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特許異議申立

2021-701126

キッチンタオルロール

審判番号
2021-701126
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-131337
登録番号
6882102
請求日
2021年12月01日
審決日
2022年08月12日
公報発行日
2022年11月25日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】日本製紙クレシア株式会社
  • 【権利者代理人】赤尾 謙一郎
  • 【権利者代理人】下田 昭
  • 【異議申立人】金井 澄子
審判長/審判官
  • 審判長 住田 秀弘
  • 審判官 土屋 真理子
  • 審判官 有家 秀郎
分類
P1651.113-YAA(A47K) / P1651.121-YAA(A47K) / P1651.536-YAA(A47K) / P1651.537-YAA(A47K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第2項第3号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項第1号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6882102号発明「キッチンタオルロール」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6882102号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-7〕について訂正することを認める。 特許第6882102号の請求項1、3ないし7に係る特許を維持する。 特許第6882102号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6882102号(以下「本件特許」という。)に係る特許出願は、平成29年7月4日に出願され、令和3年5月10日にその特許権の設定登録がされ、同年6月2日に特許掲載公報が発行されたものであり、その後の特許異議の申立ての経緯は以下のとおりである。 令和3年12月 1日 特許異議申立人金井澄子(以下「申立人」と いう。)による請求項1ないし7に係る発明 の特許に対する特許異議の申立て 令和4年 1月31日付け 取消理由通知 同年 3月30日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 同年 6月13日 申立人による意見書の提出 第2 訂正請求についての判断 1 訂正の内容 令和4年3月30日に提出された訂正請求書による訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)の内容(以下「本件訂正」という。)は以下のとおりである。(下線は、訂正箇所を示す。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「巻長が15~65m、巻直径が85~150mm、コアの見かけの坪量が200~550g/m2、 ロール密度が0.10~0.30g/cm3、 前記コアを軸心が水平になるよう硬い台上に横に置き、前記コア外面の中央部に圧縮子(面積2.0cm2)を、速度10mm/分の条件で上から押し込み、前記圧縮子が押す圧力が0.5gf/cm2のときの押し込み深さをT0、圧力が250gf/cm2のときの押し込み深さをTmとして、(Tm-T0)をコアの固さとしたとき、前記コアの固さが0.4~7.0mm」と記載されているのを、 「巻長が21~48m、巻直径が96~136mm、コアの見かけの坪量が245~391g/m2、 ロール密度が0.11~0.18g/cm3、 前記コアを軸心が水平になるよう硬い台上に横に置き、前記コア外面の中央部に圧縮子(面積2.0cm2)を、速度10mm/分の条件で上から押し込み、前記圧縮子が押す圧力が0.5gf/cm2のときの押し込み深さをT0、圧力が250gf/cm2のときの押し込み深さをTmとして、(Tm-T0)をコアの固さとしたとき、前記コアの固さが0.8~3.5mm、」と訂正し、さらに、「であるキッチンタオルロール。」の前に「前記凹部の深さが0.12~0.41mm」を加入する。(請求項1の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項3~7も同様に訂正する。) (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 ア 訂正事項3-1 特許請求の範囲の請求項3に「請求項1又は2に記載」と記載されているのを、「請求項1に記載」に訂正する。 イ 訂正事項3-2 特許請求の範囲の請求項4に「請求項1~3のいずれか1項に記載」と記載されているのを、「請求項1又は3に記載」に訂正する。 ウ 訂正事項3-3 特許請求の範囲の請求項5に「請求項1~4のいずれか1項に記載」と記載されているのを、「請求項1、3又は4に記載」に訂正する。 エ 訂正事項3-4 特許請求の範囲の請求項6に「請求項1~5のいずれか1項に記載」と記載されているのを、「請求項1、3、4又は5に記載」に訂正する。 オ 訂正事項3-5 特許請求の範囲の請求項7に「請求項1~6のいずれか1項に記載」と記載されているのを、「請求項1、3、4、5又は6に記載」に訂正する。 (4)訂正事項4 願書に添付した明細書の段落【0009】に「巻長が15~65m、巻直径が85~150mm、コアの見かけの坪量が200~550g/m2、ロール密度が0.10~0.30g/cm3、前記コアを軸心が水平になるよう硬い台上に横に置き、前記コア外面の中央部に圧縮子(面積2.0cm2)を、速度10mm/分の条件で上から押し込み、前記圧縮子が押す圧力が0.5gf/cm2のときの押し込み深さをT0、圧力が250gf/cm2のときの押し込み深さをTmとして、(Tm-T0)をコアの固さとしたとき、前記コアの固さが0.4~7.0mm」と記載されているのを、「巻長が21~48m、巻直径が96~136mm、コアの見かけの坪量が245~391g/m2、ロール密度が0.11~0.18g/cm3、前記コアを軸心が水平になるよう硬い台上に横に置き、前記コア外面の中央部に圧縮子(面積2.0cm2)を、速度10mm/分の条件で上から押し込み、前記圧縮子が押す圧力が0.5gf/cm2のときの押し込み深さをT0、圧力が250gf/cm2のときの押し込み深さをTmとして、(Tm-T0)をコアの固さとしたとき、前記コアの固さが0.8~3.5mm、」に訂正し、さらに「である。」の前に「前記凹部の深さが0.12~0.41mm」を加入する。 (5)訂正事項5 願書に添付した明細書の段落【0010】に「前記凹凸の凹部の深さが0.03~0.55mmであることが好ましい。 ロール幅200mm当たりの前記コアの質量が4.3~13.0gであることが好ましい。 (前記コアの固さ)/(前記ロール密度)で表される比が2.3~40.0mm/(g/cm3)であることが好ましい。 前記キッチンタオルシートのJIS P8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強さDMDTが8~30N/25mmであることが好ましい。 前記キッチンタオルシートのJIS P8113に基づく乾燥時の横方向の引張強さDCDTが3~12N/25mmであることが好ましい。 前記凹凸がエンボスであることが好ましい。」と記載されているのを、 「ロール幅200mm当たりの前記コアの質量が4.3~13.0gであることが好ましい。 (前記コアの固さ)/(前記ロール密度)で表される比が2.3~40.0mm/(g/cm3)であることが好ましい。 前記キッチンタオルシートのJIS P8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強さDMDTが8~30N/25mmであることが好ましい。 前記キッチンタオルシートのJIS P8113に基づく乾燥時の横方向の引張強さDCDTが3~12N/25mmであることが好ましい。 前記凹凸がエンボスであることが好ましい。」に訂正する。 (6)訂正事項6 願書に添付した明細書の段落【0077】【0078】のそれぞれ表1、表2のうち、実施例1、5、6、9、10、13、14、17~19、22~27を、「実施例」から「参考例」に訂正する。 2 訂正の適否についての判断 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 上記訂正事項1に係る訂正は、 (ア)訂正前の請求項1において特定されていた、巻長、巻直径、コアの見かけの坪量、ロール密度、及びコアの固さの数値範囲について、 a 「巻長」が「15~65m」であったものを「21~48m」に限定して減縮し、 b 「巻直径」が「85~150mm」であったものを「96~136mm」に限定して減縮し、 c 「コアの見かけの坪量」が「200~550g/m2」であったものを「245~391g/m2」に限定して減縮し、 d 「ロール密度」が「0.10~0.30g/cm3」であったものを「0.11~0.18g/cm3」に限定して減縮し、 e 「コアの固さ」が「0.4~7.0mm」であったものを「0.8~3.5mm」に限定して減縮するとともに、 (イ)訂正前の請求項1において特定されていた「凹部」について、「前記凹部の深さが0.12~0.41mm」として、その深さの数値範囲を限定して減縮するものであるから、訂正事項1の上記(ア)aないしe及び(イ)に係る訂正は、いずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 そして、訂正事項1の上記(ア)aないしe及び(イ)に係る訂正は、上記アのとおり、いずれも、特許請求の範囲を減縮するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 新規事項の有無 本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」といい、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面を併せて「本件明細書等」という。)には、訂正事項1について、次の記載がある。 「【実施例1】 【0072】 パルプ組成の含有率が(質量%)NBKP50%、LBKP50%とし、図7に示す装置により、表1~表3に示すキッチンタオルシート及びキッチンタオルロールを製造した。 【0073】 以下の評価を行った。 ・・・ 【0074】 ・・・ ロールの巻直径DR、コア外径DI:ムラテックKDS株式会社製ダイヤメータールールを用いて測定した。測定は、10個のロールを測定し、測定結果を平均した。 ロール密度、エンボス深さD、コアの見かけの坪量、コアの固さ、吸水量は上述の方法で測定した。なお、ロール密度は、ロールの巻直径DRの測定に用いた10個のロールを測定し、測定結果を平均した。 巻長:ミシン目とミシン目の間のシートについて、10シート分の長さを実測した。その後、ロールのシート数を実測した。その後、10シート分の長さとシート数から比例計算で求めた。例えば、10シート分の長さが1.30m、シート数が300シートの場合、1.30m×(300/10)=39mとなる。 【0075】 官能評価は、モニター20人によって行った。評価基準は5点満点で行った。評価基準が3点以上であれば良好である。 なお、坪量、引張強さ、厚さ(紙厚)、ロールの質量及びコアの質量、比容積、巻直径DR、コア外径DI、コアの固さ、吸水量、ロール密度、巻長、エンボス深さの測定は、JIS-P8111に規定する温湿度条件下(23±1℃、50±2%RH)で平衡状態に保持後に行った。 【0076】 得られた結果を表1~表3に示す。 ・・・ 【0080】 表1~表3から明らかなように、キッチンタオルロールの巻長、巻直径、コアの見かけの坪量、ロール密度が所定の範囲である各実施例の場合、坪量を下げずに吸水性が良好であると共に1ロール当りの巻長を長くし、かつコストや生産性を損なわずにコアを潰れ難くすることができた。」 本件明細書の段落【0077】には、実施例1ないし13の実施例それぞれについて、「キッチンタオル」についての測定結果、「キッチンタオルロール」についての測定結果とともに、「評価」が記載された【表1】が、段落【0078】には、実施例14ないし27について、同様の記載がされた【表2】が示されており、キッチンタオルロールの測定結果には、「巻長」(単位m)、「巻直径」(単位mm)、「コアの見かけの坪量」(単位g/m2)、「ロール密度(B)」(単位g/cm3)、「コアの固さ(A)」(単位mm)、「エンボス深さ」(単位mm)が含まれている。 そして、(ア)aの「巻長」について、表1の「実施例2」には「21」と記載され、「実施例4」には「48」と記載され、表1の「実施例3」、「実施例7」、「実施例8」、「実施例11」、「実施例12」及び表2の「実施例15」、「実施例16」、「実施例20」、「実施例21」には、それぞれ、「35」と記載されている。 実施例2~4、7、8、11、12、15、16、20及び21は、表1及び表2に記載された実施例1ないし27のうち「評価」がすべて「4」以上の実施例を抽出したものであるところ、これら実施例の「巻長」の数値範囲は、「21~48」である。 (ア)bの「巻直径」について、表1の「実施例2」には「96」と記載され、表2の「実施例21」には「136」と記載され、表1の「実施例3」、「実施例4」、「実施例7」、「実施例8」、「実施例11」、「実施例12」には、それぞれ、「118」、「135」、「124」、「115」、「118」、「118」と記載され、表2の「実施例15」、「実施例16」、「実施例20」には、それぞれ、「116」、「118」、「108」と記載されているから、実施例2~4、7、8、11、12、15、16、20及び21の「巻直径」の数値範囲は、「96~136」である。 (ア)cの「コアの見かけの坪量」について、表1の「実施例11」には「245」と記載され、「実施例12」には「391」と記載され、表1の「実施例2」、「実施例3」、「実施例4」、「実施例7」、「実施例8」にはそれぞれ「331」、「331」、「331」、「327」、「327」、「331」と記載され、表2の「実施例15」、「実施例16」、「実施例20」、「実施例21」には、それぞれ、「291」、「287」、「331」、「331」と記載されているから、実施例2~4、7、8、11、12、15、16、20及び21の「コアの見かけの坪量」の数値範囲は、「245~391」である。 (ア)dの「ロール密度」について、表2の「実施例21」には「0.11」と記載され、「実施例20」には「0.18」と記載され、表1の「実施例2」、「実施例3」、「実施例4」、「実施例7」、「実施例8」、「実施例11」、「実施例12」にはそれぞれ「0.14」、「0.15」、「0.15」、「0.13」、「0.16」、「0.15」、「0.15」と記載され、表2の「実施例15」、「実施例16」には、それぞれ、「0.15」、「0.16」と記載されているから、実施例2~4、7、8、11、12、15、16、20及び21の「ロール密度」の数値範囲は、「0.11~0.18」である。 (ア)eの「コアの固さ」について、表1の「実施例12」には「0.8」と記載され、「実施例11」には、「3.5」と記載され、表1の「実施例2」、「実施例3」、「実施例4」、「実施例7」、「実施例8」には、それぞれ、「1.7」、「1.7」、「1.6」、「1.7」、「1.6」と記載され、表2の「実施例15」、「実施例16」、「実施例20」、「実施例21」には、それぞれ、「1.8」、「3.1」、「1.7」、「1.6」と記載されているから、実施例2~4、7、8、11、12、15、16、20及び21の「コアの固さ」の数値範囲は、「0.8~3.5」である。 (イ)の「凹部の深さ」について、本件明細書の段落【0022】に「・・・凹凸は、例えばエンボス加工により施すことができる。」と記載され、また、段落【0069】に「凹凸の凹部の深さ(エンボス深さ)D」と記載されていることから、「凹部の深さ」は実施例においては、表1及び表2の「エンボス深さ」であると理解できる。そして、「エンボス深さ」(凹部の深さ)について、表2の「実施例20」には「0.12」と記載され、「実施例21」には「0.41」と記載され、表1の「実施例2」、「実施例3」、「実施例4」、「実施例7」、「実施例8」、「実施例11」、「実施例12」にはそれぞれ「0.25」、「0.25」、「0.24」、「0.27」、「0.23」、「0.25」、「0.25」と記載され、表2の「実施例15」、「実施例16」には、それぞれ、「0.25」、「0.24」と記載されているから、実施例2~4、7、8、11、12、15、16、20及び21の「ロール密度」の数値範囲は、「0.12~0.41」である。 以上のとおり、訂正事項1の「巻長」、「巻直径」、「コアの見かけの坪量」、「ロール密度」及び「コアの固さ」の数値範囲は本件明細書段落【0077】及び【0078】の表1及び表2に記載されたものであり、「凹部の深さが0.12~0.41mm」であることも、段落【0022】、【0069】、及び段落【0077】及び【0078】から把握できるから、訂正事項1に係る訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 エ まとめ 以上のとおりであるから、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の要件を満たしている。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項2の記載を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、本件明細書等に記載された事項の範囲内の訂正であることも明らかである。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は、訂正前の請求項3、4、5、6及び7が択一的に請求項2を引用するものであったところ、上記訂正事項2における請求項2の削除に伴い、請求項2を引用しないものとするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当せず、本件明細書等に記載された事項の範囲内の訂正であることも明らかである。 (4)訂正事項4及び訂正事項5について ア 訂正の目的 上記訂正事項4及び5に係る訂正は、訂正事項1及び2に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正である。 そうすると、訂正事項4及び5に係る訂正は、特許法第120条の5第2項第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否及び新規事項の有無について 訂正事項1については上記(1)イ及びウにおいて、訂正事項2については上記(2)において、それぞれ検討したとおりであるところ、訂正事項4及び5に係る訂正は、訂正事項1及び2に係る訂正によって訂正された特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、訂正事項1及び2と同様に、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではなく、新規事項を追加するものでもない。 (5)訂正事項6について ア 訂正の目的 上記訂正事項6に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正に伴い、本件明細書の段落【0077】の表1に記載された実施例のうち、「実施例1」を「参考例1」とし、同様に、実施例5、6、9、10、13についても「実施例」を「参考例」とするとともに、本件明細書の段落【0078】の表2に記載された実施例のうち、実施例14、17ないし19、22ないし27についても、「実施例」を「参考例」として、表中の「評価」が4以上のもののみが本件特許に係る発明の「実施例」であることを明瞭にするものであるから、特許法第120条の5第2項第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否及び新規事項の有無について 訂正事項6に係る訂正は、本件特許に係る発明の「実施例」であったものの一部を「参考例」とする訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではなく、新規事項を追加するものでもない。 (6)一群の請求項について 訂正前の請求項1~7について、請求項2~7は直接または間接的に請求項1を引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~7に対応する訂正後の請求項1~7は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 そして、上記訂正事項1ないし3に係る訂正は、本件訂正前の請求項1ないし7に関係する訂正であり、訂正事項4ないし6に係る訂正は、上記一群の請求項〔1-7〕に関係する明細書についての訂正であるから、本件訂正請求は一群の請求項ごとにされたものである。 (7)小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正事項1ないし6に係る訂正は特許法第120条の5第2項第1号または第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、訂正後の請求項〔1-7〕についての訂正は認められるべきものである。 第3 訂正後の本件特許発明について 上記第2のとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1ないし7に係る発明(以下、項番号によりそれぞれ「本件訂正発明1」等といい、これらを併せて「本件訂正発明」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 【請求項1】 一方の面が凸部となり、対応する反対面が凹部となる凹凸を複数有するキッチンタオルシートをロール状に巻き取ったキッチンタオルロールであって、 巻長が21~48m、巻直径が96~136mm、コアの見かけの坪量が245~391g/m2、 ロール密度が0.11~0.18g/cm3、 前記コアを軸心が水平になるよう硬い台上に横に置き、前記コア外面の中央部に圧縮子(面積2.0cm2)を、速度10mm/分の条件で上から押し込み、前記圧縮子が押す圧力が0.5gf/cm2のときの押し込み深さをT0、圧力が250gf/cm2のときの押し込み深さをTmとして、(Tm-T0)をコアの固さとしたとき、前記コアの固さが0.8~3.5mm、 前記凹部の深さが0.12~0.41mmであるキッチンタオルロール。 【請求項2】(削除) 【請求項3】 ロール幅200mm当たりの前記コアの質量が4.3~13.0gである請求項1に記載のキッチンタオルロール。 【請求項4】 (前記コアの固さ)/(前記ロール密度)で表される比が2.3~40.0mm/(g/cm3)である請求項1又は3に記載のキッチンタオルロール。 【請求項5】 前記キッチンタオルシートのJIS P8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強さDMDTが8~30N/25mmである請求項1、3又は4に記載のキッチンタオルロール。 【請求項6】 前記キッチンタオルシートのJIS P8113に基づく乾燥時の横方向の引張強さDCDTが3~12N/25mmである請求項1、3、4又は5に記載のキッチンタオルロール。 【請求項7】 前記凹凸がエンボスである請求項1、3、4、5又は6に記載のキッチンタオルロール。 第4 特許異議申立理由及び取消理由通知で通知した取消理由の概要 1 特許異議申立理由の概要 申立人は、本件訂正前の本件特許の請求項1ないし7に係る発明(以下、項番号により「本件発明1」等といい、これらを併せて「本件発明」という。)に対して、証拠として後記2に示す甲第1号証ないし甲第7号証(枝番含む。)を提出し、次の特許異議申立理由を申し立てている。 (1)(新規性) 本件発明1ないし7と甲第1号証に記載された発明とは実質的に同一である。(申立書第15頁第17行~第37頁最下行) (2)(進歩性) ア 本件発明1、3、4は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証ないし甲第4号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到できたものである。(申立書第15頁第17行~第32頁最下行、申立書第34頁第1~第35頁第13行、) イ 本件発明2は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証ないし甲第4号証に記載された事項及び甲第5号証及び甲第6号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到できたものである。(申立書第33頁第1行~最下行) ウ 本件発明5ないし7は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証ないし甲第4号証に記載された事項及び甲第5号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到できたものである。(申立書第35頁第14行~第37頁最下行) (3)(サポート要件) 本件発明は、「発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」を超えており、請求項に係る発明と、発明の詳細な説明に発明として記載されたものとが、実質的に対応しているとはいえず、特許請求の範囲の記載は、サポート要件を満たさない。(申立書第38頁第1行~第41頁第7行) (4)(実施可能要件) 当業者は、本件明細書の記載によって、本件発明に係るキッチンタオルロールを得ることができないから、本件発明は、実施可能要件を満たしていない。(申立書第41頁第8~16行) 2 証拠一覧 申立人が提出した証拠は、甲第1号証ないし甲第7号証であり、以下のとおりである。 甲第1号証 :特開2017-115263号公報 甲第2号証 :特開2016-16951号公報 甲第3号証の1:米国特許第6036139号明細書 甲第3号証の2:米国特許第6036139号明細書抄訳 甲第4号証 :特開2013-256131号公報 甲第5号証 :特開2013-202206号公報 甲第6号証 :特開2016-209487号公報 甲第7号証 :再公表特許第2014/041681号 3 取消理由通知で通知した取消理由の概要 本件発明1ないし7に対して、当審が令和4年1月31日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 (1)(進歩性)本件発明1、3ないし7は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、取り消されるべきものである。 (2)(進歩性)本件発明2は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明及び甲第6号証に記載された技術事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、取り消されるべきものである。 第4 取消理由通知で通知した取消理由についての当審の判断 1 各証拠の記載 (1)甲第1号証 ア 甲第1号証の記載 本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証には以下の記載がある(下線は当審で付した。以下同様。)。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、巻長を増大させたペーパータオルのロール体に関する。 【背景技術】 【0002】 ペーパータオルは、水分や油分の拭き取りや汚れ落とし等の用途で、各家庭の台所や飲食店の厨房等で幅広く使用されている(例えば、特許文献1参照)。ここで、ペーパータオルの使用頻度が高い場合、ペーパータオルをペーパータオル用ホルダに掛け替える頻度が高くなり、使用者の手間となることがあった。ペーパータオルの掛け替えの頻度を低減しようとする場合、1ロールあたりの巻長を増やすことが考えられる。」 (イ)「【発明を実施するための形態】 【0014】 以下、本発明について、図面を参照して詳細に説明する。 <ペーパータオルのロール体> 本発明のペーパータオルのロール体は、所定の坪量の単一シートを2枚積層したペーパータオルを、所定の巻き密度及び所定の巻き硬さで、20m以上40m以下に亘って巻回したものである。 【0015】 [単一シート] ペーパータオルに用いる単一シートは、パルプ繊維をリファイナー等により叩解処理したものを抄紙してなる。原料パルプ繊維に叩解処理を施すことにより、パルプ繊維が毛羽立ち、ペーパータオルの風合いが良好なものとなるとともに、単一シートの強度を向上させることができる。しかしながら、叩解処理を施しただけでは単一シートの紙厚が低下して吸水性も低下するため、抄紙時に乾燥紙力増強剤及び湿潤紙力増強剤を内添することにより、強度と吸水性とをともに向上させることができる。これにより、JIS P 8124に準拠して測定される単一シートの坪量を19g/m2以上25g/m2以下の範囲内のものとすることができる。 ・・・ 【0020】 [ペーパータオル] 本発明のペーパータオルのロール体を構成するペーパータオルは、上記の単一シートを2枚積層したものであり、ペーパータオルの一方の表面がエンボス凸部を有し、他方の表面に上記のエンボス凸部の裏面で構成されるエンボス凹部を有している。 ・・・ 【0026】 (吸水性) 本発明のペーパータオルのロール体から得られるペーパータオルは、叩解処理したパルプ繊維を抄紙して得られるものであり、かつ所定の巻密度及び巻き硬さで巻回されたものであるので、良好な吸水性を有している。ペーパータオルの吸水性(TWA:Total Water Absorbency)は、170g/m2以上220g/m2以下であることが好ましく、180g/m2以上200g/m2以下であることがより好ましい。ペーパータオルのこのような吸水性は、20mを超える巻長のペーパータオルのロール体では、従来実現できないものであったが、本発明の構成を採用した場合には、20mを超える巻長であり、上記のような吸水性を有するペーパータオルのロール体が実現可能なものとなる。 【0027】 なお、吸水性は、以下の測定方法に従って求めることができる。まず、ペーパータオルを76mm×76mmの正方形に切断してサンプルを作製し、乾燥重量を測定する。次に、このサンプルを蒸留水中に2分間浸漬した後、水蒸気飽和状態(RH100%)の容器中で、サンプルの1つの角部が上側の頂部となるようにし、この頂部と隣接する2つの角部とを支持して展伸した状態で吊るし、30分放置して水切り後の重量を測定する。そして、測定値をサンプル1m2あたりの吸水性(g/m2)に換算する。 【0028】 (引張り強さ) 本発明が適用されるペーパータオルは、JIS P 8113(紙及び板紙 引張り特性の試験方法)に準拠して、幅25mmの試験片について測定される乾燥時の縦方向引張り強さ(DMD;Dry Machine Direction tensile strength)と横方向引張り強さ(DCD;Dry Cross Direction tensile strength)の幾何平均GMT(Geometric Mean Tensile strength)が、好ましくは、11.0N/25mm以上22.0N/25mm以下となり、より好ましくは、12.0N/25mm以上20.0N/25mm以下となる。GMTを上記の範囲内のものとすることにより、不織布シートが、実用に適した適度な破れにくさを有するものとなるとともに、十分な柔らかさを有するものとなる。 【0029】 [ペーパータオルのロール体] 以上に説明したペーパータオルは、巻芯の周りに20m以上40m以下巻回することにより、ペーパータオルのロール体となる。なお、この際、ロールワインダーの速度を、150m/min以上200m/minに設定することで、皺のない安定した巻き取りを行うことができる。巻芯としては特に限定されるものではなく、紙芯等の任意の巻芯を用いることができる。巻芯に巻き取った長幅のペーパータオルのロール体は、ログソーにより所定幅に切断される。 【0030】 (巻密度) 本発明のペーパータオルのロール体は、巻密度が0.50m/cm2以上0.80m/cm2以下である。巻密度は、ペーパータオルの紙質の影響を受け、巻き取り工程におけるロールワインダーの張力、及びエンボスロールのニップ圧力により調整することができる。巻密度を上記のように設定することにより、20mを超える巻長のペーパータオルのロール体であっても、巻き皺やロール変形の発生を防止することができる。 【0031】 ここで、巻密度は、(巻長×単一シート数)/(ロール断面積)によって算出することができる。ペーパータオルのロール体のロール断面積を求めるにあたっては、ロール体の外径部分の断面積から、巻芯部分の断面積を差し引けばよい。」 (ウ)「【実施例】 【0035】 以下、本発明について実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。 【0036】 <実施例1から3、比較例1> 針葉樹晒クラフトパルプ繊維(NBKP)と広葉樹晒クラフトパルプ繊維(LBKP)との混合物をリファイナーで叩解処理し、パルプ繊維100質量部あたり、乾燥紙力増強剤(カチオン化デンプン)を1.6質量部、湿潤紙力増強剤(ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂)を3.7質量部添加し、表1に示す坪量の単一シートをティシュ抄紙機により製造した。次に、エンボス加工機により、この単一シートにエンボス加工を施し、エンボス面積率が14.0%又は12.0%、エンボスエッジ率が0.42mm/mm2又は0.53mm/mm2となるようにエンボス凸部を形成した。 【0037】 エンボス加工した単一シートのうち、1枚の単一シートのエンボス凸部に水溶性糊(ポリビニルアルコール)を塗布し、このエンボス凸部が、他の単一シートのエンボス凹部に入り込んだ状態(ネステッドエンボス)で糊付けした。このようにして得られたペーパータオルを、所定の巻長、巻密度、巻き硬さとなるように巻芯に巻回し、幅206mmのペーパータオルのロール体を得た。なお、ペーパータオルの幅方向には、所定の切断強度でミシン目を入れたが、ミシン目のタイカット比は1:10(ボンド:切断幅)とした。結果を表1に示す。 「 [図:0001390574000001.jpg] 」 イ 甲1発明 上記アからみて、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 「各家庭の台所や飲食店の厨房等で使用されているペーパータオルであって、 ペーパータオルのロール体を構成するペーパータオルは、単一シートを2枚積層したものであり、ペーパータオルの一方の表面がエンボス凸部を有し、他方の表面に上記のエンボス凸部の裏面で構成されるエンボス凹部を有し、 ペーパータオルは、巻芯の周りに巻回することにより、ペーパータオルのロール体となり、巻芯として紙芯を用いることができ、巻芯に巻き取った長幅のペーパータオルのロール体は、ログソーにより所定幅に切断され、 3つの幅206mmのペーパータオルのロール体は、 エンボスの形状がそれぞれ、ネステッド、ネステッド、ネステッドであり、 巻長(m)がそれぞれ23、35、40であり、 単一シートの坪量(g/m2)がそれぞれ22.1、22.0、22.0であり、 DMD(N/25mm)がそれぞれ20.3、20.6、20.3であり、 DCD(N/25mm)がそれぞれ7.7、7.4、7.3であり、 巻径(mm)がそれぞれ113、119、120であり、 コア外径(mm)がそれぞれ39、39、39である、 ペーパータオルのロール体。」 (2)甲第2号証 ア 甲第2号証の記載 本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第2号証には次の事項が記載されている。 (ア)「【請求項1】 外面側基紙及び内面側基紙を接着剤により互いに貼り合わせつつ螺旋状に巻き付けて形成され、衛生紙ロールの巻芯として用いられるスパイラル紙管であって、 上記外面側基紙及び内面側基紙が片艶紙であり、 上記外面側基紙の艶面と上記内面側基紙の艶面とを貼り合わせることを特徴とするスパイラル紙管。 【請求項2】 上記外面側基紙及び内面側基紙が50質量%以上100質量%以下のクラフトパルプを含む原料パルプを抄紙して形成され、 上記外面側基紙及び内面側基紙の坪量がそれぞれ100g/m2以上180g/m2以下であり、 上記接着剤の塗工量が3g/m2以上10g/m2以下である請求項1に記載のスパイラル紙管。」 (イ)「【技術分野】 【0001】 本発明は、紙管及び衛生紙ロールに関する。 【背景技術】 【0002】 例えばトイレットペーパー、キッチンペーパー等のウェブ状の衛生紙を紙製の巻芯の周囲に巻き付けた衛生紙ロールが市販されている。このような衛生紙ロールの巻芯としては、衛生紙ロールの潰れを防止できるよう十分な強度を備えるものが求められる。 ・・・ 【0006】 上記問題点に鑑みて、本発明は、十分な強度を備えるスパイラル紙管、さらには生産効率が高く潰れ難い衛生紙ロールを提供することを課題とする。なお、本願においてスパイラル紙管の「強度」とは、径方向の押し潰し力に対する「潰れ強度」等の機械的強度を主に意図する。」 (ウ)「【発明を実施するための形態】 【0018】 以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。 【0019】 [スパイラル紙管] 図1のスパイラル紙管1は、公知のラングストン装置によって、図2に模式的に示すように、円柱状のマンドレルシャフトSの上で、外面側基紙2及び内面側基紙3を接着剤4により互いに貼り合わせつつ螺旋状に巻き付けて形成される。このスパイラル紙管1は、例えばトイレットペーパーロール、キッチンペーパーロール等の衛生紙ロールの巻芯として用いられる。 【0020】 当該スパイラス紙管1の潰れ強度としては、1.0kg/cm2以上3.0kg/cm2以下が好ましい。潰れ強度が上記下限に満たない場合、当該スパイラル紙管1が衛生紙を巻き付ける際に潰れやすくなるおそれがある。また、潰れ強度が上記上限を超える場合、当該スパイラル紙管1の強度が必要以上に大きくなり、断裁加工等の加工に対する適性が低下するおそれがある。なお、「潰れ強度」とは、スパイラル紙管を定盤の上に中心軸が水平となるよう寝かせて載置し、先端に平面形状が円形で面積が1cm2の平治具を取り付けたプッシュプルゲージにより、スパイラル紙管を長さ方向中心位置において垂直に押し潰し、プッシュプルゲージの先端を元のスパイラル紙管中心軸位置まで押し込んだ(径方向に半分に押し潰した)時の圧力として測定される値である。 ・・・ 【0033】 外面側基紙2及び内面側基紙3の坪量の下限としては、100g/m2が好ましく、120g/m2がより好ましい。一方、外面側基紙2及び内面側基紙3の坪量の上限としては、180g/m2が好ましく、170g/m2がより好ましい。外面側基紙2及び内面側基紙3の坪量が上記下限に満たない場合、外面側基紙2及び内面側基紙3ひいては当該スパイラル紙管1の強度が不十分となるおそれがある。また、外面側基紙2及び内面側基紙3の坪量が上記上限を超える場合、外面側基紙2及び内面側基紙3ひいては当該スパイラル紙管1の強度が必要以上に大きくなり、断裁加工等の加工に対する適性が低下するおそれがある。」 イ 甲2発明 上記アからみて、甲第2号証には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているといえる。 「外面側基紙及び内面側基紙を接着剤により互いに貼り合わせつつ螺旋状に巻き付けて形成され、衛生紙ロールの巻芯として用いられ、 外面側基紙及び内面側基紙が片艶紙で、外面側基紙の艶面と上記内面側基紙の艶面とを貼り合わせるものであり、 外面側基紙及び内面側基紙の坪量がそれぞれ100g/m2以上180g/m2以下であり、 接着剤の塗工量が3g/m2以上10g/m2以下である、キッチンペーパーロールの巻芯として用いられるスパイラル紙管であって、 潰れ強度としては、1.0kg/cm2以上3.0kg/cm2以下が好ましく、潰れ強度が上記下限に満たない場合、当該スパイラル紙管が衛生紙を巻き付ける際に潰れやすくなるおそれがあり、上記上限を超える場合、当該スパイラル紙管の強度が必要以上に大きくなり、断裁加工等の加工に対する適性が低下するおそれがあり、「潰れ強度」とは、スパイラル紙管を定盤の上に中心軸が水平となるよう寝かせて載置し、先端に平面形状が円形で面積が1cm2の平治具を取り付けたプッシュプルゲージにより、スパイラル紙管を長さ方向中心位置において垂直に押し潰し、プッシュプルゲージの先端を元のスパイラル紙管中心軸位置まで押し込んだ(径方向に半分に押し潰した)時の圧力として測定される値である、 スパイラル紙管。」 (3)甲第3号証 ア 甲第3号証の記載 本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第3号証には次の事項が記載されている。仮訳は、甲第3号証の2の申立人の仮訳を参考に、当審で付した。 (ア)「FIELD OF THE INVENTION This invention relates to cores for core wound paper products, such as bath tissue and paper towels, and more particularly to cores having two plies.」(第1欄第4~7行) (仮訳) 「本発明は、トイレットペーパーやペーパータオルなどのコアに巻き付けた紙製品のコア、より具体的には、2プライコアに関するものである。」 (イ)「BACKGROUND OF THE INVENTION Core wound paper products are in constant use in daily life. Particularly, bath tissue and paper towels have become a staple in home and industry. Such products usually comprise a roll of a paper product spirally wrapped around a hollow core. The hollow cores are typically made on a coremaking line and comprise inner and outer plies of linerboard superimposed in face-to-face relationship. Each ply of the linerboard is supplied to a coremaking mandril from a spool of raw material. When the two plies are fed to the coremaking mandril, they are typically helically wrapped in the same direction. During wrapping, the plies are adhered throughout to maintain the desired cylindrical configuration.」 (第1欄第9~23行) (仮訳) 「発明の背景 コアに巻き付けた紙製品は、日々の暮らしでいつも使用されている。特に、トイレットペーパーやペーパータオルは、家庭や産業で欠かせないものとなっている。このような製品は、中空コアに螺旋状に巻き付けられた紙製品のロールを含む。 中空コアは、典型的には、コア製造ラインで製造され、面対面関係に重ね合わせられるライナーボードの内側プライおよび外側プライを含む。ライナーボードの各プライは、原料のスプールからコア製造マンドレルに供給される。2のプライがコア製造マンドレルに供給されると、それらは通常は同方向にらせん状に巻き付けられる。巻き付けられている間、プライは全体に亘って接着され、所望の円筒形状を維持する。」 (ウ)「Typically, the two plies are identical. Each ply is made from linerboard having the same basis weight and thickness. Basis weights typically used for cores used in consumer products, such as bath tissue and paper toweling,, typically range from 26 to 46 pounds per 1,000 square feet, with a 30 or 38 pound basis weight per 1,000 square feet being a common choice.」(第1欄第32~38行) (仮訳) 「典型的には、2のプライが同一である。各々のプライは同じ坪量及び厚さを有するライナーボードから形成されている。トイレットペーパー及びペーパータオルのような消費者製品に使用されるコアの坪量は、典型的には1000平方フィートあたり26から46ポンドの範囲であり、1000平方フィートあたり30または38ポンドの坪量が一般的に選択される。」 (エ)「The two plies provide crush resistance for the cores during manufacture, particularly when the cores are horizontally stacked in a converting bin, prior to being wrapped with the paper product. The cores at the bottom of the converting bin must resist being crushed by the cores above while awaiting processing. If a core does not have sufficient horizontal crush resistance, it will either be crushed, blocking the cores from dumping into the converting line or will jam while in the line. Either occurrence causes the converting line to incur a shutdown to clear the jam. Of course, the crushed cores must be discarded after they are cleared from the jam or from the converting bin--further increasing the downtime and associated expense.Such horizontal crushing forces severely test the resistance of the two plies of the core to diametrically opposed forces which are unintentionally applied.」(第1欄第39~54行) (仮訳) 「2のプライは、製造時、特にコアが紙製品に巻かれるに先立って加工ビンの中で水平に積み重ねられる場合、にコアのつぶれに対する抵抗を提供する。 加工ビンの底部のコアは、加工を待っている間、上方のコアによる圧縮力に抵抗しなければならない。十分な水平方向の圧縮抵抗を有していない場合、それは、つぶされて、加工ラインに提供されなくなるか、ラインにあるときに詰まるであろう。いずれかが発生した場合は加工ラインの詰まりを解消するために運転停止を招いてしまう。当然のことながら、つぶされたコアは、詰まり又は変換ビンから除去された後に廃棄され、さらなる休止時間および関連する費用を増加させなければならない。このような水平方向の圧縮力は、意図せずに加えられた直径方向に反対の力に対するコアの2のプライの抵抗を厳しくテストする。」 (オ)「Furthermore, despite the continuing efforts to minimize material usage, the present state of the art most frequently utilizes cores having two identical plies of the same basis weight. The lower limit of the basis weight is constrained by the application of forces, including but not limited to the aforementioned diametrical compressive forces, which occur during the life of the core-wound paper product. Generally, it is believed aggregate basis weight of the two plies of a typical current core cannot be significantly further reduced without an undue number of premature core failures occurring. A typical prior art core utilizes two plies, each ply having identical basis weights of about 42 pounds per 1,000 square feet.」(第2欄第27~39行) (仮訳) 「さらに、材料の使用を最小限にする継続的な努力にもかかわらず、現状の技術は、たいてい、坪量が同じである2の同一のプライを有するコアを利用する。坪量の下限は、コアに巻かれた紙製品の寿命中に発生する力の適用によって限定され、力は、前記径方向の圧縮力を含むがそれに限定されない。一般的に、典型的な現在のコアの2のプライの合計坪量は、過度の数の早期コア故障の発生なしに、大幅に減らすことはできないと考えられている。 典型的な従来技術のコアは2のプライからなり、それぞれのプライは1000平方フィートあたり約42ポンドの坪量を有する。」 (4)甲第4号証 ア 甲第4号証の記載 本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第4号証には次の事項が記載されている。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、トイレットペーパー、キッチンタオル等のロール状衛生用紙の巻芯として用いられる紙管の製造方法及び当該紙管を有するロール状衛生用紙に関するものである。 【背景技術】 【0002】 トイレットペーパー、キッチンタオル等のロール状衛生用紙は、例えば巻芯となる長尺の芯管の外周面に接着剤を塗工し、その塗工部を介して幅広な衛生用紙の始端部を接着固定し、長尺芯管に対して製品長さ分だけの幅広衛生用紙を巻き取ってロールとした後、そのロールの外周面に幅広衛生用紙の終端部を固定して幅広のロール状衛生用紙(ログ)を形成し、最後にログソー等の切断刃でログを製品幅に切断することで製造することができる(例えば特許文献1及び2参照)。 【0003】 前記製法においては芯管としてボール紙等の厚紙からなる紙管が用いられることが多い。このような紙管の製造方法としては、マンドレルシャフトの軸線に対して斜め方向に複数枚の帯状紙を送り込み、前記複数枚の帯状紙をマンドレルシャフトに対してスパイラル状に巻き付け、前記複数状の帯状紙を相互に貼り合わせることによって長尺の紙管を得る方法が知られている(例えば特許文献3~5参照)。」 (イ)「【課題を解決するための手段】 【0010】 本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討した結果、紙管の芯材となる複数枚の帯状紙として印刷が施された印刷帯状紙と印刷が施されていない非印刷帯状紙を用い、マンドレルシャフトにスパイラル状に巻き付けられた印刷帯状紙の表面に相互に位置をずらしながら非印刷帯状紙をスパイラル状に巻き付けて両帯状紙を重畳させ、両帯状紙を相互に貼り合わせることにより、上記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、以下に示す紙管の製造方法及び当該紙管を巻芯とするロール状衛生用紙が提供される。」 (ウ)「【0028】 前記条件を満たす紙としては、王子製紙社製の商品名「TPコア原紙」(厚さ:229μm、密度0.65g/cm3、実米坪149.7g/m2、引張強度(縦)8.1kN/m、引張強度(横)3.6kN/m、伸び(縦)1.8%、伸び(横)4.3%)等を好適に用いることができる。なお、ここにいう「厚さ」及び「密度」はJIS P8188に記載の方法に準拠して測定した「厚さ」及び「密度」を意味するものとする。」 (5)甲第5号証 ア 甲第5号証の記載 本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第5号証には次の事項が記載されている。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、手拭等に使用されるペーパータオルの積層体及びその製造方法に関する。」 (イ)「【0025】 なお、ペーパータオルが単一シートを2プライ以上に重ねてなる場合は、プライマシンにて複数プライに積層する。この際、積層したウェッブの全面にエンボスを施し、ペーパータオル製品の寸法の複数倍のスリットを入れた後、ペーパータオル製品の少なくとも折畳み方向(つまり、ペーパータオルのMD方向)に平行な端縁にナーリング(エッジエンボス)を施すと、プライ剥がれを防止するので好ましい。 ペーパータオル(ウェッブ)全面にエンボスを施す際は、ロール表面にエンボス加工したスチールロールと、表面がフラットなラバーロール又はペーパーロールとのロール対を用いて行う。エンボスの山の高さは0.2~1.5mmとするのが好ましい。又、エンボスの表裏差を少なくするために、エンボスの山頂部形状は平坦がであることが好ましい。このエンボスによりプライが密着するので、MFのフォルディングプレート(折板)でのシートのズレやシワの発生が回避できる。 なお、上記したエンボス方法は、特開2003-73999号公報に記載されている。」 (6)甲第6号証 ア 甲第6号証の記載 本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第6号証には次の事項が記載されている。 (ア)「【請求項1】 エンボスが施された1プライのトイレットペーパーをロール状に巻き取ったトイレットロールであって、 巻長が110~185m、巻直径が104~134mm、巻密度が1.1~1.9m/cm2、かつエンボス深さD1(mm)とエンボス深さD2(mm)の比{(D2/D1)×100}が45~100%であるトイレットロール。 但し、エンボス深さD1は、該トイレットロールを巻きほぐした際の最外巻のトイレットペーパーの端縁から前記巻長の10%に相当する位置における前記エンボスの深さであり、エンボス深さD2は前記端縁から前記巻長の90%に相当する位置における前記エンボスの深さである。 【請求項2】 前記エンボス深さD1が0.05~0.36mm、前記エンボス深さD2が0.05~0.31mmである請求項1記載のトイレットロール。」 (イ)「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、紙の坪量を下げると、強度が低下すると共に使用感や嵩高さが低下する。一方、これらの不具合を補うべく紙の嵩を高くするため、カレンダー処理を弱めると、滑らかさが劣ったり、ロール径が大きくなってトイレットペーパーホルダーに収まり難くなる問題がある。 また、トイレットロールの巻長を長くしつつ、巻直径が大きくならないようにしてペーパーホルダーへの装着を妨げないためには、ロールを固く巻く必要がある。しかしながら、この場合、特に内巻のトイレットペーパーに過大な押圧が加わり、内巻のトイレットペーパーに設けたエンボスが潰れて、使用時に美粧性が劣るという問題がある。 従って本発明は、坪量を下げずにシートの柔らかさに優れると共に1ロール当りの巻長を長くし、エンボスによる美粧性を維持しつつ、持ち運びや保管時の省スペース性に優れたトイレットロールの提供を目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0005】 本発明者らは、トイレットペーパーのシートの柔らかさや美粧性を向上さるためにエンボスを付与して適度な凹凸状にすることで向上させた場合、トイレットロールの巻長を長くしつつ、巻直径が大きくならないようにするためには、ロールの外巻と内巻のエンボス深さの差を所定範囲内にする必要があることを見出した。 つまり、ロールを固く巻きすぎると、内巻のトイレットペーパーに過大な押圧が加わり、内巻のトイレットペーパーに設けたエンボスが潰れて、内巻まで使用した時に美粧性が低下する。一方、ロールを弱く巻きすぎると、エンボスは潰れないが、巻直径が大きくなってペーパーホルダーへの装着が困難になったり、内巻の巻付け力が弱くなり過ぎ、図11に示すようにロールの内巻側が軸方向に飛び出て不良品となるのである。 ・・・ 【発明の効果】 【0008】 この発明によれば、坪量を下げずにシートの柔らかさに優れると共に1ロール当りの巻長を長くし、エンボスによる美粧性を維持しつつ、持ち運びや保管時の省スペース性に優れたトイレットロールを得ることができる。」 (ウ)「【0026】 エンボス深さD1は好ましくは0.05~0.36mmであり、より好ましくは0.08~0.31mm、更に好ましくは0.11~0.26mmである。エンボス深さD2は好ましくは0.05~0.31mmであり、より好ましくは0.08~0.28mm、更に好ましくは0.11~0.25mmである。 エンボス深さD1、D2が上記範囲より小さいと、エンボスの凹凸の度合いが小さくなって嵩が低くなり(密度が高くなり)、シートの柔らかさを向上させることが困難な場合がある。エンボス深さD1、D2が上記範囲を超えると、エンボスの凹凸が顕著になり過ぎて嵩が高くなり過ぎ(密度が低くなり過ぎ)、巻直径DRが134mmを超えてしまい、ペーパーホルダーにトイレットロール10を装着し難くなる場合がある。」 イ 甲6技術事項 上記アからみて、甲第6号証には、次の技術事項(以下「甲6技術事項」という。)が記載されているといえる。 「エンボスが施された1プライのトイレットペーパーをロール状に巻き取ったトイレットロールにおいて、該トイレットロールを巻きほぐした際の最外巻のトイレットペーパーの端縁から前記巻長の10%に相当する位置における前記エンボスの深さであるエンボス深さD1と、前記端縁から前記巻長の90%に相当する位置における前記エンボスの深さであるエンボス深さD2とを、それぞれ、0.05~0.36mm、0.05~0.31mmとすることにより、嵩が低くなり(密度が高くなり)過ぎず、シートの柔らかさを向上させることができるとともに、嵩が高くなり過ぎ(密度が低くなり過ぎ)ず、ペーパーホルダーに装着できるようにする技術。」 (7)甲第7号証 申立人が令和4年6月13日付けの意見書に添付して提出した、本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第7号証には、以下の記載がある。 ア 甲第7号証の記載 (ア)「【0021】 本発明の実施形態に係るキッチンタオルにおいて、表面の凹凸の高低差の平均値が100~600μm、好ましくは100~550μm、より好ましくは150~550μm、さらに好ましくは170~500、表面の凹部の面積率の平均値が2~12%、好ましくは3~11%、より好ましくは4~10%、さらに好ましくは5~10%であると、上記した坪量及び吸油量が確実に得られるので好ましい。 ・・・」 3 対比・判断 (1)本件訂正発明1について ア 対比 本件訂正発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)甲1発明の「各家庭の台所や飲食店の厨房等で使用されているペーパータオル」であって、「単一シートを2枚積層」し、「一方の表面がエンボス凸部を有し、他方の表面に上記のエンボス凸部の裏面で構成されるエンボス凹部を有」する「ペーパータオル」は、本件訂正発明1の「一方の面が凸部となり、対応する反対面が凹部となる凹凸を複数有するキッチンタオルシート」に相当する。 (イ)甲1発明の「ペーパータオル」を「巻芯の周りに」「巻回することにより」なる「ペーパータオルのロール体」は、本件訂正発明1の「キッチンタオルシートをロール状に巻き取ったキッチンタオルロール」に相当する。(ウ)甲1発明の3つのペーパータオルのロール体の「巻長(m)」がそれぞれ「23、35、40」であることは、本件訂正発明1のキッチンタオルロールは「巻長が21~48m」であることに相当する。 (エ)甲1発明の3つのペーパータオルのロール体の「巻径(mm)」がそれぞれ「113、119、120」であることは、本件訂正発明1のキッチンタオルロールは「巻直径が96~136mm」であることに相当する。 (オ)本件訂正発明1の「ロール密度」は、本件明細書の段落【0021】に定義されるとおり、「(コアを含まないロール質量)÷(ロール体積)」で表される。 (カ)申立書第20頁に記載されるロール密度を算出する○1式(当審注:○1は丸数字の1を表す。)は以下のものである。 [図:0001390574000002.jpg] (キ)○1式に示されるように、甲1発明の3つのペーパータオルのロール体のロール密度は、「単一シートの坪量」(○1式の坪量)、「巻長」(○1式の巻長)及び「幅」(○1式のロール幅)、「巻径」(○1式の巻径)及び「コア外径」(○1式のコア外径)を用いて、単位換算等をして算出できる。 そして、甲1発明の3つのペーパータオルのロール体について、「単一シートの坪量」、「巻長」及び「幅」を用いて算出した「コアを含まないロール質量」を「巻径」、「コア外径」及び「幅」を用いて算出した「ロール体積」により除算して得た「ロール密度(g/cm3)」は、それぞれ、「0.115、0.155、0.174」となり、これは、本件訂正発明1のキッチンタオルロールは「ロール密度が0.11~0.18g/cm3」であることに相当する。 (ク)上記(ア)~(キ)からみて、本件訂正発明1と甲1発明とは以下の一致点及び相違点を有する。 (一致点) 「一方の面が凸部となり、対応する反対面が凹部となる凹凸を複数有するキッチンタオルシートをロール状に巻き取ったキッチンタオルロールであって、 巻長が21~48m、巻直径が96~136mm、 ロール密度が0.11~0.18g/cm3、 であるキッチンタオルロール。」 (相違点1) 本件訂正発明1は、「コアの見かけの坪量が245~391g/m2」であるのに対し、甲1発明ではそのように特定されていない点。 (相違点2) 本件訂正発明1は、「コアの固さ」について、「前記コアを軸心が水平になるよう硬い台上に横に置き、前記コア外面の中央部に圧縮子(面積2.0cm2)を、速度10mm/分の条件で上から押し込み、前記圧縮子が押す圧力が0.5gf/cm2のときの押し込み深さをT0、圧力が250gf/cm2のときの押し込み深さをTmとして、(Tm-T0)をコアの固さとしたとき、前記コアの固さが0.8~3.5mm」であるのに対し、甲1発明は、巻芯の硬さが本件訂正発明1のように特定されていない点。 (相違点3) 本件訂正発明1は、「前記凹部の深さが0.12~0.41mmである」のに対し、甲1発明はそのように特定されていない点。 イ 判断 (ア)相違点2について 事案に鑑み、まず、相違点2について検討する。 a 相違点2に係る「コアの固さ」は、本件明細書段落【0037】に示されるように、軸心が水平になるよう硬い台上に横に置いたコアの外面の中央部に圧縮試験機の圧縮子(面積2.0cm2)を押し込んで押し込み深さを測定し、圧縮子がロールを押す圧力が0.5gf/cm2のときの押し込み深さをT0、圧力が250gf/cm2のときの押し込み深さをTmとして、その差(Tm-T0)を「コアの固さ」と規定したものである。 そして、本件明細書段落【0078】の表2中に記載された実施例15及び実施例16を比較検討すると、「コアの見かけの坪量」は、それぞれ「291」、「287」と同程度の値なのに対して「コアの固さ」は、それぞれ「1.8」、「3.1」と同程度とはいえない値を示していることが理解できる。これらの例からも明らかなように、「コアの固さ」は、「コアの見かけの坪量」以外の要因にも影響されるパラメータである。 b 甲2発明について (a)甲2発明に係る「スパイラル紙管」は、固さについて、「スパイラル紙管を定盤の上に中心軸が水平となるよう寝かせて載置し、先端に平面形状が円形で面積が1cm2の平治具を取り付けたプッシュプルゲージにより、スパイラル紙管を長さ方向中心位置において垂直に押し潰し、プッシュプルゲージの先端を元のスパイラル紙管中心軸位置まで押し込んだ(径方向に半分に押し潰した)時の圧力として測定される値」である「潰れ強度」を、所定の数値範囲とするものであり、相違点2に係る本件訂正発明1の「コアの固さ」の数値範囲を「0.8~3.5mm」とすることについて記載ないし示唆をしているものとはいえない。 (b)また、甲2発明の外面側基紙及び内面側基紙の坪量並びに接着剤塗工量から算出した「コアの見かけの坪量」が、本件訂正発明1における「コアの見かけの坪量」と一部重複したの範囲であるとしても、上記aで検討したように、「コアの固さ」は、「コアの見かけの坪量」以外の要因にも影響されるパラメータであるから、甲2発明が、相違点2に係る本件訂正発明1の構成を備えたものであるとはいえない。 c 甲第3号証について 甲第3号証は、トイレットペーパーやペーパータオルなどのコアに巻き付けた紙製品のコアに関するものであり、甲第3号証には、コアが、製造時につぶれないように、直径方向の圧縮力に抵抗するものでなければならず、コアの坪量の下限は、コアに巻かれた紙製品の寿命中に発生する径方向の圧縮力を含む力の適用によって限定されることが記載されているものの、「コアの固さ」について、「前記コアを軸心が水平になるよう硬い台上に横に置き、前記コア外面の中央部に圧縮子(面積2.0cm2)を、速度10mm/分の条件で上から押し込み、前記圧縮子が押す圧力が0.5gf/cm2のときの押し込み深さをT0、圧力が250gf/cm2のときの押し込み深さをTmとして、(Tm-T0)をコアの固さとし」て「コアの固さ」を測定するものではなく、そのように測定された「コアの固さ」が「0.8~3.5mm」であることについても記載も示唆もされていない。 d 甲第4号証について 甲第4号証は、巻芯となる長尺の芯管の外周面に接着剤を塗工し、その塗工部を介して幅広な衛生用紙の始端部を接着固定し、長尺芯管に対して製品長さ分だけの幅広衛生用紙を巻き取ってロールとした後、そのロールの外周面に幅広衛生用紙の終端部を固定して幅広のロール状衛生用紙(ログ)を形成し、最後にログソー等の切断刃でログを製品幅に切断することで製造する、トイレットペーパー、キッチンタオル等のロール状衛生用紙の巻芯(コア)に関するものであり、甲第4号証には、紙管の芯材となる複数枚の帯状紙の実米坪が149.7g/m2であることが記載されている。 しかし、甲第4号証は、「コアの固さ」について、「前記コアを軸心が水平になるよう硬い台上に横に置き、前記コア外面の中央部に圧縮子(面積2.0cm2)を、速度10mm/分の条件で上から押し込み、前記圧縮子が押す圧力が0.5gf/cm2のときの押し込み深さをT0、圧力が250gf/cm2のときの押し込み深さをTmとして、(Tm-T0)をコアの固さとし」て「コアの固さ」を測定するものではなく、そのように測定された「コアの固さ」が「0.8~3.5mm」であることについても記載も示唆もされていない。 e 甲第5ないし7号証について 甲第5ないし7号証は、エンボスないし凹部の数値範囲に関して提出された証拠であり、甲第5号証には、手拭等に使用されるペーパータオルの積層体おいて、ペーパータオル(ウェッブ)全面にエンボスを施す際は、エンボスの山の高さは0.2~1.5mmとするのが好ましいことが記載されている。 甲6技術事項は、エンボスが施された1プライのトイレットペーパーをロール状に巻き取ったトイレットロールにおいて、該トイレットロールを巻きほぐした際の最外巻のトイレットペーパーの端縁から前記巻長の10%に相当する位置における前記エンボスの深さであるエンボス深さD1と、前記端縁から前記巻長の90%に相当する位置における前記エンボスの深さであるエンボス深さD2とを、それぞれ、0.05~0.36mm、0.05~0.31mmとするものである。 甲第7号証には、キッチンタオルにおいて、表面の凹凸の高低差の平均値が100~600μm、好ましくは100~550μm、より好ましくは150~550μm、さらに好ましくは170~500であることが記載されている。 しかし、甲第5ないし7号証には、「コアの固さ」について、「前記コアを軸心が水平になるよう硬い台上に横に置き、前記コア外面の中央部に圧縮子(面積2.0cm2)を、速度10mm/分の条件で上から押し込み、前記圧縮子が押す圧力が0.5gf/cm2のときの押し込み深さをT0、圧力が250gf/cm2のときの押し込み深さをTmとして、(Tm-T0)をコアの固さとし」て「コアの固さ」を測定するものではなく、そのように測定された「コアの固さ」が「0.8~3.5mm」であることについても記載も示唆もされていない。 f したがって、上記相違点2に係る本件訂正発明1の構成は、甲2発明、甲第3号証ないし甲第7号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。 ウ 意見書における申立人の主張について (ア)申立人の主張 申立人は、令和4年6月13日付けの意見書において、令和4年1月31日付けの取消理由通知は、相違点2についての判断の項で、訂正後の「コアの固さが0.8~3.5mm」であることを、甲2発明は開示しているを説示していることは明らかである旨主張する。 (イ)主張の検討 上記主張について検討する。 令和4年1月31日付けの取消理由通知は、訂正前の「コアの固さが0.4~7.0mm」であることについて判断しているものであり、訂正後の相違点2に係る本件訂正発明1の構成と甲2発明との関係は、上記イ(ア)bに示したとおりである。 よって、申立人の上記主張は採用できず、意見書における申立人の主張を検討しても、相違点2に係る本件訂正発明1の構成の容易想到性について、上記イにおける判断を変更すべき事情はない。 エ 小括 したがって、本件訂正発明1は、相違点1及び相違点3について検討するまでもなく、甲1発明、甲2発明、甲第3号証ないし甲第7号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件訂正発明3ないし7について 本件訂正発明3ないし7は、本件訂正発明1の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項を追加して限定したものである。 そうすると、上記(1)における判断と同様の理由により、本件訂正発明3ないし7は、甲1発明、甲2発明、甲第3号証ないし甲第7号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 なお、請求項2は、本件訂正によって削除されている。 第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由についての当審の判断 1 新規性について (1)本件訂正発明1について 本件訂正発明1と甲1発明とは、上記第4の3(1)アで対比したとおり、上記第4の3(1)ア(ク)の相違点1ないし3で相違するから、本件訂正発明1は、甲第1号証に記載された発明ではない。 (2)本件訂正発明3ないし7について 本件訂正発明3ないし7は、本件訂正発明1の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項を追加して限定したものである。 よって、本件訂正発明3ないし7と甲1発明とは、上記第4の3(1)アで対比したとおり、少なくとも上記第4の3(1)ア(ク)の相違点1ないし3で相違するから、本件訂正発明3ないし7は、甲第1号証に記載された発明ではない。 なお、請求項2は、本件訂正によって削除されている。 2 サポート要件について (1)申立人の主張の概要 申立人の主張は、概略、以下のとおりである。 ア 本件発明が規定する「コアの固さ」について、「コアの固さ」に影響する要因が本件明細書段落【0036】の「コアの坪量」の高低のみであるところ、「コアの坪量」以外の要因が「コアの固さ」に影響するというのであれば、本件発明に係る特許請求の範囲の記載は、明細書の記載を超えるものである。(申立書第38頁第1行~最下行) イ 本件発明の課題について、本件明細書段落【0007】には、「本発明は、坪量を下げずにシートの吸水性に優れると共に1ロール当りの巻長を長くし、コストや生産性を損なわずにコアを潰れ難くし、持ち運びや保管時の省スペース性に優れた長尺のキッチンタオルロールの提供を目的とする。」と記載されているが、「キッチンタオルロール」のシートに係る事項とコアに係る事項とが混在して区別されておらず、それらの相互関係も明確でない。 本件発明の作用効果を示すものとして、本件明細書段落【0075】に「 官能評価は、モニター20人によって行った。評価基準は5点満点で行った。評価基準が3点以上であれば良好である。」とあるが、表1に示される9項目について、各項目をどのような基準で5点満点評価のランク付けを行ったのか、全く不明であり、また、実施例23~実施例26は、2点以下のランクの評価が行われているにもかかわらず、実施例とされており、このような評価結果をもって本件発明の課題及び作用効果を認識することはできない。(申立書第39頁第1行~第40頁最下行) ウ 以上の理由から、本件発明は、「発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」を超えており、請求項に係る発明と、発明の詳細な説明に発明として記載されたものとが、実質的に対応しているとはいえず、特許請求の範囲の記載は、サポート要件を満たさない。 (申立書第41頁第1~7行) (2)検討 ア サポート要件の検討 (ア)特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきである。 以下、上記の観点から、本件特許の特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かについて検討する。 (イ)本件明細書の段落【0037】には、 「コア5の固さは、圧縮試験機(カトーテック株式会社製のハンディー圧縮試験機KES-G5)を用いて、次のように測定する。まず、コア5を軸心が水平になるよう硬い台上に横に置く。次に、コア5外面の中央部に上記KES-G5の圧縮子(面積2.0cm2)を、速度10mm/分の条件で上から押し込む。圧縮子がロールを押す圧力が0.5gf/cm2のときの押し込み深さをT0、圧力が250gf/cm2のときの押し込み深さをTmとして、(Tm-T0)をコア5の固さとする。この値が大きいと、コアが潰れやすくなることを意味する。測定は5本のコアを用いて5回行い(1本のコアで1回ずつ測定する)、測定結果を平均する。」と記載されている。 また、本件明細書の段落【0072】以降において「コアの固さ」を含む各種条件を変更してキッチンタオルロールを作成し、本件明細書の段落【0075】に示す項目で各キッチンタオルロールについて評価を行って表1及び表2にまとめ、評価は、評価基準5点満点、評価基準が3点以上であれば良好として判断するものし、「ロール製造時のコアの潰れにくさ」及び「コアの生産性、コアのコスト」を含むすべての評価の観点において、評価が4以上のキッチンタオルロールを「実施例」とし、それ以外のキッチンタオルロールを「参考例」「比較例」としたところ、表1及び表2からは、「コアの固さ」が「0.8~3.5mm」の範囲とした「ロール製造時のコアの潰れにくさ」及び「コアの生産性、コアのコスト」が、評価が4以上のキッチンタオルロールを製作できることが示されている。 そして、本件明細書には、「コアの固さ」は「コアの見かけの坪量」によって調整できることも示されているから、当業者は、「コアの見かけの坪量」を高低する「コアの見かけの坪量」以外の要因の有無に関わらず、本件明細書に記載された事項から、「コアの固さ」を「0.8~3.5mm」とすることにより、本件訂正発明の「坪量を下げずにシートの吸水性に優れると共に1ロール当りの巻長を長くし、コストや生産性を損なわずにコアを潰れ難くし、持ち運びや保管時の省スペース性に優れた長尺のキッチンタオルロールの提供」という課題を解決できるものと認められる。 イ 上記(1)アの主張について (ア)申立人は、「コアの見かけの坪量」以外の要因が「コアの固さ」に影響するというのであれば、本件特許に係る特許請求の範囲の記載は明細書の記載を超える旨主張するが、上記アで検討したとおり、「コアの固さ」に影響する要因が「コアの坪量」以外に存在するか否かに関わらず、本件の特許請求の範囲に記載された本件訂正発明は、本件明細書に記載されている。 (イ)また、本件訂正発明は、「コアの見かけの坪量」とは別に「コアの固さ」について特定されているところ、その実施例として、本件明細書の段落【0078】の表2には、実施例15、実施例16が記載されている。 そして、実施例15および実施例16の結果からは、実施例15、実施例16は、「コアの見かけの坪量」はそれぞれ「291」、「289」(g/m2)であって、本件訂正発明1において「コアの見かけの坪量」が245~391g/m2との範囲とされていることに鑑みると近接した値であるが、「コアの固さ」はそれぞれ「1.8」、「3.1」と本件訂正発明1において「コアの見かけの坪量」が0.8~3.5mmの範囲とされていることに鑑みて、比較的離間した値となっているところ、評価の結果としては、「ロール製造時のコアの潰れにくさ」は、実施例15が「5」、実施例16が「4」となっており、評価が相違したものとなっている。 このような実施例およびその評価結果に接した当業者であれば、本件訂正発明に示された「コアの見かけの坪量」及び「コアの固さ」が異なるパラメータであり、キッチンタオルロールの性状が、本件訂正発明1に特定された全てのパラメータの範囲内とされることによって、本件訂正発明の課題を解決できるものとなることを認識することができる。 そうすると、上記(1)アに係る申立人の上記主張は採用することができない。 ウ 上記(1)イの主張について 本件訂正発明の「キッチンタオルロール」が本件明細書に記載されたものであることは、上記アで検討したとおりであり、上記(1)イの主張によっても、その判断は左右されない。 なお、本件訂正により、2点以下のランクの評価が行われているにもかかわらず、実施例とされているものは無くなった。 よって、上記(1)イに係る申立人の上記主張は採用することができない。 3 実施可能要件について (1)申立人の主張の概要 申立人の主張は、概略、以下のとおりである。 サポート要件の主張で述べた理由と同様に、仮に「コアの坪量」以外の要因が「コアの固さ」に影響するというのであれば、本件明細書の記載によって、当業者は、本件発明に係るキッチンタオルロールを得ることができないから、実施可能要件を満たしていない。(申立書第41頁第8~16行) (2)検討 ア 実施可能要件の検討 (ア)発明の詳細な説明の記載が実施可能要件に適合するというためには、明細書の発明の詳細な説明に、当業者が明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その発明を実施することができる程度に発明の構成等の記載があることを要するものであり、「キッチンタオルロール」という物の発明については、発明の詳細な説明の記載が、当該記載及び出願時の技術常識に照らし、これを製造でき、かつ、使用できる程度の記載であれば、実施可能であるといえる。 以下、上記の観点から、本件明細書の発明の詳細な説明が実施可能要件に適合するか否かについて検討する。 (イ)本件訂正発明の「コアの固さ」については、本件明細書段落【0036】及び段落【0037】において、その測定の手法と好ましい数値範囲が示され、本件明細書段落【0077】ないし段落【0079】の表1ないし表3に「コアの固さ」及び「コアの見かけの坪量」を含む本件訂正発明に係るキッチンタオルロールの実施例、参考例、比較例とその評価についての情報が示されており、当業者が過度の試行錯誤を要することなく製造することができる程度に記載されている。また、同様に、本件訂正発明1、3ないし7のキッチンタオルロールのその他のパラメータについても本件明細書段落【0013】ないし段落【0080】に当業者が技術常識を参酌して本件訂正発明のキッチンタオルロールを製造し、使用することができる程度に記載されている。 イ 上記(1)に係る申立人の主張の検討 申立人は、仮に「コアの坪量」以外の要因が「コアの固さ」に影響するというのであれば、本件明細書の記載によって、当業者は、本件発明に係るキッチンタオルロールを得ることができないから、実施可能要件を満たしていない旨主張しているが、本件明細書が本件訂正発明について実施可能要件に適合していることは上記アに示したとおりであり、当業者は、「コアの見かけの坪量」を高低する「コアの見かけの坪量」以外の要因の有無に関わらず、本件明細書に記載された事項から、本件訂正発明が実施できるものと認められる。 そうすると、申立人の上記(1)に係る主張は採用することができない。 第6 むすび 以上のとおり、本件の請求項1、3ないし7に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。また、本件の請求項1、3ないし7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、本件の請求項2に対する特許異議の申立ては、申立ての対象となる請求項が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定によって却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-701126

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