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特許異議申立

2021-700599

カーボン修飾窒化ホウ素、その製造方法および高熱伝導性樹脂組成物

審判番号
2021-700599
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-106168外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
6803874
請求日
2021年06月22日
審決日
2023年06月29日
公報発行日
2023年10月27日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.113-YAA(C01B) / P1651.121-YAA(C01B) / P1651.536-YAA(C01B) / P1651.537-YAA(C01B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6803874号発明「カーボン修飾窒化ホウ素、その製造方法および高熱伝導性樹脂組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6803874号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕、3について訂正することを認める。 特許第6803874号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6803874号の請求項1~3に係る特許(以下、「本件特許」ということがある。)についての出願は、平成30年6月1日(優先権主張 平成29年6月16日)に出願され、令和2年12月3日にその特許権の設定登録がされ、同年12月23日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許に対して特許異議の申立てがあり、次のとおりに手続きが行われた。 令和3年 6月22日 特許異議申立人竹口美穂(以下、「異議申立人 」という。)による請求項1~3に係る特許に 対する特許異議の申立て 令和4年 3月15日付け 取消理由通知書 同年 5月13日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 同年 7月 6日 特許異議申立人による意見書の提出 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和4年5月13日にされた訂正の請求は、本件特許請求の範囲を、上記訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~3について訂正することを求めるものであって、その訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下の訂正事項1、2のとおりである(なお、下線部は、訂正箇所を示す)。 (1) 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1、2に、「カーボン修飾窒化ホウ素」(請求項1は、2箇所、請求項2は、1箇所)と記載されているのを、「カーボン修飾窒化ホウ素粒子」に訂正する。 (2) 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項3に、「液中から固体を回収して乾燥する工程、からなる、カーボン修飾窒化ホウ素の製造方法。」と記載されているのを、「液中から固体を濾別によって回収して乾燥する工程、からなる、カーボン修飾窒化ホウ素粒子の製造方法。」に訂正する。 (3) 一群の請求項について 訂正前の請求項2は、訂正前の請求項1を引用する請求項であり、請求項1、2は一群の請求項であるところ、訂正事項1による訂正は、その一群の請求項に対して請求されたものである。 2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有 無 (1) 訂正事項1について ア 目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1は、訂正前の請求項1、2に「カーボン修飾窒化ホウ素」と記載していたものを、「カーボン修飾窒化ホウ素粒子」と粒子の形状に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 イ 新規事項の有無 訂正事項1は、訂正前の「カーボン修飾窒化ホウ素」が、訂正前の請求項1に「表面未処理の六方晶窒化ホウ素粒子の表面にシート状カーボン層を有し」ていることを特定され、また、訂正前の請求項3に「表面未処理の六方晶窒化ホウ素粒子の粉末を酸化グラフェンの水分散液に、上澄みが無色透明になるまで混合する工程」を経ることで「カーボン修飾窒化ホウ素」が製造されることが特定されていたこと、並びに本件明細書の段落【0033】、及び【0042】に、酸化グラフェンに覆われた窒化ホウ素粒子が得られたことが示されていることに基づくものである。 したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 (2) 訂正事項2について ア 目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項2は、訂正前の請求項3が、カーボン修飾窒化ホウ素の製造工程において、「液中から固体を回収」する具体的手段を特定していなかったところ、当該具体的手段を「濾別によって」回収することを特定し、また、訂正事項1と同じく「カーボン修飾窒化ホウ素の製造方法。」における「カーボン修飾窒化ホウ素」の記載を「カーボン修飾窒化ホウ素粒子」と特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。 イ 新規事項の有無 訂正事項2の「液中から固体を濾別によって」回収することを特定する訂正は、本件明細書の段落【0024】の「カーボン修飾窒化ホウ素は、・・・分散し、次いで分散液から濾別・・・によって回収した後」の記載及び段落【0033】の「沈殿を濾別して・・・洗浄後、60℃で8時間乾燥して薄茶色の粉末を得た」などの記載に基づくものであり、また、訂正事項2の「カーボン修飾窒化ホウ素粒子」と特定する訂正は、訂正事項1と同様であり上記 (1) イに示した記載に基づくものである。 したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。 3 訂正についてのまとめ 本件訂正は、請求項1~3について訂正することを求めるものであるところ、上記2のとおり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものであるから、訂正後の請求項〔1、2〕、3について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正請求は適法にされたものであるから、特許異議申立の対象である、本件訂正後の請求項1~3に係る発明(以下、各請求項に係る発明及び特許を項番に対応させて「本件発明1」、「本件特許1」などといい、これらの発明をまとめて「本件発明」ということがある。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~3に記載された以下の事項により特定されたとおりのものである(下線部は、訂正箇所を示す)。 「【請求項1】 カーボン修飾窒化ホウ素粒子であって、表面未処理の六方晶窒化ホウ素粒子の表面にシート状カーボン層を有し、前記シート状カーボン層が1~20層の酸化グラフェンであるカーボン修飾窒化ホウ素粒子。 【請求項2】 請求項1に記載のカーボン修飾窒化ホウ素粒子を樹脂に混合した、高熱伝導性樹脂組成物。 【請求項3】 カーボン修飾窒化ホウ素粒子の製造方法であって、 表面未処理の六方晶窒化ホウ素粒子の粉末を酸化グラフェンの水分散液に、上澄みが無色透明になるまで混合する工程、 液中から固体を濾別によって回収して乾燥する工程、 からなる、カーボン修飾窒化ホウ素粒子の製造方法。」 第4 証拠方法一覧、特許異議申立理由、及び取消理由の概要 1 証拠方法一覧 異議申立人により提出された証拠は、次のとおりである。 (1)特許異議申立書に添付して提出された証拠方法 甲第1号証:Jie Yang et al.,“An ice-templated assembly strategy to construct graphene oxide/boron nitride hybrid porous sca ffolds in phase change materials with enhanced thermal c onductivity and shape stability for light-thermal-electr ic energy conversion”, Journal of Materials Chemistry A , 2016, 4, p.18841-18851 甲第2号証:中国特許出願公開第103480329号 甲第3号証:R.Naresh Muthu et al.,“Facile synthesis and characteriz ation of a reduced graphene oxide/halloysite nanotubes/h exagonal boron nitride (RGO/HNT/h-BN) hybrid nanocomposi te and its potential application in hydrogen storage”, RSC Advances, 2016, 6, p.79072-79084 甲第4号証:M.Haniff Wahid et al.,“Amphiphilic graphene oxide stabi lisation of hexagonal BN and MoS2 sheets”, Chem. Commu n., 2015, 51, p.11709-11712 甲第5号証:特開2017-31005号公報 甲第6号証:Nina I. Kovtyukhova et al.,“Layer-by-Layer Assembly of Ultrathin Composite Films from Micron-Sized Graphite Oxi de Sheets and Polycations”, Chem.Mater.,1999,11,p.771- 778 甲第7号証:Ji Chen et al.,“An improved Hummers method for eco-frie ndly synthesis of graphene oxide”,CARBON,2013,64,p.225- 229 (2)令和4年7月6日付けの異議申立人による意見書に添付して提出された 証拠方法 甲第8号証:鈴木昇 他,「窒化ほう素の表面処理とその表面性状」,粉体 工学会誌,1992,Vol.29,No.3,p.185~189 甲第9号証:Zhuoyuan Zheng et al.,“Surface modification of hexagona l boron nitride nanomaterials: a review”, J Mater Sci,2 018,53, p.66-99 甲第10号証:Ganesh R Bhimanapati et al.,“Synthesis and radiation response of BCON:a graphene oxide and hexagonal boron nitride hybrid”, 2D Materials, 2016, 025028 甲第11号証:Ganesh R Bhimanapati et al.,“SUPPLIMENTARY INFORMATIO N (SYNTHESIS AND RADIATION RESPONSE OF BCON;A GRAPHENE OXIDE AND HEXAGONAL BORON NITRIDE HYBRID”(甲第10号 証のSUPPLIMENTARY INFORMATION))) 甲第12号証:Kai Wu et al.,“Surface modification of boron nitride by reduced graphene oxide for preparation of dielectri cmaterial with enhanced dielectric constant and well-s uppressed dielectric loss”,Composites Science and Tec hnology,2016,134,p.191-200 甲第13号証:Tao Huang et al.,“A novel h-BN-RGO hybrids for epoxy resin composites achieving enhanced high thermal condu ctivity and energy density”,RSC Advances,2017,7,23355 -23362 甲第14号証:Hongling Li et al.,“Reduced Grahene Oxide/Boron Nitri de Composite Film as a Novel Binder-Free Anode for Lit hium Ion Batteries with Enhanced Performances”,Electr ochimica Acta,2015,166,p.197-205 (以下、甲第1号証等を「甲1」などと略して表記する。) 2 特許異議申立理由の概要 (1) 申立理由1(新規性・進歩性欠如) ア 甲1を主たる証拠とした新規性・進歩性欠如 設定登録時の請求項1、2に係る発明は、甲1に記載された発明であって 、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、設定登録時の請求項1~3に係る発明は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものである。 イ 甲2を主たる証拠とした新規性・進歩性欠如 設定登録時の請求項1に係る発明は、甲2に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、設定登録時の請求項1~3に係る発明は、甲2に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものである。 ウ 甲3を主たる証拠とした新規性・進歩性欠如 設定登録時の請求項1に係る発明は、甲3に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、設定登録時の請求項1~3に係る発明は、甲3に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものである。 エ 甲4を主たる証拠とした新規性・進歩性欠如 設定登録時の請求項1に係る発明は、甲4に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、設定登録時の請求項1~3に係る発明は、甲4に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものである。 オ 甲5を主たる証拠とした新規性・進歩性欠如 設定登録時の請求項1、2に係る発明は、甲5に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (2) 申立理由2(サポート要件・明確性違反・実施可能要件違反) ア 設定登録時の請求項1、2(サポート要件違反) 設定登録時の請求項1、2に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 イ 設定登録時の請求項3(サポート要件違反・明確性違反・実施可能要件違反) 設定登録時の請求項3に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、また、本件明細書の発明の詳細な記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号及び第2号、並びに特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 3 取消理由通知に記載した取消理由について 令和4年3月15日付けで通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。 ・取消理由(新規性・進歩性欠如) (1) 甲1を主たる証拠とした新規性・進歩性欠如 設定登録時の請求項1、2に係る発明は、甲1に記載された発明であって特許法第29条第1項3号に該当し、また、設定登録時の請求項1、2に係る発明は、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものである。 (2) 甲2を主たる証拠とした新規性・進歩性欠如 設定登録時の請求項1に係る発明は、甲2に記載された発明であって特許法第29条第1項3号に該当し、また、設定登録時の請求項1に係る発明は、甲2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものである。 (3) 甲3を主たる証拠とした新規性・進歩性欠如 設定登録時の請求項1に係る発明は、甲3に記載された発明であって特許法第29条第1項3号に該当し、また、設定登録時の請求項1、3に係る発明は、甲3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものである。 (4)甲4を主たる証拠とした新規性・進歩性欠如 設定登録時の請求項1に係る発明は、甲4に記載された発明であって特許法第29条第1項3号に該当し、また、設定登録時の請求項3に係る発明は、甲4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものである。 第5 当審の判断 1 申立理由1及び取消理由(新規性・進歩性欠如)について 申立理由1は、甲1~甲5のそれぞれを主たる証拠とした新規性又は進歩性欠如とする理由であり、上記取消理由は、当該申立理由1の一部を含む甲1~甲4を主たる証拠とした新規性又は進歩性欠如を理由とする取消理由であるから、これらをまとめて検討する。 (1) 甲1~甲7の記載事項 ア 甲1の記載事項 甲1には、以下の1a~1dの記載がある(当審注:下線は当審が付与した。また、「・・・」は記載の省略を表す。以下、同様である。) 1a「Here, we demonstrate that multifunctional PCMs with high thermal conductivity, improved shape-stability and efficient light-thermal-electric energy conversion can be fabricated by introducing polyethylene glycol(PEG) into graphene oxide (GO)/boron nitride(BN) hybrid porous scaffolds (HPSs) constructed via an ice-templated assembly strategy.」(p.18841 要約 4~8行 ) (当審による仮訳(以下、同様である。))(ここでは、氷鋳型組立法により構築した酸化グラフェン(GO)/窒化ホウ素(BN)ハイブリッド多孔質足場(HPSs)にポリエチレングリコール(PEG)を導入することにより、高熱伝導率、改善された形状安定性及び効率的な光熱電気エネルギー変換を有する多機能PCMを製造できることを実証した。) 1b「Materials Expandable graphite with an average particle size of 200 mesh and a purity of over 99.9% and BN powder(~30μm,purity>99%)were purchased from Laixi Nanshu Fada Graphite Company(Qingdao,China) and Qinhuangdao Eno High-Tech Material Development CO.,LTD., respectively. PEG (Mn = 100000) was purchased from Aladdin Reagent (Shanghai, China).」(p.18842 左欄30~37行) ( 材料 平均粒径200メッシュで純度99.9%以上の膨張黒鉛及びBN粉末(~30μm、純度>99 %)をそれぞれ、Laixi Nanshu Fada Graphite Company(中国 青島市)及びQinhuangdao Eno High-Tech Material Development CO.,LTD.から購入した。PEG(Mn=10000)は、Aladdin Reagent(中国 上海市)から購入した。) 1c「Preparation of GO/BN HPSs GO was synthesized using a modified Hummers’method from graphite powder, and more details are illuminated in the ESI. Fig.Sl shows the Raman spectra, X-ray diffraction (XRD) pattern and ultraviolet-visible near-infrared (UV-vis-NIR) absorption spectrum of GO, which confirmed the structure of GO. First, 10 mg mL-1GO solution was prepared using the obtained graphite oxide by ultrasonic bath treatment (KQ-400KDB, 40 kHz, 400 W)for 30 min. The GO/BN hybrid slurry materials were prepared then by mixing GO aqueous solution with various contents of BN (0,1,2 and 3 g,respectively) under ultrasonic bath treatment and magnetic stirring. The hybrid slurry materials were poured into a columniform polymer mold with various diameters and placed in the freezing compartment of the refrigerator (~-10°C) and liquid nitride (~-170℃). After the slurry materials were completely frozen, the resultant samples were freeze-dried for 24 h, generating GO/BN HPSs. Based on the present content in the final composite PCMs, the obtained scaffolds were denoted as S0,S10, S15, and S20 and s0,slO, s15, and s20 corresponding to the freezing temperatures of -10℃ and -170℃,respectively.」(p.18842 左欄45行~右欄12行) (GO/BN HPSsの調製 GOは黒鉛粉末から改良ハマーズ法を用いて合成し、ESIで詳細を明らかにした。図1は、GOのラマンスペクトル、X線回折(XRD)パターン、紫外可視近赤外(UV-vis- NIR)吸収スペクトルを示し、これらからGOの構造を確認した。まず、得られた酸化黒鉛を用い、30分間の超音波浴処理(KQ-400KDB、40kHz、400W)により10mg/mLのGO溶液を調製し、その後、GO水溶液に様々な量のBN(それぞれ0g、1g、2g、3g)を超音波浴処理及び磁気撹拌下で混合して、GO/BNハイブリッドスラリー材料を調製した。ハイブリッドスラリー材料を種々の直径の柱状高分子型に注ぎ、冷蔵庫(~-10℃)の凍結室と液体窒素中(~-170℃)に置いた。スラリー材料を完全に凍結した後、得られた試料を24時間凍結乾燥し、GO/BN HPSを生成した。最終複合PCM中の現在の含有量に基づいて、得られた足場は、-10℃および-170℃の凍結温度にそれぞれ対応するS0、S10、S15、及びS20並びにs0、s10、s15、及びs20と表記した。」 1d「Preparation of PEG based composite PCMs The composite PCMs were prepared by a vacuum impregnation method. PEG was placed in culture dished and heated to melt in a 90℃ water bath for 30min. When PEG powder was fully melted, the PEG melt was placed in a vacuum drying oven at 90℃ until no bubbles were produced under vacuum pumping. Then the prepared scaffolds were put into the PEG melt, followed by repeatedly degassing in a vacuum oven at 90℃ for~4h to make sure that the PEG melt impregnated completely and cooling to room temperature.」 (p.18842 右欄13~22行) (「PEG系複合PCMの調製 複合PCMは真空含浸法で調製した。PEGを培養皿に入れ、90℃の水浴中で30分間加熱溶融した。 PEG粉末が完全に溶融した時点で、PEG溶融物を90℃の水浴中で30分間真空乾燥炉に入れた。PEG粉末が完全に溶融した時点で、真空ポンプ下で気泡が発生しなくなるまで、PEG溶融物を90℃の真空乾燥炉に入れた。次いで、調製した足場をPEG溶融物に入れ、続いてPEG溶融物が完全に含浸することを確認するために、90℃の真空オープン中で~4時間、繰り返し脱ガスした後、室温まで冷却した。) イ 甲2の記載事項 甲2には、以下の2a~2dの記載がある。 2a「 [図:0001402723000001.jpg] 」(「摘要」) (本発明は、六方晶窒化ホウ素/酸化グラフェン複合吸着材を提供し、酸化グラフェン、及び前記酸化グラフェン層間に挿入された六方晶窒化ホウ素を含み、前記酸化グラフェンはナノシート構造であり、前記六方晶窒化ホウ素は単層又は多層二次元構造の層状の六方晶窒化ホウ素である。 この複合吸着材は、六方晶窒化ホウ素と酸化グラフェンの利点を兼ね備え、重金属と有機汚染物などに対していずれも良好な吸着性能を有し、かつ極めて強い熱安定性、化学的安定性と抗酸化性を有し、応用が広く、かつ環境に対して二次汚染問題を生じない。本発明の実施例は、さらに該六方晶窒化ホウ素/酸化グラフェン複合吸着材の製造方法を提供し、プロセスはシンプルであり、迅速であり、産業化生産を実現しやすい。」) 2b「 [図:0001402723000002.jpg] 」(請求項1) (1.六方晶窒化ホウ素/酸化グラフェン複合吸着材であって、その特徴は 、以下のとおりである。;酸化グラフェン、及び前記酸化グラフェン間に挿入された六方晶窒化ホウ素を含み、前記酸化グラフェンは、ナノシート構造であり、前記六方晶窒化ホウ素は、単層又は多層二次元構造の層状六方晶窒化ホウ素である。) 2c「 [図:0001402723000003.jpg] 」(請求項3) (3.六方晶窒化ホウ素/酸化グラフェン複合した吸着材の製造方法であって、その特徴は、以下のプロセスを含む: 窒化ホウ素粉末を第1の有機溶媒中に添加して、まず100~500Wで10~40分間超音波処理して均一に分散させ、次に1000~1800Wで0.5~3時間超音波処理して、混合分散液を得て、得られた混合分散液を3000~5000rpmで0.5~3時間遠心分離した後、懸濁液を収集し、濾過して、得られた濾過濾渣を80~100℃で真空乾燥して、層状の六方晶窒化ホウ素を得た。 ; 前記第1の有機溶媒の表面張力は44J/cm2より大きく、前記窒化ホウ素粉末の前記第1の有機溶媒中の濃度は0.1~5g/Lである ;酸化グラフェンを取り、前記酸化グラフェンと上記製造した層状の六方晶窒化ホウ素を第2の有機溶媒中に分散させ、混合溶液を得て、得られた混合溶液を1000~1800wで0.5~3時間超音波処理した後、3000~5000rpmで0.5~1時間遠心分離し、上層液を捨て、固体沈殿物を得て、六方晶窒化ホウ素/酸化グラフェン複合吸着材とする。) 2d「 [図:0001402723000004.jpg] 」 ([0007] 酸化グラフェン(GO)は良好な物理的と化学的性質を有し、比表面積が大きく、かつ表面に共役結合形式で結合は大量の酸素含有官能基、例えば、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基及びカルボニル基などが結合し、重金属物質に対して非常に優れた吸着能を有する;六方晶窒化ホウ素(h-BN)は、原子構造がグラフェン類に類似し、炭素材料よりも優れた熱安定性、抗酸化性及び化学的安定性を有し、かつ比較的高い表面積(1427m2g-1)及び硼素窒素結合を有する極性などの特性を有するため、有機物に対して強い吸着活性を備えているので、有機汚染物を含む汚水およびオーバーフロー油処理に対して、六方晶窒化ホウ素の吸着効果が高い。) ウ 甲3の記載事項 甲3には、以下の3a~3gの記載がある。 3a「The hydrogen storage performance of hybrid nanocomposites composed of reduced graphene oxide,acid treated halloysite nanoutubes and hexagonal boron nitraide nanoparticles(RGO/A-HNT/h-BN) was studied. A modified Hummer’s method and sonication assisted liquid-phase exfoliation technique ware adopted for the synthesis of GO and preparation of hybrid nanocomposites (RGO/A-HNT/h-BN) respectively. ・・・ Hence it is expected that the prepared RGO/A-HNT/h-BN hybrid nanocomposite may serve as a promising hydrogen storage medium for fuel cell applications.」(p.79072要約) (還元型酸化グラフェン、酸処理ハロイサイトナノチューブ、及び六方晶窒化ホウ素ナノ粒子からなるハイブリッドナノ複合材料(RGO/A-HNT/h-BN)の水素貯蔵性能についての研究を行った。改良ハマーズ法と超音波援用液相剥離法を、それぞれGOの合成及びハイブリッドナノ複合材料(RGO/A-HNT/h-BN)の合成に適用した。 ・・・ したがって、調製したRGO/A-HNT/h-BNハイブリッドナノ複合材料は、燃料電池用の有望な水素貯蔵媒体として役立つことが期待される。) 3b「2.1 Chemicals and reagents Halloysite nanotubes(HNTs), graphite powder and hexagonal boron nitride (h-BN)nanoparticles were supplied by Sigma Aldrich, Loba and Sisco Reseach Laboratories, respectively.」(p.79073右欄4~7行) (2.1 化学品と試薬 ハロイサイトナノチューブ(HNT)、黒鉛粉末及び六方晶窒化ホウ素(h-BN)ナノ粒子は、それぞれSigma Aldrich、Loba及びSisco Reseach Laboratoriesから得た。) 3c「[2.2 Preparation of graphene oxide(GO) To study the hydrogen storage performance of reduced graphene oxide based hybrid nanocomposites,the GO was synthesized using the following modified Hummer's methods. 1g of graphite powder and 0.5 g of NaNO3 were added to the 25ml of H2SO4.The solution was subjected to vigorous stirring for 30 min in an ice bath. After that, KMnO4 was added gradually and it stirred for 1h at 35℃ under water bath,followed by 50 ml of water was added slowly, where a rapid rise in temperature of 98℃ was noticed.In order to terminate the reaction, a 100ml of water and 10 ml of H2O2 were added. Now the solution is gradually turned into a yellowish brown from dark brown color. After that the solution was centrifuged and washed with 10% of HCl for thrice and by water until the pH reaches neutral. The precipitate otherwise the graphite oxide was dried at 40℃ for overnight in vacuum and grounded to fine powder. Then it was well dispersed in water using sonication which resulted in graphene oxide(GO).」(p.79073 右欄14~31行) (2.2 酸化グラフェン(GO)の製造 還元型酸化グラフェンベースのハイブリッドナノ複合体の水素貯蔵性能を研究するために、GOを以下の改良ハマーズ法を用いて合成した。H2SO425mlに黒鉛粉末1gとNaNO30.5gを加え、氷浴中で30分間激しく攪拌した。その後、KMnO4を徐々に添加し、水浴中35℃で1時間攪拌した後、水50mlをゆっくり添加したところ、98℃の急激な温度上昇が認められた。反応を終了させるために、100mlの水及び10mlのH2O2を添加した。溶液は暗褐色から黄褐色に徐々に変化した。その後、遠心分離し、pHが中性になるまで10%HClで3回、水で洗浄した。沈殿物、酸化黒鉛を40℃で一晩真空中で乾燥し、微粉末に粉砕した。その後、超音波処理を用いて水によく分散させ、酸化グラフェン(GO)を得た。) 3d「2.4 Preparation of RGO/h-BN nanocomposite The RGO/h-BN nanocomposite was synthesized by sonication assisted liquid-phase exfoliation technique. Graphite oxide was well dispersed in water (1 mg ml-1) and ultrasonicated at room temperature for 4h. Then a 5 wt% of h-BN nanoparticles were added to GO so1ution under ultrasonication and stirred for 24h. An appropriate amount of hydrazine hydrate was also added. The vigorous stirring of above solution was continued until the solution turned to black color. After that, the mixture was centrifuged and washed several times with ethanol and water. The obtained product was dried at 60℃ under vacuum for overnight and annealed at 150 ℃ for 2h. Then, the final product was hexagonal boron nitride nanoparticles decorated reduced graphene oxide(RGO/5 wt% h-BN) referred as RGO/h-BN nanocomposite. 」(p.79073右欄39行~p.79074左欄2行) (2.4 RGO/h-BNナノ複合材料の調製 RGO/h-BNナノ複合材料を、超音波援用液相剥離法により合成した。酸化グラファイトを水(1mg m1-1)中によく分散し、室温で4時間超音波処理した。その後、5wt%のh-BNナノ粒子を超音波処理下でGO溶液に添加し、24時間撹拌した。適量のヒドラジン一水和物も添加した。上記溶液を黒色になるまで激しく攪拌した。その後、遠心分離し、エタノール及び水で数回洗浄した。得られた生成物を真空中60℃で一晩乾燥し、150℃で2時間アニールした。最終生成物は、六方晶窒化ホウ素ナノ粒子で修飾した還元型酸化グラフェン(RGO/5wt%h-BN)であり、RGO/h-BNナノ複合材料と呼称する。) 3e「The presence of these new peaks confirms the decoration of h-BN nanoparticles on RGO in RGO/h-BN nanocomposite. 」(p.79704右欄33行~35行) (これらの新しいピークの存在は、RGO/h-BNナノ複合材料のRGO上におけるh-BNナノ粒子の修飾を裏付けている。) 3f「The surface morphology of synthesized RGO, RGO/h-BN, RGO/A-HNT and RGO/A-HNT/h-BN hybrid nanocomposites is shown in Fig. 6. The SEM images reveal the presence of crumpled and wrinkled sheet like morphology for RGO and the h-BN nanoparticles decorated RGO sheet for RGO/h-BN nanocomposite [see Fig. 6(a and b)]. In the case of RGO/A-HNT nanocomposite, the A-HNTs were anchored over the wrinkled and folded RGO sheets (Fig. 6c). The attachment of spherical shaped h-BN nanoparticles and a bunch of A-HNTs over the surface of RGO sheets are clearly noticeable in the SEM image of RGO/A-HNT/h-BN hybrid nanocomposite. In the SEM images, the yellow and red circles highlight the presence of h-BN nanoparticles and A-HNTs respectively.」(p.79076 右欄下から4行~p.79077 左欄1行~9行) (合成されたRGO、RGO/h-BN、RGO/A-HNT、及びRGO/A-HNT/h-BN ハイブリッドナノ複合材料の表面形態を図6に示している。SEM画像は、RGOの形態がシワクチャの皺のあるシートとして存在し、RGO/h-BNナノ複合材料では、h-BNナノ粒子がRGOシートを修飾していることを明らかにしている[図6(a及びb)参照]。 RGO/A-HNTナノ複合材料では、A-HNTは皺が寄って折り畳まれたRGOシート上に固定されている(図6c)。RGO/A-HNT/h-BNハイブリッドナノ複合材料のSEM画像では、RGOシートの表面上に球状のh-BNナノ粒子と束状のA-HNTが付着していることが明瞭に確認できる。SEM画像において、黄色と赤の円はそれぞれh-BNナノ粒子とA-HNTの存在を強調している。) 3g「 [図:0001402723000005.jpg] 」 (p.79078 左欄) (図6(a)RGO(b)RGO/h-BN(c)RGO/A-HNT及び(d)RGO/A-HNT/h-BNハイブリッドナノ複合材料のSEM画像) エ 甲4の記載事項 甲4には、以下の4a~4eの記載がある。 4a「A simple and scalable method has been developed for directly forming water-dispersible van der Waals solids involving mixing aqueous solution of graphene oxide(GO) with hexagonal boron nitride (BN) or molybdenum disulphide (MoS2) in N-methylpyrrolidone. The GO acts as an amphiphile in stabilising the colloidal solutions of the heterolaminar material in water.」(p.11709 左欄1~6行) (N-メチルピロリドン中の六方晶窒化ホウ素(BN)又は二硫化モリブデン(MoS2)と酸化グラフェン(GO)の水溶液を混合することを含む水分散性のファン・デル・ワールス固体を直接製造する簡単で拡張性のある方法を開発した。GOは、水中のヘテロ層材料のコロイダル溶液を安定化する両親媒性物質として作用する。) 4b「 The overall procedure for preparing the heterolaminar materials is summarised in Fig.1. GO was prepared from high purity graphite flakes powder (99.9%,SP-1, Bay Carbon) using the modified Hummer's method. Colloidal dispersions (10 mL) of BN (1 mg mL-1) and MoS2(1mg mL-1) in N-methylpyrrolidone(NMP) were prepared using probe sonication for 1 hour. Each dispersion was then diluted to 0.2 mg mL-1(0.5mL) and directly added drop-wise into 0.5mL of colloidal suspension of GO(0.5mg mL-1),followed by mild sonication for 30 seconds. ・・・ The resulting mixed dispersions were centrifuged (860×g,15 min) to remove any large flakes of the starting laminar materials, with the supernatants then separated, affording the colloidal dispersions of GO-BN and GO-MoS2. ・・・ The NMP in the resulting solutions can be further removed by centrifugal-washing the samples at 18370 × g for 1 hour, and redispersing the sediments into water, affording stable dispersions, Fig. 1. 」(p.11709右欄下から2行~p.11710左欄下から10行) (ヘテロ層材料を調製する全体の工程を、図1にまとめた。 GOは改良ハマーズ法を用いて高純度黒鉛フレーク粉末(99.9%、SP-1、Bay Carbon)から調製した。N-メチルピロリドン(NMP)中のBN(1mg/mL)及びMoS2(1mg/mL)のコロイド分散液(10mL)を1時間のプローブ超音波処理により調製した。次に、各分散液を0.2mg/mL(0.5mL)に希釈し、そして、GO(0.5mg/mL)のコロイド懸濁液0.5mL中に直接滴下し、続いて30秒間穏やかな超音波処理を行った。 ・・・ 得られた混合分散液を遠心分離して(860×g,15分)、出発層状材料の大きなフレークを除去し、上澄み液を分離することで、GO-BN及びGO-MoS2のコロイド分散液が得られた。 ・・・ 得られた溶液中のNMPは、生成物を1時間、18370×gで遠心洗浄することにより、さらに除去できた。そして、沈殿物を水に再分散することで、図1のような安定した分散液が得られた。」 4c「 [図:0001402723000006.jpg] 」 (p.11710、Fig.1) ( [図:0001402723000007.jpg] ) 4d「Graphene oxide sheets (~200nm to 10μm in lateral dimensions) are evident in Fig.2a and 3a, with the corresponding electron diffraction (inset) revealing a typical pattern for monolayers. ・・・TEM images and corresponding electron diffraction patterns from selected areas in Fig. 2c and d, for as prepared separate NMP solutions of BN and MoS2, confirm the presence of exfoliated BN and MoS2 sheets. The exfoliated sheets range in size from ~200 nm to 1 mm for both materials. While BN gives a similar shape and size due to the smaller cross section of the starting material (~1 μm), MoS2 (~2 μm) shows an apparent fragmentation, presumably arising from high energy cavitation processes associated with the sonication and less strong in-plane stiffness compared with BN sheets.29 Fig. 2e and g show the composites of GO-BN and GO-MoS2 in the re-dispersed solutions, respectively, with the size of the BN and MoS2 consistent with that of the as-exfoliated sheets in NMP. ・・・ The TEM analysis also shows that BN and MoS2 always accompany GO,which is in accordance with the BN and MoS2 sheets being supported on the surface of GO in the re-dispersed solutions. Atomic force microscopy (AFM) was undertaken to further investigate the morphology of the heterolaminar materials. The pristine GO is monolayered having a measured thickness of ~1 nm,21 Fig. 3a and b. The structures of heterolaminar materials are consistent with TEM analysis, with BN and MoS2 supported on GO evident in Fig. 3c, e and f. The height profile measurement in Fig. 3d along the orange line in Fig. 3c reveals a thickness of ~5 nm for BN. 」(p.11710 右欄15行~下から5行) (図2aと3aによると、酸化グラフェンシート(横方向寸法で約200nm~10μm)であることが明らかであり、対応する電子回折(挿入図)は、単分子層の典型的なパターンを示している。・・・調製されたBN及びMoS 2の調製されたNMP溶液について、図2c、dの選択された領域のTEM画像及び対応する電子回折パターンから、剥離したBN及びMoS 2シートの存在が確認できる。剥離シートの大きさは、両材料とも約200 nmから1μmの範囲である。BNは、出発材料の横断面がより小さいため (~1 μm)、同様の形状と大きさを示す一方で、MoS2(~2 μm) は明らかな断片化を示すが、これは、超音波処理による高エネルギーのキャビテーション工程と、BNシートと比較して面内剛性が低いためと考えられる29。 図2e及びgは、それぞれ再分散された溶液中のGO-BNとGO-MoS2の複合体を示し、BNと MoS2のサイズは、NMP中で剥離したままのシートのサイズと一致している。 ・・・また、TEM分析でも、BN及びMoS2が常にGOに付随していることを示し、これは、再分散溶媒中でBN及びMoS2シートがGOの表面に担持されていることと一致している。 ヘテロ層材料の形態をさらに調べるために、原子間力顕微鏡(AFM)を使用した。図3a及びbの処理前のGOは、測定厚さが約1 nmの単層である21。 ヘテロ層材料の構造は、TEM分析と一致しており、図3c、e、及びfで明らかなように、BN及びMoS2はGOに担持されている。 図3cのオレンジ色の線に沿った図3dの高さプロファイル測定は、BNの厚さが約5nmであることを示している。) 4e「 [図:0001402723000008.jpg] Fig. 3 AFM images and height profiles of the indicated area in (a, b) GO,(c, d) GO-BN, and (e, f, g) MoS2 samples. 」 (図3 (a、b)GO、(c、d)GO-BN ・・・ サンプルの特定領域のAFM画像と高さプロファイル。) オ 甲5の記載事項 甲5には、以下の5aの記載がある。 5a「【請求項1】 窒化アルミニウムと、その表面に2層以上10層未満であり、ラマンスペクトル測定において、Gバンド(1600cm-1)とDバンド(1350cm-1)とのG/D比が0.1~10である連続したグラフェン被膜とをもつことを特徴とするグラフェン被覆窒化アルミニウムフィラー。 【請求項2】 化学気相成長法により炭化水素共存下、内部が500~1200℃に加熱された反応容器内で窒化アルミニウム表面に、バインダー及び、又は触媒を用いることなく、連続したグラフェンを形成することを特徴とするグラフェン被覆窒化アルミニウムフィラーの製造方法。 ・・・・・ 【請求項5】 前記請求項1に記載のグラフェン被覆窒化アルミニウムフィラーと合成樹脂とを含有し、グラフェン被覆窒化アルミニウムフィラーと合成樹脂との合計質量に対しそのグラフェン被覆窒化アルミニウムフィラーの配合率が0.5~95質量%であることを特徴とする樹脂複合体。」 カ 甲6の記載事項 甲6には、以下の6a、6bの記載がある。 6a「Unilamellar colloids of graphite oxide(GO) were prepared from natural graphite and were grown as monolayer and multilayer thin films on cationic surfaces by electrostatic self-assembly.」(p.771 要約1~3行) (酸化グラファイト(GO)の単層コロイドを天然黒鉛から調製し、静電自己集合によりカチオン表面上に単層及び多層薄膜として成長させた。) 6b「Exfoliation was achieved by dilution of the 0.5% GO dispersion(1mL)with deionized water (24mL)、followed by 15 min sonication. The resulting homogeneous yellow-brown sol, which contained 0.2g/L GO, was stable for a period of months and was used for film preparation.」(p.772 右欄59~63行) (0.5%GO分散液(1mL)を脱イオン水(24mL)で希釈し、続いて15分間超音波処理することにより、剥離処理をした。0.2g/LのGOを含む均一な黄―茶色のゾルが得られ、数か月間安定であった。そして、これを薄膜調製に使用した。) キ 甲7の記載事項 甲7には、以下の7a~7cの記載がある。 7a「2.1 Synthesis and purification of GO GO was prepared by oxidation of natural graphite powder (325 mesh, Qingdao Huatai Lubricant Sealing S&T Co.Ltd.,Qingdao,China) according to Hummers method with a modification of removing NaNO3 from the reaction formula [19].」(p.226,左欄下から21行~下から18行) (2.1 GOの合成と精製 GOは反応式からNaNO3を除去する改良を加えたハマーズ法による天然黒鉛粉末(325メッシュ、Qingdao Huatai Lubricant Sealing S&T Co.Ltd.、中国青島)の酸化により調製した。) 7b「The resultant graphite oxide aqueous dispersion was then diluted to 1.2L, stirred overnight and sonicated for 30 min to exfoliate it to GO. The GO dispersion was then centifuged at 3000 rpm for 40 min to remove the unexfoliated graphite. For comparison, GO was also prepared by conventional Hummers method [19], and purified using the same procedures descraibed above. The GO products prepared by the improved and conventional Hummers methods are nominated as GO1 or GO2, respectively.」(p.226,左欄最下行~右欄8行) (次いで、得られた酸化黒鉛水性分散液を1.2Lに希釈し、一晩撹拌し、30分間超音波処理してGOに剥離し、GO分散液を3000rpmで40分間遠心分離して、剥離していない黒鉛を除去した。比較のために、GOを従来のハマーズ法[19]によっても調製し、上記と同じ手順を用いて精製した。改良したハマーズ法と従来のハマーズ法によって調製したGO生成物は、それぞれ、GO1又はGO2と命名した。) 7c「The thickness of GO1 and GO2 sheets were measured to be ~0.8nm by AFM (Fig.2a and S2a), indicating they have a single-layer structure [8].」(p.227,左欄下から7行~下から5行) (GO1とGO2シートの厚さはAFM(図2aとS2a)によって約0.8nm以下と測定され、それらが単層構造であることを示している[8]。) (2) 甲1~甲5に記載された発明 ア 甲1に記載された発明 記載事項1a~1dによると、甲1には、酸化グラフェン(GO)/窒化ホウ素(BN)複合多孔質体(1a、「ハイブリッド多孔質足場(HPSs)」)について記載されている。そして、同記載事項によると、GO水溶液にBN粉末を混合してGO/BNスラリーを調製し、これを高分子型で凍結した後、乾燥してGO/BN複合多孔質体を製造し、これにポリエチレングリコールを含浸して複合材料を得たことが記載されているといえる。 そうすると、甲1には、次の発明(以下、「甲1-1発明」という。)が記載されていると認められる。 「酸化グラフェン水溶液に窒化ホウ素粉末を混合して調製した酸化グラフェン/窒化ホウ素粉末スラリーを凍結した後、乾燥して得られた酸化グラフェン/窒化ホウ素複合多孔質体。」 また、甲1には、次の発明(以下、「甲1-2発明」という。)が記載されていると認められる。 「酸化グラフェン水溶液に、窒化ホウ素粉末を混合して酸化グラフェン/窒化ホウ素粉末スラリーを調製し、得られたスラリーを凍結した後乾燥する酸化グラフェン/窒化ホウ素複合多孔質体の製造方法。」 イ 甲2に記載された発明 記載事項2a~2dによると、甲2には、六方晶窒化ホウ素/酸化グラフェン複合吸着材及びその製造方法について記載されている。同記載事項によると、前記六方晶窒化ホウ素/酸化グラフェン複合吸着材は、酸化グラフェンと、酸化グラフェンの層間に挿入された層状六方晶窒化ホウ素であり(2b)、ナノシート構造の酸化グラフェンと層状の六方晶窒化ホウ素とを有機溶媒に分散し、混合溶液を得た後、遠心分離して固体沈殿として、六方晶窒化ホウ素/酸化グラフェン複合吸着材を得た(2c)ことが記載されているといえる。 そうすると、甲2には、次の発明(以下、「甲2-1発明」という。)が記載されていると認められる。 「酸化グラフェンと、酸化グラフェンの層間に挿入された層状六方晶窒化ホウ素とからなる六方晶窒化ホウ素/酸化グラフェン複合吸着材。」 また、甲2には、次の発明(以下、「甲2-2発明」という。)が記載されていると認められる。 「六方晶窒化ホウ素の粉末と酸化グラフェンとを有機溶媒に分散して混合溶液を得た後、遠心分離して固体沈殿物を得る、酸化グラフェンと、酸化グラフェンの層間に挿入された層状六方晶窒化ホウ素とからなる六方晶窒化ホウ素/酸化グラフェン複合吸着材の製造方法。」 ウ 甲3に記載された発明 記載事項3a~3gによると、甲3には、六方晶窒化ホウ素/還元型酸化グラフェンナノ複合材料(RGO/h-BN)(3a、3d)について記載されている。同記載事項によると、酸化グラフェンを水に分散した後、六方晶窒化ホウ素ナノ粒子及びヒドラジン一水和物を酸化グラフェンを分散した水溶液に添加して遠心分離する工程を経て、六方晶窒化ホウ素ナノ粒子を還元型酸化グラフェンの表面に有する六方晶窒化ホウ素/還元型酸化グラフェンナノ複合材料を製造した(3d)といえる。また、記載事項3eによると、甲3に記載された六方晶窒化ホウ素/還元型酸化グラフェンナノ複合材料においては、還元型酸化グラフェンが六方晶窒化ホウ素ナノ粒子で修飾されているといえる。 そうすると、甲3には、次の発明(以下、「甲3-1発明」という。)が記載されていると認められる。 「還元型酸化グラフェンの表面に六方晶窒化ホウ素ナノ粒子を有する還元型酸化グラフェン/六方晶窒化ホウ素ナノ複合材料。」 また、甲3には、次の発明(以下、「甲3-2発明」という。)が記載されていると認められる。 「六方晶窒化ホウ素ナノ粒子及びヒドラジン一水和物を、酸化グラフェンを分散した水溶液に添加し遠心分離して乾燥する、還元型酸化グラフェンの表面に六方晶窒化ホウ素ナノ粒子を有する還元型酸化グラフェン/六方晶窒化ホウ素ナノ複合材料の製造方法。」 エ 甲4に記載された発明 記載事項4a~4eによると、甲4には、酸化グラフェン/窒化ホウ素複合体(4d)が記載されている。そして、同記載事項によると、六方晶窒化ホウ素を酸化グラフェン懸濁液に混合し(4b)、遠心分離を行い(4c)、単分子層の酸化グラフェンに六方晶窒化ホウ素を担持した酸化グラフェン/窒化ホウ素複合体を得た(4d)ことが記載されているといえる。 そうすると、甲4には、次の発明(以下、「甲4-1発明」という。)が記載されていると認められる。 「単分子層の酸化グラフェンに六方晶窒化ホウ素を担持した酸化グラフェン/窒化ホウ素複合体。」 また、甲4には、次の発明(以下、「甲4―2発明」という。)が記載されていると認められる。 「六方晶窒化ホウ素を酸化グラフェン水分散液に混合した後、遠心分離を行う、単分子層の酸化グラフェンに六方晶窒化ホウ素を担持した酸化グラフェン/窒化ホウ素複合体の製造方法。」 (3) 対比・判断 ア 甲1を主たる証拠とした新規性・進歩性欠如 (ア)本件発明1について 本件発明1と甲1-1発明とを対比すると、本件発明1は、表面未処理の六方晶窒化ホウ素粒子の表面に酸化グラフェンのシート状カーボン層を有するカーボン修飾窒化ホウ素粒子である。 これに対し、甲1-1発明の酸化グラフェン/窒化ホウ素複合多孔質体は、記載事項1cに「ハイブリットスラリー材料を・・・柱状高分子型に注ぎ・・・GO/BN HPSを生成した」とあるように、柱状等のある程度の大きさを有するものであり、粒子である本件発明1のものと相違している。 さらに、当該相違点について検討すると、甲1は、柱状等ある程度の大きさを有する多孔質体に関するものであり、粒子の形態とすることについては何ら想定するものではないし、さらには、カーボンで修飾された窒化ホウ素の状態とすることについても何ら想定するものではない。 なお、異議申立人が、甲1の新規性の判断において援用する甲6、7は、超音波処理を行うことにより、酸化グラフェンは単層近くまで剥離することを周知技術として示す証拠にすぎず、上記相違点についての判断に影響するものではない。 したがって、本件発明1は、甲1に記載された発明であるとはいえず、また、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (イ)本件発明2について 本件発明2は、本件発明1に係るカーボン修飾窒化ホウ素粒子を樹脂に混合した高熱伝導性樹脂組成物であるところ、甲1には、甲1発明に係る複合多孔質体に数平均分子量が10000のポリエチレングリコールを含浸することは記載されているが(記載事項1b、1d)、これにより得られた樹脂組成物は、前記複合多孔質体を含有するものである以上、本件発明2に係る樹脂組成物と同じものであるとはいえず、また、甲1には、窒化ホウ素粒子の形態で樹脂を含有させるという示唆もない。 したがって、本件発明2は、甲1に記載された発明であるとはいえず、また、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (ウ)本件発明3について 本件発明3と甲1-2発明とを対比すると、本件発明3は、カーボン修飾窒化ホウ素粒子の製造方法であるのに対して、甲1-2発明は、酸化グラフェン/窒化ホウ素複合多孔質体の製造方法であるから、両者は製造する対象物が相違する。 また、本件発明3は、表面未処理の六方晶窒化ホウ素粒子の粉末を酸化グラフェンの水分散液に、上澄みが無色透明になるまで混合する工程、液中から固体を濾別によって回収して乾燥する工程を備えるのに対して、甲1-2発明は、酸化グラフェン水溶液と窒化ホウ素粉末を混合して酸化グラフェン/窒化ホウ素粉末スラリーを調製し、得られたスラリーを凍結乾燥する点で相違している。 これらの相違点について検討すると、上記(ア)の検討のとおり、甲1-1発明の酸化グラフェン/窒化ホウ素複合多孔質体を、本件発明1のカーボン修飾窒化ホウ素粒子とすることは何ら想定されないものであるから、甲1-2発明においても同様に、カーボン修飾窒化ホウ素粒子を製造することは何ら想定し得ないし、また、上記相違点に係る本件発明3の工程を採用することは、甲1において何ら示唆するものではない。 したがって、本件発明3は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 イ 甲2を主たる証拠とした新規性・進歩性欠如 (ア)本件発明1について 本件発明1と甲2-1発明とを対比すると、本件発明1は、表面未処理の六方晶窒化ホウ素粒子の表面に酸化グラフェンのシート状カーボン層を有するカーボン修飾窒化ホウ素粒子であるのに対して、甲2―1発明は、酸化グラフェンと、酸化グラフェンの層間に挿入された層状六方晶窒化ホウ素とからなる複合吸着材である点で相違しており、その形態において実質的な相違点を有するといえる。 当該相違点について検討すると、甲2-1発明は、酸化グラフェン層間に層状六方晶窒化ホウ素が挿入されたものであって、この形態とすることにより、重金属と有機汚染物などに対して良好な吸着性能を有する(記載事項2a)のであるから、何ら吸着性能を維持できる保障のない本件発明1のような窒化ホウ素粒子上にカーボンが存在しているカーボン修飾窒化ホウ素粒子の形態とすることについては何ら想定するものではない。 したがって、本件発明1は、甲2に記載された発明であるとはいえず、また、甲2に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (イ)本件発明2について 本件発明2は、本件発明1を引用し、その発明特定事項を全て含むものであるから、甲2に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (ウ)本件発明3について 本件発明3と甲2―2発明とを対比すると、本件発明3は、カーボン修飾窒化ホウ素粒子の製造方法であるのに対し、甲2-2発明は、酸化グラフェンと、酸化グラフェンの層間に挿入された層状六方晶窒化ホウ素とからなる六方晶窒化ホウ素/酸化グラフェン複合吸着材の製造方法であるから、両者は製造する対象物が相違する。また、本件発明3は、表面未処理の六方晶窒化ホウ素粒子の粉末を酸化グラフェンの水分散液に、上澄みが無色透明になるまで混合する工程、液中から固体を濾別によって回収して乾燥する工程を備えるのに対して、甲2-2発明は、有機溶媒を用いるものであり、さらに、本件発明3の上記のような各工程は備えていない点で相違している。 上記相違点について検討すると、上記(ア)の検討のとおり、甲2-1発明の六方晶窒化ホウ素/酸化グラフェン複合吸着材を、本件発明1のカーボン修飾窒化ホウ素粒子とすることは何ら示唆するものではない。また、甲2では、酸化グラフェンと六方晶窒化ホウ素を混合した有機溶媒を、遠心分離して沈殿物を得るものであって、これらの工程は、甲2-1発明に係る六方晶窒化ホウ素/酸化グラフェン複合吸着材を得るために必須の工程であるといえるから、この必須の工程を変更してまで、上記相違点に係る本件発明3の工程を、甲2-2発明に採用することは想定されない。 したがって、本件発明3は、甲2に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ 甲3を主たる証拠とした新規性・進歩性欠如 (ア)本件発明1について 本件発明1と甲3-1発明とを対比すると、本件発明1は、六方晶窒化ホウ素粒子の表面に酸化グラフェンのシート状カーボン層を有するカーボン修飾窒化ホウ素粒子であるのに対して、甲3―1発明は、還元型酸化グラフェンの表面に窒化ホウ素ナノ粒子を有する点で少なくとも相違している。 上記相違点について検討すると、甲3-1発明は、還元型酸化グラフェンの表面に六方晶窒化ホウ素ナノ粒子を有するものであって、この形態とすることにより、燃料電池用の水素貯蔵体として役に立つものである(記載事項3a)から、水素貯蔵体として役に立つのか不明である本件発明1のような、窒化ホウ素粒子上にカーボンが存在しているカーボン修飾窒化ホウ素粒子の形態とすることについては何ら想定していないし、窒化ホウ素ナノ粒子が酸化グラフェンを修飾する形態とする動機付けもない。 また、甲3-1発明は、還元型酸化グラフェンを使用することを必須とするものであるから、本件発明1のように、(還元型ではない)酸化グラフェンを採用する動機付けもない。 なお、甲6、7については、上記ア(ア)の判断と同様である。 したがって、本件発明1は、甲3に記載された発明であるとはいえず、また、甲3に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (イ)本件発明2について 本件発明2は、本件発明1を引用し、その発明特定事項を全て含むものであるから、甲3に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (ウ)本件発明3について 本件発明3と甲3-2発明とを対比すると、本件発明3は、カーボン修飾窒化ホウ素粒子の製造方法であるのに対し、甲3-2発明は、還元型酸化グラフェンの表面に六方晶窒化ホウ素ナノ粒子を有する還元型酸化グラフェン/六方晶窒化ホウ素ナノ複合材料の製造方法であるから、両者は製造する対象物が相違する。また、本件発明3は、六方晶窒化ホウ素粒子の粉末を酸化グラフェンの水分散液に、上澄みが無色透明になるまで混合する工程、液中から固体を濾別によって回収して乾燥する工程を備えるのに対して、甲3-2発明は、六方晶窒化ホウ素ナノ粒子を酸化グラフェンの水溶液に添加して、遠心分離する工程を備える点で少なくとも相違している。 上記相違点について検討すると、上記(ア)の検討のとおり、甲3-1発明の還元型酸化グラフェン/六方晶窒化ホウ素ナノ複合材料を、本件発明1のカーボン修飾窒化ホウ素粒子とすることは何ら想定されないものであるから、甲3-2発明においても同様に、カーボン修飾窒化ホウ素粒子を製造することは何ら想定し得ないし、また、上記相違点に係る本件発明3の工程を採用することは、甲3において何ら示唆するものではない。また、甲3―2発明は、遠心分離をする工程を有するものであって、甲3-2発明に係る還元型酸化グラフェン/窒化ホウ素ナノ複合材料を得るための必須の工程であるといえるから、この必須の工程を変更してまで上記相違点に係る本件発明3の工程を、甲3-2発明に採用することは想定されない。 したがって、本件発明3は、甲3に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 エ 甲4を主たる証拠とした新規性・進歩性欠如 (ア)本件発明1について 本件発明1と甲4-1発明とを対比すると、本件発明1は、六方晶窒化ホウ素粒子の表面に酸化グラフェンのシート状カーボン層を有するカーボン修飾窒化ホウ素粒子であるのに対して、甲4―1発明は、酸化グラフェンに六方晶窒化ホウ素を担持している点で少なくとも相違している。 上記相違点について検討すると、甲4―1発明は、「N-メチルピロリドン中の六方晶窒化ホウ素(BN)と酸化グラフェン(GO)の水溶液を混合することを含む水分散性のファン・デル・ワールス固体を直接製造する方法」に係るものであって、「GOは、水中のヘテロ層材料のコロイダル溶液を安定化する両親媒性物質として作用する」ものであり(記載事項4a)、これにより酸化グラフェンに六方晶窒化ホウ素を担持するという、酸化グラフェンの表面に六方晶窒化ホウ素を有する形態が得られるから、このような形態を変更することは、甲4-1発明における上記方法を損ない、また、酸化グラフェンが両親媒性物質として作用することができなくなる恐れがある。 そうすると、甲4-1発明においては、酸化グラフェンの表面に六方晶窒化ホウ素を有する形態を変更することは想定されておらず、ましてや、本件発明1のような、カーボン修飾窒化ホウ素粒子の形態とすることについては何ら想定していないし、カーボン修飾窒化ホウ素粒子の形態とする動機付けもない。 したがって、本件発明1は、甲4に記載された発明であるとはいえず、また、甲4に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (イ)本件発明2について 本件発明2は、本件発明1を引用し、その発明特定事項を全て含むものであるから、甲4に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (ウ)本件発明3について 本件発明3と甲4-2発明とを対比すると、本件発明3は、カーボン修飾窒化ホウ素粒子の製造方法であるのに対し、甲4-2発明は、単分子層の酸化グラフェンに六方晶窒化ホウ素を担持した酸化グラフェン/窒化ホウ素複合体の製造方法であるから、両者は、製造する対象物が相違する。また、本件発明3は、六方晶窒化ホウ素粒子の粉末を酸化グラフェンの水分散液に、上澄みが無色透明になるまで混合する工程、液中から固体を濾別によって回収して乾燥する工程を備えるのに対して、甲4-2発明は、六方晶窒化ホウ素を酸化グラフェン分散水に添加して、遠心分離する工程を備える点で少なくとも相違している。 上記相違点について検討すると、上記(ア)の検討のとおり、甲4-1発明の酸化グラフェン/窒化ホウ素複合体を、本件発明1のカーボン修飾窒化ホウ素粒子とすることは何ら想定されていないものであるから、甲4-2発明においても同様に、カーボン修飾窒化ホウ素粒子を製造することは何ら想定し得ないし、また、上記相違点に係る本件発明3の工程を採用することは、甲4において何ら示唆するものではない。また、甲4-2発明は、遠心分離を必須の工程とするものであって、甲4では、甲4-2発明に係る酸化グラフェン/窒化ホウ素ナノ複合体を得るための必須の工程であるといえるから、この必須の工程を変更してまで上記相違点に係る本件発明3の工程を、甲4-2発明に採用することはできない。 したがって、本件発明3は、甲4に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 オ 甲5を主たる証拠とした進歩性欠如 (ア)本件発明1、2 甲5は、グラフェン被覆窒化アルミニウムフィラー及びグラフェン被覆アルミニウムフィラーを含有する樹脂複合体について記載され、窒化アルミニウムをグラフェンと複合することに関する文献であり、窒化ホウ素については何ら記載がなく、また、窒化アルミニウムを窒化ホウ素に代替することについての示唆もない。 したがって、本件発明1、2は、甲5及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (4)小括 以上のとおりであるから、甲1~甲5を主たる証拠とする新規性及び進歩性欠如を理由とする特許異議申立理由又は取消理由は、理由がない。 2 申立理由2(サポート要件・明確性違反・実施可能要件違反)について (1) 本件発明1、2(サポート要件違反)について ア 具体的な指摘事項 「申立理由2 ア」は、要するに、設定登録時の請求項1、2について、本件明細書の実施例には、酸化グラフェンで粒子表面の全面が覆われた窒化ホウ素のカーボン修飾窒化ホウ素を得たこと、及び所定量のカーボン修飾窒化ホウ素を添加して樹脂の硬化物を得たことが記載されているのに対して、酸化グラフェンの被覆量やカーボン修飾窒化ホウ素の窒化ホウ素の添加量が特定されていない上記請求項1、2に係る発明は、サポート要件違反である、というものである(特許異議申立書31頁「エ(ア)」)。 イ 「申立理由2 ア」についての検討 本件明細書の記載によると、本件発明の課題は、「省エネルギー、低コストで樹脂親和性の良い窒化ホウ素を提供する」(段落【0007】)ことであり、さらには、「カーボン修飾窒化ホウ素を樹脂に混合して高熱伝導性樹脂組成物を提供する」(段落【0008】)ことであると認められる。 そして、「本発明のカーボン修飾窒化ホウ素は、窒化ホウ素粒子表面にシート状カーボン層を有しており、このシート状カーボン層は樹脂と窒化ホウ素界面の親和性を改善する機能を有する。シート状カーボン層は、酸化グラフェン・・・である。」(段落【0017】)、及び「酸化グラフェンとした場合、酸化グラフェンに水酸基、カルボキシル基、エポキシ基などがあるので、これらを利用して混合する樹脂への親和性を向上することができる。」(段落【0018】)と記載されている。 そうすると、これらの記載に接した当業者であれば、酸化グラフェンの被覆量及びカーボン修飾窒化ホウ素の窒化ホウ素の添加量の如何にかかわらず、本件発明1に係るカーボン修飾窒化ホウ素粒子及び本件発明2に係る高熱伝導性樹脂組成物により、「窒化ホウ素と樹脂との親和性が向上するため、配合された樹脂組成物の流動性や窒化ホウ素と樹脂との界面接着性を向上することができる。それにより電気伝導性がなく機械的強度と熱伝導性の優れた熱伝導性樹脂組成物を提供できる。」(段落【0014】)という前記の本件発明の課題を解決することに対応する効果を奏することを理解することができるから、本件発明1、2は、上記本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。 よって、本件発明1、2は、サポート要件に違反するものではない。 (2) 本件発明3(サポート要件違反・明確性違反・実施可能要件違反について) ア 具体的な指摘事項 「申立理由2 イ」は、要するに、設定登録時の請求項3について、上澄みが無色透明になるまで混合する工程を含む、カーボン修飾窒化ホウ素の製造方法であるところ、発明の詳細な説明には、「無色」や「透明」の定義や説明がなく、酸化グラフェンの水分散液が具体的にどのような状態になるまで六方晶窒化ホウ素の粉末を混合するのかが不明確であり、また、実施例では、「ほぼ無色」になるまで混合したことしか記載されていないことから、「無色透明になるまで混合する工程」を含む上記請求項3のカーボン修飾窒化ホウ素の製造方法に係る発明は、明確性違反、実施可能要件違反及びサポート要件違反であるというものである(特許異議申立書32頁「エ(イ)」)。 イ 「申立理由2 イ」についての検討 本件発明の課題は、上記(1)イに記載のとおりであるところ、本件発明3の「表面未処理の六方晶窒化ホウ素粒子の粉末を酸化グラフェンの水分散液に、上澄みが無色透明になるまで混合する工程」において、「上澄みが無色透明になるまで混合」する点については、本件明細書において、「酸化グラフェン水性分散液に窒化ホウ素粉末を分散していくと、沈殿が生じて上澄み(酸化グラフェン水性分散液層)の色が薄くなっていく。最終的に上澄みは無色透明となり、上澄みから酸化グラフェンは検出されなくなる。すなわち、酸化グラフェン水性分散液に窒化ホウ素粉末を分散するだけで、窒化ホウ素粒子への酸化グラフェンの吸着が起こっているものと考えられる。よって、酸化グラフェン水性分散液への窒化ホウ素の添加量は、窒化ホウ素粒子表面にどれだけ吸着させるかによって任意に選択することができる。」(段落【0024】)と記載されている。 また、実施例の欄には、 「(実施例1) (酸化グラフェン層を有するカーボン修飾窒化ホウ素の作製) 0.044g/100mlの酸化グラフェン分散液50mlに六方晶窒化ホウ素粉末(昭和電工 ショウビーエヌ(登録商標) UHP-2)を超音波洗浄器で超音波を照射しながら、加えていった。窒化ホウ素粉末を加えると凝集沈殿が生じ、加える量が増えると上澄みの色(褐色)が薄くなって行き、窒化ホウ素粉末を7.5g加えた時点で上澄みはほぼ無色となった。」(段落【0033】)と記載されている。 そうすると、当該記載に接した当業者であれば、「無色透明」とは「上澄みから酸化グラフェンが検出され」なくなること、すなわち、添加した酸化グラフェンの大部分が窒化ホウ素粒子表面に吸着した状態であることが理解することができ、上記記載を含む本件発明3に係るカーボン修飾窒化ホウ素粒子の製造方法により、本件発明1に係るカーボン修飾窒化ホウ素粒子を、実施例を参照することにより製造することができることを理解することができる。 したがって、上記工程を含む本件発明3は明確であって、上記本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであり、また、本件発明3に沿った実施例を参照することで、本件発明3は、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているといえ、本件発明3は、明確性要件、実施可能要件及びサポート要件に違反するものではない。 (3) 小括 以上のとおりであるから、申立理由2は理由がない。 3 異議申立人の意見について (1) 異議申立人の主張について 異議申立人は、令和4年7月6日付け意見書において、特許権者の意見書における「・各証拠は、本件発明1の「カーボン修飾窒化ホウ素粒子」の記載も示唆もない、 ・本件発明2は、本件発明1を引用するため取消理由は解消した、・本件発明3の「表面未処理の六方晶窒化ホウ素粒子の粉末を酸化グラフェンの水分散液に、上澄みが無色透明になるまで混合する工程」や「液中から固体を濾別によって回収して乾燥する工程」は、甲3、4に記載や示唆はない」との主張に対して、新たに甲8~甲14を提出して、次のア~ウの理由から、本件発明1、2は、特許法第29条第1項第3号に規定する要件を満たしておらず、本件発明1~3は、特許法第29条第2項に規定する要件を満たしていないので、本件特許は取り消されるべき旨を主張をしている。 ア 本件発明1について (ア)特許権者は、甲1~甲4に記載された酸化グラフェンと窒化ホウ素の複合体は、酸化グラフェンの表面に窒化ホウ素が付着した状態のものであり、本件発明1の酸化グラフェン修飾窒化ホウ素粒子が記載も示唆もされていないとするが、付着物と被着物との関係はどちらを主体して見るかの違いだけであり、窒化ホウ素を主体としてみれば、六方晶窒化ホウ素粒子の表面にシート状カーボン層を有するといえるから、甲1、甲3及び甲4に記載の材料と区別できない。 (イ) 特許権者は、甲2に記載の窒化ホウ素は表面が未処理であるとはいえないと主張するが、甲8、甲9に窒化ホウ素の化学的な表面処理が記載されているところ、本件発明1で特定した「表面未処理」とは、このような周知の化学的な表面処理を行わないことを意味するものであり、甲2に記載の窒化ホウ素は、単なる剥離処理を行ったものであるから、本件発明1の「表面未処理の六方晶窒化ホウ素」と区別できない。また、甲2に記載の窒化ホウ素粒子と酸化グラフェンとの複合体は、遠心分離により分離されるものであるが、濾別することにより得られる本件発明1のカーボン修飾窒化ホウ素粒子とは、分離手段が異なるだけであり区別できない。 (ウ)甲10(及び甲11(甲11は、甲10のSupplimentary information))には、酸化グラフェン(GO)と六方晶窒化ホウ素(hBN)を別々に剥離して、GOとhBNの混合量比を「9:1」、「1:1」、「1:9」と変えて、それぞれ形状が異なるGOとhBNの複合体(BCON)を生成したことが記載されているから、甲1~甲4の酸化グラフェンと窒化ホウ素粒子の複合体において、酸化グラフェンに対する窒化ホウ素粒子の量を増大させて、窒化ホウ素粒子の表面に酸化グラフェンが付着した複合体を得ることは、当業者が適宜設計し得る事項である。 (エ) 甲12及び甲13には、六方晶窒化ホウ素粒子の表面に還元酸化グラフェンが付着した複合体が記載されているから、甲1~甲4の酸化グラフェンと窒化ホウ素粒子の複合体において、甲12又は甲13に記載の事項を組み合わせて、酸化グラフェンと窒化ホウ素粒子の混合比を適宜調整して、窒化ホウ素粒子の表面に酸化グラフェンが付着した複合体を得ることは、当業者が容易になし得る事項である。 イ 本件発明2について (ア)甲1には、酸化グラフェンと窒化ホウ素の複合体と樹脂を含む組成物が記載されていることから、本件発明2は、甲1に記載された発明と同一であるか、又は、甲1に記載の事項から容易に想到することができる発明である。 (イ)上記(1)のとおり、甲1に甲10~甲13に記載の事項を組み合わせることにより、本件発明1の窒化ホウ素粒子に容易に想到することができ、甲1、甲12、13は、酸化グラフェンと窒化ホウ素の複合体を含むことにより樹脂の熱伝導率を向上させることが記載されているから、本件発明2は、甲1に記載の発明と同一であるか、または、甲1、甲10~13に記載の事項から容易に想到することができる発明である。 ウ 本件発明3について (ア)甲3、甲4は、酸化グラフェン水溶液と窒化ホウ素の混合により沈殿物が生じていること、及び甲4の図1から酸化グラフェン水分散液が着色していることは明らかであるから、酸化グラフェンと窒化ホウ素の複合体を生成するために、酸化グラフェンと窒化ホウ素の量比を適宜調整して、酸化グラフェンの水分散液の色がなくなるまで窒化ホウ素を混合することは、当業者であれば容易になし得る事項である。 (イ)甲10のFig.1には、酸化グラフェンと窒化ホウ素の分散液は、酸化グラフェンに対して窒化ホウ素の添加量が増大すると、凝集して分散液は透明化することが記載されているから、六方晶窒化ホウ素粒子を酸化グラフェン分散液に混合する際、無色透明になるまで混合することは当業者が適宜設計し得る事項である。 (ウ)液中から固体を回収する手段として遠心分離も濾過も公知の手段であり、また、甲14には、合成したGO/BNコンポジット分散液を真空濾過したことが記載されており、GO/h-BNナノ複合体であっても濾別は可能であるから、甲3及び甲4の分散液中のGO/h-BN複合体を濾別により回収して乾燥する工程は当業者が適宜設計し得る事項である。 (2) 申立人の主張についての判断 次のア~ウのとおりであるから、申立人の上記意見書における主張は採用できない。 ア 本件発明1について (ア)「(1) ア(ア)、(イ)」について 本件発明1の「カーボン修飾窒化ホウ素」の特定事項に関して、本件明細書には、次の記載がある。 「【0017】 本発明のカーボン修飾窒化ホウ素は、窒化ホウ素粒子表面にシート状カーボン層を有しており、このシート状カーボン層は樹脂と窒化ホウ素界面の親和性を改善する機能を有する。」 「【0024】 ・・・ 酸化グラフェン水性分散液に窒化ホウ素粉末を分散していくと、沈殿が生じて上澄み(酸化グラフェン水性分散液層)の色が薄くなっていく。最終的に上澄みは無色透明となり、上澄みから酸化グラフェンは検出されなくなる。すなわち、酸化グラフェン水性分散液に窒化ホウ素粉末を分散するだけで、窒化ホウ素粒子への酸化グラフェンの吸着が起こっているものと考えられる。よって、酸化グラフェン水性分散液への窒化ホウ素の添加量は、窒化ホウ素粒子表面にどれだけ吸着させるかによって任意に選択することができる。」 「【0033】(実施例1)(酸化グラフェン層を有するカーボン修飾窒化ホウ素の作製) 0.044g/100mlの酸化グラフェン分散液50mlに六方晶窒化ホウ素粉末(昭和電工 ショウビーエヌ(登録商標) UHP-2)を超音波洗浄器で超音波を照射しながら、加えていった。窒化ホウ素粉末を加えると凝集沈殿が生じ、加える量が増えると上澄みの色(褐色)が薄くなって行き、窒化ホウ素粉末を7.5g加えた時点で上澄みはほぼ無色となった。 沈殿を濾別して蒸留水100ml、メタノール100mlで洗浄後、60℃で8時間乾燥して薄茶色の粉末を得た(カーボン修飾UHP-2とする)。この粉末を電界放射形走査電子顕微鏡で観察したところ、平板な窒化ホウ素粒子表面に多数の皺が観察された。原料の窒化ホウ素粒子にはこのような皺はみられないことから、この皺は窒化ホウ素粒子表面に形成された酸化グラフェンによるものと考えられる。さらに窒化ホウ素粒子表面の異なる5点の顕微ラマンスペクトルを測定したところ、全ての測定点で酸化グラフェンのDバンドを観測することができたことから、酸化グラフェンは窒化ホウ素粒子の全面を覆っているものと考えられる。」 「【0036】(実施例4)(カーボン修飾窒化ホウ素を含む樹脂組成物の作製2) 実施例1で作製したカーボン修飾UHP-2の添加量を45vol%にする以外は、実施例3と同様にしてエポキシ樹脂硬化物を得た。」 「【0041】 表1に示すように、同一添加量である実施例3と比較例1、ならびに実施例4と比較例2を比較すると、カーボン修飾窒化ホウ素を用いた硬化物では、明らかに厚み方向、平面方向ともに熱伝導率が向上していた。」 「【0042】(顕微ラマンスペクトル測定による酸化グラフェン層を有するカーボン修飾窒化ホウ素の分析) 実施例1で作製したカーボン修飾窒化ホウ素粒子から無作為に10個の粒子を選択して顕微ラマンスペクトルを測定(測定装置:Horiba XploRA)し、酸化グラフェン由来の1590cm-1のバンドと窒化ホウ素由来の1360cm-1のバンドのマッピングを行った。すべての粒子について、観察した粒子表面の大部分で1590cm-1のバンドが検出されたことより、窒化ホウ素粒子はまんべんなく表面に酸化グラフェン層を有していると考えられる。また、1590cm-1のバンド強度が強いところは1360cm-1のバンド強度が弱かった。これは、酸化グラフェンによる被覆を支持していると考えられる」 これらの記載によると、本件発明1の「六方晶窒化ホウ素粒子の表面にシート状カーボン層を有」する「カーボン修飾窒化ホウ素粒子」とは、窒化ホウ素粒子を主体として、当該窒化ホウ素粒子の表面に、酸化グラフェンからなるシート状カーボン層を有している、すなわち、窒化ホウ素粒子の表面に酸化グラフェンを担持している形態であると認められる。 そうすると、上記1(3)で判断したとおり、上記甲2に対する(1)ア(イ)の「表面未処理」の如何にかかわらず、上記甲1~甲4に記載された複合材が、本件発明1の「カーボン修飾窒化ホウ素粒子」と同じ構造であるとはいえない。 (イ)「(1) ア(ウ)、(エ)」について 甲10は、酸化グラフェンと六方晶窒化ホウ素との混合量比を変えることは記載されているが、濾別によりGOとhBNとの濃度が異なるフィルム状の複合材料を得るものであり、また、甲12、甲13は、窒化ホウ素粒子の表面に還元酸化グラフェンが付着した複合体が公知であるとして提示された文献であるが(なお、甲13は、本件特許の優先日後に公知となった文献である。)、前記「1(3)ア(ア)、イ(ア)、ウ(ア)、エ(ア)」で記載したように、甲1~甲4では、甲1-1~甲4-1発明の材料の形態を変更することは想定されていないのであるから、これらの技術的事項と、六方晶窒化ホウ素粒子と酸化グラフェンが複合した状態が異なる甲1~甲4に記載の材料と組み合わせることはできない。 イ 本件発明2について 上記アのとおり、本件発明1は、甲1に記載された発明であるとはいえず、また、甲1に記載された発明と甲10~13に記載された技術的事項を組み合わせることはできないから、本件発明1を引用する本件発明2は、甲1に記載された発明であるとも、また、甲1、甲10~13に記載の技術的事項から当業者が容易に想到することができたものであるとはいえない。 ウ 本件発明3について (ア)「(1) ウ(ア)、(イ)」について 甲3は、黒色の溶液を遠心分離してRGO/h-ナノ複合体を得ること、甲4は、過剰のGOを遠心分離により除去することなどが必須の工程として記載され、甲3においては、溶液が黒色であること、甲4では、過剰のGOが存在することが前提となっているのであるから、酸化グラフェンと窒化ホウ素との混合量比によって分散液が透明化する傾向があることが知られているとしても、混合量比を適宜調整して、酸化グラフェンの水分散液の色がなくなるまで窒化ホウ素を混合する工程を採用する動機付けはない。 (イ)「(1) ウ(ウ)」について 甲14は、剥離した酸化グラフェンと窒化ホウ素の懸濁液を減圧濾過することで濾過膜上で複合膜を製造するものである。一方、甲3、甲4は、窒化ホウ素で修飾した(還元型)酸化グラフェンを、記載事項3d、4b、4cのように、遠心分離により製造するものであるから、これらの製造に濾過膜を必要としない。 そうすると、甲3及び甲4には、甲14に記載の濾過膜を使用する製造方法を採用する動機付けはない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由及び当審が通知した取消理由によっては、本件特許1~3は、取り消すことができない。 また、他に本件特許1~3を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-700599

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