HBBXB(F,F)-F (2-1) 7% 3-HH-V (3-1) 13% 3-HH-V1 (3-1) 5% 2-HH-5 (3-1) 2% 3-HH-4 (3-1) 5% 3-HH-5 (3-1) 2% 3-HH-VFF (3-1) 2% 3-HB-O2 (3-2) 2% V2-HHB-1 (3-5) 3% 3-HHB-1 (3-5) 5% 3-HHB-3 (3-5) 2% 3-HHB-O1 (3-5) 2% 5-B(F)BB-2 (3-8) 1% 5-HBB(F)B-2 (3-13) 2% 5-HB-CL (4-1) 7% 5-BB-F (4-2) 1% 5-BB-CL (4-3) 1% 3-HHB-CL (4-4) 2% 5-HHB-CL (4-4) 2% 3-H2GB(F,F)-F (4-7) 1% 3-HHEB(F,F)-F (4-8) 2% 3-HBEB(F,F)-F (4-9) 1% 3-HHB(F,F)-F (4-10) 2% 3-HBB(F,F)-F (4-13) 1% 3-BB(F)B(F,F)-F (4-15) 1% 3-BB(F,F)XB(F,F)-F (4-16) 4% 3-HHXB(F,F)-F (4-17) 7% 3-HHB(F)B(F,F)-F (5-3) 2% 5-BBB(F)B(F,F)-F (5-4) 0.5% 5-BBB(F,F)B(F,F)-F (5-5) 0.5% 上記組成物100重量部に化合物(6-3)を0.42重量部添加した。 NI=99.4℃;Tc≦-30℃;Δn=0.105;Δε=4.4;P=50.2μm. 【0109】 [実施例5] 3-HHB(F,F)-OCF3 (1-1) 5% V2-HHB(F,F)-OCF3 (1-1) 2% 3-HBBXB(F,F)-F (2-1) 8% 5-HBBXB(F,F)-F (2-1) 8% 3-HH-V (3-1) 14% 3-HH-V (3-1) 4% 3-HH-2V1 (3-1) 3% 2-HHB-OCF3 ( - ) 3% 3-HHB-OCF3 ( - ) 7% 4-HHB-OCF3 ( - ) 4% 5-HHB-OCF3 ( - ) 5% 2-HHB(F)-OCF3 ( - ) 5% 3-HHB(F)-OCF3 ( - ) 8% 5-HHB(F)-OCF3 ( - ) 5% 3-BB(F)B(F,F)XB(F,F)-F ( - ) 2% 4-BB(F)B(F,F)XB(F,F)-F ( - ) 9% 5-BB(F)B(F,F)XB(F,F)-F ( - ) 8% NI=95.8℃;Tc≦-20℃;Δn=0.118;Δε=10.9. 【0110】 実施例2から実施例5の組成物は、比較例1の組成物と比べて、高いネマチック相の上限温度、小さな光学異方性および大きな誘電率異方性を有する。よって、本発明による液晶組成物は優れた特性を有する。」 b 引用発明の認定 前記aに摘記した引用文献1の記載事項から、引用文献1には、実施例3に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。 <引用発明> 「誘電率異方性が正の液晶組成物であって、(【0001】) 以下の記号の後にあるかっこ内の番号は化合物の番号に対応し、液晶性化合物の割合(百分率)は、液晶組成物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)であり、液晶組成物には不純物が含まれている、(【0102】) 2-HHB(F,F)-OCF3 (1-1) 4% 3-HHB(F,F)-OCF3 (1-1) 8% 5-HHB(F,F)-OCF3 (1-1) 8% 3-HBBXB(F,F)-F (2-1) 8% 5-HBBXB(F,F)-F (2-1) 8% 3-HH-V (3-1) 29% 3-HH-V1 (3-1) 10% 1-HH-2V1 (3-1) 10% 3-HH-2V1 (3-1) 10% V2-HHB-1 (3-5) 5%を含む、(【0107】) 液晶組成物。 [図:0001432532000136.jpg] [図:0001432532000137.jpg] [図:0001432532000138.jpg] [図:0001432532000139.jpg] 」 (イ) 引用文献2に記載された事項及び引用文献2技術事項の認定 a 引用文献2に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された文献である、本願の優先日前に発行された文献である国際公開第2012/069151号(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。なお、訳は、前記文献のファミリー文献である特表2014-503615号公報を元に当合議体が作成した。 (a) 1頁3~5行 「 [図:0001432532000140.jpg] 」 (本発明は、液晶媒体(LC媒体)、電気光学的目的のためのその使用、およびこの媒体を含むLCディスプレイに関する。) (b) 27頁30行~30頁14行 「 [図:0001432532000141.jpg] [図:0001432532000142.jpg] [図:0001432532000143.jpg] [図:0001432532000144.jpg] [図:0001432532000145.jpg] [図:0001432532000146.jpg] [図:0001432532000147.jpg] [図:0001432532000148.jpg] [図:0001432532000149.jpg] [図:0001432532000150.jpg] [図:0001432532000151.jpg] [図:0001432532000152.jpg] [図:0001432532000153.jpg] [図:0001432532000154.jpg] [図:0001432532000155.jpg] [図:0001432532000156.jpg] [図:0001432532000157.jpg] [図:0001432532000158.jpg] 」 (媒体はさらに、以下の式から選択された1種または2種以上の化合物を含む: [図:0001432532000159.jpg] 式中、R0、X0およびY1~4は、式Iにおいて示した意味を有し、かつ [図:0001432532000160.jpg] は、各々、互いに独立して [図:0001432532000161.jpg] を示す; 式XおよびXIで表される化合物は、好ましくは以下の式から選択される: [図:0001432532000162.jpg] [図:0001432532000163.jpg] [図:0001432532000164.jpg] [図:0001432532000165.jpg] [図:0001432532000166.jpg] [図:0001432532000167.jpg] [図:0001432532000168.jpg] [図:0001432532000169.jpg] [図:0001432532000170.jpg] [図:0001432532000171.jpg] [図:0001432532000172.jpg] [図:0001432532000173.jpg] 式中、R0およびX0は、上に示した意味を有する。R0は、好ましくは1~8個のC原子を有するアルキルを示し、X0は、好ましくはFを示す。特に好ましい化合物は、Y1がFを示し、Y2がHまたはF、好ましくはFを示すものである。) (c) 33頁10~28行 「 [図:0001432532000174.jpg] 」 (媒体はさらに、式D1、D2および/またはD3で表される1種または2種以上の化合物を含む。 [図:0001432532000175.jpg] 式中、Y1、Y2、R0およびX0は、上に示した意味を有する。R0は、好ましくは1~8個のC原子を有するアルキルを示し、X0は、好ましくはFを示す。) (d) 35頁29行~37頁15行 「 [図:0001432532000176.jpg] [図:0001432532000177.jpg] [図:0001432532000178.jpg] [図:0001432532000179.jpg] [図:0001432532000180.jpg] [図:0001432532000181.jpg] 」 (媒体はさらに、式XIX~XXVIIから選択された1種または2種以上の四環式化合物を含む、 [図:0001432532000182.jpg] [図:0001432532000183.jpg] [図:0001432532000184.jpg] [図:0001432532000185.jpg] [図:0001432532000186.jpg] [図:0001432532000187.jpg] [図:0001432532000188.jpg] [図:0001432532000189.jpg] [図:0001432532000190.jpg] 式中、Y1~4、R0およびX0は、各々、互いに独立して、上に示した意味の1つを有する。X0は、好ましくはF、Cl、CF3、OCF3またはOCHF2である。R0は、好ましくは、各々8個までのC原子を有するアルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニルを示す。) b 引用文献2に記載された技術事項の認定 前記aに摘記した引用文献2の記載事項から、引用文献2には、次の技術事項(以下「引用文献2に記載された技術事項」という。)が記載されていると認められる。 「液晶媒体(LC媒体)は、(1頁3~5行) 式XおよびXIから選択された1種または2種以上の化合物を含み、(27頁30行~30頁14行) 式D1、D2および/またはD3で表される1種または2種以上の化合物を含み、(33頁10~28行) 式XIX~XXVIIから選択された1種または2種以上の四環式化合物を含むこと(35頁29行~37頁15行) 式XおよびXIで表される化合物は、好ましくは以下の式から選択される: [図:0001432532000191.jpg] [図:0001432532000192.jpg] [図:0001432532000193.jpg] 式中、R0およびX0は、上に示した意味を有する。R0は、好ましくは1~8個のC原子を有するアルキルを示し、X0は、好ましくはFを示す。特に好ましい化合物は、Y1がFを示し、Y2がHまたはF、好ましくはFを示すものである。 [図:0001432532000194.jpg] 式中、Y1、Y2、R0およびX0は、上に示した意味を有する。R0は、好ましくは1~8個のC原子を有するアルキルを示し、X0は、好ましくはFを示す。 [図:0001432532000195.jpg] [図:0001432532000196.jpg] 式中、Y1~4、R0およびX0は、各々、互いに独立して、上に示した意味の1つを有する。X0は、好ましくはF、Cl、CF3、OCF3またはOCHF2である。R0は、好ましくは、各々8個までのC原子を有するアルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニルを示す。」 (ウ) 周知技術の認定 a 引用文献2、5及び6に記載された事項と周知技術D1の認定 (a) 引用文献2に記載された技術事項 引用文献2には、前記(イ)bで認定した引用文献2に記載された技術事項(特に、前記(イ)a(b)の【化33】のXIaの化合物参照)が記載されていると認められる。 「 [図:0001432532000197.jpg] 」 (b) 引用文献5に記載された事項 当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である特開2010-261034号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある(特に、【0033】及び化20のII-2a-1の化合物参照。なお、引用文献の参照番号は、前置審査を含めた審査段階と審判段階で共通のものとするため、「引用文献5」の表記とした。当審において新たに引用するほかの文献についても同様である。)。 「【0033】 本発明の好ましい実施形態において、成分Bは、3より大きい誘電異方性を有する1種類以上の誘電的に正の化合物を含み、式II-1~II-4、好ましくは式II-1および/またはII-2の化合物群より選択されるか、 …(中略)… 【0053】 式II-2の特に好ましい化合物は、以下の式の化合物である。 【0054】 【化20】 [図:0001432532000198.jpg] 【0055】 【化21】 [図:0001432532000199.jpg] 」 (c) 引用文献6に記載された事項 当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である特開2012-7163号公報(以下「引用文献6」という。)には、次の記載がある(特に、APUQU-n-Fの化合物参照)。 「【0038】 式Iの化合物は、非常に高い正の誘電異方性ΔεのLC媒体を実現し、ディスプレイの閾電圧を低減し、LC媒体の複屈折およびディスプレイのコントラストを増加するために特に有用である。 …(中略)… 【0044】 式Iの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。 【0045】 【化5】 [図:0001432532000200.jpg] 式中、R1およびX0は式Iにおいて定義される通りであり、X0は、好ましくは、Fである。 「【0173】 【表6】 [図:0001432532000201.jpg] 」 (d) 周知技術D1の認定 前記(a)~(c)に摘記した引用文献2、5及び6の記載事項に例示されるように、次の技術事項は、本願の優先日前において、当業者にとって周知の技術事項であったと認められる(以下「周知技術D1」という。本件補正発明との対応関係を分かりやすくするため、「D1」の表記とした。)。 <周知技術D1> 「誘電率異方性を上げるために、 [図:0001432532000202.jpg] (式中、nは、それぞれ1~15の整数を表す。)の化合物を液晶組成物に含ませること。」 b 引用文献1~3及び4~6に記載された事項と周知技術D2の認定 (a) 引用文献1には、次の記載がある(特に下線を引いた化合物参照)。 「[実施例5] 3-HHB(F,F)-OCF3 (1-1) 5% V2-HHB(F,F)-OCF3 (1-1) 2% 3-HBBXB(F,F)-F (2-1) 8% 5-HBBXB(F,F)-F (2-1) 8% 3-HH-V (3-1) 14% 3-HH-V (3-1) 4% 3-HH-2V1 (3-1) 3% 2-HHB-OCF3 ( - ) 3% 3-HHB-OCF3 ( - ) 7% 4-HHB-OCF3 ( - ) 4% 5-HHB-OCF3 ( - ) 5% 2-HHB(F)-OCF3 ( - ) 5% 3-HHB(F)-OCF3 ( - ) 8% 5-HHB(F)-OCF3 ( - ) 5% 3-BB(F)B(F,F)XB(F,F)-F ( - ) 2% 4-BB(F)B(F,F)XB(F,F)-F ( - ) 9% 5-BB(F)B(F,F)XB(F,F)-F ( - ) 8% NI=95.8℃;Tc≦-20℃;Δn=0.118;Δε=10.9.」 【0103】 [図:0001432532000203.jpg] 」 (b) 引用文献2に記載された技術事項 引用文献2には、前記(イ)bで認定した引用文献2に記載された技術事項が記載されていると認められる(特に、前記(イ)a(d)のXXV参照)。 「 [図:0001432532000204.jpg] 」 (c) 引用文献3に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に発行された引用文献3(国際公開第2011-065299号)には、次の記載がある(特に、[0044]及び[0045]における化合物(1)は下限温度を下げ、誘電異方性を上げる旨の記載及び[0064]における化合物(1-1-1)参照)。 「[0044]表2. 化合物の物性 [図:0001432532000205.jpg] [0045] 成分化合物を組成物に混合したとき、成分化合物が組成物の特性に及ぼす主要な効果は次のとおりである。化合物(1)は下限温度を下げ、そして誘電率異方性を上げる。化合物(2)は上限温度を上げる、または粘度を下げる。化合物(3-1)および化合物(3-2)は、下限温度を下げ、そして誘電率異方性を上げる。化合物(4)は、光学異方性を上げ、そして誘電率異方性を上げる。」 「[0064] [図:0001432532000206.jpg] 」 (d) 引用文献5に記載された事項 前記引用文献5には、前記a(b)にII-2j―1の化合物が記載されている。 「 [図:0001432532000207.jpg] 」 (e) 引用文献6に記載された事項 前記引用文献6には、前記a(c)にPGUQU-n-Fの化合物が記載されている。 「 [図:0001432532000208.jpg] 」 (f) 引用文献7に記載された事項 当審において新たに引用する、本願の優先日前に発行された文献である特開2011-195587号公報(以下「引用文献7」という。)には、次の記載がある(特に、化合物例9及び化合物例10参照)。 「【0172】 【表32】 [図:0001432532000209.jpg] 例9からの化合物は高い透明点、およびΔεおよびΔnの良好な組み合わせを有する。例9からの化合物は、特に高いΔnによって際立っている。」 「【0179】 【表36】 [図:0001432532000210.jpg] 例10からの化合物は高い透明点、およびΔεおよびΔnの良好な組み合わせを有する。該化合物はネマチック相を有し、ネマチック媒体において容易に溶解できる。」 (g) 周知技術D2の認定 前記(a)~(f)に摘記した引用文献1~3及び5~7の記載事項に例示されるように、次の技術事項は、本願の優先日前において、当業者にとって周知の技術事項であったと認められる(以下「周知技術D2」という。)。 <周知技術D2> 「誘電率異方性を上げるために、 [図:0001432532000211.jpg] (式中、nは、それぞれ1~15の整数を表す。)の化合物を液晶組成物に含ませること。」 c 引用文献2、5及び6に記載された事項と周知技術Cの認定 (a) 引用文献2に記載された技術事項 引用文献2には、前記(イ)bで認定した引用文献2に記載された技術事項が記載されていると認められる(特に、【化33】のD3、Xa、Xb、Xc、Xd、Xe、Xf、XIa及び【化34】のXIdの化合物参照)。 「 [図:0001432532000212.jpg] 」 「 [図:0001432532000213.jpg] [図:0001432532000214.jpg] [図:0001432532000215.jpg] [図:0001432532000216.jpg] [図:0001432532000217.jpg] 」 (b) 引用文献5に記載された事項 引用文献5には、前記a(b)に、【化20】のII-2a-1、II-2c-1、II-2e-1、II-2f-1、II-2h-1及び【化21II-2j-1fの化合物が記載されている。 「 [図:0001432532000218.jpg] 」 「 [図:0001432532000219.jpg] 」 「 [図:0001432532000220.jpg] [図:0001432532000221.jpg] 」 (c) 引用文献6に記載された事項 前記引用文献6には、前記a(c)に、APUQU-n-Fの化合物が記載されている。 「 [図:0001432532000222.jpg] 」 (d) 周知技術Bの認定 前記(a)~(c)に摘記した引用文献2、5及び6の記載事項に例示されるように、次の技術事項は、本願の優先日前において、当業者にとって周知の技術事項であったと認められる(以下「周知技術B」という。)。 <周知技術B> 「誘電率異方性を上げるために、本件補正発明の式D3、D4、D5、Xa~Xd、Xf及びXIaの化合物から選択される1種類以上の化合物を液晶媒体に含ませること。」 イ 本件補正発明と引用発明の対比 (ア) 対比分析 以下、本件補正発明の構成ごとに、本件補正発明と引用発明を対比する。 a 構成Xの観点(液晶媒体) 構成Xは、正の誘電異方性を有する液晶媒体の発明であることを特定するものである。 「正の誘電異方性を有する液晶媒体」の発明である本件補正発明と「誘電率異方性が正の液晶組成物」の発明である引用発明は、「正の誘電異方性を有する液晶媒体」の発明である点において一致する。 b 構成Aの観点 引用発明における「1-HH-2V1」及び「3-HH-2V1」は、本件補正発明における「式Iの化合物」に包摂される。したがって、本件補正発明と引用発明は、構成Aを備える点において一致する。 c 構成Bの観点 本件補正発明と引用発明は、構成Bの観点について、次の点において相違する。 本件補正発明は、「式D3、D4、D5、Xa~Xd、XfおよびXIaの化合物から選択される1種類以上の化合物」を含むのに対して、 引用発明は、次の化合物を含む点。 2-HHB(F,F)-OCF3(1-1) 3-HHB(F,F)-OCF3(1-1) 5-HHB(F,F)-OCF3(1-1) 3-HBBXB(F,F)-F(2-1) 5-HBBXB(F,F)-F(2-1) d 構成Cの観点 引用発明における「3-HH-V」(29%含有)及び「3-HH-V1」(10%含有)は、それぞれ本件補正発明における「式CC-n-V」及び「CC-n-V1」に相当する。 そうすると、本件補正発明と引用発明の構成Cの観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。 (a) 構成Cの観点におけるの一致点 「式CC-n-VおよびCC-n-V1から選択される1種類以上の化合物」を含む点。 (b) 構成Cの観点におけるの相違点 式CC-n-V及びCC-n-V1から選択される1種類以上の化合物の液晶媒体全体に対して濃度が、 本件補正発明は、「40重量%以上」であるのに対して、 引用発明は、「39%」である点。 e 構成Dの観点 本件補正発明と引用発明は、構成Dの観点について、次の点において相違する。 本件補正発明は、「式APUQU-n-FまたはPGUQU-n-Fの化合物から成る群より選択される1種類以上の化合物」を含むのに対して、 引用発明は、次の化合物を含む点。 2-HHB(F,F)-OCF3(1-1) 3-HHB(F,F)-OCF3(1-1) 5-HHB(F,F)-OCF3(1-1) 3-HBBXB(F,F)-F(2-1) 5-HBBXB(F,F)-F(2-1)。 (イ) 一致点及び相違点 前記(ア)の対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次のaに示す一致点において一致し、後記bに示す相違点において相違すると認められる。 a 一致点 「正の誘電異方性を有する液晶媒体であって、 1種類以上の式Iの化合物と、 式CC-n-VおよびCC-n-V1から選択される1種類以上の化合物とを含む液晶媒体。 【化9】 [図:0001432532000223.jpg] (式中、 R1は1~15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を表し、ただし加えて、これらの基における1個以上のCH2基は、それぞれ互いに独立に、O原子が互いに直接連結しないようにして、-C≡C-、-CF2O-、-CH=CH-、 【化10】 [図:0001432532000224.jpg] -O-、-CO-O-または-O-CO-で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子はハロゲン原子で置き換えられていてもよい。) 【化15】 [図:0001432532000225.jpg] (式中、 nは、1~15の整数を表す。)」である点。 b 相違点 (a) 相違点1(構成B及び相違点Dに係る相違点) 本件補正発明は、「式D3、D4、D5、Xa~Xd、XfおよびXIaの化合物から選択される1種類以上の化合物 【化11】 [図:0001432532000226.jpg] (式中、 R0は1~15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を表し、ただし加えて、これらの基における1個以上のCH2基は、それぞれ互いに独立に、O原子が互いに直接連結しないようにして、-C≡C-、-CF2O-、-CH=CH-、 【化12】 [図:0001432532000227.jpg] -O-、-CO-O-または-O-CO-で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子はハロゲン原子で置き換えられていてもよく、 X0は、F、Cl、1~6個のC原子を有し一フッ素化または多フッ素化されたアルキルまたはアルコキシ基、2~6個のC原子を有し一フッ素化または多フッ素化されたアルケニルまたはアルケニルオキシ基を表し、 Y1およびY2は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表す。) 【化13】 [図:0001432532000228.jpg] [図:0001432532000229.jpg] (式中、 R0は1~15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を表し、ただし加えて、これらの基における1個以上のCH2基は、それぞれ互いに独立に、O原子が互いに直接連結しないようにして、-C≡C-、-CF2O-、-CH=CH-、 【化14】 [図:0001432532000230.jpg] -O-、-CO-O-または-O-CO-で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子はハロゲン原子で置き換えられていてもよく、 X0は、F、Cl、1~6個のC原子を有し一フッ素化または多フッ素化されたアルキルまたはアルコキシ基、2~6個のC原子を有し一フッ素化または多フッ素化されたアルケニルまたはアルケニルオキシ基を表し、 Y1およびY2は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表す。)」を含み、かつ 「式APUQU-n-FまたはPGUQU-n-Fの化合物から成る群より選択される1種類以上の化合物 【化16】 [図:0001432532000231.jpg] (式中、 nは、それぞれ1~15の整数を表す。)」を含むのに対して、 引用発明は、次の化合物を含む点。 2-HHB(F,F)-OCF3(1-1) 3-HHB(F,F)-OCF3(1-1) 5-HHB(F,F)-OCF3(1-1) 3-HBBXB(F,F)-F(2-1) 5-HBBXB(F,F)-F(2-1) (b) 相違点2(構成Cに係る相違点) 式CC-n-VおよびCC-n-V1から選択される1種類以上の化合物の液晶媒体全体に対しての濃度が、 本件補正発明は、「40重量%」であるのに対して、 引用発明は、「39%」である点。 ウ 判断 (ア) 相違点1(構成B及び構成Dに係る相違点)について a 引用発明は、次の化合物を含む。 2-HHB(F,F)-OCF3(1-1) 3-HHB(F,F)-OCF3(1-1) 5-HHB(F,F)-OCF3(1-1) 3-HBBXB(F,F)-F(2-1) 5-HBBXB(F,F)-F(2-1) b ここで、引用文献1の請求項1には、「第一成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第二成分として式(2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物」を含有する「液晶生成物」と記載され、引用文献1の【0040】には、「化合物(1)は誘電率異方性を大きく上げる。化合物(2)は上限温度を上げ、そして誘電率異方性を大きく上げる。」と記載されていることから、引用発明の第一成分としての「2-HHB(F,F)-OCF3(1-1)」、「3-HHB(F,F)-OCF3(1-1)」及び「5-HHB(F,F)-OCF3(1-1)」、並びに、引用発明の第二成分としての「3-HBBXB(F,F)-F(2-1)」及び「5-HBBXB(F,F)-F(2-1)」は、誘電率異方性を大きく上げるために液晶組成物に含ませているといえる。 c ところで、引用文献1の【0036】には、「本発明の組成物は組成物Aと組成物Bに分類される。組成物Aはその他の液晶性化合物、添加物、不純物などをさらに含有してもよい。「その他の液晶性化合物」は、化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)、化合物(4)、および化合物(5)とは異なる液晶性化合物である。」と記載されており、液晶組成物に、化合物(1)、化合物(2)及び化合物(3)とは異なる液晶化合物を含有させることが示唆されている。 d(a) そして、液晶組成物に関する技術において、誘電率異方性を上げるために、 [図:0001432532000232.jpg] (式中、nは、それぞれ1~15の整数を表す。)の化合物を液晶組成物に含ませることは、引用文献2に記載された技術事項(特に、XIaの化合物参照)又は周知の技術である(前記ア(ウ)a(d)で認定した「周知技術D1」参照)。 (b) また、液晶組成物に関する技術において、誘電率異方性を上げるために、 [図:0001432532000233.jpg] (式中、nは、それぞれ1~15の整数を表す。)の化合物を液晶組成物に含ませることは、引用文献2に記載された技術事項(特に、XXVの化合物参照)又は周知の技術である(前記ア(ウ)b(g)で認定した「周知技術D2」参照)。 e さらに、液晶組成物に関する技術において、誘電率異方性を上げるために、本件補正発明の式D3、D4、D5、Xa~Xd、Xf、XIa及びXIdの化合物から選択される1種類以上の化合物を液晶媒体に含ませることも、引用文献2に記載された技術事項(特に、D3、Xa、Xb、Xc、Xd、Xe、Xf、Xla及びXIdの化合物参照)又は周知の技術である(前記ア(ウ)c(d)で認定した「周知技術B」参照)。 f そうすると、引用発明において、「2-HHB(F,F)-OCF3(1-1)」、「3-HHB(F,F)-OCF3(1-1)」、「5-HHB(F,F)-OCF3(1-1)」、「3-HBBXB(F,F)-F(2-1)」及び「5-HBBXB(F,F)-F(2-1)」の一部に代えて、引用文献2に記載された技術事項を採用する、又は、周知技術D1若しくは周知技術D2及び周知技術Bを採用することとして、相違点1に係る本件補正発明の構成を備えるようにすること(したがって構成D及び構成Bを備えるようにすること)は、当業者が容易に想到し得たことである。 (イ) 相違点2(構成Cに係る相違点)について a 引用発明における化合物(3)の成分の「液晶組成物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)」は、次のとおりである。 3-HH-V(3-1) 29% (「式CC-n-V」に相当) 3-HH-V1(3-1) 10% (「CC-n-V1」に相当) 1-HH-2V1(3-1)10% 3-HH-2V1(3-1)10% V2-HHB-1(3-5) 5% b ここで、引用文献1の請求項1には、「第三成分として式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有」する「液晶生成物」と記載され、第三成分として式(3)の化合物は、引用発明では式(3-1)及び式(3-5)の化合物であるから、引用発明では式(3-1)及び式(3-5)の化合物は、例えば、「3-HH-V」及び「3-HH-V1」を増やし、それに対応して「V2-HHB-1」を減らすなど、少なくとも、第三成分の範囲内で、それぞれ増減可能と考えるのが自然である。 c さらに、引用文献1の【0105】の実施例1は、「3-HH-V(3-1)48%」であり、「3-HH-V1(3-1)7%」であるから、「3-HH-V」と「3-HH-V1」の合計が55重量%のものも記載されている。 d そうすると、引用発明の「3-HH-V」と「3-HH-V1」を合計して39重量%のものを、液晶組成物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)で、40重量%以上とすることは、通常の創作活動において適宜選択し得ることであるといえる。 e そして、「3-HH-V」と「3-HH-V1」の合計濃度二層等する「式CC-n-VおよびCC-n-V1から選択される1種類以上の化合物の液晶媒体全体に対しての濃度」が40%以上であることに、特段の技術上の意義を認めることはできない(前記(3)参照)。 f そうすると、前記相違点2は微差にすぎないというべきであるから、前記相違点2をもって選択発明としての進歩性を認めることはできない。 (ウ) 総合評価 前記ア及びイにおいて検討したとおり、引用発明において、相違点1及び相違点2に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明及び引用文献2に記載された技術事項、又は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 そして、相違点1及び相違点2を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術事項、又は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (エ) 請求人の主張について a 請求人の主張の内容 請求人は、本件補正発明が進歩性を有することの根拠として、次のことを主張する。 本件補正後の請求項3においては、誘電的に中性の化合物として化合物CC-n-2V1に加え、化合物CC-3-VおよびCC-3-V1を40~44重量の範囲内の合計濃度で採用し、これと組み合わせて誘電的に正の化合物として式APUQU-n-F又はPGUQU-n-Fの化合物から成る群より選択される1種類以上の化合物を採用し、その結果、得られる液晶媒体において極めて高い誘電異方性Δεを実現しつつ、高い複屈折率Δnなどの優れた特性を同時に実現可能となる格段の効果を奏する。 b 請求人の主張についての検討 本件補正発明においては、化合物CC-3-VおよびCC-3-V1を40~44重量の範囲内の合計濃度とすることは特定されていないから、前記請求人の主張は、本件補正発明に対する主張であるとは認められない。 そして、前記濃度の上限の設定のない数値範囲の選択に技術上の意義が認められないことは、前記(3)において検討したとおりである。 したがって、請求人の主張は採用されない。 (オ) 独立特許要件(進歩性要件違反)の判断のまとめ 以上検討のとおり、本願補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術事項、又は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合しない。 4 本件補正の却下の決定の理由のむすび 前記3の(3)及び(4)のとおり、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明について 本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 原査定における拒絶の理由の概要 原査定の本願発明に対する拒絶の理由のうち理由1(新規事項の追加)及び理由2(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 理由1(新規事項の追加) 令和5年2月8日付け手続補正書でした補正は、「式CC-n-V及びCC-n-V1から選択される1種以上の化合物の含有量が液晶媒体全体に対して40重量%以上である」という補正事項を含み、外国語書面の翻訳文(又は誤訳訂正書による補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 理由2(進歩性の欠如) 本願発明は、優先日前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.特開2012-007020号公報 引用文献2.国際公開第2012/069151号 3 新規事項の追加について 本件補正前の請求項1には、技術事項Aが記載されている。 そうすると、前記第2の2と同様の議論により、令和5年2月8日に提出した手続補正書でした補正は、当初明細書等に記載された全ての事項を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。 したがって、令和5年2月8日に提出した手続補正書でした補正は、外国語書面の翻訳文(又は誤訳訂正書による補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 4 進歩性欠如について (1) 各引用文献に記載された事項及び引用発明の認定等 引用文献1に記載された事項及び引用発明、引用文献2に記載された事項及び引用文献2に記載された技術事項並びに周知技術D1、周知技術D2及び周知技術Bは、前記第2の3(4)アにおいて示したとおりである。 (2) 対比・判断 ア 本願発明は、前記第2の2において検討したとおり、本件補正発明から次の限定を省いたものである。 「式APUQU-n-FまたはPGUQU-n-Fの化合物から成る群より選択される1種類以上の化合物を含む [図:0001432532000234.jpg] (式中、 nは、それぞれ1~15の整数を表す。)」 イ そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、その発明特定事項の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3(4)において説示したとおり、引用発明及び引用文献2に記載された技術事項、又は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により引用発明及び引用文献2に記載された技術事項、又は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、令和5年2月8日付け手続補正書でした補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 また、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-006690

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