商標拒絶査定不服審判
2022-001459
デンタルデイエックス、デンタル
- 審判番号
- 2022-001459
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-073941
- 請求日
- 2022年02月01日
- 審決日
- 2022年12月15日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】合同会社東京オペラシティメディカルサービス
- 【請求人代理人】原田 貴史
- 審判長/審判官
- 審判長 岩崎 安子
- 審判官 清川 恵子
- 審判官 綾 郁奈子
- 分類
- T18 .13 -Z (W093542)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第1項第6号、商標法第3条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-73941拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「Dental.DX」の文字を標準文字で表してなり、第9類、第35類及び第42類に属する別掲1のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和3年6月15日に登録出願されたものである。
本願は、令和3年8月31日付けで拒絶理由の通知がされ、同年9月24日に意見書が提出されたが、同年11月25日付けで拒絶査定がされたものである。
これに対して令和4年2月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「Dental.DX」の文字を標準文字で表してなり、その構成中、「Dental」の文字は、「歯の、歯科の、」の意味を有するものであって、「DX」の文字は、近年においては、「IT(情報技術)が社会のあらゆる領域に浸透することによってもたらされる変革。デジタル変革。」の意味合いの「デジタルトランスフォーメーション」の略称として用いられているものである(語義は全て「デジタル大辞泉」参照https://kotobank.jp/)。そして、歯科医療及びこれを支援する業務を行う分野においても、デジタルトランスフォーメーションが推進され、「デジタルトランスフォーメーション」の略称として、「DX」の文字が使用されている実情が見受けられる。また、このような歯科に関するデジタルトランスフォーメーションを、「デンタルDX」と称している事実もある。そうすると、本願商標は、その構成全体として「歯科のデジタルトランスフォーメーション」程の意味合いを認識させるものというのが相当である。してみれば、本願商標をその指定商品・指定役務に使用しても、これに接する需要者は、歯科のデジタルトランスフォーメーションに係る商品・役務であるといった、商品・役務の品質や特徴を簡潔に表した宣伝文句の一種であると理解し、認識するにすぎないので、本願商標は、自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであり、需要者が何人かの業務に係る商品・役務であることを認識することができない商標というのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における審尋
当審において、令和4年8月31日付け審尋により、別掲2の事実を記載した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとの暫定的見解を示し、期間を指定した上で請求人に対し意見を求めた。
4 審尋に対する請求人の回答の要旨
(1)審判官は「Dental.DX」を「歯科のデジタル変革」と一つの意味合いのみに限定しているが、この認定は恣意的である。
(2)歯科を意味する英単語は「dentistry」や「dentist」となり、「dental」ではない。「dental」は形容詞であり、デジタル変革の対象となるものは語学の文法上は名詞であるべきであるから、「Dental.DX」から「歯科のデジタル変革」を意味するという見解は文法上成り立たない。
(3)本願商標は、ドット記号に特徴があり、このドット記号を有することで商標全体がドメイン風に認識されるという仕掛けを有している。このような英文法上ではありえないドット記号を有している以上、本願商標は「普通に用いられる方法で表示」されているとはいえない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「Dental.DX」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「Dental」の文字は、「歯の。歯科の。」(ジーニアス英和辞典第5版)の意味を有する平易な英語であり、「DX」の文字は、「deluxe(豪華な)」「digital transformation(デジタル変革)」等の略(英辞郎on the WEB)であり、中間にある「.」の記号は、終止符と認められる。
ところで、当審における職権による調査によれば、別掲2の3のとおり、社会全体でデジタル変革が推進されている事実がある中、例えば、「私たちは、歯科業界全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していきます。\クラウド型歯科用レセコン「POWER5G」や、Webサイトのマーケティング支援等、テクノロジーの力で医院様の様々な課題を解決し、歯科医院を笑顔にするお手伝いをしています。」(別掲2の1(2))のように、近時、歯科医業の分野のデジタル変革を推進すべく、コンピュータプログラムを作成したり、マーケティング支援などが提供されている実情が確認でき、また、「相談から口腔内チェックまで歯科のDXを実現 業界初・口腔内カメラを活用した「デンタルオンライン」提供開始」(別掲2の1(3))のように、デジタル変革の一つと考えられるオンライン歯科診療を提供するための手段を提供している例も見受けられる。
また、別掲2の2に数例を示したとおり、各種の分野のデジタル変革を「○○DX」(○○には分野が入る。)と表現することが普通に行われている実情が認められる。
以上を踏まえると、「Dental.DX」の文字からなる本願商標に接する取引者、需要者は、その構成中の「DX」の文字は、「デジタル変革」の略であると理解し、「DX」の文字の前にある「Dental」の文字は、デジタル変革が行われる分野を表したものと理解するとみるのが自然である。
そして、「Dental」の文字は、「歯の。歯科の。」の意味を有する平易な英語であることに加え、上記のとおり、歯科医業の分野において、デジタル変革が推進され、実現されている実情、各種の分野のデジタル変革が「○○DX」と表現されている実情に鑑みれば、デジタル変革が行われる分野を表したものと理解され、「歯科の」ほどの意味合いで理解、認識されるというべきである。
よって、本願商標は全体として「歯科のデジタル変革」の意味合いを認識させるものと認められる。
なお、「Dental」と「DX」の文字の中間にある「.」の記号は、単なる終止符であって、特段の意味を生じないこと、また、本願商標の構成全体に占める割合が極めて小さく、「.」の記号があることによって本願商標の構成全体から生じる印象が大きく異なるともいえないことなどから、本願商標から前記意味合いを認識させるとの認定を妨げるものではない。
以上を踏まえると、本願商標は、その指定商品及び指定役務中、歯科のデジタル変革のための「電子計算機用プログラム」、「経営に関する助言」、「電子計算機用プログラムの提供」などとの関係において、歯科のデジタル変革を行うための商品及び役務であるという、商品の品質、用途、役務の質、特徴等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
なお、原査定においては、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当する旨、認定、判断したものであるが、本願商標は、上記のとおり、自他商品及び役務の識別標識としての機能を有するものではなく、商標法第3条第1項所定の商標登録の要件を欠くという共通の結論に至るものであるから、両者はその判断の内容において実質的に相違するものではない。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、審判官は「Dental.DX」を「歯科のデジタル変革」と一つの意味合いのみに限定しているが、この認定は恣意的である旨、また、デジタル変革の対象となるものは語学の文法上は名詞であるべきであるから、「Dental.DX」から「歯科のデジタル変革」を意味するという見解は文法上成り立たない旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、当合議体は、本願商標を構成する文字及び取引の実情を考慮した上で、本願商標から「歯科のデジタル変革」の意味合いが生じると判断するものであるから、その判断は、恣意的なものではない。また、上記意味合いの認定は、文法上の成り立ちに影響されないばかりか、そもそもデジタル変革の対象となるものは語学の文法上は名詞であるべきとの請求人の主張は、根拠が不明である。
イ 請求人は、本願商標は、ドット記号に特徴があり、このドット記号を有することで商標全体がドメイン風に認識されるという仕掛けを有しており、このような英文法上ではありえないドット記号を有している以上、本願商標は「普通に用いられる方法で表示」されているとはいえない旨主張する。
しかしながら、「.DX」が、「.com」や「.jp」のようにトップレベルドメインとして知られている実情もなく、大文字で表されていることも踏まえると、本願商標が全体として、ドメイン名として看取されるとは到底いい難いものである。そして、上記(1)のとおり、「.」の記号があるとしても、本願商標は、その指定商品及び指定役務との関係において、歯科のデジタル変革を行うための商品及び役務であるという、商品の品質、用途、役務の質、特徴等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
ウ したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-001459