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特許異議申立

2021-700954

光硬化型ガスケット樹脂組成物

審判番号
2021-700954
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-138423
登録番号
6865792
請求日
2021年10月06日
審決日
2023年03月29日
公報発行日
2023年08月25日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】アイカ工業株式会社
  • 【異議申立人】落合 克弘
審判長/審判官
  • 審判長 蔵野 雅昭
  • 審判官 門前 浩一
  • 審判官 亀ヶ谷 明久
分類
P1651.121-ZDA(C09K) / P1651.537-ZDA(C09K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法113条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第126条第6項、特許法第113条第2号、特許法第126条第5項、特許法第120条の5第4項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6865792号発明「光硬化型ガスケット樹脂組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6865792号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2-5〕について訂正することを認める。 特許第6865792号の請求項1ないし4に係る特許を取り消す。 同請求項5に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件特許に係る出願は、令和元年7月29日に出願され、令和3年4月8日に特許権の設定登録がされ、同年同月28日に特許掲載公報が発行され、同年10月6日に特許異議申立人 落合克弘(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。 以降の手続は、次のとおりである。 令和 4年 2月 3日付 当審が取消理由を通知 令和 4年 4月 1日 訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、その訂正内容を「本件訂正」という。)及び意見書 令和 4年 4月19日 特許権者が手続補正書を提出 令和 4年 4月25日付 当審から申立人に通知書 令和 4年 5月27日 申立人が意見書を提出 令和 4年10月25日付 当審が取消理由(決定の予告)を通知 なお、特許権者は、指定期間内に応答しなかった。 第2 本件訂正についての判断 1 請求の趣旨 本件訂正請求の趣旨は、「特許第6865792号の明細書及び特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~5について訂正することを求める。」というものである。 2 訂正事項 本件訂正は、次の訂正事項からなるものである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「光重合開始剤(D)を含むことを特徴とする」と記載されているのを、「光重合開始剤(D)を含み、前記(A)の配合量が組成物全固形分に対し8~45.8重量%であることを特徴とする」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「前記(C)が組成物全固形分に対し5~45重量%であることを特徴とする、請求項1記載の光硬化型ガスケット樹脂組成物。」と記載されているのを、独立形式に改め、「アクリロイル末端ポリイソブチレン(A)と、C8~18のアルキル基を有する単官能アルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)と、ポリエチレンパウダー(C)と、光重合開始剤(D)を含み、前記(C)が組成物全固形分に対し5~45重量%であることを特徴とする光硬化型ガスケット樹脂組成物。」に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項3~5も同様に訂正する)。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に「更にチクソ性付与剤(E)として、疎水性ヒュームドシリカ(e1)及び/又はヒマシ油由来の化合物(e2)を含むことを特徴とする、請求項1又は2いずれか記載の光硬化型ガスケット樹脂組成物。」と記載されているのを、「更にチクソ性付与剤(E)として、疎水性ヒュームドシリカ(e1)及び/又はヒマシ油由来の化合物(e2)を含むことを特徴とする、請求項2記載の光硬化型ガスケット樹脂組成物。」に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4~5も同様に訂正する。) (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に「更に多官能チオール(F)を含むことを特徴とする、請求項1~3いずれか記載の光硬化型ガスケット樹脂組成物。」と記載されているのを、「更に多官能チオール(F)を含むことを特徴とする、請求項2又は3記載の光硬化型ガスケッ卜樹脂組成物。」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5も同様に訂正する。)。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5に「前記(B)が直鎖アルキル(メタ)アクリレート(b1)と脂環式骨格(メタ)アクリレート(b2)を含むことを特徴とする、請求項1~4いずれか記載の光硬化型ガスケット樹脂組成物。」と記載されているのを、「前記(B)が直鎖アルキル(メタ)アクリレート(bl)と脂環式骨格(メタ)アクリレート(b2)を含み、前記(b1)がnオクチルアクリレートであることを特徴とする、請求項2~4いずれか記載の光硬化型ガスケット樹脂組成物。」に訂正する。 (6)訂正事項6 明細書の段落0007に「光重合開始剤(D)を含むことを特徴とする」とあるのを、「光重合開始剤(D)を含み、前記(A)の配合量が組成物全固形分に対し8~45.8重量%であることを特徴とする」に訂正する。 (7)訂正事項7 明細書の段落0008に「前記(C)が組成物全固形分に対し5~45重量%であることを特徴とする光硬化型ガスケット樹脂組成物」とあるのを、「アクリロイル末端ポリイソブチレン(A)と、C8~18のアルキル基を有する単官能アルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)と、ポリエチレンパウダー(C)と、光重合開始剤(D)を含み、前記(C)が組成物全固形分に対し5~45重量%であることを特徴とする光硬化型ガスケット樹脂組成物」に訂正する。 (8)訂正事項8 明細書の段落0009に「更にチクソ性付与剤(E)として、疎水性ヒュームドシリカ(e1)及び/又はヒマシ油由来の化合物(e2)を含むことを特徴とする、請求項1又は2いずれか記載の光硬化型ガスケット樹脂組成物Jとあるのを、「更にチクソ性付与剤(E)として、疎水性ヒュームドシリカ(e1)及び/又はヒマシ油由来の化合物(e2)を含むことを特徴とする、請求項2記載の光硬化型ガスケット樹脂組成物」に訂正する。 (9)訂正事項9 明細書の段落0010に「更に多官能チオール(F)を含むことを特徴とする、請求項1~3記載の光硬化型ガスケット樹脂組成物」とあるのを、「更に多官能チオール(F)を含むことを特徴とする、請求項2又は3記載の光硬化型ガスケット樹脂組成物」に訂正する。 (10)訂正事項10 明細書の段落0011に「前記(B)が直鎖アルキル(メタ)アクリレート(b1)と脂環式骨格(メタ)アクリレート(b2)を含むことを特徴とする、請求項1~4いずれか記載の光硬化型ガスケット樹脂組成物」とあるのを、「前記(B)が直鎖アルキル(メタ)アクリレート(b1)と脂環式骨格(メタ)アクリレート(b2)を含み、前記(b1)がnオクチルアクリレートであることを特徴とする、請求項2~4いずれか記載の光硬化型ガスケット樹脂組成物」に訂正する。 3 訂正要件についての判断 (1)一群の請求項について ア 訂正前の請求項2~5は、請求項1を直接又は間接的に引用するものであったから、本件訂正後の請求項1~5に対応する本件訂正前の請求項1~5は、一群の請求項であった。また、明細書の訂正に係る訂正事項6~10は、それぞれ、訂正事項1~5によって請求項1~5が訂正されることにともなって、その記載が整合するように明細書の記載を訂正するものであるから、これらの訂正に係る請求項は請求項1~5からなる一群の請求項である。そうすると、本件訂正は、請求項1~5からなる一群の請求項ごとにされたものであって、特許法第120条の5第4項に適合する。 イ なお、本件訂正後の請求項2~5は、請求項1を引用しないものとなり、また、訂正後の請求項3~5は、請求項2を直接又は間接的に引用するものとなっている。 ウ 別の訂正単位とする求め 本件訂正請求においては、「訂正後の請求項2~5について、当該請求項についての訂正が認められる場合は、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求める。」との求めがされている。 (2)訂正事項1について ア 訂正の目的要件 訂正前の請求項1に係る特許発明は、「アクリロイル末端ポリイソブチレン(A)」を含むことを特定している。 これに対して、訂正後の請求項1は、「前記(A)の配合量が組成物全固形分に対し8~45.8重量%であること」という特定によって、訂正後の請求項1に係る発明における「アクリロイル末端ポリイソブチレン(A)」の配合量を特定し、更に限定するものである。すなわち、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の限縮を目的とするものといえる。 イ 実質上の変更・拡張の有無 訂正事項1は、「アクリロイル末端ポリイソブチレン(A)」の配合量を特定するものであリ、カテゴリーや対象,目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものといえる。 ウ 新規事項の追加の有無 明細書の段落0017には、「前記(A)の配合量は、硬化物の透湿度と組成物の特性バランスから全固形分に対し8~80重量%が好ましく」との記載がなされている。また、明細書の表1には、実施例6における(A)の配合量が60.0重量部であリ、組成物全固形分が131.1重量部であることが記載されている。実施例6における(A)の配合量と、組成物全固形分の重量とから、実施例6における、組成物全固形分に対する(A)の配合量の重量比を、(A)の配合量及び組成物全固形分の重量と同様に小数点以下1桁まで算出すると、45.8重量%である。 したがって、訂正事項1は、明細書の段落0017の記載と、実施例6の配合量の記載とに基づいて導き出される構成といえるから、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものといえる。 (3)訂正事項2について ア 訂正の目的要件 訂正事項2は、訂正前の請求項2の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正といえる。 イ 実質上の変更・拡張の有無及び新規事項の追加の有無 前記アのように、訂正事項2は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (4)訂正事項3について ア 訂正の目的要件 訂正事項3は、訂正前の請求項3が請求項1又は2の記載を引用する記載であるところ、請求項1を引用しないものとする訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の限縮を目的とするものといえる。 また、訂正事項3は、訂正後の請求項3の記載を引用する訂正後の請求項4~5についても、請求項1を引用しないものとすることにより、訂正後の請求項4~5に係る発明を更に限定するものであるため、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。 イ 実質上の変更・拡張の有無 上記アの理由から、訂正事項3は、請求項3について、請求項1を引用ないものとする訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものといえる。 また、訂正事項3は、請求項3を引用する請求項4~5についても、請求項1を引用しないものとする訂正であり、訂正前の請求項3の記載以外に、訂正前の請求項4~5の記載について訂正するものではなく、請求項4~5のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものといえる。 ウ 新規事項の追加の有無 訂正事項3は、訂正前の請求項3が請求項1又は2の記載を引用する記載であるところ、請求項1を引用しないものとする訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものといえる。 (5)訂正事項4について ア 訂正の目的要件 訂正事項4は、訂正前の請求項4が請求項1~3のいずれかの記載を引用する記載であるところ、請求項1を引用しないものとする訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の限縮を目的とするものといえる。 また、訂正事項4は、訂正後の請求項4の記載を引用する訂正後の請求項5についても、請求項1を引用しないものとすることにより、訂正後の請求項5に係る発明を更に限定するものであるため、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。 イ 実質上の変更・拡張の有無 上記アの理由から、訂正事項4は、請求項4について、請求項1を引用しないものとする訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものといえる。 また、訂正事項4は、請求項4を引用する請求項5についても、請求項1を引用しないものとする訂正であり、訂正前の請求項4の記載以外に、訂正前の請求項5の記載について訂正するものではなく、請求項5のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものといえる。 ウ 新規事項の追加の有無 訂正事項4は、訂正前の請求項4が請求項1~3のいずれかの記載を引用する記載であるところ、請求項1を引用しないものとする訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものといえる。 (6)訂正事項5について ア 訂正の目的要件 訂正前の請求項5に係る特許発明は、「C8~18のアルキル基を有する単官能アルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)」を含み、「前記(B)が直鎖アルキル(メタ)アクリレート(bl)と脂環式骨格(メタ)アクリレート(b2)を含む」ことを特定している。これに対して、訂正後の請求項5は、「前記(b1)がnオクチルアクリレートである」という記載により、訂正後の請求項5に係る発明における「直鎖アルキル(メタ)アクリレート(b1)」の種類を特定し、更に限定するものである。すなわち、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の限縮を目的とするものである。 さらに、訂正事項5は、訂正前の請求項5が請求項1~4のいずれかを引用する記載であるところ、請求項1を引用しないものとする訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の限縮を目的とするものといえる。 イ 実質上の変更・拡張の有無 訂正事項5は、前記のとおり、訂正前の請求項5に係る発明に含まれていた「直鎖アルキル(メタ)アクリレート(bl)」の種類を特定し、更に限定するものであり、また、訂正前の請求項5が請求項1~4のいずれかの記載を引用する記載であるところ、請求項1を引用しないものとする訂正であるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものといえる。 ウ 新規事項の追加の有無 訂正事項5は、明細書の段落0035、0037の記載に基づいて導き出される構成である。すなわち、明細書の段落0035には、「(B)としてNOAA(商品名:大阪有機化学工業社製、n-オクチルアクリレート)」との記載がある。そして、明細書の段落0037の表1には、「NOAA」を含む実施例1~13の組成が記載されている。 (7)訂正事項6について ア 訂正の目的要件 訂正事項6は、前記の訂正事項1にかかる訂正に伴い、特許請求の範囲と明細書との記載を整合させるため、願書に添付した明細書の段落0007に「光重合開始剤(D)を含むことを特徴とする」と記載されているのを、訂正後の請求項1の記載と整合する「光重合開始剤(D)を含み、前記(A)の配合量が組成物全固形分に対し8~45.8重量%であることを特徴とする」に訂正するものである。 よって、当該訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえる。 イ 実質上の変更・拡張の有無 訂正事項6は、請求項1に記載された「アクリロイル末端ポリイソブチレン(A)」の配合量に関し、その解釈に影響を与え得る訂正であるが、当該訂正事項6については,「アクリロイル末端ポリイソブチレン(A)」の配合量を特定するものであリ、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定を満たすものといえる。 ウ 新規事項の追加の有無 訂正事項6は、明細書の段落0017の記載と、実施例6の配合量の記載とに基づいて導き出される構成である。明細書の段落0017には、「前記(A)の配合量は、硬化物の透湿度と組成物の特性バランスから全固形分に対し8~80重量%が好ましく」との記載がなされている。また、明細書の表1には、実施例6における(A)の配合量が60.0重量部であって、組成物全固形分が131.1重量部であることが記載されている。実施例6における(A)の配合量と、組成物全固形分の重量とから、実施例6における、組成物全形分に対する(A)の配合量の重量比を、(A)の配合量及び組成物全固形分の重量と同様に小数点以下1桁まで算出すると、45.8重量%である。 よって、訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定を満たすものといえる。 (8)訂正事項7について ア 訂正の目的要件 訂正事項7は、前記の訂正事項2にかかる訂正に伴い、特許請求の範囲と明細書との記載を整合させるため、願書に添付した明細書の段落0008に「前記(C)が組成物全固形分に対し5~45重量%であることを特徴とする、請求項1記載の光硬化型ガスケット樹脂組成物」と記載されているのを、訂正後の請求項2の記載と整合する「アクリロイル末端ポリイソブチレン(A)と、C8~18のアルキル基を有する単官能アルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)と、ポリエチレンパウダー(C)と、光重合開始剤(D)を含み、前記(C)が組成物全固形分に対し5~45重量%であることを特徴とする光硬化型ガスケット樹脂組成物」に訂正するものである。 よって、当該訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえる。 イ 実質上の変更・拡張の有無 訂正事項7は、前記の訂正事項2と同様に、訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとするための訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定を満たすものといえる。 ウ 新規事項の追加の有無 訂正事項7は、前記の訂正事項2と同様に、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定を満たすものといえる。 (9)訂正事項8について ア 訂正の目的要件 訂正事項8は、前記の訂正事項3にかかる訂正に伴い、特許請求の範囲と明細書との記載を整合させるため、願書に添付した明細書の段落0009に「更にチクソ性付与剤(E)として、疎水性ヒュー厶ドシリカ(e1)及び/又はヒマシ油由来の化合物(e2)を含むことを特徴とする、請求項1又は2いずれか記載の光硬化型ガスケット樹脂組成物」と記載されているのを、訂正後の請求項3の記載と整合する「更にチクソ性付与剤(E)として、疎水性ヒュームドシリカ(e1)及び/又はヒマシ油由来の化合物(e2)を含むことを特徴とする、請求項2記載の光硬化型ガスケット樹脂組成物」に訂正するものである。 よって、当該訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえる。 イ 実質上の変更・拡張の有無 訂正事項8は、前記の訂正事項3と同様に、請求項1を引用しないものとする訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定を満たすものといえる。 ウ 新規事項の追加の有無 訂正事項8は、前記の訂正事項3にかかる訂正と同様に、請求項1を引用しないものとする訂正であることから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定を満たすものといえる。 (10)訂正事項9について ア 訂正の目的要件 訂正事項9は、前記の訂正事項4にかかる訂正に伴い、特許請求の範囲と明細書との記載を整合させるため、願書に添付した明細書の段落0010に「更に多官能チオール(F)を含むことを特徴とする、請求項1~3記載の光硬化型ガスケット樹脂組成物」と記載されているのを、訂正後の請求項4の記載と整合する「更に多官能チオール(F)を含むことを特徴とする、請求項2又は3記載の光硬化型ガスケット樹脂組成物」に訂正するものである。 よって、当該訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえる。 イ 実質上の変更・拡張の有無 訂正事項9は、前記の訂正事項4と同様に、請求項1を引用しないものとする訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定を満たすものといえる。 ウ 新規事項の追加の有無 訂正事項9は、前記の訂正事項4と同様に、請求項1を引用しないものとする訂正であることから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定を満たすものといえる。 (11)訂正事項10について ア 訂正の目的要件 訂正事項10は、前記の訂正事項5にかかる訂正に伴い、特許請求の範囲と明細書との記載を整合させるため、願書に添付した明細書の段落0011に「前記(B)が直鎖アルキル(メタ)アクリレート(b1)と脂環式骨格(メタ)アクリレート(b2)を含むことを特徴とする、請求項1~4いずれか記載の光硬化型ガスケット樹脂組成物Jと記載されているのを、訂正後の請求項5の記載と整合する「前記(B)が直鎖アルキル(メタ)アクリレート(b1)と脂環式骨格(メタ)アクリレート(b2)を含み、前記(b1)がnオクチルアクリレートであることを特徴とする、請求項2~4いずれか記載の光硬化型ガスケット樹脂組成物」に訂正するものである。 よって、当該訂正事項10は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえる。 イ 実質上の変更・拡張の有無 訂正事項10は、請求項5に記載された「直鎖アルキル(メタ)アクリレート(b1)」に関し、「直鎖アルキル(メタ)アクリレート(bl)」の種類を特定し、更に限定するものであり、また、訂正前の段落0011の記載が請求項1~4のいずれかの記載を引用する記載であるところ、請求項1を引用しないものとする訂正であるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものといえる。 ウ 新規事項の追加の有無 訂正事項10は、明細書の段落0035、0037の記載に基づいて導き出される構成である。すなわち、明細書の段落0035には、「(B)としてNOAA(商品名:大阪有機化学工業社製、n-オクチルアクリレート)」との記載がある。そして、明細書の段落0037の表1には,「NOAA」を含む実施例1~13の組成が記載されている。 よって、当該訂正事項10は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲に記載した事項 の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定 を満たすものといえる。 4 小括 以上から、訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2-5〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 前記第2において検討したように本件訂正は認められるから、特許請求の範囲の請求項1~5に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明5」といい、まとめて「本件発明」ということもある。)は次のとおりのものである。分説のための記号(1Aなど)は当審で付した。 「【請求項1】 1A:アクリロイル末端ポリイソブチレン(A)と、 1B:C8~18のアルキル基を有する単官能アルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)と、 1C:ポリエチレンパウダー(C)と、 1D:光重合開始剤(D)を含み、 1F:前記(A)の配合量が組成物全固形分に対し8~45.8重量%である 1X:ことを特徴とする光硬化型ガスケット樹脂組成物。 【請求項2】 2A:アクリロイル末端ポリイソブチレン(A)と、 2B:C8~18のアルキル基を有する単官能アルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)と、 2C:ポリエチレンパウダー(C)と、 2D:光重合開始剤(D)を含み、 2G:前記(C)が組成物全固形分に対し5~45重量%である 2X:ことを特徴とする光硬化型ガスケット樹脂組成物。 【請求項3】 3H:更にチクソ性付与剤(E)として、疎水性ヒュームドシリカ(e1)及び/又はヒマシ油由来の化合物(e2)を含むことを特徴とする、請求項2記載の光硬化型ガスケット樹脂組成物。 【請求項4】 4J:更に多官能チオール(F)を含むことを特徴とする、請求項2又は3記載の光硬化型ガスケット樹脂組成物。 【請求項5】 5K:前記(B)が直鎖アルキル(メタ)アクリレート(b1)と脂環式骨格(メタ)アクリレート(b2)を含み、前記(b1)がnオクチルアクリレートであることを特徴とする、請求項2~4いずれか記載の光硬化型ガスケット樹脂組成物。」 第4 取消理由の概要 1 証拠の一覧 申立人が提示した証拠は次のとおりである。なお、甲第1号証を甲1などという。 甲1:国際公開第2017/018546号 甲2:特開2017-36397号公報 甲3:特開2014-152191号公報 甲4:国際公開第2016/024357号 甲5:特開2003-41062号公報 甲6:特開2009-36302号公報 甲7:特開昭63-175069号公報 甲8:特開2017-206675号公報 甲9:国際公開第2017/029978号 2 取消理由について (1)甲1を主引用例とする進歩性欠如 本件発明1~4は、甲1に記載された発明及び甲2~4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明であり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきである。 (2)甲9を主引用例とする進歩性欠如 本件発明1~4は、甲9に記載された発明及び甲2~4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明であり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきである。 第5 甲号証の記載事項 1 甲1には次の記載がある。 (1)「[請求項1]下記の(A)~(C)成分を含有することを特徴とする光硬化性樹脂組成物。 (A)成分:(メタ)アクリロイル基を1以上有する、-[CH2C(CH3)2]-単位を含むポリイソブチレン骨格を有するポリマー (B)成分:光ラジカル重合開始剤 (C)成分:トリアリールホスフィン、トリアリールホスフィン誘導体、キサントン又はキサントン誘導体。 [請求項2]前記(A)成分が、一般式(1)で表されるポリイソブチレン骨格を有するポリマーである、請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。 [化1] [図:0001400407000001.jpg] [請求項3]更に(D)成分として、(メタ)アクリレートモノマーを含有する、請求項1または2に記載の光硬化性樹脂組成物。 [請求項4]前記(D)成分が、炭素数5~30のアルキル基または炭素数5~30の脂環式基を有する(メタ)アクリレートモノマーである、請求項3に記載の光硬化性樹脂組成物。 [請求項5]前記(C)成分の配合量が、前記(A)成分100質量部に対して、0.1~30質量部である、請求項1~4のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。 [請求項6]請求項1~5のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物を含む、燃料電池用光硬化性シール剤。」 (2)「[0001]本発明は、シール性を維持しつつ、紫外線等の活性エネルギー線の照射による表面硬化性および深部硬化性に優れる光硬化性樹脂組成物に関する。」 (3)「[0033]<(D)成分> 本発明の(D)成分である(メタ)アクリレートモノマーとは、本発明の(B)成分が発生するラジカル種により重合する化合物であり、反応性希釈剤として用いられる。但し、本発明の(A)成分を除くものとする。(D)成分としては、例えば単官能性、二官能性、三官能性及び多官能性のモノマー等を使用することができ、これらの中でも、本発明の(A)成分と相溶し、光硬化性が優れることから、炭素数5~30のアルキル基または炭素数5~30の脂環式基を有する(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。ここで、上記炭素数としては、例えば2以上、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、さらに好ましくは7以上であり、また、例えば30以下、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは10以下である。 [0034]前記の炭素数5~30のアルキル基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n-オクタデシル(メタ)アクリレート、イソオクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデカン(メタ)アクリレート、3-へプチルデシル-1-(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、前記の炭素数5~30の脂環式基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしてはシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、(D)成分は単独で若しくは二種以上の混合物として用いることができる。」 (4)「[0036]<任意成分> 本発明の光硬化性樹脂組成物に対し、本発明の目的を損なわない範囲で、熱ラジカル開始剤、ポリチオール化合物、(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー(但し、本発明の(A)成分、(D)成分を除く)、スチレン系共重合体等の各種エラストマー、充填材、保存安定剤、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、顔料、難燃剤、密着付与剤、及び界面活性剤等の添加剤を使用することができる。 ・・・ [0038]前記ポリチオール化合物としては、特に限定されないが、例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトグリコレート)、ブタンジオール ビス(3-メルカプトグリコレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトグリコレート)、トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、ペンタエリスリトール テトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコール ビス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトール ヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール テトラキス(3-メルカプトブチレート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5-トリス(3-メルカブトブチルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン等が挙げられ、これらの化合物は、それぞれ単独で用いることも、また二種以上を混合して用いても良い。 [0039]前記ポリチオール化合物の市販品としては、例えばTMTP、PETP(淀化学株式会社製)、TEMPIC、TMMP、PEMP、PEMP-II-20P、DPMP(SC有機化学株式会社製)、MTNR1、MTBD1、MTPE1(昭和電工株式会社製)等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの化合物は、それぞれ単独で用いることも、また二種以上を混合して用いても良い。 ・・・ [0042]本発明に対し、硬化物の弾性率、流動性などの改良を目的として、保存安定性を阻害しない程度の充填材を添加してもよい。具体的には有機質粉体、無機質粉体、金属質粉体等が挙げられる。無機質粉体の充填材としては、ガラス、フュームドシリカ、アルミナ、マイカ、セラミックス、シリコーンゴム粉体、炭酸カルシウム、窒化アルミ、カーボン粉、カオリンクレー、乾燥粘土鉱物、乾燥珪藻土等が挙げられる。無機質粉体の配合量は、(A)成分100質量部に対し、0.1~100質量部程度が好ましい。0.1質量部以上であれば十分な効果が期待でき、100質量部以下であれば光硬化性樹脂組成物の流動性を十分保持できると共に、一定の作業性を保持できるので好ましい。 [0043]フュームドシリカは、光硬化性樹脂組成物の粘度調整又は硬化物の機械的強度を向上させる目的で配合できる。好ましくは、オルガノクロロシラン類、ポリオルガノシロキサン、ヘキサメチルジシラザンなどで疎水化処理したものなどが用いることができる。フュームドシリカの具体例としては、例えば、日本アエロジル製の商品名アエロジルR974、R972、R972V、R972CF、R805、R812、R812S、R816、R8200、RY200、RX200、RY200S、R202等の市販品が挙げられる。 [0044]有機質粉体の充填材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、架橋アクリル、架橋ポリスチレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリカーボネートが挙げられる。有機質粉体の配合量は、(A)成分100質量部に対し、0.1~100質量部程度が好ましい。0.1質量部以上であれば十分な効果が期待でき、100質量部以下であれば光硬化性樹脂組成物の流動性を十分保持できると共に、作業性を保持できるので好ましい。・・・」 (5)「[0053]<用途及びシール剤> 本発明の光硬化性樹脂組成物またはその硬化物が好適に用いられる用途としては、光硬化性シール剤である。本発明においてシール剤とは、接着剤、コーティング剤、注型剤、ポッティング剤等の用途も含まれるものである。なお、このような用途で使用するにあたり、本発明の光硬化性樹脂組成物は25℃で液状であることが好ましい。 [0054]シール剤の具体的な用途としては、本発明の光硬化性樹脂組成物またはその硬化物は、低気体透過性、低透湿性、耐熱性、耐酸性、可とう性に優れるゴム弾性体であることから、燃料電池、太陽電池、色素増感型太陽電池、リチウムイオン電池、電解コンデンサ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、LED、ハードディスク装置、フォトダイオード、光通信・回路、電線・ケーブル・光ファイバー、光アイソレータ、ICカード等の積層体、センサー、基板、医薬・医療用器具・機器等が挙げられる。これらの用途の中でも、本発明の光硬化性樹脂組成物は、紫外線等の活性エネルギー線の照射により速やかに硬化し、難接着な材質である電解質膜に対する接着力に優れていることから、燃料電池用途が特に好ましい。」 (6)「[0063]本発明の燃料電池とは、本発明の光硬化性樹脂組成物またはその硬化物によりシールされたことを特徴とする燃料電池である。燃料電池におけるシールが必要な部材としては、セパレーター、フレーム、電解質、燃料極、空気極、MEA等が挙げられる。より具体的なシール箇所としては、隣り合うセパレーター同士との間、セパレーターとフレームとの間、フレームと電解質膜またはMEAとの間等が挙げられる。なお、「セパレーターとフレームとの間」または「高分子電解質膜またはMEAとフレームとの間」の主なシールの目的は、ガスの混合や漏れを防ぐことであり、隣り合うセパレーター同士との間のシールの目的はガスの漏れを防ぐことと冷却水流路から外部に冷却水が漏洩することを防ぐことである。なお、電解質膜から発生する酸により強酸雰囲気になるので、シール剤には耐酸性が求められる。 [0064]<シール方法> 本発明の光硬化性樹脂組成物を用いたシール手法としては、特に限定されないが、代表的には、FIPG(フォームインプレイスガスケット)、CIPG(キュアーインプレイスガスケット)、MIPG(モールドインプレイスガスケット)、液体射出成形などが挙げられる。」 (7)「[0070]実施例及び比較例において使用した試験法は下記の通りである。 <光硬化性樹脂組成物の調製> (実施例1) 実施例1の各成分を表1に示す質量部で採取し、常温(25℃)にて攪拌機(装置名トルネード 高出力タイプ PM-202(アズワン株式会社製品)、回転数:100rpm)で60分混合し、光硬化性樹脂組成物を調製し、各種物性に関して次のようにして測定した。尚詳細な調製量は表1に従い、数値は全て質量部で表記する。 (実施例2~9及び比較例1~7) 実施例2~9及び比較例1~7の光硬化性樹脂組成物についても表1及び表2に示す質量部で採取した各成分を使用し、実施例1と同様に調製し、各種物性を測定した。尚詳細な調製量は表1及び表2に従い、数値は全て質量部で表記する。 [0071]<(A)成分> <a1の製造>アクリロイルオキシエトキシフェニル基を有するポリイソブチレンポリマー(a1)の製造 5Lのセパラブルフラスコの容器内を窒素置換した後、n-ヘキサン200mL及び塩化ブチル2000mLを加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら-70℃まで冷却した。次いで、イソブチレン840mL(9mol)、p-ジクミルクロライド12g(0.05mol)及び2-メチルピリジン1.1g(0.012mol)を加えた。反応混合物が-70℃まで冷却された後で、四塩化チタン5.0mL(0.05mol)を加えて重合を開始した。重合開始3時間後に、フェノキシエチルアクリレート(ライトアクリレートPO-A、共栄社化学株式会社製)40gと四塩化チタン110mlを添加した。その後、-70℃で4時間攪拌を続けた後、メタノール1000mlを添加して反応を停止させた。 反応溶液から上澄み液を分取し、溶剤等を留去した後、生成物をn-ヘキサン3000mlに溶解させ、3000mlの純水で3回水洗を行い、メタノールから再沈殿した後、溶媒を減圧下に留去して、得られた重合体を80℃で24時間真空乾燥することにより、アクリロイルオキシエトキシフェニル基を有するポリイソブチレンポリマー(a1)を得た。 [0072]前記a1は、-[CH2C(CH3)2]-単位を含み、アクリロイル基を2個含有する。より具体的には、a1は、一般式(1)において、R1はフェニレン基を示し、PIBはポリイソブチレン骨格を示し、R4は炭素数2の炭化水素基を示し、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子を示し、R5は水素原子を表し、nは2であるポリイソブチレンポリマーである。 なお、a1成分の平均分子量(クロマトグラフィー法、ポリスチレン換算)は11,100であり、a1成分の粘度(25℃)は1550Pa・sであった。 [0073][化4] [図:0001400407000002.jpg] [0074]<(B)成分> b1:2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(IRGACURE1173、BASF社製) b2:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(IRGACURE 819、BASF社製) b3:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(ルシリンTPO、BASF社製) <(C)成分> c1:トリフェニルホスフィン(試薬、東京化成工業株式会社製) c2:キサントン(試薬、東京化成工業株式会社製) <(C)成分の比較成分> c‘1:2-メチルアントラキノン(試薬、純正化学株式会社製) c‘2:2-イソプロピルチオキサントン(試薬、純薬工業株式会社製) c‘3:9-フルオレノン(試薬、純正化学株式会社製) c‘4:2-エチルアントラキノン(試薬、純正化学株式会社製) <(D)成分> d1:ジシクロペンタニルメタクリレート(FA-513M、日立化成株式会社製)」 (8)「[0078][表1] [図:0001400407000003.jpg] [0079][表2] [図:0001400407000004.jpg] [0080]表1の実施例1~9によれば、本発明は、紫外線等の活性エネルギー線の照射による表面硬化性および深部硬化性に優れることがわかる。」 2 甲9には次の記載がある。 (1)「[請求項1]下記の(A)~(C)成分を含有することを特徴とする燃料電池用光硬化性シール剤。 (A)成分:分子内に(メタ)アクリロイル基を1以上有する、-[CH2C(CH3)2]-単位を含むポリイソブチレン骨格を有するポリイソブチレンポリマー (B)成分:光ラジカル重合開始剤 (C)成分:メタクリレートモノマー [請求項2]前記(C)成分が、炭素数5~30のアルキル基を有するメタクリレートモノマーまたは炭素数5~30の脂環式基を有するメタクリレートモノマーである、請求項1に記載の燃料電池用光硬化性シール剤。 [請求項3]前記(C)成分が炭素数5~30のアルキル基を有するメタクリレートモノマーであり、該アルキル基を有するメタクリレートモノマーが、ヘプチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、n-オクタデシルメタクリレート、イソオクタデシルメタクリレート、ノナデカンメタクリレート、3-へプチルデシル-1-メタクリレート、ステアリルメタクリレートからなる群から1以上選択されるか、または、 前記(C)成分が炭素数5~30の脂環式基を有するメタクリレートモノマーであり、該脂環式基を有するメタクリレートモノマーが、シクロヘキシルメタクリレート、4-ブチルシクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、ジシクロペンテニルジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートからなる群から1以上選択される、請求項2に記載の燃料電池用光硬化性シール剤。 [請求項4]前記(C)成分の配合量が、前記(A)成分100質量部に対して、3~300質量部含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の燃料電池用光硬化性シール剤。 [請求項5] 前記(A)成分が、一般式(1)で表されるポリイソブチレンポリマーである、請求項1~4のいずれか1項に記載の燃料電池用光硬化性シール剤。 [化1] [図:0001400407000005.jpg] (R1は、一価もしくは多価芳香族炭化水素基、または一価もしくは多価脂肪族炭化水素基を示し、PIBは、-[CH2C(CH3)2]-単位を含む前記ポリイソブチレン骨格を示し、R4は炭素数2~6の酸素原子を含んでもよい2価の炭化水素基を表す。R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~20の1価の炭化水素基を表し、R5は水素原子、メチル基、エチル基またはプロピル基を表し、nは1~6のいずれかの整数である。) [請求項6]前記燃料電池用光硬化性シール剤が、燃料電池における部材であるセパレーター、フレーム、電解質、燃料極、空気極、及び電解質膜電極接合体からなる群のいずれかの部材周辺のシール剤である、請求項1~5のいずれか1項に記載の燃料電池用光硬化性シール剤。」 (2)「[0001]本発明は、紫外線等の活性エネルギー線の照射により速やかに硬化し、難接着な材質である電解質膜、PP、PENに対する密着力に優れた燃料電池用光硬化性シール剤に関する。」 (3)「[0034]<(C)成分> 本発明の(C)成分であるメタクリレートモノマーとは、本発明の(B)成分が発生するラジカル種により重合する化合物であり、各種反応性希釈剤の中から本発明の(C)成分を選択し、本発明のその他成分と組み合わせることにより難接着な材質である電解質膜、PP、PENに対する密着力が優れるという顕著な効果を有する。(C)成分としては、本発明の(A)成分と相溶し、光硬化性が優れることから、炭素数5~30のアルキル基を有するメタクリレートモノマーまたは炭素数5~30の脂環式基を有するメタクリレートモノマーが好ましく、特に好ましくは、上記脂環式基を有するメタクリレートモノマーである。ここで、上記炭素数としては、例えば2以上、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、さらに好ましくは7以上であり、また、例えば30以下、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは10以下である。これらの化合物は、それぞれ単独で用いることも、また二種以上を混合して用いても良い。但し、(C)成分は本発明の(A)成分を除くものとする。 [0035]前記の炭素数5~30のアルキル基を有するメタクリレートモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、ヘプチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、n-オクタデシルメタクリレート、イソオクタデシルメタクリレート、ノナデカンメタクリレート、3-へプチルデシル-1-メタクリレート、ステアリルメタクリレートなどが挙げられる。また、前記の炭素数5~30の脂環式基を有するメタクリレートモノマーとしてはシクロヘキシルメタクリレート、4-ブチルシクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、ジシクロペンテニルジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートなどが挙げられ、(C)成分は単独で若しくは二種以上の混合物として用いることができる。 [0036]前記炭素数5~30のアルキル基を有するメタクリレートモノマーの市販品としては、SMA(三菱ガス化学株式会社製)、LMA、SMA、(BASF社製)、ライトエステルEH、ライトエステルID、ライトエステルL、ライトエステルL-7、ライトエステルS(共栄社化学株式会社)、S(新中村化学工業株式会社製)、LMA、SMA、HMA(アルケマ社製)、LMA、SMA(三菱レイヨン社製)、SR242、SR313、SR324、SR493D(サートマー社製)等が挙げられる。また、前記炭素数5~30の脂環式基を有するメタクリレートモノマーの市販品としては、FA-512M、FA-512MT、FA-513M(日立化成株式会社製)、DCP(新中村化学工業株式会社製)、CHMA(BASF社製)、BX-ADMA、BX-DCPMA(バイマックス社製)、ライトエステルIB-X(共栄社化学株式会社)、CHMA(三菱レイヨン社製)、SR423(サートマー社製)等が挙げられる。」 (4)「[0038]<任意成分> 本発明のシール剤に対し、本発明の目的を損なわない範囲で、アクリレートモノマー、(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー(本発明の(A)成分と(C)成分を含まない)、熱ラジカル開始剤、ポリチオール化合物、3級アミン化合物、スチレン系共重合体等の各種エラストマー、充填材、保存安定剤、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、顔料、難燃剤、密着付与剤、及び界面活性剤等の添加剤を使用することができる。 ・・・ [0042]前記ポリチオール化合物としては、特に限定されないが、例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトグリコレート)、ブタンジオール ビス(3-メルカプトグリコレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトグリコレート)、トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、ペンタエリスリトール テトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコール ビス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトール ヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール テトラキス(3-メルカプトブチレート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5-トリス(3-メルカブトブチルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン等が挙げられ、これらの化合物は、それぞれ単独で用いることも、また二種以上を混合して用いても良い。 [0043]前記ポリチオール化合物の市販品としては、例えばTMTP、PETP(淀化学株式会社製)、TEMPIC、TMMP、PEMP、PEMP-II-20P、DPMP(SC有機化学株式会社製)、MTNR1、MTBD1、MTPE1(昭和電工株式会社製)等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの化合物は、それぞれ単独で用いることも、また二種以上を混合して用いても良い。 ・・・ [0046]本発明に対し、硬化物の弾性率、流動性などの改良を目的として、保存安定性を阻害しない程度の充填材を添加してもよい。具体的には有機質粉体、無機質粉体、金属質粉体等が挙げられる。無機質粉体の充填材としては、ガラス、フュームドシリカ、アルミナ、マイカ、セラミックス、シリコーンゴム粉体、炭酸カルシウム、窒化アルミ、カーボン粉、カオリンクレー、乾燥粘土鉱物、乾燥珪藻土等が挙げられる。無機質粉体の配合量は、(A)成分100質量部に対し、0.1~100質量部程度が好ましい。0.1質量部以上であれば十分な効果が期待でき、100質量部以下であれば光硬化性シール剤としての流動性を十分保持できると共に、一定の作業性を保持できるので好ましい。 [0047]フュームドシリカは、燃料電池用光硬化性シール剤の粘度調整又は硬化物の機械的強度を向上させる目的で配合できる。好ましくは、オルガノクロロシラン類、ポリオルガノシロキサン、ヘキサメチルジシラザンなどで疎水化処理したものなどが用いることができる。フュームドシリカの具体例としては、例えば、日本アエロジル製の商品名アエロジルR974、R972、R972V、R972CF、R805、R812、R812S、R816、R8200、RY200、RX200、RY200S、R202等の市販品が挙げられる。 [0048]有機質粉体の充填材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、架橋アクリル、架橋ポリスチレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリカーボネートが挙げられる。有機質粉体の配合量は、(A)成分100質量部に対し、0.1~100質量部程度が好ましい。0.1質量部以上であれば十分な効果が期待でき、100質量部以下であれば光硬化性シール剤の流動性を十分保持できると共に、作業性を保持できるので好ましい。・・・」 (5)「[0067]<用途及びシール剤> 本発明のシール剤の具体的な用途としては、本発明の光硬化性シール剤またはその硬化物は、低気体透過性、低透湿性、耐熱性、耐酸性、可とう性に優れるゴム弾性体であることから、燃料電池、太陽電池、色素増感型太陽電池、リチウムイオン電池、電解コンデンサ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、LED、ハードディスク装置、フォトダイオード、光通信・回路、電線・ケーブル・光ファイバー、光アイソレータ、ICカード等の積層体、センサー、基板、医薬・医療用器具・機器等が挙げられる。これらの用途の中でも、本発明の光硬化性シール剤は、紫外線等の活性エネルギー線の照射により速やかに硬化し、難接着な材質である電解質膜に対する密着力に優れていることから、燃料電池用途が特に好ましい。」 (7)「[0066]本発明の燃料電池とは、本発明の燃料電池用光硬化性シール剤またはその硬化物によりシールされたことを特徴とする燃料電池である。燃料電池におけるシールが必要な部材としては、セパレーター、フレーム、電解質、燃料極、空気極、MEA等が挙げられる。より具体的なシール箇所としては、隣り合うセパレーター同士との間、セパレーターとフレームとの間、フレームと電解質膜またはMEAとの間等が挙げられる。なお、「セパレーターとフレームとの間」または「高分子電解質膜またはMEAとフレームとの間」の主なシールの目的は、ガスの混合や漏れを防ぐことであり、隣り合うセパレーター同士との間のシールの目的はガスの漏れを防ぐことと冷却水流路から外部に冷却水が漏洩することを防ぐことである。なお、電解質膜から発生する酸により強酸雰囲気になるので、シール剤には耐酸性が求められる。 [0067]<シール方法> 本発明の燃料電池用光硬化性シール剤を用いたシール手法としては、特に限定されないが、代表的には、FIPG(フォームインプレイスガスケット)、CIPG(キュアーインプレイスガスケット)、MIPG(モールドインプレイスガスケット)、液体射出成形などが挙げられる。」 (8)「[0072]以下に実施例をあげて本発明を更に詳細の説明をするが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 [0073]<(A)成分> <a1の製造>アクリロイルオキシエトキシフェニル基を有するポリイソブチレンポリマー(a1)の製造 5Lのセパラブルフラスコの容器内を窒素置換した後、n-ヘキサン200mL及び塩化ブチル2000mLを加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら-70℃まで冷却した。次いで、イソブチレン840mL(9mol)、p-ジクミルクロライド12g(0.05mol)及び2-メチルピリジン1.1g(0.012mol)を加えた。反応混合物が-70℃まで冷却された後で、四塩化チタン5.0mL(0.05mol)を加えて重合を開始した。重合開始3時間後に、フェノキシエチルアクリレート(ライトアクリレートPO-A、共栄社化学株式会社製)40gと四塩化チタン110mlを添加した。その後、-70℃で4時間攪拌を続けた後、メタノール1000mlを添加して反応を停止させた。 反応溶液から上澄み液を分取し、溶剤等を留去した後、生成物をn-ヘキサン3000mlに溶解させ、3000mlの純水で3回水洗を行い、メタノールから再沈殿した後、溶媒を減圧下に留去して、得られた重合体を80℃で24時間真空乾燥することにより、アクリロイルオキシエトキシフェニル基を有するポリイソブチレンポリマー(a1)を得た。 [0074]前記a1は、-[CH2C(CH3)2]-単位を含み、アクリロイル基を2個含有する。より具体的には、a1は、一般式(1)において、R1はフェニレン基を示し、PIBはポリイソブチレン骨格を示し、R4は炭素数2の炭化水素基を示し、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子を示し、R5は水素原子を表し、nは2であるポリイソブチレンポリマーである。 なお、a1成分の数平均分子量(サイズ浸透クロマトグラフィー(SEC)を用いた標準ポリスチレン換算法)は11,100であり、a1成分の粘度(コーンプレート型粘度計を用い、25℃での粘度を測定)は1550Pa・sであった。 [0075][化3] [図:0001400407000006.jpg] [0076]<燃料電池用光硬化性シール剤の調製> ・実施例1 本発明の(A)成分としてアクリロイルオキシエトキシフェニル基を有するポリイソブチレンポリマー(a1)100質量部と、(B)成分として2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(IRGACURE1173、BASF社製)3質量部と、(C)成分としてジシクロペンタニルメタクリレート(FA-513M、日立化成株式会社製)50質量部と、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM503、信越化学株式会社製)3質量部を添加し、遮光下で常温にてプラネタリーミキサーで60分混合し、燃料電池用光硬化性シール剤である実施例1を得た。なお、実施例1は、25℃で液状であった。 [0077]・実施例2 実施例1において、ジシクロペンタニルメタクリレートの代わりに、イソボルニルメタクリレート(SR-423、サートマー社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして調製し、実施例2を得た。なお、実施例2は、25℃で液状であった。 [0078]・実施例3 実施例1において、ジシクロペンタニルメタクリレートの代わりに、ステアリルメタクリレート(SMA、三菱ガス化学株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして調製し、実施例3を得た。なお、実施例3は、25℃で液状であった。 [0079]・実施例4 実施例1において、ジシクロペンタニルメタクリレート50質量部を100質量部にした以外は、実施例1と同様にして調製し、実施例4を得た。 [0080]・実施例5 実施例1において、ジシクロペンタニルメタクリレート50質量部を20質量部にした以外は、実施例1と同様にして調製し、実施例4を得た。 [0081]・比較例1 実施例1において、ジシクロペンタニルメタクリレートの代わりに、ジシクロペンタニルアクリレート(FA-513AS、日立化成株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして調製し、比較例1を得た。 [0082]・比較例2 実施例1において、ジシクロペンタニルメタクリレートの代わりに、イソボルニルアクリレート(IBX-A、共栄社化学株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして調製し、比較例2を得た。」 (8)「[0086][表1] [図:0001400407000007.jpg] [0087]表1の実施例1~5によれば、本発明は、紫外線等の活性エネルギー線の照射(20秒間)により速やかに硬化し、難接着な材質である電解質膜に対する密着性に優れることがわかる。また、実施例1によれば、PENに対する密着性も優れることがわかった。」 3 甲2には次の記載がある。 (1)「【技術分野】 【0001】 本発明は、硬化性樹脂組成物に関する。 【背景技術】 【0002】 (メタ)アクリレート系の硬化性化合物及びカチオン型エポキシ系の硬化性化合物に代表される硬化性化合物は、紫外線照射や加熱等の外部刺激を加え反応させた後の硬化収縮が大きく、特に(メタ)アクリレート系の硬化性化合物の場合は、高分子量化の際に分子間結合距離が短くなるため、外部刺激を加え反応させた後の硬化収縮がより顕著である。 そこで、これらの化合物を主成分とする接着剤は、フィラーを配合して外部刺激を加え反応させた後の硬化収縮を抑制している場合が多い・・・」 (2)「【0028】 〔化合物B〕 化合物Bは、本発明において、硬化収縮を抑制し、剛性及び耐薬品性を付与する観点から、ポレオレフィン系フィラーが使用される。 【0029】 化合物Bを構成するポリオレフィンとしては、例えば、 (i)エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン等のオレフィンの(共)重合体; (ii)1-オレフィンと酢酸ビニルの共重合体、これらの完全もしくは部分ケン化物、及びこれらとのジエン共重合体; (iii )上記(i)、(ii)の(共)重合体中に、カルボキシル基もしくはカルボン酸塩基を有するオレフィン系化合物、これらのエステル、アミド、イミド、もしくは金属塩を導入したもの、等を挙げることができる。 【0030】 具体的には、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-プロピレン-ブタジエン共重合体、エチレン-プロピレン-ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、およびナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の如き金属のカルボン酸塩基を有するポリオレフィン等が挙げられるが、本発明の剛性及び耐薬品性を向上する観点から、好ましくは低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンポリプロピレン及びポリ-1-ブテンからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体であり、より好ましくは高密度ポリエチレンである。」 (3)「【実施例】 【0094】 〔化合物原料〕 (1)化合物A (1-1)二官能ウレタンアクリレートオリゴマー(UN-7700、根上工業社製) (1-2)単官能イソボルニルメタクリレートモノマー(RM-1002、日本化薬社製) (1-3)単官能ラウリルアクリレートモノマー(ライトアクリレートL-A、共栄社化学社製) (1-4)単官能メタクリル酸イソボルニル(NKエステルIB、新中村化学工業社製) 【0095】 (2)化合物B:高密度ポリエチレン粉末(フロービーズHE-3040、住友精化社製) 【0096】 (3)化合物C(重量平均分子量) (3-1)化合物c1:ステリアルアクリレート(式(2)でx=18) (3-2)化合物c2:n-ブチルアクリレート(式(3)でy=4) (3-3)共重合モル比(化合物c1/化合物c2)=25/75 (3-4)重量平均分子量=11800 【0097】 (3-5)合成条件 2-メチル-2-[N-(t-ブチル)-N-(ジエトキシホスホニル-2-2-ジメチルプロピル)アミノキシ]プロピオン酸(略称:SG-1-MA、3.81g、10.0mmol)、 ステアリルアクリレート(50.0g、151.7mmol)、及び n-酢酸ブチル(12.5g)を反応容器に取り、20分間N2バブリングを行った。 その後N2バブリングを継続したまま、反応液の温度を118℃に保ち反応を行った。 4時間後、20分間N2バブリング処理を行ったn-ブチルアクリレート(50.0g、390.1mmol)、n-酢酸ブチル(12.5g)を反応容器に加え再び118℃で反応を続けた。 n-ブチルアクリレートを加えてから5時間後に反応を終了し、化合物Cを得た。 【0098】 (4)光重合開始剤:1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(イルガキュア184、BASF社製) (5)重合禁止剤:3,5-ジブチル-4-ヒドロキシトルエン(東京化成社製) (6)カップリング剤:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製) 【0099】 〔実施例1及び比較例1の光硬化性樹脂組成物〕 上記の化合物原料を表1に記載される組成になるように計量し、化合物原料計150gをポリプロピレン製容器(品名BHB-300黒、近畿容器社製)に充填し、撹拌装置(品名RW28、IKA社製)に充填し、撹拌装置(RW28、IKA社製)にて、温度20~30℃、湿度50~60%で、30~60分間撹拌して、液状の実施例1及び比較例1の光硬化性樹脂組成物を得た。 ・・・ 【0101】 【表1】 [図:0001400407000008.jpg] 」 4 甲3には次の記載がある。 (1)「【請求項1】 (A)(メタ)アクリレート100質量部、 (B)ポリオレフィン粒子25~150質量部、 (C)無機充填材、 (D)光ラジカル重合開始剤を含有するエネルギー線硬化性樹脂組成物。 ・・・ 【請求項7】 (B)ポリオレフィン粒子が、ポリエチレン粒子及び/又はポリプロピレン粒子である請求項1~6のいずれか1項に記載のエネルギー線硬化性樹脂組成物。」 (2)「【0012】 本発明のエネルギー線硬化性樹脂組成物は、例えば、エネルギー線を照射することにより硬化することが可能であり、しかも硬化時の硬化収縮性が低く、且つ、高い伸びを示すため、耐冷熱サイクル性及び貯蔵安定性に優れるという効果を有する。 【発明を実施するための形態】 【0013】 <用語の説明> 本明細書において、エネルギー線硬化性樹脂組成物とは、エネルギー線を照射することによって硬化させることができる樹脂組成物を意味する。ここで、エネルギー線とは、紫外線、可視光線等に代表されるエネルギー線を意味する。」 (3)「【0034】 本発明に用いられるエネルギー線硬化性樹脂組成物は、(B)ポリオレフィン粒子を必須成分とする。 【0035】 本発明に用いられる(B)ポリオレフィン粒子に用いられるポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレン-プロピレン等といったオレフィンの共重合体等を用いることができる。これらの中では、ポリエチレン及び/又はポリプロピレンが好ましい。ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、分岐型低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子ポリエチレンからなる群のうちの1種以上が好ましい。 【0036】 (B)ポリオレフィン粒子としては、セイシン企業社製の低密度ポリエチレン粒子(SK-PE-20L)、ポリプロピレン粒子(PPW-5)や、三井化学社製の超高分子ポリエチレン(ミペロンシリーズ、ハイゼックスシリーズ)、住友化学社製の低密度ポリエチレン(エクセレンGMH、スミカセンEP)、日本精蝋社製の低密度低分子量分岐型ポリエチレン(WEISSEN-0252C、WEISSEN-0453)、クラリアント社製のポリエチレン及びポリプロピレン(CAERIDUSTシリーズ)等が挙げられる。」 (4)「【0084】 (実験例1~22) 表3、表4に示す種類の原材料を、表3、表4に示す組成割合(単位は質量部)で混合し、樹脂組成物を調製し、後述の評価を実施した。各種評価結果を表3、表4に示す。特記しない限り、23℃、湿度50%の環境下で実施した。 【0085】 【表3】 [図:0001400407000009.jpg] 【0086】 【表4】 [図:0001400407000010.jpg] 【0087】 〔粘度〕 B型粘度計を用い、所定の回転数(rpm)における粘度を測定した。 チキソトロック係数(TI)=((2rpmでの粘度)/(20rpmでの粘度))として、算出した。」 5 甲4には次の記載がある。 (1)「[請求項1](A)(メタ)アクリレート100質量部、(B)ポリオレフィン粒子25~150質量部、(C)無機充填材、及び(D)光ラジカル重合開始剤を含有するエネルギー線硬化性接着剤。 [請求項7](B)ポリオレフィン粒子が、ポリエチレン粒子及び/又はポリプロピレン粒子である請求項1~6のいずれか1項に記載のエネルギー線硬化性接着剤。」 (2)「[0041](B)ポリオレフィン粒子の密度(g/cm3)は、JIS K 6760(1995)に準拠し、密度勾配管法により測定した値であり、0.85g/cm3以上0.95g/cm3以下が好ましく、0.89g/cm3以上0.94g/cm3以下がより好ましい。この密度の範囲であれば、得られる樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて、製造過程或いは実用用途において当該樹脂組成物を用いる際の作業性に問題が生じることもなく、当該樹脂組成物は優れた接着性と低硬化収縮性を示し、優れた耐冷熱サイクル性を得ることができる。 [0042](B)ポリオレフィン粒子の平均粒子径は、公知の粒度分布計で測定した値であり、5μm以上30μm以下が好ましく、10μm以上20μm以下がより好ましい。この平均粒子経の範囲であれば、得られる樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて、製造過程或いは実用用途において当該樹脂組成物を用いる際の作業性に問題が生じることもなく、当該樹脂組成物は優れた接着性と低硬化収縮性を示し、優れた耐冷熱サイクル性を得ることができる。後述の実施例では、レーザー回折粒度分布計(島津製作所社製「SALD-2200」)で測定した値を採用した。なお、上記平均粒子径は、例えば、5、10、15、20、25、30、100、又は150μmであってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であってもよい。 ・・・ [0044](B)ポリオレフィン粒子の使用量は、(A)100質量部に対して、25~150質量部が好ましく、28~70質量部がより好ましく、30~45質量部が最も好ましい。この範囲であれば得られる樹脂組成物粘度が高くなることもなく、優れた接着性と耐冷熱サイクル性を得ることができる。なお、(B)成分は、(A)100質量部に対して、例えば、25、28、30、35、45、70、100、115、120、又は150質量部であってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であってもよい。」 6 甲5には次の記載がある。 「【0013】 【発明の実施の形態】本発明の低摩擦抵抗性粒子は、表面の摩擦係数が小さくゴム組成物に配合されるとゴム表面の摩擦係数を低下させるものであればよく、その材料は特に限定されないが、超高分子量ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオレフィンパウダー等を挙げることができる。特に、超高分子量ポリエチレンが好適に使用でき、例えば、分子量が2万以上、さらには、100万~200万のものであるのが好ましい。 【0014】低摩擦抵抗性粒子の配合量は、ゴム100重量部に対し、5~30重量部、好ましくは、10~20重量部である。この配合量が5重量部未満ではゴムの低付着性が低下してしまい、30重量部を超えると未加硫状態での加工中に発熱しやすくなりゴムの焼け(早期加硫)が発生したり、未加硫ゴムの粘度が大きくなって加工性が低下するうえに、加硫後のゴム組成物の硬度が大きくなりすぎてしまうからである。 【0015】低摩擦抵抗性粒子の粒子径は、特に限定されないが、1~300μm、さらには、10~30μmとするのが好ましい。これを1μm以上とすることで、低付着性をさらに向上でき、300μm以下とすることで、ゴム組成物に取り込まれやすくなりゴムへの混合が容易になり加工性が向上するからである。」 7 甲6には次の記載がある。 「【0006】 ・・・ 尚、本発明に於いて、低摩擦化用の微粒子とは、プーリー(一般的に材質はねずみ鋳鉄等)に対する摩擦係数が母材成分(ゴム成分)よりも低い原料からなる微粒子を意味する。 【0007】 本発明に於いては、前記低摩擦化用の微粒子が、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、シリコンゴムの群から選ばれる1種又は2種以上の微粒子であるものが好ましい。 【0008】 特に、前記低摩擦化用の微粒子が、融点130~137℃のポリエチレンの微粒子であるものが好ましい。 斯かる範囲のポリエチレンは、所謂超高分子量ポリエチレンと称されているものであるが、斯かる範囲のポリエチレンによれば、ベルト使用時の摩擦熱によって高温雰囲気となった場合に於いても、十分にスリップ音が小さいものとなる。尚、その理由は明確ではないが、ベルト使用時に発生する摩擦熱による熱変形が殆どなく、低融点のポリエチレンを用いた場合の如く、熱変形によって、プーリと当接する部分が増大して摩擦が増大するということが抑制されることによるものと考えられる。」 8 甲7には次の記載がある。 「〔従来の技術〕 ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル及びポリカーボネート等の合成樹脂は、機械的強度、耐磨耗性に優れており、射出成形等により軸受部、歯車部品等の機械部品に使用されている。しかしながら真鍮や銅等の金属材料に比べて限界PV値(軸受材料が一定の荷重(P)と速度(V)以上になると材料が融けたり、焼きついたりする負荷の限界値である。)が低い。このためこれら合成樹脂に高密度ポリエチレンの粉末を添加して低摩擦性を改良し、軸受等の材料として適した性能の改良を行うことが提案されている。(特公昭46-41456号) この方法によれば、超高分子量ポリエチレンの粉末を合成樹脂へ添加した場合、低摩擦性は改良される・・・」(1頁左下欄下3行~右下欄13行) 9 甲8には次の記載がある。 (1)「【請求項1】 Tgを有する架橋性のエラストマーオリゴマー; 該エラストマーオリゴマーのTgより高いTgを有するモノマー、または該エラストマーオリゴマーのTgより高い組合せ平均Tgを有するモノマーの組合せ; 開始剤または架橋剤;ならびに 触媒;充填剤;酸化防止剤;反応改良剤;接着促進剤;希釈剤および着色剤のうちの所望による少なくとも1種; から調製される架橋性シーラント組成物であって、 該組成物の硬化反応生成物は、単一のTgを有し、 該モノマーを用いずに上記のように調製した同様の組成物と比べて、該硬化生成物のTgよりも高い温度にてより高いシーリング力を保持する、該架橋性シーラント組成物。 ・・・ (2)「【0048】 モノマーの組合せに関する所望の平均ガラス転移温度が得られるように、ガラス質モノマーとゴム状モノマーを選択できる。モノマーの組合せに関する平均ガラス転移温度は、以下の数式により求められ、それを参照することにより本明細書に組み込まれる。 ・・・ 【0050】 硬化シーラント反応生成物の低温シーリング力を増加するための十分なガラス質のモノマーを提供するために、架橋性のエラストマーオリゴマー対ガラス質モノマーの比率を選択しなければならない。しかし、硬化シーラント反応生成物のエラストマー特性が望ましくない影響を受ける程度まで、多くのガラス質モノマーを添加してはならない。その結果、架橋性のエラストマーオリゴマー対ガラス質モノマーの比率は、所望の特性に基づきバランスを取る必要がある。例えば、ガラス質材料と硬化したシーラント組成物が低いと所望の低温シーリング力が得られず、ガラス質材料が極めて多いと高温での硬化シーラントのシーリング能力が失われる。」 (3)「【0066】 硬化性のガスケット組成物の調製 1)予混合調製:開始剤、酸化防止剤、反応改良剤を含む全液体を充填する。固形分が残存しなくなるまで撹拌する。 2)予混合物にエラストマーオリゴマーを充填する。均質になるまで撹拌する。 3)充填剤を添加し、均質になるまで撹拌する。 4)真空にしてサンプルを脱気する。気泡を含まない材料を貯蔵容器内に充填する。 ・・・ 【0075】 【表8】 [図:0001400407000011.jpg] 」 第6 当審の判断 1 甲1を主引用例とする検討 (1)甲1発明の認定 ア 前記第5、1(7)に摘記した甲1の実施例1は、同(8)に摘記した甲1の表1を参照すると、次のとおりのものである。 「(A)成分としてa1を100重量部、(B)成分としてb1を4重量部、(C)成分としてc1を2重量部、(D)成分としてd1を50重量部含有する光硬化性樹脂組成物」 イ ここで、それぞれの成分名を併記すると次の発明(以下「甲1発明」という。)が把握できる。 「(A)成分:(メタ)アクリロイル基を1以上有する、-[CH2C(CH3)2]-単位を含むポリイソブチレン骨格を有するポリマーとして、 a1:アクリロイルオキシエトキシフェニル基を有するポリイソブチレンポリマーを100重量部、 (B)成分:光ラジカル重合開始剤として、 b1;2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(IRGACURE1173、BASF社製)を4重量部 (C)成分:トリアリールホスフィン、トリアリールホスフィン誘導体、キサントン又はキサントン誘導体として、 c1:トリフェニルホスフィン(試薬、東京化成工業株式会社製)を2重量部 (D)成分:(メタ)アクリレートモノマーとして、 d1:ジシクロペンタニルメタクリレート(FA-513M、日立化成株式会社製)を100重量部 含有する光硬化性樹脂組成物」 (2)本件発明1との対比 ア 甲1発明の「(A)成分:(メタ)アクリロイル基を1以上有する、-[CH2C(CH3)2]-単位を含むポリイソブチレン骨格を有するポリマーとして、 a1:アクリロイルオキシエトキシフェニル基を有するポリイソブチレンポリマー」は、本件発明1の構成1Aに相当する。 イ 甲1発明の「(B)成分:光ラジカル重合開始剤として、 b1;2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(IRGACURE1173、BASF社製)」は、本件発明1の構成1Dに相当する。 ウ 甲1発明の「(D)成分:(メタ)アクリレートモノマーとして、 d1:ジシクロペンタニルメタクリレート(FA-513M、日立化成株式会社製)」は、本件発明1の構成1Bのうち、「単官能アルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)」である点で一致する。 エ 甲1発明の「光硬化性樹脂組成物」は、本件発明1の構成1Xのうち、光硬化型樹脂組成物である点で一致する。 (3)一致点、相違点 そうすると、本件発明1と甲1発明とは次の一致点及び一応の相違点がある。 ア 一致点 「1A:アクリロイル末端ポリイソブチレン(A)と、 1B’:単官能アルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)と、 1D;光重合開始剤(D)を含む 1X’:ことを特徴とする光硬化型樹脂組成物。」 イ 一応の相違点 (ア)相違点1-1 単官能アルキル(メタ)アクリレートモノマーについて、本件発明1においては、C8~18のアルキル基を有するのに対して、甲1発明においては、ジシクロペンタニル基を有するものであるから、シクロアルキル基を有するものである点。 (イ)相違点1-2 本件発明1においては、構成1Cすなわちポリエチレンパウダーを有するのに対して、甲1発明においては、ポリエチレンパウダーを含有していない点。 (ウ)相違点1-3 光硬化型樹脂組成物の用途について、本件発明1は、「ガスケット」に用いられると特定されているのに対して、甲1発明においてはそのような特定がない点。 (エ)相違点1-4 本件発明1においては、「前記(A)の配合量が組成物全固形分に対し8~45.8重量%である」のに対して、甲1発明においては、(A)成分に相当する「a1成分」の配合量が組成物全固形分に対して約60重量%である点。 (4)相違点についての検討 ア 相違点1-1についての検討 (ア)本件発明1における「C8~18のアルキル基を有する・・・モノマー(B)」について 本件特許明細書の段落【0018】には、「鎖状骨格のアルキル(メタ)アクリレート」との記載があり、同段落【0020】には、「脂環式骨格の(メタ)アクリレート(b1)」との記載もある。これらの記載及び本件発明5の「前記(B)が・・・(b2)を含む」という特定事項からみて、本件発明1のアルキル基には、シクロアルキル基も含まれていると解される。 (イ)上記(ア)から、甲1発明における「ジシクロペンタニルメタクリレート(FA-513M、日立化成株式会社製)」は、C10の脂環式骨格のメタクリレートであるから、本件発明1の「C8~18のアルキル基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマー(B)」を充足するものであって、相違点1-1は実質的な相違点ではない。 イ 相違点1-2についての検討 (ア)前記第5、1(4)に摘記した甲1の段落[0042]には、有機質粉体を充填材として添加することが記載され、同甲1の段落[0044]には「有機質粉体」としてポリエチレンを用いるおことが示唆されている。 (イ)前記第5、3に摘記したように甲2には、硬化時の収縮を減少させるために硬化性樹脂組成物にポリエチレンフィラーを加える点が記載され、前記第5、4に摘記したように、甲3にも硬化時の硬化収縮性を低くするためにポリエチレン粒子を加える点が記載され、前記第5、5に摘記したように甲4にも、樹脂組成物は優れた接着性と低硬化収縮性を示し、優れた耐冷熱サイクル性を得るためにポリエチレン粒子を加える点が記載されている。 (ウ)ここで、甲2のポリエチレンフィラー及び甲2及び甲3、4のポリエチレン粒子はいずれも「ポリエチレンパウダー」に相当するものであるから、相違点1-2は、前記甲1の[0042]の示唆に従い、甲2~4に記載されたようにポリエチレンフィラーまたは粒子を採用することにより当業者が容易に想到しえたものといえる。 (エ)本件発明1の相違点1-2に係る構成を有することによる作用効果について a 本件特許明細書の段落【0021】には、次のように記載されている。 「本発明で使用されるポリエチレンパウダー(C)は、硬化皮膜表面のべとつきを抑え動摩擦係数を小さくする目的で配合される。耐摩耗性と自己潤滑性に優れる点で、分子量は100万~700万である超高分子量ポリエチレンであることが好ましい。また硬化表面の凹凸が微細化できるよう、平均粒径は10~50μmが好ましく、15~40μmが更に好ましい(コールターカウンター法)。(C)の全固形分に対する配合量は、5~45重量%が好ましく、7~40重量%が更に好ましく、10~25重量%が特に好ましい。5重量%以上とすることで、充分な滑り性を確保し、結果として動摩擦係数を低くすることができ、45重量%以下とすることで適度な硬度と歪特性を確保することができる。市販品ではミペロン(商品名:三井化学社製、超高分子量ポリエチレン)が挙げられる。」 b ここで、本件発明1が相違点1-2に係る構成を備えることによる作用効果は、「硬化皮膜表面のべとつきを抑え動摩擦係数を小さくする」ことと認められる。 c 前記第5、6に摘記した甲5の段落【0013】には、「本発明の低摩擦抵抗性粒子は、本発明の低摩擦抵抗性粒子は、表面の摩擦係数が小さくゴム組成物に配合されるとゴム表面の摩擦係数を低下させるものであればよく、・・・本発明の低摩擦抵抗性粒子は、本発明の低摩擦抵抗性粒子は、表面の摩擦係数が小さくゴム組成物に配合されるとゴム表面の摩擦係数を低下させるものであればよく」と記載されている。 d 前記第5、7に摘記した甲6の段落【0008】には、「低摩擦化用の微粒子が、融点130~137℃のポリエチレンの微粒子であるものが好ましい。・・・斯かる範囲のポリエチレンは、所謂超高分子量ポリエチレンと称されているものである」と記載されている。 e 前記第5、8に摘記した甲7には、「超高分子量ポリエチレンの粉末を合成樹脂へ添加した場合、低摩擦性は改良される」と記載されている。 f 前記bで認定した作用効果のうち、「動摩擦係数を小さくする」ことについては、前記c~eの各記載から予測可能な効果であり、また、「表面のべとつきを抑え」ることについては、超高分子量ポリエチレンパウダーを添加することにより樹脂組成物の表面の一部が(べとつきがない)超高分子量ポリエチレンパウダーに置き換わることにより当然に奏される作用効果であるといえるから、いずれも本件出願前に予測できなかったものということができない。 ウ 相違点1-3についての検討 前記第5、1(5)に摘記した甲1の段落[0053]には、シール剤としての用途が各種記載され、「シールの目的は、ガスの混合や漏れを防ぐこと」とされており、また、同(6)に摘記した段落[0064]にも記載されているように、甲1発明は、ガスケットであるといえる。 したがって、相違点1-3は実質的な相違点ではない。 エ 相違点1-4についての検討 (ア)甲2について 甲2の段落【0101】に記載の実施例1においては、68.4/(42+42+5+11+1+2+0.8+0.02)=66重量%のフロービーズが外添されていることが読み取れる。甲1には、「硬化物の弾性率、流動性などの改良を目的として、保存安定性を阻害しない程度の充填材を添加してもよい」([0042])と記載されているので、この点を、甲1発明に適用し、66重量%のフロービーズを外添すると、甲1発明における[a-1]成分の配合量は、組成物100重量部あたり、約60重量%/166=約36重量%となり、本件発明1の比率を充足する。 (イ)甲3について 甲3の段落【0085】に記載された各実験例のうち、実験例10を参照すると、70/(13+12+13+2+60+60+2)=70/162=43.1重量%のポリエチレン粒子が外添されていることが読み取れる。甲1には、「硬化物の弾性率、流動性などの改良を目的として、保存安定性を阻害しない程度の充填材を添加してもよい」([0042])と記載されているので、この点を、甲1発明に適用し、43.1重量%のポリエチレン粒子を外添すると、甲1発明における[a-1]成分の配合量は、組成物100重量部あたり、約60重量%/143.1=41.9重量%となり、本件発明1の比率を充足する。 (ウ)甲4について 甲4の段落[0089]に記載された各実験例のうち、実験例10を参照すると、70/(13+12+13+2+60+60+2)=70/162=43.1重量%のポリエチレン粒子が外添されていることが読み取れる。甲1には、「硬化物の弾性率、流動性などの改良を目的として、保存安定性を阻害しない程度の充填材を添加してもよい」([0042])と記載されているので、この点を甲1発明に適用し、43.1重量%のポリエチレン粒子を外添すると、甲1発明における[a-1]成分の配合量は、組成物100重量部あたり、約60重量%/143.1=41.9重量%となり、本件発明1の比率を充足する。 オ 小括 (ア)上記ア~エのとおり、相違点1-1及び相違点1-3は実質的な相違点でなく、相違点1-2及び相違点1-4による作用効果上の差異は、前記ア(エ)において検討したように予測できるものであって、相違点1-2及び相違点1-4に係る本件発明1の構成は当業者が容易に想到しうることであるから、本件発明1は甲1発明及び甲1~4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明である。 (イ)令和4年4月1日に提出された意見書における主張について 特許権者は、前記意見書において、甲1発明におけるポリエチレンを添加する目的と、甲2~4におけるポリエチレンを添加する目的が異なると主張する。 しかしながら、甲1に有機質粉体であるポリエチレンを添加することが示唆されていることから、具体的なポリエチレンパウダーの種類及び添加量を甲2~4を参考にして添加することの阻害要因にはならないから、特許権者の主張は採用できない。 (5)本件発明2~5について ア 本件発明2についての判断 (ア)対比 a 甲1発明の「(A)成分:(メタ)アクリロイル基を1以上有する、-[CH2C(CH3)2]-単位を含むポリイソブチレン骨格を有するポリマーとして、 a1:アクリロイルオキシエトキシフェニル基を有するポリイソブチレンポリマー」は、本件発明2の構成2Aに相当する。 b 甲1発明の「(B)成分:光ラジカル重合開始剤として、 b1;2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(IRGACURE1173、BASF社製)」は、本件発明2の構成2Dに相当する。 c 甲1発明の「(D)成分:(メタ)アクリレートモノマーとして、 d1:ジシクロペンタニルメタクリレート(FA-513M、日立化成株式会社製)」は、前記(4)アで検討したように、本件発明2の構成2Bに相当する。 d 甲1発明の「光硬化性樹脂組成物」は、本件発明2の構成2Xのうち、光硬化型樹脂組成物である点で一致する。 (イ)一致点・相違点 そうすると、本件発明2と甲1発明とは次の一致点及び一応の相違点がある。 a 一致点 「2A:アクリロイル末端ポリイソブチレン(A)と、 2B:C8~18のアルキル基を有する単官能アルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)と、 2D:光重合開始剤(D)を含む 2X:ことを特徴とする光硬化型ガスケット樹脂組成物。」 b 相違点2-1 本件発明2においては、構成2C及び構成2G、すなわちポリエチレンパウダーを組成物全固形分に対し5~45重量%有するのに対して、甲1発明においては、ポリエチレンパウダーを含有していない点。 c 相違点2-2 光硬化型樹脂組成物の用途について、本件発明2は、「ガスケット」に用いられると特定されているのに対して、甲1発明においてはそのような特定がない点。 (ウ)相違点についての検討 a 相違点2-2については、前記(4)ウにおいて検討したように実質的な相違点ではない。 b 相違点2-1について 前記第5、3(3)に摘記した甲2の実施例1には、全固形分(42+42+5+11+68.4+1.0+2.0+0.8+0.02)=172.22重量部を総量とし、ポリエチレン粒子は68.4重量部を占めるから、39.7%と計算できる。 同様の計算により、前記第5、4(4)に摘記した甲3の実験例1においてはポリエチレン粒子が15.1%含まれ、同実験例10においては、30.2%含まれていることが読み取れる。 これらは、いずれも本件発明2の構成2C及び2Gを充足するものであるから、本件発明2は、本件発明1と同様に進歩性を欠如するものといえる。 イ 本件発明3についての判断 前記第5、1(4)に摘記した甲1の段落[0043]には、「フュームドシリカは、光硬化性樹脂組成物の粘度調整又は硬化物の機械的強度を向上させる目的で配合できる。」と記載されており、甲1発明に、さらにフュームドシリカを、光硬化性樹脂組成物の粘度調整又は硬化物の機械的強度を向上させる目的で配合すること、すなわち、チクソ性付与剤として添加することは当業者が容易になし得ることである。 ウ 本件発明4についての判断 前記第5、1(4)に摘記した甲1の段落[0038]~[0039]には、ポリチオール成分を任意成分として添加することが記載されていることから、甲1発明に更にポリチオール成分を添加することは当業者が容易になし得ることといえる。 エ 本件発明5についての判断 (ア)対比 本件発明5と甲1発明を対比すると、次の点(以下「相違点1-5」という。)及び前記相違点1-2で相違する。 <相違点1-5> 単官能アルキル(メタ)アクリレートモノマーについて、本件発明5においては、「nオクチルアクリレート」と「脂環式骨格(メタ)アクリレート」が併用されるのに対して、甲1発明においては、ジシクロペンタニル基を有するものであるから、シクロアルキル基を有するものである点。 (イ)相違点1-5についての検討 甲1には、その段落〔0033〕に「炭素数5~30のアルキル基または炭素数5~30の脂環式基を有する(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。」という記載があるものの、「nオクチルアクリレート」と「脂環式骨格(メタ)アクリレート」を併用することは、記載も示唆もされていない。そして、その相違点1-5に係る構成を本件発明5が備えることにより、明細書に記載された作用効果を奏するものといえる。 (ウ)そうすると、相違点1-2について検討するまでもなく本件発明5は甲1発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものということができない。 (6)小括 ア 本件発明1、2~4は、甲1発明及び甲1~4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明であるから、特許法第29条第2項の規定により特許をうけることができない発明であり、特許法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 イ 本件発明5は、甲1発明及び甲1~4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明とはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許をうけることができない発明ではなく、特許法第113条第2号の規定により取り消されるべきものといえない。 2 甲9を主引用例とする検討 (1)甲9発明の認定 ア 前記第5、2(8)に摘記した甲9の段落[0078]に記載された実施例3に注目する。 イ 同甲9の段落[0076]に記載された実施例1を併せて検討すると次の発明(以下「甲9発明」という。)が認定である。 「(A)成分としてアクリロイルオキシエトキシフェニル基を有するポリイソブチレンポリマー(a1)100質量部と、(B)成分として2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(IRGACURE1173、BASF社製)3質量部と、(C)成分としてステアリルメタクリレート(SMA、三菱ガス化学株式会社製)50質量部と、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM503、信越化学株式会社製)3質量部を添加し、遮光下で常温にてプラネタリーミキサーで60分混合して得た、燃料電池用光硬化性シール剤。」 (2)本件発明1との対比 ア 甲9発明の「(A)成分としてアクリロイルオキシエトキシフェニル基を有するポリイソブチレンポリマー(a1)」は、本件発明1の構成1Aに相当する。 イ 甲9発明の「(B)成分として2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(IRGACURE1173、BASF社製)」は、本件発明1の構成1Dに相当する。 ウ 甲9発明の「(C)成分としてステアリルメタクリレート(SMA、三菱ガス化学株式会社製)」は、ステアリル基がC18のアルキル基であるから、本件発明1の構成1Dを充足する。 エ 甲9発明の「燃料電池用光硬化性シール剤は、本件発明1の構成1Xのうち、光硬化型樹脂組成物である点で一致する。 (3)一致点、相違点 そうすると、本件発明1と甲9発明とは次の一致点及び一応の相違点がある。 ア 一致点 「1A:アクリロイル末端ポリイソブチレン(A)と、 1B:C8~18のアルキル基を有する単官能アルキル(メタ)アクリレートモノマー(B)と、 1D:光重合開始剤(D) 1X’:を含むことを特徴とする光硬化型樹脂組成物。」 イ 一応の相違点 (ア)相違点9-1 本件発明1においては、構成1Cすなわちポリエチレンパウダーを有するのに対して、甲9発明においては、ポリエチレンパウダーを含有していない点。 (イ)相違点9-2 光硬化型樹脂組成物の用途について、本件発明1は、「ガスケット」に用いられると特定されているのに対して、甲9発明においてはそのような特定がない点。 (ウ)相違点9-3 本件発明1においては、「前記(A)の配合量が組成物全固形分に対し8~45.8重量%である」のに対して、甲9発明においては、(A)成分に相当する「a1成分」の配合量が組成物全固形分に対して約64重量%である点。 (4)本件発明1について ア 相違点9-1についての検討 (ア)前記第5、2(4)に摘記した甲9の段落[0048]には、ポリエチレン粉体を添加することが記載されている。 (イ)そうすると、前記1、(4)イにおいて、甲1発明との相違点である相違点1-2について検討したのと同じ理由により、相違点9-1は、当業者が容易に想到し得たものである。 イ 相違点9-2についての検討 前記1、(4)ウにおいて、甲1発明との相違点である相違点1-3について検討したのと同様に、相違点9-2は実質的な相違点といえない。 ウ 相違点9-3についての検討 前記1、(4)エにいての検討と同様の計算により、甲9発明に甲2~4の実施例を適用することにより得られる構成である。 エ 小括 上記ア~ウのとおり、相違点3-2は実質的な相違点でなく、相違点3-1及び相違点3-3による作用効果上の差異は、前記1(3)イ(エ)において検討したように予測できるものであって、相違点1-2及び相違点1-4に係る本件発明1の構成は当業者が容易に想到しうることであるから、本件発明1は、甲9発明及び甲2~4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許受けることができない発明といえる。 (5)本件発明2~5について ア 本件発明2についての判断 前記第5、3(3)に摘記した甲2の実施例1には、全固形分(42+42+5+11+68.4+1.0+2.0+0.8+0.02)=172.22重量部を総量とし、ポリエチレン粒子は68.4重量部を占めるから、39.7%と計算できる。 同様の計算により、前記第5、4(4)に摘記した甲3の実験例1においてはポリエチレン粒子が15.1%含まれ、同実験例10においては、30.2%含まれていることが読み取れる。 これらは、いずれも本件発明2の構成2Cを充足するものであるから、本件発明2は、本件発明1と同様に進歩性を欠如するものといえる。 イ 本件発明3についての判断 前記第5、2(4)に摘記した甲9の段落[0047]には、「フュームドシリカは、燃料電池用光硬化性シール剤の粘度調整又は硬化物の機械的強度を向上させる目的で配合できる。」と記載されており、甲9発明に、さらにフュームドシリカを、光硬化性樹脂組成物の粘度調整又は硬化物の機械的強度を向上させる目的で配合すること、すなわち、チクソ性付与剤として添加することは当業者が容易になし得ることである。 ウ 本件発明4についての判断 前記第5、2(4)に摘記した甲9の段落[0042]~[0043]には、ポリチオール成分を任意成分として添加することが記載されていることから、甲9発明に更にポリチオール成分を添加することは当業者が容易になし得ることといえる。 エ 本件発明5についての判断 (ア)対比 本件発明5と甲1発明を対比すると、次の点(以下「相違点9-4」という。)及び前記相違点9-1で相違する。 <相違点9-4> 単官能アルキル(メタ)アクリレートモノマーについて、本件発明5においては、「nオクチルアクリレート」と「脂環式骨格(メタ)アクリレート」が併用されるのに対して、甲9発明においては、ステアリルメタクリレートである点。 (イ)相違点9-4についての検討 甲1には、その段落〔0034〕に「炭素数5~30のアルキル基または炭素数5~30の脂環式基を有する(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。」、その段落〔0035〕に「C)成分は単独で若しくは二種以上の混合物として用いることができる。」という記載があるものの、「nオクチルアクリレート」と「脂環式骨格(メタ)アクリレート」を併用することは、記載も示唆もされていない。そして、その相違点9-4に係る構成を本件発明5が備えることにより、明細書に記載された作用効果を奏するものといえる。 (ウ)そうすると、相違点9-1について検討するまでもなく本件発明5は甲9発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものということができない (6)小括 ア 本件発明1、2~4は、甲9発明及び甲9,2~4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許をうけることができない発明であり、特許法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 イ 本件発明5は、甲9発明及び甲1~4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができた発明とはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許をうけることができない発明ではなく、特許法第113条第2号の規定により取り消されるべきものといえない。 第7 むすび 以上のとおり、本件発明1~4は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明であるから、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。 本件発明5は、特許異議申立の理由により取り消すことはできない。また、他に取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-700954

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