商標取消審判
2024-300299
デイエスエス、デンタルスペースシェアリング、デンタルスペースシャーリング、デンタル、スペースシェアリング、スペースシャーリング、スペース、シェアリング、シャーリング
- 審判番号
- 2024-300299
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2006-094959
- 登録番号
- 5072517
- 請求日
- 2024年05月09日
- 審決日
- 2025年04月03日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】ディーエスエス・サステナブル・ソリューションズ・スウィツァーランド・ソシエテ・アノニム
- 【請求人代理人】山尾 憲人
- 【請求人代理人】勝見 元博
- 【請求人代理人】渡辺 大仁
- 【被請求人】株式会社 吉田製作所
- 【被請求人代理人】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 大島 康浩
- 審判官 小林 裕子
- 分類
- T132 .1 -Z (Y37)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5072517号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第5072517号商標の指定役務中、第37類「医療用機械器具設置工事,医療用機械器具設置工事に関する助言」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5072517号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成18年10月12日に登録出願、第37類「医療用機械器具設置工事,医療用機械器具設置工事に関する助言,医療用機械器具の修理又は保守」を指定役務として、同19年8月24日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和6年5月27日である。
なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である令和3年5月27日から同6年5月26日までを、以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び審判事件弁駁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、第37類「医療用機械器具設置工事,医療用機械器具設置工事に関する助言」(以下「請求に係る指定役務」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証及び乙第2号証について
被請求人のウェブサイトの抜粋にすぎず、請求に係る指定役務についての使用事実を証するものではない。
(2)乙第3号証について
要証期間内に被請求人のウェブサイトヘのアクセスがあったことを示すにすぎず、請求に係る指定役務についての使用事実を証するものではない。
(3)乙第4号証について
被請求人のウェブサイトの「内装開発事業」のページを提出しているが、かかるページに記載されているのは「DSS(デンタル スペース シェアリング)」なる表示であり、本件商標の構成要素を全て満たすものではなく、社会通念上同一とはいい難い。
すなわち、本件商標は、以下の構成要素からなる。
ア 上下方向を長手方向とする3つの有色の平行四辺形様の図形要素を備え、
イ 各図形要素は白抜きした曲線からなる模様を備え、
ウ 各図形要素の間には、それらの上端及び下端を互いにつなぐ直線を備え、
エ 各図形要素の直下には、該図形要素の下端に沿って右斜め下方向に、「DENTAL」「SPACE」「SHARING」なる欧文字が配されている。
他方、上記表示「DSS(デンタルスペースシェアリング)」は、いわゆるテキスト文字で横一行に表示されたものにすぎず、上記の構成要素のアないしエのいずれをも充足するものではない。
このように、乙第4号証に表示されている「DSS(デンタルスペースシェアリング)」は、本件商標の構成要素を全て含むものではなく、外観上も明らかに異なる。そして、上記構成要素はいずれも、本件商標の識別性に影響を与える、無視できない要素であることから、本件商標と社会通念上同一ではない。
さらに言えば、乙第4号証は被請求人がDSS(デンタル スペース シェアリング)を開発するに至った経緯が述べられているにすぎず、被請求人が上記指定役務を提供していることの証左として十分でないことから、これをもって、当該指定役務に関する広告等に標章を付して頒布する行為にも該当しない。
よって、乙第4号証は、請求に係る指定役務についての使用事実を証するものではない。
(4)乙第5号証について
被請求人が乙第5号証として提出するカタログには、「DSS(デンタルスペースシェアリング)」及び「DSS\Dental Space Sharing」の表示が存在する。
この点、本件商標は、上記(3)で述べた構成要素アないしエを備え、それぞれ、本件商標の識別性に影響を与える、無視できない要素である。
そして、上記表示は、上記構成要素アないしエのいずれも備えるものではない。すなわち、乙第5号証にある表示はいずれも、本件商標と社会通念上同一ではないことは明らかである。
また、かかるカタログの作成日付は2012年11月と記載されており、要証期間内ではない。被請求人はカタログを顧客に配布し説明を行っていると主張しているが、これを裏付ける証拠を提出できないことは被請求人自らが認めているところであり、かかる主張は失当である。
よって、請求に係る指定役務についての使用事実を証するものではない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を審判事件答弁書において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。
被請求人は、要証期間である令和3年5月27日から令和6年5月26日の間に、被請求人ホームページにおいて、本件商標を、請求に係る指定役務について使用している。
1 商標の使用者及び使用地域について(乙1、乙2)
乙第1号証は被請求人のホームページのトップ画面を印刷したものである。
本トップ画面にある「企業情報」(乙2)によれば被請求人は、東京都墨田区に所在する日本の法人であり、また、本ホームページは日本語で作成されていることから、被請求人が日本国内の需要者・取引者向けに作成したものであることが分かる。したがって、本ホームページ及びその内容は、日本国内での使用に該当する。
2 使用期間、使用にかかる商標及び指定役務について(乙3、乙5)
(1)商標の使用期間について
乙第4号証は、上述した乙第1号証のホームページのトップ画面中の「YOSHIDAの技術」にリンクされている「内装開発事業」のページを印刷したものである。乙第4号証の「内装開発事業」には、以下に述べる使用商標が記載されているが、まずは、商標の使用期間を明らかにするために、乙第3号証をもって乙第4号証のページが使用されていた期間について証明する。
乙第3号証は、2023年5月1日から2024年5月1日の1年間における被請求人のホームページの表示回数等を示した一覧表である。これによると「ページタイトルとスクリーンクラス」に「128 歯科医療機器の吉田製作所内装開発事業」とあり、乙第4号証で示したページが要証期間内に使用されていたことが分かる。
(2)使用商標について
本件商標は、屏風の形を模した図形の1枚ごとにそれぞれ「D」「S」「S」を1文字ずつ記載し、前記各文字の下に「DENTAL」「SPACE」及び「SHARING」を記載した態様からなるものである。
一方、「内装開発事業」のホームページ内(乙4の2ページ目)で使用されているのは「DSS(デンタルスペースシェアリング)」と横一列に表記されたものである(以下「使用商標」という。)。
このため、本件商標と使用商標とは完全に同一ではないが、両者が社会通念上同一であることを説明する。
上述したように、本件商標は上段に屏風の形を模した図形の1枚ごとに「D」「S」「S」が目立つように記載され、前記各文字の下に「DENTAL」「SPACE」及び「SHARING」の単語が記載されたものである。
このことから、上段の「D」「S」「S」は「DENTAL」「SPACE」及び「SHARING」の単語の頭文字を表したものと認識できる。
そして「DSS」は「ディエスエス」と称呼され、これ以外の称呼は生じない。
また、本件商標の下段に記載された「DENTAL」「SPACE」及び「SHARING」は「デンタル」「スペース」及び「シェアリング」と称呼され、やはりこれ以外の称呼は生じない。したがって本件商標の称呼は「ディエスエスデンタルスペースシェアリング」である。
さらに、ローマ字から片仮名に変更しても、またその逆に変更しても、同一である。
観念についてみると「DSS」は特定の観念を持つものではないが、「DENTAL」「SPACE」及び「SHARING」は、それぞれ「歯、歯科(用)の」、「空間、間、スペース」及び「共用」の意味であることは容易に理解できるものであり、またこれ以外の観念は生じない。
一方、使用商標である「DSS(デンタルスペースシェアリング)」の称呼も「ディエスエス(デンタルスペースシェアリング)」であり本件商標と同一である。また片仮名の「デンタルスペースシェアリング」から生じる意味も本件商標と同一である。
したがって、本件商標から生じる称呼及び観念と使用商標から生じる称呼及び観念はいずれも同一であり、本件商標と使用商標は社会通念上同一の商標であるといえる。
(3)指定役務との関係について
乙第4号証の「内装開発事業」の説明では、使用商標である「DSS(デンタルスペースシェアリング)」にかかるサービスを何故考えたのかが紹介されている。ここで紹介されているサービスは、従来、歯科診療だけを目的として使用されていた歯科診療室を有効活用するために、歯科診察室の設計や、有効活用のためのコンサルティングを提供することが「DSS(デンタルスペースシェアリング)」であることが説明されている。
すなわち、単なる歯科診療のためのスペースとしてしか活用されていなかった空間を、それ以外のコミュニケーションスペースとしてシェアするための提案や、医療機器をコンパクトに収納することで狭小診療空間を多目的利用可能な空間とするか、そのためには医療用機械器具をどのように設置するか、あるいはその工事に関する助言というサービスを提供するために使用している商標が「DSS(デンタルスペースシェアリング)」である。
したがって、請求に係る指定役務である「医療用機械器具設置工事,医療用器械器具設置工事に関する助言」に該当するものである。
なお、作成日付が2011年11月であるため要証期間内であることを証明出来ないが、本商標を使用したカタログ(乙5)を顧客に配布し説明を行っている。このカタログには「DSS」の下段に「Dental Space Sharing」とあり、やはり本件商標と完全に同一ではないが上述した社会通念上同一といえる商標が請求に係る指定役務に使用されていることが分かる。
第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。
(1)被請求人である商標権者は、東京都墨田区に本社を有し、歯科医療機器及び一般医療機器の開発、製造、販売等を事業内容とする法人である(乙2)。
(2)商標権者のホームページ(以下「本件ホームページ」という。)において、「内装開発事業」の見出しの下、「「スタッフ教育」「予防歯科の啓蒙活動」「地域住民との交流の場」歯科診療室を別の目的に使用したいケースもあるのでは?・・・そして、うまれた答えが、DSS(デンタルスペースシェアリング)です。」の記載がある(乙4。以下「DSS(デンタルスペースシェアリング)」の文字部分を「本件使用商標1」という。)。
(3)2012年11月に、「DSS/Dental Space Sharing」(以下「本件使用商標2」という。なお、本件使用商標1と本件使用商標2をまとめて「本件使用商標」という。)と題する、商標権者を製造販売元とするカタログ(以下「本件カタログ」という。)が発行された(乙5)。本件カタログには、「DSS(デンタルスペースシェアリング)」が、一つの空間を診療スペース及び多目的コミュニケーションスペースとして使い分けできるようにするためのシステムの名称である旨の記載があり、また、当該システムを活用して、歯科医院内のカウンセリングルームを診療スペースとしても使用できるようにした事例や、当該システムに適した歯科医療機器ないし内装等が紹介されている(乙5)。
2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1) 使用役務について
上記1(2)及び(3)によれば、商標権者は、「DSS(デンタルスペースシェアリング)」を一つの空間を診療スペース及び多目的コミュニケーションスペースとして使い分けできるようにするためのシステムの名称とし、当該システムを紹介する本件カタログや、開発の経緯について紹介する本件ホームページにおいて本件使用商標を使用していることは確認できるものの、そのことから直ちに、商標権者が本件使用商標を、請求に係る指定役務である「医療用機械器具設置工事,医療用機械器具設置工事に関する助言」に使用した事実が具体的に示されたということはできない。
そうすると、被請求人の提出した証拠からは、本件使用商標が請求に係る指定役務について使用されていると認めることができない。
(2)使用商標について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲のとおり、上下を直線でつないだ3つの青色系統の略平行四辺形を横に並べ、その内部にそれぞれ「D」「S」「S」とおぼしき文字を白抜きで表し、これらの略平行四辺形の下にそれぞれ「DENTAL」「SPACE」「SHARING」の文字を配してなるところ、本件商標は、全体として外観上まとまりよく一体的に表されたものと看取し得る。
イ 本件使用商標について
本件使用商標1は、上記1(2)のとおり「DSS(デンタルスペースシェアリング)」の文字からなり、本件使用商標2は、上記1(3)のとおり「DSS/Dental Space Sharing」の文字からなる。
ウ 本件商標と本件使用商標の社会通念上の同一性について
本件商標と本件使用商標を比較すると、本件商標は上記アのとおり、図形と文字がまとまりよく一体的に表されたものと看取し得るのに対し、本件使用商標は上記イのとおり、いずれも文字のみからなるから、両者は外観において顕著な差異を有するものである。
そうすると、本件商標と本件使用商標は、その構成態様を異にすることが明らかであるから、本件使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標ということはできない。
(3)小括
以上のことからすれば、被請求人が、要証期間に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が本件商標を使用していることを証明したと認めることはできない。
そして、その他、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、要証期間に日本国内において、本件商標を請求に係る指定役務について使用をしていることを認めるに足りる証拠の提出はない。
3 被請求人の主張について
(1)被請求人は、「DSS(デンタルスペースシェアリング)」の商標を、単なる歯科診療のための空間を、それ以外の目的でシェアしたり、医療機器をコンパクトに収納することで多目的利用可能な空間とするために、医療用機械器具の設置や、その工事に関する助言のサービスの提供について使用しており、これは請求に係る指定役務に該当する旨主張する。
しかしながら、上記2(1)のとおり、被請求人の提出した証拠によっては、商標権者が本件使用商標を、請求に係る指定役務である「医療用機械器具設置工事,医療用機械器具設置工事に関する助言」に使用した事実が具体的に示されたということはできないから、本件使用商標が請求に係る指定役務について使用されていると認めることができない。
(2)被請求人は、本件商標と本件使用商標とは、いずれも同一の称呼及び観念を生じるから、社会通念上同一の商標である旨主張する。
しかしながら、上記2(2)のとおり、本件商標と本件使用商標とは、外観において顕著な差異を有し、同視できるものではないから、本件使用商標が本件商標と社会通念上同一の商標であるとはいえない。
(3)したがって、被請求人の上記の主張は、いずれも採用することができない。
4 むすび
以上のとおり、被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定役務について、本件商標を使用していることを証明したものと認めることはできない。
また、被請求人は、本件審判の請求に係る指定役務について、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、その指定役務中、「結論掲記の指定役務」について、商標法第50条第1項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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