特許拒絶査定不服審判
2022-003061
集積ごみ用保護網
- 審判番号
- 2022-003061
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-185885外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年03月01日
- 審決日
- 2022年12月09日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (B65F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-185885「集積ごみ用保護網」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 5月18日出願公開、特開2022- 75226〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年11月6日の出願であって、令和3年5月14日付けの拒絶理由の通知に対し、同年9月24日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、同年11月22日付けで拒絶査定がされ、これに対して令和4年3月1日に審判の請求がされると同時に手続補正がなされたものである。
第2 令和4年3月1日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年3月1日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「集積ゴミ用の保護網であって、
網目の面に対して、垂直方向に、複数の突起部を持ち、
該突起部は、棒状又は中空の管状であることを特徴とする集積ごみ用保護網。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和3年9月24日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「集積ゴミ用の保護網であって、
網目の面に対して、垂直方向に、複数の突起部を持つことを特徴とする集積ごみ用保護網。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「突起部」が「棒状又は中空の管状である」ことを限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、登録実用新案第3141920号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(下線は、当審で付与した。以下同様。)。
a 「【請求項1】
ゴミ集積用に使用するネットであって、
光反射性の糸を多数本撚った撚糸を使用して形成したことを特徴とするネット。」
b 「【0001】
本考案は、ごみ収集場所などに集められたゴミやゴミ袋を一時的に保管するためのゴミ集積用具及びそれに使用するネットに関し、特に、使用しない時に折り畳み可能なゴミ集積用具及びネットに関するものである。」
c 「【0003】
しかしながら、ゴミ袋の上にネットを被せるだけでは、ネットと地面の隙間から小動物が入り込んで荒らしてしまったり、ネットの隙間からカラスがつついたりしてゴミの散乱を完全に防ぐことはできない。また、形状が定まった用具に収容するわけではないため、道路上などにゴミ袋が広がってしまい、交通の邪魔にもなる。」
d 「【0010】
以下、本考案の実施例について詳細に説明する。図1には、本考案のゴミ集積用具の実施例1の全体構成が示されている。同図に示すように、本実施例のゴミ集積用具10は、背面パネル12,側面パネル26及び28,正面パネル30及び32からなる囲い枠に、底面パネル40及び42と、開閉自在な蓋パネル44,46が設けられている。また、ゴミ集積用具10の下端には、例えば、ゴムなどで形成された脚52が設けられている。
【0011】
前記各パネルは全て、金属製のパイプなどで形成されたフレームに、ネット18を張設したもので、必要に応じて、ネット18の縁をフレームに固定するための固定バー19が利用される。フレームとしては、例えば、鉄,ステンレス,アルミニウムなどを用いることができるが、軽量化を図るという観点からはアルミニウムが好適である。鉄に樹脂コーティングを施すようにしてもよい。」
e 「【0019】
図2(A)には、ネット18の詳細が示されている。ネット18は、強度の高い高密度(ないし超高密度)ポリエチレンで光反射性を有する糸18Aを複数本,例えば15本前後を撚ったものを使用している。また、ネット18の網目18Bの大きさを、同図(B)に示すように、鳥(例えばカラス)の嘴18Cが入り込むものの、エサをくわえた状態では網目18Bから抜けないような大きさに設定している。
【0020】
次に、折り畳み時の様子を示す図3も参照して、本実施例の作用を説明する。ゴミ集積用具10は、所定のゴミ収集場などに、正面パネル30,32が道路などに面した側となるように設置される。図1のように組み立てられた状態のゴミ集積用具10には、ゴミなどを詰めたゴミ袋が集められる。このとき、背面パネル12と正面パネル30,32の間に固定バー22が渡されているため、背面パネル12と正面パネル30,32との間隔が固定される。このため、大量のごみ袋を集めた場合でも、集めたゴミの体積や重量によって、正面パネル30及び32側が道路側に大きく膨らむのを防ぐことができ、交通の安全を確保することができる。」
f 引用文献1には、【図2】(A)及び(B)として次図が記載されている。
「
[図:0001394849000001.jpg]
」
g 上記d、e及びfに示す【図2】(A)から、ネット18は、網目18Bの面を備えているといえる。
(イ)上記(ア)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
・引用発明
「ゴミ集積用具に使用するネット18であって、
網目18Bの面を備えたゴミ集積用具に使用するネット18。」
イ 引用文献2
原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2007-175041号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。
(ア)「【0001】
本発明は、鳥獣の被害防止と農産物、樹木の防護装置に関する。具体的には、人工芝マットやネット、球体の形状のもので、先端が鋭利な円錐形,角錐形の突起体を縦横無尽に装置し、犬、猫、鳥などの鳥獣が人家の庭や農場などに侵入した際に、本防護装置の突起体の先端を踏むか触れるとたちまち激痛を感じ、その場から退散させるための防護装置に関する。」
(イ)「【0005】
以上のような課題を解決するために、本発明においては以下のようなものを提供する。犬、猫、鳥類や猪や鹿などの鳥獣から花壇や農作物、果実、樹木を守るためのもので、形状を大別すると、人工芝マット状、ネット状、球体状などとして、各形状とも外向きに先端が鋭利な突起体を設けて、当該突起体を踏むか触れると激痛を感じ動物はその場を立ち去るもので、環境保全と樹木保護並びに農作物の保護に資するもので、本発明は鳥獣を殺傷せずに鳥獣の被害を防ぎ、清潔な園芸を楽しむことの出来る装置を提供する。」
(ウ)「【0011】
以下本発明の実施形態について、図を参照しつつ説明する。図1は、本発明をネット状の形態で実施した際の上面から見た図であり、符号1はネット本体、符号2はネットの網目、符号3は突起体である。突起体3は、円状の網目2から三方向に斜め上に伸びている。
【0012】
図4は、本発明を人工芝マット状の形態で実施した際の、横断面図である。符号4はマット底面、符号5は人口芝目、符号6は突起体。突起体6は、人工芝目と同じ高さで、人工芝に混じる形でマット底面に多数設置されている。
【0013】
図5は、本発明を球体状の形態で実施した際の、横断面図である。符号7は球体表面。符号8は毬栗状の針、符号9は突起体、符号10は中心点、符号11は連結軸、符号12は連結部である。球体表面7に毬栗状の針8が無数に設置してあり、毬栗状の針8と同じ高さの突起体がはりめぐらされている。球体の中心点10を結ぶ線上の表面両端から連結軸11が延出しており、連結部12によって他の球体と連結する。」
(エ)「【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明をネット状の形態で実施した際の上面図
【図2】本発明をネット状の形態で実施した際の横断面図」
(オ)引用文献2には、【図1】及び【図2】として次図が記載されている。
「
[図:0001394849000002.jpg]
」
ウ 引用文献3
原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、登録実用新案第3083711号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。
(ア)「【請求項1】外方に向かって突出する複数本の針状体を、柔軟性のある網状底部と一体化することにより、取付け対象がいかなる形状でも対応可能とし、その固定方法として、取付け金具、針金、樹脂バンド、粘着剤、裏面シール方式を柔軟に選択することのできる鳥害防止具。」
(イ)「【符号の説明】
1 針状体
2 底部マット部
3 柱状開閉器
4 送電線鉄塔の支柱アングル部」
(ウ)「【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、電柱・鉄塔やベランダ、屋上等の屋外建造物をはじめ、その他様々な場所における鳥の巣作りや滞留、排泄による被害を防止するために用いられるものである。」
(エ)「【0007】
本考案は、このような従来の技術が有する問題点を解決するために、必要なサイズや寸法だけ簡単に切り取ったり、連結したりすることができ、しかも目的や用途、設置場所を選ばず、どのような場所や形状でも問題なく使用できる鳥害防止具を提供することを目的としている。」
(オ)「【0008】
また従来の針状体鳥害防止器具の中には、例えば架空線の防護管などに取付けられている円筒状にのみ変形可能な器具もあるが、本考案では、底部を網状の構造にすることで、設置場所の形状が平面や円筒状はもちろんのこと、凹凸があるような曲面で構成された形状にも自由に対応できるようにした。」
(カ)引用文献3には、【図1】として次図が記載されている。
「
[図:0001394849000003.jpg]
」
エ 引用文献4
原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開平8-298914号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。
(ア)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、猫や犬、及び鳥等の動物を寄せつけないようにするための動物避け具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】丹精した家庭の庭に野良猫や野良犬が入り込み荒らしたり、糞をしたりすることがよくあり、またマンション等のベランダには鳩等の鳥がとまり、糞をして洗濯物や床等の周辺を汚したりしてしまうことから、こうした野良猫や野良犬、鳥等が入り込んだり、寄りつくのを防止するために、従来では犬や猫、鳥等の動物が嫌がる匂いのする薬剤を塗布したり噴霧したりしている。」
(イ)「【0007】
【作用】本発明に係る動物避け具では、針状の動物避け部を表面に突出させた状態で動物避け具を設置する場所に基板固定部で固定して取り付ける。」
(ウ)「【0009】こうして所望の場所に動物避け具が固定されると、針状の動物避け部を表面に突出させてあるので、この針状の動物避け部により猫や犬は通り難くなり、鳥はとまり難くなるために、こうしたことがこれが記憶されると学習機能によりこれらの動物は寄りつかなくなるのである。」
(エ)「【0010】
〔発明の詳細な説明〕以下、本発明に係る動物避け具の一実施例を図面に基づいて説明する。図1は、動物避け具の全体斜視図を示し、図中符号1は動物避け具1を全体的に示す。この動物避け具1は、合成樹脂で縦桟(縦部材)2と横桟(横部材)3とで比較的目の粗い格子状に形成された基板4と、この基板4の縦桟2と横桟3との交差部分5の上面に先窄まりに形成された針状の動物避け部6と、基板4の格子部分に一体に形成された基板固定部7とからなる。」
(オ)「【0013】こうして庭等に動物避け具1が固定されると、針状の動物避け部6が表面から突出しており、この針状の動物避け部6が此処を通行しようとする猫や犬の足に刺さることから、猫や犬はここを通るのをいやがるようになり、こうしたことがこれが猫や犬の脳裏に記憶されると学習機能によりこれらの動物は寄りつかなくなるのである。」
(カ)引用文献4には、【図1】として次図が記載されている。
「
[図:0001394849000004.jpg]
」
(3)対比、一致点及び相違点
本件補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「ゴミ集積用具に使用するネット18」は、本件補正発明の「集積ゴミ用の保護網」に相当するから、本件補正発明と引用発明とは、次の一致点及び相違点を有する。
・一致点
「集積ゴミ用の保護網であって、
網目の面を備えた集積ゴミ用の保護網。」
・相違点
本件補正発明の集積ゴミ用の保護網は、「網目の面に対して、垂直方向に、複数の突起部を持ち、該突起部は、棒状又は中空の管状である」のに対し、引用発明は、本件補正発明の突起部に相当するものは、持たない点。
(4)判断
以下、相違点について検討する。
引用発明は、「ごみ収集場所などに集められたゴミやゴミ袋を一時的に保管するためのゴミ集積用具及びそれに使用するネット」(【0001】)に関するものであって、引用文献1には、「ゴミ袋の上にネットを被せるだけでは、ネットと地面の隙間から小動物が入り込んで荒らしてしまったり、ネットの隙間からカラスがつついたりしてゴミの散乱を完全に防ぐことはできない。」(【0003】)との記載、及び、「ネット18の網目18Bの大きさを、同図(B)に示すように、鳥(例えばカラス)の嘴18Cが入り込むものの、エサをくわえた状態では網目18Bから抜けないような大きさに設定している。」(【0019】)との記載があることから、引用発明において、小動物やカラス等の鳥がごみ収集場所に来て、ネットの隙間からつついたり、集められたゴミをくわえ、散乱させるという課題が認識されていたといえる。
一方、鳥獣が来て様々な被害(農作物の食害、排泄物による被害)を発生させることを防ぐために、被害を避けたい場所に設置するネット状の用具において、網目の面に対して垂直方向に棒状の突起部を複数設けることは、本願の出願前において周知技術(周知例として引用文献2(特に、【0005】、【0011】、【図1】の記載参照。)、引用文献3(特に、【請求項1】、【図1】の記載参照。)、引用文献4(特に、【0007】、【0009】、【図1】の記載参照。))であったといえる。
ここで、各周知例に記載されたものは、必ずしもゴミ集積場において使用するものとはされていないが、引用発明のゴミ集積場に用いるネットと周知技術のネット状の用具とは、いずれも保護対象場所における鳥獣被害防止という共通の課題を有し、網目の面を備えたネット状という共通の構成を有していることから、両者が鳥獣被害防止ネットという共通の技術分野に属しているといえ、これらを転用することは当業者であれば普通に想定し得る事項であるところ、周知技術の、網目の面に対して垂直方向に棒状の突起部を複数設ける技術を、引用発明のゴミ集積場のネット18に用いることは当業者にとって格別困難ではない。
したがって、引用発明に、周知技術を適用し、ネット18に鳥等が接近できないようにして、本件補正発明の上記相違点にかかる発明特定事項を得ることは、当業者が容易になし得た事項である。
また、本件補正発明の効果についてみても、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得たものであって、格別なものとはいえない。
したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
審判請求人は、審判請求書(令和4年4月14日受付の手続補正書により補正された審判請求書)において、「引用発明は、ゴミ集積用に使用するネットであって、安全性の観点から視認性の向上を目的とする発明であ」って、「ゴミ集積用のネットについて、内包されるごみの量によって道路側へ膨出して交通の妨げとなる可能性があり、特に夜間や暗所では通行に注意が必要となることから、光反射性の糸を使用して優れた視認性を確保する構造を採用するものである」から、「引用発明の目的によれば、通行の妨げとなるような構造は採用し得ないのであって、具体的には、網目の面に垂直方向に複数の突起部を有する構造は、道路側へ突起部が突出して通行の妨げとなるおそれがあるため、決して採用し得るものではない」旨主張(令和4年4月14日提出の手続補正書2ページ43行ないし3ページ4行。)する。
しかしながら、引用発明において、周知技術を適用して複数の突起部を設けても、視認性が低下するものではない。また、引用文献1では、「ネットを利用するものにおいては、収容するゴミ袋の量が増えるにつれ、道路などに面した側のネットが大きく膨らんで交通の妨げとなる可能性があった」(引用文献1【0004】)ことを従来技術の課題の1つとしているが、引用文献1に記載された発明は、フレームにネット18を張設した背面パネル12、側面パネル26及び28、正面パネル30及び32からなる囲い枠に、底面パネル40及び42と、開閉自在な蓋パネル44、46を設け、背面パネル12と正面パネル30、32の間に固定バー22を渡し、背面パネル12と正面パネル30、32との間隔を固定することで、大量のごみ袋を集めた場合でも、正面パネル30及び32側が道路側に大きく膨らむのを防ぐことで、上記課題を解決しているものであり(引用文献1【0020】)、このように、背面パネル12と正面パネル30、32の間に固定バー22を渡しても、各パネルに張設されているネット18に突起部を設けることの阻害要因とはならないから、審判請求人の上記主張は採用することができない。
また、審判請求人は、「本願発明は、集積ごみ用の保護網であって、本願発明が備える突起部は、先端が平滑な棒状又は中空の管状を成し、鳥のくちばし進入に伴い突起部が目や体表に突き刺さって害を及ぼすもので、これにより鳥がごみ袋をつまみ出す目的でくちばしを進入するのを防止するためのものである。」とも主張する(令和4年4月14日提出の手続補正書4ページ8行ないし同ページ11行。)。
しかしながら、引用文献1には、ネット18の網目18Bに鳥(例えばカラス)の嘴18Cが入り込むことを想定した記載があり(引用文献1【0019】)、また、周知技術の突起部は、鳥獣が保護対象場所に接近・侵入した際に、当該鳥獣に痛みを与えたり傷つけたりして追い払うものであるから、引用発明に周知技術を適用して、ネット18の網目18Bの面に対して、周知技術のように垂直方向に、複数の突起部を設ければ、網目18Bに嘴18Cを入れた鳥が痛みを感じたり傷ついたりすることは、当業者が当然に予測し得る作用効果である。したがって、審判請求人の上記主張は採用することができない。
さらに、審判請求人は、「引用文献2乃至4に記載の発明は、そもそも集積ごみ用ネットの発明ではなく、しかも各文献記載の突起部は、大凡その設置箇所への鳥獣の立ち入りを防止することを目的とし、且つ、それを作用効果として奏するべく先端が鋭利な構成となっている。これに対し、本願発明は、集積ごみ用ネットの発明であって、鳥獣の立ち入りを防止するものではなく、鳥のくちばしの進入を防止することが目的であり、それ故本願発明の突起部は、先端が平滑な棒状又は中空の管状に形成され、それによりごみの散乱被害を防止し得るといった作用効果を奏する点で、目的・構成・作用効果が全く相違するものである」(令和4年4月14日提出の手続補正書4ページ12行ないし同ページ18行。)とも主張するが、上記相違点の検討において説示したとおり、引用発明と周知技術とは、目的・構成・作用効果において共通しているから、審判請求人の上記主張は、採用できない。また、請求人は、「本願発明の突起部は、先端が平滑な棒状又は中空の管状に形成され」ていると主張しているが、本件補正発明は、突起部が「棒状又は中空の管状である」とは特定しているものの、「先端が平滑な棒状または中空の管状」とは特定しておらず、先端が平滑である点については、審判請求人の主張は、請求項の記載に基づくものとはいえず、むしろ、審判請求人は、「本願発明が備える突起部は、先端が平滑な棒状又は中空の管状を成し、鳥のくちばし進入に伴い突起部が目や体表に突き刺さって害を及ぼす」(令和4年4月14日提出の手続補正書4ページ8ないし10行)と述べていることから、本件補正発明は、先端が鋭利な突起部も想定されているというべきである。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし6に係る発明は、令和3年9月24日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1(上記第2の[理由]2(2)ア参照)に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)アに記載したとおりである。
4 対比及び判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、突起部が「棒状又は中空の管状である」という発明特定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-003061