特許再審
2019-950001
噴出ノズル管の製造方法並びにその方法により製造される噴出ノズル管
- 審判番号
- 2019-950001
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 再審
- 出願番号
- 特願2011-127906外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 4958194
- 請求日
- 2019年10月07日
- 審決日
- 2020年12月25日
- 公報発行日
- 2022年08月26日
- 結論
- 却下
- 分類
- P5113.09 -X (B05B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法135条特許法169条2項特許法171条2項特許法174条3項民事訴訟法61条民事訴訟法66条民事訴訟法338条1項6号民事訴訟法338条1項7号民事訴訟法338条1項9号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第171条第2項、特許法第174条第3項、特許法第148条第3項、特許法第149条第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の特許無効審判事件(無効2014-800187号)の確定審決に対する再審請求について、次のとおり審決する。
結論
本件再審の請求を却下する。
再審費用は、参加によって生じた費用を含めて請求人及びその参加人の負担とする。
理由
第1 再審請求及び答弁の趣旨
1 請求
無効2014-800187号事件について、平成30年6月11日にされ、その後確定した審決(以下、単に「確定審決」という。)のうち、「特許第4958194号の請求項1及び3に係る発明についての特許を無効とする」との部分を取り消す、同部分に係る審判の請求は成り立たない旨の審決を求める。
(審決注:なお、再審請求書の「5.請求の趣旨」には、「無効2014-800187号審判事件についてなされた原審決を取り消す。」と記載されているが、同請求書の「2.請求項の数」欄の記載及び上記確定審決に係る事件の経緯等から、請求人が求めているのは、上述のとおりであることと認められる。)
2 答弁
再審請求は成り立たない旨の審決を求める。
第2 主な手続等の経緯
1 無効2014-800187号事件について
平成26年11月14日付け:審判請求書
平成27年9月25日:請求は成り立たないとの審決(一次審決)
平成29年1月25日:特許第4958194号の請求項1及び3に係る部分を取り消す、その余の請求は棄却するとの判決(一次審決取消訴訟。一次判決)
平成30年6月11日:特許第4958194号の請求項1及び3に係る発明についての特許を無効とするとの審決(確定審決)
平成31年3月6日:請求棄却判決(確定審決に対する取消訴訟。二次判決)
(審決注:なお、上記一次判決及び二次判決は、ともに適法に確定している(甲4、甲7)。)
2 本件について
令和1年10月4日付け:再審請求書
令和1年12月5日:一部請求取下書
令和1年12月25日:上申書(請求人)
令和2年3月4日:再審請求答弁書
令和2年5月9日:審判事件弁駁書(請求人)
令和2年9月2日:小川真吾による特許法第148条第3項の規定に基づく参加申請
令和2年11月9日付け:特許法第149条第3項所定の参加許可決定
第3 請求人の主張
1 再審事由
確定審決には、特許法第171条第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項第9号所定の再審事由(以下、「9号事由」という。)、同第7号所定の再審事由(以下、「7号事由」という。)及び同第6号所定の再審事由(以下、「6号事由」という。)がある。
2 各再審事由に関する主張の要点
(1)9号事由について
ア 一次判決には、以下述べるような判断の遺脱がある。
(ア)一次判決における原告(被請求人)が発明者であるとの認定は、特定の装置の存在を理由とするものであるが、この装置が、特許第4958194号(以下、「本件特許」という。甲10)に係る装置なのか特許第4619344号(甲9)に係る装置なのかについて検討されていない(上申書五.4.ア)。
(イ)本件特許に関する「特許権の帰属」と「特許を受ける権利の帰属」の本質的判断について、判断の遺脱がある(審判事件弁駁書6.(2)-○2(審決注:○付き数字の2である。以下同様。))
(ウ)甲11及び甲16に基づけば、甲11等で明らかとなった被請求人の意図的な虚偽の主張立証に対し、凌駕するレベルの主張立証を特許権者側に求めるのは、過大な負担であり、一次判決の判断の規範とされた立証責任の分配の判断にも、判断の遺脱がある(審判事件弁駁書6.(2)-○3)。
イ したがって、一次判決に従ってされた確定審決には一次判決と同様の判断の遺脱がある。
(2)7号事由について(審判請求書6.(4))
ア 甲11によると、確定審決を拘束した一次判決(甲3)において基礎となった主要証拠(審決注:一次審決取消訴訟において提出された甲26、甲28、甲29、甲30及び甲36等であって、本件においては提出されていない。)を作成提供し、陳述書を提出した者である遠藤康之(以下、「遠藤」という。)は、上記主要証拠の作成提供時、本件特許の内容を「特許第4619344号に係る噴出管の構造に係る物」として認識し、現在も遠藤はそう認識している状態であることは明らかである。
したがって、遠藤が一次審決取消訴訟において提出した甲62(甲3の第33ページ第8及び9行)のような詳細な製造方法に係る説明をするはずはなく、遠藤の陳述は虚偽の陳述であったことにほかならない。
イ 甲11によると、遠藤は、本件特許は日本インテグレーテッドワークス株式会社の保有する特許であると認識し、被請求人が発明者であることに疑義を有した状態で本件特許の無効審判に関与し、現在も被請求人が発明者であることに疑義を有した状態であることは明らかである。
このことは、遠藤の記憶に反し、遠藤が疑問を抱いたまま、本件特許の無効審判の主張立証がなされたことを示すものであり、確定審決における発明者性の認定の証拠として虚偽の陳述が用いられたと言わざるをえない。
(3)6号事由について(審判請求書6.(4))
上記(2)ア及びイで述べたような状態の遠藤が作成提出した証拠は偽造又は変造されたものである。
3 証拠
証拠方法として書証を申し出て、下記のとおりの文書(甲1ないし16)を提出する。
・甲1 無効2014-800187号事件審判請求書
・甲2 無効2014-800187号事件の平成27年9月25日付け審決(一次審決)
・甲3 平成27年(行ケ)第10230号事件の平成29年1月25日言渡判決(一次判決)
・甲4 平成29年(行ヒ)第181号事件の調書(決定)
・甲5 無効2014-800187号事件の平成30年6月11日付け審決(確定審決)
・甲6 平成30年(行ケ)第10099号事件の平成31年3月6日言渡判決(二次判決)
・甲7 令和元年(行ヒ)第186号事件の調書(決定)
・甲8 宇都宮地方裁判所に提出された平成30年3月20日付け訴状
・甲9 特許第4619344号公報
・甲10 特許第4958194号公報
・甲11 遠藤の証人尋問調書(東京地方裁判所、平成30年(ワ)第19852号事件)
・甲12 平成31年1月11日付け訴えの変更申立書(東京地方裁判所、平成30年(ワ)第19852号事件)
・甲13 平成30年11月19日付け被告準備書面(2)(東京地方裁判所、平成30年(ワ)第19852号事件)
・甲14 東京地方裁判所、令和元年10月31日言渡判決(東京地方裁判所、平成30年(ワ)第19852号事件)
・甲15 令和元年11月20日付け確定証明申請(東京地方裁判所、平成30年(ワ)第19852号事件)
・甲16 平成25年5月23日 第7回日本インテグレーテッドワークス株式会社定時株主総会 会話録音書き起こし書面(抜粋)
第4 被請求人の主張(要点)
1 7号事由及び6号事由について
(1)遠藤が本件特許の無効審判請求及び審決取消訴訟において、証人として宣誓の上で陳述をしたことはない(甲3及び5において、遠藤本人の陳述が証拠として掲げられていない。)。
したがって、遠藤の陳述が虚偽であるとの主張は、再審事由に該当しない。
(2)確定審決において遠藤の陳述書等の証拠は判断の根拠たる証拠となっていない。
したがって、遠藤の陳述書等の証拠が偽造又は変造されたとの主張は、再審事由に該当しない。
(3)遠藤は、有罪の判決若しくは過料の裁判を受けた事実はなく、特許法第171条第2項で準用する民事訴訟法第338条第2項に該当しないのであるから、この点でも再審事由に該当しない。
2 9号事由について
請求人の主張は、一次判決における判断の遺脱を主張するものであり、確定審決の判断の遺脱を主張するものではなく、再審事由に該当しない。
第5 合議体の判断
1 再審事由について
(1)特許法第171条第2項には「民事訴訟法第338条第1項及び第2項並びに第339条(再審の事由)の規定は、前項の再審の請求に準用する。」と規定されているところ、準用する民事訴訟法第338条第1項柱書には「次に掲げる事由がある場合には、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。ただし、当事者が控訴若しくは上告によりその事由を主張したとき、又はこれを知りながら主張しなかったときは、この限りでない。」と規定されている。そして、民事訴訟法第338条第1項ただし書にいう「控訴若しくは上告」とは、特許法に則していうと「審決取消訴訟の提起若しくは同訴訟に対する上告」のことをいうことは自明である(知的財産高等裁判所判決平成19年(行ケ)第10407号)。
(2)また、準用する民事訴訟法第338条第2項には、「前項第四号から第七号までに掲げる事由がある場合においては、罰すべき行為について、有罪の判決若しくは過料の裁判が確定したとき、又は証拠がないという理由以外の理由により有罪の確定判決若しくは過料の確定裁判を得ることができないときに限り、再審の訴えを提起することができる。」と規定されている。
そして、「証拠がないという理由以外の理由により有罪の確定判決若しくは過料の確定裁判を得ることができないとき」との要件を具備するためには、罰すべき行為について有罪の確定判決を得る可能性があるにもかかわらず、被疑者の死亡、公訴権の時効消滅、不起訴処分等のためにこれを得られなかったことを証明することを要するから、当該罰すべき行為について有罪の確定判決がない場合に再審を申し立てる当事者は、公訴権の時効消滅等の事実のみならず、有罪の確定判決を得る可能性があることについてもこれを立証しなければならないものと解される(最高裁判所昭和39年(オ)第1374号昭和42年6月20日第三小法廷判決参照)。
さらに、当該要件は、再審の訴えを、再審事由の存在する蓋然性が顕著な場合に限定して濫訴の弊害を防止しようとする趣旨によるものと解されるから、この要件を欠くときには、再審の訴え自体が不適法となり、同条第1項第4ないし7号の再審事由自体の有無の判断に立ち入るまでもなく、再審の訴えは却下を免れないものであると解される(最高裁判所昭和44年(オ)第793号昭和45年10月9日第二小法廷判決参照)。
そうすると、特許無効審判の確定審決に対する再審についても、これと同様に、特許法第171条第2項により準用される民事訴訟法第338条第2項の要件を欠くときには、再審の請求自体が不適法となり、同条第1項第4ないし7号の再審事由自体の有無の判断に立ち入るまでもなく、再審の請求は、却下を免れないものである。
(3)以上を踏まえ、6号、7号及び9号の各事由について検討する。
2 9号事由について
(1)ア 請求人が主張する9号事由は、それが正しいかは否かはさておき、確定審決を見れば直ちに認識できるものであるから、請求人は先に提起した確定審決の審決取消訴訟において、上記9号事由を主張することができたものといえる。
したがって、請求人が確定審決の審決取消訴訟において、上記9号事由を主張せず、本件再審請求においてこれらの9号事由を主張することは、「当事者が控訴若しくは上告によりその事由を知りながら主張しなかったとき」に該当することとなるのは明らかである。
よって、9号事由に基づく本件再審請求は、上記1(1)で述べるところのただし書に該当するものというべきである。
イ また、請求人は上記第3 2(1)のとおり主張するが、これら主張は要するに一次判決における判断の遺脱を主張するものであり、確定審決の判断の遺脱を主張するものではないから、請求人の主張はその前提において採用できない。
(2)なお、念のため、9号事由の有無についても検討する。
ア 特許法第171条第2項が準用する民事訴訟法第338条第1項第9号にいう「判断の遺脱」とは、当事者が適法に提出した攻撃防御方法のうち、その判断のいかんにより審決の結論に影響する事項で、審決の理由中で判断を示さなかった場合をいうと解される(知的財産高等裁判所判決平成21年(行ケ)第10187号)。
そこで検討するに、確定審決(甲5)は、要旨次のとおり認定判断し、特許第4958194号の請求項1及び3に係る発明についての特許を無効とするとの審決をした。
「ここで、本件の再度の審理には、行政事件訴訟法33条1項の規定により、取消判決の拘束力が及ぶ。そして、この拘束力は、判決主文が導き出されるのに必要な事実認定及び法律判断にわたるものであるから、再度の審理において、当事者が、本件判決の拘束力の及ぶ判決理由中の認定判断につきこれを誤りであるとして従前と同様の主張を繰り返すこと、あるいは上記主張を裏付けるための新たな立証をすることは認められない。
被請求人は、本件判決の認定判断は誤りであると主張し、これを裏付けるための新たな立証として、本件予告後に上申書(1)及び上申書(2)並びに乙第21号証ないし乙第65号証を提出するが、当該主張立証は、一次審決に係る審判手続及びその審決取消訴訟において既に行われたもの、あるいはこれを行うことができたはずのもの、又は従前と同様の主張を繰り返すものであって、上記拘束力により採用することができないものである。
以上のことから、当審は、本件判決に従い、本件各発明のうち、・・・本件発明1及び3については、その発明者が被請求人であると認めることはできないものと判断する。
また、本件発明1及び3については、その発明について被請求人が発明者から特許を受ける権利を承継しているとも認められない。」(第10ページ第1ないし18行)
すなわち、確定審決は、特許を無効とするとの審決の結論について、審決の理由中で上記のとおり判断を示している。
したがって、確定審決に判断遺脱の違法はないというべきである。
イ また、確定審決は適法に確定した一次判決の拘束力に従って上記アのとおり認定判断したにすぎないのであるから、適法に確定した判決の拘束力に逸脱したのであればさておき、これに従ってされた審決に判断遺脱の違法はないともいえる。
ウ したがって、確定審決に9号事由はない。
3 7号事由及び6号事由について
(1)二次判決(第7ないし9、12及び13ページ)によると、請求人は、確定審決の審決取消訴訟において、上記第3 2(2)及び(3)で述べるところと同様の主張をしていることが認められる。
したがって、本件において上記第3 2(2)及び(3)の主張をすることは、「当事者が控訴若しくは上告によりその事由を主張したとき」に該当することとなるのは明らかである。
したがって、7号事由及び6号事由に基づく本件再審請求は、特許法第171条第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項ただし書に該当するものというべきである。
(2)また、上記1(2)を本件についてみるに、遠藤の陳述及び同人が陳述書を作成するなどした行為について、「有罪の判決若しくは過料の裁判が確定した」ものであると、また、「証拠がないという理由以外の理由により有罪の確定判決若しくは過料の確定裁判を得ることができない」ものであると認めるに足りる証拠はない。
請求人は、「同審判請求からすでに5年を経過し、消滅時効が成立しているのではないか、また、甲11号証による事実発覚から現時点までの短期間に請求人らに有罪判決等の確定を得ることは不可能であるから、民事訴訟法第338条第2項後段の「又は」以降の「確定判決を得ることができないとき」に該当するものと思量する。」(審判事件弁駁書第11及び12ページ)と主張するが、請求人が主張するような事情は、確定審決の法的安定性と重大な瑕疵の存在等からの当事者の救済という正義との調整を図るといった非常の救済方法である再審が有する法的性格を踏まえたとき、特に汲むべき事情とは認められない。
してみると、7号事由及び6号事由に基づく本件再審請求は、特許法第171条第2項で準用する民事訴訟法第338条第2項の要件を欠くものというべきである。
(3)なお、念のため、7号事由及び6号事由の有無についても検討する。
ア 7号事由について
確定審決に係る無効審判において、遠藤は証人として陳述していないから、確定審決に遠藤の陳述に係る7号事由はそもそも存在し得ない。
イ 6号事由について
仮に、遠藤が、本件特許の内容を誤って認識していた、あるいは本件特許の発明者について疑義を抱いていたとすれば、遠藤が作成した証拠(陳述書等)の内容に錯誤が生じていたといえるかもしれないが、そのことをもって、上記証拠となった文書が偽造又は変造されたものであることにはならない。
したがって、確定審決に6号事由はない。
第6 むすび
したがって、特許法第171条第2項で準用する民事訴訟法第338条第1項第6号、第7号及び第9号に基づく再審請求は、不適法なものであって、特許法第174条第3項で準用する同法第135条の規定により却下する。
再審費用については、特許法第174条第3項で準用する同法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条及び第66条の規定により、請求人及びその参加人の負担とすべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
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