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特許異議申立

2021-700756

2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む組成物

審判番号
2021-700756
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-230548
登録番号
6823636
請求日
2021年08月03日
審決日
2023年09月13日
公報発行日
2024年05月31日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】アルケマ フランス
  • 【権利者代理人】園田・小林弁理士法人
  • 【異議申立人】冨永 道治
審判長/審判官
  • 審判長 門前 浩一
  • 審判官 関根 裕
  • 審判官 亀ヶ谷 明久
分類
P1651.121-ZAA(C09K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法113条2号特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の8第1項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第126条第7項、特許法第120条の5第4項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6823636号発明「2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6823636号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3について訂正することを認める。 特許第6823636号の請求項1、2に係る特許を取り消す。 特許第6823636号の請求項3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6823636号の請求項1~3に係る特許についての出願は、2013年(平成25年)12月6日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2012年12月26日、フランス)を国際出願日とする特願2015-550133号の一部を、平成30年12月10日に新たな特許出願としたものであって、令和3年1月13日にその特許権の設定登録(請求項の数3)がされ、同年2月3日に特許掲載公報が発行されたものであって、その後の特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和3年 8月 3日 特許異議申立人冨永道治(以下「申立人」と いう。)による請求項1~3に係る特許に対 する特許異議の申立て 令和3年 9月29日付け 取消理由通知書 同年12月23日 意見書及び訂正請求書(特許権者) 令和4年 2月 9日 意見書(申立人) 同年 3月 3日付け 訂正拒絶理由通知書 同年 4月26日 意見書及び訂正請求書(特許権者) 同年 5月10日付け 却下理由通知書(令和4年4月26日提出の 訂正請求書に係る手続) 同年 7月12日付け 手続却下の決定(令和4年4月26日提出の 訂正請求書に係る手続、同年同月22日送達 、出訴期間6月) 令和5年 2月15日付け 取消理由通知書(決定の予告) 同年 4月 6日作成 応対記録 同年 4月13日 意見書及び訂正請求書(特許権者) 同年 6月 6日 意見書(申立人) なお、令和3年12月23日にされた訂正請求は、令和5年4月13日に訂正の請求がされたから、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 また、令和4年4月26日にされた訂正請求は、同年5月10日付け却下理由通知書に記載した理由によって、同年7月12日に、特許法第120条の8第1項において準用する同法第133条の2第1項の規定により手続却下の処分がなされ、その後、当該処分が確定した。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和5年4月13日に提出された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」ともいう。)の内容は、次の訂正事項1~5のとおりである。なお、下線は特許権者が付したものである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「化合物HFO-1234yf、HCC-40、並びにHFO-1234ze、HFC-134a、HCFC-115、HFC-152a及びHFO-1243zfから選択される少なくとも一種の化合物を含む組成物。」と記載されていたのを、 「化合物HFO-1234yf、HCC-40、並びにHFO-1234ze、HFC-134a、HCFC-115、HFC-152a及びHFO-1243zfから選択される少なくとも一種の化合物を含む組成物であって、 HCC-40、HFO-1234ze、HFC-134a、HCFC-115、HFC-152a及びHFO-1243zfを最大で1重量%含むこと を特徴とする組成物。」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に 「HCFC-240db、HCFO-1233xf、HCFC-243db、HCFO-1233zd、HCFC-114a、HCFC-122、HCFC-123、HCFC-124、HCFC-124a、HFC-125、HCFC-133a、HCFC-142、HCFC-143、HCFC-243ab、HCFC-244eb、HFC-281ea、HCO-1110、HCFO-1111、HCFO-1113、HCFO-1223xd、HFC-245eb、HFC-245fa、HFC-23、HFC-143a、HFC-236fa、HCFC-244bb、HCFC-244db、HFO-1132a、HFO-1223、HFO-1225zc、HFO-1225ye、HCFO-1232xf及びHCFO-1224xeから選択される少なくとも一種の他の追加の化合物を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。」と記載されていたのを、 「化合物HFO-1234yf、HCC-40、並びにHFO-1234ze、HFC-134a、HCFC-115、HFC-152a及びHFO-1243zfから選択される少なくとも一種の化合物を含む組成物であって、 HCFC-240db、HCFO-1233xf、HCFC-243db、HCFO-1233zd、HCFC-114a、HCFC-122、HCFC-123、HCFC-124、HCFC-124a、HFC-125、HCFC-133a、HCFC-142、HCFC-143、HCFC-243ab、HCFC-244eb、HFC-281ea、HCO-1110、HCFO-1111、HCFO-1113、HCFO-1223xd、HFC-245eb、HFC-245fa、HFC-23、HFC-143a、HFC-236fa、HCFC-244bb、HCFC-244db、HFO-1132a、HFO-1223、HFO-1225zc、HFO-1225ye、HCFO-1232xf及びHCFO-1224xeから選択される少なくとも一種の他の追加の化合物を更に含み、HCC-40、HFO-1234ze、HFC-134a、HCFC-115、HFC-152a、HFO-1243zf、HCFC-240db、HCFO-1233xf、HCFC-243db、HCFO-1233zd、HCFC-114a、HCFC-122、HCFC-123、HCFC-124、HCFC-124a、HFC-125、HCFC-133a、HCFC-142、HCFC-143、HCFC-243ab、HCFC-244eb、HFC-281ea、HCO-1110、HCFO-1111、HCFO-1113、HCFO-1223xd、HFC-245eb、HFC-245fa、HFC-23、HFC-143a、HFC-236fa、HCFC-244bb、HCFC-244db、HFO-1132a、HFO-1223、HFO-1225zc、HFO-1225ye、HCFO-1232xf及びHCFO-1224xeを最大で1重量%含むことを特徴とする、組成物。」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (4)訂正事項4 明細書の段落【0005】に 「好ましくは、すべての追加の化合物は、HFO-1234yfを含む組成物の多くとも1重量%、有利には多くとも0.5重量%である。」と記載されていたのを、 「好ましくは、該追加の化合物のすべては、HFO-1234yfを含む組成物の多くとも1重量%、有利には多くとも0.5重量%である。」に訂正する。 (5)訂正事項5 明細書の段落【0011】に 「前記実施態様に関係なく、すべての追加の化合物は、HFO-1234yfを含む組成物の多くとも1重量%、有利には多くとも0.5重量%である。」と記載されていたのを、 「前記実施態様に関係なく、該追加の化合物のすべては、HFO-1234yfを含む組成物の多くとも1重量%、有利には多くとも0.5重量%である。」に訂正する。 2 訂正の適否についての当審の判断 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的 訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された「化合物HFO-1234yf、HCC-40、並びにHFO-1234ze、HFC-134a、HCFC-115、HFC-152a及びHFO-1243zfから選択される少なくとも一種の化合物を含む組成物」において、「HCC-40、HFO-1234ze、HFC-134a、HCFC-115、HFC-152a及びHFO-1243zfを最大で1重量%含むこと」との限定をするもの、すなわち、組成物において「HFO-1234yf」以外に含まれる可能性のある「HCC-40、HFO-1234ze、HFC-134a、HCFC-115、HFC-152a及びHFO-1243zf」の含有量は「最大で1重量%」であることを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とした訂正である。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか 前記アのとおり、訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された「組成物」を限定するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものといえる。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか 訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された「組成物」について、本件の願書に添付した明細書の【0004】の「本発明の一つの主題は、化合物HFO-1234yfと、・・・HCC-40、・・・HCFC-115、・・・HFC-152a・・・から選択される少なくとも一種の他の追加の化合物とを含む組成物である。」との記載、【0005】の「好ましくは、すべての追加の化合物は、HFO-1234yfを含む組成物の多くとも1重量%、有利には多くとも0.5重量%である。」との記載、【0007】の「組成物は、HFO-1234yfと、HCFC-115、HFC-152a及びHCC-40から選択される少なくとも一種の他の追加の化合物、好ましくは、化合物HFO-1234yfと、HFC-152a及び/又はHCC-40とを含む。」との記載、【0010】の「一実施態様において、本発明による組成物は、HFO-1234ze、・・・HFC-134a、・・・及びHFO-1243zfから選択される少なくとも一種の化合物も含み得る。」との記載及び【0011】の「前記実施態様に関係なく、すべての追加の化合物は、HFO-1234yfを含む組成物の多くとも1重量%、有利には多くとも0.5重量%である。」との記載に基づいて、「化合物HFO-1234yf、HCC-40、並びにHFO-1234ze、HFC-134a、HCFC-115、HFC-152a及びHFO-1243zfから選択される少なくとも一種の化合物を含む組成物」における「HCC-40、HFO-1234ze、HFC-134a、HCFC-115、HFC-152a及びHFO-1243zf」の含有量が「最大で1重量%」であることを規定するものであるから、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正に該当し、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものといえる。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的 訂正事項2は、訂正前の請求項1を引用する請求項2を、独立形式の請求項に書き改めるとともに、前記(1)の訂正事項1と同様に、訂正前の請求項2に記載された「組成物」について、「HFO-1234yf」以外に、追加の化合物として含まれる可能性のある「HCC-40、・・・HCFO-1232xf及びHCFO-1224xe」を「最大で1重量%含むこと」を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。」を目的とした訂正及び同項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とした訂正である。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか 前記アのとおり、訂正事項2は、訂正前の請求項2に記載された「組成物」をさらに限定するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか 訂正事項2は、訂正前の請求項2に記載された「組成物」について、本件明細書の【0004】の「本発明の一つの主題は、化合物HFO-1234yfと、HCFC-240db、・・・HCFO-1223xd及びHCFO-1224xeから選択される少なくとも一種の他の追加の化合物とを含む組成物である。」との記載、【0005】の「好ましくは、すべての追加の化合物は、HFO-1234yfを含む組成物の多くとも1重量%、有利には多くとも0.5重量%である。」との記載、【0007】の「組成物は、HFO-1234yfと、HCFC-115、HFC-152a及びHCC-40から選択される少なくとも一種の他の追加の化合物、好ましくは、化合物HFO-1234yfと、HFC-152a及び/又はHCC-40とを含む。」との記載、【0009】の「本実施態様によれば、組成物は、HCFC-240db、・・・HCFO-1223xd及びHCFO-1224xeから選択される少なくとも一の化合物を更に含み得る。」との記載、【0011】の「前記実施態様に関係なく、すべての追加の化合物は、HFO-1234yfを含む組成物の多くとも1重量%、有利には多くとも0.5重量%である。」との記載及び【0021】の「好ましい、及び/又は前述の組成物は、HCFC-240db、・・・HCFO-1232xf並びにHCFO-1224xeから選択される少なくとも一種の他の追加の化合物を更に含み得る。」との記載に基づいて、「追加の化合物」として組成物に含まれる可能性のある「HCC-40、・・・HCFO-1232xf及びHCFO-1224xe」の含有量が「最大で1重量%」であることを規定するものであって、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正に該当するから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第第6項の規定に適合するものである。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的 訂正事項3は、訂正前の請求項3を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とした訂正である。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか 前記アのとおり、訂正事項3は、訂正前の請求項3を削除するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか 訂正事項3は、訂正前の請求項3を削除するものであるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第第6項の規定に適合するものである。 (4)訂正事項4及び5 ア 訂正の目的 訂正事項4及び5は、本件明細書の【0005】及び【0011】の誤訳を訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する「誤記又は誤訳の訂正」を目的とした訂正である。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか 前記アのとおり、訂正事項4及び5は、本件明細書の【0005】及び【0011】の誤訳を訂正するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正には該当しないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか 訂正事項4及び5は、本件明細書の【0005】及び【0011】の誤訳を訂正するものであるから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第第6項の規定に適合するものである。 (5)独立特許要件についての判断 本件訂正においては、訂正前の全ての請求項である請求項1~3に対して特許異議の申立てがされているので、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の規定は課されない。 (6)一群の請求項、及び明細書の訂正と関連する請求項について 本件訂正前の請求項1~3において、請求項2及び3は、請求項1の記載を直接又は間接的に引用するものであって、訂正事項1により記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定される一群の請求項ごとにされたものである。 また、訂正事項4及び5による明細書の訂正は、一群の請求項1~3の全てについて訂正されたものである。 3 小括 以上のとおりであるから、本件明細書及び特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~3について訂正することを認める。 第3 本件訂正発明 本件訂正は前記第2のとおり認められたので、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1及び2に係る発明(以下「本件訂正発明1」及び「本件訂正発明2」という。)は次のとおりのものである。 「【請求項1】 化合物HFO-1234yf、HCC-40、並びにHFO-1234ze、HFC-134a、HCFC-115、HFC-152a及びHFO-1243zfから選択される少なくとも一種の化合物を含む組成物であって、 HCC-40、HFO-1234ze、HFC-134a、HCFC-115、HFC-152a及びHFO-1243zfを最大で1重量%含むこと を特徴とする組成物。 【請求項2】 化合物HFO-1234yf、HCC-40、並びにHFO-1234ze、HFC-134a、HCFC-115、HFC-152a及びHFO-1243zfから選択される少なくとも一種の化合物を含む組成物であって、 HCFC-240db、HCFO-1233xf、HCFC-243db、HCFO-1233zd、HCFC-114a、HCFC-122、HCFC-123、HCFC-124、HCFC-124a、HFC-125、HCFC-133a、HCFC-142、HCFC-143、HCFC-243ab、HCFC-244eb、HFC-281ea、HCO-1110、HCFO-1111、HCFO-1113、HCFO-1223xd、HFC-245eb、HFC-245fa、HFC-23、HFC-143a、HFC-236fa、HCFC-244bb、HCFC-244db、HFO-1132a、HFO-1223、HFO-1225zc、HFO-1225ye、HCFO-1232xf及びHCFO-1224xeから選択される少なくとも一種の他の追加の化合物を更に含み、HCC-40、HFO-1234ze、HFC-134a、HCFC-115、HFC-152a、HFO-1243zf、HCFC-240db、HCFO-1233xf、HCFC-243db、HCFO-1233zd、HCFC-114a、HCFC-122、HCFC-123、HCFC-124、HCFC-124a、HFC-125、HCFC-133a、HCFC-142、HCFC-143、HCFC-243ab、HCFC-244eb、HFC-281ea、HCO-1110、HCFO-1111、HCFO-1113、HCFO-1223xd、HFC-245eb、HFC-245fa、HFC-23、HFC-143a、HFC-236fa、HCFC-244bb、HCFC-244db、HFO-1132a、HFO-1223、HFO-1225zc、HFO-1225ye、HCFO-1232xf及びHCFO-1224xeを最大で1重量%含むことを特徴とする、組成物。 【請求項3】(削除)」 第4 取消理由通知書(決定の予告)で通知した取消理由の要旨 令和5年2月15日付けの取消理由通知書(決定の予告)において、本件特許登録時の請求項1~3に係る特許について、次を要旨とする取消理由を通知した。 <取消理由2(進歩性)> 本件の請求項1~3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件の請求項3に係る特許は、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。 <引用文献等> 特表2009-514955号公報(特許異議申立人が提出した甲第1号証、以下「甲1」ともいう。) 第5 取消理由についての当審の判断 1 当審における判断の概要 本件訂正後の請求項1及び2に係る特許は、前記第4に示した取消理由が解消していない。 2 引用文献の記載事項等 (1)甲1には、次の記載がある。下線は当審が付した。 「【0001】 発明の背景 (1)発明の分野 本発明は、フッ素化有機化合物の新規な調製方法に関し、特にフッ素化オレフィンの製造方法に関する。 【0002】 (2)関連技術の説明 ヒドロフルオロカーボン(HFC)、特にテトラフルオロプロペン類(2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234yf)および1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234ze)を含む)などのヒドロフルオロアルケンは、冷媒、消火剤、伝熱媒体、推進剤、起泡剤、発泡剤、気体誘電体、滅菌剤担体、重合媒体、粒子除去用流体、担体用流体、バフ磨き用研磨剤、置換乾燥剤および電力サイクル作動流体として有効であることが開示されている。地球のオゾン層を破壊する可能性のあるクロロフルオロカーボン(CFCs)やヒドロクロロフルオロカーボン(HCFCs)とは異なり、HFCは塩素を含まないため、オゾン層を脅かすことはない。」 「【0010】 先の教示にもかかわらず、本米国出願人らは特定のヒドロフルオロカーボン、特にHFO-1234yfを含むフッ素化プロペン類などのハロゲン化オレフィンを効率良く調製する方法が今なお必要であることを正しく理解するに至った。」 「【0027】 A.接触工程(式(II)がCH3CF2CLを含む場合) 本米国出願人らは、好適なCH3CF2Clなどの式(II)の化合物と好適なCF3Clなどの式(I)の化合物を反応させて、好適なCF3CF=CH2(HFO-1234yf)などの四フッ素化化合物が合成できることを発見した。特定の好ましい態様では、接触工程は、ある流量の式(I)の化合物(約20sccmのCF3Clなど)と一緒に特定の流量の式(II)の化合物(約50sccmのCH3CF2Clなど)を、ある流量の空気(例えば、約20sccm)と共に反応容器に導入するという型式の反応を有する。この反応容器には、比較的高い温度、例えば約400℃~約800℃(特定の態様では、好ましくは約450℃)で作動する予熱器を装備することができ、本発明に従った適切な量とタイプの触媒が含まれている(この段落で述べたガス流量は、約675℃における1インチ(約2.54cm)のモネル製反応器中の約50ccの触媒床に対するものである)。特定の態様では、反応器からの排出ガス混合物は、20%のKOH水溶液に通して、反応で形成されたHFをKFおよびH2Oに中和することができる。」 「【0038】 実施例-区分A 以下の表A1に、反応物CH3CF2ClとC2F6の第1の組み合わせ、および反応物CH3CF2ClとCF3Clを含む第2の組み合わせを実質的に同一条件下で用いて行った実験結果を示す。CF3ClとCH3CF2Clの反応によって、約72%のCH3CF2Clの転化率で、約16モル%のCF3CF=CH2(HFO-1234yf)を得た。CF3Clの代わりにC2F6を用いた反応では、微量のHFO-1234yfしか得られなかった。空気が存在する場合はCO2が主要な副生成物の1つであり、空気またはその主成分が存在しない場合はカーボンブラックが主要な副生成物の1つであることもわかった。 【0039】 【表1】 [図:0001410172000001.jpg] 」 (2)甲1に記載された発明 甲1の表A1(前記(1)【0039】の【表1】参照。)には、「反応物CH3CF2ClとCF3Clを含む第2の組み合わせ」(同【0038】参照。)の生成物として、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 (甲1発明) 「R1234yf 16モル%、 CO2 20モル%、 C 5モル%、 R1132 12モル%、 R143a 8モル%、 R1131 12モル%、 R134a 3モル% R133a 2モル%、 R22 1モル%、 R1130 4モル%、 R40 5モル%、 R1243 1モル%、及び、 不明 11モル%からなる組成物」 3 対比・判断 (1)本件特許発明1について 本件特許発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「R1234yf」は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンであるから、本件特許発明1の「HFO-1234yf」に相当する。 同様に、甲1発明の「R40」は、クロロメタンであるから、本件特許発明1の「HCC-40」に相当する。 同様に、甲1発明の「R134a」は、1,1,1,2-テトラフルオロエタンであるから、本件特許発明1の「HFC-134a」に相当する。 してみると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「化合物HFO-1234yf、HCC-40、並びにHFO-1234ze、HFC-134a、HCFC-115、HFC-152a及びHFO-1243zfから選択される少なくとも一種の化合物を含む、組成物」 <相違点1> 本件特許発明1は「HCC-40、HFO-1234ze、HFC-134a、HCFC-115、HFC-152a及びHFO-1243zfを最大で1重量%含む」のに対し、甲1発明は、R40を5モル%、R134aを3モル%含むものである点。 前記相違点1について検討する。 甲1発明を認定した甲1の【0010】に「先の教示にもかかわらず、本米国出願人らは特定のヒドロフルオロカーボン、特にHFO-1234yfを含むフッ素化プロペン類などのハロゲン化オレフィンを効率良く調製する方法が今なお必要であることを正しく理解するに至った。」と記載され、同【0027】に「本米国出願人らは、好適なCH3CF2Clなどの式(II)の化合物と好適なCF3Clなどの式(I)の化合物を反応させて、好適なCF3CF=CH2(HFO-1234yf)などの四フッ素化化合物が合成できることを発見した。」と記載されるように、甲1発明の主眼とするところは、好適とされるHFO-1234yf(=R1234yf)を合成しようとするものといえる。 そして、特定の化合物を合成・精製する場合に、その収率を上げ、それ以外の不純物を減らすことは技術常識であるから、甲1発明において、「HFO-1234yf(=R1234yf)」を蒸留等の公知の手法により精製することにより、「HFO-1234yf(=R1234yf)」以外の化合物の含有量を十分に減少させ、その結果として、組成物に含まれる可能性のある「HCC-40、HFO-1234ze、HFC-134a、HCFC-115、HFC-152a及びHFO-1243zf」のような、いわゆる「その他の化合物」を「最大で1重量%含む」ようにすることは、当業者が容易になし得たことである。なお、「最大で1重量%含む」との特定は、目的とする特定の化合物の純度をどの程度高めたいかに応じて適宜設定し得る数値であって、技術常識に従って特定の化合物以外の不純物を減らした結果、自ずと達成される数値であるから、「1重量%」という数値自体に特段の技術的意義は認められない。 (2)本件特許発明2について 本件特許発明2と甲1発明とを対比すると、前記(1)で検討したとおり、甲1発明の「R1234yf」、「R40」及び「R134a」は、本件特許発明2の「化合物HFO-1234yf」、「化合物HCC-40」及び「化合物HFC-134a」にそれぞれ相当する。 また、甲1発明の「R133a」は、1-クロロ-2,2,2-トリフルオロエタンであるから、本件特許発明2の「HCFC-133a」に相当する。 同様に、甲1発明の「R143a」は、1,1,1-トリフルオロエタンであるから、本件特許発明2の「HCFC-143」に相当する。 同様に、甲1発明の「R1132」は、1,1-ジフルオロエチレンであるから、本件特許発明2の「HFO-1132a」に相当する。 してみると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「化合物HFO-1234yf、HCC-40、並びにHFO-1234ze、HFC-134a、HCFC-115、HFC-152a及びHFO-1243zfから選択される少なくとも一種の化合物を含む組成物であって、 HCFC-240db、HCFO-1233xf、HCFC-243db、HCFO-1233zd、HCFC-114a、HCFC-122、HCFC-123、HCFC-124、HCFC-124a、HFC-125、HCFC-133a、HCFC-142、HCFC-143、HCFC-243ab、HCFC-244eb、HFC-281ea、HCO-1110、HCFO-1111、HCFO-1113、HCFO-1223xd、HFC-245eb、HFC-245fa、HFC-23、HFC-143a、HFC-236fa、HCFC-244bb、HCFC-244db、HFO-1132a、HFO-1223、HFO-1225zc、HFO-1225ye、HCFO-1232xf及びHCFO-1224xeから選択される少なくとも一種の他の追加の化合物を更に含む、組成物。」 <相違点2> 本件特許発明1は「HCC-40、HFO-1234ze、HFC-134a、HCFC-115、HFC-152a、HFO-1243zf、HCFC-240db、HCFO-1233xf、HCFC-243db、HCFO-1233zd、HCFC-114a、HCFC-122、HCFC-123、HCFC-124、HCFC-124a、HFC-125、HCFC-133a、HCFC-142、HCFC-143、HCFC-243ab、HCFC-244eb、HFC-281ea、HCO-1110、HCFO-1111、HCFO-1113、HCFO-1223xd、HFC-245eb、HFC-245fa、HFC-23、HFC-143a、HFC-236fa、HCFC-244bb、HCFC-244db、HFO-1132a、HFO-1223、HFO-1225zc、HFO-1225ye、HCFO-1232xf及びHCFO-1224xeを最大で1重量%含む」のに対し、甲1発明は、R40を5モル%、R134aを3モル%、R133aを2モル%、R143aを8モル%、R1132を12モル%含むものである点。 前記相違点2について検討する。 前記(1)で検討したとおり、甲1発明の主眼とするところは、好適とされるHFO-1234yf(=R1234yf)をより多く合成しようとするものであって、特定の化合物を合成・精製する場合に、その収率を上げ、それ以外の不純物を減らすことは技術常識であるから、甲1発明において、「HFO-1234yf(=R1234yf)」を蒸留等の公知の手法により濃縮することにより、「HFO-1234yf(=R1234yf)」以外の化合物の含有量を十分に減少させ、その結果として、組成物に含まれる可能性のある「HCC-40、HFO-1234ze、HFC-134a、HCFC-115、HFC-152a、HFO-1243zf、HCFC-240db、HCFO-1233xf、HCFC-243db、HCFO-1233zd、HCFC-114a、HCFC-122、HCFC-123、HCFC-124、HCFC-124a、HFC-125、HCFC-133a、HCFC-142、HCFC-143、HCFC-243ab、HCFC-244eb、HFC-281ea、HCO-1110、HCFO-1111、HCFO-1113、HCFO-1223xd、HFC-245eb、HFC-245fa、HFC-23、HFC-143a、HFC-236fa、HCFC-244bb、HCFC-244db、HFO-1132a、HFO-1223、HFO-1225zc、HFO-1225ye、HCFO-1232xf及びHCFO-1224xe」のような、いわゆる「その他の化合物」を「最大で1重量%含む」ようにすることは、当業者が容易になし得たことである。 (3)本件特許発明1及び2の効果について 甲1の【0002】には、「ヒドロフルオロカーボン(HFC)、特にテトラフルオロプロペン類(2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234yf)および1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HFO-1234ze)を含む)などのヒドロフルオロアルケンは、冷媒、消火剤、伝熱媒体、推進剤、起泡剤、発泡剤、気体誘電体、滅菌剤担体、重合媒体、粒子除去用流体、担体用流体、バフ磨き用研磨剤、置換乾燥剤および電力サイクル作動流体として有効であることが開示されている。」と記載され、HFO-1234yfが、冷媒、消火剤、伝熱媒体、推進剤、起泡剤、発泡剤、気体誘電体、滅菌剤担体、重合媒体、粒子除去用流体、担体用流体、バフ磨き用研磨剤、置換乾燥剤および電力サイクル作動流体として有効であることが記載されている。 そうすると、本件特許発明1及び2の効果である「本発明による組成物は、多くの利用分野において、特に伝熱流体、噴射剤、発泡剤、膨張剤、ガス誘電体、モノマー又は重合媒質、支持流体、研磨剤、乾燥剤、及びエネルギー生成装置用流体として有用である。」(本件特許の明細書の【0040】参照。)という効果は、甲1発明の奏する効果と比較して、格別顕著なものとはいえない。 (4)特許権者の主張について 特許権者は、令和5年4月13日に提出された意見書の2頁18行~3頁29行において、甲1発明が、本件訂正発明1及び2で特定される組成物を開示も示唆もしていない旨の主張をしている。 しかしながら、前記主張は、本件訂正発明1及び2が甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでないことを説明するものではなく、容易想到性を否定する具体的な理由は何ら示されていないから、特許権者の主張は採用できない。 第7 むすび 以上のとおり、本件訂正後の請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 また、本件訂正により請求項3は削除されたため、請求項3についての特許異議の申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-700756

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