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特許拒絶査定不服審判

2023-020653

積層セラミックキャパシタ

審判番号
2023-020653
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-040239
請求日
2023年12月05日
審決日
2024年09月19日
公報発行日
2025年02月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
  • 【請求人代理人】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 篠原 功一
  • 審判官 井上 信一
  • 審判官 畑中 博幸
分類
P18 .121-Z (H01G) / P18 .575-Z (H01G)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020- 40239「積層セラミックキャパシタ」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 2月 4日出願公開、特開2021- 13009〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年3月9日(パリ条約に基づく優先権主張 令和1年7月4日 韓国)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和5年 7月 4日付け:拒絶理由通知 令和5年 8月18日 :手続補正書、意見書の提出 令和5年10月16日付け:拒絶査定(原査定) 令和5年12月 5日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和5年12月5日の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 令和5年12月5日の手続補正を却下する。 [理由] 1.本件補正について 令和5年12月5日の手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1について、本件補正前には、 「【請求項1】 誘電体層及び前記誘電体層を挟んで配置される第1及び第2内部電極を含み、 第1方向に対向する第5及び第6面、第2方向に対向する第3及び第4面、第3方向に対向する第1及び第2面を含む本体と、 前記本体を貫通して前記第1内部電極と連結される第1貫通電極と、 前記本体を貫通して前記第2内部電極と連結される第2貫通電極と、 前記第1面及び第2面に配置され、前記第1貫通電極と連結される第1及び第2外部電極と、 前記第1及び第2外部電極と離隔し、前記第2貫通電極と連結される第3及び第4外部電極と、を含み、 前記第1~第4外部電極は、ニッケルを含む焼成電極であり、 前記第1貫通電極は、前記第1及び第2外部電極と接続する第1及び第4連結電極を含み、 前記第2貫通電極は、前記第3及び第4外部電極と接続する第2及び第3連結電極を含み、 前記第1及び第4連結電極は、前記第1内部電極の長手方向に互いに離隔して前記第1内部電極と連結され、 前記第2及び第3連結電極は、前記第2内部電極の長手方向に互いに離隔して前記第2内部電極と連結されるとともに、前記第1及び第4連結電極に対して前記第1及び第2内部電極の短手方向に離隔する、積層セラミックキャパシタ。」 とあったものを、 「【請求項1】 誘電体層及び前記誘電体層を挟んで配置される第1及び第2内部電極を含み、 第1方向に対向する第5及び第6面、第2方向に対向する第3及び第4面、第3方向に対向する第1及び第2面を含む本体と、 前記本体を貫通して前記第1内部電極と連結される第1貫通電極と、 前記本体を貫通して前記第2内部電極と連結される第2貫通電極と、 前記第1面及び第2面に配置され、前記第1貫通電極と連結される第1及び第2外部電極と、 前記第1及び第2外部電極と離隔し、前記第2貫通電極と連結される第3及び第4外部電極と、を含み、 前記第1~第4外部電極は、ニッケルを含む焼成電極であり、前記第2外部電極の一部が、前記本体の貫通孔内で前記第1貫通電極と接触し、前記第4外部電極の一部が、前記本体の貫通孔内で前記第2貫通電極と接触し、 前記第1貫通電極は、前記第1及び第2外部電極と接続する第1及び第4連結電極を含み、 前記第2貫通電極は、前記第3及び第4外部電極と接続する第2及び第3連結電極を含み、 前記第1及び第4連結電極は、前記第1内部電極の長手方向に互いに離隔して前記第1内部電極と連結され、 前記第2及び第3連結電極は、前記第2内部電極の長手方向に互いに離隔して前記第2内部電極と連結されるとともに、前記第1及び第4連結電極に対して前記第1及び第2内部電極の短手方向に離隔する、積層セラミックキャパシタ。」 とする補正を含むものである(下線部は補正箇所を示す。)。 2.補正の適否 上記補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第2外部電極」について、その一部が「前記本体の貫通孔内で前記第1貫通電極と接触」することの限定を付加し、同じく補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第4外部電極」について、その一部が「前記本体の貫通孔内で前記第2貫通電極と接触」することの限定を付加するものである。 そして、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。 よって、上記補正を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の上記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)否かについて以下に検討する。 (1)引用文献の記載事項、引用発明 原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用された米国特許出願公開第2018/0027656号明細書(以下、「引用文献3」という。)には、「CAPACITOR」について、以下の各記載がある(なお、当審による仮訳を付記する。下線は当審で付与した。)。 ア.「[0028] Further, in the present exemplary embodiment, for convenience of explanation, the surfaces of a capacitor body 110 opposing each other in the Z direction will be defined as first and second surfaces S1 and S2, the surfaces of the capacitor body 110 opposing each other in the X direction and connecting ends of the first and second surfaces S1 and S2 to each other will be defined as third and fourth surfaces S3 and S4, and the surfaces of the capacitor body 110 opposing each other in the Y direction and connecting ends of the first and second surfaces S1 and S2 to each other and connecting the third and fourth surfaces S3 and S4 to each other, respectively, will be defined as fifth and sixth surfaces S5 and S6. Here, the second surface S2 may be the same as a mounting surface. ・・・ [0030] Referring to FIGS. 1, 2, 3A, and 3B, the capacitor 100 according to the first exemplary embodiment may include a body 110 and first and second external electrodes 131 and 132 disposed on an external surface of the body 110. [0031] The body 110 may be formed by stacking a plurality of dielectric layers 111, ・・・ ・・・ [0035] In addition, the dielectric layer 111 may contain ceramic powder particles having high permittivity, for example, barium titanate (BaTiO3)-based powder particles or strontium titanate (SrTiO3)-based powder particles.・・・」 ([0028] さらに、本実施の形態では、説明の便宜上、Z方向に互いに対向するキャパシタ本体110の表面は、第1及び第2表面S1、S2と定義され、X方向に互いに対向し、第1及び第2表面S1、S2の端同士を連結するキャパシタ本体110の表面は、第3及び第4表面S3、S4と定義され、そして、Y方向に互いに対向し、第1及び第2表面S1、S2の端同士を連結し、第3及び第4表面S3、S4の端同士を連結するキャパシタ本体110の表面はそれぞれ第5及び第6表面S5、S6と定義される。ここで、第2表面S2は、実装面と同じであってもよい。 ・・・ [0030] 図1,2,3A及び3Bを参照すると、第1の実施の形態に係るキャパシタ100は、本体110と、本体110の外部表面上に配置された第1及び第2外部電極131、132を含む。 [0031] 本体110は、複数の誘電体層111が積層されて形成され、・・・ ・・・ [0035] 加えて、誘電体層111は、高い誘電率をもつセラミック粉末粒子、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系粉末粒子やチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)系粉末粒子を含む。・・・) イ.「[0038] The first and second internal electrodes 121 and 122 may be electrodes having different polarities from each other. [0039] The first and second internal electrodes 121 and 122 may be alternately disposed in the body 110 in the Z direction with respective dielectric layers 111 interposed therebetween, be formed by printing a conductive paste containing a conductive metal on the dielectric layer 111 at a predetermined thickness, and be electrically insulated from each other by the dielectric layers 111 interposed therebetween. ・・・ [0042] First internal electrodes 121 adjacent to each other may be electrically connected to each other through a second connection electrode 142, and second internal electrodes 122 adjacent to each other may be electrically connected to each other through a first connection electrode 141. [0043] The first and second connection electrodes 141 and 142 may be disposed to entirely or at least partially penetrate through the body 110.」 ([0038] 第1及び第2内部電極121、122は、互いに異なる極性を有する電極である。 [0039] 第1及び第2内部電極121、122は、その間にそれぞれ誘電体層111を介してZ方向に本体110内において交互に配置され、所定の厚さで誘電体層111上に導電性金属を含む導電性ペーストを印刷することによって形成され、その間に介される誘電体層111によって互いに電気的に絶縁される。 ・・・ [0042] 互いに隣接する第1内部電極121は、第2接続電極142を通して互いに電気的に接続され、互いに隣接する第2内部電極122は、第1接続電極141を通して互いに電気的に接続される。 [0043] 第1及び第2接続電極141、142は、完全にまたは少なくとも部分的に本体110を貫通する。) ウ.「[0050] In addition, the first and second external electrodes 131 and 132 may be disposed on the second surface S2 of the body 110 to be spaced apart from each other in the X direction. The first external electrode 131 may contact a portion of the second connection electrode 142 exposed to the second surface S2 of the body 110 to thereby be connected thereto. The second external electrode 132 may contact a portion of the first connection electrode 141 exposed to the second surface S2 of the body 110 to thereby be connected thereto.」 ([0050] 加えて、第1及び第2外部電極131、132は、X方向に互いに離隔して本体110の第2表面S2上に配置される。第1外部電極131は、本体110の第2表面S2に露出する第2接続電極142の部分に接触してそれに接続される。第2外部電極132は、本体110の第2表面S2に露出する第1接続電極141の部分に接触してそれに接続される。) エ.「[0077] In the capacitor 100 according to the first exemplary embodiment, the distance D3 between the first and second connection electrodes 141 and 142 may be equal to or less than 85% of the length of the body 110 in the X direction, such that magnetic fields from the currents flowing through the first and second connection electrodes 141 and 142 may be offset by each other, which may decrease equivalent series inductance (ESL). [0078] However, in order to prevent a short-circuit between the first and second connection electrodes 141 and 142 and secure an area required for forming the first and second external electrodes 131 and 132, the distance D3 between the first and second connection electrodes 141 and 142 may be greater than a sum of radii of the first and second connection electrodes 141 and 142, the widths D1 and D2 of the first and second insulating regions 151 and 152, and a minimum interval (20 μm) between the insulating vias.」 ([0077] 第1の実施の形態に係るキャパシタ100では、第1及び第2接続電極141、142間の距離D3がX方向における本体110の長さの85%以下であり、それにより第1及び第2接続電極141、142に流れる電流からの磁界は互いに相殺し、等価直列インダクタンス(ESL)を減少することができる。 [0078] しかしながら、第1及び第2接続電極141、142間の短絡を防止し、第1及び第2内部電極131、132を形成するために必要な領域を確保するために、第1及び第2接続電極141、142間の距離D3は、第1及び第2接続電極141、142の半径、第1及び第2絶縁領域151、152の幅D1及びD2、そして絶縁ビア間の最小間隔(20μm)の合計よりも大きい。) オ.「[0094] Referring to FIGS. 6A and 6B, first and second connection electrodes 241a, 241b, 242a, and 242b may be disposed at edges of first and second internal electrodes 221 and 222. ・・・ [0098] Further, the capacitor 200 may include at least two first and second connection electrodes 241a, 241b, 242a, and 242b and at least two first and second insulating regions 251a, 251b, 252a, and 252b, respectively, such that connectivity between the first internal electrodes 221 and between the second internal electrodes 222 may be improved.」 ([0094] 図6A、6Bを参照すると、第1及び第2接続電極241a,241b,242a,242bは、第1及び第2内部電極221、222のエッジに配置される。 ・・・ [0098] さらに、キャパシタ200は、少なくとも2個の第1及び第2接続電極241a,241b,242a,242bと、少なくとも2個の第1及び第2絶縁領域251a,251b,252a,252bをそれぞれ含み、それにより第1内部電極221との間及び第2内部電極222との間の接続性を向上させることができる。) カ.「 [図:0001418972000001.jpg] 」 キ.「 [図:0001418972000002.jpg] 」 ク.「 [図:0001418972000003.jpg] 」 上記「ア.」ないし「ク.」から以下のことがいえる。 ・上記引用文献3に記載の「CAPACITOR」(キャパシタ)は、上記「ア.」の記載、及び「カ.」(図1)、「キ.」(図2)によれば、Z方向に互いに対向する第1及び第2表面と、X方向に互いに対向し、第1及び第2表面の端同士を連結する第3及び第4表面と、Y方向に互いに対向し、第1及び第2表面の端同士を連結し、第3及び第4表面の端同士を連結する第5及び第6表面を有する本体と、本体の外部表面上に配置された第1及び第2外部電極を含むものであり、本体は、セラミック粉末粒子を含む複数の誘電体層が積層されて形成されてなるものである。 ・上記「イ.」の記載、及び「キ.」(図2)によれば、キャパシタは、本体内に互いに異なる極性を有する第1及び第2内部電極を含み、第1及び第2内部電極は、誘電体層を介してZ方向に交互に配置されてなるものである。さらに、キャパシタは、本体を貫通する第1及び第2接続電極を含み、第1内部電極は、第2接続電極を通して互いに電気的に接続され、第2内部電極は、第1接続電極を通して互いに電気的に接続されてなるものである。 ・上記「ウ.」の記載、及び「キ.」(図2)によれば、第1及び第2外部電極は、X方向に互いに離隔して本体の第1及び第2表面上にそれぞれ配置され、第1外部電極は、本体の第1及び第2表面に露出する第2接続電極にそれぞれ接触して接続され、第2外部電極は、本体の第1及び第2表面に露出する第1接続電極にそれぞれ接触して接続されてなるものである。 ・上記「オ.」の記載、「ク.」(図6A、6B)によれば、第1及び第2接続電極は、それぞれ2個の接続電極からなる。そして、特に図6A、6Bからは、2個の第1接続電極は、第2内部電極の短手方向(Y方向)に互いに離隔して当該第2内部電極に接続し、また、2個の第2接続電極は、第1内部電極の短手方向(Y方向)に互いに離隔して当該第1内部電極に接続するとともに、2個の第1接続電極に対して第1及び第2内部電極の長手方向(X方向)に離隔することが見て取れる。 以上のことから、特に図6A、図6Bに示される例に着目し、上記記載及び図面を総合勘案すると、引用文献3には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「Z方向に互いに対向する第1及び第2表面と、X方向に互いに対向し、第1及び第2表面の端同士を連結する第3及び第4表面と、Y方向に互いに対向し、第1及び第2表面の端同士を連結し、第3及び第4表面の端同士を連結する第5及び第6表面を有し、セラミック粉末粒子を含む複数の誘電体層が積層されて形成された本体と、 前記本体内に前記誘電体層を介してZ方向に交互に配置されてなり、互いに異なる極性を有する第1及び第2内部電極を含み、 前記本体を貫通する第1及び第2接続電極を含み、前記第1内部電極は、前記第2接続電極を通して互いに電気的に接続され、前記第2内部電極は、前記第1接続電極を通して互いに電気的に接続され、 X方向に互いに離隔して前記本体の前記第1及び第2表面上にそれぞれ配置された第1及び第2外部電極を含み、前記第1外部電極は、前記本体の前記第1及び第2表面に露出する前記第2接続電極にそれぞれ接触して接続され、前記第2外部電極は、前記本体の前記第1及び第2表面に露出する前記第1接続電極にそれぞれ接触して接続され、 前記第1及び第2接続電極は、それぞれ2個の接続電極からなり、2個の第1接続電極は、前記第2内部電極の短手方向(Y方向)に互いに離隔して前記第2内部電極に接続し、また、2個の第2接続電極は、前記第1内部電極の短手方向(Y方向)に互いに離隔して前記第1内部電極に接続するとともに、前記2個の第1接続電極に対して前記第1及び第2内部電極の長手方向(X方向)に離隔する、キャパシタ。」 (2)対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 ア.本体について 引用発明における「本体」は、本願補正発明でいう「本体」に相当する。ここで、引用発明における本体が有する、Z方向に互いに対向する「第1及び第2表面」、X方向に互いに対向し、第1及び第2表面の端同士を連結する「第3及び第4表面」、Y方向に互いに対向し、第1及び第2表面の端同士を連結し、第3及び第4表面の端同士を連結する「第5及び第6表面」は、それぞれ本願補正発明でいう本体が含む、第3方向に対向する「第1及び第2面」、第1方向に対向する「第5及び第6面」、第2方向に対向する「第3及び第4面」に相当する。 また、引用発明は、本体内に誘電体層を介して互いに異なる極性を有する第1及び第2内部電極が交互に配置されてなるものであるところ、これら「誘電体層」、「第1内部電極」、「第2内部電極」が、それぞれ本願補正発明でいう「誘電体層」、「第1内部電極」、「第2内部電極」に相当する。 したがって、本願補正発明と引用発明とは、「誘電体層及び前記誘電体層を挟んで配置される第1及び第2内部電極を含み、第1方向に対向する第5及び第6面、第2方向に対向する第3及び第4面、第3方向に対向する第1及び第2面を含む本体」を含むものである点で一致する。 イ.第1及び第2貫通電極について 引用発明は本体を貫通する「第1及び第2接続電極」を含むものであるところ、このうちの「第2接続電極」は第1内部電極を互いに電気的に接続する、つまり第1内部電極と連結されてなるものであり、本願補正発明でいう「第1貫通電極」に相当し、また、「第1接続電極」は第2内部電極を互いに電気的に接続する、つまり第2内部電極と連結されてなるものであり、本願補正発明でいう「第2貫通電極」に相当する。 したがって、本願補正発明と引用発明とは、「前記本体を貫通して前記第1内部電極と連結される第1貫通電極と、前記本体を貫通して前記第2内部電極と連結される第2貫通電極」を含むものである点で一致する。 ウ.第1ないし第4外部電極について 引用発明はX方向に互いに離隔して前記本体の前記第1及び第2表面上にそれぞれ配置された第1及び第2外部電極を含むものであるところ、このうちの第1及び第2表面上にそれぞれ配置された「第1外部電極」は第2接続電極と接続されてなるものであり、本願補正発明でいう「第1及び第2外部電極」に相当し、また、第1及び第2表面上にそれぞれ配置された「第2外部電極」は第1外部電極と離隔し、第1接続電極と接続されてなるものであり、本願補正発明でいう「第3及び第4外部電極」に相当する。 したがって、本願補正発明と引用発明とは、「前記第1面及び第2面に配置され、前記第1貫通電極と連結される第1及び第2外部電極と、前記第1及び第2外部電極と離隔し、前記第2貫通電極と連結される第3及び第4外部電極」を含むものである点で一致する。 そして、第1ないし第4外部電極について、本願補正発明では「ニッケルを含む焼成電極」であることを特定するのに対し、引用発明ではそのような特定を有していない点で相違する。 また、本願補正発明では「前記第2外部電極の一部が、前記本体の貫通孔内で前記第1貫通電極と接触し、前記第4外部電極の一部が、前記本体の貫通孔内で前記第2貫通電極と接触」することを特定するのに対し、引用発明ではそのような特定を有していない点でも相違する。 オ.第1ないし第4連結電極について 引用発明における第1及び第2接続電極は、それぞれ2個の接続電極からなるところ、このうちの「2個の第2接続電極」は第1及び第2表面上にそれぞれ配置された第1外部電極と接続するものであり、本願補正発明でいう「第1及び第4連結電極」に相当し、また、「2個の第1接続電極」は第1及び第2表面上にそれぞれ配置された第2外部電極と接続するものであり、本願補正発明でいう「第2及び第3連結電極」に相当する。 そして、引用発明における2個の第1接続電極は、前記第2内部電極の短手方向(Y方向)に互いに離隔して前記第2内部電極に接続し、また、2個の第2接続電極は、前記第1内部電極の短手方向(Y方向)に互いに離隔して前記第1内部電極に接続するとともに、前記2個の第1接続電極に対して前記第1及び第2内部電極の長手方向(X方向)に離隔するものであることから、本願補正発明と引用発明とは、「前記第1及び第4連結電極は、所定の方向に互いに離隔して前記第1内部電極と連結され、前記第2及び第3連結電極は、所定の方向に互いに離隔して前記第2内部電極と連結されるとともに、前記第1及び第4連結電極に対して所定の方向と直交する方向に離隔する」ものである点では共通するといえる。 ただし、第1及び第4連結電極、第2及び第3連結電極について、それぞれ互いに離隔する所定の方向が、本願補正発明では第1内部電極、第2内部電極の「長手方向」である(この場合、所定の方向と直交する方向は第1及び第2内部電極の「短手方向」となる)ことを特定するのに対し、引用発明では第1内部電極、第2内部電極の「短手方向」である(この場合、所定の方向と直交する方向は第1及び第2内部電極の「長手方向」となる)点で相違する。 カ.積層セラミックキャパシタについて そして、引用発明における「キャパシタ」は、セラミック粉末粒子を含む複数の誘電体層が積層されて本体が形成されてなるものであり、本願補正発明でいう「積層セラミックキャパシタ」に相当するものである。 よって上記「ア.」ないし「オ.」によれば、本願補正発明と引用発明とは、 「誘電体層及び前記誘電体層を挟んで配置される第1及び第2内部電極を含み、 第1方向に対向する第5及び第6面、第2方向に対向する第3及び第4面、第3方向に対向する第1及び第2面を含む本体と、 前記本体を貫通して前記第1内部電極と連結される第1貫通電極と、 前記本体を貫通して前記第2内部電極と連結される第2貫通電極と、 前記第1面及び第2面に配置され、前記第1貫通電極と連結される第1及び第2外部電極と、 前記第1及び第2外部電極と離隔し、前記第2貫通電極と連結される第3及び第4外部電極と、を含み、 前記第1貫通電極は、前記第1及び第2外部電極と接続する第1及び第4連結電極を含み、 前記第2貫通電極は、前記第3及び第4外部電極と接続する第2及び第3連結電極を含み、 前記第1及び第4連結電極は、所定の方向に互いに離隔して前記第1内部電極と連結され、 前記第2及び第3連結電極は、所定の方向に互いに離隔して前記第2内部電極と連結されるとともに、前記第1及び第4連結電極に対して所定の方向と直交する方向に離隔する、積層セラミックキャパシタ。」 である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点1] 第1ないし第4外部電極について、本願補正発明では「ニッケルを含む焼成電極」であることを特定するのに対し、引用発明ではそのような特定を有していない点。 [相違点2] 本願補正発明では「前記第2外部電極の一部が、前記本体の貫通孔内で前記第1貫通電極と接触し、前記第4外部電極の一部が、前記本体の貫通孔内で前記第2貫通電極と接触」することを特定するのに対し、引用発明ではそのような特定を有していない点。 [相違点3] 第1及び第4連結電極、第2及び第3連結電極について、それぞれ互いに離隔する所定の方向が、本願補正発明では第1内部電極、第2内部電極の「長手方向」である(この場合、所定の方向と直交する方向は第1及び第2内部電極の「短手方向」となる)ことを特定するのに対し、引用発明では第1内部電極、第2内部電極の「短手方向」である(この場合、所定の方向と直交する方向は第1及び第2内部電極の「長手方向」となる)点。 (3)判断 上記相違点について検討する。 [相違点1]について 原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された特開2010-183024号公報には、積層コンデンサの一面及び対面に配設されるとともに、内部電極層同士を電気的に接続するビア電極の端面と電気的に接続される外部電極層を、金属ニッケルを主成分とするいわゆる焼成電極とすることが記載(特に【請求項1】、段落【0010】、【0027】~【0029】、【0047】~【0048】、図1、図2を参照)されており、引用発明においても第1及び第2表面上にそれぞれ配置された第1及び第2外部電極について、ニッケルを主成分とする焼成電極とし、相違点1に係る構成とすることは当業者であれば適宜なし得たことである。 [相違点2] 新たに引用する特開2005-347648号公報(以下、「引用文献9」という。)には、積層セラミックコンデンサにおいて、積層部の上面側に配置された外部端子電極の接合強度を向上するために、外部端子電極の底面略中央部が、積層部の上面から若干引っ込んだビア導体の端面に対して直接接続される、すなわち外部端子電極の底面略中央部を、積層部の上面より積層部内部側でビア導体の端面に対して接続されるようにして、外部端子電極の一部がビアホール内に埋まった状態とすることが記載(特に段落【0041】~【0044】、【0068】、図1、図2を参照)されており、引用発明にあっても、本体の第1面上に配置された第1及び第2外部電極の接合強度の向上は当然望まれることであることから、引用文献9に記載された上記技術事項を適用し、相違点2に係る構成とすることは当業者が容易になし得たことである。 [相違点3] 原査定の拒絶の理由に引用文献6として引用された特開2014-82434号公報には、複数の第1及び第2内部電極をそれぞれ電気的に連結する第1及び第2のビア電極を第1及び第2内部電極の長さ方向(長手方向)に互いに離隔するように形成した例とともに、第1及び第2のビア電極を第1及び第2内部電極の幅方向(短手方向)に互いに離隔するように形成した例も記載(特に段落【0102】~【0113】、図15a、図15b、図16a、図16bを参照)されているように、極性の異なる一対の外部電極を内部電極の長手方向に互いに離隔するように設けるか、短手方向に互いに離隔するように設けるかは当業者が適宜定め得る設計的事項にすぎず、引用発明においても上記図16a及び図16bに見られるように、極性の異なる一対の外部電極、すなわち2個の第1接続電極と2個の第2接続電極とを第1及び第2内部電極の短手方向に互いに離隔するように設けるようにし、それに伴って、2個の第1接続電極を第2内部電極の短手方向と直交する長手方向に互いに離隔して設け、同様に、2個の第2接続電極を第1内部電極の短手方向と直交する長手方向に互いに離隔して設けるようにして相違点3に係る構成とすることは当業者であれば容易になし得たことである。 なお、審判請求人は令和5年8月18日に提出した意見書において、「・・しかし、引用文献3では、第1及び第2接続電極141、142間の短絡を防止し、第1及び第2外部電極131、132の形成に必要な面積を確保する、外部電極の体積を減少させる(引用文献3の段落0078-0079)、半田1331、1332の形成面積aを小さくして音鳴りを低減するために(段落0119)、外部電極を長手方向(X方向)に離隔して短手方向(Y方向)に延在させているから(段落0050、図1)、引用文献3を読んだ当業者であればこれらの目的を害してまで第1及び第2外部電極の配置を変えてX軸方向(本体の短手方向)に離隔することは考えず、もし接続電極の配置を本願発明のように変えれば外部電極を介して第1内部電極121と第2内部電極122とが短絡することになる。」から、引用文献3に記載の発明に基づいて本願発明の上記相違点3に係る構成を導出することはできない旨主張している。 しかしながら、引用文献3の特に段落[0078]には、第1及び第2接続電極間の距離D3を、第1及び第2接続電極141、142間の短絡を防止し、第1及び第2外部電極131、132の形成するために必要な領域を確保するために所定の値〔第1及び第2接続電極141、142の半径、第1及び第2絶縁領域151、152の幅D1及びD2、そして絶縁ビア間の最小間隔(20μm)の合計〕より大きくする必要があることが記載されているにすぎず、さらにその前段の段落[0077]には、第1及び第2接続電極間の距離D3は、等価直列インダクタンスを減少させることができるように所定の値(本体の長さの85%)以下とすることも記載されており(上記「(1)エ.」を参照)、これらのことから引用発明は、第1及び第2接続電極やこれに接続される第1及び第2外部電極を長手方向(X方向)に離隔して配置する構成を必須とするものではなく、第1及び第2接続電極間の距離D3として、第1及び第2接続電極間の短絡を防止し、第1及び第2外部電極の形成に必要な面積を確保できる最低限以上の距離さえあれば、第1及び第2接続電極やこれに接続される第1及び第2外部電極を短手方向(Y方向)に離隔して配置し得るものであるといえ、また、引用発明は、半田1331、1332の形成面積aを小さくして音鳴りを低減する構成を必須とするものでもないことは明らかであるから、審判請求人の上記主張は採用できない。 そして、上記各相違点を総合勘案しても、本願補正発明が奏する効果は、引用文献3に記載された発明、及び引用文献2、6、9にそれぞれ記載された技術事項から当業者が予測し得たものであって、格別顕著なものがあるとはいえない。 3.本件補正についてのむすび 以上のとおり、本願補正発明は、引用文献3に記載された発明、及び引用文献2、6、9にそれぞれ記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 令和5年12月5日の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和5年8月18日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである。 「【請求項1】 誘電体層及び前記誘電体層を挟んで配置される第1及び第2内部電極を含み、 第1方向に対向する第5及び第6面、第2方向に対向する第3及び第4面、第3方向に対向する第1及び第2面を含む本体と、 前記本体を貫通して前記第1内部電極と連結される第1貫通電極と、 前記本体を貫通して前記第2内部電極と連結される第2貫通電極と、 前記第1面及び第2面に配置され、前記第1貫通電極と連結される第1及び第2外部電極と、 前記第1及び第2外部電極と離隔し、前記第2貫通電極と連結される第3及び第4外部電極と、を含み、 前記第1~第4外部電極は、ニッケルを含む焼成電極であり、 前記第1貫通電極は、前記第1及び第2外部電極と接続する第1及び第4連結電極を含み、 前記第2貫通電極は、前記第3及び第4外部電極と接続する第2及び第3連結電極を含み、 前記第1及び第4連結電極は、前記第1内部電極の長手方向に互いに離隔して前記第1内部電極と連結され、 前記第2及び第3連結電極は、前記第2内部電極の長手方向に互いに離隔して前記第2内部電極と連結されるとともに、前記第1及び第4連結電極に対して前記第1及び第2内部電極の短手方向に離隔する、積層セラミックキャパシタ。」 2.原査定の概要 本願の請求項1に対する原査定(令和5年10月16日付け拒絶査定)の拒絶の理由の概要は以下のとおりである。 この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献3に記載された発明、引用文献2に記載の技術事項、及び引用文献6に例示される設計的事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献3:米国特許出願公開第2018/0027656号明細書 引用文献2:特開2010-183024号公報 引用文献6:特開2014-82434号公報(周知技術を示す文献) 3.引用例、引用発明 原査定の拒絶の理由で引用された引用例(引用文献3)、及び引用発明は、前記「第2 [理由2]2.(1)」に記載したとおりである。 4.対比・判断 本願発明は、前記「第2 [理由]2.」で検討した本願補正発明の発明特定事項である「第2外部電極」について、その一部が「前記本体の貫通孔内で前記第1貫通電極と接触」することの限定を省き、同じく発明特定事項である「第4外部電極」について、その一部が「前記本体の貫通孔内で前記第2貫通電極と接触」することの限定を省いたものに相当する。 そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の限定事項(相違点2に係る構成)を付加したものに相当する本願補正発明が前記「第2 [理由]2.(3)」に記載したとおり引用発明、及び引用文献2、6、9にそれぞれ記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明、及び引用文献2、6にそれぞれ記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-020653

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