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特許拒絶査定不服審判

2022-001479

改良されたリーク電流を有する固体電解キャパシタ

審判番号
2022-001479
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-514282外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年02月01日
審決日
2022年12月07日
公報発行日
2023年05月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H01G) / P18 .575-Z (H01G)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第4項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-514282「改良されたリーク電流を有する固体電解キャパシタ」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 3月22日国際公開、WO2018/053060、令和 1年11月14日国内公表、特表2019-533304〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 15項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、2017年(平成29年)9月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2016年9月15日、米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和3年 2月26日付け:拒絶理由通知
令和3年 5月28日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年10月 5日付け:拒絶査定
令和4年 2月 1日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 令和4年2月1日の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

令和4年2月1日の手続補正を却下する。

[理由]

1.補正の内容

令和4年2月1日の手続補正(以下、「本件補正」という。)は、補正前の請求項1を本件補正における請求項1に変更する補正事項を含むものである。

そして、補正前の請求項1及び本件補正における請求項1は、それぞれ、以下のとおりである(本件補正における請求項1の下線部は、補正された箇所を示す。)。

〈補正前の請求項1〉

「【請求項1】
キャパシタ素子を含むキャパシタアセンブリであって、
前記キャパシタ素子は、
焼結多孔質陽極体;
前記陽極体の上に配されている誘電体;
前記誘電体の上に配されている、有機金属化合物から形成されるプレコート層;
前記プレコート層の上に配されている固体電解質;
前記固体電解質の上に配され、予め重合された導電性ポリマー粒子及び架橋剤を含む外側ポリマー被覆;
を含み、
前記固体電解質は内側層及び外側層を含み、前記内側層はin-situ重合された導電性ポリマーから形成され、前記外側層は予め重合された導電性ポリマー粒子から形成される上記キャパシタアセンブリ。」

〈本件補正における請求項1〉

「【請求項1】
キャパシタ素子を含むキャパシタアセンブリであって、
前記キャパシタ素子は、
焼結多孔質陽極体;
続きを表示(全20行)
前記陽極体の上に配されている誘電体;
前記誘電体の上に配されている、有機金属化合物から形成されるプレコート層、ここで、プレコート層は3層以上のプレコート層を含む;
前記プレコート層の上に配されている固体電解質;
前記固体電解質の上に配され、予め重合された導電性ポリマー粒子及び架橋剤を含む外側ポリマー被覆;
を含み、
前記固体電解質は内側層及び外側層を含み、前記内側層はin-situ重合された導電性ポリマーから形成され、前記外側層は予め重合された導電性ポリマー粒子から形成され、
前記有機金属化合物が、次の一般式:
【化1】
[図:0001396786000001.jpg]
(式中、
Mは有機金属原子であり;
R1、R2、及びR3は、独立して、アルキル又はヒドロキシアルキルであり、R1、R2、及びR3の少なくとも1つはヒドロキシアルキルであり;
nは0~8の整数であり;
Xはグリシジルオキシ基である)
を有し、
印加電圧に90秒間かけた後に、前記アセンブリは約50マイクロアンペア以下のリーク電流を示す、上記キャパシタアセンブリ。」

2.補正の適否

上記補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「有機金属化合物から形成されるプレコート層」について、「プレコート層は3層以上のプレコート層を含む」旨及び「有機金属化合物が、次の一般式:

【化1】

[図:0001396786000002.jpg]

(式中、

Mは有機金属原子であり;

R1、R2、及びR3は、独立して、アルキル又はヒドロキシアルキルであり、R1、R2、及びR3の少なくとも1つはヒドロキシアルキルであり;

nは0~8の整数であり;

Xはグリシジルオキシ基である)

を有」する旨限定すると共に、「キャパシタアセンブリ」について「印加電圧に90秒間かけた後に、前記アセンブリは約50マイクロアンペア以下のリーク電流を示す」旨限定するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正による請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そして、本願明細書の段落【0097】に「3つのプレコート層」を用いた実施例3が、段格【0098】に「4つのプレコート層」を用いた実施例4が記載されている。

また、補正前の請求項3及び本願明細書段落【0023】ないし【0025】には、「有機金属化合物が、次の一般式:

【化1】

[図:0001396786000003.jpg]

(式中、

Mは有機金属原子であり;

R1、R2、及びR3は、独立して、アルキル又はヒドロキシアルキルであり、R1、R2、及びR3の少なくとも1つはヒドロキシアルキルであり;

nは0~8の整数であり;

Xは有機又は無機官能基である)」旨記載されると共に段落【0025】には「Xは・・・グリシジルオキシ・・・である」旨記載されている。

さらに、補正前の請求項19には「印加電圧に90秒間かけた後に、前記アセンブリは約50マイクロアンペア以下のリーク電流を示す」旨記載されると共に、本願明細書段落【0100】に記載された【表1】には「90秒における第1のDCL[μA]」が実施例3では4.64、実施例4では3.33であることが記載されている。

してみると、請求項1の上記限定された事項は、発明の詳細な説明に記載された事項であり、本件補正による請求項1に係る補正は、特許法第17条の2第3項の規定に適合する。

また、特許法第17条の2第4項に違反するところはない。

そこで、本件補正による請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下に検討する。

(1)本願補正発明

本願補正発明は、上記「1.」の〈本件補正による請求項1〉の欄に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項、引用発明等

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ア.引用文献1

(ア)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に公開された米国特許出願公開第2014/0321029号明細書(以下、「引用文献1」という。)には、「ELECTROLYTIC CAPACITOR」(電解キャパシタ)について以下の記載がある。なお、下線は当審で付与した。

「[0018]Generally speaking, the present invention is directed to a solid electrolytic capacitor that includes a capacitor element, where the capacitor element includes an anode body, a dielectric overlying the anode body, a solid electrolyte that contains one or more conductive polymers and overlies the dielectric, and an external coating that overlies the solid electrolyte.」(当審訳:[0018]一般的に言えば、本発明は、キャパシタ素子を備える固体電解キャパシタであって、キャパシタ素子は、陽極体、陽極体の上に重なる誘電体、1つ以上の導電性ポリマーを含有しそして誘電体の上に重なる固体電解質、固体電解質の上に重なる外部コーティングを含む。)

「[0027]Upon sintering, an anode body is thus formed that contains a plurality of longitudinal depressions/notches and corresponding protrusions on at least one exterior surface of the anode body in accordance with the present invention. Referring to FIGS. 1-3, for example, one embodiment of an anode 100 is shown that contains a porous, sintered anode body 11 having a first side 23 and a second side 25 positioned between a front surface 19 and a rear surface 21.」([0027] 焼結すると、本発明によれば、陽極体の少なくとも1つの外部表面に、複数の縦凹部/ノッチと対応する突起を含む陽極体が形成される。図1-3を参照すると、例えば、前面19と後面21との間に配置された第1の側23および第2の側25を有する多孔質焼結陽極体11を含む陽極100の一実施形態が示されている。)

「[0066]In addition to applying the solid electrolyte via in situ polymerization or via the application of a dispersion of conductive polymer particles, it is also to be understood that the solid electrolyte can be applied via a hybrid process that combines both in situ polymerization and the application of a dispersion of conductive polymer particles. Referring to FIG. 4, for example, one embodiment of a capacitor element 10 is shown that contains a solid electrolyte 12 formed from multiple layers. More specifically, the solid electrolyte 12 includes a first conductive polymer layer 14 that is in contact with a dielectric 13 that overlies an anode body 11 embedded with a lead 15. In one embodiment, the first layer 14 may contain a conductive polymer (e.g., PEDT) that is formed through in situ polymerization of an oxidizing agent and monomeric precursor. The solid electrolyte 12 also contains a second conductive polymer layer 16 that generally overlies the first layer 14. The second layer 16 may be formed from a dispersion of particles that contains a conductive polymer (e.g., PEDT), binder, and an optional counterion (e.g., PSS).」([0066] in-situ重合、または、導電性ポリマー粒子の分散液の塗布によって固体電解質を適用することに加えて、また、固体電解質は、in- situ重合と導電性ポリマー粒子の分散液の塗布との双方を組み合わせる混成プロセスを介して適用することができることを理解されたい。図4を参照すると、例えば、キャパシタ素子10の1つの実施形態は、複数の層から形成された固体電解質12を含むことが示されている。より具体的には、固体電解質12は、リード15が埋め込まれた陽極体11の上に位置する誘電体13と接触している第1導電性高分子層14を含む。一実施形態では、第1の層14は、酸化剤とモノマー前駆体とのin- situ重合中に形成された導電性ポリマー(例えば、PEDT)を含むことができる。固体電解質12は、一般に第1の層14の上にある第2導電性高分子層16も含む。第2の層16は、導電性ポリマー(例えば、PEDT)、結合剤、及び任意的な対イオン(例えば、PSS)を含有する粒子の分散液から形成することができる。)

「[0068]The capacitor of the present invention also contains an external coating that overlies the solid electrolyte. The external coating contains at least one carbonaceous layer and at least one metal layer that overlies the carbonaceous layer.・・・
[0069]In addition to the layers noted above, the external coating may also contain at least one polymer layer that is positioned between the carbonaceous layer and the metal layer. For instance, the external coating may contain a polymer layer when the solid electrolyte discussed above is applied via in situ(当審注:「in situ」は「in site」の誤記と認める。) polymerization. Among other things, this layer may help inhibit delamination of the carbonaceous layer from the anode part in conjunction with the shape of the anode itself. ・・・」([0068] 本発明のキャパシタは、固体電解質の上に重なる外部コーティングも含む。外部コーティングは、少なくとも1つの炭素質層と、炭素質層の上に重なる少なくとも1つの金属層を含む。・・・

[0069] 上述の層に加えて、外部コーティングは、炭素質層と金属層との間に配置された少なくとも1つのポリマー層も含んでいてもよい。例えば、上述した固体電解質がin-site重合により適用される場合、外部コーティングはポリマー層を含んでいてもよい。特に、この層は、アノード自体の形状と併せて、陽極部分から炭素質層の層間剥離を防ぐのに役立つことができる。・・・)

(イ)上記記載から、引用文献1には、次の技術事項が記載されているものと認められる。

・[0018]の記載によれば、引用文献1には、「キャパシタ素子を備える固体電解キャパシタ」が記載されている。そして、「キャパシタ素子は、陽極体、陽極体の上に重なる誘電体、1つ以上の導電性ポリマーを含有しそして誘電体の上に重なる固体電解質、固体電解質の上に重なる外部コーティング」を含む。

・[0027]の記載によれば、陽極体は「多孔質焼結陽極体11」である。

・[0066]の記載によれば、「固体電解質12は、」「陽極体11の上に位置する誘電体13と接触している第1導電性高分子層14」を含み、「第1の層14は、酸化剤とモノマー前駆体とのin- situ重合中に形成された導電性ポリマー」「を含」む。また、「固体電解質12は、一般に第1の層14の上にある第2導電性高分子層16も含」み、「第2の層16は、導電性ポリマー」「を含有する粒子の分散液から形成」される。

してみると、固体電解質は、誘電体と接触している第1導電性高分子層と、第1導電性高分子層の上にある第2導電性高分子層を含み、第1導電性高分子層は、酸化剤とモノマー前駆体とのin- situ重合中に形成された導電性ポリマーを含み、第2導電性高分子層は、導電性ポリマーを含有する粒子の分散液から形成される。

・[0069]の記載によれば、「外部コーティングは、炭素質層と金属層との間に配置された少なくとも1つのポリマー層」を含み、「この層は」「陽極部分から炭素質層の層間剥離を防ぐ」。

(ウ)上記技術事項を総合勘案すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「キャパシタ素子を備える固体電解キャパシタであって、
キャパシタ素子は、陽極体、陽極体の上に重なる誘電体、1つ以上の導電性ポリマーを含有しそして誘電体の上に重なる固体電解質、固体電解質の上に重なる外部コーティングを含み、
陽極体は多孔質焼結陽極体であり、
固体電解質は、誘電体と接触している第1導電性高分子層と、第1導電性高分子層の上にある第2導電性高分子層を含み、第1導電性高分子層は、酸化剤とモノマー前駆体とのin- situ重合中に形成された導電性ポリマーを含み、第2導電性高分子層は、導電性ポリマーを含有する粒子の分散液から形成され、
外部コーティングは、炭素質層と金属層との間に配置された少なくとも1つのポリマー層を含み、この層は陽極部分から炭素質層の層間剥離を防ぐ
固体電解キャパシタ。」

イ.引用文献3

(ア)原査定で引用され本願の優先日前に公開された、国際公開第2014/002828号(以下、「引用文献3」という。)には、以下の記載がある。

「[0007] 本発明に係る固体電解コンデンサは、陽極と、誘電体層と、シランカップリング層と、導電性高分子層と、陰極層とを備える。誘電体層は、陽極の上に設けられている。シランカップリング層は、誘電体層の上に設けられている。導電性高分子層は、シランカップリング層の上に設けられている。」

「[0021] シランカップリング層15は、誘電体層14と導電性高分子層16との間の密着性を向上させるための層である。シランカップリング層15は、誘電体層14の上にシランカップリング剤を含む溶液を塗布することにより形成される。」

「[0061] (第2の変形例)
上記実施形態では、シランカップリング層15が、第1のシランカップリング層15aと第2のシランカップリング層15bとの2層のシランカップリング層により構成されている例について説明した。もっとも、本発明において、シランカップリング層は、3層以上のシランカップリング層により構成されていてもよい。例えば、第1のシランカップリング層を形成した後に、水酸基の導入と、さらなるシランカップリング層の形成とを複数回繰り返し行ってもよい。」

「[0066] 本変形例のように、シランカップリング層を3層以上設けることにより、誘電体層14の導電性高分子層16側の表面のシランカップリング層15による被覆率をさらに改善することができる。従って、誘電体層14と導電性高分子層16との密着性をさらに改善することができる。その結果、長時間使用後において容量がより低下しにくい固体電解コンデンサ1を実現することができる。また、固体電解コンデンサ1の耐電圧特性もさらに改善される。」

(イ)上記記載から、引用文献3には、次の技術事項(以下、「引用文献3記載の技術」という。)が記載されているものと認められる。

「陽極と、誘電体層と、導電性高分子層とを備える固体電解コンデンサにおいて、誘電体層と導電性高分子層との間の密着性を向上させ、長時間使用後において容量がより低下しにくい固体電解コンデンサを実現するために、3層以上のシランカップリング層を誘電体層の上に設ける」技術。

ウ.引用文献2

(ア)原査定で引用され本願の優先日前に公開された、特開2015-73097号公報(以下、「引用文献2」という。)には、以下の記載がある。

「【0004】
本発明の一実施形態によれば、焼結多孔質アノード体と、アノード体を覆う誘電体と、誘電体を覆う固体電解質と、固体電解質を覆う湿気バリア層とを含むコンデンサ素子とを含む、固体電解コンデンサが開示される。」
「【0026】
固体電解質中で用いられる有機金属カップリング剤は、典型的には、ケイ素、チタン、アルミニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウムなどの金属原子に結合した少なくとも1つの反応性官能基を有する有機鎖を含む。適切な有機金属カップリング剤の例としては、例えば、・・・γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、・・・などを挙げることができる。本発明において使用するためには、シランカップリング剤が特に適切であろう。
【0027】
有機金属カップリング剤を固体電解質内に組み入れる具体的な方法は、所望に応じて変えることができる。例えば、特定の実施形態において、有機金属カップリング剤は、導電性ポリマー層とは別の層として形成することができる。例えば、有機金属カップリング剤で誘電体を覆い、導電性ポリマー層で有機金属カップリング剤を覆うことができ、又はその逆にすることができる。」
「【0047】
本発明の結果として、コンデンサは、高湿度レベル(相対湿度85%以上)に曝されたときでも優れた電気的特性を示すことができる。・・・例えば、本発明のコンデンサの規格化された漏れ電流の数値は、幾つかの実施形態においては約1μA/μF*V未満であり、・・・ここでμAはマイクロアンペアであり、μF*Vは静電容量と定格電圧との積である。
・・・中略・・・
【0050】
漏れ電流
漏れ電流(DCL)は、温度約25℃及び定格電圧(例えば、4V)において60秒後に漏れ電流を計測する漏れ電流試験セットを用いて計測することができる。
【0051】
実施例1
10V、2.2μF(M)コンデンサを以下のように形成した。・・・」

(イ)上記記載から、引用文献2には、次の技術事項(以下、{引用文献2記載の技術}という。)が記載されているものと認められる。

「焼結多孔質アノード体と、アノード体を覆う誘電体と、誘電体を覆う固体電解質とを含むコンデンサ素子において、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランからなる有機金属カップリング剤で誘電体を覆う」技術。

エ.引用文献4

(ア)原査定で引用され本願の優先日前に公開された、特開平2-74021号公報(以下、「引用文献4」という。)には、以下の記載がある。

「本発明は上記従来の課題を解決するもので、電極と電解質間の密着強度を向上させてコンデンサ特性の安定化を図ることを目的とするものである。
課題を解決するための手段
本発明は上記課題を解決するもので、その技術的手段は、陽極酸化または陽極化成により表面に誘電体皮膜を形成した弁金属からなる陽極上に、またはその上にさらに二酸化マンガンを付着させてなる陽極上にシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤から選ばれる一種類のカップリング剤で処理し、しかる後導電性高分子からなる電解質皮膜を形成することにより、電極と電解質間の密着強度を向上させてコンデンサ特性の安定化を達成するようにしたものである。」(第2頁左下欄第8行ないし同頁右下欄第2行)
「上記機能を有するカップリング剤としては、例えば下記のような物質がある。これらはいずれも市販されており、容易に入手出来るものである。
シランカップリング剤:・・・r-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン・・・」(第2頁右下欄第5ないし13行)

(イ)上記記載から、引用文献4には、次の技術事項(以下、「引用文献4記載の技術」という。)が記載されているものと認められる。

「陽極酸化または陽極化成により表面に誘電体皮膜を形成した弁金属からなる陽極上に、シランカップリング剤で処理し、しかる後導電性高分子からなる電解質皮膜を形成することにより、電極と電解質間の密着強度を向上させてコンデンサ特性の安定化を達成するようにしたものにおいて、カップリング剤としてr-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用いる」技術。

オ.引用文献7

(ア)原査定で引用され本願の優先日前に公開された、特開2014-22747号公報(以下、「引用文献7」という。)には、以下の記載がある。

「【0005】
本発明の一実施形態により、焼結多孔質アノードと、アノード本体の上に重なる誘電体層と、誘電体層の上に重なる固体電解質とを含む固体電解コンデンサを開示する。固体電解質は、現場(in situ)重合導電性ポリマー及びヒドロキシ官能非イオン性ポリマーを含む。」
「【0051】
IV.外部ポリマーコーティング
必須ではないが、外部ポリマーコーティングもアノード本体に付加され、固体電解質の上に重なることができる。外部ポリマーコーティングは、一般的に、上により詳細に説明されているように、予備重合導電粒子から形成された1つ又はそれよりも多くの層を含有する。外部コーティングは、コンデンサ本体の縁部領域の中に更に進入し、誘電体への接着を増大させ、より機械的に堅牢な部分をもたらすことができ、堅牢な部分は、等価直列抵抗及び漏れ電流を低減することができる。一般的に、アノード内に含浸するのではなくて縁部カバレージの程度を改善することを意図しているので、外部コーティングに使用する粒子は、典型的には、固体電解質のあらゆる任意的な分散剤に使用するものよりも大きいサイズを有する。例えば、外部ポリマーコーティングに使用する粒子の平均サイズ対固体電解質のあらゆる分散剤に使用する粒子の平均サイズの比率は、典型的には、約1.5から約30、一部の実施形態では約2から約20、及び一部の実施形態では約5から約15である。例えば、外部コーティングの分散剤に使用する粒子は、約50から約500ナノメートル、一部の実施形態では約80から約250ナノメートル、及び一部の実施形態では約100から約200ナノメートルの平均サイズを有することができる。
【0052】
必要に応じて、架橋剤も外部ポリマーコーティングに使用され、固体電解質への接着の程度を高めることができる。典型的には、架橋剤は、外部コーティングに使用する分散剤の付加前に付加される。好ましい架橋剤は、例えば、Merker他に付与された米国特許公開第2007/0064376号明細書に説明されており、例えば、アミン(例えば、ジアミン、トリアミン、オリゴマーアミン、ポリアミン、その他)、Mg、Al、Ca、Fe、Cr、Mn、Ba、Ti、Co、Ni、Cu、Ru、Ce又はZnの塩又は化合物のような多価金属カチオン、ホスホニウム化合物、スルホニウム化合物、その他を含む。特に適切な例は、例えば、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、エチレンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,4-ブタンジアミンなど、並びにこれらの混合物を含む。」

(イ)上記記載から、引用文献7には、次の技術事項(以下、「引用文献7記載の技術」という。)が記載されているものと認められる。

「焼結多孔質アノードと、アノード本体の上に重なる誘電体層と、誘電体層の上に重なる固体電解質とを含む固体電解コンデンサであり、誘電体への接着を増大させより機械的に堅牢な部分をもたらすために固体電解質の上に重なる外部ポリマーコーティングを付加するものにおいて、外部ポリマーコーティングは予備重合導電粒子および架橋剤から形成された層を含有させる」技術。

(3)対比

本願補正発明と引用発明とを対比する。

ア.本願の明細書段落【0010】の「より詳しくは、本キャパシタアセンブリは、焼結多孔質陽極体、及び陽極体の上に配されている誘電体を含むキャパシタ素子を含む。」との記載を考慮すれば、引用発明の陽極体、陽極体の上に重なる誘電体を含む「キャパシタ素子」は本願補正発明の「キャパシタ素子」に相当し、引用発明の「キャパシタ素子を備える固体電解質キャパシタ」は本願補正発明の「キャパシタ素子を含むキャパシタアセンブリ」に相当する。

イ.引用発明の「キャパシタ素子は、陽極体」「を含み」、「陽極体は多孔質焼結陽極体」であることは、本願補正発明の「前記キャパシタ素子は、焼結多孔質陽極体」「を含」むことに相当する。

ウ.引用発明の「陽極体の上に重なる誘電体」は、本願補正発明の「前記陽極体の上に配されている誘電体」に相当する。

エ.キャパシタ素子が、本願補正発明は「前記誘電体の上に配されている、 有機金属化合物から形成されるプレコート層、ここで、プレコート層は3層以上のプレコート層を含」み、「前記有機金属化合物が、次の一般式:

【化1】

[図:0001396786000004.jpg]

(式中、

Mは有機金属原子であり;

R1、R2、及びR3は、独立して、アルキル又はヒドロキシアルキルであり、R1、R2、及びR3の少なくとも1つはヒドロキシアルキルであり;

nは0~8の整数であり;

Xはグリシジルオキシ基である)

を有」するもの(以下、「有機金属化合物A」という。)であるのに対し、引用発明はその旨特定されていない点で相違する。

オ.引用発明は「固体電解質」「を含み」、「固体電解質は、誘電体と接触している第1導電性高分子層と、第1導電性高分子層の上にある第2導電性高分子層を含み、第1導電性高分子層は、酸化剤とモノマー前駆体とのin- situ重合中に形成された導電性ポリマーを含み、第2導電性高分子層は、導電性ポリマーを含有する粒子の分散液から形成される」ことは、本願補正発明の「固体電解質」「を含み、」「前記固体電解質は内側層及び外側層を含み、前記内側層はin-situ重合された導電性ポリマーから形成され、前記外側層は予め重合された導電性ポリマー粒子から形成され」ることに相当する。

ただし、固体電解質が、本願補正発明は「前記プレコート層の上に配されている」のに対して、引用発明は「誘電体の上に重なる」点で相違する。

カ.引用発明の「固体電解質の上に重なる外部コーティングを含み」、「外部コーティングは」「少なくとも1つのポリマー層を含む」ことは、本願補正発明の「前記固体電解質の上に配され」た「外側ポリマー被覆;を含」むことに相当する。

ただし、外側ポリマー被覆が、本願補正発明は「予め重合された導電性ポリマー粒子及び架橋剤を含む」のに対して、引用発明はその旨特定されていない点で相違する。

キ.本願補正発明は「印加電圧に90秒間かけた後に、前記アセンブリは約50マイクロアンペア以下のリーク電流を示す」のに対して、引用発明はその旨特定されていない点で相違する。

ク.したがって、本願補正発明と引用発明とは、次の一致点及び相違点を有するといえる。

〈一致点〉

「キャパシタ素子を含むキャパシタアセンブリであって、
前記キャパシタ素子は、
焼結多孔質陽極体;
前記陽極体の上に配されている誘電体;
固体電解質;
前記固体電解質の上に配された外側ポリマー被覆;
を含み、
前記固体電解質は内側層及び外側層を含み、前記内側層はin-situ重合された導電性ポリマーから形成され、前記外側層は予め重合された導電性ポリマー粒子から形成される上記キャパシタアセンブリ。」

〈相違点1〉

キャパシタ素子が、本願補正発明は「前記誘電体の上に配されている、有機金属化合物から形成されるプレコート層、ここで、プレコート層は3層以上のプレコート層を含」み、「前記有機金属化合物が」有機金属化合物Aであるのに対し、引用発明はその旨特定されていない点

〈相違点2〉

固体電解質が、本願補正発明は「前記プレコート層の上に配されている」のに対して、引用発明は「誘電体の上に重なる」点

〈相違点3〉

外側ポリマー被覆が、本願補正発明は「予め重合された導電性ポリマー粒子及び架橋剤を含む」のに対して、引用発明はその旨特定されていない点

〈相違点4〉

本願補正発明は「印加電圧に90秒間かけた後に、前記アセンブリは約50マイクロアンペア以下のリーク電流を示す」のに対して、引用発明はその旨特定されていない点

(4)判断

以下、相違点について検討する。

ア.相違点1及び2について

引用発明と引用文献3記載の技術(上記「(2)イ.(イ)」参照)とは共に、固体電解キャパシタに関するものである。そして、導電性ポリマーを含有し誘電体の上に重なる固体電解質を有するものである引用発明においても、誘電体と固体電解質(導電性高分子層)との密着性を向上させ長時間使用後において容量がより低下しにくいものが求められることは明らかであるから、引用発明に引用文献3記載の技術を適用し、誘電体の上に3層以上のシランカップリング層を設け、シランカップリング層の上に固体電解質が配される構成とすることは、当業者が容易になし得たことと認められる。

また、引用文献2記載の技術(上記「(2)ウ.(イ)」参照)、引用文献4記載の技術(上記「(2)エ.(イ)」参照)の他、特開2010-267778号公報の段落【0033】に「ステップ2で作製した陽極を、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを1.0重量%含有する水溶液中に5分間浸漬した。この際、溶媒である水は予め硫酸によりpH4に調整して使用した。5分間浸漬した後、取り出し、100℃で10分間乾燥することにより、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランからなるエポキシシランの層を誘電体層の上に形成した。」と記載され、特開平8-293436号公報の段落【0052】に「次に、2重量%γーグリシドキシプロピルトリメトキシシランのメタノール溶液中に10分間浸漬し、室温で24時間、自然乾燥を行った。このようにして、図1に示すように、電子供与性有機化合物すなわちシランカップリング剤の加水分解物の一つであるγーグリシドキシプロピルトリメトキシシランの加水分解物の層3を、酸化皮膜2上に形成した。」と記載されるように、誘電体と固体電解質間に配されるシランカップリング剤の層として、「有機金属化合物A」に含まれるr-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用いることは、本願の優先日前周知の技術事項であり、引用発明に引用文献3記載の技術を適用するにあたり、そのシランカップリング層を形成する具体的なシランカップリング剤を「有機金属化合物A」に含まれるものとすることは、当業者が適宜なし得る設計事項に過ぎない。

よって、引用発明に引用文献3記載の技術及び周知技術を適用し、本願補正発明の相違点1及び2に係る構成を得ることは、当業者が容易になし得たことと認められる。

イ.相違点3について

引用発明と引用文献7記載の技術(上記「(2)オ.(イ)」参照)とは共に、外側ポリマー被覆(外部ポリマーコーティング)を含む固体電解質キャパシタに関するものである。

そして、引用発明の外側ポリマー被覆(外部コーティングが含むポリマー層)が層間剥離を防ぐものであることを考慮すれば、密着を増大させより機械的に堅牢な部分をもたらす引用文献7記載の技術を引用発明に適用し、外部コーティングのポリマー層を予備重合導電粒子および架橋剤を含有するものとすることは、当業者が容易になし得たことと認められる。

よって、引用発明に引用文献7記載の技術を適用し、本願補正発明の相違点3に係る構成を得ることは、当業者が容易になし得たことと認められる。

ウ.相違点4について

例えば、引用文献2の段落【0047】に「本発明のコンデンサの規格化された漏れ電流の数値は、幾つかの実施形態においては約1μA/μF*V未満であり」、「ここでμAはマイクロアンペアであり、μF*Vは静電容量と定格電圧との積」と記載され、段落【0050】に「漏れ電流(DCL)は、温度約25℃及び定格電圧(例えば、4V)において60秒後に漏れ電流を計測する漏れ電流試験セットを用いて計測する」、段落【0051】に「実施例1 10V、2.2μF(M)コンデンサを以下のように形成した」と記載されるように、引用文献2には、定格電圧に60秒かけた後に、漏れ電流(リーク電流)約1×2.2×10=22μAのコンデンサが記載されている。また、特許第4841131号公報の段落【0001】、【0113】には、実施例4として、10Vの電圧を適用した後に3分間で測定した固体電解コンデンサの漏れ電流が2.6μA、10μAであることが記載され、再公表特許WO2015/198588号の段落【0111】、【0114】、【0115】には、25Vの定格電圧を1分間印加した後の漏れ電流が、1.0μAから6.9μAの実施例の電解コンデンサが記載される。

以上の文献の記載を考慮すれば、固体電解コンデンサの漏れ電流値として、印加電圧に90秒間かけた後に約50マイクロアンペア以下の特性は普通に知られたものと認められる。

また、本願補正発明でいう「リーク電流」の値は、コンデンサの容量や印加電圧で規格化されていない漏れ電流自体の値であり、コンデンサ電極の物理的な大きさ(コンデンサ電極の面積、コンデンサの容量)により変化する値であると認められる。

以上のことを考慮すると、引用発明において、コンデンサの漏れ電流値を印加電圧に90秒間かけた後に約50マイクロアンペア以下とし、本願補正発明の相違点4に係る構成とすることは、特にコンデンサ電極の面積の小さい(容量の小さい)コンデンサとする等して、当業者が適宜なし得る設計事項と認められる。

エ.そして、本願補正発明の奏する効果は、引用発明に引用文献3記載の技術、引用文献7記載の技術及び周知技術を適用したことにより得られる効果に対して、当業者が想起し得ないものとも認められない。

オ.審判請求書での請求人の主張について

請求人は審判請求書において「引用文献2及び4には、3層以上のプレコート層を用いることは開示されていない。また、引用文献3にはグリシジルオキシ基を有するシランカップリング剤を用いてプレコート層を形成することは開示されていない。さらに、引用文献1に記載された発明において、当業者が、キャパシタ素子が補正後の本願請求項1及び20に記載された化学式の構造を有する有機金属化合物から形成される3層以上のプレコート層を有するようにする特段の動機付けもない。」(第6頁第20ないし26行)旨主張している。

しかしながら、上記「ア.」で検討したように、引用発明においても、誘電体と固体電解質との密着性を向上させ長時間使用後において容量がより低下しにくいものが求められることは明らかであるから、引用発明に引用文献3記載の技術を適用し、誘電体の上に3層以上のシランカップリング層を設け、シランカップリング層の上に固体電解質が配される構成とすることは、当業者が容易になし得たことと認められる。

また、引用文献2、引用文献4等に記載されるように、誘電体と固体電解質館に配されるシランカップリング剤として、有機金属化合物Aに含まれるr-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用いることは、本願の優先日前周知の技術事項であり、引用発明に引用文献3記載の技術を適用するにあたり、そのシランカップリング層を形成する具体的なシランカップリング剤を有機金属化合物Aに含まれるものとすることは、当業者が適宜なし得る設計事項に過ぎない。

したがって、請求人の主張は採用できない。

(5)まとめ

以上のとおりであるから、本願補正発明は引用文献1に記載された発明、引用文献3に記載された技術、引用文献7に記載された技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するもので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1.本願発明

本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和3年5月28日付の手続補正書の請求項1に記載されたとおりのものであり、上記「第2」の「1.」の〈補正前の請求項1〉に記載されたとおりのものである。

2.原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由の概要は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1-4、7に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

<引用文献等一覧>

1.米国特許出願公開第2014/0321029号明細書

2.特開2015-73097号公報

3.国際公開第2014/002828号

4.特開平2-74021号公報

7.特開2014-22747号公報

3.引用文献の記載及び引用発明等

原査定の引用文献1の記載事項及び引用発明は、上記「第2」の「2.(2)ア.」に記載したとおりである。

また、原査定の引用文献2ないし4、7の記載事項および引用文献2ないし4、7に記載された技術事項は、上記「第2」の「2.(2)イ.」ないし「2.(2)オ.」に記載したとおりである。

4.対比・判断

本願発明は、上記「第2[理由]1.」で検討した本願補正発明から「プレコート層は3層以上のプレコート層を含む」、「有機金属化合物が、次の一般式:

【化1】

[図:0001396786000005.jpg]

(式中、

Mは有機金属原子であり;

R1、R2、及びR3は、独立して、アルキル又はヒドロキシアルキルであり、R1、R2、及びR3の少なくとも1つはヒドロキシアルキルであり;

nは0~8の整数であり;

Xはグリシジルオキシ基である)

を有し」、「印加電圧に90秒間かけた後に、前記アセンブリは約50マイクロアンペア以下のリーク電流を示す」という事項を削除したものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2」の「2.(3)及び(4)」に記載したとおり、引用文献1に記載された発明、引用文献3に記載された技術、引用文献7に記載された技術及び周知技術から当業者が容易になし得たものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明、引用文献3記載の技術、引用文献7記載の技術及び周知技術から当業者が容易になし得たものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明ついて検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-001479

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