2021-701053
開錠制御装置、開錠制御システム、開錠制御方法及び開錠制御プログラム
- 審判番号
- 2021-701053
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-189900外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 6870802
- 請求日
- 2021年11月09日
- 審決日
- 2023年01月05日
- 公報発行日
- 2023年05月26日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P1652.113-YAA(E05B) / P1652.121-YAA(E05B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 20項目
第1 手続の経緯
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特許第6870802号の請求項1ないし19に係る特許についての出願は、令和2年11月13日に出願され、令和3年4月19日にその特許権の設定登録がされ、同年5月12日に特許掲載公報が発行されたものであり、その後の特許異議の申立ての経緯は以下のとおりである。
令和3年11月 9日 特許異議申立人森山涼子(以下「申立人」と
いう。)による請求項1~3、8~16、1
8、19に係る発明の特許に対する特許異議
の申立て
令和4年 1月28日付け 取消理由通知
同年 3月30日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 5月10日 特許権者による手続補正書(同年3月30日
付け訂正請求書について)の提出
同年 6月24日 申立人による意見書の提出
同年 8月 1日付け 取消理由通知(決定の予告)
同年10月 5日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年11月25日 申立人による意見書の提出
なお、令和4年10月5日に訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)がされたことにより、同年3月30日にされた訂正の請求は、取り下げられたものとみなす(特許法120条の5第7項)。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求の内容(以下「本件訂正」という。)は以下のとおりである。(下線は、訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の記載を、「物理的な侵入を阻む装置の近くに設置され、生体情報を用いて開錠を制御する開錠制御装置であって、
開錠を許可される対象となる開錠許可者の生体情報、所属を識別する所属識別情報並びに前記所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報を入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して取得した情報を開錠許可データベースに記憶する開錠許可登録部と、
開錠許可の判定対象となる判定対象者の生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記判定対象者の生体情報と、前記開錠許可者の生体情報を照合し、前記判定対象者の生体情報を取得した日時と、前記所属識別情報に応じた開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間が適合するかを検出し、開錠を許可したときに開錠操作を行う開錠判定部とを備える開錠制御装置。」に訂正する。(請求項1を引用する請求項2~3,8~14も同様に訂正する。)
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項15の記載を、「管理サーバと、
物理的な侵入を阻む装置の近くに設置される開錠制御装置とを備え、
前記管理サーバは、
開錠を許可される対象となる開錠許可者の生体情報、所属を識別する所属識別情報並びに前記所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報を入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して取得した情報を開錠許可データベースに記憶する開錠許可登録部を備え、
前記開錠制御装置は、
開錠許可の判定対象となる判定対象者の生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記判定対象者の生体情報と、前記開錠許可者の生体情報を照合し、前記判定対象者の生体情報を取得した日時と、前記所属識別情報に応じた開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間が適合するか検出し、開錠を許可したときに開錠操作を行う開錠判定部とを備える開錠制御システム。」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項16の記載を、「管理サーバと、
端末装置と、
物理的な侵入を阻む装置の近くに設置される開錠制御装置とを備え、
前記管理サーバは、
開錠を許可される対象となる開錠許可者の生体情報、所属を識別する所属識別情報並びに前記所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報を入力するためのフォームを前記端末装置に表示させ、当該フォームを介して当該情報を前記端末装置から取得して、開錠許可データベースに記憶する開錠許可登録部を備え、
前記開錠制御装置は、
開錠許可の判定対象となる判定対象者の生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記判定対象者の生体情報と、前記開錠許可者の生体情報を照合し、前記判定対象者の生体情報を取得した日時と、前記所属識別情報に応じた開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間が適合するか検出し、開錠を許可したときに開錠操作を行う開錠判定部とを備える開錠制御システム。」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項18の記載を、「生体情報を用いて開錠を制御する開錠制御方法であって、
開錠を許可される対象となる開錠許可者の生体情報、所属を識別する所属識別情報並びに前記所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報を入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して取得した情報を開錠許可データベースに記憶する開錠許可登録ステップと、
開錠許可の判定対象となる判定対象者の生体情報を取得する生体情報取得ステップと、
前記判定対象者の生体情報と、前記開錠許可者の生体情報を照合し、前記判定対象者の生体情報を取得した日時と、前記所属識別情報に応じた開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間が適合するか検出し、開錠を許可したときに開錠操作を行う開錠判定ステップとをコンピュータにより実現するための開錠制御方法。」に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項19の記載を、「生体情報を用いて開錠を制御する開錠制御プログラムであって、
開錠を許可される対象となる開錠許可者の生体情報、所属を識別する所属識別情報並びに前記所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報を入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して取得した情報を開錠許可データベースに記憶する開錠許可登録ステップと、
開錠許可の判定対象となる判定対象者の生体情報を取得する生体情報取得ステップと、
前記判定対象者の生体情報と、前記開錠許可者の生体情報を照合し、前記判定対象者の生体情報を取得した日時と、前記所属識別情報に応じた開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間が適合するか検出し、開錠を許可したときに開錠操作を行う開錠判定ステップとをコンピュータにより実現するための開錠制御プログラム。」に訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1について、
(ア)開錠制御装置を「物理的な侵入を阻む装置の近くに設置され」るものに特定して限定するとともに、
(イ)開錠許可登録部が情報を開錠許可データベースに記憶するにあたり、その情報の取得を「入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して」取得するものに特定して限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
(ア)願書に添付した明細書(以下「本件明細書」といい、特許請求の範囲及び図面とを併せて「本件明細書等」という。)の段落【0015】に「開錠制御装置100は、ドア、扉、ゲートなど、物理的に侵入を阻む装置と合わせて使用される。例えば、図1に示すように、集合住宅、オフィスビルのドア10の近くに開錠制御装置100が設置される。」と記載されており、開錠制御装置を「物理的な侵入を阻む装置の近くに設置され」るものとすることは、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
(イ)開錠許可登録部が情報を開錠許可データベースに記憶するにあたり、その情報の取得を「入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して」取得することについて、本件明細書の段落【0143】に「端末装置600を通して、開錠許可DB421に記憶する情報を取得するとき、端末装置600は、開錠許可DB421に記憶する情報を取得するための二次元バーコードを読み取り、当該二次元バーコードにより示されたURL(Uniform Resource Locator)にアクセスすることで、開錠を許可される対象となる開錠許可者の生体情報、開錠を許可するための開錠許可条件、及び開錠許可者の所属を識別する所属識別情報を入力するためのフォームを表示可能とし、開錠許可DB121への記憶を簡単に操作できるようにしてもよい。」と記載され、同【0142】に「なお、開錠許可DB421に記憶するための操作は、必ずしも端末装置600を介した入力に限られるものではなく、管理サーバ400において行ってもよいし、開錠制御装置500において行ってもよい。」と記載され、同【0161】に「また、本開示に係る管理サーバ及び開錠制御装置は、上記装置によらず、例えば、コンピュータがプログラムを実行することで、その機能を実現してもよい。」と記載され、同【0162】に「また、上記実施形態及び変形例で説明した装置の構成は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせ可能である。」と記載される。そうすると、訂正事項1の、開錠許可登録部が情報を開錠許可データベースに記憶するにあたり、その情報の取得を「入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して」取得するものとする訂正は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1に係る訂正は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、訂正前の請求項1の発明特定事項のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、当該訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(2)訂正事項2及び3について
ア 訂正の目的
訂正事項2及び3に係る訂正は、訂正前の請求項15及び16について、訂正事項1同様、
(ア)開錠制御装置を「物理的な侵入を阻む装置の近くに設置される」ものに特定して限定するとともに、
(イ)開錠許可登録部が情報を開錠許可データベースに記憶するにあたり、その情報の取得を「入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して」取得するものに特定して限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項2及び3に係る訂正は、上記(1)イで検討したように、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2及び3に係る訂正は、上記(1)ウで検討したのと同様の理由により、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(3)訂正事項4及び5について
ア 訂正の目的
訂正事項4及び5に係る訂正は、訂正前の請求項18及び19について、開錠許可登録ステップにおいて情報を開錠許可データベースに記憶するにあたり、その情報の取得を「入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して」取得するものに特定して限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無
訂正事項4及び5に係る訂正は、上記(1)イで検討したように、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4及び5に係る訂正は、上記(1)ウで検討したのと同様の理由により、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
3 一群の請求項について
訂正前の請求項2、3、8~14は、これらの請求項が直接又は間接的に引用する請求項1の記載を訂正する訂正事項1によって連動して訂正されるから、訂正前の請求項1~3、8~14に対応する訂正後の請求項1~3、8~14は、一群の請求項である。そうすると、訂正事項1は、一群の請求項1~3、8~14についてされている。
4 訂正の適否についての判断のまとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3、8-14〕、15、16、18、19について訂正することを認める。
第3 本件訂正発明
上記第2で示したとおり、本件訂正は認容されるので、本件特許の請求項1ないし3、8ないし16、18及び19に係る発明(以下、それぞれ、請求項の番号により「本件訂正発明1」等という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし3、8ないし16、18及び19に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】物理的な侵入を阻む装置の近くに設置され、生体情報を用いて開錠を制御する開錠制御装置であって、開錠を許可される対象となる開錠許可者の生体情報、所属を識別する所属識別情報並びに前記所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報を入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して取得した情報を開錠許可データベースに記憶する開錠許可登録部と、開錠許可の判定対象となる判定対象者の生体情報を取得する生体情報取得部と、続きを表示(全57行)前記判定対象者の生体情報と、前記開錠許可者の生体情報を照合し、前記判定対象者の生体情報を取得した日時と、前記所属識別情報に応じた開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間が適合するかを検出し、開錠を許可したときに開錠操作を行う開錠判定部とを備える開錠制御装置。【請求項2】前記開錠許可登録部は、さらに開錠許可者の開錠を許可するための開錠許可条件を取得して開錠許可データベースに記憶し、前記開錠判定部は、さらに開錠許可者の開錠許可条件に応じて開錠判定を行う請求項1に記載の開錠制御装置。【請求項3】前記開錠許可条件は少なくとも日、曜日及び/又は時間の情報を含み、前記開錠判定部は、前記判定対象者の生体情報と、前記開錠許可者の生体情報を照合し、少なくとも前記判定対象者の生体情報を取得した日時と前記開錠許可条件に定める条件に応じて、開錠判定を行う請求項2に記載の開錠制御装置。【請求項8】前記開錠許可者の生体情報及び前記判定対象者の生体情報はいずれも顔画像情報である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の開錠制御装置。【請求項9】前記開錠許可者の生体情報は顔画像情報を含み、前記判定対象者の生体情報は顔画像情報及び体温情報を含み、前記開錠判定部は、前記判定対象者の顔画像情報と、前記開錠許可者の顔画像情報を照合し、少なくとも前記判定対象者の体温を閾値とした条件に応じて、開錠判定を行う請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の開錠制御装置。【請求項10】前記開錠許可者の生体情報は顔画像情報を含み、前記判定対象者の生体情報は顔画像情報及び体温情報を含み、前記開錠判定部は、前記判定対象者の顔画像情報と、前記開錠許可者の顔画像情報を照合し、少なくとも前記判定対象者の体温が37度5分を閾値とした条件に応じて、開錠判定を行う請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の開錠制御装置。【請求項11】前記開錠許可者の生体情報及び前記判定対象者の生体情報はいずれも顔画像情報を含み、前記開錠判定部は、前記判定対象者の顔画像情報と、前記開錠許可者の顔画像情報を照合し、少なくとも前記判定対象者がマスクを着用していることの検出を行い、開錠判定を行う請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の開錠制御装置。【請求項12】前記開錠判定部が開錠を許可したときに、前記生体情報取得部が前記生体情報を取得した日時の情報を履歴データベースに記憶する履歴記録部をさらに備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の開錠制御装置。【請求項13】前記履歴記録部は、前記開錠判定部が開錠を許可したときに、前記生体情報取得部が前記生体情報を取得した日時及び前記生体情報を履歴データベースに記憶する請求項12に記載の開錠制御装置。【請求項14】前記開錠許可データベースには、前記所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報を記憶され、前記履歴記録部は、前記開錠判定部が前記判定対象者に対して開錠を許可したときに、前記生体情報取得部が前記生体情報を取得した日時を入場時間として、前記履歴データベースに記憶し、開錠を許可された前記判定対象者が、前記所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間を経過しても退場時間が記憶されないときに、予め登録された連絡先に、前記判定対象者の情報を送信する開錠情報送信部をさらに備える請求項12に記載の開錠制御装置。【請求項15】管理サーバと、物理的な侵入を阻む装置の近くに設置される開錠制御装置とを備え、前記管理サーバは、開錠を許可される対象となる開錠許可者の生体情報、所属を識別する所属識別情報並びに前記所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報を入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して取得した情報を開錠許可データベースに記憶する開錠許可登録部を備え、前記開錠制御装置は、開錠許可の判定対象となる判定対象者の生体情報を取得する生体情報取得部と、前記判定対象者の生体情報と、前記開錠許可者の生体情報を照合し、前記判定対象者の生体情報を取得した日時と、前記所属識別情報に応じた開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間が適合するか検出し、開錠を許可したときに開錠操作を行う開錠判定部とを備える開錠制御システム。【請求項16】管理サーバと、端末装置と、物理的な侵入を阻む装置の近くに設置される開錠制御装置とを備え、前記管理サーバは、開錠を許可される対象となる開錠許可者の生体情報、所属を識別する所属識別情報並びに前記所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報を入力するためのフォームを前記端末装置に表示させ、当該フォームを介して当該情報を前記端末装置から取得して、開錠許可データベースに記憶する開錠許可登録部を備え、前記開錠制御装置は、開錠許可の判定対象となる判定対象者の生体情報を取得する生体情報取得部と、前記判定対象者の生体情報と、前記開錠許可者の生体情報を照合し、前記判定対象者の生体情報を取得した日時と、前記所属識別情報に応じた開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間が適合するか検出し、開錠を許可したときに開錠操作を行う開錠判定部とを備える開錠制御システム。【請求項18】生体情報を用いて開錠を制御する開錠制御方法であって、開錠を許可される対象となる開錠許可者の生体情報、所属を識別する所属識別情報並びに前記所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報を入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して取得した情報を開錠許可データベースに記憶する開錠許可登録ステップと、開錠許可の判定対象となる判定対象者の生体情報を取得する生体情報取得ステップと、前記判定対象者の生体情報と、前記開錠許可者の生体情報を照合し、前記判定対象者の生体情報を取得した日時と、前記所属識別情報に応じた開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間が適合するか検出し、開錠を許可したときに開錠操作を行う開錠判定ステップとをコンピュータにより実現するための開錠制御方法。【請求項19】生体情報を用いて開錠を制御する開錠制御プログラムであって、開錠を許可される対象となる開錠許可者の生体情報、所属を識別する所属識別情報並びに前記所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報を入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して取得した情報を開錠許可データベースに記憶する開錠許可登録ステップと、開錠許可の判定対象となる判定対象者の生体情報を取得する生体情報取得ステップと、前記判定対象者の生体情報と、前記開錠許可者の生体情報を照合し、前記判定対象者の生体情報を取得した日時と、前記所属識別情報に応じた開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間が適合するか検出し、開錠を許可したときに開錠操作を行う開錠判定ステップとをコンピュータにより実現するための開錠制御プログラム。」
第4 証拠一覧、特許異議申立理由の概要及び取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由の概要
1 証拠一覧
(1)申立人が特許異議申立書(以下単に「申立書」という。)に添付して提出した証拠は、以下のとおり。
甲第1号証 特開2008-108136号公報
甲第2号証 特開2006-207139号公報
甲第3号証 特開2004-265158号公報
甲第4号証 特開2017-215737号公報
甲第5号証 特開2010-128976号公報
甲第6号証 特開2010-217999号公報
甲第7号証 特開2016-184197号公報
甲第8号証 特開2013-140462号公報
甲第9号証 特開2009-282729号公報
甲第10号証 特開2009-3659号公報
甲第11号証 特開2007-102570号公報
甲第12号証 特開平11-191188号公報
甲第13号証 特開2006-331336号公報
(以下「甲第1号証」等を「甲1」等という場合がある。)
(2)申立人が令和4年6月24日付け意見書において、マスクを着用している状態で顔認証を行うことが一般に行われることであることを示す証拠として提示した引用文献等であって、取消理由通知(決定の予告)に引用した引用文献等は以下のとおり。
引用文献A サイバーリンク株式会社、「サイバーリンク AI 顔認識技術「FaceMe○R(当審注:「○R」はRマークを表す。以下、同様。)」マスク検出・マスク着用中でも顔認識可能な新機能を発表~新型コロナウイルス(COVID-19)からの非接触行動の実現を支援~」、2020年6月8日、[online]
<URL: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000084.000005271.html>
引用文献B 日本電気株式会社、「NEC、マスク着用時でも高い精度を実現する顔認証製品を販売開始~感染症への水際対策支援を強化~」、2020年9月24日、[online]<https://jpn.nec.com/press/202009/20200924_01.html>
2 特許異議申立理由の概要
申立人が訂正前の本件特許の請求項1ないし3、8ないし16、18及び19に対して申立書において主張する特許異議申立理由の概要は、次のとおりである。
(1)訂正前の本件特許の請求項1ないし3、12、15、18及び19に係る発明は、甲2に記載された発明である。
(2)訂正前の本件特許の請求項1ないし3、8ないし16、18及び19に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲2ないし甲13に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)訂正前の本件特許の請求項1ないし3、8ないし16、18及び19に係る発明は、甲2に記載された発明及び甲1、甲4ないし甲13に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本件訂正前の本件特許の請求項1ないし3、8ないし16、18及び19に係る特許は、特許法29条1項または2項の規定に違反してされたものであるから、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
3 取消理由(決定の予告)の概要
令和4年3月30日提出の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし3、8ないし10、12ないし16、18及び19に係る特許に対して、当審において令和4年8月1日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
(1)本件特許の請求項1、8、15、16、18及び19に係る発明は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて、甲1及び甲5に記載された発明に基いて、甲1及び甲7に記載された発明に基いて、甲1及び引用文献Aに記載された発明に基いてまたは甲1及び引用文献Bに記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)本件特許の請求項2、3、9、10、12ないし14に係る発明は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて、甲1、甲5に記載された発明及び周知技術に基いて、甲1及び甲7に記載された発明及び周知技術に基いて、甲1及び引用文献Aに記載された発明及び周知技術に基いてまたは甲1及び引用文献Bに記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本件特許の請求項1ないし3、8ないし10、12ないし16、18及び19に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるから、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
第5 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由についての当審の判断
1 証拠の記載
(1)甲1
ア 甲1の記載
甲1には以下の記載がある(下線は、当審で付加した。以下、同様。)。
(ア)「【技術分野】【0001】本発明は、被認証情報に基づき入退室管理を行う入退室管理システムに関し、詳しくは、人事情報を用いた入退室管理での認証処理を担う認証処理装置及び連携設定装置に関する。【背景技術】続きを表示(全20行)・・・【0003】一般に入退室管理システムは、ユーザに与えられたIC(Integrated Circuit)カードに組み込まれたユーザID(IDentification)や、生体情報(指紋、虹彩、声紋など)といった、ユーザを一意に特定する情報を用いて入退室管理用のホストコンピュータにより個人認証を行い、登録された正当なユーザであることが認証された場合に、施錠された入退室用のドアを解錠することで、機密情報を扱う高度セキュリティレベル領域内への入室を許可する、というような管理を行っている。・・・【発明が解決しようとする課題】【0005】ところで、オフィス内でのセキュリティ意識の高まりにより、入室資格をより細かく設定したいという要求が高まっている。例えば、ある建物内に設置された事務所において、平日の昼間には、事務所に所属する全ての従業員の建物内への入室を許可するが、平日の夜間や休日には、保守作業や夜間業務のある一部の部署に所属する従業員のみ建物内への入室を許可するようにする。【0006】このように、従業員の入室資格を設定するには、従業員に関する情報を規定した人事情報を活用すると容易となる。人事情報とは、例えば、従業員の所属部署、性別、役職といった従業員の属性を規定した情報である。つまり、人事情報を用いて、従業員の所属部署毎に建物内への入室許可を与えるアクセスタイムを設定すれば、上述したような、所属部署単位での従業員の入室許可を容易に設定することができる。【0007】しかしながら、特許文献1で開示されている手法に、人事情報を適用した場合、同一利用者の同一扉に対して重複した複数のアクセスタイムが設定されてしまうといった問題が発生する。このように複数のアクセスタイムが設定されてしまうと、本来利用許可を与えるべきではない時間帯であっても利用許可されたり、逆に本来利用許可を与える必要がある時間帯であっても利用許可されなかったりといった不都合が生じてしまう。【0008】そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、入退室管理システムの管理者にとって設定を容易にする従業員の属性を規定した人事情報を使用しながら、同一利用者の同一扉に対して重複した複数のアクセスタイムが設定された場合の弊害を除去することができる認証処理装置及び連携設定装置を提供することを目的とする。【課題を解決するための手段】【0009】本発明の認証処理装置は、ユーザを一意に特定するユーザ特定情報と、前記ユーザの所属先を特定するユーザ属性情報とを関連付けた第1のテーブルと、任意の物理領域への入室を許可する認証許可時間帯を規定した第2のテーブルと、所定の物理領域への入退室を隔てる扉を特定する扉情報を特定する第3のテーブルと、前記第1のテーブルの前記ユーザ属性情報と、前記第2のテーブルの認証許可時間帯と、前記第3のテーブルの扉情報とを関連付けた第4のテーブルと、前記ユーザ特定情報に基づき第1のテーブルから取得されるユーザ属性情報から、前記第4のテーブルによって関連付けられた前記第2のテーブルの認証許可時間帯に基づき認証処理をする認証処理手段と、前記第1のテーブルにおいて、ユーザ特定情報に関連付けられたユーザ属性情報が複数存在する場合、前記認証処理手段によって認証された認証許可時間帯のうち、所定のルールに基づき前記認証許可時間帯を決定する認証許可時間帯決定手段とを備えることで、上述の課題を解決する。」
(イ)「【0026】[第1の実施の形態]まず、図1を用いて、本発明の第1の実施の形態として入退室管理システム1について説明をする。図1に示すように、入退室管理システム1は、設備系システム10と、認証処理装置20と、人事管理システム30とを備えている。【0027】続きを表示(全28行)入退室管理システム1の設備系システム10と、認証処理装置20とは、セキュリティレベルの低い領域(低度セキュリティレベル領域)から機密情報の高い領域(高度セキュリティレベル領域)へのユーザの出入を管理する。【0028】人事管理システム30は、入退室管理システム1を利用するユーザである、例えば、社員などの人事情報を管理するシステムである。人事情報とは、例えば、従業員の所属部署、性別、役職といった従業員の属性を規定した情報である。人事管理システム30は、認証処理装置20の要求に応じて、適宜人事情報を提供する。【0029】入退室管理システム1は、上述した低度セキュリティレベル領域から高度セキュリティレベル領域への出入を管理する形態であればどのようなものであってもよいが、例えば、高度セキュリティレベル領域と低度セキュリティレベル領域とを扉などで隔てて、認証処理に応じて各領域への移動を認めるようにする。【0030】入退室管理システム1は、高度セキュリティレベル領域への入室を希望するユーザ全てに対して認証処理を行い、あらかじめ登録された正当なユーザのみを認証して高度セキュリティレベル領域への入室を許可する。また、入退室管理システム1は、必要に応じて高度セキュリティレベル領域から退室を希望するユーザに対して認証処理を行い、高度セキュリティレベル領域からの退室を許可する。低度セキュリティレベル領域と、高度セキュリティレベル領域とは、電気的な作用により施錠、解錠することができる電気錠を備える扉12によって隔てられている。【0031】具体的には、設備系システム10は、高度セキュリティレベル領域外に設けられた高度セキュリティレベル領域である部屋R1外に設けられたカードリーダ11により、ユーザが所有する、例えば、非接触のICカード(Integrated Circuit)5の図示しない半導体メモリ内に格納された情報を読み取る。認証処理装置20は、カードリーダ11で読み取られた情報のうちの被認証情報であるカードIDに基づき正当なユーザであると認証された場合に図示しない入退室コントロールユニットにより施錠されていた電気錠を解錠することで高度セキュリティレベル領域への入室を許可する。【0032】入退室管理システム1は、このような認証処理により、施錠された電気錠を解錠する場合には、ユーザが所有するICカード5に格納された情報のうち、ICカード5を一意に特定するカードIDと、施錠した扉に固有の扉ID(DNO:扉ナンバー)と、入室か退室かを示す情報とを認証処理装置20に送信する。入室か退室かを示す情報は、例えば、カードリーダ11を一意に特定する機器IDで示すようにしてもよい。【0033】認証処理装置20は、人事情報データベース21と、組織マスタデータベース22と、物理情報データベース23と、アクセスタイムデータベース24と、連携設定データベース25と、各種データベースに記憶させる情報を連携させ入退室許可判定部27における入退室許可判定で利用する情報を設定する連携設定部26と、カードリーダ11にてICカード5から読み取られた情報に基づき入退室判定許可を判定する入退室許可判定部27とを備えている。【0034】人事情報データベース21は、人事管理システム30から取得した人事情報を記憶している。例えば、図2(a)に示すような社員ナンバー(No)と社員の姓名を関連づけた社員基本情報テーブルST1や、図2(b)に示すような社員ナンバーと社員の所属コードとを関連づけた社員所属情報テーブルST2とを記憶している。・・・【0038】ここで、図5に示すフローチャートを用いて、連携設定部26によるアクセスタイムデータベース24、連携設定データベース25に設定されるデータベースの設定処理動作について説明をする。この処理動作により連携設定データベース25には、ユーザの入室資格を判定するためのデータベースが構築される。【0039】ステップS1において、連携設定部26は、組織マスタデータベース22から所属マスタテーブルMT1を、物理情報データベース23からゲートグループ情報テーブルGT2を取得する。ゲートグループ情報GT2は、認証処理装置20が管理する扉の集合単位であるゲートグループを管理する情報である。具体的には、ゲートグループは、部屋や建物全体や敷地内の扉全体といった一定の物理空間の境界となる扉の集合を定義したものである。【0040】ステップS2において、連携設定部26は、図6に示すような、アクセスタイムIDごとに、入退室許可曜日、入退室許可時間帯を指定するアクセスタイムテーブルAT1を生成し、アクセスタイムデータベース24に記憶させる。【0041】ステップS3において、連携設定部26は、所属マスタテーブルMT1の所属コードと、ゲートグループ情報テーブルGT2を階層化したゾーンコードと、アクセスタイムマスタテーブルAT1のアクセスタイムIDとを関連付けた、図7(a)に示す所属別アクセスゾーンテーブルZ1を生成し、連携設定データベース25に記憶させる。」
(ウ)「【0043】続いて、図8に示すフローチャートを用いて、入退室許可判定部27による入退室許可判定処理動作について説明をする。なお、説明のため、2006年4月3日の20:00(平日夜間)に、利用者No.「M0001」のユーザが扉ナンバー(DNO)「D00001」の扉に入室を試みる場合を想定する。【0044】ステップS11において、ユーザがICカード5をカードリーダ11に読み取らせる。カードリーダ11は、ICカード5に記憶されたカードIDと、カードリーダ11が設置された扉の扉ナンバー(DNO)と、読み取り時刻を取得し、認証処理装置20の入退室許可判定部27に送出し、入室資格判定を問い合わせる。なお、カードリーダ11が、ICカード5のカードIDを読み取った時刻と、入退室許可判定部27に問い合わせる時刻とが認証判定処理に支障がない程度に短時間である場合、読み取り時刻は不要となる。続きを表示(全24行)・・・【0046】ステップS12において、入退室許可判定部27は、取得したカードIDから、図2(c)に示すようなカード情報テーブルCT1を参照し、ICカード5が有効期限内であるかどうかを判断する。入退室許可判定部27は、ICカード5が有効期限内である場合は処理をステップS13へと進める一方、有効期限内でない場合には処理をステップS20へと進める。【0047】ステップS13において、入退室許可判定部27は、カードIDをキーとして、人事情報データベース21を参照し、ICカード5を保有しているユーザの所属コードを取得する。例えば、入退室許可判定部27は、カード情報テーブルCT1の利用者IDをキーとして、図2(b)に示す社員所属情報テーブルST2から社員の所属コードを取得する。・・・【0049】ステップS15において、入退室許可判定部27は、ステップS13で取得した所属コード、ステップS14で取得したゲートグループコードの組み合わせを用いて、連携設定データベース25に記憶されている図7(a)に示す所属別アクセスゾーンテーブルZ1を参照し、該当する連携設定情報を取得する。例えば、ユーザが複数の部署に所属していたり、扉が複数のゲートグループに含まれている場合、複数の連携設定情報を取得することができる。・・・【0054】ステップS17において、入退室許可判定部27は、有効な連携設定情報から入室可能な時間帯を取得する。具体的には、入退室許可判定部27は、所属別アクセスゾーンテーブルZ1を参照し、有効な連携設定情報のアクセスタイムIDを取得する。上述したように、図7(a)に示す所属別アクセスゾーンテーブルZ1において、有効な連携設定情報のアクセス権限コードは、「A0001」、「A0002」、「A9001」であるので、これらより、該当するアクセスタイムIDは、「T0001」、「T0002」であることが分かる。【0055】入退室許可判定部27は、アクセスタイムデータベース24のアクセスタイムマスタテーブルAT1を参照し、アクセスタイムIDから入室可能な時間帯を取得する。【0056】ステップS18において、入退室許可判定部27は、取得した入室可能な時間帯と、入室資格を問い合わせる時刻又はICカード5のカードIDを読み取った時刻とを比較して入室可能であるかどうかを判定する。入退室許可判定部27は、入室可能な時間帯である場合には、ステップS19へと処理を進め入室許可を与える一方、入室可能な時間帯でない場合には、ステップS20へと処理を進め入室不許可とする。【0057】このとき、入退室許可判定部27は、アクセスタイムIDが複数ある場合には、所定のルールに基づき、いずれか一つのアクセスタイムIDを選択することになる。・・・【0063】このように、本発明の第1の実施の形態として示す入退室管理システム1は、認証処理装置20により、人事情報を用いた入退室管理を実行する場合、兼務などによりユーザが所属するユーザ属性が複数となったとしても、複数存在する認証許可時間帯を1つに定めることができる。また、ユーザ属性の変更が多い場合であっても容易に対応することができる。」
(エ)「【0082】[第3の実施の形態]続いて、図13を用いて、本発明の第3の実施の形態として示す入退室管理システム3について説明をする。第3の実施の形態として示す入退室管理システム3は、既存の認証処理装置を流用する場合に対応するための構成である。図13に示すように、入退室許可判定部27、カード登録扉データベース29、個別アクセスタイムデータベース43を有する認証処理装置20Aと、人事情報データベース21、組織マスタデータベース22、物理情報データベース23、アクセスタイムデータベース24、連携設定データベース25、連携設定部26、カード登録扉情報生成部28、共通アクセスタイム生成部41、アクセスタイム紐付けデータベース42を有する連携設定装置40とに分離構成することで、既存の認証処理装置を利用可能としている。」
(オ)「【図面の簡単な説明】【0088】【図1】本発明の第1の実施の形態として示す入退室管理システムの構成について説明するための図である。【図2】人事情報に関するテーブルを示した図である。続きを表示(全11行)・・・【図5】連携設定データベースに設定するテーブルの生成処理動作について説明するためのフローチャートである。【図6】アクセスタイムマスタテーブルを示した図である。【図7】連携設定データベースに設定するテーブルを示した図である。【図8】本発明の第1の実施の形態として示す入退室管理システムの処理動作について説明するためのフローチャートである。・・・【図13】 本発明の第3の実施の形態として示す入退室管理システムの構成について説明するための図である。」
(カ)【図1】、【図2】、【図5】、【図6】、【図7】、【図8】は以下のとおり。
「【図1】[図:0001397161000001.jpg]【図2】[図:0001397161000002.jpg]続きを表示(全13行)【図5】[図:0001397161000003.jpg]【図6】[図:0001397161000004.jpg]【図7】[図:0001397161000005.jpg]【図8】[図:0001397161000006.jpg]」
上記(イ)【0034】の「人事情報データベース21は、人事管理システム30から取得した人事情報を記憶している。」及び上記(オ)【0088】の「【図2】人事情報に関するテーブルを示した図である。」との記載を踏まえると、上記図1及び図2からは、人事情報データベース21は、カードIDと利用者ID、有効日、有効期限を関連づけたカード情報テーブルCT1を記憶していることが理解できる。
(キ)【図13】は以下のとおり。
「【図13】[図:0001397161000007.jpg]」
イ 甲1発明
上記アより、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
(甲1発明)
「設備系システム10と、認証処理装置20と、人事管理システム30とを備え、低度セキュリティレベル領域から高度セキュリティレベル領域への出入を管理する形態であって、高度セキュリティレベル領域への入室を希望するユーザ全てに対して認証処理を行い、あらかじめ登録された正当なユーザのみを認証して入室を許可し、また、必要に応じて高度セキュリティレベル領域から退室を希望するユーザに対して認証処理を行い、退室を許可する入退室管理システムであって、低度セキュリティレベル領域と、高度セキュリティレベル領域とは、電気的な作用により施錠、解錠することができる電気錠を備える扉12によって隔てられ、続きを表示(全17行)設備系システム10は、カードリーダ11により、ユーザが所有する、ICカードに格納された情報を読み取り、認証処理装置20は、カードリーダ11で読み取られた情報のうちの被認証情報であるカードIDに基づき正当なユーザであると認証された場合に施錠されていた電気錠を解錠することで入室を許可し、認証処理装置20は、人事情報データベース21と、アクセスタイムデータベース24と、連携設定データベース25と、各種データベースに記憶させる情報を連携させ入退室許可判定部27における入退室許可判定で利用する情報を設定する連携設定部26と、カードリーダ11にてICカード5から読み取られた情報に基づき入退室判定許可を判定する入退室許可判定部27とを備え、人事情報データベース21は、人事管理システム30から取得した人事情報である社員ナンバーと社員の所属コードとを関連づけた社員所属情報テーブルST2、カードIDと利用者ID、有効日、有効期限を関連づけたカード情報テーブルCT1を記憶し、アクセスタイムデータベース24は、アクセスタイムIDごとに、入退室許可曜日、入退室許可時間帯を指定するアクセスタイムテーブルAT1を記憶し、連携設定データベース25は、連携設定部26によって生成された、所属コードと、アクセスタイムIDとを関連付けた、ユーザの入室資格を判定するためのデータベースである所属別アクセスゾーンテーブルZ1を記憶し、入退室許可判定処理動作について、カードリーダ11は、ICカード5に記憶されたカードIDと、読み取り時刻を取得し、認証処理装置20の入退室許可判定部27に送出し、入室資格判定を問い合わせ、入退室許可判定部27は、カードIDをキーとして、人事情報データベース21を参照し、ICカード5を保有しているユーザの所属コードを取得し、取得した所属コードを用いて、所属別アクセスゾーンテーブルZ1を参照してアクセスタイムIDを取得し、アクセスタイムデータベース24のアクセスタイムマスタテーブルAT1を参照し、アクセスタイムIDから入室可能な時間帯を取得し、取得した入室可能な時間帯と、入室資格を問い合わせる時刻又はICカード5のカードIDを読み取った時刻とを比較して入室可能であるかどうかを判定し、入室可能な時間帯である場合には、入室許可を与える一方、入室可能な時間帯でない場合には、入室不許可とする、ユーザ属性の変更が多い場合であっても容易に対応することができる、入退室管理システム1であって、既存の認証処理装置を流用する場合に対応するために、認証処理装置20を、入退室許可判定部27、カード登録扉データベース29、個別アクセスタイムデータベース43を有する認証処理装置20Aと、人事情報データベース21、組織マスタデータベース22、物理情報データベース23、アクセスタイムデータベース24、連携設定データベース25、連携設定部26、カード登録扉情報生成部28、共通アクセスタイム生成部41、アクセスタイム紐付けデータベース42を有する連携設定装置40とに分離構成した入退室管理システム3とできる、入退室管理システム。」
2 当審の判断
(1)本件訂正発明1について
ア 対比
本件訂正発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明において、「高度セキュリティレベル領域」は、「低度セキュリティレベル領域」と、「電気的な作用により施錠、解錠することができる電気錠を備える扉12によって隔てられ」ており、甲1発明の「高度セキュリティレベル領域への入室を希望するユーザ」が、「あらかじめ登録された正当なユーザ」として「認証」されて「高度セキュリティレベル領域」へ「入室」する際には、「扉12」の「電気錠」が「解錠」されることとなるから、甲1発明の当該「正当なユーザ」として「あらかじめ登録され」る「高度セキュリティレベル領域への入室を希望するユーザ」は、本件訂正発明1の「開錠を許可される対象となる開錠許可者」に相当する。
(イ)本件訂正発明1の「生体情報」は、開錠許可登録部に記憶する生体情報と判定対象者のそれとが「照合」されて、認証されることにより「開錠」が「許可」されるものであるから、「被認証情報」であるといえるので、本件訂正発明1の「生体情報」と甲1発明の「被認証情報であるカードID」とは、「被認証情報」の点で共通する。
(ウ)甲1発明の「所属コード」は、本件訂正発明1の「所属を識別する所属識別情報」に相当する。また、甲1発明は「アクセスタイムID」ごとに「入退室許可曜日、入退室許可時間帯」が「指定」されるものであるから、甲1発明の「所属コード」と、「アクセスタイムID」とを「関連付けた」「所属別アクセスゾーンテーブルZ1」は、本件訂正発明1の「前記所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報」に相当するといえる。
(エ)甲1発明の「人事情報データベース21」は「カードID」を記憶し、「アクセスタイムデータベース24」は、「アクセスタイムテーブルAT1」を記憶し、「連携設定データベース25」は「所属別アクセスゾーンテーブルZ1」を記憶するから、甲1発明の「人事情報データベース21」、「アクセスタイムデータベース24」及び「連携設定データベース25」の組み合わせと、本件訂正発明1の「開錠を許可される対象となる開錠許可者の生体情報、所属を識別する所属識別情報並びに前記所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報」を「記憶」する「開錠許可データベース」とは、「開錠を許可される対象となる開錠許可者の被認証情報、所属を識別する所属識別情報並びに前記所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報」を「記憶」する「開錠許可データベース」で共通する。
(オ)上記(エ)の対比を踏まえると、甲1発明の「人事管理システム30から」「人事情報データベース21」に「人事情報」を「取得」する情報の取得部及び「連携設定部26」と、本件訂正発明1の「開錠を許可される対象となる開錠許可者の生体情報、所属を識別する所属識別情報並びに前記所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報を入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して取得した情報を開錠許可データベースに記憶する開錠許可登録部」とは、「開錠を許可される対象となる開錠許可者の被認証情報、所属を識別する所属識別情報並びに前記所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報を取得して開錠許可データベースに記憶する開錠許可登録部」の点で共通する。
(カ)甲1発明の「カードリーダ11」は、「ユーザ」が「所有する」「ICカード」から「被認証情報であるカードID」を読み取るものであるから、本件訂正発明1の「開錠許可の判定対象となる判定対象者の生体情報を取得する生体情報取得部」と、「開錠許可の判定対象となる判定対象者の被認証情報を取得する被認証情報取得部」の点で共通する。
(キ)甲1発明の「入退室許可判定部27」は、「カードIDをキーとして」いるところ、「カードID」を「キーとして」用いる前提として「カードリーダ11」が「ICカード」から読み取った「カードID」を「人事情報データベース21」に「記憶」された「カードID」と照合していることは自明である。
また、上記(ア)で検討したように、甲1発明は、「入室」する際には、「扉12」の「電気錠」が「解錠」されるから、甲1発明の「入室許可を与える」は、本件訂正発明1の「開錠」を「許可」するに相当するといえる。また、「開錠」を「許可」した際に、「開錠操作を行う」ことは自明である。
そうすると、甲1発明の「カードIDをキーとして、人事情報データベース21を参照し、ICカード5を保有しているユーザの所属コードを取得し、取得した所属コードを用いて、所属別アクセスゾーンテーブルZ1を参照してアクセスタイムIDを取得し、アクセスタイムデータベース24のアクセスタイムマスタテーブルAT1を参照し、アクセスタイムIDから入室可能な時間帯を取得し、取得した入室可能な時間帯と、入室資格を問い合わせる時刻又はICカード5のカードIDを読み取った時刻とを比較して入室可能であるかどうかを判定し、入室可能な時間帯である場合には、入室許可を与える」「入退室許可判定部27」と、本件訂正発明1の「前記判定対象者の生体情報と、前記開錠許可者の生体情報を照合し、前記判定対象者の生体情報を取得した日時と、前記所属識別情報に応じた開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間が適合するかを検出し、開錠を許可したときに開錠操作を行う開錠判定部」とは、「前記判定対象者の被認証情報と、前記開錠許可者の被認証情報を照合し、前記判定対象者の被認証情報を取得した日時と、前記所属識別情報に応じた開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間が適合するかを検出し、開錠を許可したときに開錠操作を行う開錠判定部」で共通する。
(ク)甲1発明の、「正当なユーザであると認証された場合」に「施錠されていた電気錠を解錠」して「入室を許可」する「入退室管理システム1」は、本件訂正発明1の「開錠を制御する開錠制御装置」に相当する。
(ケ)そうすると、本件訂正発明1と甲1発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。
(一致点)
「被認証情報を用いて開錠を制御する開錠制御装置であって、開錠を許可される対象となる開錠許可者の被認証情報、所属を識別する所属識別情報並びに前記所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報を取得して開錠許可データベースに記憶する開錠許可登録部と、開錠許可の判定対象となる判定対象者の被認証情報を取得する被認証情報取得部と、前記判定対象者の被認証情報と、前記開錠許可者の被認証情報を照合し、前記判定対象者の被認証情報を取得した日時と、前記所属識別情報に応じた開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間が適合するかを検出し、開錠を許可したときに開錠操作を行う開錠判定部とを備える開錠制御装置。」
(相違点1)
開錠制御装置が、本件訂正発明1は、「物理的な侵入を阻む装置の近くに設置され」るのに対し、甲1発明は、そのように特定されていない点。
(相違点2)
被認証情報が、本件訂正発明1は「生体情報」であるのに対し、甲1発明は「カードID」であって「生体情報」ではない点。
(相違点3)
開錠許可登録部が、開錠許可データベースに情報を記憶させるに際し、本件訂正発明1は、各「情報を入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して取得した情報」を記憶するのに対し、甲1発明は、情報を入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して取得するか不明である点。
イ 判断
(ア)事案に鑑み、まず、相違点3について検討する。
a 甲1発明は、被認証情報が「カードID」であって、被認証情報として「生体情報」を記憶しておくものではない。
b また、甲1発明において、「カードID」(本件訂正発明1の「生体情報」と「被認証情報」である点で共通する情報)は、人事管理システム30から人事情報として「認証処理装置20」の「人事情報データベース21」に提供されて「カード情報テーブルCT1」内に記憶されるものであり、「所属コード」(所属を識別する所属識別情報)は、人事管理システム30から人事情報として「認証処理装置20」の「人事情報データベース21」に提供されて「社員所属情報テーブルST2」内に記憶されるものであり、「入室可能な時間帯」(所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報)は、「アクセスタイムID」として「連携設定データベース25」の「所属別アクセスゾーンテーブルZ1」に記憶され、「認証処理装置20」の「入退室許可判定部27」によって「アクセスタイムデータベース24」の「アクセスタイムマスタテーブルAT1」とともに参照されて取得されるものである。
c 上述したように、甲1発明は、被認証情報である「カードID」は「生体情報」ではない上に人事情報として人事管理システム30より提供されるものであり、また、「所属コード」も同じく人事情報として人事管理システム30より提供されるものである。さらに、「認証処理装置20」において「カードID」、「所属コード」、「入室可能な時間帯」は、それぞれ、「カード情報テーブルCT1」、「社員所属情報テーブルST2」及び「所属別アクセスゾーンテーブルZ1」という異なるテーブルに記憶されるものであるから、「情報の入力をフォームで行う」こと自体は周知技術であるとしても、甲1発明の「カードID」に置換ないし付加して用いる被認証情報としての「生体情報」、「所属コード」、「入室可能な時間帯」の情報を、「入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して取得」するものとする動機付けはない。
d さらに、甲1発明は、従業員の所属部署毎に建物内への入室許可を与えるアクセスタイムの設定を、人事情報を用いて行うようにし、具体的にはカードIDをキーとして、人事情報データベース21を参照し、ICカード5を保有しているユーザの所属コードを取得し、取得した所属コードを用いて、所属別アクセスゾーンテーブルZ1を参照してアクセスタイムIDとして取得し、アクセスタイムデータベース24のアクセスタイムマスタテーブルAT1を参照し、アクセスタイムIDから入室可能な時間帯を取得するようにしたことで、ユーザ属性の変更が多い場合であっても容易に対応することができる、という利点を有するものであるから、別のデータベースに格納しておく情報の組み合わせについて、「入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して取得」することはむしろ阻害要因を有するものといえる。
e よって、相違点3に係る本件訂正発明1の構成は、甲1発明及び甲2~甲13、引用文献A、Bに記載された発明から当業者が容易になし得たものではない。
ウ 申立人の主張について
(ア)申立人の主張の概要
申立人は、令和4年11月25日提出の意見書において、概略以下の主張をしている(意見書41頁12行~43頁下から6行)。
a 甲1発明には、ユーザが所有する非接触のICカード5に格納されたカードIDと、社員の所属コードと関連づけられた社員ナンバーに対応する利用者IDとを関連付けてカード情報テーブルCT1に記憶すること、所属コードと、入退室許可曜日、入退室許可時間帯とを関連付けて所属別アクセスゾーンテーブルZ1に記憶することが記載されている。甲1発明には、これらの情報をどのようにして取得するかについて明記されていないが、コンピュータがこのような情報を自動的に生成することはできず、このような情報は必ず人手により入力されているはずである。仮に、人事情報データベース等のデータベースから各情報を取得する場合でも、その人事情報データベースには人手により各情報が入力されているはずである。そして、人手によりコンピュータに情報が入力される場合、マイクロソフト社製Excelのような汎用の表計算ソフト、又は、専用のデータ管理ソフト等、どのようなソフトウェアが用いられるにしても、人手により各情報を入力するための何らかのフォームが表示され、各情報はフォームを介して取得される。したがって、相違点3(当審注:相違点2は相違点3の誤記と認めた。)は、甲1発明において当然になされていることである。
b 当該技術分野において、認証情報を取得する際に、認証情報を入力するためのフォームを表示し、フォームを介して認証情報を取得することは、特開2020-42440号公報、特開2008-280810号公報、2002-149887号公報に示されるように、個人認証に基づいて開錠を制御するための技術の分野における周知技術である。また、物理的な侵入を阻む装置の近くに設置された開錠制御装置において、認証に用いる生体情報を取得することも、例えば特開2014-20062号公報に記載されたように通常になされていることであり、物理的な侵入を阻む装置の近くに設置された開錠制御装置において、情報を入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して認証情報を取得することは、一定の課題を解決するための技術の具体的適用に伴う設計変更や設計的事項の採用に過ぎない。
(イ)申立人の主張の検討
上記主張について検討する。
上記ア及びイにおいて検討したように、認証情報を取得する際に、認証情報を入力するためのフォームを表示し、フォームを介して認証情報を取得することが周知技術であるとしても、甲1発明において「カードID」に置換ないし付加して用いる被認証情報としての「生体情報」、「所属コード」、「入室可能な時間帯」の情報を、「入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して取得」するものとする動機付けはない。
よって、申立人の上記主張を検討しても、上記イの判断を覆す事情は見いだせない。
エ 小括
以上のとおりであるから、相違点1、2について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲1発明並びに甲2ないし13、引用文献A、B記載の発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件訂正発明2、3、8~14について
本件訂正発明2、3、8~14は、本件訂正発明1を引用しさらに限定したものであるから、本件訂正発明1と同様の理由により、甲1発明並びに甲2ないし13、引用文献A、B記載の発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件訂正発明15、18及び19について
ア 対比
本件訂正発明15、18及び19は、「開錠を許可される対象となる開錠許可者の生体情報、所属を識別する所属識別情報並びに前記所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報を入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して取得した情報を開錠許可データベースに記憶する」構成を備えるところ、本件訂正発明15、18及び19と甲1発明とを対比すると、両者は、少なくとも、以下の相違点3’において相違する。
(相違点3’)
開錠許可データベースに情報を記憶させるに際し、本件訂正発明15、18及び19は、各「情報を入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して取得した情報を開錠許可データベースに記憶する」のに対し、甲1発明は、情報を入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して取得するか不明である点。
イ 判断
上記相違点3’は、上記(1)アの相違点3と同様の相違点であり、上記(1)イで検討したように、甲1発明並びに甲2ないし13、引用文献A、B記載の発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 小括
本件訂正発明15、18及び19は、甲1発明並びに甲2ないし13、引用文献A、B記載の発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件訂正発明16
ア 対比
本件訂正発明16は、「端末装置」と「開錠を許可される対象となる開錠許可者の生体情報、所属を識別する所属識別情報並びに前記所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報を入力するための入力フォームを前記端末装置に表示させ、当該フォームを介して当該情報を前記端末装置から取得して、開錠許可データベースに記憶する開錠許可登録部」を有する「管理サーバ」とを備えるところ、本件訂正発明16と甲1発明とを対比すると、両者は、少なくとも、以下の相違点3’’において相違する。
(相違点3’’)
開錠許可登録部が、開錠許可データベースに情報を記憶させるに際し、本件訂正発明16は、、各「情報を入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して取得した情報」を記憶するのに対し、甲1発明は、情報を入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して取得するか不明である点。
イ 判断
上記相違点3’’は、上記(1)アの相違点3と同様の相違点を含むものであり、上記(1)イで検討したように、甲1発明並びに甲2ないし13、引用文献A、B記載の発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 小括
本件訂正発明16は、甲1発明並びに甲2ないし13、引用文献A、B記載の発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由についての判断のまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正発明1ないし3、8ないし16、18及び19は、甲1発明並びに甲2ないし甲13、引用文献A、Bに記載された発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由についての当審の判断
1 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由
取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由は、第4の2(1)及び(3)である。
2 証拠の記載
(1)甲2
ア 甲2の記載
甲2には以下の記載がある。
(ア)「【0001】この発明は、ユーザ識別手段によってユーザを識別して扉を解錠する個人識別機能付き収納庫に関する。【背景技術】【0002】続きを表示(全11行)従来の個室付き収納庫は、複数の収納箱と、収納箱に対応した扉と、扉を施錠するロックと、収納箱選択手段と、ユーザ認証手段と、占有情報保存手段と、ロック制御手段とを備えている。収納箱選択手段は、ユーザからの入力よって、1つまたは複数の収納箱を選択する。ユーザ認証手段は、顔画像による認証あるいは音声による認証によってユーザを特定する。占有情報保存手段は、収納箱選択手段とユーザ認証手段とから得られる情報とを対応させて保存する。ロック制御手段は、ユーザ認証手段によって特定されたユーザに対応する収納箱の情報を占有情報保存手段から取得して、ロックの開閉を行っている(例えば、特許文献1参照)。・・・【発明が解決しようとする課題】【0004】従来の個室付き収納庫では、開閉を許可する扉をユーザ毎に設定しているが、開閉を許可する時間帯を設定していないので、いつでも収納物を取り出し可能な状態にあり、アルコール飲料等が収納庫に入っている場合に、例えば未成年のユーザがいつでも収納物を取り出すことができてしまい、セキュリティ性が低いという問題点があった。【0005】この発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするものであって、その目的は、ユーザ毎に扉を開閉することができる時間帯を設定することにより、セキュリティ性を向上させた個人識別機能付き収納庫を提供することにある。」
(イ)「【0009】実施の形態1.図1は、この発明の実施の形態1に係る個人識別機能付き収納庫1を示す機能構成図である。本実施の形態では、この個人識別機能付き収納庫1は冷蔵庫であり、個人識別機能は、指紋によりユーザを識別する指紋識別手段である場合を例として説明する。【0010】続きを表示(全28行)図1において、この個人識別機能付き収納庫1は、パーソナルコンピュータ2(以下、「PC2」と略称する)に接続されている。個人識別機能付き収納庫1は、扉3と、制御部4と、ユーザ識別手段5と、ユーザデータベース6と、入力部(ユーザデータベース設定手段、収納物データベース登録手段)7と、重量測定部8と、収納物データベース9と、履歴データベース10と、出力部(履歴データベース表示手段)11と、課金処理部12と、計時部15とを有している。ここで、制御部4と、入力部7と、重量測定部8と、出力部11と、課金処理部12とは、プログラムを格納した記憶部とCPUとを有するマイクロコンピュータ(図示せず)で構成されている。また、ユーザデータベース6と、収納物データベース9と、履歴データベース10とは、個人識別機能付き収納庫1の内部に設けられた記憶部(図示せず)に格納されている。【0011】扉3は、複数設けられ、それぞれに扉番号が付けられており、解錠および施錠される。ここで、収納物は、扉3で区切られた個室(図示せず)に収納されている。また、各個室には、個室内の収納物の重量を測定する重量センサ(図示せず)が取り付けられている。ユーザ識別手段5は、制御部4に接続されている。ユーザ識別手段5は、ユーザ毎の指紋データの登録および認証を行う指紋登録認証部13と、登録された指紋データを蓄積した指紋データベース14とを有している。指紋登録認証部13は、プログラムを格納した記憶部とCPUとを有するマイクロコンピュータで構成されている。また、指紋データベース14は、個人識別機能付き収納庫1の内部に設けられた記憶部(図示せず)に格納されている。指紋データベース14には、図2にデータ設定例を示すように、ユーザ番号「0000001~0000003」に対応した指紋データ「A~C」が登録されている。【0012】指紋登録認証部13に置かれた指の指紋データは、指紋データベース14に登録された指紋データに一致するか否かを判定され、置かれた指の指紋データが登録された指紋データと一致した場合に、ユーザ番号が制御部4に出力される。置かれた指の指紋データが登録された指紋データと一致しない場合には、エラー通知が制御部4に出力される。【0013】ユーザデータベース6は、制御部4に接続されている。ユーザデータベース6には、図3にデータ設定例を示すように、扉開閉条件である曜日「日~土」および時間「00:00~24:00」からなる時間情報および扉番号「01~03」がユーザ毎に登録されている。なお、これらのデータは、PC2のキーボード(図示せず)から入力部7を介して設定される。制御部4は、扉3と、ユーザ識別手段5と、ユーザデータベース6と、計時部15とに接続されている。制御部4は、ユーザ識別手段5の識別結果とユーザデータベース6と日時情報を生成する計時部15から取り出した日時情報(月、日、時、分および曜日)とに基づいて、扉3の開閉が許可された時刻であるか否かを判定し、扉3の解錠および施錠を制御する。・・・【0015】履歴データベース10は、課金処理部12に接続されている。履歴データベース10には、図5にデータ設定例を示すように、ユーザ「0000001~0000001」毎の利用日「12/31」、利用時間「08:00~10:00」、扉番号「01、02」、収納物番号「1000001~2000001」および単価が登録されている。なお、これらのデータは、出力部11を介して、PC2のディスプレイ(図示せず)に表示される。・・・【0024】なお、上記実施の形態1では、ユーザ識別手段を指紋登録認証手段であるとしたが、勿論このものに限定されるものではなく、カードリーダ、携帯電話、静脈を用いて識別を行う識別装置および虹彩を用いて識別を行う識別装置等であっても同様の効果を奏することができる。また、上記のユーザ識別手段を組み合わせることにより、識別精度を向上させることができる。【0025】また、上記実施の形態1では、各個室の重量を測定するタイミングを、扉3の開閉時としたが、勿論このものに限定されるものではなく、置かれた指の指紋データが登録された指紋データと一致した際に開扉時の各個室の重量を測定し、人感センサ等を用いて、ユーザが収納庫から離れたことを検知した際に閉扉時の各個室の重量を測定しても同様の効果を奏することができる。また、上記実施の形態1では、ユーザデータベース6と、収納物データベース9と、履歴データベース10と、指紋データベース14とは、個人識別機能付き収納庫1の内部に設けられた記憶部に格納されているとしたが、勿論このものに限定されるものではなく、PC2に格納されていてもよい。また、ユーザは、個人であっても、複数人からなるグループであってもよい。また、ユーザデータベース6に登録される時間情報として、日付、曜日または時間等の何れかを含んでいればよい。」
(ウ)【図3】は以下のとおり。
「[図:0001397161000008.jpg]」
上記(イ)【0013】の記載を踏まえると、上記【図3】からは、ユーザデータベース6には、ユーザ番号ごとに、扉開閉条件である曜日、開始時間と終了時間、扉番号が対応づけられて記憶されていることが看取される。
イ 甲2発明
上記アより、甲2には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。
(甲2発明)
「パーソナルコンピュータ2(以下、「PC2」と略称する)に接続されている個人識別機能付き収納庫1であって、解錠および施錠される扉3と、制御部4と、ユーザ識別手段5と、ユーザデータベース6と、入力部(ユーザデータベース設定手段)7と、重量測定部8と、収納物データベース9と、履歴データベース10と、出力部(履歴データベース表示手段)11と、課金処理部12と、計時部15とを有し、制御部4と、入力部7と、重量測定部8と、出力部11と、課金処理部12とは、プログラムを格納した記憶部とCPUとを有するマイクロコンピュータで構成され、制御部4は、扉3と、ユーザ識別手段5と、ユーザデータベース6と、計時部15とに接続され、続きを表示(全15行)個人識別機能は、指紋によりユーザを識別する指紋識別手段である場合、ユーザ識別手段5は、ユーザ毎の指紋データの登録および認証を行う指紋登録認証部13と、登録された指紋データを蓄積した指紋データベース14とを有し、指紋データベース14には、ユーザ番号に対応した指紋データが登録され、指紋登録認証部13に置かれた指の指紋データは、指紋データベース14に登録された指紋データに一致するか否かを判定され、置かれた指の指紋データが登録された指紋データと一致した場合に、ユーザ番号が制御部4に出力され、ユーザデータベース6には、ユーザ番号ごとに、扉開閉条件である曜日、開始時間と終了時間、扉番号が対応づけられて記憶され、これらのデータは、PC2のキーボードから入力部7を介して設定され、制御部4は、ユーザ識別手段5の識別結果とユーザデータベース6と日時情報を生成する計時部15から取り出した日時情報(月、日、時、分および曜日)とに基づいて、扉3の開閉が許可された時刻であるか否かを判定し、扉3の解錠および施錠を制御し、履歴データベース10は、ユーザ毎の利用日、利用時間が登録され、ユーザデータベース6と、収納物データベース9と、履歴データベース10と、指紋データベース14とは、個人識別機能付き収納庫1の内部に設けられた記憶部に格納されているとしたが、PC2に格納されていてもよく、ユーザは、個人であっても、複数人からなるグループであってもよく、ユーザデータベース6に登録される時間情報として、日付、曜日または時間等の何れかを含んでいればよく、ユーザ識別手段は指紋登録認証手段に限定されるものではなく、カードリーダ、携帯電話、静脈を用いて識別を行う識別装置および虹彩を用いて識別を行う識別装置等であってもよく、上記のユーザ識別手段を組み合わせることにより、識別精度を向上させることができる、個人識別機能付き収納庫1。」
3 当審の判断
(1)本件訂正発明1
ア 対比
本件訂正発明1と甲2発明とを対比する。
(ア)甲2発明の「指紋データ」及び「指紋データベース14」に「登録」された「指紋データ」は、それぞれ、本件訂正発明1の「生体情報」及び「開錠を許可される対象となる開錠許可者の生体情報」に相当する。
(イ)甲2発明において、「扉」の「開閉」の可否は、扉3の解錠および施錠によって制御されるから、甲2発明の「ユーザ番号ごとに」「対応づけられて記憶され」た「扉開閉条件である曜日、開始時間と終了時間」と、本件訂正発明1の「所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報」とは、「ユーザに応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報」で共通する。
(ウ)上記(ア)及び(イ)の対比を踏まえると、甲2発明の「登録された指紋データを蓄積した指紋データベース14」及び「扉開閉条件である曜日、開始時間と終了時間」が「ユーザ番号ごと」に「対応づけられて記憶され」た「ユーザデータベース6」と、本件訂正発明1の「開錠を許可される対象となる開錠許可者の生体情報、所属を識別する所属識別情報並びに前記所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報」を「記憶」する「開錠許可データベース」とは、「開錠を許可される対象となる開錠許可者の生体情報、ユーザに応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報」を「記憶」する「開錠許可データベース」で共通する。
(エ)上記(ア)ないし(ウ)の対比を踏まえると、甲2発明の「ユーザ毎の指紋データの登録および認証を行う指紋登録認証部13」及び「入力部(ユーザデータベース設定手段)7」と、本件訂正発明1の「開錠を許可される対象となる開錠許可者の生体情報、所属を識別する所属識別情報並びに前記所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報を入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して取得した情報を開錠許可データベースに記憶する開錠許可登録部」とは、「開錠を許可される対象となる開錠許可者の生体情報、ユーザに応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報を取得して開錠許可データベースに記憶する開錠許可登録部」で共通する。
(オ)甲2発明の「指紋登録認証部13」に「置かれた指の指紋データ」は、「指紋登録認証部13」の指紋データの取得部によって取得されると認められ、甲2発明の当該「指紋登録認証部13」の指紋データの取得部は、本件訂正発明1の「開錠許可の判定対象となる判定対象者の生体情報を取得する生体情報取得部」に相当する。
(カ)甲2発明の「ユーザ識別手段5」及び「制御部4」について、「ユーザ識別手段5」は、その「ユーザ毎の指紋データの登録および認証を行う指紋登録認証部13」に「置かれた指の指紋データ」が、「指紋データベース14」に「登録された指紋データ」に一致するか否かを判定され、「置かれた指の指紋データ」が「登録された指紋データ」と「一致」した場合に、ユーザ番号が「制御部4」に出力され、「制御部4」は、「ユーザデータベース6」と「日時情報を生成する計時部15から取り出した日時情報(月、日、時、分および曜日)」とに基づいて、「扉3の開閉が許可された時刻であるか否かを判定」し、「扉3の解錠および施錠を制御する」ものである。
そして、「指紋登録認証部13」に「置かれた指の指紋データ」は、「扉3の開閉」の許可の可否の判定の際に取得されるものであって、「置かれた指の指紋データ」の取得の日時は、「扉3の開閉」の時刻とされる「制御部4」が「計時部15から取り出した」「日時情報」と同視できる日時と認められる。
そうすると、甲2発明の「ユーザ識別手段5」及び「制御部4」と、本件訂正発明1の「前記判定対象者の生体情報と、前記開錠許可者の生体情報を照合し、前記判定対象者の生体情報を取得した日時と、前記所属識別情報に応じた開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間が適合するか検出し、開錠を許可したときに開錠操作を行う開錠判定部」とは、「前記判定対象者の生体情報と、前記開錠許可者の生体情報を照合し、前記判定対象者の生体情報を取得した日時と、ユーザに応じた開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間が適合するか検出し、開錠を許可したときに開錠操作を行う開錠判定部」の点で共通する。
(キ)上記(エ)ないし(カ)の対比を踏まえると、「解錠および施錠される扉3」、「制御部4」、「ユーザ識別手段5」、「入力部(ユーザデータベース設定手段)7」及び「指紋登録認証部13」を備える「個人識別機能付き収納庫1」は、本件訂正発明1の「物理的な侵入を阻む装置の近くに設置され、生体情報を用いて開錠を制御する開錠制御装置」に相当するといえる。
(ク)以上から、本件訂正発明1と甲2発明とは、次の一致点、相違点を有する。
(一致点)
物理的な侵入を阻む装置の近くに設置され、生体情報を用いて開錠を制御する開錠制御装置であって、
開錠を許可される対象となる開錠許可者の生体情報、ユーザに応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報を取得して開錠許可データベースに記憶する開錠許可登録部と、
開錠許可の判定対象となる判定対象者の生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記判定対象者の生体情報と、前記開錠許可者の生体情報を照合し、前記判定対象者の生体情報を取得した日時と、ユーザに応じた開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間が適合するか検出し、開錠を許可したときに開錠操作を行う開錠判定部とを備える開錠制御装置。
(相違点A)
本件訂正発明1は、開錠許可登録部が、「開錠許可者の生体情報、所属を識別する所属識別情報並びに前記所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報を入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して取得した情報を開錠許可データベースに記憶する」ものであり、開錠を許可する際には「前記所属識別情報に応じ」た「開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間」が「判定対象者の生体情報を取得した日時」と適合するかを検出するのに対し、甲2発明は、「所属を識別する所属識別情報」を備えず、「開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報」も「ユーザ番号ごと」であって「所属識別情報に応じ」たものではなく、「指紋データ」が「指紋データベース14」に登録され、「ユーザ番号ごと」の「扉開閉条件である曜日、開始時間と終了時間」が「ユーザデータベース6」に記憶されているものの、これら情報が「入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して取得」するものであるか不明な点。
イ 新規性に係る判断
本件訂正発明1と甲2発明とは上記相違点Aで相違する。
そして、上記相違点Aは実質的な相違点であるから、本件訂正発明1は甲2に記載された発明ではない。
ウ 進歩性に係る判断
上記相違点Aについて検討する。
開錠許可者の生体情報、所属を識別する所属識別情報並びに前記所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報を入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して取得した情報を開錠許可データベースに記憶することについて、甲1、甲4ないし甲13、引用文献A、Bには記載ないし示唆がなされたものではない。
そして、甲2発明を、「所属を識別する所属識別情報」を備え、その「所属識別情報に応じ」た「開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報」を備えるものとし、さらに「所属を識別する所属識別情報」及び「所属識別情報に応じ」た「開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報」を「指紋情報」とともに「入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して取得」するものとすることは、当業者が容易になし得たことではない。
エ 申立人の主張について
(ア)申立人の主張の概要
申立人は、令和4年11月25日提出の意見書において、概略以下の主張をしている(意見書62頁下から14行~63頁1行)。
a 甲2発明には、指紋データベース14に、ユーザ毎のユーザ番号に対応した指紋データが登録されること、ユーザデータベース6に、ユーザ毎に、扉開閉条件である曜日および時間からなる時間情報登録されること、ユーザが複数人からなるグループであることが記載されている。また、甲2発明には、「これらのデータは、PC2のキーボード(図示せず)から入力部7を介して設定される」(段落[0013])と記載されており、人手により各情報が入力されることが記載されている。人手によりコンピュータに情報が入力される場合、マイクロソフト社製Excelのような汎用の表計算ソフト、又は、専用のデータ管理ソフト等、どのようなソフトウェアが用いられるにしても、人手により各情報を入力するための何らかのフォームが表示され、各情報はフォームを介して取得される。
b 当該技術分野において、認証情報を取得する際に、認証情報を入力するためのフォームを表示し、フォームを介して認証情報を取得することは周知技術であり、本件訂正発明1は、甲2発明及び周知技術から容易に発明をすることができたものである。
(イ)申立人の主張の概要
甲2発明は、「ユーザ」が「複数人からなるグループであってもよい」ものではあるものの、上記ウで検討したように「所属を識別する所属識別情報」を備えるものではなく、「所属識別情報に応じ」た「開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報」も備えない。
そうすると、人手によりコンピュータに情報が入力される場合、情報がフォームを介して取得されることが周知技術であるとしても、甲2発明において、「開錠許可者の生体情報、所属を識別する所属識別情報並びに前記所属識別情報に応じて開錠許可を行う日、曜日及び/又は時間の情報を入力するためのフォームを表示し、当該フォームを介して取得した情報を開錠許可データベースに記憶する」ものとすることは、当業者が容易になし得たといえるものではない。
よって、申立人の上記主張を検討しても、上記ウの判断を覆す事情は見いだせない。
オ 小括
したがって、本件訂正発明1は、甲2発明並びに甲1、甲4ないし甲13に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件訂正発明2、3、8~14について
本件訂正発明2、3、8~14は、本件訂正発明1を引用しさらに限定したものであるから、本件訂正発明1と同様の理由により、本件訂正発明2、3、8~14は、甲2に記載された発明ではなく、甲2発明並びに甲1、甲4ないし13記載の発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(3)本件訂正発明15、16、18及び19について
本件訂正発明15、16、18及び19と甲2発明とを対比すると、両者は、少なくとも上記(1)アの相違点Aと共通する相違点を有するものであり、上記(1)イ及びウで検討したのと同様の理由により、本件訂正発明15、16、18及び19は甲2に記載された発明ではなく、甲2発明並びに甲1、甲4ないし13記載の発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
4 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由についての判断のまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正発明1~3、12、15、18及び19は、甲2に記載された発明ではない。
また、本件訂正発明1ないし3、8ないし16、18及び19は、甲2に記載された発明並びに甲1、甲4ないし甲13に記載された発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第7 まとめ
取消理由通知に記載した取消理由及び申立人が申し立てた特許異議申立理由及び証拠によっては、本件訂正発明1ないし3、8ないし16、18及び19に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正発明1ないし3、8ないし16、18及び19に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-701053