特許異議申立
2021-700575
ポリエステルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート組成物、接着剤、積層体、包装材
- 審判番号
- 2021-700575
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-544301
- 登録番号
- 6801828
- 請求日
- 2021年06月16日
- 審決日
- 2023年08月08日
- 公報発行日
- 2023年11月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】DIC株式会社
- 【権利者代理人】西澤 和純
- 【権利者代理人】阿部 茂輝
- 【権利者代理人】宮本 龍
- 【権利者代理人】成田 友紀
- 【権利者代理人】小川 眞治
- 【権利者代理人】岩本 明洋
- 【権利者代理人】大野 孝幸
- 【権利者代理人】齋藤 嘉久
- 【異議申立人】田中 俊子
- 審判長/審判官
- 審判長 ▲吉▼澤 英一
- 審判官 近野 光知
- 審判官 藤原 浩子
- 分類
- P1651.113-YAA(C08G) / P1651.121-YAA(C08G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第29条、特許法第120条の8第1項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第113条第2号、特許法第29条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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特許第6801828号発明「ポリエステルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート組成物、接着剤、積層体、包装材」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6801828号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の〔1-12〕について訂正することを認める。
特許第6801828号の請求項1~6、10~12に係る特許を維持する。
特許第6801828号の請求項7~9に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6801828号(請求項の数12。以下、「本件特許」という。)は、令和元年10月29日(優先権主張 平成30年11月6日(特願2018-208912号)、令和元年7月24日(特願2019-136091号))を国際出願日とする出願に係る特許であって、令和2年11月30日に設定登録がされたものである(特許掲載公報の発行日は同年12月16日である。)。
その後、令和3年6月16日に、本件特許の請求項1~12に係る特許に対して、特許異議申立人である田中俊子(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。
本件特許異議の申立てにおける手続の経緯は、以下のとおりである。
令和3年10月21日付け 取消理由通知
同年12月21日付け 意見書、訂正請求書
令和4年 1月17日付け 通知書(申立人宛)
同年 5月30日付け 訂正拒絶理由通知
(上記訂正拒絶理由通知に対する特許権者からの意見書の提出はなかった。)
同年 9月30日付け 取消理由通知(決定の予告)
同年11月24日付け 意見書、訂正請求書
令和5年 1月16日付け 通知書(申立人宛)
同年 2月 9日提出 意見書(申立人)
同年 3月13日付け 訂正拒絶理由通知
同年 4月18日提出 手続補正書、意見書(特許権者)
同年 7月 6日提出 上申書
なお、申立人に対して、令和4年1月17日付け通知書により、訂正請求があった旨の通知をしたが、申立人からの応答はなかった。
また、令和3年12月21日付け訂正請求書は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたとみなす。
第2 令和4年11月24日付け訂正請求の適否についての判断
1 訂正の内容
令和4年11月24日付け訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(下線は当審が付与し、訂正箇所を示す)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を
「ポリオール組成物と、ポリイソシアネート組成物とを含む2液型接着剤に用いられるポリイソシアネート組成物であって、
前記ポリオール組成物が、多価カルボン酸またはその誘導体(I-A)と、多価アルコール(II-A)との重縮合体であり、ポリエステル骨格を備えるポリオール(A)を含み、
前記多価カルボン酸またはその誘導体(I-A)は、カルボキシル基を除く部分の炭素原子数が8以下の脂肪族多価カルボン酸またはその誘導体(I-A-i)と、芳香族多価カルボン酸またはその誘導体(I-A-ii)とを含み、
前記多価アルコール(II-A)は、炭素原子数が8以下の脂肪族多価アルコール(II-A-i)を含み、
前記カルボキシル基を除く部分の炭素原子数が8以下の脂肪族多価カルボン酸またはその誘導体(I-A-i)と、前記芳香族カルボン酸またはその誘導体(I-A-ii)とモル配合比が1:9~9:1であり、
前記ポリイソシアネート組成物は多価カルボン酸またはその誘導体(I-B)と、多価アルコール(II-B)との重縮合体であるポリエステルと、イソシアネート化合物との反応生成物であるポリエステルポリイソシアネート(B)を含み、
前記多価カルボン酸またはその誘導体(I-B)は、カルボキシル基を除く部分の炭素原子数が8以下の脂肪族多価カルボン酸またはその誘導体(I-B-i)と、芳香族多価カルボン酸またはその誘導体(I-B-ii)とを含み、
前記芳香族多価カルボン酸またはその誘導体(I-B-ii)がオルトフタル酸およびオルトフタル酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含み、
前記多価アルコール(II-B)は、炭素原子数が8以下の脂肪族多価アルコール(II-B-i)を含み、
前記イソシアネート化合物が分子内に芳香環を有するイソシアネート化合物であり、前記分子内に芳香環を有するイソシアネート化合物がキシリレンジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシアネートを含む、ポリイソシアネート組成物。」に訂正する(請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項も同様に訂正する)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4を、
「前記イソシアネート化合物の全量が前記芳香環を有するイソシアネート化合物である請求項1~3のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。」に訂正する(請求項4の記載を直接又は間接的に引用する請求項も同様に訂正する)。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項6を、
「ポリオール組成物と、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物とを含む2液型接着剤であって、
前記ポリオール組成物が、多価カルボン酸またはその誘導体(I-A)と、多価アルコール(II-A)との重縮合体であり、ポリエステル骨格を備えるポリオール(A)を含み、
前記多価カルボン酸またはその誘導体(I-A)は,カルボキシル基を除く部分の炭素原子数が8以下の脂肪族多価カルボン酸またはその誘導体(I-A-i)と、芳香族多価カルボン酸またはその誘導体(I-A-ii)とを含み、
前記多価アルコール(II-A)は、炭素原子数が8以下の脂肪族多価アルコール(II-A-i)を含み、
前記カルボキシル基を除く部分の炭素原子数が8以下の脂肪族多価カルボン酸またはその誘導体(I-A-i)と、前記芳香族カルボン酸またはその誘導体(I-A-ii)とモル配合比が1:9~9:1である2液型接着剤。」に訂正する(請求項6の記載を直接又は間接的に引用する請求項も同様に訂正する)。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項7を削除する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項8を削除する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項9を削除する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項10を、
「ポリオール組成物と、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物とを含む2液型接着剤であって、
前記ポリオール組成物が、多価カルボン酸またはその誘導体(I-A)と、多価アルコール(II-A)との重縮合体であり、ポリエステル骨格を備えるポリオール(A)を含み、
前記多価カルボン酸またはその誘導体(I-A)は、カルボキシル基を除く部分の炭素原子数が8以下の脂肪族多価カルボン酸またはその誘導体(I-A-i)と、芳香族多価カルボン酸またはその誘導体(I-A-ii)とを含み、
前記多価アルコール(II-A)は、炭素原子数が8以下の脂肪族多価アルコール(II-A-i)を含み、
前記カルボキシル基を除く部分の炭素原子数が8以下の脂肪族多価カルボン酸またはその誘導体(I-A-i)と、前記芳香族カルボン酸またはその誘導体(I-A-ii)とモル配合比が1:9~9:1であり、
前記ポリオールの数平均分子量が300以上3000以下である2液型接着剤。」に訂正する(請求項10の記載を直接又は間接的に引用する請求項も同様に訂正する)。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項11を、
「第1の基材と、第2の基材と、前記第1の基材と前記第2の基材とを貼り合せる接着層とを含み、前記接着層が請求項6または10のいずれか一項に記載の2液型接着剤の硬化塗膜である積層体。」に訂正する(請求項11の記載を引用する請求項も同様に訂正する)。
(9)一群の請求項について
訂正前の請求項1~12のうち、請求項2~12は、請求項1を直接又は間接的に引用するものであり、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~12に対応する訂正後の請求項1~12は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
したがって、訂正事項1~8による本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとに請求されたものである。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項8及び9、本件明細書の【0058】及び実施例の記載を基に「ポリオール組成物」及び「芳香環を有するイソシアネート化合物」を限定するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、本件明細書の【0059】の「イソシアネート化合物の全量が芳香環を有するイソシアネート化合物であってもよい」との記載を基に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3)訂正事項3について
訂正事項3は、上記1(3)のとおりであるが、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項6には、
「ポリオール組成物と、ポリイソシアネート組成物とを含む2液型接着剤であって、
前記ポリオール組成物が、多価カルボン酸またはその誘導体(I-A)と、多価アルコール(II-A)との重縮合体であり、ポリエステル骨格を備えるポリオール(A)を含み、
前記多価カルボン酸またはその誘導体(I-A)は,カルボキシル基を除く部分の炭素原子数が8以下の脂肪族多価カルボン酸またはその誘導体(I-A-i)と、芳香族多価カルボン酸またはその誘導体(I-A-ii)とを含み、
前記多価アルコール(II-A)は、炭素原子数が8以下の脂肪族多価アルコール(II-A-i)を含み、
前記カルボキシル基を除く部分の炭素原子数が8以下の脂肪族多価カルボン酸またはその誘導体(I-A-i)と、前記芳香族カルボン酸またはその誘導体(I-A-ii)とモル配合比が1:9~9:1である2液型接着剤。」と記載され、訂正前の「請求項1~5のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物」が、訂正後に「ポリイソシアネート組成物」とされている。
そこで、当審は、令和5年3月13日付け訂正拒絶理由通知書により、訂正事項3は、「ポリイソシアネート組成物」に関して、「請求項1~5のいずれか一項に記載の」を削除したことにより、実質上特許請求の範囲の拡張又は変更をするものであるから、この訂正は認められない旨を通知した。
これに対し、特許権者は、令和5年4月18日提出の手続補正書(訂正請求書)により、令和4年11月24日付け訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲を補正し、請求項6を上記1(3)の訂正事項3のとおりとした。この補正は、上記訂正請求書の訂正事項3と、訂正特許請求の範囲の請求項6の記載とを整合させるものであり、上記訂正請求書の要旨を変更するものでないから、上記手続補正書による訂正請求書の補正を認める。
そして、訂正事項3は、本件訂正前の請求項8及び9の記載を基に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(4)訂正事項4~6について
訂正事項4~6は、請求項の削除であり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(5)訂正事項7について
訂正事項7は、訂正事項4~6により請求項7~9が削除されるのに伴い、請求項7~9を引用する訂正前の請求項10において、引用請求項から請求項7~9を削除し、その代わりに、請求項7~9が直接又は間接的に引用する請求項6が引用する請求項1~5のいずれか一項を引用するものであり、特許請求の範囲の減縮、又は明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(6)訂正事項8について
訂正事項8は、訂正事項4~6により請求項7~9が削除されるのに伴い、訂正前の請求項11が引用する「請求項6乃至10のいずれか一項」を「請求項6または10のいずれか一項」とするものであり、特許請求の範囲の減縮、又は明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(7)令和5年7月6日提出の上申書について
令和5年4月18日提出の手続補正書に添付した訂正特許請求の範囲には、請求項12に「請求項13に記載の積層体からなる包装材。」と記載されているが、本件特許の特許掲載公報では、「請求項11に記載の積層体からなる包装材。」と記載されている。
そして、特許権者は、令和5年7月6日提出の上申書により、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項12は、本件特許の特許掲載公報に記載された請求項12と同じであり、「請求項11に記載の積層体からなる包装材。」の誤記である旨を主張する。
当審は、本件訂正の訂正請求書には請求項12に係る訂正事項は存在しないことから、上記主張のとおり、訂正特許請求の範囲の請求項12は誤記であり、正しくは「請求項11に記載の積層体からなる包装材。」であることは明らかであると判断する。
3 訂正の適否についての判断のむすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、令和5年4月18日提出の手続補正書による訂正請求書の補正を認め、また、同年7月6日提出の上申書により特許権者の主張を採用し、訂正事項1~8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、令和5年4月18日に手続補正された訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲(請求項12は、令和5年7月6日提出の上申書にあるように、本件特許掲載公報のそれと同じである。)のとおり、本件訂正後の請求項1~12について訂正することを認める。
第3 本件発明
第2で述べたように、令和5年4月18日に手続補正された本件訂正は認められたから、請求項1~12に係る発明は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
ポリオール組成物と、ポリイソシアネート組成物とを含む2液型接着剤に用いられるポリイソシアネート組成物であって、
前記ポリオール組成物が、多価カルボン酸またはその誘導体(I-A)と、多価アルコール(II-A)との重縮合体であり、ポリエステル骨格を備えるポリオール(A)を含み、
前記多価カルボン酸またはその誘導体(I-A)は、カルボキシル基を除く部分の炭素原子数が8以下の脂肪族多価カルボン酸またはその誘導体(I-A-i)と、芳香族多価カルボン酸またはその誘導体(I-A-ii)とを含み、
前記多価アルコール(II-A)は、炭素原子数が8以下の脂肪族多価アルコール(II-A-i)を含み、
前記カルボキシル基を除く部分の炭素原子数が8以下の脂肪族多価カルボン酸またはその誘導体(I-A-i)と、前記芳香族カルボン酸またはその誘導体(I-A-ii)とモル配合比が1:9~9:1であり、
前記ポリイソシアネート組成物は多価カルボン酸またはその誘導体(I-B)と、多価アルコール(II-B)との重縮合体であるポリエステルと、イソシアネート化合物との反応生成物であるポリエステルポリイソシアネート(B)を含み、
前記多価カルボン酸またはその誘導体(I-B)は、カルボキシル基を除く部分の炭素原子数が8以下の脂肪族多価カルボン酸またはその誘導体(I-B-i)と、芳香族多価カルボン酸またはその誘導体(I-B-ii)とを含み、
前記芳香族多価カルボン酸またはその誘導体(I-B-ii)がオルトフタル酸およびオルトフタル酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含み、
前記多価アルコール(II-B)は、炭素原子数が8以下の脂肪族多価アルコール(II-B-i)を含み、
前記イソシアネート化合物が分子内に芳香環を有するイソシアネート化合物であり、前記分子内に芳香環を有するイソシアネート化合物がキシリレンジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシアネートを含む、ポリイソシアネート組成物。
【請求項2】
前記カルボキシル基を除く部分の炭素原子数が8以下の脂肪族多価カルボン酸またはその誘導体(I-B-i)と、前記芳香族カルボン酸またはその誘導体(I-B-ii)とのモル比が1:9~9:1である請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項3】
前記カルボキシル基を除く部分の炭素原子数が8以下の脂肪族多価カルボン酸またはその誘導体(I-B-i)が、シュウ酸、マロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、ジメチルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、4-シクロヘキセンジカルボン酸、3-メチル-4-シクロヘキセン1,2-ジカルボン酸、これらの無水物、メチルエステル化物からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1または2のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項4】
前記イソシアネート化合物の全量が前記芳香環を有するイソシアネート化合物である請求項1~3のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項5】
粘度調整剤を含む請求項1~4のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項6】
ポリオール組成物と、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物とを含む2液型接着剤であって、
前記ポリオール組成物が、多価カルボン酸またはその誘導体(I-A)と、多価アルコール(II-A)との重縮合体であり、ポリエステル骨格を備えるポリオール(A)を含み、
前記多価カルボン酸またはその誘導体(I-A)は、カルボキシル基を除く部分の炭素原子数が8以下の脂肪族多価カルボン酸またはその誘導体(I-A-i)と、芳香族多価カルボン酸またはその誘導体(I-A-ii)とを含み、
前記多価アルコール(II-A)は、炭素原子数が8以下の脂肪族多価アルコール(II-A-i)を含み、
前記カルボキシル基を除く部分の炭素原子数が8以下の脂肪族多価カルボン酸またはその誘導体(I-A-i)と、前記芳香族カルボン酸またはその誘導体(I-A-ii)とモル配合比が1:9~9:1である2液型接着剤。
【請求項7】
削除
【請求項8】
削除
【請求項9】
削除
【請求項10】
ポリオール組成物と、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物とを含む2液型接着剤であって、
前記ポリオール組成物が、多価カルボン酸またはその誘導体(I-A)と、多価アルコール(II-A)との重縮合体であり、ポリエステル骨格を備えるポリオール(A)を含み、
前記多価カルボン酸またはその誘導体(I-A)は、カルボキシル基を除く部分の炭素原子数が8以下の脂肪族多価カルボン酸またはその誘導体(I-A-i)と、芳香族多価カルボン酸またはその誘導体(I-A-ii)とを含み、
前記多価アルコール(II-A)は、炭素原子数が8以下の脂肪族多価アルコール(II-A-i)を含み、
前記カルボキシル基を除く部分の炭素原子数が8以下の脂肪族多価カルボン酸またはその誘導体(I-A-i)と、前記芳香族カルボン酸またはその誘導体(I-A-ii)とモル配合比が1:9~9:1であり、
前記ポリオールの数平均分子量が300以上3000以下である2液型接着剤。
【請求項11】
第1の基材と、第2の基材と、前記第1の基材と前記第2の基材とを貼り合せる接着層とを含み、前記接着層が請求項6または10のいずれか一項に記載の2液型接着剤の硬化塗膜である積層体。
【請求項12】
請求項11に記載の積層体からなる包装材。」
第4 特許異議申立書に記載した申立ての理由及び当審が通知した取消理由
1 特許異議申立書に記載した申立ての理由
本件特許の請求項1~12に係る特許は、下記(1)及び(2)の理由により、特許法第113条第2号に該当し取り消されるべきものである。証拠方法として、 下記(3)の甲第1号証及び甲第2号証を提出する。
(1)申立理由1(新規性)
本件特許の特許権設定登録時の請求項1~4、6~12に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、上記請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(2)申立理由2(進歩性)
本件特許の特許権設定登録時の請求項1~12に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である甲第1号証に記載された発明並びに甲第1号証及び甲第2号証の記載に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、上記請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(3)証拠方法
甲第1号証:国際公開第2017/104639号
甲第2号証:特開2018-178090号公報
(以下、甲第1号証及び甲第2号証を、それぞれ「甲1」及び「甲2」と略す。)
2 当審が令和4年9月30日付けで通知した取消理由(決定の予告)
(1)取消理由1(新規性)
本件特許の特許権設定登録時の請求項1ないし4及び6ないし12に係る発明は、甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができるものではないから、上記請求項に係る発明についての特許は、特許法第29条に違反してされたものであって、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(2)取消理由2(進歩性)
本件特許の特許権設定登録時の請求項1ないし12に係る発明は、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けられないものであるから、上記請求項に係る発明についての特許は、特許法第29条に違反してされたものであって、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
第5 当審の判断
以下に述べるように、当審が通知した取消理由、及び、特許異議申立書の申立理由によっては、本件発明1~6、10~12に係る特許は取り消すことはできない。
そして、本件発明7~9に係る特許に対する申立ては、本件訂正により請求項7~9が削除されたから却下する。
1 本件発明7~9に係る特許に対する申立ての却下
第2及び第3で示したとおり、本件特許の請求項7~9は本件訂正により削除され、この特許に対する申立ては、申立ての対象を欠くこととなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により決定をもって却下すべきものである。
2 取消理由1(新規性)及び取消理由2(進歩性)について
申立理由1及び2は、取消理由1及び2と同旨であるから、併せて検討する。
(1)甲1に記載された事項
甲1には、次の事項が記載されている。
「[請求項1]
オルト配向性芳香族ジカルボン酸又はその酸無水物を含有する酸成分(E1)とポリオール成分(D)との反応物であるポリエステルポリオール(A)と2官能以上の液状アルコールである希釈剤(C)を含有する主剤と、ポリイソシアネート化合物(B)を含有する硬化剤とを有し、前記主剤の粘度が60℃で10000mPa.s以下であることを特徴とするガスバリア性接着剤。
[請求項2]
前記ポリエステルポリオール(A)が、オルト配向性芳香族ジカルボン酸又はその酸無水物を含有する酸成分(E1)と、マレイン酸又はその酸無水物、フマル酸又はその酸無水物、及びコハク酸又はその酸無水物、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸から成る群から選ばれる少なくとも1つのカルボン酸又は酸無水物である酸成分(E2)と、ポリオール成分(D)との反応物であり、前記酸成分(E1)と前記酸成分(E2)とのモル比率が1:9~9:1の範囲である請求項1に記載のガスバリア性接着剤。
[請求項3]
前記ポリイソシアネート化合物(B)が、ポリオール成分と二塩基酸成分との反応物であるポリエステル化合物の末端にメタキシレンジイソシアネート基、ジフェニルメタンジイソシアネート基、ヘキサメチレンジイソシアネート基の何れかを有する請求項1または2に記載のガスバリア性接着剤。
[請求項4]
前記希釈剤(C)が、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、またはポリプロピレングリコールである請求項1~3の何れかに記載のガスバリア性接着剤。
[請求項5]
前記ポリイソシアネート化合物(B)の二塩基酸成分が、オルト配向性芳香族ジカルボン酸又はその酸無水物を含有する酸成分(E1)と、マレイン酸又はその酸無水物、フマル酸又はその酸無水物、及びコハク酸又はその酸無水物、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸から成る群から選ばれる少なくとも1つのカルボン酸又は酸無水物である酸成分(E2)との混合物である請求項1~4の何れかに記載のガスバリア性接着剤。
[請求項6]
請求項1~5の何れかに記載のガスバリア性接着剤が塗工されたフィルム。
[請求項7]
請求項6に記載のフィルムを用いてなるガスバリア性フィルム。」
「技術分野
[0001]
本発明は、ガスバリア性接着剤、フィルム、及びガスバリア性フィルムに関する。
背景技術
[0002]
食品や飲料等の包装に用いられる包装材料は、内容物保護、賞味期限の延長等のニーズから、酸素或いは水蒸気バリア性を要求されることが多い。これらのニーズを満足するためには、軟包材の構成にシリカ、アルミナ等の無機を蒸着した透明蒸着フィルム、或いはアルミニウム箔を組み合わせた積層フィルムが使用される。
[0003]
しかしながら、前記蒸着フィルムには僅かな蒸着欠陥があるのが普通であることから、バリア性が完全ではないこと、割れが生じるなど、取り扱い性が悪いなどの問題点がある。またアルミニウム箔は、不活性ガスバリアは完全ではあるが、リサイクルの観点から使用しにくく、且つ高価である等の問題点もある。
[0004]
一方、前記食品包装用積層フィルムを貼り合わせるために使用する接着剤として、酸素バリア性に優れるポリエステル系材料の反応型接着剤も知られており、70~100質量%のオルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種を含む多価カルボン酸成分と多価アルコール成分を重縮合して得られる非晶性ポリエステルポリオールと、これと反応しうる硬化剤とを含有する接着剤や(例えば特許文献1参照)、2個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール(A)と2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート(B)とを含有してなるガスバリア性接着剤層、及びアルミ蒸着層若しくはアルミ箔を含む層を有するガスバリア性多層フィルム(例えば特許文献2参照)が記載されている。 しかしながらこれらで開示されたポリエステルポリオールは粘度が非常に高く、特許文献2で開示されているように、酢酸エチル等の有機溶剤で希釈しないと特に蒸着フィルムやアルミニウム箔等の金属表面での塗工が難しいものであった。近年は特に環境負荷の低減および作業環境の改善の観点から、揮発性の有機溶剤を含有しない、いわゆる無溶剤型の接着剤の需要が高く、この点から、前記特許文献1や2で開示されたポリエステルポリオールは、無溶剤型の接着剤として適用されるために改善の余地があった。
[0005]
一方、無溶剤型の接着剤はインキを溶解させやすい低分子量エステル成分の割合が多いため耐インキ再溶解性が悪く、フィルム外観を損なう問題があった。
先行技術文献
特許文献
[0006]
特許文献1:WO11/162160
特許文献2:特開2013-147014号公報
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0007]
本発明が解決しようとする課題は、蒸着フィルムやアルミニウム箔等のラミネート接着にも適用可能なガスバリア性接着剤を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0008]
本発明者らは、特許文献1や2に開示されたポリエステルポリオールであるオルト配向性芳香族ジカルボン酸又はその酸無水物を含有する酸成分(E1)とポリオール成分(D)との反応物であるポリエステルポリオールの、フィルム外観とバリア性を維持し且つ粘度を低下させる手段として、希釈剤(C)として2官能以上の液状アルコールと併用することで前記課題を解決した。即ち本発明者らは、前記希釈剤(C)として使用するの2官能以上の液状アルコールが、耐インキ再溶解性に優れ且つ前記ポリエステルポリオールの溶解性に優れ効率よく低粘度化できることを見いだした。さらに前記液状アルコールは揮発温度が高いため、ラミネート時にはポリイソシアネート化合物(B)と反応するためにラミネート後のフィルムからの溶出のおそれもなく、食品包装用に最適なガスバリア性フィルムを提供できることを見いだした。
[0009]
即ち本発明は、オルト配向性芳香族ジカルボン酸又はその酸無水物を含有する酸成分(E1)とポリオール成分(D)との反応物であるポリエステルポリオール(A)と2官能以上の液状アルコールである希釈剤(C)を含有する主剤と、ポリイソシアネート化合物(B)を含有する硬化剤とを有し、前記主剤の粘度が60℃で10000mPa.s以下であるガスバリア性接着剤を提供する。
[0010]
また本発明は、前記記載のガスバリア性接着剤が塗工されたフィルムを提供する。
[0011]
また本発明は、前記記載のフィルムを用いてなるガスバリア性フィルムを提供する。
発明の効果
[0012]
本発明のガスバリア性接着剤は、蒸着フィルムやアルミニウム箔等のラミネート接着にも適用可能であり、優れた接着強度と外観を与えるガスバリア性フィルムが得られる。」
「[0033]
(ポリイソシアネート化合物(B))
本発明で使用するイソシアネート化合物(B)は、反応型接着剤の硬化剤とも称されており、汎用に使用されるものであれば特に限定なく使用できるが、中でも、ポリオール成分と二塩基酸との反応物であるポリエステル化合物の末端にイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(B)が好ましい。具体的にはポリエステル化合物との反応に用いられるイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。また、本発明の効果を損なわない範囲においてイソシアネートモノマーを使用しても良い。
[0034]
特に、芳香族環を有するポリイソシアネートであると、よりガスバリア性に優れ好ましい。特に、キシレン骨格を含むポリイソシアネートであると、ウレタン基の水素結合だけでなく芳香環同士のπ-πスタッキングによってガスバリア性を向上させることが出来るという理由から、ポリオール成分と二塩基酸との反応物であるポリエステル化合物の末端にメタキシレンジイソシアネート基、ジフェニルメタンジイソシアネート基、ヘキサメチレンジイソシアネート基を有する化合物が特に好ましい。
[0035]
…
[0039]
前記ポリイソシアネート化合物(B)は、公知の硬化剤或いは促進剤を併用することもできる。例えば硬化剤としては、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDIと略す)・ヌレート体、HDI・ビュレット体、HDI・アロファネート体、HDI・ウレトジオン体等が挙げられる。例えば接着促進剤としては、加水分解性アルコキシシラン化合物等のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系等のカップリング剤、エポキシ樹脂等が挙げられる。シランカップリング剤やチタネート系カップリング剤は、各種フィルム材料に対する接着強度を向上させる意味でも好ましい。」
「[0057]
(製造例5)エチレングリコールと無水フタル酸とアジピン酸からなるポリエステルポリオール(A)「EGoPA5AA5 0.85K」製造方法
攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、コンデンサーを備えたポリエステル反応容器に、エチレングリコールを791.0部、無水フタル酸740.6部、アジピン酸730.7部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.10部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を200℃に保持した。酸価が5.0mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、設計官能基数N=2、水酸基価=135、水酸基価から計算される理論数平均分子量850、60℃粘度が1300mPa・sのポリエステルポリオール(A)「EGoPA5AA5 0.85K」を得た。
[0058]
…
[0064]
(製造例12)ポリイソシアネート化合物(B)「(EGoPA5AA5)XDI2」の製造例
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び環流冷却器を備えた四つ口フラスコにポリエステル樹脂「EGoPA5AA5」540部とXDI522.14部を仕込み、窒素気流下60℃で3時間反応させた。NCO%が17%以下になったところでウレタン化反応を終了し、設計官能基数N=2、NCO%が15.8%、60℃粘度280mPa・sのポリイソシアネート化合物(B)「(EGoPA5AA5)XDI2」を得た。
[0065]
(製造例13)ポリイソシアネート化合物(B)「XDI(EG2oPA)HDI-CDMDIの製造例
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び環流冷却器を備えた四つ口フラスコにポリエステル樹脂「EG2oPA」128.29部とXDI172.1部、ヘキサメチレンジイソシアネート・ビュレット体227.24を仕込み、窒素気流下60℃で3時間反応させた。NCO%が15.5%以下になったところでカルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート(CDMDIと略す)417.36部を仕込んでウレタン化反応を終了し、設計官能基数N=2.24、NCO%が21.5%、60℃粘度280mPa・sのポリイソシアネート化合物(B)「(XDI(EG2oPA)HDI-CDMDI」を得た。
[0066]
(製造例14)ポリイソシアネート化合物(B)「XDI(EGoPA5AA5)HDI-CDMDI」の製造例
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び環流冷却器を備えた四つ口フラスコにポリエステル樹脂「EGoPA5AA5」389.23部とXDI172.1部、ヘキサメチレンジイソシアネート・アロファネート体268.64を仕込み、窒素気流下60℃で3時間反応させた。NCO%が9.0%以下になったところでCDMDI729.48部を仕込んでウレタン化反応を終了し、設計官能基数N=2、NCO%が18.2%、60℃粘度310mPa・sのポリイソシアネート化合物(B)「(XDI(EGoPA5AA5)HDI-CDMDI」を得た。」
「[0069]
(実施例1~11)
表1、2の組成に従い、ポリエステルポリオール(A)と希釈剤(C)を含有する主剤と、ポリイソシアネート化合物(B)を含有する硬化剤とを混合し、ガスバリア性接着剤を得た。
[0070]
…
[0071]
(実施例1~11、及び比較例1~5の接着剤を使用したガスバリア性フィルムの製造方法)
実施例1~11、及び比較例1~5で得た接着剤を約60℃に加熱し、無溶剤用テストコーターポリタイプ社製ロールコーターを用いて、厚さ30μmのOPPフィルム(フタムラ化学(株)製「FOR」)のコロナ処理面に塗布量2.0g/m2になるよう塗布後、塗布面を厚さ24μmのアルミ蒸着CPP(VM-CPPフィルム)(東レフィルム加工(株)製「2203」)のVM処理面とラミネートし、OPPフィルム/接着剤層/VM-CPPフィルムの層構成を有する積層フィルムを作製した。次いで、得られた積層フィルムを40℃×3日間のエージングを行い接着剤の硬化を行って、ガスバリア性フィルムを得た。」
「[0076]
実施例、比較例の結果を表1、表2及び表3に示す。
[0077]
[表1]
[図:0001403607000001.jpg]
[0078]
[表2]
[図:0001403607000002.jpg]
[0080]
表中、略語は以下の通りである。
…
EGoPA5AA5 0.85K:エチレングリコールとオルトフタル酸とアジピン酸(オルトフタル酸とアジピン酸のモル比率5:5)からなる理論数平均分子量約850のポリエステルポリオール
EGoPA5SA5 0.85K:エチレングリコールとオルトフタル酸とスベリン酸(オルトフタル酸とスベリン酸のモル比率5:5)からなる理論数平均分子量約850のポリエステルポリオール
EGoPA5SeA5 0.85K:エチレングリコールとオルトフタル酸とセバシン酸(オルトフタル酸とセバシン酸のモル比率5:5)からなる理論数平均分子量約850のポリエステルポリオール
…
[0081]
EG:エチレングリコール
…
(EGoPA5AA5)XDI2:ポリエステル樹脂「EGoPA5AA5」の末端にキシリレンジイソシアネートを付加したイソシアネート化合物(B)
…
XDI(EGoPA5AA5)HDI-CDMDI:ポリエステル樹脂「EGoPA5AA5」の末端にキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート体を付加した後、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネートを添加したイソシアネート化合物(B)
…」
(2)甲1に記載された発明
ア 甲1には、オルト配向性芳香族ジカルボン酸又はその酸無水物を含有する酸成分(E1)とポリオール成分(D)との反応物であるポリエステルポリオール(A)と2官能以上の液状アルコールである希釈剤(C)を含有する主剤と、ポリイソシアネート化合物(B)を含有する硬化剤とを有し、上記主剤の粘度が60℃で10000mPa.s以下であるガスバリア性接着剤([請求項1])が記載されている。
そして、甲1には、上記ポリエステルポリオール(A)が、オルト配向性芳香族ジカルボン酸又はその酸無水物を含有する酸成分(E1)と、マレイン酸又はその酸無水物、フマル酸又はその酸無水物、及びコハク酸又はその酸無水物、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸から成る群から選ばれる少なくとも1つのカルボン酸又は酸無水物である酸成分(E2)と、ポリオール成分(D)との反応物であり、上記酸成分(E1)と酸成分(E2)とのモル比率が1:9~9:1の範囲であること([請求項2])、及び、上記ポリイソシアネート化合物(B)が、二塩基酸成分との反応物であるポリエステル化合物の末端にメタキシレンジイソシアネート基、ジフェニルメタンジイソシアネート基、ヘキサメチレンジイソシアネート基の何れかを有するものであること([請求項3])、及び、ポリオール成分とオルト配向性芳香族ジカルボン酸又はその酸無水物を含有する酸成分(E1)と、マレイン酸又はその酸無水物、フマル酸又はその酸無水物、及びコハク酸又はその酸無水物、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸から成る群から選ばれる少なくとも1つのカルボン酸又は酸無水物である酸成分(E2)との混合物であること([請求項5])が記載されている。
また、甲1には、上記ガスバリア性接着剤が塗工されたフィルム([請求項6])、及びこれを用いたガスバリア性フィルム([請求項7])も記載されている。
イ そして、甲1には、製造例5として、エチレングリコール(EG)と無水フタル酸(oPA)740.6部とアジピン酸(AA)730.7部(oPAとAAのモル比率5:5)からなる理論数平均分子量850のポリエステルポリオール(A)である「EGoPA5AA5 0.85K」([0057]、[0080])、製造例12として、「EGoPA5AA5」540部と、キシリレンジイソシアネート(XDI)522.14部を反応させ、「EGoPA5AA5」の末端にXDIを付加したポリイソシアネート化合物(B)である「(EGoPA5AA5)XDI2」([0064]、[0081])が記載され、上記ガスバリア性接着剤の具体例である実施例9として、ポリエステルポリオール(A)「EGoPA5AA5 0.85K」15.00部と、1,3ブタンジオール1.50部及びポリプロピレングリコール(平均分子量約400)2.25部からなる希釈剤(C)を含有する主剤と、ポリイソシアネート化合物(B)「(EGoPA5AA5)XDI2」33.20部を含有する硬化剤とを混合し、上記主剤の粘度が60℃で600mPa.sである2液型接着剤が記載されており([0077]~[0078]及び[表2])、当該各接着剤を使用し2つの基材を接着して積層フィルムを製造したことも記載されている([0071])。
ここで、「(EGoPA5AA5)XDI2」は、「EGoPA5AA5 0.85K」に「XDI」が2モル結合したポリイソシアネート化合物を表すものと認められる。また、甲1には、「EGoPA5AA5 0.85K」の製造について記載され、「EGoPA5AA5」の製造について記載されていないから、「EGoPA5AA5」は、「EGoPA5AA5 0.85K」の分子量に係る「0.85K」を省略したものであって、両者は同一物を表すものと解するのが自然である。
ウ 甲1には、上記ガスバリア性接着剤及びガスバリア性フィルムにつき、食品包装材料のラミネート用途に使用することを指向していることも記載されている([0002]~[0005]、[0007]及び[0012])。
エ そうすると、上記記載からみて、甲1には、製造例5及び12、実施例9に着目して、次の発明が記載されているといえる。
「ポリエステルポリオール(A)「EGoPA5AA5 0.85K」15.00部と、1,3ブタンジオール1.50部及びポリプロピレングリコール(平均分子量約400)2.25部からなる希釈剤(C)を含有する主剤と、ポリイソシアネート化合物(B)「(EGoPA5AA5)XDI2」33.20部を含有する硬化剤とを混合し、上記主剤の粘度が60℃で600mPa.sであるガスバリア性2液型接着剤に用いられる上記硬化剤。」(以下「甲1発明A1」という。)
「ポリエステルポリオール(A)「EGoPA5AA5 0.85K」15.00部と、1,3ブタンジオール1.50部及びポリプロピレングリコール(平均分子量約400)2.25部からなる希釈剤(C)を含有する主剤と、ポリイソシアネート化合物(B)「(EGoPA5AA5)XDI2」33.20部を含有する硬化剤とを混合し、上記主剤の粘度が60℃で600mPa.sであるガスバリア性2液型接着剤。」(以下「甲1発明A2」という。)
「厚さ30μmのOPPフィルムのコロナ処理面に甲1発明A2のガスバリア性2液型接着剤を塗布量2.0g/m2になるよう塗布後、塗布面を厚さ24μmのアルミ蒸着CPP(VM-CPPフィルム)のVM処理面とラミネートした、OPPフィルム/接着剤層/VM-CPPフィルムの層構成を有する積層フィルム。」(以下「甲1発明A3」という。)
また、甲1の[0002]~[0005]、[0007]及び[0012]の記載から、
「甲1発明A3の積層フィルムを含む食品包装材料。」に係る発明(以下「甲1発明A4」という。)が記載されているといえる。
(3)甲2に記載された事項
甲2には、次の事項が記載されている。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシル基、カルボキシレートアニオン基及び水酸基から選ばれる1種以上の官能基(f)を有するポリウレタン樹脂(U)と、カルボジイミド基(t1)、オキサゾリン基(t2)、エポキシ基(t3)及びシラノール基(t4)から選ばれる1種以上の官能基を分子内に2個以上有する架橋剤(T)と、ブロック化ポリイソシアネート化合物(J)及び水性媒体とを含有するポリウレタン樹脂組成物水性分散体であって、ブロック化ポリイソシアネート化合物(J)がカルボキシル基、カルボキシレートアニオン基及び水酸基から選ばれる1種以上の基である官能基(g)を有するポリイソシアネート化合物(I)とイソシアネートブロック化剤(E)との反応物であるポリウレタン樹脂組成物水性分散体(Q)。
【請求項2】
イソシアネートブロック化剤(E)が、炭素数1~15のオキシム、炭素数2~15の第二級アミン、活性メチレン化合物及び環の構成単位としてイミノ基と窒素-炭素2重結合とを有する5員環化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のポリウレタン樹脂組成物水性分散体。
【請求項3】
インクジェットインク用である請求項1又は2に記載のポリウレタン樹脂組成物水性分散体。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のポリウレタン樹脂組成物水性分散体(Q)、顔料、及び保湿安定助剤を含有するインクジェットインク(L)。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、基材との密着性と皮膜強度に優れるポリウレタン樹脂組成物水性分散体を提供することにある。」
「【0069】
本発明のブロック化ポリイソシアネート化合物(J)は、その粘度調整を目的として、更に可塑剤及び/又は有機溶剤を含有することができる。
【0070】
可塑剤としては、芳香族カルボン酸エステル[ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジ-2-エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジラウリルフタレ-ト、ジステアリルフタレート及びジイソノニルフタレート(DINP)等のフタル酸エステル等]、脂肪族カルボン酸エステル[メチルアセチルリシノレート、ジ-2-エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジ-2-エチルヘキシルセバケート(DOS)、アジピン酸-プロピレングリコールポリエステル及び2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート等]、リン酸エステル[トリフェニルホスフェート及びトリクレジルホスフェート等]及びこれら2種以上の混合物が挙げられる。これらの内、(A)との相溶性の観点から好ましいのは芳香族カルボン酸エステル、更に好ましいのはDOP及びDINPである。
【0071】
有機溶剤としては、ケトン系溶剤(例えばアセトン及びメチルエチルケトン)、エステル系溶剤(例えば酢酸エチル、ニ塩基酸エステル(DBE))、エーテル系溶剤(例えばテトラヒドロフラン)、アミド系溶剤(例えばN,N-ジメチルホルムアミド及びN-メチルピロリドン)、アルコール系溶剤(例えばイソプロピルアルコール)及び芳香族炭化水素系溶剤(例えばトルエン)等]を含有してもよい。」
(4)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明A1とを対比する。
(ア)甲1発明A1の「EG」(エチレングリコール)、は、本件発明1の「炭素原子数が8以下の脂肪族多価アルコール(II-A-i)を含む」「多価アルコール(II-A)」、及び「炭素原子数が8以下の脂肪族多価アルコール(II-B-i)を含む」「多価アルコール(II-B)」に相当する。
(イ)甲1発明A1の「oPA」(オルトフタル酸)は、本件発明1の「芳香族多価カルボン酸またはその誘導体(I-A-ii)」及び「オルトフタル酸およびオルトフタル酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含」む「芳香族多価カルボン酸またはその誘導体(I-B-ii)」に相当する。
(ウ)甲1発明A1の「AA」(アジピン酸)は、本件発明1の「カルボキシル基を除く部分の炭素原子数が8以下の脂肪族多価カルボン酸またはその誘導体(I-A-i)」及び「カルボキシル基を除く部分の炭素原子数が8以下の脂肪族多価カルボン酸またはその誘導体(I-B-i)」に相当する。
(エ)甲1発明A1の「ポリエステルポリオール(A)「EGoPA5AA5 0.85K」」及び「(EGoPA5AA5)」は、本件発明1の「多価カルボン酸またはその誘導体(I-A)と、多価アルコール(II-A)との重縮合体であり、ポリエステル骨格を備えるポリオール(A)」及び「カルボキシル基を除く部分の炭素原子数が8以下の脂肪族多価カルボン酸またはその誘導体(I-B-i)と、芳香族多価カルボン酸またはその誘導体(I-B-ii)とを含」む「多価カルボン酸またはその誘導体(I-B)と」「炭素原子数が8以下の脂肪族多価アルコール(II-B-i)を含」む「多価アルコール(II-B)との重縮合体であるポリエステル」に相当する。
(オ)そして、甲1発明A1の「ポリエステルポリオール(A)「EGoPA5AA5 0.85K」」は、oPAとAAのモル比率5:5であるから、本件発明1の「前記カルボキシル基を除く部分の炭素原子数が8以下の脂肪族多価カルボン酸またはその誘導体(I-A-i)と、前記芳香族カルボン酸またはその誘導体(I-A-ii)とモル配合比が1:9~9:1であり」を充足する。
(カ)甲1発明A1における「XDI」(キシリレンジイソシアネート)は、分子内に芳香環を有するイソシアネート化合物であるから、本件発明1における「分子内に芳香環を有するイソシアネート化合物」に相当する。そして、甲1発明A1における「ポリイソシアネート化合物(B)「(EGoPA5AA5)XDI2」」は、本件発明1における「多価カルボン酸またはその誘導体(I-B)と、多価アルコール(II-B)との重縮合体であるポリエステルと、」「分子内に芳香環を有するイソシアネート化合物を含む」「イソシアネート化合物との反応生成物であるポリエステルポリイソシアネート(B)」に相当する。
(キ)甲1発明A1における「主剤」、「硬化剤」及び「ガスバリア性2液型接着剤」は、本件発明1の「ポリオール組成物」、「ポリイソシアネート組成物」及び「2液型接着剤」に相当する。
(ク)そうすると、本件発明1と甲1発明A1とは、
「ポリオール組成物と、ポリイソシアネート組成物とを含む2液型接着剤に用いられるポリイソシアネート組成物であって、
前記ポリオール組成物が、多価カルボン酸またはその誘導体(I-A)と、多価アルコール(II-A)との重縮合体であり、ポリエステル骨格を備えるポリオール(A)を含み、前記多価カルボン酸またはその誘導体(I-A)は、カルボキシル基を除く部分の炭素原 子数が8以下の脂肪族多価カルボン酸またはその誘導体(I-A-i)と、芳香族多価カルボン酸またはその誘導体(I-A-ii)とを含み、
前記多価アルコール(II-A)は、炭素原子数が8以下の脂肪族多価アルコール(II-A-i)を含み、
前記カルボキシル基を除く部分の炭素原子数が8以下の脂肪族多価カルボン酸またはその誘導体(II-A-i)と、前記芳香族カルボン酸またはその誘導体(II-A-ii)とモル配合比が1:9~9:1であり、
前記ポリイソシアネート組成物は多価カルボン酸またはその誘導体(I-B)と、多価アルコール(II-B)との重縮合体であるポリエステルと、イソシアネート化合物との反応生成物であるポリエステルポリイソシアネート(B)を含み、
前記多価カルボン酸またはその誘導体(I-B)は、カルボキシル基を除く部分の炭素原子数が8以下の脂肪族多価カルボン酸またはその誘導体(I-B-i)と、芳香族多価カルボン酸またはその誘導体(I-B-i)とを含み、
前記芳香族多価カルボン酸またはその誘導体(I-B-ii)がオルトフタル酸およびオルトフタル酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含み、
前記多価アルコール(II-B)は、炭素原子数が8以下の脂肪族多価アルコール(I-B-i)を含み、
前記イソシアネート化合物が分子内に芳香環を有するイソシアネート化合物であり、前記分子内に芳香環を有するイソシアネート化合物がキシリレンジイソシアネートを含む、ポリイソシアネート組成物。」の点で一致し、次の点で相違する。
相違点1:「分子内に芳香環を有するイソシアネート化合物」が、本件発明1では、「キシリレンジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシアネートを含む」のに対して、甲1発明A1では、「XDI」(キシリレンジイソシアネート)である点
イ 検討
相違点1について検討する。
まず、甲1発明A1のイソシアネート化合物(B)は「(EGoPA5AA5)XDI2」であって、ジフェニルメタンジイソシアネートを含むものではないから、相違点1は実質的な相違点である。そうすると、本件発明1は甲1に記載された発明ではない。
次に、相違点1の容易想到性を検討する。
甲1には、「ポリエステル化合物との反応に用いられるイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる」(【0033】)と記載され、上記イソシアネートとして、ジフェニルメタンジイソシアネート及びメタキシリレンジイソシアネートが例示されている。また、甲1の製造例13及び14には、キシリレンジイソシアネートと、ヘキサメチレンジイソシアネート・ビュレット体又はヘキサメチレンジイソシアネート・アロファネート体を併用し、これらをポリエステル樹脂と反応させたポリイソシアネート化合物(B)が記載されている。
しかしながら、甲1には、キシリレンジイソシアネートとジフェニルメタンジイソシアネートを併用して、これらをポリエステル樹脂と反応させてポリイソシアネート化合物(B)を得ることは記載されていない。ましてや、甲1では、折り曲げ処理にも強いガスバリア性多層フィルムや包装材を提供するという課題や、キシリレンジイソシアネートとジフェニルメタンジイソシアネートを併用することにより、折り曲げ処理に強いガスバリア性多層フィルムや包装材が得られるとの知見は記載も示唆もされていない。
そうすると、甲1発明A1において、甲1の記載を基に、キシリレンジイソシアネートとジフェニルメタンジイソシアネートを併用して、これらをポリエステル樹脂と反応させてポリイソシアネート(B)とすることが動機付けられるとはいえない。また、甲2にも、甲1発明A1において、キシリレンジイソシアネートとジフェニルメタンジイソシアネートを併用することを動機づける記載は見当たらない。
したがって、相違点1は、甲1及び甲2の記載から当業者が容易に想到し得たことではない。
ウ 小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明A1、すなわち甲1に記載された発明でないし、甲1に記載された発明並びに甲1及び甲2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)本件発明2~6、10~12について
本件発明2~6、10~12は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであり、上記(4)で本件発明1について述べたのと同じ理由により、本件発明2~4、6、10~12は、甲1に記載された発明でないし、本件発明2~6、10~12は、甲1に記載された発明、並びに甲1及び甲2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 むすび
以上のとおり、本件特許の請求項7~9に係る特許についての特許異議の申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
本件特許の請求項1~6、10~12に係る特許は、当審が通知した取消理由(決定の予告)、及び特許異議申立書に記載した申立理由によっては、取り消すことができない。
また、他に請求項1~6、10~12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-700575