特許異議申立
2021-701117
タイヤ
- 審判番号
- 2021-701117
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2017-082231
- 登録番号
- 6885176
- 請求日
- 2021年12月01日
- 審決日
- 2022年08月25日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】住友ゴム工業株式会社
- 【権利者代理人】住友 慎太郎
- 【権利者代理人】浦 重剛
- 【権利者代理人】苗村 潤
- 【権利者代理人】石原 幸信
- 【権利者代理人】市田 哲
- 【異議申立人】村川 明美
- 審判長/審判官
- 審判長 一ノ瀬 覚
- 審判官 藤井 昇
- 審判官 出口 昌哉
- 分類
- P1652.113-YAA(B60C) / P1652.121-YAA(B60C) / P1652.537-YAA(B60C) / P1652.832-YAA(B60C) / P1652.851-YAA(B60C) / P1652.853-YAA(B60C) / P1652.857-YAA(B60C) / P1652.856-YAA(B60C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6885176号発明「タイヤ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6885176号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7〕、〔8~12〕、14について訂正することを認める。
特許第6885176号の請求項1~7、14に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6885176号の請求項1~14に係る特許についての出願は、平成29年 4月18日の出願であって、令和 3年 5月17日にその特許権の設定登録がされ、令和 3年 6月 9日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和 3年11月30日付け : 特許異議申立人村川明美(以下、「申立人」という。)による請求項1~7、14に係る特許に対する特許異議の申立て
令和 4年 3月15日付け : 取消理由通知書
令和 4年 5月18日付け : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和 4年 5月24日付け : 訂正請求があった旨の通知書
上記通知書に対して、申立人からは、指定期間内に応答はなかった。
第2 訂正の適否
1.訂正の内容
令和 4年 5月18日付けの訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正(以下、「本件訂正」という。)は、特許第6885176号(以下、「本件特許」という。)の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~12、14について訂正することを求めるものであり、その内容は、以下のとおりである(訂正箇所に下線を付した。)。
訂正前の請求項1~12は、請求項2~12が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する関係にあるから、本件訂正は、一群の請求項1~12について請求されている。
また、特許権者は、訂正後の請求項8~12に係る訂正ついて、当該訂正が認められるときに一群の請求項1~12の他の請求項である請求項1~7とは別の訂正単位として扱われることを求めている。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記陸部は、タイヤ周方向に沿って直線状に延びる第1エッジ及び第2エッジの間に踏面を有する第1陸部を含み、前記第1陸部には、前記第1エッジから前記第2エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第1ラグ溝と、前記第2エッジから前記第1エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第2ラグ溝と、前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる第1縦細溝とが設けられ、前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝は、それぞれ、前記第1エッジ又は前記第2エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含む」と記載されているのを、「前記陸部は、タイヤ周方向に沿って直線状に延びる第1エッジ及び第2エッジの間に踏面を有するタイヤ赤道上に設けられた第1陸部を含み、前記第1陸部には、前記第1エッジから前記第2エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第1ラグ溝と、前記第2エッジから前記第1エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第2ラグ溝と、全ての前記第1ラグ溝及び全ての前記第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる第1縦細溝とが設けられ、前記第1ラグ溝は、前記第1エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、前記第2ラグ溝は、前記第2エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、前記1ラグ溝の前記幅狭部及び前記第2ラグ溝の前記幅狭部は それぞれ、溝幅が1.5mm未満である」に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~7も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3に「前記幅狭部は、前記第1縦細溝と交差している」と記載されているのを、「前記第1ラグ溝の前記幅狭部及び前記第2ラグ溝の前記幅狭部は、それぞれ、前記第1縦細溝と交差している」に訂正する(請求項3の記載を直接的又は間接的に引用する請求項4~7も同様に訂正する。)。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に「前記幅狭部は、前記幅広部よりも大きいタイヤ軸方向の長さを有している」と記載されているのを、「前記第1ラグ溝の前記幅狭部は、前記第1ラグ溝の前記幅広部よりも大きいタイヤ軸方向の長さを有しており、前記第2ラグ溝の前記幅狭部は、前記第2ラグ溝の前記幅広部よりも大きいタイヤ軸方向の長さを有している」に訂正する(請求項4の記載を直接的又は間接的に引用する請求項5~7も同様に訂正する。)。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に「前記幅狭部の最大の深さは、前記幅広部の最大の深さ以下である」と記載されているのを、「前記第1ラグ溝の前記幅狭部の最大の深さは、前記第1ラグ溝の前記幅広部の最大の深さ以下であり、前記第2ラグ溝の前記幅狭部の最大の深さは、前記第2ラグ溝の前記幅広部の最大の深さ以下である」に訂正する(請求項5の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6及び7も同様に訂正する。)。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6に「前記幅狭部の最大の深さは、前記幅広部の最大の深さよりも小さい」と記載されているのを、「前記第1ラグ溝の前記幅狭部の最大の深さは、前記第1ラグ溝の前記幅広部の最大の深さよりも小さく、前記2ラグ溝の前記幅狭部の最大の深さは、航記第2ラグ溝の前記幅広部の最大の深さよりも小さい」に訂正する(請求項6の記載を引用する請求項7も同様に訂正する。)。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項7に「前記幅狭部の最大の深さは、前記第1縦細溝の最大の深さよりも大きい」と記載されているのを、「前記第1ラグ溝の前記幅狭部の最大の深さ及び前記第2ラグ溝の前記幅狭部の最大の深さは、それぞれ、前記第1縦細溝の最大の深さよりも大きい」に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項8に「前記トレッド部には、タイヤ周方向に延びる第3エッジ及び第4エッジの間に踏面を有する第2陸部が設けられ、前記第2陸部は、陸部を完全に横切る複数の横溝に区分された複数のブロックを含み、前記ブロックには、前記第3エッジから前記第4エッジに向かって延び、かつ、前記ブロック内で途切れる第3ラグ溝と、前記第4エッジから前記第3エッジに向かって延び、かつ、前記ブロック内で途切れる第4ラグ溝とが設けられた請求項1乃至7のいずれかに記載のタイヤ。」と記載されているのを、「トレッド部を有するタイヤであって、前記トレッド部には、タイヤ周方向に連続してのびる4本の主溝で区分された5つの陸部が設けられており、前記陸部は、タイヤ周方向に沿って直線状に延びる第1エッジ及び第2エッジの間に踏面を有する第1陸部と、タイヤ周方向に延びる第3エッジ及び第4エッジの間に踏面を有する第2陸部とを含み、前記第1陸部には、前記第1エッジから前記第2エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第1ラグ溝と、前記第2エッジから前記第1エッジに向かって延びかつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第2ラグ溝と、全ての前記第1ラグ溝及び全ての前記第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる第1縦細溝とが設けられ、前記第1ラグ溝は、前記第1のエッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、前記第2ラグ溝は、前記第2エッジからのびかつ前記1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、前記第2陸部は、陸部を完全に横切る複数の横溝に区分された複数のブロックを含み、前記ブロックには、前記第3エッジから前記第4エッジに向かって延び、かつ、前記ブロック内で途切れる第3ラグ溝と、前記第4エッジから前記第3エッジに向かって延び、かつ、前記ブロック内で途切れる第4ラグ溝とが設けられている、タイヤ。」に訂正する(請求項8の記載を直接的又は間接的に引用する請求項9~12も同様に訂正する。)。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項14に「前記トレッド部には、タイヤ周方向に沿って直線状に延びる第1エッジ及び第2エッジの間に踏面を有する第1陸部が設けられ、前記第1陸部には、前記第1エッジから前記第2エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第1ラグ溝と、前記第2エッジから前記第1エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第2ラグ溝と、前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる第1縦細溝とが設けられ、前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝は、それぞれ、前記第1エッジ又は前記第2エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、前記幅狭部は、前記第1縦細溝と交差している」と記載されているのを、「前記トレッド部には、タイヤ周方向に沿って直線状に延びる第1エッジ及び第2エッジの間に踏面を有する第1陸部がタイヤ赤道上に設けられ、前記第1陸部には、前記第1エッジから前記第2エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第1ラグ溝と、前記第2エッジから前記第1エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第2ラグ溝と、全ての前記第1ラグ溝及び全ての前記第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる第1縦細溝とが設けられ、前記第1ラグ溝は、前記第1エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、前記第2ラグ溝は、前記第2エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、前記第1ラグ溝の前記幅狭部及び前記第2ラグ溝の前記幅狭部はそれぞれ、溝幅が1.5mm末満であり、かつ、前記第1縦細溝と交差している」に訂正する。
2.訂正要件についての判断
(1)訂正事項1
ア.訂正の目的について
訂正事項1のうち、「第1陸部」について、訂正前の請求項1に係る発明が、「タイヤ周方向に沿って直線状に延びる第1エッジ及び第2エッジの間に踏面を有する」ことを特定しているのに対し、訂正後の請求項1に係る発明が、「タイヤ周方向に沿って直線状に延びる第1エッジ及び第2エッジの間に踏面を有するタイヤ赤道上に設けられた」と限定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
訂正事項1のうち、「第1縦溝部」について、訂正前の請求項1に係る発明が、「前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる」ことを特定しているのに対し、訂正後の請求項1に係る発明が、「全ての前記第1ラグ溝及び全ての前記第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる」と明らかにする訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
訂正事項1のうち、「第1ラグ溝」及び「第2ラグ溝」について、訂正前の請求項1に係る発明が、「前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝は、それぞれ、前記第1エッジ又は前記第2エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含む」ことを特定しているのに対し、訂正後の請求項1に係る発明が、「前記第1ラグ溝は、前記第1エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、前記第2ラグ溝は、前記第2エッジからのびかつ前記1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み」と明らかにする訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
訂正事項1のうち、「幅狭部」について、訂正後の請求項1に係る発明が、「前記第1ラグ溝の前記幅狭部及び前記第2ラグ溝の前記幅狭部は、それぞれ、溝幅が1.5mm未満である」と限定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
同様に、請求項1を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項2~7は、訂正後の請求項1の記載を引用することにより、訂正後の請求項2~7に係る発明を明確にし、訂正後の請求項2~7に係る発明における幅狭部を限定するものであるため、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」又は同第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
イ.願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「特許明細書等」という。また、願書に添付した明細書を「特許明細書」という。)に記載した事項の範囲内においてした訂正であること
訂正事項1は、訂正前の特許明細書の段落【0034】、段落【0036】、段落【0038】、段落【0046】及び図2に基づいて導き出される構成である。
特許明細書の段落【0034】には、「本実施形態の第1陸部11は、2本のクラウン主溝4の間に区分されており、タイヤ赤道C上に設けられている。」と記載されている。
特許明細書の段落【0036】には、「第1縦細溝15は、第1ラグ溝16及び第2ラグ溝17に接続してタイヤ周方向に延びている。」と記載されている。
特許明細書の段落【0038】には、「第1ラグ溝16及び第2ラグ溝17は、それぞれ、幅広部18と幅狭部19とを含んでいる。幅広部18は、第1エッジ11a又は第2エッジ11bからのびている。」と記載されている。
特許明細書の段落【0046】には、「望ましい態様では、幅狭部19の溝幅W6は、例えば、1.5mm未満である。」と記載されている。
図2より、「全ての第1ラグ溝及び全ての第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる第1縦細溝」及び「第1ラグ溝は、第1エッジからのびかつ第1縦細溝に接続しない幅広部と、幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、第2ラグ溝は、第2エッジからのびかつ第1縦細溝に接続しない幅広部と、幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ第1縦細溝に接続する幅狭部とを含む」点が看て取れる。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許明細書等の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アの理由から明らかなように、訂正事項1による訂正は、「第1陸部」、「第1縦細溝」、「第1ラグ溝」、「第2ラグ溝」及び「幅狭部」を更に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
また、訂正事項1は、訂正前の請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~7の記載についても実質的に訂正するものであるが、訂正事項1は、訂正前の請求項1の記載以外に、訂正前の請求項2~7の記載について何ら訂正するものではなく、請求項2~7のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
エ.特許出願の際独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の請求項1~7、14について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項1~7に係る訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
オ.小括
以上のとおりであるから、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」と、同項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」とを目的とし、かつ、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項2
ア.訂正の目的について
訂正前の請求項3に係る発明は、「幅狭部」について、「第1縦細溝と交差している」ことを特定している。
これに対して、訂正後の請求項3に係る発明は、訂正事項1において「第1ラグ溝の幅狭部」及び「第2ラグ溝の幅狭部」を特定したことに伴い、「前記第1ラグ溝の前記幅狭部及び前記第2ラグ溝の前記幅狭部は、それぞれ、前記第1縦細溝と交差している」ことを明らかにすることで、幅狭部をより明確にし、限定するものであり、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」又は同第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
同様に、請求項3を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項4~7は、訂正後の請求項3の記載を引用することにより、訂正後の請求項4~7に係る発明における幅狭部をより明確に特定し、限定するものであるため、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」又は同第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ.特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は、訂正前の特許明細書の段落【0045】及び図2に基づいて導き出される構成である。
特許明細書の段落【0045】には、「幅狭部19は、例えば、第1縦細溝15と交差しているのが望ましい。」と記載されている。
図2より、「第1ラグ溝の幅狭部及び第2ラグ溝の幅狭部は、それぞれ、第1縦細溝と交差している」点が看て取れる。
したがって、訂正事項2による訂正は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アの理由から明らかなように、訂正事項2は、「幅狭部」という発明特定事項に対し、「前記第1ラグ溝の前記幅狭部及び前記第2ラグ溝の前記幅狭部は、それぞれ、前記第1縦細溝と交差している」ことを明確にし、限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
また、訂正事項2は、訂正前の請求項3の記載を直接的又は間接的に引用する請求項4~7の記載についても実質的に訂正するものであるが、訂正事項2は、訂正前の請求項3の記載以外、訂正前の請求項4~7の記載について何ら訂正するものではなく、請求項4~7のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
エ.特許出願の際独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の請求項1~7、14について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項3~7に係る訂正事項2に関して、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
オ.小括
以上のとおりであるから、訂正事項2による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」と、同項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」とを目的とし、かつ、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(3)訂正事項3
ア.訂正の目的について
訂正前の請求項4に係る発明は、「幅狭部」について、「幅広部よりも大きいタイヤ軸方向の長さを有している」ことを特定している。
これに対して、訂正後の請求項4に係る発明は、訂正事項1において「第1ラグ溝の幅狭部」、「第2ラグ溝の幅狭部」、「第1ラグ溝の幅広部」及び「第2ラグ溝の幅広部」を特定したことに伴い、「前記第1ラグ溝の前記幅狭部は、前記第1ラグ溝の前記幅広部よりも大きいタイヤ軸方向の長さを有しており、前記第2ラグ溝の前記幅狭部は、前記第2ラグ溝の前記幅広部よりも大きいタイヤ軸方向の長さを有している」ことを明らかにすることで、幅狭部をより明確にし、限定するものであり、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」又は同第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
同様に、請求項4を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項5~7は、訂正後の請求項4の記載を引用することにより、訂正後の請求項5~7に係る発明における幅狭部をより明確に特定し、限定するものであるため、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」又は同第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ.特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であること
訂正事項3は、特許明細書の段落【0047】及び図2の記載に基づいて導き出される構成である。
特許明細書の段落【0047】には、「幅狭部19は、例えば、幅広部18よりも大きいタイヤ軸方向の長さL5を有しているのが望ましい。」と記載されている。
図2より、「第1ラグ溝の幅狭部は、第1ラグ溝の幅広部よりも大きいタイヤ軸方向の長さを有しており、第2ラグ溝の幅狭部は、第2ラグ溝の幅広部よりも大きいタイヤ軸方向の長さを有している」点が看て取れる。
したがって、訂正事項3による訂正は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アの理由から明らかなように、訂正事項3は、「幅狭部」という発明特定事項に対し、「前記第1ラグ溝の前記幅狭部は、前記第1ラグ溝の前記幅広部よりも大きいタイヤ軸方向の長さを有しており、前記第2ラグ溝の前記幅狭部は、前記第2ラグ溝の前記幅広部よりも大きいタイヤ軸方向の長さを有している」ことを明確にし、限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
また、訂正事項3は、訂正前の請求項4の記載を直接的又は間接的に 引用する請求項5~7の記載についても実質的に訂正するものであるが、訂正事項3は、訂正前の請求項4の記載以外に、訂正前の請求項5~7の記載について何ら訂正するものではなく、請求項5~7のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
エ.特許出願の際独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の請求項1~7、14について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項4~7に係る訂正事項3に関して、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
オ.小括
以上のとおりであるから、訂正事項3による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」と、同項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」とを目的とし、かつ、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(4)訂正事項4
ア.訂正の目的について
訂正前の請求項5に係る発明は、「幅狭部」について、「幅狭部の最大の深さは、幅広部の最大の深さ以下である」ことを特定している。
これに対して、訂正後の請求項5に係る発明は、訂正事項1において「第1ラグ溝の幅狭部」、「第2ラグ溝の幅狭部」、「第1ラグ溝の幅広部」及び「第2ラグ溝の幅広部」を特定したことに伴い、「前記第1ラグ溝の前記幅狭部の最大の深さは、前記第1ラグ溝の前記幅広部の最大の深さ以下であり、前記第2ラグ溝の前記幅狭部の最大の深さは、前記第2ラグ溝の前記幅広部の最大の深さ以下である」ことを明らかにすることで、幅狭部をより明確にし、限定するものであり、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」又は同第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
同様に、請求項5を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項6、7は、訂正後の請求項5の記載を引用することにより、訂正後の請求項6、7に係る発明における幅狭部をより明確に特定し、限定するものであるため、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」又は同第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ.特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であること
訂正事項4は、特許明細書の段落【0050】、図2及び図3の記載に基づいて導き出される構成である。
特許明細書の段落【0050】には、「幅狭部19の最大の深さd3は、例えば、幅広部18の最大の深さd1以下である。」と記載されている。
図2及び図3より、「第1ラグ溝の幅狭部の最大の深さは、第1ラグ溝の幅広部の最大の深さ以下であり、第2ラグ溝の幅狭部の最大の深さは、第2ラグ溝の幅広部の最大の深さ以下である」点が看て取れる。
したがって、訂正事項4による訂正は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アの理由から明らかなように、訂正事項4は、「幅狭部」という発明特定事項に対し、「前記第1ラグ溝の前記幅狭部の最大の深さは、前記第1ラグ溝の前記幅広部の最大の深さ以下であり、前記第2ラグ溝の前記幅狭部の最大の深さは、前記第2ラグ溝の前記幅広部の最大の深さ以下である」ことを明確にし、限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
また、訂正事項4は、訂正前の請求項5の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6、7の記載についても実質的に訂正するものであるが、訂正事項4は、訂正前の請求項5の記載以外に、訂正前の請求項6、7の記載について何ら訂正するものではなく、請求項6、7のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
エ.特許出願の際独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の請求項1~7、14について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項5~7に係る訂正事項4に関して、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
オ.小括
以上のとおりであるから、訂正事項4による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」と、同項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」とを目的とし、かつ、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(5)訂正事項5
ア.訂正の目的について
訂正前の請求項6に係る発明は、「幅狭部」について、「幅狭部の最大の深さは、幅広部の最大の深さよりも小さい」ことを特定している。
これに対して、訂正後の請求項6に係る発明は、訂正事項1において「第1ラグ溝の幅狭部」、「第2ラグ溝の幅狭部」、「第1ラグ溝の幅広部」及び「第2ラグ溝の幅広部」を特定したことに伴い、「前記第1ラグ溝の前記幅狭部の最大の深さは、前記第1ラグ溝の前記幅広部の最大の深さよりも小さく、前記第2ラグ溝の前記幅狭部の最大の深さは、前記第2ラグ溝の前記幅広部の最大の深さよりも小さい」ことを明らかにすることで、幅狭部をより明確にし、限定するものであり、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」又は同第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
同様に、請求項6を引用する訂正後の請求項7は、訂正後の請求項6の記載を引用することにより、訂正後の請求項7に係る発明における幅狭部をより明確に特定するものであるため、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」又は同第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ.特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であること
訂正事項5は、特許明細書の段落【0050】、図2及び図3の記載に基づいて導き出される構成である。
特許明細書の段落【0050】には、「幅狭部19の前記深さd3は、幅広部18の最大の深さd1よりも小さくても良い。」と記載されている。
図2及び図3より、「第1ラグ溝の幅狭部の最大の深さは、第1ラグ溝の幅広部の最大の深さよりも小さく、第2ラグ溝の幅狭部の最大の深さは、第2ラグ溝の幅広部の最大の深さよりも小さい」点が看て取れる。
したがって、訂正事項5の訂正は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アの理由から明らかなように、訂正事項5は、「幅狭部」という発明特定事項に対し、「前記第1ラグ溝の前記幅狭部の最大の深さは、前記第1ラグ溝の前記幅広部の最大の深さよりも小さく、前記第2ラグ溝の前記幅狭部の最大の深さは、前記第2ラグ溝の前記幅広部の最大の深さよりも小さい」ことを明確にし、限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
また、訂正事項5は、訂正前の請求項6の記載を引用する請求項7の記載についても実質的に訂正するものであるが、訂正事項5は、訂正前の請求項6の記載以外に、訂正前の請求項7の記載について何ら訂正するものではなく、請求項7のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
エ.特許出願の際独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の請求項1~7、14について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項6、7に係る訂正事項5に関して、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
オ.小括
以上のとおりであるから、訂正事項5による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」と、同項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」とを目的とし、かつ、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(6)訂正事項6
ア.訂正の目的について
訂正前の請求項7に係る発明は、「幅狭部」について、「幅狭部の最大の深さは、第1縦細溝の最大の深さよりも大きい」ことを特定している。これに対して、訂正後の請求項7に係る発明は、訂正事項1において「第1ラグ溝の幅狭部」及び「第2ラグ溝の幅狭部」を特定したことに伴い、「前記第1ラグ溝の前記幅狭部の最大の深さ及び前記第2ラグ溝の前記幅狭部の最大の深さは、それぞれ、前記第1縦細溝の最大の深さよりも大きい」ことを明らかにすることで、幅狭部をより明確にし、限定するものであり、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」又は同第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ.特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であること
訂正事項6は、特許明細書の段落【0051】、図2及び図3の記載に基づいて導き出される構成である。
特許明細書の段落【0051】には、「幅狭部19の最大の深さd3は、例えば、第1縦細溝15の最大の深さd4よりも大きいのが望ましい。」と記載されている。
図2及び図3より、「第1ラグ溝の幅狭部の最大の深さ及び第2ラグ溝の幅狭部の最大の深さは、それぞれ、第1縦細溝の最大の深さよりも大きい」点が看て取れる。
したがって、訂正事項6による訂正は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アの理由から明らかなように、訂正事項6は、「幅狭部」という発明特定事項に対し、「前記第1ラグ溝の前記幅狭部の最大の深さ及び前記第2ラグ溝の前記幅狭部の最大の深さは、それぞれ、前記第1縦細溝の最大の深さよりも大きい」ことを明確にし、限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ.特許出願の際独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の請求項1~7、14について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項7に係る訂正事項6に関して、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
オ.小括
以上のとおりであるから、訂正事項6による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」と、同項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」とを目的とし、かつ、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(7)訂正事項7
ア.訂正の目的について
訂正事項7のうち、訂正前の請求項8の記載が請求項1~7のいずれかの記載を引用する記載であったものを、請求項2~7の記載を引用しないものとした上で、訂正前の請求項1の記載をベースとして請求項間の引用関係を解消し、独立形式請求項ヘ改めるための訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」又は同第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、上記(1)アに記載のように、訂正事項7のうち、「第1縦細溝」について、訂正後の請求項8に係る発明が、「全ての前記第1ラグ溝及び全ての前記第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる第1縦細溝」と明らかにする訂正、並びに「第1ラグ溝」及び「第2ラグ溝」について、訂正後の請求項8に係る発明が、「前記第1ラグ溝は、前記第1エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭音とを含み、前記第2ラグ溝は、前記第2エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み」と明らかにする訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」又は同第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
また、訂正事項7のうち、請求項8を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項9~12に関する訂正は、訂正後の請求項8の記載が請求項2~7の記載を引用しないものとしたことにより、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」又は同第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
イ.特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であること
訂正事項7のうち、請求項間の引用関係を解消して引用する請求項の数を減少させ、独立形式請求項へ改める訂正は、実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正である。
訂正事項7のうち、「第1縦細溝」、「第1ラグ溝」、「第2ラグ溝」及び「幅狭部」を更に限定する訂正は、訂正前の特許明細書の段落【0036】、段落【0038】及び図2に基づいて導き出される構成である。
特許明細書の段落【0036】には、「第1縦細溝15は、第1ラグ溝16及び第2ラグ溝17に接続してタイヤ周方向に延びている。」と記載されている。
特許明細書の段落【0038】には、「第1ラグ溝16及び第2ラグ溝17は、それぞれ、幅広部18と幅狭部19とを含んでいる。幅広部18は、第1エッジ11a又は第2エッジ11bからのびている。」と記載されている。
図2より、「全ての第1ラグ溝及び全ての第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる第1縦細溝」及び「第1ラグ溝は、第1エッジからのびかつ第1縦細溝に接続しない幅広部と、幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、第2ラグ溝は、第2エッジからのびかつ第1縦細溝に接続しない幅広部と、幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ第1縦細溝に接続する幅狭部とを含む」点が看て取れる。
したがって、訂正事項7による訂正は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アの理由から明らかなように、訂正事項7のうち、請求項間の引用関係を解消して引用する請求項の数を減少させ、独立形式請求項へ改める訂正は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
また、訂正事項7のうち、「第1縦細溝」、「第1ラグ溝」、「第2ラグ溝」及び「幅狭部」を更に限定する訂正は、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
また、訂正事項7は、訂正前の請求項8の記載を直接的又は間接的に引用する請求項9~12の記載についても実質的に訂正するものであるが、訂正事項7は、訂正前の請求項8の記載以外に、訂正前の請求項9~12の記載について何ら訂正するものではなく、請求項9~12のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
エ.特許出願の際独立して特許を受けることができること
訂正事項7は、請求項8に関する訂正において、「第1縦細溝」、「第1ラグ溝」、「第2ラグ溝」及び「幅狭部」を更に限定する訂正を含むものであり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるとところ、請求項8~12については、特許要件や記載要件等について見直すべき特段の事情は存在しないから、独立特許要件を満たす。
したがって、訂正前の請求項8~12に係る訂正事項7は、特許法第120条の5第9項読み替えて準用する特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
オ.小括
以上のとおりであるから、訂正事項7による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」と、同項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」と、同項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」とを目的とし、かつ、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項、第6項の規定、及び、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第7項の規定に適合するものである。
(8)訂正事項8
ア.訂正の目的について
訂正事項8のうち、「第1陸部」について、訂正前の請求項14に係る発明が、「タイヤ周方向に沿って直線状に延びる第1エッジ及び第2エッジの間に踏面を有する第1陸部が設けられ」と特定しているのに対し、訂正後の請求項14に係る発明が、「タイヤ周方向に沿って直線状に延びる第1エッジ及び第2エッジの間に踏面を有する第1陸部がタイヤ赤道上に設けられ」と限定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
訂正事項8のうち、「第1縦溝部」について、訂正前の請求項14に係る発明が、「前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる」ことを特定しているのに対し、訂正後の請求項1に係る発明が、「全ての前記第1ラグ溝及び全ての前記第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる」と明らかにする訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
訂正事項8のうち、「第1ラグ溝」及び「第2ラグ溝」について、訂正前の請求項14に係る発明が、「前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝は、それぞれ、前記第1エッジ又は前記第2エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含む」ことを特定しているのに対し、訂正後の請求項14に係る発明が、「前記第1ラグ溝は、前記第1エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、前記第2ラグ溝は、前記第2エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み」と明らかにする訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
訂正事項8のうち、訂正前の請求項14に係る発明の「幅狭部」について、「前記第1ラグ溝の前記幅狭部及び前記第2ラグ溝の前記幅狭部は、それぞれ、溝幅が1.5mm未満であり」と限定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ.特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であること
訂正事項8は、訂正前の特許明細書の段落【0034】、段落【0036】、段落【0038】、段落【0046】及び図2に基づいて導き出される構成である。
特許明細書の段落【0034】には、「本実施形態の第1陸部11は、2本のクラウン主溝4の間に区分されており、タイヤ赤道C上に設けられている。」と記載されている。
特許明細書の段落【0036】には、「第1縦細溝15は、第1ラグ溝16及び第2ラグ溝177に接続してタイヤ周方向に延びている。」と記載されている。
特許明細書の段落【0038】には、「第1ラグ溝16及び第2ラグ溝17は、それぞれ、幅広部18と幅狭部19とを含んでいる。幅広部18は、第1エッジ11a又は第2エッジ11bからのびている。」と記載されている。
特許明細書の段落【0046】には、「望ましい態様では、幅狭部1 9の溝幅w6は、例えば、1.5mm未満である。」と記載されている。
図2より、「全ての第1ラグ溝及び全ての第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる第1縦細溝」及び「第1ラグ溝は、第1エッジからのびかつ第1縦細溝に接続しない幅広部と、幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、第2ラグ溝は、第2エッジからのびかつ第1縦細溝に接続しない幅広部と、幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ第1縦細溝に接続する幅狭部とを含む」点が看て取れる。
したがって、訂正事項8は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アの理由から明らかなように、訂正事項8は、「第1陸部」、「第1縦細溝」、「第1ラグ溝」、「第2ラグ溝」及び「幅狭部」を更に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
エ.特許出願の際独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の請求項1~7、14について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項14に係る訂正事項8に関して、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
オ.小括
以上のとおりであるから、訂正事項8による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」と、同項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」とを目的とし、かつ、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(9)まとめ
したがって、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7〕、〔8~12〕、14について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
上記「第2」で述べたとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正請求により訂正された請求項1~14に係る発明(以下、「本件発明1~14」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~14に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
トレッド部を有するタイヤであって、
前記トレッド部には、タイヤ周方向に連続してのびる4本の主溝で区分された5つの陸部が設けられており、
前記陸部は、タイヤ周方向に沿って直線状に延びる第1エッジ及び第2エッジの間に踏面を有するタイヤ赤道上に設けられた第1陸部を含み、
前記第1陸部には、前記第1エッジから前記第2エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第1ラグ溝と、前記第2エッジから前記第1エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第2ラグ溝と、全ての前記第1ラグ溝及び全ての前記第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる第1縦細溝とが設けられ、
前記第1ラグ溝は、前記第1エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、
前記第2ラグ溝は、前記第2エッジからのびかつ前記1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接信する届狭部とを含み、
前記第1ラグ溝の前記幅狭部及び前記第2ラグ溝の前記幅狭部は、それぞれ、溝幅が1.5mm未満である、
タイヤ。
【請求項2】
前記第1陸部は、タイヤ赤道上に設けられている請求項1記載のタイヤ。
【請求項3】
前記第1ラグ溝の前記幅狭部及び前記第2ラグ溝の前記幅狭部は、それぞれ、前記第1縦細溝と交差している請求項1又は2記載のタイヤ。
【請求項4】
前記第1ラグ溝の前記幅狭部は、前記第1ラグ溝の前記幅広部よりも大きいタイヤ軸方向の長さを有しており、
前記第2ラグ溝の前記幅狭部は、前記第2ラグ溝の前記幅広部よりも大きいタイヤ軸方向の長さを有している請求項1乃至3のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項5】
前記第1ラグ溝の前記幅狭部の最大の深さは、前記第1ラグ溝の前記幅広部の最大の深さ以下であり、
前記第2ラグ溝の前記幅狭部の最大の深さは、前記第2ラグ溝の前記幅広部の最大の深さ以下である請求項1乃至4のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項6】
前記第1ラグ溝の前記幅狭部の最大の深さは、前記第1ラグ溝の前記幅広部の最大の深さよりも小さく、
前記第2ラグ溝の前記幅狭部の最大の深さは、前記第2ラグ滞の前記幅広部の最大の深さよりも小さい請求項5記載のタイヤ。
【請求項7】
前記第1ラグ溝の前記幅狭部の最大の深さ及び前記第2ラグ溝の前記幅狭部の最大の深さは、それぞれ、前記第1縦細溝の最大の深さよりも大きい請求項1乃至6のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項8】
トレッド部を有するタイヤであって、_
前記トレッド部には、タイヤ周方向に連続してのびる4本の主溝で区分された5つの陸部が設けられており、
前記陸部は、タイヤ周方向に沿って直線状に延びる第1エッジ及び第2エッジの間に踏面を有する第1陸部と、タイヤ周方向に延びる第3エッジ及び第4エッジの間に踏面を有する第2陸部とを含み、
前記第1陸部には、前記第1エッジから前記第2エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第1ラグ溝と、前記第2エッジから前記第1エッジに向かって延び かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第2ラグ溝と、全ての前記第1ラグ溝及び全ての前記第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる第1縦細溝が設けられ、
前記第1ラグ溝は前記第1エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、
前記第2ラグ溝は、前記第2エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接信する幅狭部とを含み
前記第2陸部は、陸部を完全に横切る複数の横溝に区分された複数のブロックを含み、前記ブロックには、前記第3エッジから前記第4エッジに向かって延び、かつ、前記ブロック内で途切れる第3ラグ溝と、前記第4エッジから前記第3エッジに向かって延び、かつ、前記プロック内で途切れる第4ラグ溝とが設けられている、
タイヤ。
【請求項9】
前記ブロックは、第1ブロック及び第2ブロックを含み、
前記第1ブロックに設けられた前記第3ラグ溝及び前記第4ラグ溝は、それぞれ、一定の溝幅でのび、
前記第2ブロックに設けられた前記第3ラグ溝及び前記第4ラグ溝は、それぞれ、幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅の幅狭部とを含む請求項8記載のタイヤ。
【請求項10】
前記第1ブロックと前記第2ブロックとは、タイヤ周方向に交互に設けられている請求項9記載のタイヤ。
【請求項11】
前記ブロックには、前記第3ラグ溝及び前記第4ラグ溝に接続してタイヤ周方向にのびる第2縦細溝が設けられている請求項8乃至10のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項12】
前記第2縦細溝は、両端が前記ブロック内で途切れている請求項11記載のタイヤ。
【請求項13】
トレッド部を有するタイヤであって、
前記トレッド部には、タイヤ周方向に延びる第1エッジ及び第2エッジの間に踏面を有する第1陸部と、タイヤ周方向に延びる第3エッジ及び第4エッジの間に踏面を有する第2陸部とが設けられ、
前記第1陸部には、前記第1エッジから前記第2エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第1ラグ溝と、前記第2エッジから前記第1エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第2ラグ溝と、前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる第1縦細溝とが設けられ、
前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝は、それぞれ、前記第1エッジ又は前記第2エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、
前記第2陸部は、陸部を完全に横切る複数の横溝に区分された複数のブロックを含み、前記ブロックには、前記第3エッジから前記第4エッジに向かって延び、かつ、前記ブロック内で途切れる第3ラグ溝と、前記第4エッジから前記第3エッジに向かって延び、かつ、前記ブロック内で途切れる第4ラグ溝とが設けられている、
タイヤ。
【請求項14】
トレッド部を有する乗用車用タイヤであって、
前記トレッド部には、タイヤ周方向に沿って直線状に延びる第1エッジ及び第2エッジの間に踏面を有する第1陸部がタイヤ赤道上に設けられ、
前記第1陸部には、前記第1エッジから前記第2エッジに向かって延び、かつ、前記第 1陸部内で途切れる複数の第1ラグ溝と、前記第2エッジから前記第1エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第2ラグ溝と、全ての前記第1ラグ溝及び全ての前記第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる第1縦細溝とが設けられ、
前記第1ラグ溝は、前記第1エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、
前記第2ラグ溝は、前記第2エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、
前記第1ラグ溝の前記幅狭部及び前記第2ラグ溝の前記幅狭部は、それぞれ、溝幅が1.5mm未満であり、かつ、前記第1縦細溝と交差している、
乗用車用タイヤ。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1.取消理由の概要
請求項1~7、14に係る特許に対して、当審が令和 4年 3月10日付けの取消理由通知で特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
「<理由1>
(明確性)請求項1~7、14に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消されるべきものである。
<理由2>
(新規性)本件特許の請求項1、2、4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当するので、その発明に係る特許は、特許法第29条第1項に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
<理由3>
(進歩性)本件特許の請求項1~7、14に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
記
<理由1>について
1.請求項1、14では「複数の第1ラグ溝」及び「複数の第2ラグ溝」が記載され、「前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる第1縦細溝」が記載されている。
この記載において、「前記第1ラグ溝」が複数の第1ラグ溝のいずれか1本を指すのか、複数の第1ラグ溝のすべてを指すのか、それともそれ以外を意味するのかが不明である。同様に、「前記第2ラグ溝」が複数の第2ラグ溝のいずれか1本を指すのか、複数の第2ラグ溝のすべてを指すのか、それともそれ以外を意味するのかが不明である。
そうすると、請求項1、14の「前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる第1縦細溝」いう記載が意味する形状が明確でない。
上記の指摘は請求項1を引用する請求項2~7についても同様である。
したがって、請求項1~7、14に係る発明は明確でない。
2.請求項1の「前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝は、それぞれ、前記第1エッジ又は前記第2エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含む」という記載は、「前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝は、」「それぞれ、」「前記第1エッジ又は前記第2エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と」「・・・幅狭部と」「を含む」ものであるが、「前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝」の「それぞれ」が、「前記第1エッジ」、「前記第2エッジ」に係るのか、それとも「・・・幅広部と・・・幅狭部と」「を含む」に係るのかが明確でなく、仮に、「前記第1ラグ溝」及び「前記第2ラグ溝」に「それぞれ」が係るものとしても、「前記第1エッジ」に「前記第1ラグ溝」が対応し、「前記第2エッジ」に「前記第2ラグ溝」に対応しているのか、それとも、「前記第1ラグ溝及び前記第2ラグ溝」の「それぞれ」に「前記第1エッジ又は前記第2エッジ」のいずれか任意のものが対応しているのか、又は、それ以外のものを意味しているのかかが明確でない。
請求項14の同様の記載についても明確でない。
上記の指摘は請求項1を引用する請求項2~7についても同様である。
したがって、請求項1~7、14に係る発明は明確でない。
<理由2><理由3>について
<理由2><理由3>
・請求項1、2、4
・引用文献 1
<理由3>
・請求項 3、7、14
・引用文献 1、3
・請求項 5、6
・引用文献 1、2
・請求項 1、3、4、14
・引用文献 4
・請求項 5、6
・引用文献 4、2
・請求項 7
・引用文献 4、3
<引用文献等一覧>
引用文献1:特開平9-156316号公報(申立人が提出した甲第1号証)
引用文献2:特開2008-222075号公報(申立人が提出した甲第2号証)
引用文献3:特開2015-221650号公報(申立人が提出した甲第3号証)
引用文献4:特開2016-107842号公報(申立人が提出した甲第4号証)」
2.引用文献の記載事項、引用発明
(1)引用文献1
引用文献1には、図面とともに以下の記載がある(下線部は、当審が付与した。以下同様。)
・「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、方向性のトレッドパターンを有する空気入りラジアルタイヤに関し、更に詳しくは、良好なウェット性能とスノー性能とを共に備えたオールシーズン用タイヤに適した空気入りラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、良好なウェット性能を備えた空気入りラジアルタイヤとして、図3に示すように、タイヤ回転方向Rが一方向に指定されたトレッド面11に、タイヤ周方向Tに沿って左右に4本のストレート状の主溝12を設けると共に、タイヤセンターラインCL上にストレート状の周方向サブ溝13を配置し、この周方向サブ溝13から両タイヤ外側に向けて主溝12と交差しながら同一方向に傾斜して延在する幅方向のサブ溝14を配置し、これら主溝12とサブ溝13、14とにより左右に多数の方向性を有するブロック15を区画形成した構成がある。このようにトレッドパターンに方向性をもたせることにより、高い排水効果を確保するようにしている。」
・「【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の空気入りラジアルタイヤのトレッドパターンの一例を示す。図において、タイヤは矢印R方向に回転するように指示され、そのトレッド面1には、タイヤ周方向Tに沿ってストレート状の2本の主溝2が、タイヤセンターライン(接地幅中心)CLを挟んでトレッド中央部の左右に配置されている。
【0010】上記主溝2間には、タイヤ周方向Tに沿ってタイヤセンターラインCL上にストレート状の周方向サブ溝3aに設けられ、この周方向サブ溝3aから両主溝2に連通するようにして、タイヤ反回転方向R側に向けて傾斜するストレート状の幅方向サブ溝3bがそれぞれ形成され、それら主溝2とサブ溝3a、3bにより区画形成された多数のブロック4aからなる陸部4が設けられている。両幅方向サブ溝3bは、周方向サブ溝3aで交差せずに交互に接するようになっている。この2本の主溝2によりタイヤ外側に区画された両ショルダー領域には、各主溝2からタイヤ接地端Eに向けてタイヤ幅方向に延びるラグ溝5がタイヤ周方向Tに所定のピッチで配列されている。このラグ溝5は、タイヤ接地端Eを越えて延在し、タイヤ接地端Eの近傍からタイヤ外側に向かうラグ溝5の部分5aは、タイヤ反回転方向に向けて傾斜するようになっている。これら主溝2とラグ溝5とにより、ショルダー領域には多数のブロック6が区画形成されている。」
・「【0022】これらの各試験タイヤをリムサイズ15×61/2 JJのリムに装着し、空気圧200kPa として2500ccの乗用車に装着し、以下に示す測定条件により、ウェット性能と操縦安定性、及びスノー性能の評価試験を行ったところ、表1~4に示す結果を得た。
ウェット性能
ウェット路面において、水深平均10mmの平地を速度を上げていき、ハイドロプレーニング現象が発生するまでの限界速度を測定し、その結果を従来タイヤを100とする指数値で評価した。この指数値が大きい程ウェット性能が優れている。
操縦安定性
ドライサーキット路面において、パネラー(テストドライバー)によるフィーリングテストで評価した。その結果を従来タイヤを100とする指数値で示した。この指数値が大きい程操縦安定性が優れている。」
・図3には、従来技術として、以下の内容が示されている。
[図:0001390573000001.jpg]
・段落【0002】の下線部の記載事項と図3の図示内容からみて、
「トレッド面11を有する空気入りラジアルタイヤであって、
トレッド面11に、4本の主溝12で区分された5つの陸部が設けられており、
前記陸部はタイヤ周方向に沿ってストレート状に延びる左側のエッジ及び右側のエッジの間に踏面を有するセンターラインCL上に設けられた第1の陸部を含み、
前記第1の陸部には、前記左側のエッジから前記右側のエッジに向かって延び、前記第1の陸部内の周方向サブ溝13で途切れる周方向サブ溝13の左側の幅方向の複数のサブ溝14と、前記右側のエッジから前記左側のエッジに向かって延び、かつ、前記第1の陸部内の周方向サブ溝13で途切れる周方向サブ溝13の右側の幅方向の複数のサブ溝14と、周方向サブ溝13の左側の幅方向の全ての前記サブ溝14及び周方向サブ溝13の右側の幅方向の全ての前記サブ溝14と接続してタイヤ周方向に延びる周方向サブ溝13とが設けられ、
周方向サブ溝13の左側の幅方向の前記複数のサブ溝14は、前記左側のエッジからのびかつ前記周方向サブ溝13に接続しない幅広部と、前記幅広部より小さい溝幅を有しかつ、溝幅が一様な部分と前記周方向サブ溝13に接続する箇所において上側に溝幅が広がった部分とを有する幅狭部とを含み、周方向サブ溝13の右側の幅方向の前記複数のサブ溝14は、前記右側のエッジからのびかつ前記周方向サブ溝13に接続しない幅広部と、前記幅広部より小さい溝幅を有しかつ、溝幅が一様な部分と前記周方向サブ溝13に接続する箇所において上側に溝幅が広がった部分とを有する幅狭部とを含み、
前記幅狭部は前記幅広部よりも大きいタイヤ軸方向の長さを有している、
空気入りラジアルタイヤ。」が理解できる(ここで、左側、右側、及び上側というのは、それぞれ図3の図面上における左側、右側、及び上側のことを示している。)。
また、上記ラジアルタイヤが、乗用車用のタイヤであることは、段落【0001】、【0002】の記載から明らかである。
そうすると、段落【0001】、【0002】の記載と図3の図示内容からみて、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1-1」という。)が記載されていると認められる。
「トレッド面11を有する乗用車用の空気入りラジアルタイヤであって、
トレッド面11に、タイヤ周方向Tに沿って左右に4本のストレート状の主溝12を設けると共に、4本の主溝12で区分された5つの陸部が設けられており、
前記陸部はタイヤ周方向に沿ってストレート状に延びる左側のエッジ及び右側のエッジの間に踏面を有するセンターラインCL上に設けられた第1の陸部を含み、
前記第1の陸部には、前記左側のエッジから前記右側のエッジに向かって延び、前記第1の陸部内の周方向サブ溝13で途切れる周方向サブ溝13の左側の幅方向の複数のサブ溝14と、前記右側のエッジから前記左側のエッジに向かって延び、かつ、前記第1の陸部内の周方向サブ溝13で途切れる周方向サブ溝13の右側の幅方向の複数のサブ溝14と、周方向サブ溝13の左側の幅方向の全ての前記サブ溝14及び周方向サブ溝13の右側の幅方向の全ての前記サブ溝14と接続してタイヤ周方向に延びる周方向サブ溝13とが設けられ、
周方向サブ溝13の左側の幅方向の前記複数のサブ溝14は、前記左側のエッジからのびかつ前記周方向サブ溝13に接続しない幅広部と、前記幅広部より小さい溝幅を有しかつ、溝幅が一様な部分と前記周方向サブ溝13に接続する箇所において上側に溝幅が広がった部分とを有する幅狭部とを含み、周方向サブ溝13の右側の幅方向の前記複数のサブ溝14は、前記右側のエッジからのびかつ前記周方向サブ溝13に接続しない幅広部と、前記幅広部より小さい溝幅を有しかつ、溝幅が一様な部分と前記周方向サブ溝13に接続する箇所において上側に溝幅が広がった部分とを有する幅狭部とを含み、
前記幅狭部は前記幅広部よりも大きいタイヤ軸方向の長さを有している、
乗用車用の空気入りラジアルタイヤ。」
・図1には、以下の内容が示されている。
[図:0001390573000002.jpg]
・段落【0009】、【0010】の下線部の記載と図1の図示内容からみて、
「トレッド面1を有する空気入りラジアルタイヤであって、
トレッド面1には、タイヤ周方向に直線状に延びる左側のエッジ及び右側のエッジの間に踏面を有するセンターラインCLを含む陸部4が設けられ、
前記陸部4には、前記左側のエッジから前記右側のエッジに向かって延び、前記陸部4内の周方向サブ溝3aで途切れる周方向サブ溝3aの左側の複数の幅方向サブ溝3bと、前記右側のエッジから前記左側のエッジに向かって延び、かつ、前記陸部4内の周方向サブ溝3aで途切れる周方向サブ溝3aの右側の複数の幅方向サブ溝3bと、周方向サブ溝3の左側の全ての前記幅方向サブ溝3b及び周方向サブ溝13の右側の全ての前記幅方向サブ溝3bと接続してタイヤ周方向に延びる周方向サブ溝3aとが設けられ、
周方向サブ溝3aの左側の前記複数の幅方向サブ溝3bは、前記左側のエッジからのびかつ前記周方向サブ溝3aに接続しない幅広部と、前記幅広部より小さい溝幅を有しかつ、溝幅が一様な部分と前記周方向サブ溝3aに接続する箇所において上側に溝幅が広がった部分とを有する幅狭部とを含み、周方向サブ溝3aの右側の前記複数の幅方向サブ溝3bは、前記右側のエッジからのびかつ前記周方向サブ溝3aに接続しない幅広部と、前記幅広部より小さい溝幅を有しかつ、溝幅が一様な部分と前記周方向サブ溝3aに接続する箇所において上側に溝幅が広がった部分とを有する幅狭部とを含む、
空気入りラジアルタイヤ。」が理解できる(ここで、左側、右側、及び上側というのは、それぞれ図1の図面上における左側、右側、及び上側のことを示している。)。
また、上記ラジアルタイヤが、乗用車用のタイヤであることは、段落【0001】、【0022】の記載から明らかである。
そうすると、段落【0001】、【0009】、【0010】、【0022】の記載と図3の図示内容からみて、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1-2」という。)が記載されていると認められる。
「トレッド面1を有する乗用車用の空気入りラジアルタイヤであって
トレッド面1には、タイヤ周方向に直線状に延びる左側のエッジ及び右側のエッジの間に踏面を有するセンターラインCLを含む陸部4が設けられ、
前記陸部4には、前記左側のエッジから前記右側のエッジに向かって延び、前記陸部4内の周方向サブ溝3aで途切れる周方向サブ溝3aの左側の複数の幅方向サブ溝3bと、前記右側のエッジから前記左側のエッジに向かって延び、かつ、前記陸部4内の周方向サブ溝3aで途切れる周方向サブ溝3aの右側の複数の幅方向サブ溝3bと、周方向サブ溝3の左側の全ての前記幅方向サブ溝3b及び周方向サブ溝3aの右側の全ての前記幅方向サブ溝3bと接続してタイヤ周方向に延びる周方向サブ溝3aとが設けられ、
周方向サブ溝3aの左側の前記複数の幅方向サブ溝3bは、前記左側のエッジからのびかつ前記周方向サブ溝3aに接続しない幅広部と、前記幅広部より小さい溝幅を有しかつ、溝幅が一様な部分と前記周方向サブ溝3aに接続する箇所において上側に溝幅が広がった部分とを有する幅狭部とを含み、周方向サブ溝3aの右側の前記複数の幅方向サブ溝3bは、前記右側のエッジからのびかつ前記周方向サブ溝3aに接続しない幅広部と、前記幅広部より小さい溝幅を有しかつ、溝幅が一様な部分と前記周方向サブ溝3aに接続する箇所において上側に溝幅が広がった部分とを有する幅狭部とを含む、
乗用車用の空気入りラジアルタイヤ。」
(2)引用文献2
引用文献2には、図面とともに以下の記載がある。
・「【技術分野】
【0001】
この発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、タイヤの転がり抵抗を維持しつつタイヤのスノー制動性能およびウェット性能を向上できる空気入りタイヤに関する。」
・「【0044】
例えば、この実施例では、4本の周方向主溝21、22がトレッド部に形成されている(図1参照)。また、トレッド部センター領域には、隣り合う周方向主溝21、21(21、22)を繋ぐ複数の幅方向溝31(32)が配置されている。そして、これらの周方向主溝21、22および幅方向溝31、32により、トレッド部センター領域に3列のブロック列41、42が形成されている。・・・
【0045】
この空気入りタイヤ1では、(1)幅方向溝31(32)の溝幅wが幅方向溝31(32)の少なくとも一方の開口部にて拡大される。また、(2)この開口部における幅方向溝31(32)の溝深さが、最も浅い溝深さh1を有する第一溝底部311(321)と、第一溝底部311(321)よりも深い溝深さh2を有する第二溝底部312(322)と、第二溝底部312(322)よりも深い溝深さh3を有しつつ周方向主溝21(22)に至る第三溝底部313(323)とを含む複数段の溝底部により段階的に拡大される(図1~図5参照)。また、(3)幅方向溝31(32)の第一溝底部311(321)には、幅方向溝31(32)の溝幅wよりも狭い溝幅を有する細溝314(324)が形成される。」
・図2、図4からみて、幅狭部に対応する溝深さh2は幅広部に対応する開口部における最大の溝深さh3以下又はよりも小さいことが理解できる。
・図2、図4には、以下の内容が示されている。
【図2】
[図:0001390573000003.jpg]
【図4】
[図:0001390573000004.jpg]
そうすると、引用文献2には、以下の事項(以下、「引用文献2に記載された事項」という。)が記載されている。
「4本の周方向主溝21、22がトレッド部に形成された空気入りタイヤであって、
トレッド部センター領域には、隣り合う周方向主溝21、21(21、22)を繋ぐ複数の幅方向溝31(32)が配置され、
幅狭部に対応する溝深さh2は幅広部に対応する開口部における最大の溝深さh3以下又はよりも小さい、空気入りタイヤ。」
(3)引用文献3
引用文献3には、図面とともに以下の記載がある。
・「【請求項1】
トレッド部に、タイヤ赤道の両側をタイヤ周方向に連続してのびる1対のセンター主溝が設けられることにより、前記センター主溝間で区分されたセンター陸部を具え、かつ、回転方向が指定された空気入りタイヤであって、
前記センター陸部には、タイヤ赤道上をタイヤ周方向に連続してのびる1本のセンター細溝と、前記センター主溝から前記センター細溝を越えてのびかつ前記センター陸部内に位置する終端を有する複数本のセンターラグ溝とが設けられ、
前記センターラグ溝は、前記センター主溝と前記センター細溝との間をのび、タイヤ軸方向内側に向かって前記回転方向の先着側に傾斜しかつタイヤ軸方向に対する角度が20~40°である主部と、
前記センター細溝から前記終端までのび、前記主部とは逆向きに傾斜しかつタイヤ軸方向に対する角度が20~40°である副部とを有し、
前記センターラグ溝の前記センター主溝との連通位置での溝深さは、前記主部のタイヤ軸方向の内端での溝深さ、及び、前記センターラグ溝の前記終端での溝深さよりも大きいことを特徴とする空気入りタイヤ。」
・「【技術分野】
【0001】
本発明は、雪氷路性能、とりわけ雪路でのブレーキ性能とABSブレーキ性能とをバランス良く向上させた空気入りタイヤに関する。」
・「【0014】
センターラグ溝のセンター主溝との連通位置での溝深さは、主部のタイヤ軸方向の内端での溝深さ、及び、センターラグ溝の終端での溝深さよりも大きい。」
・「【0033】
センターラグ溝9は、センター主溝3からセンター細溝8を越えてのび、かつ、センター陸部5内に位置する終端10を有している。このようなセンターラグ溝9は、大きな接地圧が作用するセンター陸部において、タイヤ赤道Cを跨いでタイヤ軸方向に大きくのびる強固な雪柱を形成できる。従って、雪路でのブレーキ性能が向上する。
【0034】
センターラグ溝9は、第1陸部5Aに位置する終端10aを有する第1のセンターラグ溝9Aと、第2陸部5Bに位置する終端10bを有する第2のセンターラグ溝9Bとを含んでいる。本実施形態では、第1のセンターラグ溝9Aと第2のセンターラグ溝9Bとは、タイヤ周方向に交互に設けられている。これにより、センターラグ溝9のタイヤ周方向のエッジ成分が、バランス良く確保され、氷路性能が向上する。」
・「【0051】
副部12の溝深さD6は、センター細溝8の溝深さD3の0.85~1.15倍であるのが望ましい。」
・「【0053】
図3に示されるように、センター陸部5には、複数本のサイピング13が設けられている。本実施形態でのサイピング13は、センター細溝8とセンター主溝3との間を継ぐオープンタイプである。サイピング13は、ジグザグ状にのびている。このようなサイピング13は、タイヤ周方向及びタイヤ軸方向のエッジ成分を有する。従って、氷路性能が向上する。なお、センター陸部5に設けられたサイピング13は、このような態様に限定されるものではなく、例えば、セミオープンタイプやクローズドタイプのものでも良い。」
・図1、図3には、以下の内容が示されている。
【図1】
[図:0001390573000005.jpg]
【図3】
[図:0001390573000006.jpg]
そうすると、引用文献3には、以下の事項(以下、「引用文献3に記載された事項」という。)が記載されている。
「トレッド部に、タイヤ赤道Cの両側をタイヤ周方向に連続してのびる1対のセンター主溝3が設けられることにより、前記センター主溝3間で区分されたセンター陸部5を具えた、空気入りタイヤであって、前記センター陸部5には、タイヤ赤道C上をタイヤ周方向に連続してのびる1本のセンター細溝8と、前記センター主溝3から前記センター細溝8を越えてのびかつ前記センター陸部5内に位置する終端10を有する複数本のセンターラグ溝9とが設けられ、副部12の溝深さD6は、センター細溝8の溝深さD3の1.15倍である、空気入りタイヤ。」
(4)引用文献4
引用文献4には、図面とともに以下の記載がある。
・「【技術分野】
【0001】
本発明は、走行中のノイズ性能の悪化を抑制しつつ、砂地路におけるトラクション性能を向上しうる空気入りタイヤに関する。」
・「【背景技術】
【0002】
従来、雪路におけるトラクション性能を向上させるために、トレッド端側に設けられるショルダー横溝(ラグ溝)の溝幅を大きくした空気入りタイヤが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。このようなタイヤは、雪柱せん断力を高めてトラクション性能を向上しうる。
【0003】
しかしながら、このようなタイヤは、砂地路において、大きな溝容積を有するショルダー横溝が多量の砂や土を掘り起こし、タイヤが砂地路に深く沈み込んで、トラクション性能を十分に得ることができないという問題があった。また、大きな溝容積を有するタイヤは、乾燥アスファルト路面において、走行中に大きなノイズが生じやすいという問題もあった。
【0004】
一方、ショルダー横溝の溝幅を大きくすることなくトラクション性能を向上させるには、例えば、タイヤの内圧を低下させて、接地面積を増加させる方法がある。しかしながら、このような方法では、タイヤの剛性が不足して、耐久性や操縦安定性能が低下しやすいという問題があった。」
・「【0017】
前記「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES に記載の最大値、ETRTOであれば INFLATION PRESSUREとするが、タイヤが乗用車用である場合には一律に180kPaとする。」
・「【0023】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1、図2に示されるように、本実施形態の空気入りタイヤ1(以下、単に「タイヤ」ということがある)は、ドライアスファルト路面のみならず、砂地や積雪路、さらには泥濘地といった不整地を走行可能な4WD車等に好適に装着されるオールシーズン用タイヤである。
【0024】
このタイヤ1は、トレッド部2にタイヤ周方向にのびる複数本の縦溝3と、該縦溝3に交わる向きにのびる複数本の横溝4とを具える。
【0025】
前記縦溝3は、タイヤ赤道Cの両側をタイヤ周方向に直線状にのびる一対のクラウン縦溝7、7と、タイヤ軸方向の最外側に配される一対のショルダー縦溝8、8とからなる。これにより、トレッド部2は、クラウン縦溝7、7間をのびるクラウン陸部16、クラウン縦溝7とショルダー縦溝8との間をのびる一対のミドル陸部17、及びショルダー縦溝8とトレッド端2eとの間をのびる一対のショルダー陸部19に区分される。縦溝3は、図3に拡大して示されるように、例えば、溝深さD1が8mm~12mm程度に設定される。このような縦溝3は、トレッド部2の踏面2Tと路面との間に介在する水膜や砂等を取り込んで、排出しうる。」
・「【0027】
図1、図3に示されるように、前記クラウン縦溝7とショルダー縦溝8との間には、タイヤ周方向にのびる周方向細溝9が設けられる。この周方向細溝9は、例えば、溝幅W2が0.5mm~3mm程度、溝深さD2が4mm~8mm程度に設定される。これにより、ミドル陸部17は、周方向細溝9のタイヤ軸方向内側に配される内のミドル陸部17aと、周方向細溝9のタイヤ軸方向外側に配される外のミドル陸部17bとに区分される。このような周方向細溝9は、ミドル陸部17の陸部剛性を緩和し、耐摩耗性能を向上させるのに役立つ。
【0028】
図1、図2に示されるように、前記横溝4は、一対のクラウン縦溝7、7間をのびるクラウン横溝11、クラウン縦溝7と周方向細溝9との間をのびる内のミドル横溝12、周方向細溝9とショルダー縦溝8との間をのびる外のミドル横溝13、及びショルダー縦溝8と交わる交差部15を有しかつ該交差部15からタイヤ軸方向外側にのびるショルダー横溝14を含む。
【0029】
前記クラウン横溝11は、図3、図4に拡大して示されるように、タイヤ軸方向に対して25°~50°の角度α1で傾斜してのびる。また、クラウン横溝11は、クラウン縦溝7からタイヤ赤道C近傍にのびる細溝部11aと、該細溝部11aから他方のクラウン縦溝7へ溝幅を拡大させてのびる拡幅部11bとを含む。拡径部11bは、細溝部11aよりも大きな溝深さで形成される。このようなクラウン横溝11は、細溝部11aに取り込まれる水膜や砂等を、拡幅部11bから円滑に排出しうる。このクラウン横溝11は、例えば、細溝部11aの溝幅W3aが0.5mm~1.5mm程度、溝深さD3aが2mm~5mm程度、拡幅部11bの溝幅W3bが1mm~10mm程度、溝深さD3bが7mm~11mm程度に設定されるのが好ましい。
【0030】
さらに、本実施形態のクラウン横溝11は、細溝部11a及び拡幅部11bがタイヤ周方向で左右交互に入れ代わって形成される。このようなクラウン横溝11は、接地圧の高いクラウン陸部16の陸部剛性の偏りを抑制しうるので、偏摩耗を抑制しつつ、直進安定性を向上しうる。
【0031】
前記内のミドル横溝12は、図4に示されるように、前記クラウン横溝11と同方向かつタイヤ軸方向に対して25°~50°の角度α2で傾斜して直線状にのびる。このような内のミドル横溝12は、水膜や砂をクラウン縦溝7に円滑に案内しうる。この内のミドル横溝12は、例えば、溝幅W4が0.5mm~7mm程度、溝深さD4(図3に示す)が3mm~8mm程度に設定されるのが好ましい。
【0032】
本実施形態の内のミドル横溝12は、前記溝幅W4が、周方向細溝9からクラウン縦溝7に向かって漸増する第1の内のミドル横溝12Aと、クラウン縦溝7から周方向細溝9に向かって漸増する第2の内のミドル横溝12Bとを含み、これらは、タイヤ周方向で交互に配される。このような内のミドル横溝12も、接地圧の高い内のミドル陸部17aの陸部剛性の偏りを抑制しうるので、偏摩耗を抑制しつつ、直進安定性を向上しうる。
【0033】
前記外のミドル横溝13は、クラウン横溝11と同方向、かつタイヤ軸方向に対して25°~50°の角度α3で傾斜してのび、溝幅W5が、周方向細溝9からショルダー縦溝8にかけて漸増する。このような外のミドル横溝13は、水膜や砂等をショルダー縦溝8に円滑に案内しうる。また、外のミドル横溝13は、例えば、溝幅W5が1mm~8mm程度、溝深さD5(図3に示す)が3mm~8mm程度に設定されるのが望ましい。」
【0036】
前記内のミドル陸部17aは、内のミドル横溝12により、複数の内のミドルブロック22に区分される。この内のミドルブロック22の踏面22sも、タイヤ軸方向の幅B2よりも周方向長さC2が大きい縦長の平行四辺形状に形成され、トラクション性能及び旋回性能を向上しうる。好ましくは、前記幅B2がトレッド幅TWの、例えば4%~11%、前記周方向長さC2がトレッド幅TWの、例えば22%~32%に設定されるのが望ましい。
【0037】
また、前記内のミドルブロック22には、図4に示されるように、周方向細溝9からのびかつ該内のミドルブロック22内で終端する内のスロット26が設けられる。この内のスロット26は、該内のスロット26とタイヤ軸方向外側で隣り合う外のミドル横溝13と、傾斜方向を同一とし、周方向細溝9を介して実質的に連続するように設けられている。このような内のスロット26は、外のミドル横溝13と協働して排土性能及び排水性能を高めうる。
【0038】
前記外のミドル陸部17bは、図1に示されるように、外のミドル横溝13によって複数の外のミドルブロック23に区分され、この外のミドルブロック23の踏面23sも、縦長の平行四辺形状に形成される。好ましくは、タイヤ軸方向の幅B3がトレッド幅TWの、例えば5%~12%、周方向長さC3がトレッド幅TWの、例えば20%~30%に設定されるのが望ましい。
【0039】
また、前記外のミドルブロック23にも、図4に示されるように、周方向細溝9からのびかつ該外のミドルブロック23内で終端する外のスロット27が設けられる。この外のスロット27は、タイヤ軸方向内側で隣り合う内のミドル横溝12と、傾斜方向を同一としかつ周方向細溝9を介して実質的に連続するように設けられている。」
・図1、図4には、以下の内容が示されている。
【図1】
[図:0001390573000007.jpg]
【図4】
[図:0001390573000008.jpg]
・図1からみて、トレッド部2を有するタイヤ1と、4本の縦溝3で区分された5つの陸部16、17、17、19、19が設けられていることが看て取れる。
・段落【0036】~【0039】の記載事項と図4の図示内容からみて、陸部16、17、17、19、19は、タイヤ周方向に沿って略直線状に延びる左側のエッジ及び右側のエッジの間に踏面を有するミドル陸部17を含み、前記ミドル陸部17には、前記左側のエッジから前記右側のエッジに向かって延び、かつ、内のミドルブロック22内で終端する、外のミドル横溝13及び外のミドル横溝13と周方向細溝9を介して実質的に連続する内のスロット26と、前記右側のエッジから前記左側のエッジに向かって延び、かつ外のミドルブロック23内で終端する、内のミドル横溝12及び内のミドル横溝12と周方向細溝9を介して実質的に連続する外のスロット27と、前記外のミドル横溝13と前記内のミドル横溝12と接続してタイヤ周方向に延びる周方向細溝9とが設けられ、前記外のミドル横溝13と前記内のスロット26は、前記左側のエッジからのびかつ溝の幅を漸減させて前記周方向細溝9に接続され、前記内のミドル横溝12と前記外のスロット27は、前記右側のエッジからのびかつ溝の幅を漸減させて前記周方向細溝9に接続されることが理解できる。
さらに、図1からみて、図4の前記外のミドル横溝13と前記内のスロット26からなる溝と同様の機能を有する溝が複数あること、および、前記内のミドル横溝12と前記外のスロット27からなる溝と同様の機能を有する溝が複数あることが看てとれる。
また、図4からみて、前記外のミドル横溝13と前記内のスロット26からなる溝及び前記内のミドル横溝12と前記外のスロット27からなる溝は、前記周方向細溝9と交差していることが看て取れる。
ここで、図1、図4の図面上の左側、右側をそれぞれ左側、右側と認定した。
・段落【0002】~【0004】、【0017】の記載からみて、このタイヤは乗用車用のものでもあることは明らかである。
これらの記載事項及び図示内容からみて、引用文献4には、以下の発明(以下、「引用発明4」という。)が記載されていると認められる。
「トレッド部2を有する乗用車用の空気入りタイヤ1であって、
トレッド部2には、タイヤ周方向にのびる4本の縦溝3と、4本の縦溝3で区分された5つの陸部16、17、17、19、19が設けられており、
前記陸部16、17、17、19、19は、タイヤ周方向に沿って略直線状に延びる左側のエッジ及び右側のエッジの間に踏面を有するミドル陸部17を含み、前記ミドル陸部17には、前記左側のエッジから前記右側のエッジに向かって延び、かつ、内のミドルブロック22内で終端する、外のミドル横溝13及び外のミドル横溝13と周方向細溝9を介して実質的に連続する内のスロット26と、前記外のミドル横溝13と前記内のスロット26からなる溝は複数あり、前記右側のエッジから前記左側のエッジに向かって延び、かつ外のミドルブロック23内で終端する、内のミドル横溝12及び内のミドル横溝12と周方向細溝9を介して実質的に連続する外のスロット27と、前記内のミドル横溝12と前記外のスロット27からなる溝は複数あり、前記外のミドル横溝13と前記内のミドル横溝12と接続してタイヤ周方向に延びる周方向細溝9とが設けられ、前記外のミドル横溝13と前記内のスロット26からなる溝は、前記左側のエッジからのびかつ溝の幅を漸減させて前記周方向細溝9に接続され、前記内のミドル横溝12と前記外のスロット27からなる溝は、前記右側のエッジからのびかつ溝の幅を漸減させて前記周方向細溝9に接続され、
前記外のミドル横溝13と前記内のスロット26からなる溝及び前記内のミドル横溝12と前記外のスロット27からなる溝は、前記周方向細溝9と交差している、
乗用車用の空気入りタイヤ1。」
3.当審の判断
(1)<理由1>について
本件訂正請求による訂正により請求項1~7、14は、「全ての前記第1ラグ溝及び全ての前記第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる第1縦細溝」及び「前記第1ラグ溝は、前記第1エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、前記第2ラグ溝は、前記第2エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み」との事項を備えることとなった。
そして、当該訂正により、「タイヤ周方向に延びる第1縦細溝」に接続するのが「全ての前記第1ラグ溝及び全ての前記第2ラグ溝」であることが明確になるとともに、「前記第1ラグ溝」自体の構成と「前記第2ラグ溝」自体の構成が明確になったから、本件発明1~7、14は、明確になり、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。
(2)<理由2><理由3>について
ア.引用発明1-1を主引用発明とする場合について
(ア)本件発明1について
a.本件発明1と引用発明1-1とを対比すると、後者の「トレッド面11」は前者の「トレッド部」に相当し、以下同様に、「空気入りラジアルタイヤ」は「タイヤ」に、「主溝12」は「主溝」に、「ストレート状」は「直線状」に、「左側のエッジ」は「第1エッジ」に、「右側のエッジ」は「第2エッジ」に、「センターラインCL上」は「タイヤ赤道上」に、「第1の陸部」は「第1陸部」に、「周方向サブ溝13」は「第1縦細溝」に、「周方向サブ溝13の左側の幅方向の複数のサブ溝14」は「複数の第1ラグ溝」に、「周方向サブ溝13の右側の幅方向の複数のサブ溝14」は「複数の第2ラグ溝」に、「周方向サブ溝13の左側の幅方向の全ての前記サブ溝14」は「全ての前記第1ラグ溝」に、「周方向サブ溝13の右側の幅方向の全ての前記サブ溝14」は「全ての前記第2ラグ溝」に、「前記幅広部より小さい溝幅を有しかつ、溝幅が一様な部分と前記周方向サブ溝13に接続する箇所において上側に溝幅が広がった部分とを有する幅狭部」は「前記幅広部より小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部」に、それぞれ相当する。
b.上記a.の相当関係を踏まえると、後者の「トレッド面11を有する乗用車用の空気入りラジアルタイヤ」は、前者の「トレッド部を有するタイヤ」に相当する。
c.上記a.の相当関係を踏まえると、後者の「トレッド面11に、タイヤ周方向Tに沿って左右に4本のストレート状の主溝12を設けると共に、4本の主溝12で区分された5つの陸部が設けられて」いることは、前者の「前記トレッド部には、タイヤ周方向に連続してのびる4本の主溝で区分された5つの陸部が設けられて」いることに相当する。
d.上記a.の相当関係を踏まえると、後者の「前記陸部はタイヤ周方向に沿ってストレート状に延びる左側のエッジ及び右側のエッジの間に踏面を有するセンターラインCL上に設けられた第1の陸部を含」むことは、前者の「前記陸部は、タイヤ周方向に沿って直線状に延びる第1エッジ及び第2エッジの間に踏面を有するタイヤ赤道上に設けられた第1陸部を含」むことに相当する。
e.上記a.の相当関係を踏まえると、後者の「前記第1の陸部には、前記左側のエッジから前記右側のエッジに向かって延び、前記第1の陸部内の周方向サブ溝13で途切れる周方向サブ溝13の左側の幅方向の複数のサブ溝14と、前記右側のエッジから前記左側のエッジに向かって延び、かつ、前記第1の陸部内の周方向サブ溝13で途切れる周方向サブ溝13の右側の幅方向の複数のサブ溝14と、周方向サブ溝13の左側の幅方向の全ての前記サブ溝14及び周方向サブ溝13の右側の幅方向の全ての前記サブ溝14と接続してタイヤ周方向に延びる周方向サブ溝13とが設けられ」ることは、前者の「前記第1陸部には、前記第1エッジから前記第2エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第1ラグ溝と、前記第2エッジから前記第1エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第2ラグ溝と、全ての前記第1ラグ溝及び全ての前記第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる第1縦細溝とが設けられ」ていることに相当する。
f.上記a.の相当関係を踏まえると、後者の「周方向サブ溝13の左側の幅方向の前記複数のサブ溝14は、前記左側のエッジからのびかつ前記周方向サブ溝13に接続しない幅広部と、前記幅広部より小さい溝幅を有しかつ、溝幅が一様な部分と前記周方向サブ溝13に接続する箇所において溝幅が上側にやや広がった部分とを有する幅狭部とを含み、周方向サブ溝13の右側の幅方向の前記複数のサブ溝14は、前記右側のエッジからのびかつ前記周方向サブ溝13に接続しない幅広部と、前記幅広部より小さい溝幅を有しかつ、溝幅が一様な部分と前記周方向サブ溝13に接続する箇所において溝幅が上側にやや広がった部分とを有する幅狭部とを含」むことは、前者の「前記第1ラグ溝は、前記第1エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、前記第2ラグ溝は、前記第2エッジからのびかつ前記1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接信する幅狭部とを含」むことに相当する。
そうすると、本件発明1と引用発明1-1とは、
「トレッド部を有するタイヤであって、
前記トレッド部には、タイヤ周方向に連続してのびる4本の主溝で区分された5つの陸部が設けられており、
前記陸部は、タイヤ周方向に沿って直線状に延びる第1エッジ及び第2エッジの間に踏面を有するタイヤ赤道上に設けられた第1陸部を含み、
前記第1陸部には、前記第1エッジから前記第2エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第1ラグ溝と、前記第2エッジから前記第1エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第2ラグ溝と、全ての前記第1ラグ溝及び全ての前記第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる第1縦細溝とが設けられ、
前記第1ラグ溝は、前記第1エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、
前記第2ラグ溝は、前記第2エッジからのびかつ前記1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接信する幅狭部とを含む、
タイヤ。」において一致し、以下の点で相違すると認められる。
<相違点1>
本件発明1では、「前記第1ラグ溝の前記幅狭部及び前記第2ラグ溝の前記幅狭部は、それぞれ、溝幅が1.5mm未満である」のに対して、引用発明1-1では、そのような特定はない点。
g.相違点1についての判断
引用発明1-1の複数のサブ溝14(第1ラグ溝及び第2ラグ溝)について、引用文献1の明細書や図面には、その溝幅をどのような数値範囲にするかについて記載も示唆もない。
また、引用文献2及び引用文献3には、溝幅を具体的に特定する記載はなく、引用文献3のセンターラグ溝9は、ジグザグ状にのびている切り込みとしてのサイピング13と区別して記載されていることから、相違点1に係る技術思想を備えるものではない。
そして、本件発明1は、相違点1に係る構成を備えることで、特に段落【0046】に記載された「このような幅狭部19は、ドライ路面での操縦安定性及び騒音性能を高めることができる。」との格別の作用効果を奏するものである。
したがって、本件発明1は、引用発明1-1ではなく、引用発明1-1及び引用文献2、3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
さらに、引用文献4の段落【0029】にタイヤ赤道C近傍に延びるクラウン横溝11の細溝部11aの溝幅W3aが0.5mm~1.5mm程度との記載はあるが、クラウン横溝11は、陸部で途切れている溝ではなく、細溝部11aに取り込まれる水膜や砂等を、拡幅部11bから円滑に排出しうるものであるから、引用発明1-1のように第1陸部で途切れるサブ溝14(ラグ溝)とは、機能が異なるものであり、クラウン横溝11の細溝部11aの溝幅を、第1陸部で途切れるサブ溝14(ラグ溝)に適用することは想定し得ないものである。
したがって、本件発明1は、引用発明1-1及び引用文献2、3、4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(イ)本件発明2~7について
本件発明2~7は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定して他の発明特定事項を付加したものであるから、本件発明1と同様の理由により、引用発明1-1ではなく、引用発明1-1及び引用文献2、3、4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(ウ)本件発明14について
a.本件発明14と引用発明1-1とを対比すると、後者の「乗用車用の空気入りラジアルタイヤ」は前者の「乗用車用タイヤ」に相当し、後者の「幅狭部は」「前記周方向サブ溝13に接続する」ことと、前者の「前記幅狭部は、前記第1縦細溝と交差している」こととは、「前記幅狭部は、前記第1縦細溝と接続している」ことにおいて共通し、上記(1)の本件発明1と引用発明1-1の対比を参照すると、両者は、
「トレッド部を有する乗用車用タイヤであって、
前記トレッド部には、タイヤ周方向に沿って直線状に延びる第1エッジ及び第2エッジの間に踏面を有する第1陸部がタイヤ赤道上に設けられ、
前記第1陸部には、前記第1エッジから前記第2エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第1ラグ溝と、前記第2エッジから前記第1エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第2ラグ溝と、全ての前記第1ラグ溝及び全ての前記第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる第1縦細溝とが設けられ、
前記第1ラグ溝は、前記第1エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、
前記第2ラグ溝は、前記第2エッジからのびかつ前記1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接信する幅狭部とを含み、
前記幅狭部は、前記第1縦細溝と接続している、
乗用車用タイヤ。」
の点で一致し、以下の点で相違すると認められる。
<相違点2>
本件発明14では、「前記第1ラグ溝の前記幅狭部及び前記第2ラグ溝の前記幅狭部は、それぞれ、溝幅が1.5mm未満である」のに対して、引用発明1-1では、そのような特定はない点。
<相違点3>
本件発明14では、「前記幅狭部は、前記第1縦細溝と交差している」のに対して、引用発明1-1では、「前記幅狭部は周方向サブ溝13に接続している」ものの、交差しているとまではいえない点。
b.相違点についての判断
事案に鑑み、まず、相違点2から検討する。
相違点2は、本件発明1と引用発明1-1との相違点1と同様である。
そうすると、相違点2に係る本件発明14の構成は、上記(ア)g.と同様の理由により、引用発明1-1、引用文献2、3、4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
したがって、本件発明14は、相違点3について検討するまでもなく、引用発明1-1、引用文献2、3、4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
イ.引用発明1-2を主引用発明とする場合について
(ア)本件発明14について
a.本件発明14と引用発明1-2とを対比すると、後者の「トレッド面1」は前者の「トレッド部」に相当し、以下同様に、「乗用車用の空気入りラジアルタイヤ」は「乗用車用タイヤ」に、「左側のエッジ」は「第1エッジ」に、「右側のエッジ」は「第2エッジ」に、「センターラインCL」は「タイヤ赤道」に、「陸部4」は「第1陸部」に、「周方向サブ溝3a」は「第1縦細溝」に、「周方向サブ溝3aの左側の複数の幅方向サブ溝3b」は「複数の第1ラグ溝」に、「周方向サブ溝3aの右側の複数の幅方向サブ溝3b」は「複数の第2ラグ溝」に、「周方向サブ溝3の左側の全ての前記幅方向サブ溝3b」は「全ての前記第1ラグ溝」に、「周方向サブ溝3aの右側の全ての前記幅方向サブ溝3b」は「全ての前記第2ラグ溝」に、「前記幅広部より小さい溝幅を有しかつ、溝幅が一様な部分と前記周方向サブ溝3aに接続する箇所において上側に溝幅が広がった部分とを有する幅狭部」は「前記幅広部より小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部」に、それぞれ相当する。
b.上記a.の相当関係を踏まえると、後者の「トレッド面1を有する乗用車用の空気入りラジアルタイヤ」は、前者の「トレッド部を有する乗用車用タイヤ」に相当する。
c.上記a.の相当関係を踏まえると、後者の「トレッド面1には、タイヤ周方向に直線状に延びる左側のエッジ及び右側のエッジの間に踏面を有するセンターラインCLを含む陸部4が設けられ」ることは、前者の「前記トレッド部には、タイヤ周方向に沿って直線状に延びる第1エッジ及び第2エッジの間に踏面を有する第1陸部がタイヤ赤道上に設けられ」ることに相当する。
d.上記a.の相当関係を踏まえると、後者の「前記陸部4には、前記左側のエッジから前記右側のエッジに向かって延び、前記陸部4内の周方向サブ溝3aで途切れる周方向サブ溝3aの左側の複数の幅方向サブ溝3bと、前記右側のエッジから前記左側のエッジに向かって延び、かつ、前記陸部4内の周方向サブ溝3aで途切れる周方向サブ溝3aの右側の複数の幅方向サブ溝3bと、周方向サブ溝3の左側の全ての前記幅方向サブ溝3b及び周方向サブ溝3aの右側の全ての前記幅方向サブ溝3bと接続してタイヤ周方向に延びる周方向サブ溝3aとが設けられ」ることは、前者の「前記第1陸部には、前記第1エッジから前記第2エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第1ラグ溝と、前記第2エッジから前記第1エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第2ラグ溝と、全ての前記第1ラグ溝及び全ての前記第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる第1縦細溝とが設けられ」ていることに相当する。
e.上記a.の相当関係を踏まえると、後者の「周方向サブ溝3aの左側の前記複数の幅方向サブ溝3bは、前記左側のエッジからのびかつ前記周方向サブ溝3aに接続しない幅広部と、前記幅広部より小さい溝幅を有しかつ、溝幅が一様な部分と前記周方向サブ溝3aに接続する箇所において上側に溝幅が広がった部分とを有する幅狭部とを含み、周方向サブ溝3aの右側の前記複数の幅方向サブ溝3bは、前記右側のエッジからのびかつ前記周方向サブ溝3aに接続しない幅広部と、前記幅広部より小さい溝幅を有しかつ、溝幅が一様な部分と前記周方向サブ溝3aに接続する箇所において上側に溝幅が広がった部分とを有する幅狭部とを含む」ことは、前者の「前記第1ラグ溝は、前記第1エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、前記第2ラグ溝は、前記第2エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含」むことに相当する。
f.上記a.の相当関係を踏まえると、後者の「幅狭部」は「周方向サブ溝3aに接続」していることと、前者の「前記幅狭部は、前記第1縦細溝と交差している」こととは、「前記幅狭部は、前記第1縦細溝と接続している」ことにおいて共通する。
そうすると、両者は、
「トレッド部を有する乗用車用タイヤであって、
前記トレッド部には、タイヤ周方向に沿って直線状に延びる第1エッジ及び第2エッジの間に踏面を有する第1陸部がタイヤ赤道上に設けられ、
前記第1陸部には、前記第1エッジから前記第2エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第1ラグ溝と、前記第2エッジから前記第1エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第2ラグ溝と、全ての前記第1ラグ溝及び全ての前記第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる第1縦細溝とが設けられ、
前記第1ラグ溝は、前記第1エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、
前記第2ラグ溝は、前記第2エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、
前記幅狭部は、前記第1縦細溝と接続している、
乗用車用タイヤ。」
において一致し、以下の点で相違すると認められる。
<相違点4>
本件発明14では、「前記第1ラグ溝の前記幅狭部及び前記第2ラグ溝の前記幅狭部は、それぞれ、溝幅が1.5mm未満である」のに対して、引用発明1-2では、そのような特定はない点。
<相違点5>
本件発明14では、「前記幅狭部は、前記第1縦細溝と交差している」のに対して、引用発明1-2では、「前記幅狭部は周方向サブ溝13に接続している」ものの、交差しているとまではいえない点。
g.相違点についての判断
事案に鑑み、まず、相違点4から検討する。
相違点4は、本件発明1と引用発明1-1との相違点1と同様である。
そうすると、相違点4に係る本件発明14の構成は、上記(ア)g.と同様の理由により、引用発明1-2、引用文献2、3、4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
したがって、本件発明14は、相違点5について検討するまでもなく、引用発明1-2、引用文献2、3、4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
ウ.引用発明4を主引用発明とする場合について
(ア)本件発明1について
a.本件発明1と引用発明4とを対比すると、後者の「トレッド部2」は前者の「トレッド部」に、以下同様に、「空気入りタイヤ1」は「タイヤ」に、「縦溝3」は「主溝」に、「陸部16、17、17、19、19」は「陸部」に、「左側のエッジ」は「第1エッジ」に、「右側のエッジ」は「第2エッジ」に、「ミドル陸部17」は「第1陸部」に、「内のミドルブロック22」は「ミドル陸部17」内にあるから「内のミドルブロック22内で終端する」ことは「第1陸部内で途切れる」ことに、「外のミドル横溝13及び外のミドル横溝13と周方向細溝9を介して実質的に連続する内のスロット26」又は「前記外のミドル横溝13と前記内のスロット26からなる溝」は「第1ラグ溝」に、「内のミドル横溝12及び内のミドル横溝12と周方向細溝9を介して実質的に連続する外のスロット27」又は「前記内のミドル横溝12と前記外のスロット27からなる溝」は「第2ラグ溝」に、「周方向細溝9」は「第1縦細溝」に、それぞれ相当する。
b.上記a.の相当関係を踏まえると、後者の「トレッド部2を有する乗用車用の空気入りタイヤ1」は前者の「トレッド部を有するタイヤ」に相当する。
c.上記a.の相当関係を踏まえると、後者の「トレッド部2にタイヤ周方向にのびる4本の縦溝3と、4本の縦溝3で区分された5つの陸部16、17、17、19、19が設けられて」いることは、前者の「前記トレッド部には、タイヤ周方向に連続してのびる4本の主溝で区分された5つの陸部が設けられて」いることに相当する。
d.上記a.の相当関係を踏まえると、後者の「前記陸部16、17、17、19、19は、タイヤ周方向に沿って略直線状に延びる左側のエッジ及び右側のエッジの間に踏面を有するミドル陸部17を含」むことは、前者の「前記陸部は、タイヤ周方向に沿って直線状に延びる第1エッジ及び第2エッジの間に踏面を有するタイヤ赤道上に設けられた第1陸部を含」むこととは、「前記陸部は、タイヤ周方向に沿って略直線状に延びる第1エッジ及び第2エッジの間に踏面を有する第1陸部を含」むことにおいて共通する。
e.上記a.の相当関係を踏まえると、後者の「前記ミドル陸部17には、前記左側のエッジから前記右側のエッジに向かって延び、かつ、内のミドルブロック22内で終端する、外のミドル横溝13及び外のミドル横溝13と周方向細溝9を介して実質的に連続する内のスロット26と、前記外のミドル横溝13と前記内のスロット26からなる溝は複数あり、前記右側のエッジから前記左側のエッジに向かって延び、かつ外のミドルブロック23内で終端する、内のミドル横溝12及び内のミドル横溝12と周方向細溝9を介して実質的に連続する外のスロット27と、前記内のミドル横溝12と前記外のスロット27からなる溝は複数あり、前記外のミドル横溝13と前記内のミドル横溝12と接続してタイヤ周方向に延びる周方向細溝9とが設けられ」ることは、前者の「前記第1陸部には、前記第1エッジから前記第2エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第1ラグ溝と、前記第2エッジから前記第1エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第2ラグ溝と、全ての前記第1ラグ溝及び全ての前記第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる第1縦細溝とが設けられ」ることに相当する。
f.上記a.の相当関係を踏まえると、後者の「前記外のミドル横溝13と前記内のスロット26からなる溝は、前記左側のエッジからのびかつ溝の幅を漸減させて前記周方向細溝9に接続され、前記内のミドル横溝12と前記外のスロット27からなる溝は、前記右側のエッジからのびかつ溝の幅を漸減させて前記周方向細溝9に接続される」ことと、前者の「前記第1ラグ溝は、前記第1エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、前記第2ラグ溝は、前記第2エッジからのびかつ前記1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接信する幅狭部とを含」むこととは、「前記第1ラグ溝は、前記第1エッジからのびかつ前記第1縦細溝の側でない幅の広い側の部分と、前記幅の広い側の部分よりも小さい溝幅となり前記第1縦細溝に接続する前記第1縦細溝の側となる幅の狭い側の部分とを含み、前記第2ラグ溝は、前記第2エッジからのびかつ前記第1縦細溝の側でない幅の広い側の部分と、前記幅の広い側の部分よりも小さい溝幅となり前記第1縦細溝に接続する前記第1縦細溝の側となる幅の狭い側の部分とを含」むことにおいて共通する。
g.そうすると、両者は、
「トレッド部を有するタイヤであって、
前記トレッド部には、タイヤ周方向に連続してのびる4本の主溝で区分された5つの陸部が設けられており、
前記陸部は、タイヤ周方向に沿って略直線状に延びる第1エッジ及び第2エッジの間に踏面を有する第1陸部を含み、
前記第1陸部には、前記第1エッジから前記第2エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第1ラグ溝と、前記第2エッジから前記第1エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第2ラグ溝と、全ての前記第1ラグ溝及び全ての前記第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる第1縦細溝とが設けられ、
前記第1ラグ溝は、前記第1エッジからのびかつ前記第1縦細溝の側でない幅の広い側の部分と、前記幅の広い側の部分よりも小さい溝幅となり前記第1縦細溝に接続する前記第1縦細溝の側となる幅の狭い側の部分とを含み、
前記第2ラグ溝は、前記第2エッジからのびかつ前記第1縦細溝の側でない幅の広い側の部分と、前記幅の広い側の部分よりも小さい溝幅となり前記第1縦細溝に接続する前記第1縦細溝の側となる幅の狭い側の部分とを含む、
タイヤ。」
において、一致し、以下の各点において相違する。
<相違点4-1>
タイヤ周方向に沿って略直線状に延びる第1エッジ及び第2エッジの間に踏面を有する第1陸部に関して、「略直線状」が、本件発明1では、「直線状」であるのに対して、引用発明4では、直線状とまではいえないとともに、第1陸部が、本件発明1では、「タイヤ赤道上に設けられた」ものであるのに対して、引用発明4では、「ミドル陸部17」である点。
<相違点4-2>
前記第1ラグ溝は、前記第1エッジからのびかつ前記第1縦細溝の側でない幅の広い側の部分と、前記幅の広い側の部分よりも小さい溝幅となり前記第1縦細溝に接続する前記第1縦細溝の側となる幅の狭い側の部分とを含み、前記第2ラグ溝は、前記第2エッジからのびかつ前記第1縦細溝の側でない幅の広い側の部分と、前記幅の広い側の部分よりも小さい溝幅となり前記第1縦細溝に接続する前記第1縦細溝の側となる幅の狭い側の部分とを含む、ことに関して、本件発明1では、
「前記第1ラグ溝は、前記第1エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、前記第2ラグ溝は、前記第2エッジからのびかつ前記1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接信する幅狭部とを含」むのに対して、引用発明4では、「前記外のミドル横溝13と前記内のスロット26からなる溝は、前記左側のエッジからのびかつ溝の幅を漸減させて前記周方向細溝9に接続され、前記内のミドル横溝12と前記外のスロット27からなる溝は、前記右側のエッジからのびかつ溝の幅を漸減させて前記周方向細溝9に接続される」点。
<相違点4-3>
本件発明1では、前記第1ラグ溝の前記幅狭部及び前記第2ラグ溝の前記幅狭部は、それぞれ、溝幅が1.5mm未満であるのに対して、引用発明4では、そのような特定はなされていない点。
h.相違点についての判断
相違点4-1のうち、第1陸部が、本件発明1では「タイヤ赤道面上に設けられた」ものであるに対して、引用発明4では、「ミドル陸部17」であることについて、まず検討する。
引用文献2には、第1縦細溝が設けられた第1陸部を特定できるものではなく、相違点4-1に係る本件発明1の発明特定事項が、記載も示唆もされていない。
引用文献3は、第1縦細溝が設けられた第1陸部がタイヤ赤道上に設けられているものの、引用発明4は、周方向細溝9が設けられたミドル陸部17を特定するものであり、引用発明4のミドル陸部17をタイヤ赤道上に設ける動機付けがない。
相違点4-3は相違点1と同じであり、上記アで説示したとおり、引用文献4、引用文献2及び引用文献3には、相違点4-3に係る本件発明1の構成について記載も示唆もなく、引用発明4及び引用文献2、3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、相違点4-2について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明4及び引用文献2、3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(イ)本件発明2~7について
本件発明2~7は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定して他の発明特定事項を付加したものであるから、本件発明1と同様の理由により、引用発明4及び引用文献2、3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(ウ)本件発明14について
a.対比
本件発明14と引用発明4とを対比すると、後者の「乗用車用の空気入りタイヤ1」は前者の「乗用車用タイヤ」に相当し、以下、本件発明1と引用発明4との対比を参照すると、後者の「前記外のミドル横溝13と前記内のスロット26からなる溝及び前記内のミドル横溝12と前記外のスロット27からなる溝は、前記周方向細溝9と交差している」ことと、前者の「前記幅狭部は、前記第1縦細溝と交差している」こととは、「前記第1縦細溝の側となる幅の狭い側の部分は、前記第1縦細溝と交差している」ことにおいて共通する。
そうすると、両者は、
「トレッド部を有する乗用車用タイヤであって、
前記トレッド部には、タイヤ周方向に沿って略直線状に延びる第1エッジ及び第2エッジの間に踏面を有する第1陸部が設けられ、
前記第1陸部には、前記第1エッジから前記第2エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第1ラグ溝と、前記第2エッジから前記第1エッジに向かって延び、かつ、前記第1陸部内で途切れる複数の第2ラグ溝と、全ての前記第1ラグ溝及び全ての前記第2ラグ溝と接続してタイヤ周方向に延びる第1縦細溝とが設けられ、
前記第1ラグ溝は、前記第1エッジからのびかつ前記第1縦細溝の側でない幅の広い側の部分と、前記幅の広い側の部分よりも小さい溝幅となり前記第1縦細溝に接続する前記第1縦細溝の側となる幅の狭い側の部分とを含み、
前記第2ラグ溝は、前記第2エッジからのびかつ前記第1縦細溝の側でない幅の広い側の部分と、前記幅の広い側の部分よりも小さい溝幅となり前記第1縦細溝に接続する前記第1縦細溝の側となる幅の狭い側の部分とを含み、
前記第1縦細溝の側となる幅の狭い側の部分は、前記第1縦細溝と交差している、
乗用車用タイヤ」
において、一致し、以下の各点において相違する。
<相違点4-1’>
タイヤ周方向に沿って略直線状に延びる第1エッジ及び第2エッジの間に踏面を有する第1陸部に関して、「略直線状」が本件発明14では、「直線状」であるのに対して、引用発明4では、直線状とまではいえないとともに、第1陸部が、本件発明14では、「タイヤ赤道上に設けられた」ものであるのに対して、引用発明4では、「ミドル陸部17」である点。
<相違点4-2’>
前記第1ラグ溝は、前記第1エッジからのびかつ前記第1縦細溝の側でない幅の広い側の部分と、前記幅の広い側の部分よりも小さい溝幅となり前記第1縦細溝に接続する前記第1縦細溝の側となる幅の狭い側の部分とを含み、前記第2ラグ溝は、前記第2エッジからのびかつ前記第1縦細溝の側でない幅の広い側の部分と、前記幅の広い側の部分よりも小さい溝幅となり前記第1縦細溝に接続する前記第1縦細溝の側となる幅の狭い側の部分とを含む、ことに関して、本件発明14では、「前記第1ラグ溝は、前記第1エッジからのびかつ前記第1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接続する幅狭部とを含み、前記第2ラグ溝は、前記第2エッジからのびかつ前記1縦細溝に接続しない幅広部と、前記幅広部よりも小さい溝幅を有しかつ前記第1縦細溝に接信する幅狭部とを含」むのに対して、引用発明4では、「前記外のミドル横溝13と前記内のスロット26からなる溝は、前記左側のエッジからのびかつ溝の幅を漸減させて前記周方向細溝9に接続され、前記内のミドル横溝12と前記外のスロット27からなる溝は、前記右側のエッジからのびかつ溝の幅を漸減させて前記周方向細溝9に接続される」点。
<相違点4-3’>
本件発明14では、前記第1ラグ溝の前記幅狭部及び前記第2ラグ溝の前記幅狭部は、それぞれ、溝幅が1.5mm未満であるのに対して、引用発明4では、そのような特定はなされていない点。
b.相違点についての判断
上記(ア)h.と同様の理由により、<相違点4-2’>について検討するまでもなく、本件発明14は、引用発明4及び引用文献2、3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人は、本件発明1~7、14は、甲第1号証乃至甲第4号証の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができた旨主張する。
しかしながら、「第4 3.(2).ア.」や「第4 3.(2).イ.」で検討したように、本件発明1~7、14は、引用発明1-1、引用文献2、3、4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、また、引用発明1-2、引用文献2、3、4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、申立人の上記主張は採用することができない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び証拠によっては、本件発明1~7、14に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1~7、14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-701117