特許異議申立
2021-701245
非水系インクジェットインク組成物
- 審判番号
- 2021-701245
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-148450
- 登録番号
- 6897727
- 請求日
- 2021年12月27日
- 審決日
- 2022年08月16日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】セイコーエプソン株式会社
- 【権利者代理人】布施 行夫
- 【権利者代理人】大渕 美千栄
- 【権利者代理人】川▲崎▼ 通
- 【権利者代理人】松本 充史
- 【異議申立人】渡辺 陽子
- 審判長/審判官
- 審判長 門前 浩一
- 審判官 木村 敏康
- 審判官 蔵野 雅昭
- 分類
- P1651.121-YAA(C09D) / P1651.851-YAA(C09D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6897727号発明「非水系インクジェットインク組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6897727号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。
特許第6897727号の請求項1~6に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6897727号(以下「本件特許」という。)の請求項1~6に係る特許についての出願は、
平成27年2月3日を出願日とする特願2015-19142号の一部を、令和元年8月13日に特願2019-148450号として新たに特許出願されたものであって、令和3年6月14日に特許権の設定登録がされ、令和3年7月7日に特許掲載公報が発行され、その請求項1~6に係る発明の特許に対し、令和3年12月27日に渡辺陽子(以下「特許異議申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。
特許異議の申立て以後の手続の経緯は次のとおりである。
令和4年 3月 9日付け 取消理由通知
同年 5月13日 意見書・訂正請求書(特許権者)
同年 5月24日付け 訂正請求があった旨の通知
なお、特許異議申立人は、令和4年5月24日付けの訂正請求があった旨の通知に対して、指定した期間内に何ら応答をしていない。
第2 訂正の適否
1.訂正の内容
令和4年5月13日付けの訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の「請求の趣旨」は『特許第6897727号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6について訂正することを求める。』というものであって、本件訂正の内容は、次の訂正事項1~2からなるものである(なお、下線は訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
訂正前の請求項1の「有機溶剤として、下記一般式(1)で表される引火点が75℃以下の化合物の1種以上及び環状エステルの1種以上のみと、を含み、」との記載部分を、
訂正後の請求項1の「有機溶剤として、下記一般式(1)で表される引火点が68℃以下の化合物の1種以上及び環状エステルの1種以上のみと、を含み、」との記載に訂正する(請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2~6も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
訂正前の請求項4の「前記一般式(1)で表される化合物のうち引火点が70℃以下の化合物を含み、インク組成物中に含まれる前記一般式(1)で表される化合物のうち引火点が70℃以下の化合物の合計含有量が50質量%以上である、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の非水系インクジェットインク組成物。」との記載を、
訂正後の請求項4の「インク組成物中に含まれる前記一般式(1)で表される化合物のうち引火点が68℃以下の化合物の合計含有量が50質量%以上である、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の非水系インクジェットインク組成物。」との記載に訂正する(請求項4の記載を直接又は間接的に引用する請求項5~6も同様に訂正する。)。
2.本件訂正による訂正の適否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、本件特許明細書の段落0027の「非水系インクジェットインク組成物の記録媒体上での乾燥性と印刷画質を両立させる観点から、これらの化合物のうち…特に好ましくは55℃以上68℃以下の化合物を含むことが好ましい。」との記載に基づき、訂正前の請求項1に記載の「引火点が75℃以下の化合物」を「引火点が68℃以下の化合物」に限定するものである。
してみると、訂正事項1は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」ともいう。)に記載した事項の範囲内において「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
また、特許請求の範囲の減縮によって、特許請求の範囲の拡張ないし変更が実質的に生じないことも明らかであるから、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものに該当し、なおかつ、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、本件特許明細書の段落0027の「非水系インクジェットインク組成物の記録媒体上での乾燥性と印刷画質を両立させる観点から、これらの化合物のうち…特に好ましくは55℃以上68℃以下の化合物を含むことが好ましい。」との記載に基づき、訂正前の請求項4に記載の「前記一般式(1)で表される化合物のうち引火点が70℃以下の化合物を含み、インク組成物中に含まれる前記一般式(1)で表される化合物のうち引火点が70℃以下の化合物の合計含有量が50質量%以上である」を「インク組成物中に含まれる前記一般式(1)で表される化合物のうち引火点が68℃以下の化合物の合計含有量が50質量%以上である」に限定するものである。
してみると、訂正事項2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内において「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
また、特許請求の範囲の減縮によって、特許請求の範囲の拡張ないし変更が実質的に生じないことも明らかであるから、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。(有機溶剤中の、前記一般式(1)で表される化合物のうち引火点が68℃以下の化合物の合計含有量の残余がある場合には、環状ラクトンであると解される。)
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものに該当し、なおかつ、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(3)一群の請求項について
訂正事項1~2に係る訂正前の請求項1~6について、その請求項2~6はいずれも直接又は間接的に請求項1を引用する関係にあるから、訂正前の請求項1~6に対応する訂正後の請求項1~6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
したがって、訂正事項1~2による本件訂正は、特許法第120条の5第4項に適合するものである。
3.まとめ
以上総括するに、訂正事項1~2による本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、なおかつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正を認める。
第3 本件発明
本件訂正により訂正された請求項1~6に係る発明(以下「本1発明」~「本6発明」ともいう。)は、その特許請求の範囲の請求項1~6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】顔料としてC.I.ピグメントオレンジ43と、
有機溶剤として、下記一般式(1)で表される引火点が68℃以下の化合物の1種以上及び環状エステルの1種以上のみと、
を含み、
インク組成物中に含まれる水の含有量が0.1質量%以上2質量%以下であり、
インク組成物中に含まれる前記一般式(1)で表される化合物の合計含有量が40質量%以上であり、
インク組成物中に含まれる前記環状エステルの合計含有量が5質量%以上40質量%以下である、非水系インクジェットインク組成物。
R1O-(R2O)m-R3 ・・・・・(1)
(一般式(1)中、R1及びR3は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。ただし、R1及びR3の少なくとも何れかは、炭素数1以上4以下のアルキル基である。R2は、炭素数2又は3のアルキレン基を表す。mは2を表す。)
【請求項2】インク組成物中に含まれる前記顔料の含有量が、1質量%以上6質量%以下である、請求項1に記載の非水系インクジェットインク組成物。
【請求項3】インク組成物中に含まれる前記一般式(1)で表される化合物の合計含有量が67質量%以上である、請求項1または請求項2に記載の非水系インクジェットインク組成物。
【請求項4】インク組成物中に含まれる前記一般式(1)で表される化合物のうち引火点が68℃以下の化合物の合計含有量が50質量%以上である、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の非水系インクジェットインク組成物。
【請求項5】さらに、塩化ビニル系樹脂を含む、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の非水系インクジェットインク組成物。
【請求項6】前記水の含有量が、0.1質量%以上1質量%以下である、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の非水系インクジェットインク組成物。」
第4 取消理由通知の概要
令和4年3月9日付けの取消理由通知で通知された取消理由は、次の理由1からなるものである。
〔理由1〕本件特許の請求項1~6に係る発明は、本件出願日前に日本国内又は外国において頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件出願日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
甲第1号証:特開2012-162002号公報
甲第3号証:特開2013-227437号公報
甲第4号証:特開2010-43149号公報
甲第7号証:橋本勲,“Organic Pigments Handbook 有機顔料ハンドブック”,カラーオフィス,2006年5月発行,第496~507頁
甲第8号証:特開2014-237803号公報
甲第9号証:特開2009-270043号公報
甲第10号証:特開2011-6541号公報
参考例A:国際公開第2012/005068号
参考例B:特開平10-176190号公報
参考例C:特開2005-350493号公報
参考例D:特開2014-132050号公報
よって、本件特許の請求項1~6に係る発明に係る特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定に該当し取り消されるべきものである。
第5 当審の判断
1.理由1(進歩性)について
(1)甲第1、3、4、7~10号証及び参考例A~Dの記載事項
ア 甲第1号証には、次の記載がある。
摘記1a:請求項1
「【請求項1】特定インクを吐出して印刷領域に位置する被印刷媒体に画像を形成する工程と、被印刷媒体を搬送する搬送工程と、を交互に行うことにより印刷を行うインクジェット記録方法であって、
前記画像を形成する工程は、
前記印刷領域に静止させた被印刷媒体に対してプリントヘッドを相対的に移動させながら、前記プリントヘッドから前記インクを前記被印刷媒体に吐出する走査を複数回行い、かつ、
前記被印刷媒体に吐出された前記特定インクにエネルギーを与えて前記被印刷媒体に定着させるものであり、
前記被印刷媒体が、インク非吸収性又は低吸収性の被印刷媒体であり、
前記特定インクは、沸点が120℃以上240℃以下の、グリコールエーテル系溶剤及び非プロトン性極性溶剤からなる群から選ばれる1種以上の有機溶剤をインクの組成中に60質量%以上含有する、インクジェット記録方法。」
摘記1b:段落0002、0008及び0076
「【0002】…従来のオフセット印刷用インクには、有機溶媒として汎用されてきた低沸点溶剤として、一般に、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサンや灯油等の脂肪族炭化水素、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、或いはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が使用されているが、これらの有機溶媒からなるインクを使用してポリ塩化ビニル基材を被印刷媒体として印字した場合、これらの有機溶剤は沸点や引火点が低く、臭気が強いため、作業者の安全性の上で好ましくなく、また、乾燥が早いためにノズルが詰まりやすいという問題が生じる。…
【0008】本発明は高沸点溶剤を使用したインクを用いて、インク非吸収性及び低吸収性の被印刷媒体にインクジェット記録方式で画像を形成する記録方法であって、被印刷媒体のインク吸収性によらず画質と定着性に優れ、高速印刷性(タック性及び乾燥性)と吐出安定性にも優れるインクジェット記録方式の記録方法を提供することを目的とする。…
【0076】…本発明の一実施形態は、上記実施形態の記録方法に用いられるインク、すなわち特定インクに係る。当該特定インクは、沸点が120℃以上240℃以下の、グリコールエーテル系溶剤及び非プロトン性極性溶剤からなる群から選ばれる1種以上の有機溶剤をインクの組成中に60質量%以上含有する。本実施形態の印刷方式の記録方法にこのような特定インク、すなわち実質的に水を含まない非水性の特定インクを用いることにより、定着性、タック性、及び着弾精度を良好なものとすることができる。以下、この特定インクを詳細に説明する。」
摘記1c:段落0093及び0103~0104
「【0093】〔色材〕
本実施形態の特定インクは、色材をさらに含んでもよい。上記色材は、顔料及び染料から選択される。…
【0103】また、マゼンタ、シアン、及びイエロー以外の顔料としては、例えば、C.I.Pigment Green 7,10、及びC.I.Pigment Brawn 3,5,25,26、及びC.I.Pigment Orange 1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63等が挙げられる。
【0104】…本インクに色材を用いる場合、色材の添加量は、0.1~25質量%程度の範囲が好ましく、より好ましくは0.5~15質量%程度の範囲である。」
摘記1d:段落0123~0126
「【0123】[材料]
実施例及び比較例において使用した材料は、下記に示すとおりである。
〔顔料〕
・C.I Pigment Violet 19(表中「PV19」と省略)…
〔分散剤〕
・ポリエステル系高分子 Solsperse32000(商品名、アビシア(Avecia)社製)(表中「Sol32000」と省略)
〔定着樹脂〕
・塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体 UCAR Solution Vinyl VROH (商品名、日本ユニオンカーバイド社(Union Carbide Corporation)製、分子量15000,Tg=65℃)(表中「P(VC-VAc)」と省略)…
〔界面活性剤〕
・BYK-UV3500(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ビックケ
ミー・ジャパン社製)(表中「BYK3500」と省略)
【0124】〔各種溶剤〕
(1.グリコールエーテル系溶剤)…
・ジエチレングリコールジエチルエーテル(表中「DEGDEE」と省略)…
(2.非プロトン極性溶剤)…
・γ-ブチロラクトン(表中「GBL」と省略)…
【0125】[実施例1~6、比較例1~5、参考例1~2]
〔特定インクの調製〕
まず、下記表1及び表2に示す組成で材料を混合して、インクA~Kを調製した。
なお、表1及び表2中、空欄部は無添加を意味し、数値の単位は質量%である。
【0126】【表1】
[図:0001390579000001.jpg]
」
イ 甲第3号証には、次の記載がある。
摘記3a:請求項2
「【請求項2】請求項1において、
前記第1インク及び前記第2インクが、ともに非水系インクである、インクジェット用インクセット。」
摘記3b:段落0032、0052、0113~0114及び0117
「【0032】本実施形態に係る第2インクをイエロー又はオレンジインクとする場合の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、43、64、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、74、93、94、128、138、150、155、180、185等が挙げられる。…
【0052】1.3.有機溶剤
本実施形態に係るインクは、有機溶剤を含むことができる。本実施形態に係るインクは、水系インク及び非水系インクに適用可能であるが、塩化ビニル系樹脂のような低吸収性記録媒体印刷する場合は、非水系インクであることが好ましい。なお、本明細書における「非水系インク」とは、実質的に水を含まないインクを意味し、インク組成物を製造する際に水を意図的に添加しないという意味であり、インク組成物を製造中または保管中に不可避的に混入する微量の水分を含んでいても構わない。以下、非水系インクとして用いる場合に好ましい有機溶剤について詳細を説明する。…
【0113】得られた顔料分散液に、有機溶剤の残部および表1~表3に記載のバインダー樹脂を添加してさらに1時間混合撹拌してから、5μmのPTFE製メンブランフィルターを用いて濾過することで、表1~表3に記載のシアンインク(第2インク)、イエローインク(第2インク)及び白色インク(第1インク)をそれぞれ得た。なお、表中の数値は、質量%を表す。
【0114】なお、表中で使用した材料は、下記の通りである。
…・イエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー180、クラリアント社製)
…・Solsperse37500(LUBRIZOL社製、分散剤)
…・γ-BL(γ-ブチロラクトン、三菱化学社製、有機溶剤)
…・DEGdEE(ジエチレングリコールジエチルエーテル、日本乳化剤社製、
有機溶剤)
…・パラロイドB60(ローム・アンド・ハース社製、アクリル樹脂)
…・BYK-313(ビックケミージャパン株式会社製、ポリエステル変性ポリ
ジメチルシロキサン)…
【0117】【表3】…Y1…イエロー顔料…Solsperse37500
…有機溶剤…γ-BL…DEGdEE…パラロイドB60…BYK-313」
ウ 甲第4号証には、次の記載がある。
摘記4a:請求項5
「【請求項5】前記レッドインク組成物の顔料が、C.I.ピグメントレッド170および/またはC.I.ピグメントレッド254であり、前記ブルーインク組成物の顔料が、C.I.ピグメントブルー60であり、前記オレンジインク組成物の顔料が、C.I.ピグメントオレンジ43であり、前記グリーンインク組成物の顔料が、C.I.ピグメントグリーン36であることを特徴とする請求項4に記載のインクセット。」
摘記4b:段落0098、0143及び0149
「【0098】(実施例7)
(1)顔料分散体7の製造
まず、顔料分散体7はピグメントオレンジ43(ペリノン系顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散体2と同様に作製し、顔料分散体7とした。実施例1と同じ方法で粒径を測定したところ115nmであった。…
【0143】(比較例12)
比較例12は、実施例7においてC.I.ピグメントオレンジ43をC.I.ピグメントオレンジ31(縮合アゾ系顔料)にした分散体15を用いた以外は同様にして作製して評価した。インク組成を表3に示す。耐擦性試験、ドライクリーニング性試験、耐光性試験および吐出安定性試験は実施例1と同様に行なった。結果を表1に示す。…
【0149】【表1】
表1…耐擦性、ドライクリーニング性、耐光性および吐出安定性の結果
┌──────┬──┬──┬───────┬───────┐
│ │ … │ 耐光性 │ 吐出安定性 │
├──────┼──┼──┼───────┼───────┤
│ … │ … │ … │ … │
│ 実施例7 │ … │ 7> │ A │
│ … │ … │ … │ … │
│ 比較例12 │ … │ 2 │ C │
│ … │ … │ … │ … │
└──────┴──┴──┴───────┴───────┘ 」
エ 甲第7号証には、次の記載がある。
摘記7a:第496、499~500及び504頁
「Pigment Orange 31
…主な応用分野:プラスチックの着色、ゴム、原液着色、顔料捺染
…可塑剤などへの耐光性は十分とは言えず、耐候性も濃色では良好であるが淡色では不十分である。…
Pigment Orange 43 (Vat Orange 7)
…主な応用分野:塗料、印刷インキ、プラスチックの着色
…印刷インキ分野では耐熱性、耐候性、耐殺菌性、耐溶剤性、耐オーバーワニス性など、ほとんどの要求性能の良さから、金属インキやUVインキ、高級用途のオフセットインキに推奨される。…
Pigment Orange 64
…主な応用分野:オフセットインキ、グラビアインキ、金属インキ、プラスチックの着色
…標準オレンジ色を有し、高級インキ用顔料に要求される耐光、耐熱、耐マイグレーション性などの諸物性を十分に保持している。金属インキに使用されるほか、オフセットインキやグラビアインキにも推奨されている。」
オ 甲第8号証には、次の記載がある。
摘記8a:段落0047及び0073
「【0047】第1有機溶剤の引火点は、70℃以下である必要があるが、50℃以上70℃以下であることが好ましく、55℃以上70℃以下であることがより好ましく、60℃以上70℃以下であることがさらに好ましく、62℃以上68℃以下であることが特に好ましい。引火点が70℃以下であることで、インク組成物の乾燥性を向上させる効果が良好となる。また、引火点が50℃以上であることで、インク組成物の濡れ拡がり性の低下を抑制しつつ、乾燥性に優れたものとなる。…
【0073】<水>
本実施形態のインク組成物には、水を含有しないことが好ましいが、含有されることを妨げるものではない。水が含有される場合には、その含有量が、インク組成物の全質量に対して、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらにより好ましく、0.05質量%未満であることがさらに好ましく、0.01質量%未満であることが一層好ましく、0.005質量%未満であることがさらに一層好ましく、0.001質量%未満であることが最も好ましい。なお、本実施形態に係るインク組成物は、実質的に水を含有しないインク組成物としてもよい。「実質的に含有しない」とは、意図的に含有させないことを指す。すなわち、本実施形態に係るインク組成物は、有機溶剤を主要な溶媒として、水を主要な溶媒としない、いわゆる非水系インク組成物であることが好ましい。」
カ 甲第9号証には、次の記載がある。
摘記9a:段落0045及び0063
「【0045】本発明の非水系インクジェットインクは、含水率が0.5%以上、4%以下であることが特徴である。含水率が0.5%以上であれば、インク製造の最終段階で加温処理、脱水処理、減圧処理など物理的な脱水処理による調整が可能であり、含水率が4%以下であれば、低温あるいは高温で保存後のインクでも保存前後でサテライト発生に変化がなく、良好な射出性を得られる。…
【0063】オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー1…等が挙げられる。」
ク 甲第10号証には、次の記載がある。
摘記10a:段落0009及び0029~0030
「【0009】このような油性顔料インクを長期保存した際の吐出不良は、顔料の再凝集によるものと考えられており、顔料の分散安定性を向上するため種々の検討が行なわれている。例えば、本出願人も、有機溶剤として(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエステル化合物を含有し、10~50質量%の高顔料濃度を有する油性顔料分散体を先に提案した(特許文献5)。この油性顔料分散体によれば、(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエステル化合物が水分を吸収し難いため、油性顔料分散体中の水分量を2質量%以下に抑えることができ、油性顔料分散体を長期保存しても顔料の再凝集を防止できる。…
【0029】そこで、顔料誘導体を凝集させて析出物を生成する油性顔料インク中の成分について検討したところ、インク中に含まれる極めて微量の水分が長期保存によって顔料から脱離した顔料誘導体を凝集させていることが判明した。すなわち、顔料誘導体は水に対する溶解性を殆ど有さないが、製造直後では顔料誘導体は顔料に吸着しているため、インク成分である顔料、顔料分散剤、有機溶剤などからインク中に微量の水分が混入しても、該水分により凝集が生ずることはない。例えば、本発明者等の検討によれば、油性顔料インク中に0.4質量%程度の水分が含まれている場合であっても、製造直後においては吐出性に問題のない油性顔料インクが得られることが見出されている。しかしながら、長期保存により顔料から顔料誘導体の一部が脱離した場合、インク中の水分量が極めて微量でも、脱離した顔料誘導体が有機溶剤に溶媒和できず、顔料誘導体同士が会合等により凝集し、それによって顔料誘導体由来の大きな粒子径を有する析出物が生成されるものと考えられる。
【0030】上記観点から本発明者等は、長期保存による顔料誘導体の凝集を抑えるためにインク中の水分量を低減させる検討を行なったが、該水分は顔料、顔料誘導体、顔料分散剤、有機溶剤などの各成分が本来不可避的に含有するものと、製造装置などの製造環境から供給されるものが考えられる。従って、特許文献5にように、顔料の凝集を抑えるために有機溶剤として(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエステルを使用して水分の吸湿を抑えても、インクジェット記録方式に用いられるインクとして使用する場合には、油性顔料分散体を希釈する必要があるため、この希釈工程で有機溶剤などのインク成分や製造装置から混入してくる水分により、最終的に得られる油性顔料インク中の水分量が増加する。このため、原材料に含まれている水分を低減させても、製造工程で混入してくる水分を除去することは困難である。また、水分量の少ない原材料を用いるとともに、全ての製造工程を低湿環境下で行なうことも考えられるが、製造装置が大掛かりとなり、製造コストの増加を招くこととなる。特に、特許文献5では、油性顔料分散体における水分量を低減するために(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエステルを使用しているが、該有機溶剤を用いた場合の最低水分量は0.32質量%までであるのに対し、本発明者等の検討によれば、このような微量の水分量であっても顔料誘導体に由来する析出物の生成が抑えられないことが判明した。」
ク 参考例Aには、次の記載がある。
摘記A1:段落0045
「[0045]…ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点189℃、水への溶解度:100重量%以上、SP値:8.9、引火点:70℃)」
ケ 参考例Bには、次の記載がある。
摘記B1:段落0025
「【0025】…ジエチレングリコールジエチルエーテルの引火点は70℃であり、引火の危険性が低い。」
コ 参考例Cには、次の記載がある。
摘記C1:段落0008、0018及び0021
「【0008】本発明によれば、顔料を非水溶性有機溶剤に分散させて油性インクを調製する際に、微量の水を添加し、最終的に得られる油性インク中の水分量を調整することにより、理由は不明であるが、顔料の分散安定性に優れ、インクジェットヘッドノズル内での顔料の凝集による目詰まりを生じることがない吐出安定性に優れた油性インクジェットインクが得られる。…
【0018】本発明で使用される顔料としては特に限定されず、従来公知の無機顔料および有機顔料を使用できる。…有機顔料としては、…縮合多環顔料…が挙げられる。…
【0021】本発明の油性インクは、水分量がインク全量の0.2重量%以上インクに対する溶解度以下の範囲となるように調整され、好ましくは0.2~2重量%、さらに好ましくは0.3~1.5重量%の範囲となるように調整される。これにより、液相が連続した相を形成し、かつ、優れた顔料の分散安定性及びインクジェットヘッドノズルからの吐出安定性を示す油性インクが得られる。」
サ 参考例Dには、次の記載がある。
摘記D1:請求項7
「【請求項7】請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、
前記インク組成物は、非水系インク組成物である、インク組成物。」
摘記D2:段落0026、0046、0061、0071及び0081
「【0026】本実施形態のインク組成物を、オレンジまたはイエローのインクとする場合には、配合される色材、特に顔料として、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントイエロー12…等を例示することができ、これらは単独または組み合わせて用いることができる。…
【0046】…本実施形態のインク組成物は、実質的に水を含有しないことが好ましい。「実質的に含有しない」とは、意図的に含有させないことを指し、例えばインク組成物中の水の含有量が5.0質量%未満であり、好ましくは3.0質量%未満であり、一層好ましくは2.0質量%未満、さらに一層好ましは1.0質量%未満であり、最も好ましくは0.5質量%未満であることをいう。本実施形態のインク組成物は、上記の実質的に水を含有しないインク組成物(非水系インク組成物)とすることが好ましい。…
【0061】…本実施形態のインク組成物は、記録媒体に付着された後の乾燥性に優れ、かつ画質および耐擦過性の高い記録を行うことができる。…
【0071】…記録媒体表面が、高分子…からなる非吸収性の記録媒体が、耐水性、耐候性の点で好ましい。…特に、ポリ塩化ビニルを主成分とするフィルムやシートであってもよい。…
【0081】表1に記載の化合物のうち、環状エステルとしては、γ-ブチロラクトン(関東化学株式会社製)を用い、市販品をそのまま使用した。表1中、DEGBMEは、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル(商品名「ハイソルブBDM」、東邦化学工業株式会社製)の略であり、DEGMEEは、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(商品名「ハイソルブEDM」、東邦化学工業株式会社製)の略であり、いずれも市販品をそのまま使用した。」
(2)刊行物に記載された発明
摘記1aの「特定インクは、沸点が120℃以上240℃以下の、グリコールエーテル系溶剤及び非プロトン性極性溶剤からなる群から選ばれる1種以上の有機溶剤をインクの組成中に60質量%以上含有する、インクジェット記録方法。」との記載、
摘記1bの「実質的に水を含まない非水性の特定インクを用いる」との記載、
摘記1dの「C.I Pigment Violet 19(表中「PV19」と省略)…ポリエステル系高分子 Solsperse32000…(表中「Sol32000」と省略)…塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体…(表中「P(VC-VAc)」と省略)……BYK-UV3500(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン…(表中「BYK3500」と省略)…ジエチレングリコールジエチルエーテル(表中「DEGDEE」と省略)…γ-ブチロラクトン(表中「GBL」と省略)…下記表1…に示す組成で材料を混合して、インクA~Kを調製した。…空欄部は無添加を意味し、数値の単位は質量%である。」との記載、及び「表1」の「インクA」の記載からみて、甲第1号証には、
『顔料(C.I Pigment Violet 19)4質量%、分散剤(ポリエステル系高分子 Solsperse32000)2質量%、定着樹脂(塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体)4質量%、界面活性剤(BYK-UV3500 ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)0.5質量%、グリコールエーテル系溶剤(ジエチレングリコールジエチルエーテル)69.5質量%、及び非プロトン性極性溶剤(γ-ブチロラクトン)20質量%からなる、インクジェット記録方法に用いる実質的に水を含まない非水性の特定インク。』についての発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
(3)対比
本1発明と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「グリコールエーテル系溶剤(ジエチレングリコールジエチルエーテル)69.5質量%」は、本1発明の一般式(1)中、R1及びR3が、炭素数2のアルキル基(エチル基)を表し、R2が、炭素数2のアルキレン基を表し、mが2を表す化合物(本件特許明細書の実施例4などで用いられている「DEGDEE」に合致する化合物)からなる有機系の溶剤であって、参考例Aの段落0045(摘記A1)の「ジエチレングリコールジエチルエーテル…引火点:70℃」との記載、及び参考例Bの段落0025(摘記B1)の「ジエチレングリコールジエチルエーテルの引火点は70℃」との記載にあるように、引火点が75℃の化合物であることが明らかであり、その「69.5質量%」という配合量は40質量%以上であることが明らかであるから、本1発明の「有機溶剤として、下記一般式(1)で表される…化合物の1種以上」及び「インク組成物中に含まれる前記一般式(1)で表される化合物の合計含有量が40質量%以上であり」に相当する。
甲1発明の「非プロトン性極性溶剤(γ-ブチロラクトン)20質量%」は、参考例Dの段落0081(摘記D2)の「環状エステルとしては、γ-ブチロラクトン」との記載にあるように「環状エステル」からなる有機系の溶剤であることが明らかであって、その「20質量%」という配合量は「5質量%以上40質量%以下」であることが明らかであるから、本1発明の「有機溶剤として、…環状エステルの1種以上」及び「インク組成物中に含まれる前記環状エステルの合計含有量が5質量%以上40質量%以下である」に相当する。
甲1発明の「インクジェット記録方法に用いる実質的に水を含まない非水性の特定インク」は、有機系の溶剤として「ジエチレングリコールジエチルエーテル」と「γ-ブチロラクトン」以外の化合物を含まない組成にあるから、本1発明の「有機溶剤として、下記一般式(1)で表される…化合物の1種以上及び環状エステルの1種以上のみ」を含む「非水系インクジェットインク組成物」に相当する。
してみると、本1発明と甲1発明は『有機溶剤として、下記一般式(1)で表される化合物の1種以上及び環状エステルの1種以上のみと、を含み、インク組成物中に含まれる前記一般式(1)で表される化合物の合計含有量が40質量%以上であり、インク組成物中に含まれる前記環状エステルの合計含有量が5質量%以上40質量%以下である、非水系インクジェットインク組成物。
R1O-(R2O)m-R3 ・・・・・(1)
(一般式(1)中、R1及びR3は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。ただし、R1及びR3の少なくとも何れかは、炭素数1以上4以下のアルキル基である。R2は、炭素数2又は3のアルキレン基を表す。mは2を表す。)』という点において一致し、次の(α)~(γ)の3つの点において相異する。
(α)一般式(1)で表される化合物の引火点が、本1発明は「68℃以下」であるのに対して、甲1発明は「70℃」である点
(β)顔料として、本1発明は「C.I.ピグメントオレンジ43」を含むのに対して、甲1発明は「C.I Pigment Violet 19」を含むものである点。
(γ)インク組成物中に含まれる水の含有量が、本1発明は「0.1質量%以上2質量%以下」であるのに対して、甲1発明は「実質的に水を含まない非水性」のものである点。
(4)判断
上記(α)の相違点について、本件特許明細書の段落0027には、本1発明の一般式(1)で表される化合物のうち引火点が68℃以下の化合物を特に好ましくは65質量%(本1発明の「のみ」が意味する「100質量%」を含む)を含有することにより、インク組成物の乾燥性を高めることができ、形成される画像における濡れ広がりや凝集ムラ(顔料の凝集等)を抑制すると共に、光沢性を向上させることができ、また、上記化合物のうち引火点が68℃以下の化合物はインク長期保管中の水分上昇を抑制できるため、他の溶剤に比べてインク組成物の保存安定性が良好となることが記載されているところ、甲第1、3、4、7~10号証及び参考例A~Dには、本1発明の「一般式(1)で表される化合物のうち引火点が68℃以下の化合物」の構成及び効果について、示唆を含めて記載がない。
したがって、その余の点について検討するまでもなく、本1発明は、甲1発明並びに、甲第1、3、4、7~10号証及び参考例A~Dに記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものに該当するとはいえない。
(5)本2~本6発明について
本2~本6発明は、本1発明を直接又は間接的に引用し、さらに限定したものであるから、本1発明の進歩性が、甲第1、3、4、7~10号証及び参考例A~Dによって否定できない以上、本2~本6発明が、甲第1、3、4、7~10号証及び参考例A~Dに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものに該当するとはいえない。
2.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立ての理由について
(1)申立理由1(進歩性)について
特許異議申立人が主張する申立理由1(進歩性)は、本件特許発明1~6は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証~甲第11号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないというものである。
しかしながら、上記1.(4)に示したように、甲第1、3、4、7~10号証及び参考例A~Dには、本1発明の「一般式(1)で表される化合物のうち引火点が68℃以下の化合物」の構成及び効果について、示唆を含めて記載がない。
そして、甲第2号証(特開2010-270224号公報)、甲第5号証(特開2009-215461号公報)、甲第6号証(特開2009-215460号公報)、及び甲第11号証(特開2010-168583号公報)の記載を精査しても、本1発明の「一般式(1)で表される化合物のうち引火点が68℃以下の化合物」の構成及び効果について、示唆を含めて記載がない。
したがって、その余の点について検討するまでもなく、本1~本6発明は、甲1発明並びに、甲第2~11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものに該当するとはいえない。
第6 まとめ
以上総括するに、取消理由通知に記載した取消理由並びに特許異議申立人が申し立てた理由及び証拠によっては、本1~本6発明に係る特許を取り消すことができず、他に本1~本6発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-701245