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特許異議申立

2021-701066

硬化性組成物

審判番号
2021-701066
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-162896外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
6889688
請求日
2021年11月11日
審決日
2022年04月21日
公報発行日
2022年06月24日
結論
維持
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.537-Y (C08L) / P1651.121-Y (C08L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6889688号発明「硬化性組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6889688号の請求項に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6889688号(請求項の数6。以下、「本件特許」という。)は、平成30年8月31日を出願日とする特許出願(特願2018-162896号)に係るものであって、令和3年5月25日に設定登録されたものである(特許掲載公報の発行日は、令和3年6月18日である。)。 その後、令和3年11月11日に、本件特許の請求項1~6に係る特許に対して、特許異議申立人である森川真帆(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされた。 第2 本件発明 特許第6889688号の特許請求の範囲の記載は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1~6に記載される以下のとおりのものである。(以下、請求項1~6に記載された事項により特定される発明を「本件発明1」~「本件発明6」といい、まとめて「本件発明」ともいう。また、本件特許の願書に添付した明細書を「本件明細書」という。) 「【請求項1】 現場発泡フォーム形成用の硬化性組成物であって、 ポリオール化合物、発泡剤、触媒、難燃剤、染料、及びポリイソシアネート化合物を含有し、 該難燃剤が、液状リン化合物及び粉状リン化合物を含み、 該染料が、金属錯塩染料を含む、 ことを特徴とする硬化性組成物。 【請求項2】 上記液状リン化合物の混合量は、上記ポリオール化合物100重量部に対して、30重量部以上900重量部以下であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。 【請求項3】 上記金属錯塩染料の混合量は、上記ポリオール化合物100重量部に対して、0.01重量部以上1重量部以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の硬化性組成物。 【請求項4】 上記粉状リン化合物が、ホスフィン酸塩化合物を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の硬化性組成物。 【請求項5】 上記粉状リン化合物の混合量は、上記ポリオール化合物100重量部に対して、10重量部以上200重量部以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の硬化性組成物。 【請求項6】 上記液状リン化合物と上記粉状リン化合物の混合比率(重量比率)が、90:10~50:50であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の硬化性組成物。」 第3 異議申立ての理由の概要及び証拠方法 異議申立人の申立ての理由の概要及び証拠方法は、以下のとおりである。 1 申立理由の概要 (1)申立理由1 本件の特許請求の範囲の請求項1~6の記載は、同各項に記載された特許を受けようとする発明が、概略下記の点で、特許法第36条第6項第1号に適合するものではない。 よって、本件発明1~6に係る特許は、同法第36条第6項に規定する要件を満たさない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。 記 理由1-1:本件明細書の段落【0005】の記載からみて、本件発明の現場発泡フォーム形成用の硬化性組成物は、優れた断熱性、耐熱性とともに、優れた美観性を有する発泡フォームを形成できる硬化性組成物を提供することを、発明が解決しようとする課題とするものであり、本件明細書の実施例1~16の硬化性組成物及び段落【0034】の記載からみて、本件発明では現場発泡フォーム形成用の硬化性組成物の「イソシアネート指数」を特定の範囲とすることにより、耐熱性に優れた発泡フォームを形成できるものといえるところ、本件発明1~6には、「イソシアネート指数」については何ら規定していない。 理由1-2:本件明細書の実施例1~16の硬化性組成物では、「粉状リン化合物」として「トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム」及び「ホスフィン酸ナトリウム」、「液状リン化合物」として「トリス(クロロプロピル)ホスフェート」という特定構造の化合物を、特定の量を配合した組成物について本件発明の効果を確認しているのみであり、あらゆる構造の粉状リン化合物と液状リン化合物を、あらゆる配合量で用いた場合にも、実施例1~16の硬化性組成物と同様に、断熱性、耐熱性および美観性を有する発泡フォームを形成できるとはいえない。 理由1-3:本件明細書の段落【0025】には、難燃剤として液状リン化合物と併せて粉状リン化合物を用いることの効果として「フォームの難燃性を向上させることができる」と記載されているが、実施例10は粉状リン化合物を含まない硬化性組成物が記載され、他の実施例に比べて難燃性に劣ることは何ら実証されていないことから、難燃剤として液状リン化合物と併せて粉状リン化合物を用いることの効果を確認できない。 (2)申立理由2 理由2-1 本件発明1~6に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である甲第1号証に記載された発明及び甲第3~4号証に記載された技術的事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから、本件発明1~6に係る特許は同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 理由2-2 本件発明1~6に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である甲第2号証に記載された発明及び甲第3~7号証に記載された技術的事項に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから、本件発明1~6に係る特許は同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 2 証拠方法 甲第1号証:豪国特許出願公開第199959328号明細書及びその一部の翻訳文 甲第2号証:特開平11-246754号公報 甲第3号証:特開昭51-129495号公報 甲第4号証:中国特許出願公開第105330818号明細書及びその一部の翻訳文 甲第5号証:「吹付け硬質ウレタンフォーム新発泡剤製品のご紹介」、ウレタンフォーム工業会、2017年11月10日発行、1~2頁 甲第6号証: 「日本工業規格JIS A 9526 建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォーム 平成27年12月21日改正 日本工業標準調査会 審議」、一般財団法人日本規格協会、平成27年12月21日第1刷発行、表紙、1~6頁、奥付 甲第7号証:「ポリウレタン原料について 安全取扱いの手引き」、ウレタン原料工業会、2014年4月 第7版発行、表紙、1~6頁および37頁、奥付 第4 本件明細書及び各甲号証に記載された事項 申立人が提示した甲第1号証ないし甲第8号証について記載された事項を以下に確認する。 1 本件明細書に記載された事項 本件明細書には、以下の事項が記載されている。 (本a)「【技術分野】 【0001】 本発明は、現場発泡フォーム形成に適した硬化性組成物に関する。本発明の硬化性組成物は、優れた断熱性、耐熱性とともに、美観性に優れたフォームを形成することができるものである。 【0002】 一般に建築構造物においては、難燃材料とともに、断熱性能を高めるため断熱材が施工されている。 このような断熱材としては、主にウレタンフォーム、フェノールフォーム、スチレンフォーム等の有機断熱材が用いられている。例えばウレタンフォームは、断熱性に優れていること、比較的低コストで施工できること等の特徴を有することから広範に用いられている。 近年ではウレタンフォームの耐熱性向上にともない、ウレタンフォーム単独で使用できるようになったこと、また、表面材として使用できるようになったことから、さらなる用途の拡大が期待されている。(例えば特許文献1、2等) ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 ところが、このようなウレタンフォームは用途拡大にともない、人目につく箇所にも採用されるようになると、表面の美観性が問題視されるようになってきており、用途拡大には表面の美観性向上が急務となっている。 【課題を解決するための手段】 【0005】 本発明者らは、上記問題を解決するために鋭意検討した結果、ポリオール化合物、発泡剤、触媒、難燃剤として液状リン化合物、染料として金属錯塩染料、ポリイソシアネート化合物を含む硬化性組成物が、優れた断熱性、耐熱性とともに、優れた美観性を有することを見出し、本発明の完成に至った。 ・・・ 【発明の効果】 【0007】 本発明によれば、優れた断熱性、耐熱性とともに、色ムラ等がなく優れた美観性を有するフォームが形成できる。」 (本b)「【0009】 本発明の硬化性組成物は、フォーム形成用として適用できるものであり、必須成分として、ポリオール化合物、発泡剤、触媒、難燃剤、染料、及びポリイソシアネート化合物を含有する。 【0010】 ポリオール化合物としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリペンタジエンポリオール、ひまし油系ポリオール等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。」 (本c)「【0014】 発泡剤としては、例えば、ハイドロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィン、水、液化炭酸ガス等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。 ・・・ 【0017】 発泡剤の混合量は、ポリオール化合物100重量部に対して、好ましくは10重量部以上200重量部以下、より好ましくは20重量部以上180重量部以下、さらに好ましくは30重量部以上150重量部以下である。」 (本d)「【0018】 触媒としては、特に限定されないが、例えば、ヌレート化触媒、樹脂化触媒、泡化触媒等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。 ・・・ 【0022】 触媒の混合量はポリオール化合物100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上50重量部以下、より好ましくは5重量部以上48重量部以下、さらに好ましくは10重量部以上45重量部以下、最も好ましくは20重量部以上40重量部以下である。なお触媒に活性水素含有成分が含まれる場合、触媒に含まれる活性水素含有成分も考慮してイソシアネート指数を算出する。 本発明では特に、ヌレート化触媒とともに、樹脂化触媒及び/または泡化触媒を含むことが好ましく、施工性とともにフォーム形成性等に有利である。なお触媒に活性水素含有成分が含まれる場合、触媒に含まれる活性水素含有成分も考慮してイソシアネート指数を算出する。」 (本e)「【0023】 本発明の硬化性組成物は、難燃剤として、液状リン化合物を含むことを特徴とする。液状リン化合物は、難燃性の向上とともに、後述する金属錯塩染料との相溶性に優れ、硬化性組成物中において、金属錯塩染料を均一に分散させることができ、染料の偏りを抑え、色ムラを抑え、優れた美観性を有するフォームが形成できる。 【0024】 液状リン化合物としては、例えば、有機リン酸エステル化合物等を使用することができる。有機リン酸エステル化合物としては、例えば、リン酸のハロゲン化アルキルエステル、アルキルリン酸エステル、アリールリン酸エステル、ホスホン酸エステル等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。有機リン酸エステル化合物としては、具体的に例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリスノニルフェニルフォスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、ジイソプロピルフェニルホスフェート、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、レゾルシノールビスジフェニルフォスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビスジキシレニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、ビス(2、3-ジブロモプロピル)-2、3-ジクロロプロピルホスフェート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート、ビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェート、ハイドロキノニルジフェニルホスフェート、フェニルノニルフェニルハイドロキノニルホスフェート、フェニルジノニルフェニルホスフェート、ジフェニル-4-ヒドロキシ-2,3,5,6-テトラブロモベンジルホスフォネート、ジメチル-4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモベンジルホスフォネート、ジフェニル-4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモベンジルホスフォネート等が挙げられる。 【0025】 また、本発明の硬化性組成物は、難燃剤として、粉状リン化合物を含むこともできる。粉状リン化合物は、特にフォームの難燃性を向上させることができる成分である。 粉状リン化合物は、液状リン化合物との混和性、さらに金属錯塩染料との混和性にも優れ、優れた貯蔵安定性、施工性を維持することができる。特に、白色の粉状リン化合物は、染料の着色にも影響を与えないため、優れた断熱性、耐熱性とともに、色ムラがなく優れた美観性を有するフォームを形成することができる。 なお、粉状、液状等の状態は、20℃における各成分単体の状態を表すものである。 また、白色とは、CIE1976L*a*b*色空間におけるL*値が80以上であるものをいう。 【0026】 本発明では、粉状リン化合物として、ホスフィン酸塩化合物を好適に用いることができる。 ホスフィン酸塩化合物としては、例えば、ホスフィン酸ナトリウム、ホスフィン酸カルシウム、ホスフィン酸アルミニウム、ホスフィン酸亜鉛、ジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(メチルエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ジブチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ブチルエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ジフェニルホスフィン酸)アルミニウム、ビス(ジエチルホスフィン酸)亜鉛、ビス(メチルエチルホスフィン酸)亜鉛、ビス(ジフェニルホスフィン酸)亜鉛、ビス(ジエチルホスフィン酸)チタニル、テトラキス(ジエチルホスフィン酸)チタニル、ビス(メチルエチルホスフィン酸)チタニル、テトラキス(メチルエチルホスフィン酸)チタニル、ビス(ジフェニルホスフィン酸)チタニル、テトラキス(ジフェニルホスフィン酸)チタニル等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。 本発明では、特に、トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(メチルエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ジブチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ブチルエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ジフェニルホスフィン酸)アルミニウム、ビス(ジエチルホスフィン酸)亜鉛、ビス(メチルエチルホスフィン酸)亜鉛、ビス(ジフェニルホスフィン酸)亜鉛、ビス(ジエチルホスフィン酸)チタニル、テトラキス(ジエチルホスフィン酸)チタニル、ビス(メチルエチルホスフィン酸)チタニル、テトラキス(メチルエチルホスフィン酸)チタニル、ビス(ジフェニルホスフィン酸)チタニル、テトラキス(ジフェニルホスフィン酸)チタニル等のアルキルホスフィン酸金属塩化合物を用いることが好ましく、この中でも特に、トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(メチルエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ブチルエチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ジフェニルホスフィン酸)アルミニウムから選ばれるトリス(アルキルホスフィン酸)アルミニウムが好適である。 【0027】 粉状リン化合物としては、その密度が1.8g/cm3以下(より好ましくは1.0g/cm3以上1.6g/cm3以下、さらに好ましくは1.2g/cm3以上1.5g/cm3以下)であるものが好適である。なお、ここに言う密度は20℃における値である。 【0028】 粉状リン化合物の平均粒径は、好ましくは50μm以下、より好ましくは0.5μm以上30μm以下である。なお、ここに言う平均粒径は、レーザー回折式粒度分布計により測定することができる。 【0029】 また難燃剤として、上記以外の難燃剤を含むこともできる。このような難燃剤としては、例えば、ハロゲン系難燃剤、有機臭素系難燃剤、窒素系難燃剤、金属水和物系難燃剤、アンチモン系難燃剤、ホウ素系難燃剤、シリコン系難燃剤等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。 【0030】 難燃剤として液状リン化合物の混合量は、ポリオール化合物100重量部に対して、30重量部以上900重量部以下(好ましくは40重量部以上600重量部以下、さらに好ましくは50重量部以上400重量部以下)であることが好ましい。 また、難燃剤として粉状リン化合物を含む場合、粉状リン化合物の混合量は、ポリオール化合物100重量部に対して、10重量部以上200重量部以下(より好ましくは20重量部以上120重量部以下、さらに好ましくは25重量部以上100重量部以下、最も好ましくは30重量部以上70重量部以下)であることが好ましい。また、液状リン化合物:粉状リン化合物の混合比率(重量比率)は、90:10~50:50、さらには85:15~55:45、さらには80:20~60:40であることが好ましい。」 (本f)「【0031】 本発明の硬化性組成物では、染料として金属錯塩染料を含むことを特徴とする。金属錯塩染料は、上述の液状リン化合物と相溶しやすく、硬化性組成物中においても均一に分散しやすい。さらに、吹き付け施工時の反応作用や発泡作用に影響されて染料の分散性等に偏りがみられることがなく、色ムラを抑え、優れた美観性を有するフォームを形成することができる。 ・・・ 【0032】 本発明において、金属錯塩染料の混合量は、ポリオール化合物100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上1重量部以下であり、より好ましくは0.015重量部以上0.5重量部以下、さらに好ましくは0.02重量部以上0.3重量部以下である。 なお、本発明の効果を阻害しない程度に、金属錯塩染料以外の染料を使用してもよい。」 (本g)「【0033】 ポリイソシアネート化合物としては、ポリウレタンの技術分野において公知の各種ポリイソシアネート化合物が使用できる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等が挙げられる。本発明では、取扱の容易性、反応の速さ、得られるフォームの物理特性、コスト面での優位性等の点から、MDIが好ましい。MDIとしては、例えば、モノメリックMDI、ポリメリックMDI(ポリメチレンポリフェニルイソシアネート)等が挙げられる。 【0034】 本発明の硬化性組成物は、イソシアネート指数が250以上500以下(さらには280以上480以下、さらには300以上450以下)であることが好ましい。 このような範囲で上記ポリオール化合物と上記ポリイソシアネート化合物等を混合することにより、優れた耐熱性を得ることができる。なお、イソシアネート指数とは、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量数を、活性水素含有成分(ポリオール化合物、及び水等)の活性水素の総当量数で除した数値の100倍で表されるものである。」 (本h)「【0035】 本発明の硬化性組成物は、上述の成分に加え、整泡剤を含むことができる。・・・ 【0036】 また本発明の硬化性組成物は、上述の成分に加え、エチレン性不飽和二重結合含有化合物を含むことができる。エチレン性不飽和二重結合としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、アリル基、プロペニル基等が挙げられる。本発明では、このようなエチレン性不飽和二重結合含有化合物の使用により、耐熱性、貯蔵安定性、施工性等を一層高めることができる。 ・・・ 【0042】 エチレン性不飽和二重結合含有化合物の混合量は、ポリオール化合物100重量部に対して、好ましくは1重量部以上100重量部以下、より好ましくは5重量部以上80重量部以下、さらに好ましくは10重量部以上50重量部以下である。なおエチレン性不飽和二重結合含有化合物に複数の水酸基が含まれる場合は、ポリオール化合物とみなす。またエチレン性不飽和二重結合含有化合物に含まれる活性水素含有成分も考慮してイソシアネート指数を算出する。 【0043】 本発明の硬化性組成物には、上記成分の他に、例えば、金属錯塩染料以外の着色剤、界面活性剤、重合禁止剤、繊維等を混合することができる。 着色剤としては、例えば、顔料、また、金属錯塩染料以外の染料等を、本発明の効果を阻害しない程度に使用することができる。」 (本i)「【0044】 本発明の硬化性組成物は、現場発泡に適したフォーム形成用の組成物であり、好ましくは硬質ポリウレタンフォーム形成用、より好ましくは硬質ポリイソシアヌレートフォーム形成用の組成物である。 このような硬化性組成物は、建築物等の現場で、基材に塗付して発泡させ、基材をフォームで被覆する用途で使用する。対象となる基材は、例えば、建築物等における壁面、天井面、床面等を構成する材料であり、具体的には、例えば、コンクリート、モルタル、金属板、無機ボード、合板等が挙げられる。これら基材は、フォーム形成前に、下塗材による表面処理等を施したものであってもよい。 【0045】 本発明の硬化性組成物は、流通時に2液型の形態としておき、使用時(フォーム形成時)に混合して使用することが好ましい。このような2液型の形態においては、例えば、第1液が、ポリオール化合物、発泡剤、触媒、難燃剤、及び染料を含む形態、第2液がポリイソシアネート化合物を含む形態とすることができる。」 (本j)「【実施例】 【0048】 以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。 【0049】 第1液として、表1に示す重量割合にて下記原料を均一に混合したものを用意した。第2液としては、ポリメリックMDIからなるものを用意した。 ・ポリオール化合物1:芳香族ポリエステルポリオール(テレフタル酸系ポリエステルポリオール、粘度1900mPa・s、酸価:0mgKOH/g、水酸基価:250mgKOH/g) ・ポリオール化合物2:芳香族/脂肪族ポリエステルポリオール(フタル酸/アジピン酸系ポリエステルポリオール、粘度900mPa・s、酸価:0mgKOH/g、水酸基価:350mgKOH/g) ・ポリオール化合物3:脂肪族ポリエステルポリオール(フマル酸系ポリエステルポリオール、粘度6000mPa・s、酸価:0mgKOH/g、水酸基価:150mgKOH/g) ・発泡剤1:ハイドロクロロフルオロオレフィン ・発泡剤2:水(水酸基価:6233mgKOH/g) ・触媒1:ヌレート化触媒(2-エチルヘキサン酸テトラアルキルアンモニウムのグリコール溶液) ・触媒2:ヌレート化触媒(乳酸テトラアルキルアンモニウムのグリコール溶液) ・触媒3:樹脂化触媒(オクチル酸ビスマスのオクチル酸溶液) ・難燃剤1:粉状リン化合物(ホスフィン酸塩化合物(トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム、平均粒径4μm、密度1.35g/cm3)) ・難燃剤2:粉状リン化合物(ホスフィン酸塩化合物(トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム、平均粒径10μm、密度1.35g/cm3)) ・難燃剤3:粉状リン化合物(ホスフィン酸ナトリウム、平均粒径5μm、密度1.39g/cm3) ・難燃剤4:液状リン化合物(有機リン酸エステル化合物(トリス(クロロプロピル)ホスフェート、密度1.29g/cm3)) ・二重結合化合物1:エチレン性不飽和二重結合含有化合物(トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレン性不飽和二重結合濃度10mmol/g、水酸基価:0mgKOH/g) ・二重結合化合物2:エチレン性不飽和二重結合含有化合物(ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレン性不飽和二重結合濃度11mmol/g、水酸基価:0mgKOH/g) ・整泡剤:シリコーン系整泡剤 ・染料1:C.I.ソルベントレッド8(金属錯塩染料) ・染料2:C.I.ソルベントブルー70(金属錯塩染料) ・染料3:C.I.ソルベントブルー78(発光染料) 【0050】 (実施例1~16、比較例1) 第1液、第2液をそれぞれ40℃に加温し、これらを表1に示すイソシアネート指数となるように混合し、得られた混合液を、5℃雰囲気下で基材(スレート板)にスプレーガンで吹き付け、発泡させて、基材の片面全体がフォームで被覆された試験体(厚み50mm)を得た。得られた試験体について下記の方法で各試験を実施した。結果は表1に示す。 【0051】 (1)フォーム形成性 形成されたフォームの状態を目視にて観察した。評価基準は以下のとおりである。 ◎:均質なフォームが形成された。 ○:ほぼ均質なフォームが形成された。 △:フォームに一部異常(脆化、不均一発泡、付着不良等)が認められた。 ×:フォームに異常が認められた。 【0052】 (2)熱伝導率 試験体のフォーム部分を切り出し、熱伝導率計を用いて、熱伝導率を測定した。評価基準は以下のとおりである。 ○:熱伝導率が0.03W/(m・K)以下 ×:熱伝導率が0.03W/(m・K)超 【0053】 (3)美観性 形成されたフォームの表面を目視にて観察した。評価基準は以下のとおりである。 ◎:色ムラがなく、美観性に優れていた。 ○:色ムラがほとんどなく、美観性に優れていた。 △:一部色ムラ、失色が目立っていた。 ×:色ムラ、失色が目立ち、美観性に劣っていた。 【0054】 【表1】 [図:0001385212000001.jpg] 」 2 各証拠に記載された事項 (1)甲第1号証に記載された事項 甲第1号証には、以下の事項が記載されている。以下の摘記は、甲第1号証とともに提出された翻訳文から抜粋したものである。 (甲1a)「反応性2成分ポリウレタンフォーム組成物及び耐火性シール方法 発明の分野 本発明は、耐火難燃性フォームの製造に使用する、ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)との反応性2成分ポリウレタンフォーム組成物、及び、これらのポリウレタンフォームを用いる、建物の壁や天井内の解放箇所やダクトの耐火性シール方法に関する。」(甲1号証の翻訳文の第2頁第2~7行) (甲1b)「発明の目的 本発明が基礎とする目的は、ポリウレタンフォーム組成物の提供にある。ポリウレタンフォーム組成物は、耐火難燃性フォームの製造に使用され、特に、建物の壁や天井内の解放箇所やダクトの耐火性シール材に使用される。さらに、本発明が基礎とする目的は、典型的な建築物の多くの部材上に、好適な親和性を伴って、迅速かつ信頼性の高い導入を確実にすることである。 発明の概要 この目的は、請求項1の反応性2成分ポリウレタンフォーム組成物により達成される。従属請求項はこの発明の目的の好適な態様に関連し、これらの反応性2成分ポリウレタンフォーム組成物を用いる耐火シーリングの方法に関連する。」(甲第1号証の翻訳文の第6頁) (甲1c)「以下の実施例は、本発明をさらに説明する。 ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)の組成を次の表1と2に示す。 [図:0001385212000002.jpg] [図:0001385212000003.jpg] 上記の成分を混合し、別々のボックスAとBに導入し、発泡剤134aとメチルエーテルのブローガス混合物、または、プロパン/ブタン混合物が最後に圧力下で強制的に導入される。 2つの供給ホースに補助されて、圧力容器は、静的ミキサーを備えた混合へッドを含むマウスピースを備えたハンドルの形で、送達装置に接続される。ハンドルにある圧搾バルブが作動すると、2つのホースが開き、発泡剤の内圧の作用下で、それぞれの成分AとBがホースを介して、送達装置の混合ヘッドとその中に存在するミキサーに押し込まれ、発泡してマウスピースから排出される。ポリウレタンフォーム組成物の大きな膨張力のために、壁および/または天井を通るさらに大きな開口部およびダクトをこの方法で密封することができ、低温や低相対湿度との不利な気象条件下でさえ、材料が硬化した後、高強度の防火フォームが達成される。 比較例 反応性2成分ポリウレタンフォーム組成物の補助を得ることで改善された防火特性を説明するために、フォームはDE-A-4234374およびGB-B-1404822に従って製造され、厚さ100mmのフォームモルタル中の解放箇所に直径110mmで導入された。900℃で30分間炎にさらした後、次の表3に示す特性が得られた。 [図:0001385212000004.jpg] 上記の表から、本発明の反応性2成分ポリウレタンフォーム組成物から製造されたフォームは、最先端の製品よりも明らかに優れた火災挙動を示すことが明らかである。与えられた特性は、本発明のポリウレタンフォーム組成物で著しく良好な耐火性が得られることを示している。」(甲第1号証の翻訳文の第7~9頁) (甲1d)「特許請求の範囲は以下のとおり。 1.耐火難燃性フォームの製造に使用する、ポリオール成分(A)とポリイソ シアネート成分(B)との反応性2成分ポリウレタンフォーム組成物において、 ポリオール成分(A)が、 A1)ヒドロキシル価が130~550の範囲で粘度が4,000~10,000Pasである少なくとも1つのポリエステルアルコール39.5~92.2wt% A2)ポリオールとポリイソシアネー卜の反応のための1又は複数の触媒0.6~4.0wt% A3)少なくとも1つの化学発泡剤0.2~1.4wt% A4)少なくとも1つの物理発泡剤6.5~32.5wt% a5)赤リン0.5~22.5wt% を含み、 ポリイソシアネート成分(B)が、 B1)2.2以上の平均イソシアネート官能基を有する少なくとも1つの有機ポリイソシアネート78.9~99.9wt% B2)少なくとも1つの物理発泡剤0.1~21.1wt% を含み、 ポリオール成分(A)の水酸基に対するポリイソシアネート成分(B)のイソシアネート基の比が1.4~3.0であり、加熱時に体積を増加する固体膨張性材料を含まない。 ・・・ 3.触媒A2)として、ポリオール成分(A)は、ポリイソシアヌレート基(三量化触媒)の形成を伴い、任意にポリウレタン基及び/又はポリウレア基の形成を伴う、ポリオールとポリイソシアネートの反応を触媒する触媒の混合物を含有する、請求項1又は2の少なくとも1項に記載の2成分ポリウレタンフォーム組成物。 ・・・ 24.ポリオール成分(A)は、メラミン樹脂コートされた赤リンA5)を含有する、請求項1~23の少なくとも1項に記載の2成分ポリウレタンフォーム組成物。 25.ポリオール成分(A)は、追加の成分A9)として、0~3.4wt%の無機難燃剤を含有する、請求項1~24の少なくとも1項に記載の2成分ポリウレタンフォーム組成物。 26.ポリオール成分(A)は、無機難燃剤A9)として、好ましくはメラミン樹脂でコートされたポリリン酸アンモニウム塩を含有する、請求項25に記載の2成分ポリウレタンフォーム組成物。 27.ポリオール成分(A)は、赤リンA5)及び無機難燃剤A9)を、赤リン60~80wt%、無機難燃剤40~20wt%の割合での混合物を含有する、請求項25及び26に記載の2成分ポリウレタンフォーム組成物。 28.ポリオール成分(A)は、追加の成分A10)として、0~5.0wt%の無機難燃添加剤を含有する、請求項1~27の少なくとも1項に記載の2成分 ポリウレタンフォーム組成物。 29.ポリオール成分(A)は、無機難燃添加剤A10)として、ホスフェー卜、ボレート、低融点シリケート、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、カーボネート、水含有塩、ablative material、hydraulically bindingアルカリ土類アルミノシリケート、石青、メラミン、メラミン誘導体などのクラスト形成又はガラス形成材料を含有する、請求項28に記載の2成分ポリウレタンフォーム組成物。 30.ポリオール成分(A)は、追加の成分A11)として、0~3.4wt%の1つ又は複数の有機難燃添加剤を含有する、請求項1~29の少なくとも1項に記載の2成分ポリウレタンフォーム組成物。 31.ポリオール成分(A)は、ハロゲン化炭化水素、炭化水素含有ホスフォラス、窒素含有化合物から選択される有機難燃添加剤を、独立又は混合物として、含有する、請求項30に記載の2成分ポリウレタンフォーム組成物。 32.ポリオール成分(A)は、有機難燃添加剤A11)として、トリクロロプロピルホスフェート、メラミン、トリエチルホスフェート、リン酸塩、ジエチレンエチルホスフォネートなどのリン酸エステルを含有する、請求項30~31の少なくとも1項に記載の2成分ポリウレタンフォーム組成物。 33.追加の成分A12)及びB4)として、ポリオール成分(A)及び/又はポリイソシアネート成分(B)は、0~0.9wt%の類似または異なる染料お よび/または顔料を含有する、請求項1~32の少なくとも1項に記載の2成分ポリウレタンフォーム組成物。 34.顔料または染料として、無機又は有機顔料、及び/又は、有機染料を含有する、請求項33に記載の2成分ポリウレタンフォーム組成物。 ・・・ 41.少なくとも1つの既述請求項の反応性2成分ポリウレタンフォーム組成物が、2成分を混合するミキシングヘッドを備える送達装置の補助にて、導入され、フォーム化され、解放箇所および/またはダクトで硬化されることを特徴とする、建物の壁および/または天井の解放箇所および/またはダクトの耐火性シーリングのための方法。 42.実施例にて例証された発明の実施態様に関連して開示された耐火難燃性 フォームの製造に使用するための反応性2成分ポリウレタンフォーム組成物。」(甲第1号証の翻訳文の第10~17頁) (2)甲第2号証に記載された事項 甲第2号証には、以下の事項が記載されている。 (甲2a)「【請求項1】ポリオール100重量部に対して難燃剤としてエチレンジアミンリン酸亜鉛を1~100重量部配合してなるポリオール組成物。 【請求項2】請求項1に記載のポリオール組成物とポリイソシアネートを反応させて得られるポリウレタン構造を有する難燃性ポリウレタン樹脂組成物。 【請求項3】請求項2に記載の難燃性ポリウレタン樹脂組成物に発泡剤、触媒及び整泡剤を用いて得られる硬質ポリウレタン及び/又はポリイソシアヌレートフォーム。 【請求項4】発泡剤として水のみを用いることを特徴とする請求項3に記載の硬質ポリウレタン及び/又はポリイソシアヌレートフォーム。 【請求項5】難燃剤としてエチレンジアミンリン酸亜鉛とリン酸エステル類より選ばれる1種以上を併用することからなる請求項1に記載のポリオール組成物。 【請求項6】リン酸エステル類が非ハロゲン系化合物であることを特徴とする請求項5に記載のポリオール組成物。 ・・・ 【請求項9】ポリオールとポリイソシアネートを反応させてポリウレタン構造を有する樹脂を製造する方法において、難燃剤としてエチレンジアミンリン酸亜鉛を用いることを特徴とする難燃性ポリウレタン樹脂組成物の製造法。 【請求項10】請求項9に記載の難燃性ポリウレタン樹脂組成物に発泡剤、触媒及び整泡剤を用いて製造される硬質ポリウレタン及び/又はポリイソシアヌレートフォームの製造法。 【請求項11】発泡剤として水のみを用いることを特徴とする請求項10に記載の硬質ポリウレタン及び/又はポリイソシアヌレートフォームの製造法。 【請求項12】難燃剤としてエチレンジアミンリン酸亜鉛とリン酸エステル類より選ばれる1種以上を併用することを特徴とする請求項9~請求項11のいずれかに記載の製造法。 【請求項13】リン酸エステル類が非ハロゲン系化合物であることを特徴とする請求項12に記載の製造法。」 (甲2b)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、難燃剤としてエチレンジアミンリン酸亜鉛を配合してなるポリオール組成物、難燃性ポリウレタン樹脂組成物及びそれらの製造法に関する。更に詳しくは、難燃剤としてエチレンジアミンリン酸亜鉛を用いた、燃焼時の発煙量が少なくまた有害ガスを発生させない難燃性ポリウレタン樹脂組成物及びその製造法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】ポリウレタン樹脂製品はその優れた樹脂物性より、発泡製品から非発泡製品まで種々の用途に使用されている。発泡製品は家具、自動車部品のクッション材、さらには電気冷蔵庫や建材等の断熱材として、非発泡製品は靴底、防水材等その他多様な用途に幅広く利用されている。これらの内、家具、自動車部品、建材等の用途では難燃性が要求されるため、難燃剤を配合し難燃性を付与して使用されている。 ・・・ 【0009】本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、難燃性に優れ燃焼時の発煙量が少なく、また有害ガスを発生させない難燃性ポリウレタン樹脂組成物及びその製造法を提供することである。」 (甲2c)「【0025】上述の方法にて製造されたエチレンジアミンリン酸亜鉛の配合量は、ポリオール100重量部に対して1~100重量部である。1重量部未満の場合難燃性ポリウレタン樹脂組成物の難燃効果が小さく、100重量部を越える場合樹脂物性が低下するため、好ましくは5~50重量部である。 【0026】本発明には、更にエチレンジアミンリン酸亜鉛とそれ以外の難燃剤としてリン酸エステル類から選ばれた1種以上が併用されて配合される。エチレンジアミンリン酸亜鉛とリン酸エステル類との併用は相乗的な難燃性向上及び発煙性の低下をもたらす。 【0027】リン酸エステル類は公知のもの、例えばトリエチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリオクチルフォスフェート、トリス(ブトキシエチル)フォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリクレシルフォスフェート、オクチルジフェニルフォスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)フォスフェート、クレシルジフェニルフォスフェート、トリス(2-クロロエチル)フォスフェート、トリス(2-クロロプロピル)フォスフェート、トリス(ジクロロプロピル)フォスフェートなどが挙げられるが、これらの内非ハロゲン系のトリエチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリオクチルフォスフェート、トリス(ブトキシエチル)フォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリクレシルフォスフェートなどが燃焼時の毒性ガスの発生が少なく好ましい。エチレンジアミンリン酸亜鉛とリン酸エステル類の使用比率は、エチレンジアミンリン酸亜鉛/リン酸エステル類の重量比で1/5~5/1である。リン酸エステル類が多くなると難燃性は良くなるが発煙性が高く、さらにリン酸エステルの可塑効果によって樹脂強度が低下するため重量比は1/2~5/1が好ましい。使用量は、特に限定されるものではないがポリオール100重量部に対して1~50重量部である。少ないと難燃効果が小さく、多いと樹脂物性が低下するため、好ましくは3~30重量部である。」 (甲2d)「【0028】本発明に使用されるポリオールとしては、一般公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、フェノールベースポリオール及びそれらの混合物が使用できる。・・・ 【0029】本発明の難燃性ポリウレタン樹脂組成物は、前記ポリオール組成物に必要に応じて触媒、整泡剤、発泡剤、その他の助剤を混合したプレミックス液とポリイソシアネート液とを混合、攪拌することによって反応が進行し得られる。 【0030】本発明の難燃性ポリウレタン樹脂組成物とは、少なくともポリウレタン構造を有する樹脂製品のことであり、ポリイソシアネートを過剰に反応させたポリイソシアヌレート構造の導入、更には発泡剤として水を用いた時のウレア構造の導入など目的とする樹脂製品に応じて複合化されてもよい。 【0031】本発明に使用されるポリイソシアネートとしては、特に限定するものではなく、例えばトルエンジイソシアネート(TDI)、4,4´-又は4,2´-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネートやノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;又はそれらとポリオールとの反応による遊離イソシアネート含有プレポリマー;カルボジイミド変性等の変性ポリイソシアネート;さらには、それらの混合ポリイソシアネートを例示できる。これらのうち好ましくはTDIとその誘導体又はMDIとその誘導体であり、これらは混合して使用しても差支えない。・・・通常イソシアネートインデックス(イソシアネート基とイソシアネート基が反応し得るOH基含有化合物及び水のOH基とのモル比×100)で表すと50~400の範囲である。これらの内、硬質ポリウレタンフォーム製品では通常70~120の範囲が、一方硬質ポリウレタン/ポリイソシアヌレートフォーム製品では通常120~400の範囲である。イソシアネートインデックスは、70未満では未反応の末端アルコールが多くフォーム物性が悪化する。一方400を越えるとイソシアネートの三量体であるポリイソシアヌレート骨格が増加して難燃性は高くなるものの、未反応イソシアネート量が多くなり樹脂の硬化不足が問題となる。これらをバランス良く維持するためにはイソシアネートインデックスは、硬質ポリウレタンフォーム製造には110前後が、一方硬質ポリウレタン/ポリイソシアヌレートフォーム製造には150~300の範囲が好ましい。 【0032】本発明には、必要に応じて触媒、整泡剤、発泡剤、その他の助剤が使用できる。触媒としては、アミン系、金属系のものが使用できる。・・・ 【0033】整泡剤としては、特に限定するものではなく、例えばオルガノシロキサン-ポリオキシアルキレン共重合体、シリコーン-グリース共重合体等の非イオン系界面活性剤、又はこれらの混合物等が例示でき、その使用量は、通常ポリオール100重量部に対して0.1~10重量部である。 【0034】発泡剤としては、フロン系の代替フロンであるHCFC-141b、HFC-245fa、HFC-356などが使用できる。・・・ 【0035】また、着色剤、老化防止剤その他の添加剤等も使用できる。これらの添加剤の種類、添加量は、通常使用される範囲で十分使用することができる。」 (甲2e)「【0036】本発明の難燃性ポリウレタン樹脂組成物の製造法は、ポリオールプレミックス液とポリイソシアネート液を急激に混合、攪拌して反応を起こさせることによって成型品を得るものである。 【0037】成型品は、前述した難燃剤、ポリオール、ポリイソシアネート及び必要に応じて触媒、整泡剤、発泡剤等とを任意に組み合わせて、軟質、半硬質、硬質、エラストマーに至る全ての発泡品及び非発泡の難燃性ポリウレタン製品である。発泡製品は家具、自動車部品のクッション材、さらには電気冷蔵庫や建材等の断熱材として、非発泡製品は靴底、防水材等その他多様な用途に幅広く利用できる。これらの内、難燃性が要求される家具、自動車部品、建材等の用途が好ましい。更にはより高い難燃性が要求される冷凍倉庫及び建材等の断熱材である、硬質ポリウレタン及び/又はポリイソシアヌレートフォームがより好ましい。 【0038】混合、攪拌は一般的な攪拌機及び専用のポリウレタン発泡機を用いればよい。ポリウレタン発泡機としては高圧及び低圧機が使用でき、またスプレー機も使用できる。」 (甲2f)「【0039】 【実施例】以下、実施例、比較例にもとづいて説明するが本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。以下に、使用原料、フォーム物性の測定、評価方法について示した。 【0040】<使用原料> (1)ポリオール ポリオールA:テレフタル酸系ポリエステルポリオール、TEROL-250(Oxid社製、水酸基価250mgKOH/g) ポリオールB:シュークロース/グリセリン系ポリエーテルポリオール、SG-360(武田薬品社製、水酸基価375mgKOH/g) ポリオールC:ソルビトール系ポリエーテルポリオール、SO-300(武田薬品社製、水酸基価300mgKOH/g) (2)難燃剤 難燃剤A:製造例1のエチレンジアミンリン酸亜鉛 難燃剤B:製造例2のエチレンジアミンリン酸亜鉛 難燃剤C:トリエチルフォスフェート(試薬1級) 難燃剤D:トリクレシルフォスフェート(試薬1級) 難燃剤E:トリス(2-クロロプロピル)フォスフェート(ファイロールPCF、アクゾ鹿島社製) 難燃剤F:ポリリン酸アンモニウム(HOSTAFLAM AP 462、ヘキスト社製) 難燃剤G:水酸化マグネシウム(キスマ-5B、協和化学社製) 難燃剤H:リン酸水溶液にモノエタノールアミン水溶液をモル比1:2(モノエタノールアミン)となる量添加してリン酸のモノエタノールアミン塩を晶析させ、濾過、洗浄、乾燥、粉砕を経て得たリン酸のモノエタノールアミン塩。濾過、洗浄、乾燥、粉砕の諸条件は製造例1とほぼ同一条件にて行った。 【0041】(3)触媒 触媒M:N,N,N´,N´-テトラメチルヘキサメチレンジアミン(東ソー(株)社製TOYOCAT-MR) 触媒N:N,N,N´-トリメチルアミノエチルエタノールアミン(東ソー(株)社製TOYOCAT-RX5) 触媒K:オクチル酸カリウム(試薬)70%とジエチレングリコール(試薬)30%の混合液 (4)発泡剤 水:蒸留水 141b:ジクロルモノフルオロエタン(HCFC-141b、セントラル硝子社製) (5)その他の原料 整泡剤:シリコン系整泡剤L-5420(日本ユニカー社製L-5420) ポリイソシアネート:クルードMDI、イソシアネート濃度31.1%(日本ポリウレタン社製、MR-200) <発泡反応性の測定>モールド内側にポリエチレンフィルム内袋を装着した25×25×8cm寸法のアルミニウム製モールド(型温45℃)に混合液を注入して発泡硬化させた時のフォーム発泡過程における以下の時間を測定した。 ・・・ 【0046】<製造例1 エチレンジアミンリン酸亜鉛の製造(1)>水800gに75%リン酸80gを添加して調製したリン酸水溶液に硫酸亜鉛7水和物144gを攪拌しながら溶解させてリン酸亜鉛水溶液を調製した。 【0047】水200gにエチレンジアミン18gを添加して調製したエチレンジアミン水溶液を上記リン酸亜鉛水溶液に添加し、25℃で3時間スラリーを均一化してエチレンジアミンリン酸亜鉛を晶析させた。晶析後、ヌッチェ濾過にて固液分離し、3000gの水で洗浄した後、110℃で16時間乾燥してエチレンジアミンリン酸亜鉛を製造した。製造したエチレンジアミンリン酸亜鉛のX線回折は表1に示した位置に表れ、X線回折パターンは図1に示した。このエチレンジアミンリン酸亜鉛を難燃剤Aとした。 ・・・ 【0049】<製造例2 エチレンジアミンリン酸亜鉛の製造(2)>硝酸亜鉛6水和物59.5gを水540gに溶解させ、この硝酸亜鉛水溶液にエチレンジアミン36gを添加してトリスエチレンジアミン亜鉛錯体水溶液を調製した。 【0050】水180gに85%リン酸23.1gを添加して調製したリン酸水溶液を上記トリスエチレンジアミン亜鉛錯体水溶液に添加し、30℃で1時間スラリーを均一化してエチレンジアミンリン酸亜鉛を晶析させた。晶析後、ヌッチェ濾過にて固液分離し、3000gの水で洗浄した後、110℃で16時間乾燥してエチレンジアミンリン酸亜鉛を製造した。製造したエチレンジアミンリン酸亜鉛のX線回折は表2に示した位置に表れ、X線回折パターンは図2に示した。このエチレンジアミンリン酸亜鉛を難燃剤Bとした。 ・・・ 【0052】実施例1~実施例7、比較例1~比較例6 ポリオールに難燃剤、触媒、発泡剤及び整泡剤を混合したポリオール組成物とポリイソシアネートとを混合、攪拌して硬質ポリウレタン/ポリイソシアヌレートフォームを発泡成型し、フォーム物性及び難燃性を評価した。 【0053】500mlのポリエチレン製カップに表3、表4に示す量のポリオール(ポリオールA70重量部/ポリオールB30重量部の混合液)及び難燃剤、触媒、発泡剤及び整泡剤をとり予備攪拌後、液温度を20℃としポリオール組成物を得た。このポリオール組成物に別に22℃に温調したポリイソシアネートをインデックスが220となる量を加え、高速攪拌機(特殊機化社製、ラボディスパー)にて6000rpm(5秒間)で攪拌後素早くモールドに注ぎ入れ発泡硬化させた。発泡中の発泡反応性及び成型フォームのフォーム物性及び難燃性を測定、評価した結果を表3(実施例1~実施例7)、表4(比較例1~比較例6)に示した。 【0054】 【表3】 [図:0001385212000005.jpg] ・・・ 【0056】その結果、表3に実施例1~実施例7の結果を示したように、本発明にて得られた難燃性フォーム樹脂製品は、難燃性が高く煙濃度が低い。また、エチレンジアミンリン酸亜鉛とリン酸エステル類との併用は相乗的な難燃性の向上及び低発煙性をもたらしている。一方、比較例1~比較例6の結果を表4に示したように比較例1の難燃剤を使用しない場合、難燃性が低く煙濃度が高い。比較例2はトリス(2-クロロプロピル)フォスフェート単独使用の例であるが、難燃性は高いが煙濃度も高く、またフォーム樹脂の強度低下が見られる。比較例3はトリエチルフォスフェート単独使用の例であるが、難燃性は高いが煙濃度も高く、またフォーム樹脂の強度が顕著に低下している。比較例4はポリリン酸アンモニウム単独使用の例であるが、難燃性は高いが煙濃度も高い。比較例5は金属水酸化物である水酸化マグネシウム単独使用の例であるが、難燃性が低く煙濃度も若干高く、またフォーム樹脂の強度低下が見られる。比較例6はリン酸のモノエタノールアミン塩単独使用の例であるが、難燃性は高いが煙濃度も高い。またリン酸のモノエタノールアミン塩使用時の特有な現象であるが、フォーム樹脂製造時の発泡反応性が遅くなり、その結果フォーム樹脂の硬化が大幅に遅れ、更に成型フォーム樹脂も脆く強度が顕著に低下していた。」 (3)甲第3号証に記載された事項 甲第3号証には、以下の事項が記載されている。 (甲3a)「ポリウレタンフォーム製造時に、次の一般式 [図:0001385212000006.jpg] (式中Yはイソシアネート基と反応し得るアミノ基、アルキルアミノ基、非解離性置換基で置換された置換アルキルアミノ基またはアルコール性ヒドロキシル基を表わし、AとA‘はY以外の置換基で置換されていてもよいフェニレン残基またはナフチレン残基を表わし、BとB 'は金属化可能な基のオルト位置でカップリングする、Y以外の置換基で置換されていてもよいカップリング成分の残基を表わし、上記YはA、A '、BまたはB 'のいずれかに結合されていても、全部に結合されていてもよい。zとz 'はアゾ基に対してオルト位に存在し、それぞれ-O-または-C(=O)-O-を表わし、DとD'はアゾ基に対してオルト位に存在し、それぞれ-O-、-NH-または-N-アルキル基を表わし、これらAとA '、BとB '、zとz '、DとD 'は同じであっても異なっていてもよい。そしてMはクロムまたはコバルト原子を表わし、K+はナトリウムイオン、アンモニウムイオンまたはカリウムイオンを表わし、n1は1~4の整数を、n2は2~6の整数を表わす。)で表わされる 2:1型金属錯塩染料の水溶液をポリウレタンフォームを製造するための反応成分に添加することを特徴とするポリウレタンフォームの着色法。」(第1頁) (甲3b)「従来ポリウレタンフォームの着色には、顔料または染科あるいはこれらを主成分とする着色剤が使用されており、・・・。しかしながら顔料を着色剤に使用した場合には、顔料がその構造中に何らの可溶性基を有していないこと、そしてその製造時、たとえば乾燥工程などで粒子が二次、三次凝集を重ね粒子径が大きくなっていることなどの理由で、この結果顔料の着色力の低下あるいは着色されたポリウレタンフォームの色相のくすみなどが生じやすくなる。・・・また染料を着色剤とした場合には、染料がその構造中に水あるいは油にたいする可溶性基をもっているため顔料に比較して分散性あるいは溶解性にすぐれるが、その反面可溶性基をもっていることから耐水性、耐油性、耐ブリード性などの諸性能に劣る欠点をもっている。 ・・・ 本発明者らは、前記の諸欠点を改良するため種々研究した結果、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を持つ水溶性の良好な2:1型金属錯塩染料を着色剤に使用することで従来の諸欠点を完全に改善し得ることを見出し、本発明を完成した。」 (第2頁左上欄第17行~右下欄第17行) (甲3c)「実施例1 4-ニトロ-2-アミンフェノールをジアゾ化し、2-アミノ-8-ナフトール-6-スルホン酸(γ酸)とカップリングして得られるモノアゾ染料を公知の方法でクロム錯塩化し、ついで無機塩を除去して得た下記構造式 ・・・ で表わされるクロム2:1型錯塩染料0.25部を水1部2部に溶解し、Dabco(33%トリエチレンジアミンのジプロピレングリコール溶液、発泡反応の触媒、ボドリープロセス社製品)0.4部、トーレ・シリコーンSH-192(シリコン界面活性剤、整泡剤、東レシリコン社製品)0.5部、ユニオールTG-3000(ポリエーテルトリオール、平均分子量3000)50部およびスタナスオクトエート(樹脂化反応の触媒)0.2容量部を加え、はげしくかきまぜながら、20℃で2,4-トリレンジイソシアネート80部と2,6-トリレンジイソシアネート20部とからなる混合ジイソシアネート化合物15.5部を加え、3秒間かきまぜたのち紙箱に流し込み発泡させ、黒色に着色したポリウレタンフォームを得た。この得られたポリウレタンフォームの着合物からは着色剤として使用した染料のブリードおよび水ブリードをまったく認めなかった。 また本例に使用したジイソシアネート化合物の代りに、4,4’-ジフェニルメタンジインシアネートを使用した場合も、本例と同様にブリードおよび水ブリードのない黒色に着色したポリウレタンフォームを得ることができた。 実施例2 5-ニトロ-2-アミノフェノールをジアゾ化し、1-(2’、5’-ジスルホフェニル)-3-メチル-5-ピラゾロンとカップリングして得られるモノアゾ染料を二硫化ソーダで還元して得た下記構造式 ・・・ で表わされる染料を公知の方法でコバルト化し、ついで無機塩を除去して得た下記構造式 ・・・ で表わされるコバルト2:1型金属錯塩染料0.29部を水1.2部に溶解し、Dabco0.4部、SH-192、0.5部、サニックスGP-3000(ポリエーテルトリオール、平均分子量3000)50部およびスタナスオクトエート0.2容量部を加え、はげしくかきまぜながら20℃で2,4-トリレンジイソシアネート15.5部を加え、3秒間かきまぜたのち紙箱に流し込み発泡させとう色に着色したポリウレタンフォームを得た。 この得られたポリウレタンフォームからは着色剤として使用した染料のブリードおよび水ブリードをまったく認めなかった。 また本例に使用したジイソシアネート化合物の代りに、1,5-ナフチレンジインシアネートを使用した場合も、本例と同様にブリードおよび水ブリードのないとり色に着色したポリウレタンフォームを得ることができた。 実施例3 4-クロール-2-アミノフェノールをジアゾ化し、1-アミノ-8-ナフトール-3,6-ジスルホン酸(H酸)とアルカリ性でカップリングして得られるモノアゾ染料を公知の方法でクロム錯塩化し、ついで無機塩を除去して得た下記構造式 ・・・ で表わされるクロム2:1型金属錯染料0.32部を含む染料水溶液をサニックスポリオールFA-702(ポリエーテルポリオール、平均分子量3500)47.5部、トリエタノールアミン(鎖長延長剤)2.5部、トリエチルアミン(発泡反応の触媒)0.35部の中に加え、20℃ではげしくかきまぜながらポリメチレンポリフェニルイソシアネート(商品名ミリオネートMR)29.2部を加え、10秒間かきまぜたのち紙箱に流し込み発泡させ、緑色に着色したポリウレタンフォームを得た。 この得られたポリウレタンフォームの着色物からは着色剤として使用した染料のブリードおよび水ブリードをまったく認めなかった。」(第5頁左上欄第1行~6頁右上欄第19行) (4)甲第4号証に記載された事項 甲第4号証には、以下の事項が記載されている。以下の摘記は、甲第4号証とともに提出された翻訳文から抜粋したものである。 (甲4a)「請求の範囲 1.難燃性ポリウレタン硬質フォーム材料。質量パーセントの観点から、その原材料成分には次のものが含まれる。 ポリエーテルオール 20~30% 触媒 35~45% 発泡剤 1~5% フォーム安定化剤 1~5% 難燃性コンパウンド 2~8% ナノ協力剤 25~35% ポリメチレンポリフェニルイソシアナート 2~5% ここで、難燃剤は、難燃剤とチャー形成剤を1~5:1の重量比で混合することにより形成され、難燃剤は、リン酸エステル、ポリリン酸アンモニウム、メラミンリン酸化合物、メラミンシアヌレートおよび次亜リン酸塩(ホスホネー 卜)の1つまたは組み合わせである。」(甲第4号証の翻訳文の第1頁第1~14行) (甲4b)「[0021]実施例1 この実施形態における難燃性ポリウレタン硬質フォーム材料を調製するための原料処方は、以下の通りである。 ポリエーテルオール4110 22% エチレンジアミン 3% 水 3% 有機ケイ素フォーム安定化剤 2% ジエチルホスフィン酸アルミニウム 11% ピロリン酸ピペラジン 8% DMMP 11% ナノモレキュラーシーブ 5% ポリメチレンポリフェニルイソシアナート 35%」(甲第4号証の翻訳文の第5頁の段落[0021]) (5)甲第5号証に記載された事項 甲第5号証には、以下の事項が記載されている。 (甲5a)「 [図:0001385212000007.jpg] 」(第1頁) (甲5b)「 [図:0001385212000008.jpg] 」(第2頁) (6)甲第6号証に記載された事項 甲第6号証には、以下の事項が記載されている。 (甲6a)「 [図:0001385212000009.jpg] 」(第1頁) (甲6b)「 [図:0001385212000010.jpg] 」(第2頁) (7)甲第7号証に記載された事項 甲第7号証には、以下の事項が記載されている。 (甲7a)「 [図:0001385212000011.jpg] 」(第6頁) (甲7b)「 [図:0001385212000012.jpg] 」(第37頁) 第5 当審の判断 当審は、申立人が主張する異議申立ての理由1~2及び証拠方法によっては、本件発明1~6に係る特許を取り消すことはできないと判断する。 理由は、以下のとおりである。 1 申立理由1について 申立理由1の概要は、「第3 異議申立ての理由の概要及び証拠方法」「1 申立理由の概要」「(1)申立理由1」に記載したとおりであるが、以下の(1)に再掲する。 (1)申立理由1の概要について 理由1-1:本件明細書の段落【0005】の記載からみて、本件発明の現場発泡フォーム形成用の硬化性組成物は、優れた断熱性、耐熱性とともに、優れた美観性を有する発泡フォームを形成できる硬化性組成物を提供することを、発明が解決しようとする課題とするものであり、本件明細書の実施例1~16の硬化性組成物及び段落【0034】の記載からみて、本件発明では現場発泡フォーム形成用の硬化性組成物の「イソシアネート指数」を特定の範囲とすることにより、耐熱性に優れた発泡フォームを形成できるものといえるところ、本件発明1~6には、「イソシアネート指数」については何ら規定していない。 理由1-2:本件明細書の実施例1~16の硬化性組成物では、「粉状リン化合物」として「トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム」及び「ホスフィン酸ナトリウム」、「液状リン化合物」として「トリス(クロロプロピル)ホスフェート」という特定構造の化合物を、特定の量を配合した組成物について本件発明の効果を確認しているのみであり、あらゆる構造の粉状リン化合物と液状リン化合物を、あらゆる配合量で用いた場合にも、実施例1~16の硬化性組成物と同様に、断熱性、耐熱性および美観性を有する発泡フォームを形成できるとはいえない。 理由1-3:本件明細書の段落【0025】には、難燃剤として液状リン化合物と併せて粉状リン化合物を用いることの効果として「フォームの難燃性を向上させることができる」と記載されているが、実施例10は粉状リン化合物を含まない硬化性組成物が記載され、他の実施例に比べて難燃性に劣ることは何ら実証されていないことから、難燃剤として液状リン化合物と併せて粉状リン化合物を用いることの効果を確認できない。 (2)特許法第36条第6項第1号の考え方について 特許法第36条第6項は、「第二項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。」と規定し、その第1号において「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。」と規定している。同号は、明細書のいわゆるサポート要件を規定したものであって、特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 以下、この観点に立って検討する。 (3)本件発明の課題について 本件発明の課題は、上記摘記(本a)の記載からみて、「優れた断熱性、耐熱性とともに、優れた美観性を有する」「現場発泡フォーム形成に適した硬化性組成物」の提供であるといえ、また、段落【0004】の記載からみて、特に、「美観性」の向上に着目したものといえる。 そして、「美観性」の具体的な内容については、(本a)の段落【0007】及び(本j)の段落【0053】の記載からみて、「形成されたフォームの表面を目視にて観察」し、「色ムラ」が(ほとんど)なく、「美観性」に優れていることであるといえる。 (4)判断 ア 判断 上記(3)で検討した本件発明の課題である「優れた断熱性、耐熱性とともに、優れた美観性」、特に「美観性」に着目して本件明細書の記載をみると、(本g)の段落【0023】には「本発明の硬化性組成物は、難燃剤として、液状リン化合物を含むことを特徴とする。液状リン化合物は、難燃性の向上とともに、後述する金属錯塩染料との相溶性に優れ、硬化性組成物中において、金属錯塩染料を均一に分散させることができ、染料の偏りを抑え、色ムラを抑え、優れた美観性を有するフォームが形成できる」と記載され、段落【0025】には「本発明の硬化性組成物は、難燃剤として、粉状リン化合物を含むこともできる。・・・粉状リン化合物は、液状リン化合物との混和性、さらに金属錯塩染料との混和性にも優れ、優れた貯蔵安定性、施工性を維持することができる。特に、白色の粉状リン化合物は、染料の着色にも影響を与えないため、優れた断熱性、耐熱性とともに、色ムラがなく優れた美観性を有するフォームを形成することができる」ことが記載され、(本f)の段落【0031】には「本発明の硬化性組成物では、染料として金属錯塩染料を含むことを特徴とする。金属錯塩染料は、上述の液状リン化合物と相溶しやすく、硬化性組成物中においても均一に分散しやすい。さらに、吹き付け施工時の反応作用や発泡作用に影響されて染料の分散性等に偏りがみられることがなく、色ムラを抑え、優れた美観性を有するフォームを形成することができる」ことが記載されている。また、(本j)の実施例及び比較例1をみると、「染料」として「金属錯塩染料」を用いた実施例1~16の「硬化性組成物」を用いて発泡させて得た試験体は、本件発明の上記課題を満たすものであること、「染料」として「発光染料」を用いた比較例1は「色ムラ、失色が目立ち、美観性に劣っていた」ものであり、本件発明の上記課題を満たさないものであることが確認されている。 そうすると、「難燃性の向上とともに、後述する金属錯塩染料との相溶性に優れ、硬化性組成物中において、金属錯塩染料を均一に分散させることができ、染料の偏りを抑え、色ムラを抑え、優れた美観性を有するフォームが形成できる」「液状リン化合物」、及び、「液状リン化合物と相溶しやすく、硬化性組成物中においても均一に分散しやす」く「色ムラを抑え、優れた美観性を有するフォームを形成することができる」「金属錯塩染料」を用いれば、「色ムラ」が(ほとんど)なく、「美観性」に優れる「硬化性組成物」が得られることが理解できるし、また、「粉状リン化合物」を用いれば「優れた断熱性、耐熱性」を有する「硬化性組成物」が得られることが理解できる。 そうすると、「現場発泡フォーム形成」に必要な「ポリオール化合物」、「発泡剤」、「触媒」、「ポリイソシアネート化合物」に加え、「液状リン化合物」及び「粉状リン化合物」を含む「難燃剤」及び「金属錯塩染料」を含むことを発明特定事項とする本件発明1の「現場発泡フォーム形成用の硬化性組成物」は、本件発明の上記課題を解決できることを、当業者が認識できるといえる。 本件発明2~6についても、同様の理由により、本件発明の上記課題を解決できることを、当業者が認識できるといえる。 イ 申立人の主張する各理由について (ア)申立理由1-1について 「ポリイソシアネート化合物」について、本件明細書の(本g)の段落【0033】には、比較的汎用の「ポリイソシアネート化合物」が列記され、段落【0034】には「本発明の硬化性組成物は、イソシアネート指数が250以上500以下(さらには280以上480以下、さらには300以上450以下)であることが好ましい。このような範囲で上記ポリオール化合物と上記ポリイソシアネート化合物等を混合することにより、優れた耐熱性を得ることができる」ことが記載されている。そして、「現場発泡フォーム形成」に用いる「ポリイソシアネート化合物」として「イソシアネート指数が250以上500以下」程度のものは比較的汎用のものであるといえるし、上記「ア 判断」で検討したとおり、「粉状リン化合物」を用いれば、ある程度の「断熱性、耐熱性」を有する「硬化性組成物」が得られることは当業者であれば理解できる。 また、申立人は、特定の範囲外の「イソシアネート指数」を有する「ポリイソシアネート化合物」を用いた場合に、本件発明の課題が解決できなくなることを具体的に示していない。 そうすると、申立理由1-1を採用することはできない。 (イ)申立理由1-2について 「液状リン化合物」について、本件明細書の(本e)の段落【0024】には「難燃剤」として比較的汎用の化合物が列記され、また、「粉状リン化合物」について段落【0026】にも「難燃剤」として比較的汎用の化合物が列記され、また、段落【0030】には、「液状リン化合物」及び「粉状リン化合物」の混合量、両者の配合比について記載されており、「液状リン化合物」及び「粉状リン化合物」のそれぞれの混合量については通常用いる程度の範囲が記載されているといえる。 本件明細書の(本j)の実施例では、特定の「液状リン化合物」及び「粉状リン化合物」を、特定の混合量含む「硬化性組成物」しか記載されていないものの、上記段落【0024】、【0026】で記載された難燃剤である「液状リン化合物」及び「粉状リン化合物」を、段落【0030】に記載された混合量で用いれば、そうでない場合に比べて「断熱性」、「耐熱性」、「美観性」に優れたものが得られることは当業者であれば理解できるといえる。 また、申立人は、実施例で用いられた「液状リン化合物」及び「粉状リン化合物」以外の「液状リン化合物」及び「粉状リン化合物」を用いた場合に、本件発明の課題が解決できなくなることを具体的に示していない。 そうすると、申立理由1-2も採用することはできない。 (ウ)申立理由1-3について 本件明細書の(本j)の「粉状リン化合物」を有しない実施例10も、「粉状リン化合物」を含む実施例1~9と同様に、確かに本件発明の課題を解決できるといえるが、「粉状リン化合物」を含む実施例1~9が本件発明の課題を解決するものである以上、「粉状リン化合物」を有しない実施例10が存在することのみを理由として、本件発明1~6が、本件発明の上記課題を解決できないものであると判断することはできない。 そうすると、申立理由1-3も採用することができない。 (5)まとめ 以上のとおり、申立理由1によっては、本件発明1~6に係る特許を取り消すことはできない 2 申立理由2について (1)申立理由2-1について ア 甲第1号証に記載された発明について 甲第1号証には、第4の2(1)(甲1c)から、 「ポリオール(A)成分として、 ジエチレングリコール中の芳香族ポリエステルアルコール(約90%)OH価178(Terol 196) 48.9% OH価400のポリエーテルポリオール(Lupranol 3321) 3.8% 1,4-ジヒドロキシブタン(OH価1240、密度1.02) 1.4% グリセロール(86%)OH価1800、密度1.23 0.3% トリクロロプロピルホスフェート 7.0% トリエチルホスフェート 5.4% 三量化触媒(カリウム塩)(catalyst LB) 0.7% ジメチルシクロヘキシルアミン(ウレタン反応用触媒) 0.2% 第3級アミン(Polycat 43) 0.3% 水 0.9% ポリエーテルポリオールに分散された赤色染料(Renol LC-FU) 0.7% 整泡剤 ポリジメチルシロキサン ポリエーテル コポリマー(Tegosiat 8471) 0.7% アンモニウムポリホスフェート(メラニン樹脂コート) 3.2% 赤リン(メラミンホルムアルデヒド樹脂コート) 7.6% 1,1,1,2-テトラフルオロエタン(発泡剤134a) 18.5% メチルエーテル 0.4% からなる混合物と、 ポリイソシアネート成分(B)として、 ジフェニルメタン-4,4-ジイソシアネート及び同族及び異性体 密度1.25 75℃の粘度 約600mPas (Suprasec2085) 88.2% 整泡剤 ポリジメチルシロキサン-ポリエーテル コポリマー(Tegosiat 8471) 0.3% 粉末状の青色染料(Renol Blue A2R-E) 0.9% 1,1,1,2-テトラフルオロエタン(発泡剤134a) 5.9% プロパン/ブタン混合物(0.25/99.75) 4.7% からなる混合物とが、 ホースを介して、送達装置の混合ヘッドとその中に存在するミキサーに押し込まれ、発泡してマウスピースから排出される、 反応性2成分ポリウレタンフォーム組成物」の発明(以下「甲1発明」という)が記載されているといえる。 イ 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 甲1発明の「ジエチレングリコール中の芳香族ポリエステルアルコール(約90%)OH価178(Terol 196)」、「OH価400のポリエーテルポリオール(Lupranol 3321)」、「1,4-ジヒドロキシブタン(OH価1240、密度1.02)」、「グリセロール(86%)OH価1800、密度1.23」は、本件発明1の「ポリオール化合物」に相当する。 甲1発明の「水」、「1,1,1,2-テトラフルオロエタン(発泡剤134a)」は、本件発明1の「発泡剤」に相当する。 甲1発明の「三量化触媒(カリウム塩)(catalyst LB)」、「ジメチルシクロヘキシルアミン(ウレタン反応用触媒)」、「第3級アミン(Polycat 43)」は、本件発明1の「触媒」に相当する。 甲1発明の「トリクロロプロピルホスフェート」、「トリエチルホスフェート」は、本件発明1の「液状リン化合物」である「難燃剤」に相当する。 甲1発明の「アンモニウムポリホスフェート(メラニン樹脂コート)」、「赤リン(メラミンホルムアルデヒド樹脂コート)」は、本件発明1の「粉状リン化合物」である「難燃剤」に相当する。 甲1発明の「ポリエーテルポリオールに分散された赤色染料(Renol LC-FC)」及び「粉末状の青色染料(Renol Blue A2R-E)」は、本件発明1の「金属錯塩染料」である「染料」と、「染料」である限りにおいて一致する。 甲1発明の「ジフェニルメタン-4,4-ジイソシアネート及び同族及び異性体 密度1.25 75℃の粘度 約600mPas (Suprasec2085)」は、本件発明1の「イソシアネート化合物」に相当する。 また、甲1発明の「反応性2成分ポリウレタンフォーム組成物」は、「ポリオール(A)成分からなる混合物」と「ポリイソシアネート成分(B)からなる混合物」とが、「ホースを介して、送達装置の混合ヘッドとその中に存在するミキサーに押し込まれ、発泡してマウスピースから排出される」ものであるから、本件発明1と同様に、「現場発泡フォーム形成用の硬化性組成物」であるといえる。 そうすると、本件発明1と甲1発明とは、 「現場発泡フォーム形成用の硬化性組成物であって、 ポリオール化合物、発泡剤、触媒、難燃剤、染料、及びポリイソシアネート化合物を含有し、 該難燃剤が、液状リン化合物及び粉状リン化合物を含む、 ことを特徴とする硬化性組成物。 」である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点1:「染料」について、本件発明1では、「金属錯塩染料」であるのに対し、甲1発明では「ポリエーテルポリオールに分散された赤色染料(Renol LC-FC)」及び「粉末状の青色染料(Renol Blue A2R-E)」であり、「金属錯塩染料」であるか明らかでない点 (イ)判断 上記相違点1について検討する。 本件発明1は、上記「1 申立理由1について」「(3)本件発明の課題について」で検討したとおり、「優れた断熱性、耐熱性とともに、優れた美観性を有する」「現場発泡フォーム形成に適した硬化性組成物」の提供を課題とし、特に、「美観性」の向上に着目したものであり、「美観性」の具体的な内容については、「色ムラ」が(ほとんど)なく、「美観性」に優れていることであるといえる。そして、上記「1 申立理由1について」「(4)判断」「ア 判断」で検討したとおり、「液状リン化合物」と「金属錯塩染料」を用いることにより、「美観性」に優れるという課題を解決したものといえる。 甲1発明においては、「染料」として「ポリエーテルポリオールに分散された赤色染料(Renol LC-FC)」及び「粉末状の青色染料(Renol Blue A2R-E)」を用いているものの、当該染料が「金属錯塩染料」であることを示す証拠がなく、また、甲第1号証には、「染料」として、特に、「金属錯塩染料」を選択することは記載されていないことから、本件発明1は、甲第1号証から容易に発明をすることができたものと判断することはできない。 甲第3号証の(甲3a)~(甲3b)には、従来のポリウレタンフォームの着色の課題であった「耐水性、耐油性、耐ブリード性などの諸性能に劣る欠点」を解決するために、ポリウレタンフォーム製造時に、「2:1型金属錯塩染料の水溶液をポリウレタンフォームを製造するための反応成分に添加する」「ポリウレタンフォームの着色法」が記載されており、実施例として(甲3c)には、具体的な「金属錯塩染料」を用いて着色したポリウレタンフォームは「染料のブリード及び水ブリードがまったく認められなかった」ことが記載されている。 しかしながら、甲第1号証には、「染料」を用いることは記載されているものの、甲第3号証に記載の「耐水性、耐油性、耐ブリード性などの諸性能に劣る欠点」等の「染料」に関する課題について記載されていないことから、甲1発明において、甲第3号証に記載された「2:1型金属錯塩染料」を用いることの動機付けを見いだすことができない。 また、本件発明1は、上述のとおり、「液状リン化合物」と「金属錯塩染料」を用いることにより、「美観性」に優れるという課題を解決したものといえるところ、甲第1号証にも甲第3号証にも、「液状リン化合物」と「金属錯塩染料」とを併用することについて記載も示唆もされていない。 さらに、甲第3号証のポリウレタンフォームの着色は「染料のブリード及び水ブリードがまったく認められなかった」という効果を奏するものであるのに対し、本件発明1は、「色ムラ」がなく「美観性」に優れるものを得たとの効果であるから、甲第3号証の記載を参酌しても、本件発明1の効果を予測できるとはいえない。 したがって、甲第3号証を参酌しても、甲1発明において、「染料」として「金属錯塩染料」を用いることを動機づけることはできない。 さらに、他の甲号証をみても、甲1発明において、「染料」として「金属錯塩染料」を用いることを動機づける記載はないし、「液状リン化合物」と「金属錯塩染料」とを併用することについて記載も示唆もされていない したがって、相違点1について、甲1発明及び甲第2~7号証に記載された事項から容易に想到し得たということはできない。 (ウ)小括 以上のとおり、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2~7号証に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 ウ 本件発明2~6について 本件発明2~6は、本件発明1を直接的又は間接的に引用して限定した発明であるから、本件発明2~6は、上記イ(イ)で示した理由と同じ理由により、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証~甲第7号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 エ まとめ 以上のとおり、申立理由2-1の理由によっては、本件発明1~6に係る特許を取り消すことはできない。 (3)申立理由2-2について ア 甲第2号証に記載された発明について 甲第2号証には、上記第2(2)(甲2f)の実施例4に着目すると、 「ポリオールA(テレフタル酸系ポリエステルポリオール、TEROL-250(Oxid社製、水酸基価250mgKOH/g))と「ポリオールB(シュークロース/グリセリン系ポリエーテルポリオール、SG-360(武田薬品社製、水酸基価375mgKOH/g))とがA/B=70/30で含むポリオール 100重量部 難燃剤Aであるエチレンジアミンリン酸亜鉛 10重量部 難燃剤Cであるトリエチルフォスフェート(試薬1級) 5重量部 触媒NであるN,N,N´-トリメチルアミノエチルエタノールアミン(東ソー(株)社製TOYOCAT-RX5) 1.5重量部 触媒Kであるオクチル酸カリウム(試薬)70%とジエチレングリコール(試薬)30%の混合液 2.2重量部 発泡剤である蒸留水 1重量部 発泡剤であるジクロルモノフルオロエタン(HCFC-141b、セントラル硝子社製) 25重量% 整泡剤であるシリコン系整泡剤L-5420(日本ユニカー社製L-5420) 2重量% を混合したポリオール組成物と、 ポリイソシアネートであるクルードMDI、イソシアネート濃度31.1%(日本ポリウレタン社製、MR-200) とを混合、攪拌した、硬質ポリウレタン/ポリイソシアヌレートフォームを発泡成型のための組成物」の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているといえる。 イ 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲2発明とを対比する。 甲2発明の「ポリオールA(テレフタル酸系ポリエステルポリオール、TEROL-250(Oxid社製、水酸基価250mgKOH/g))と「ポリオールB(シュークロース/グリセリン系ポリエーテルポリオール、SG-360(武田薬品社製、水酸基価375mgKOH/g))とがA/B=70/30で含むポリオール」は、本件発明1の「ポリオール化合物」に相当する。 甲2発明の「発泡剤である蒸留水」、「発泡剤であるジクロルモノフルオロエタン(HCFC-141b、セントラル硝子社製)」は、本件発明1の「発泡剤」に相当する。 甲2発明の「触媒NであるN,N,N´-トリメチルアミノエチルエタノールアミン(東ソー(株)社製TOYOCAT-RX5)」及び「触媒Kであるオクチル酸カリウム(試薬)70%とジエチレングリコール(試薬)30%の混合液」は、本件発明1の「触媒」に相当する。 甲2発明の「難燃剤Cであるトリエチルフォスフェート(試薬1級)」は、本件明細書の(本e)の段落【0024】の記載からみて、本件発明1の「液状リン化合物」である「難燃剤」に相当する。 甲2発明の「難燃剤Aであるエチレンジアミンリン酸亜鉛」は、本件発明1の「粉状リン化合物」である「難燃剤」に相当する。 また、甲2発明の「組成物」は、「硬質ポリウレタン/ポリイソシアヌレートフォームを発泡成型のための組成物」であるから、本件発明1と同様に「硬化性組成物」であるといえる。 そうすると、本件発明1と甲2発明とは、 「硬化性組成物であって、 ポリオール化合物、発泡剤、触媒、難燃剤、及びポリイソシアネート化合物を含有し、 該難燃剤が、液状リン化合物及び粉状リン化合物を含む、 ことを特徴とする硬化性組成物。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点2:「硬化性組成物」の用途について、本件発明1では、「現場発泡フォーム形成用」であるのに対し、甲2発明では、そのような用途の特定がない点 相違点3:「硬化性組成物」の成分について、本件発明1では、「金属錯塩染料」である「染料」を含むのに対して、甲2発明では、「染料」を含んでいない点 (イ)判断 事案に鑑みて、上記相違点3について検討する。 上記「(1)申立理由2-1について」「イ 本件発明1について」「(イ)判断」で述べたように、本件発明1は、「優れた断熱性、耐熱性とともに、優れた美観性を有する」「現場発泡フォーム形成に適した硬化性組成物」の提供を課題とし、特に、「美観性」の向上に着目したものであり、「美観性」の具体的な内容については、「色ムラ」が(ほとんど)なく、「美観性」に優れていることであり、「液状リン化合物」と「金属錯塩染料」を用いることにより、「美観性」に優れるという課題を解決したものといえる。 甲2発明の「組成物」には、「金属錯塩染料」が含まれておらず、また、甲第2号証の(甲2d)の段落【0035】には「組成物」に「着色剤」を添加できることが記載されているものの、「着色剤」として「金属錯塩染料」を選択することまでは記載されていない。 そうすると、甲第2号証から、本件発明1を容易に想到し得たということはできない。 また、上記「(1)申立理由2-1について」「イ 本件発明1について」「(イ)判断」で述べたとおり、甲第3号証には、「耐水性、耐油性、耐ブリード性などの諸性能に劣る欠点」を解決するために、ポリウレタンフォーム製造時に、「2:1型金属錯塩染料の水溶液をポリウレタンフォームを製造するための反応成分に添加する」「ポリウレタンフォームの着色法」が記載されているものの、甲第2号証には、甲第3号証に記載の「耐水性、耐油性、耐ブリード性などの諸性能に劣る欠点」等の「染料」に関する課題について記載されていないことから、甲2発明において、甲第3号証に記載された「2:1型金属錯塩染料」を用いることの動機付けを見いだすことができない。また、甲第3号証の記載を参酌しても、本件発明1の効果を予測できるとはいえない。 さらに、他の甲号証をみても、甲2発明において、「染料」として「金属錯塩染料」を用いることを動機づける記載はない。 したがって、相違点3についても、甲2発明及び甲第1、3~7号証に記載された事項から容易に想到し得たということはできない。 (ウ)小括 以上のとおり、上本件発明1は、相違点2について検討するまでもなく、甲第2号証に記載された発明及び甲第1、3~7号証に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 ウ 本件発明2~6について 本件発明2~6は、本件発明1を直接的又は間接的に引用して限定した発明であるから、本件発明2~6は、上記イ(イ)で示した理由と同じ理由により、甲第2号証に記載された発明及び甲第1、3~7号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 エ まとめ 以上のとおり、申立理由2-2の理由によっても、本件発明1~6に係る特許を取り消すことはできない。 (4)申立理由2についてのまとめ 以上のとおり、申立理由2によっても、本件発明1~6に係る特許を取り消すことはできない 第6 むすび 以上のとおり、申立人が主張する異議申立ての理由1~2及び証拠方法によっては、本件発明1~6に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-701066

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