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特許異議申立

2021-700482

グラフィックフィルム、ライセンスプレート、及びグラフィックフィルムの製造方法

審判番号
2021-700482
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2016-116300
登録番号
6789681
請求日
2021年05月20日
審決日
2023年05月12日
公報発行日
2023年06月30日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
  • 【権利者代理人】長谷川 芳樹
  • 【権利者代理人】清水 義憲
  • 【権利者代理人】西本 博之
  • 【権利者代理人】戸津 洋介
  • 【異議申立人】柏木 里実
審判長/審判官
  • 審判長 藤本 義仁
  • 審判官 松田 直也
  • 審判官 佐藤 海
分類
P1651.121-Y (G09F) / P1651.536-Y (G09F) / P1651.537-Y (G09F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6789681号発明「グラフィックフィルム、ライセンスプレート、及びグラフィックフィルムの製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6789681号の請求項1~9に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成28年6月10日を出願日とする出願であって、令和2年11月6日にその特許権の設定登録がされ、同年同月25日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和3年5月20日に特許異議申立人柏木里実(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされた。 本件特許異議申立て以後の経緯は、次のとおりである。 令和3年 8月 3日 取消理由通知書(起案日) 令和3年11月 4日 意見書(特許権者)の提出 令和4年 2月22日 審尋(特許権者宛て)(起案日) 令和4年 3月18日 上申書(申立人)の提出 令和4年 5月23日 回答書(特許権者)の提出 令和4年 7月19日 面接 令和4年 8月17日 審尋(申立人宛て)(起案日) 令和4年10月19日 回答書(申立人)の提出 令和4年12月16日 審尋(申立人宛て)(起案日) 令和5年 2月15日 回答書(2)(申立人)の提出 第2 本件発明について 特許第6789681号の請求項1~9に係る特許に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明9」という。また、これらの発明をまとめて「本件発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるものであって、次のとおりのものである。 「【請求項1】 基材上に画像印刷層が配置されたグラフィックフィルムであって、 前記画像印刷層は、識別表示が内側に配置された識別情報表示領域と、前記識別情報表示領域以外の任意表示領域とを備えており、 前記識別表示は、少なくともシアン及びブラックの光学濃度を含んで形成され、 前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域は、背景図の少なくとも一部を含み、且つ少なくともシアン及びブラックの光学濃度を含んで形成され、 前記識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対する、前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和の比率は80%以下である、グラフィックフィルム。 【請求項2】 前記識別情報表示領域は、前記識別表示にそれぞれ接する四辺を備えた矩形領域である、請求項1記載のグラフィックフィルム。 【請求項3】 前記識別情報表示領域は、前記識別表示を示す外形線に沿った領域であり、前記外形線からの距離が15mm以下である表示形状依存領域である、請求項1記載のグラフィックフィルム。 【請求項4】 前記任意表示領域のうち、前記識別情報表示領域の外縁に沿った領域であり、且つ、前記外縁からの距離が15mm以下である近傍領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和は、前記識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対して80%以下である、請求項1~3のいずれか一項記載のグラフィックフィルム。 【請求項5】 ベースプレートと、 前記ベースプレート上に設けられ、且つ基材上に画像印刷層が配置されたグラフィックフィルムと、を備え、 前記画像印刷層は、識別表示が内側に配置された識別情報表示領域と、前記識別情報表示領域以外の任意表示領域とを備えており、 前記識別表示は、少なくともシアン及びブラックの光学濃度を含んで形成され、 前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域は、背景図の少なくとも一部を含み、且つ少なくともシアン及びブラックの光学濃度を含んで形成され、 前記識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対する、前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和は80%以下である、ライセンスプレート。 【請求項6】 前記識別情報表示領域は、前記識別表示にそれぞれ接する四辺を備えた矩形領域である、請求項5記載のライセンスプレート。 【請求項7】 前記識別情報表示領域は、前記識別表示を示す外形線に沿った領域であり、前記外形線からの距離が15mm以下である表示形状依存領域である、請求項5記載のライセンスプレート。 【請求項8】 前記任意表示領域のうち、前記識別情報表示領域の外縁に沿った領域であり、且つ、前記外縁からの距離が15mm以下である近傍領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和は、前記識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対して80%以下である、請求項5~7のいずれか一項記載のライセンスプレート。 【請求項9】 基材上に画像印刷層が配置されたグラフィックフィルムの製造方法であって、 前記画像印刷層は、識別表示が内側に配置された識別情報表示領域と、前記識別情報表示領域以外の任意表示領域とを備えており、 前記識別表示は、少なくともシアン及びブラックの光学濃度を含んで形成され、 前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域は、背景図の少なくとも一部を含み、且つ少なくともシアン及びブラックの光学濃度を含んで形成され、 前記識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対する、前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和の比率が80%以下となるように、前記識別表示及び前記識別表示以外の領域の色指定を行う、グラフィックフィルムの製造方法。」 第3 取消理由通知の概要 令和3年8月3日付け取消理由の概要は次のとおり。 1 この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 2 この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 理由1 「前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域」である「識別情報表示領域における最も色の濃い部分」には、発明の詳細な説明に記載された実施例1ないし6のいずれにおいても「ブラック」の色指定は行われていないにもかかわらず、請求項1において「前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域は、背景図の少なくとも一部を含み、且つ少なくともシアン及びブラックの光学濃度を含んで形成され」と記載されている。 この点について、請求項1の記載と発明の詳細な説明に記載される実施例とが対応しておらず、「ブラックの色指定は行われていない領域」が、ブラックの光学濃度を含んで形成されることについて、理解できない。 理由2 請求項1には、「前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域は、背景図の少なくとも一部を含み、且つ少なくともシアン及びブラックの光学濃度を含んで形成され」と記載されているが、「理由1」で検討したとおり、「前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域」に「ブラック」の色指定が行われていないことに照らせば、上記摘記した記載のうち「シアン及びブラックの光学濃度を含」むことが、どのような構成を、技術的に特定しようとしているのか理解できない。 したがって、請求項1の記載は明確ではない。 第4 当審の判断 1 理由1(実施可能要件)について (1)特許権者による令和3年11月4日提出の意見書での主張について 特許権者は、令和3年11月4日提出の意見書により、次のように主張する。 本件の発明の詳細な説明の【0037】には、「上記の光学濃度は、例えば、分光光度計SPM50(グレタグマクベス社製)を用いて測定される。」と記載されている。よって、請求項1に記載された「光学濃度」が分光光度計SPM50(グレタグマクベス社製)を用いて測定されるものであることは当業者にとって明らかである。 ここで、分光光度計を用いて測定される各色の光学濃度(シアンの光学濃度、マゼンタの光学濃度、イエローの光学濃度及びブラックの光学濃度)は、JISB9623:2002の「4.5分光データからの反射濃度算出」に記載されている下記式を用いて算出されることは当業者にとって明らかである。 [図:0001398211000001.jpg] (2)判断 本特許明細書において、「光学濃度」は、分光光度計SPM50(グレタグマクベス社製)を用いて測定されること(【0037】)、具体的な算出方法は、JISB9623:2002で規定されており、分光光度計及びJIS規格は、いずれも、当業者にとって明らかな事項であるから、これらを考慮して検討を行う。 本件特許明細書には次の記載がある。なお、下線は、当審で付与した。 「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 上記速度違反車両およびその運転者を撮影するシステムでは、自動車などの一般車両において、図柄入りのライセンスプレートが使用された場合、人の目に依って登録ナンバー(識別表示)が判読される場合があるので、図柄入りのライセンスプレートにおいては、図柄によって識別表示の判読性が低下する可能性がある。」「【0033】 図4及び図5は、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インク、及びブラック(K)インクの光透過率スペクトルを示す図である。図4では、スコッチカルTMグラフィックフィルムRG5333R(スリーエム社製)にJV5溶剤インクジェットプリンタ用純正インク(ミマキエンジニアリング社製)を用いて印刷がなされている。図5では、スコッチカルTMグラフィックフィルムRG5333R(スリーエム社製)にColorPainter H2-104S溶剤インクジェットプリンタ用純正インク(セイコーアイ・インフォテック社製)を用いて印刷がなされている。 【0034】 図4及び図5に示されるように、可視波長領域、例えば、波長620nmでは、マゼンタインク及びイエローインクは、顕著な吸収を有していない。そのため、マゼンタインク及びイエローインクを用いて印刷した図柄は、波長620nmでの識別表示30の読取り時には陰影を生じさせない。一方、シアンインク及びブラックインクを用いて印刷した図柄は、波長620nmにおいて大きな吸収を有するので、例えば、ALPRシステムの自動速度取締機による識別表示30の読取り時に陰影となり、特に、画像を目視で読み取る場合は、識別表示30の判読を妨げることがあることが示される。 【0035】 以上より、可視波長領域を基準にした場合における識別表示30の判読性は、主としてシアンインク、及びブラックインクの影響を受け易いとの結果を導出できる。さらに、識別表示30の判読性は、識別表示30に近接する領域との比較によって導出できると仮定できる。そこで、これらの条件と識別表示30の判読性との相関性を得るため、上述の実施形態、及び比較形態に対して、以下の検証が実施された。 【0036】 本検証において、まずは、実施形態及び比較形態に対して、識別表示30を形成するシアンの光学濃度、及びブラックの光学濃度が測定等によって求められた。次に、シアン及びブラックの光学濃度の和(以下では、便宜上、「基準混合濃度」と称する)が導出された。次に、実施形態及び比較形態に対して、識別表示30に近接する領域として、識別情報表示領域E1内で識別表示30以外の領域が特定され、この領域を形成するシアンの光学濃度、及びブラックの光学濃度が測定等によって求められた。次に、シアン及びブラックの光学濃度の和(以下では、便宜上、「比較混合濃度」と称する)が導出された。なお、比較混合濃度については、最も高い値を基準にすることができる。次に、実施形態、及び比較形態に対して、それぞれ基準混合濃度に対する比較混合濃度の比率を求めた。 【0037】 上記の光学濃度は、例えば、分光光度計SPM50(グレタグマクベス社製)を用いて測定される。また、光学濃度の比率RODは、以下の式により定義される。この式において、「Dc(N)」は、識別表示30から測定されるシアンの光学濃度であり、「Dk(N)」は、識別表示30から測定されるブラックの光学濃度である。つまり、「Dc(N)+Dk(N)」は基準混合濃度を意味する。また、「Dc(G)」は、識別表示30を除く識別情報表示領域E1における背景図から測定されたシアンの光学濃度であり、「Dk(G)」は、識別表示30を除く識別情報表示領域E1における背景図から測定されるブラックの光学濃度である。つまり、「Dc(G)+Dk(G)」は比較混合濃度を意味する。 ROD=[(Dc(G)+Dk(G))/(Dc(N)+Dk(N))]×100(%) 【0038】 次に、実施形態に係る比率と、比較形態に係る比率とを比較し検証したところ、実施形態に係る比率RODは80%以下であり、逆に比較形態に係る比率RODは80%を超えているという相関性を導出することができた。 【0039】 つまり、上記の実施形態に係るライセンスプレートでは、基準混合濃度に対する比較混合濃度の比率が80%以下であるので、仮に、識別情報表示領域E1内に識別表示30以外の図柄等が配置されていたとしても、その図柄等の影響を受けず、識別表示30の判読性の低下は回避され、判読性の低下を低減できる。」 「【0084】 [実施例1] コントロールタックTMグラフィックフィルムIJ180-10(スリーエム社製)を基材に用い、その基材の上に、JV5溶剤インクジェットプリンタ(ミマキエンジニアリング社製)を用いて、例えば、図1に示す富士山が描かれた図柄を印刷し、画像印刷層を形成した。基材及び画像印刷層の上に、スコッチカルTMグラフィックフィルムRG5333R(スリーエム社製)をラミネートして、表面保護層を形成した。基材、画像印刷層及び表面保護層を備えるグラフィックフィルムをアルミ板に貼り、エンボス加工が施される前のブランク板を作製した。ブランク板のサイズは、例えば、幅165mm、長さ330mmである。ブランク板において識別表示が配置されるべき部分をエンボス加工し、また、RollCoat Ink 4854(スリーエム社製)を用いて識別表示を印刷して、ライセンスプレートを作製した。 【0085】 実施例1に係るライセンスプレートでは、識別情報表示領域として識別表示にそれぞれ接する四辺を備えた矩形領域を想定した。この識別情報表示領域における最も色の濃い部分の色指定は、シアン68%、マゼンタ29%、イエロー2%であった。 【0086】 このライセンスプレートについては、市販のALPR(可搬式ナンバープレート自動観測装置OC-iシステム(エイテック社製))の光源を、波長620nmのLED光源に替えたカメラを用いて、視認テストを行ったところ、判読可能との結果を得た。なお、この視認テストでは、シアン及びブラックについては視認できたが、マゼンタ及びイエローについては実質的に視認できなかった。 【0087】 なお、本実施例では、上記のライセンスプレートに合わせた仮想データに基づく、判読性のシミュレーションを行った。具体的には、図1に示す富士山が描かれた図柄を画像データとしてEPS形式で作成し、次いで、ソフトウェアのフォトショップTM(アドビ社製)を用いて、墨版生成なしでCMYKカラーに変換して、さらにシアンのみで表示したところ、JV5溶剤インクジェットプリンタ(ミマキエンジニアリング社製)を用いて印刷した画像と近似する結果となった。この結果は、ライセンスプレートのための画像データは、例えば、ソフトウェアのフォトショップTM(アドビ社製)によって作成されることを示しており、このソフトウェアのよるシミュレーションによって、上記の視認テストと同等の結果が得られることが示された。」 「【0097】 表1の視認テストでは、実施例2~実施例6、および、比較例1~比較例2についても、実施例1と同様に、市販のALPR(可搬式ナンバープレート自動観測装置OC-iシステム(エイテック社製))の光源を、波長620nmのLEDに替えたカメラを用いて行った。また、実施例2~実施例6、および、比較例1~比較例2については、実施例1と同様に、ソフトウェアのフォトショップTM(アドビ社製)を用いて、墨版生成なしでCMYKカラーに変換して、さらにシアンのみで表示したところ、このソフトウェアシミュレーションでの評価は、上記カメラを用いて行った評価と近似する結果となった。」 「 [図:0001398211000002.jpg] 」(【表1】) このように、本件特許明細書には、速度違反車両およびその運転者を撮影するシステム(ALPRシステムの自動速度取締機)では、図柄入りのライセンスプレートが使用された場合、図柄によって識別表示の判読性が低下する可能性があるとの課題を解決するために、シアンインク及びブラックインクを用いて印刷した図柄は、波長620nmにおいて大きな吸収を有するので、可視波長領域を基準にした場合における識別表示の判読性は、主としてシアンインク、及びブラックインクの影響を受け易いことを突き止め、識別表示を形成するシアンの光学濃度、及びブラックの光学濃度が測定等によって求め、ROD=[(Dc(G)+Dk(G))/(Dc(N)+Dk(N))]×100(%)(「Dc(N)」は、識別表示から測定されるシアンの光学濃度、「Dk(N)」は、識別表示30から測定されるブラックの光学濃度、「Dc(G)」は、識別表示を除く識別情報表示領域における背景図から測定されたシアンの光学濃度、「Dk(G)」は、識別表示30を除く識別情報表示領域E1における背景図から測定されるブラックの光学濃度)を80%以下とすることで、識別情報表示領域内に識別表示以外の図柄等が配置されていたとしても、その図柄等の影響を受けず、識別表示30の判読性の低下は回避され、判読性の低下を低減できるとして、課題を解決するものであって、ナンバープレートの具体的な製造方法も示されており、視認テストの手順も示されており、判読性のシミュレーションの具体的な内容も示されている。そして、表1で示される視認テストの結果とおり、RODが80%以下であれば、よい評価が得られることも確認されている。 このように、発明の詳細な説明には、課題を解決するための手段が開示されており、当業者であれば、発明を実施することができることは明らかである。 よって、本件特許明細書は、特許法第36条第4項第1号の要件を満たすものである。 2 理由2(明確性要件)について (1)特許権者による令和3年11月4日提出の意見書での主張について 特許権者は、令和3年11月4日提出の意見書により、次のように主張する。 上記理由1において説明したとおり、本件の発明の詳細な説明及び技術常識に基づけば、ブラックの色指定が行われていない領域がブラックの光学濃度を含んで形成されることを当業者は理解できるものと思料する。 (2)判断 請求項1は、「前記識別表示は、少なくともシアン及びブラックの光学濃度を含んで形成され」、「前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域は、背景図の少なくとも一部を含み、且つ少なくともシアン及びブラックの光学濃度を含んで形成され」るものであって、「前記識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対する、前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和の比率は80%以下」とするものであるから、シアン及びブラックの光学濃度が測定の対象であることを特定するにとどまることから、シアン及びブラックの光学濃度が測定可能であればよいとするものである。そして、上記1(2)のとおり、本特許明細書において、「光学濃度」は、分光光度計SPM50(グレタグマクベス社製)を用いて測定されること(【0037】)ものであるから、その物理的な意味は明確であり、具体的な算出方法は、JISB9623:2002で規定されていることから、当業者であれば、請求項1は、グラフィックフィルムがシアン及びブラックの光学濃度を含んで形成されるものであることを理解できるものである。 よって、本件特許の請求項1の記載は明確である。 以上のとおりであるから、本件特許の請求項1~9の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たすものである。 第5 申立人の特許異議申し立て理由について 1 主張の概要 (1)理由1(新規性)について 本件発明1~9は、甲第1号証に記載された発明であるから、本件発明1~9に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。 (2)理由2(進歩性)について 本件発明1~9は、甲第1号証に記載された発明及甲第2号証~甲第6号証に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1~9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (3)理由3(実施可能要件)について 本件特許は、明細書の記載が、当業者が本件発明1~9を実施することができる程度に明確且つ十分に記載されていないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (4)理由4(明確性要件)について 本件特許は、特許請求の範囲の請求項1~9の記載が明確でないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 2 証拠方法 甲第1号証:特表2015-515063号公報 甲第2号証:「東京五輪特別仕様ナンバープレートの制度設計について」、[online]、平成28年2月、国土交通省自動車局、[令和5年4月21日検索]、インターネット、<https://www.mlit.go.jp/common/001120329.pdf> 甲第3号証:大臣会見石井大臣会見要旨、[online]、2016年5月20日、国士交通省、[令和5年4月21日検索]、インターネット、<https://www.mlit.go.jp/report/interview/daijin160520.html> 甲第4号証 :特開2008-187327号公報 甲第5号証 :特開2004-325977号公報 甲第6号証 :特開2001-83976号公報 甲第7号証 :高橋恭介、北村孝司監修、「ディジタルハードコピー技術」、シーエムシー出版、2004年12月20日、119ページ、236ページ 甲第8号証 :説明書、柏木里実、令和4年10月19日作成 甲第9号証 :セカイモン、「1978 3M MINNESOTA GRAPHIC SAMPLE AUTO LICENSE PLATE "AAA 000" 10,000 LAKES NIN」、[online]、[令和4年10月14日検索]、インターネット、<https://www.sekaimon.corn/itemdetail/274618012484/?country=US&title=1978+3M+MINNESOTA+GRAPHIC+SAMPLE+AUTO+LICENSE+PLATE++%22+AAA+000+%22+10%2COOO+LAKES+MN> 甲第10号証:「MINNESOTA STATUTES 1986」、[online]、1986年、[令和4年10月14日検索]、インターネット<https://www.revisor.mn.gov/statutes/1986/cite/169/pdf> 甲第11号証:セカイモン、「Vintage 1978 MINNESOTA LICENSE PLATE TAG# CTP062」、[online]、[令和4年10月14日検索]、インターネット、<https://www.sekaimon.com/itemdetail/174173403830/> 甲第12号証:セカイモン、「MINNESOTA 199 LICENSE PLATE FOA 594」、[online]、[令和4年10月14日検索]、インターネット、<https://www.sekaimon.corn/itemdetail/234580450120/> 参考資料1 :前田健、「後出の特許による既存事業の差止めは許されるか-特殊パラメータ発明の新規性・進歩性・記載要件・先使用権の検討-」、知財管理、日本知的財産協会、2022年8月、Vol.72,No.8、899~911ページ なお、甲第1号証~甲第12号証を、以下、「甲1」~「甲12」という。 第6 甲号証について 1 甲1に記載されている事項、甲1に記載されている発明 (1)甲1に記載されている事項 甲1には、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。以下、同じ。)。 「【0057】 図1及び図2は、それぞれ、例えば、人間又はデジタルカメラなどの光デテクターによって、可視周囲条件下で(すなわち、拡散可視光条件下で)視察されたときの代表的な自動車ライセンスプレートの分解斜視図及び該ライセンスプレートのデジタル写真である。ライセンスプレート10は、再帰反射シート40の矩形片に隣接して位置決めされた矩形ライセンスプレートブランク20を含む。ライセンスプレートブランク20は、4つの側面26、28、30、及び32が接する厚さによって分離された2つの主表面22及び24を含む。ライセンスプレートブランク20は、例えば金属、プラスチック、又は木材など、所望の剛性を有する任意の材料で形成することができる。再帰反射シート40は、4つの側面46、48、50、及び52が接する厚さによって分離された2つの主表面42及び44を含む。再帰反射シート40には、Minnesotaというグラフィック60、「Explore Minnesota.com」というテキスト62、「JAN」というテキスト63、「10,000 Lakes」というテキスト64、「001 SPL」という英数字66、及び森と湖の背景のグラフィック68が印刷されている。ライセンスプレート10は、所望により、再帰反射シート40とライセンスプレートブランク20とを貫通する4つの穴70を含んでよく、これらは、例えば、ねじ又はリベットで自動車にライセンスプレート10を取り付けることを容易にする。これは、1つの代表的な取り付けシステムに過ぎず、当業者は、その他のものも使用可能であることを理解するであろう。所望により、ライセンスプレートブランク20と再帰反射シートとをフレーム72の中間に中心合わせしてともに保持することが可能である。」 「【0076】 (実施例1) 図1~5に示される再帰反射物品を準備した。裏側にコーティングされた感圧性接着剤(「Preclear Reflective License Plate Sheeting Series 4790」の商品名で3M Company(ミネソタ州St.Paul)から市販されている)を有する白色反射シート(すなわち、再帰反射基材)40のロールを提供した。英数字66及び背景グラフィック68を、紫外線インクジェットプリンター(Mimaki USA(ジョージア州Suwanee)から市販されている、モデル「JF-1631」)及び見た目に不透明な、赤外線透明な、シアン、マゼンタ及びイエロー(CMY)インク(3M Companyから「Mimaki UV Piezo Inkjet Ink Series F-200」の商品名で市販されている)を使用して反射シートの15cm×31cm試料の前側に印刷した。背景グラフィック68は、再帰反射シートの上部にわたって青色で印刷された言葉「Explore Minnesota.com」62、及び再帰反射シートの下部にわたって青色で印刷された言葉「JAN」63及び「10,000 Lakes」64を備えた森と湖の場面であった。英数字「001 SPL」66をシートのほぼ中央に、シアン、マゼンタ及びイエローインクの組み合わせを使用して黒色で印刷した。該印刷されたシートに、アルミニウム基材20を被着した。次いで、シートの前側に、3M Companyが商品化した「Clear Protective Film 9097」フィルムをラミネートした。」 「 [図:0001398211000003.jpg] 」(【図1】) 「 [図:0001398211000004.jpg] 」(【図2】) (2)甲1に記載されている発明 上記(1)から、甲1には、次の発明が記載されているといえる。 「 矩形ライセンスプレートブランク20に隣接して位置決めされた再帰反射シート40であって、 「001 SPL」という英数字66、及び森と湖の背景のグラフィック68が印刷され、 英数字66及び背景グラフィック68を、紫外線インクジェットプリンター(Mimaki USA(ジョージア州Suwanee)から市販されている、モデル「JF-1631」)及び見た目に不透明な、赤外線透明な、シアン、マゼンタ及びイエロー(CMY)インク(3M Companyから「Mimaki UV Piezo Inkjet Ink Series F-200」の商品名で市販されている)を使用して反射シートの15cm×31cm試料の前側に印刷し、 英数字「001 SPL」66をシートのほぼ中央に、シアン、マゼンタ及びイエローインクの組み合わせを使用して黒色で印刷した 再帰反射シート40。」 2 甲2に記載されている事項、甲2に記載されている技術的事項 (1)甲2に記載されている事項 甲2には、次の事項が記載されている。 「 [図:0001398211000005.jpg] 」(11ページ) (2)甲2に記載されている技術的事項 上記(1)から、甲2には、次の技術的事項が記載されているといえる。 「交付代行者から自動車ユーザへ、図柄入りナンバープレートが交付されること。」 3 甲3に記載されている事項、甲3に記載されている技術的事項 (1)甲3に記載されている事項 甲3には、次の事項が記載されている。 「1点目は、図柄入りナンバープレートの交付時期について申し上げます。 (パネルを指しながら)今、パネルで示しているものです。 国土交通省におきましては、ナンバープレートにデザインを使用した図柄入りナンバープレートを交付することとしており、昨日、有識者からなる検討会におきまして、最終取りまとめが行われたところであります。 この取りまとめを受けまして、国土交通省におきましては、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会のエンブレムを使用した特別仕様ナンバープレートを、平成29年10月を目途に交付いたします。 この東京オリンピック・パラリンピックナンバープレートは、オリンピックのエンブレムを使用した1枚、パラリンピックのエンブレムを使用した1枚の2枚1組で交付することを予定しております。 (パネルを指しながら)ここにオリンピックか、あるいはパラリンピックのエンブレムが入ります。 これは参考に富士山の図柄が入っていますが、これは寄付金付きのもので、図柄のないものが寄付金なしのもので、2種類、オリンピック・パラリンピックのエンブレムが入ったものを交付いたします。 更に、東京オリンピック・パラリンピックナンバープレートは、新車のみならず、登録済みの自動車についても既設のナンバープレートから付け替えることが可能であります。 また、東京オリンピック・パラリンピックの前年には、我が国で初めてラグビーワールドカップを開催することとなっております。 ラグビーワールドカップは、全国12の会場で行われ、大規模かつ国家的に重要なスポーツの競技大会であります。 このため、このラグビーワールドカップ2019についても、特別仕様ナンバープレートを平成29年4月を目途に交付することとします。 (パネルを指しながら)ここに大会のマークが入ります。 これも図柄が入っていまして、寄付金付きのものと、図柄のない寄付金なしのものもあります。 以上のほか、ご当地ナンバーを含む全国116のナンバープレートについて、地方自治体からの提案により、各地域独自の図柄を使用する、地方版図柄入りナンバープレートを平成30年10月を目途に交付することとします。 (パネルを指しながら)これもご参考に、筑波山、これは私の地元のつくばで参考の図柄ですけど、これは各地域で検討します。 これを交付することとします。」 「 [図:0001398211000006.jpg] 」 (2)甲3に記載されている技術的事項 上記(1)から、甲3には、次の3つの技術的事項が記載されているといえる。 「富士山の図柄が入った2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会のエンブレムを使用した特別仕様ナンバープレート。」 「大会のマークの図柄が入ったラグビーワールドカップ2019の特別仕様ナンバープレート。」 「筑波山の図柄が入った地方版図柄入りナンバープレート。」 4 甲4に記載されている事項、甲4に記載されている技術的事項 (1)甲4に記載されている事項 甲4には、次の事項が記載されている。 「【0015】 領域検出部34は、モノクロ階調画像における文字画像および背景画像を認識し、それらの位置を記憶する。領域検出部34は、Optical Character Reader(OCR)を備えており、このOCRを用いて画像データ調整処理の対象となる領域に係る画像データの文字認識処理を行う。文字認識処理により文字と認識された画像データの領域を文字画像領域として特定する。一方、文字認識処理により文字と認識されなかった画像データの領域を背景画像領域として特定する。 【0016】 画像判定部36は、文字画像および背景画像のコントラストの判定を行う。具体的には、文字画像および背景画像の濃度の差が閾値よりも高いか否かを判定する。 【0017】 画像変更部38は、文字画像および背景画像の濃度の差が閾値よりも低い場合に、文字画像および背景画像のコントラストが大きくなるように画像データを変更する。この画像データの変更の例として、文字画像濃度の減少、文字画像濃度の増加、文字画像の色調の変更などが挙げられる。 【0018】 図3および図4は、画像処理時および画像データ調整処理時におけるCPU10の動作手順を示すフローチャートである。CPU10は、画像データを受け付けると(S1)、受け付けた画像データがカラー画像であるか否かを判断する(S2)。 【0019】 S2の判断ステップにおいて、カラー画像である場合には、CPU10は、前処理部32にカラー画像のモノクロ化を実行させる(S3)。 【0020】 続いて、CPU10は、領域指定がされているか否かを判断する(S4)。S4の判断ステップにおいて、画像データ調整処理の対象となる領域に関するユーザからの設定コマンドが入力されている場合には、S6のステップに移行する。この場合、領域指定された領域のみを、画像データ調整処理の対象として指定する(S6)。これに対し、S4の判断ステップにおいて、画像データ調整処理の対象となる領域に関するユーザからの設定コマンドが入力されていない場合には、S5のステップに移行する。この場合、画像の全域を、画像データ調整処理の対象として指定する(S5)。 【0021】 続いて、CPU10は、領域検出処理を実行する(S7)。S7のステップにおいて、CPU10は、領域検出部34を用いて、文字画像と背景画像との分類を行う。ここでは、CPU10は、文字画像の領域を特定するとともに、画像データ調整処理の対象となる領域における文字画像領域以外の領域を背景領域として特定する。 【0022】 続いて、CPU10は、文字画像濃度値を算出する(S8)。S8のステップでは、CPU10は、文字画像全体の濃度平均値Xを算出する。さらに、CPU10は、背景画像濃度値を算出する(S9)。S9のステップでは、CPU10は、背景画像全体の濃度平均値Yを算出する。なお、ここでは、濃度平均値Xおよび濃度平均値Yは、0~255の256段階の値で表現される。 【0023】 続いて、CPU10は、文字画像と背景画像の濃度差の判定を行う(S10)。ここでは、CPU10は、文字画像全体の濃度平均値Xと背景画像全体の濃度平均値Yとの差が、所定の閾値を越えているか否かを判断する。S10では、閾値として“30”が設定される。 【0024】 S10の判断ステップにおいて、文字画像全体の濃度平均値Xと背景画像全体の濃度平均値Yとの差が閾値を越えている場合には、CPU10は、画像処理部26に通常の画像処理を実行させる(S11)。なお、ここでは、通常の画像処理として、「RGB→YMCK変換」、UCR変換、γ変換などが実行される。画像処理完了後、CPU10は、画像処理後の画像データを画像形成部14に供給する。これに対して、文字画像全体の濃度平均値Xと背景画像全体の濃度平均値Yとの差が閾値以下の場合には、CPU10は、画像処理部26に通常の画像処理を実行させ(S12)、その後さらに、画像データ変更部38に画像データ調整処理を実行させる(S13)。 【0025】 図4を用いて、画像データ調整処理を説明する。画像データ調整処理において、CPU10は、文字画像全体のイエロー成分濃度平均値Xy、マゼンタ成分濃度平均値Xm、シアン成分濃度平均値Xc、およびブラック成分濃度平均値Xkを算出する(S20)。なお、イエロー成分濃度平均値Xy、マゼンタ成分濃度平均値Xm、シアン成分濃度平均値Xc、およびブラック成分濃度平均値Xkは、0~255の256段階の値で表現される。 【0026】 続いて、CPU10は、イエロー成分濃度平均値Xy、マゼンタ成分濃度平均値Xm、シアン成分濃度平均値Xc、またはブラック成分濃度平均値Xkのいずれか1つの値が閾値以上であるか否かを判断する(S21)。S21の判断ステップにおける閾値は、最大濃度の70%の値に設定される。 【0027】 S21の判断ステップにおいて、イエロー成分濃度平均値Xy、マゼンタ成分濃度平均値Xm、シアン成分濃度平均値Xc、またはブラック成分濃度平均値Xkの値のいずれもが最大濃度の70%未満であれば、CPU10は、文字画像の濃度を増加させる(S22)。具体的には、S22のステップにおいて、CPU10は、イエロー成分濃度平均値Xy、マゼンタ成分濃度平均値Xm、シアン成分濃度平均値Xc、またはブラック成分濃度平均値Xkの値をそれぞれ30%増加させる。この結果、図5(A)または図5(B)に示すように、文字画像の濃度が高くなり、文字画像と背景画像のコントラストが高まる。 【0028】 これに対して、S21の判断ステップにおいて、イエロー成分濃度平均値Xy、マゼンタ成分濃度平均値Xm、シアン成分濃度平均値Xc、またはブラック成分濃度平均値Xkの値のいずれか1つが、最大濃度の70%以上であれば、CPU10は、文字画像の濃度を減少させる(S23)。この例では、S23のステップにおいて、CPU10は、イエロー成分濃度平均値Xy、マゼンタ成分濃度平均値Xm、シアン成分濃度平均値Xc、およびブラック成分濃度平均値Xkの値をそれぞれ0にしている。この結果、図5(C)または図5(D)に示すように、文字画像が白抜き状態になり、文字画像と背景画像のコントラストが高まる。」 「 [図:0001398211000007.jpg] 」(【図3】) (2)甲4に記載されている技術的事項 上記(1)から、甲4には、次の技術的事項が記載されているといえる。 「文字画像および背景画像のコントラストの判定を行い、文字画像および背景画像の濃度の差が閾値よりも低い場合に、文字画像および背景画像のコントラストが大きくなるように画像データを変更することであって、 文字画像と背景画像の濃度差の判定を行うことであって、CPU10は、文字画像全体の濃度平均値Xと背景画像全体の濃度平均値Yとの差が、所定の閾値を越えているか否かを判断し、 文字画像全体の濃度平均値Xと背景画像全体の濃度平均値Yとの差が閾値を越えている場合には、CPU10は、画像処理部26に通常の画像処理を実行させ、 文字画像全体の濃度平均値Xと背景画像全体の濃度平均値Yとの差が閾値以下の場合には、CPU10は、画像処理部26に通常の画像処理を実行させ、その後さらに、画像データ変更部38に画像データ調整処理を実行させること。」 5 甲5に記載されている事項、甲5に記載されている技術的事項 (1)甲5に記載されている事項 甲5には、次の事項が記載されている。 「【0145】 <実施形態13:構成> 【0146】 図13に、実施形態13にかかる注意喚起シートの図を示す。構成は、以下に述べるところを除けば、すべて実施形態1ないし11と全く同じである。 【0147】 実施形態の注意喚起シートは、シート周辺部に配される枠部1と、文字が一色で描かれている前記枠部に囲まれた文字配置部2とで構成され、さらに、前記文字配置部2は、背景3と文字4で構成され、注意を喚起させる場所の床面又はその周囲の壁面に貼付される。前記文字配置部の背景は一色の有彩色で描かれた矩形であり、前記文字配置部における文字は一色の有彩色で描かれ、前記文字の色と、前記背景の色とは、前記JIS規格Z8721の10色相の色相環において、色相差が互いに3以上5以下である。色相差が互いに3以上5以下であることの具体的意味は、実施形態9における説明と全く同様である。 【0148】 文字配置部の背景とは、注意喚起シートから、枠部を除いた矩形の部分をいう。 【0149】 実施形態13の特徴は、それぞれ一色の色で配された前記文字の色と、前記背景の色とは、前記JIS規格Z8721の10色相の色相環において、色相差が互いに3以上5以下であることである。 【0150】 色相差が人の注意を喚起する効果については、実施形態9に記載の内容と同様、強い対比又は対立色によって、人の注意を強く喚起する。すなわち、文字配置部の背景と、文字部の間の大きな色相差が生み出す対比又は対立の色彩が、特徴ある注意喚起シートの形態とともに、人の視覚を捕らえるものとなる。 【0151】 そして、文字配置部に色相差の大きい文字と背景を配置することにより、文字の判別性を高め、文字配置部に記載されている文字に含まれるメッセージを容易に伝え、所望の結果を得ることができる。」 「 [図:0001398211000008.jpg] 」(【図13】) (2)甲5に記載されている技術的事項 上記(1)から、甲5には、次の技術的事項が記載されているといえる。 「シート周辺部に配される枠部1と、文字が一色で描かれている前記枠部に囲まれた文字配置部2とで構成された注意喚起シートであって、 文字配置部2は、背景3と文字4で構成され、 それぞれ一色の色で配された文字の色と、背景の色とは、JIS規格Z8721の10色相の色相環において、色相差が互いに3以上5以下である 注意喚起シート。」 6 甲6に記載されている事項、甲6に記載されている技術的事項 (1)甲6に記載されている事項 甲6には、次の事項が記載されている。 「【0007】したがって、矩形状の表示領域を構成する各ピクセルに対して任意に色を指定できるので、文字部と背景部とのコントラストをつけることが可能となり、ユーザによる文字部の認識をし易くすることができる。 【0008】請求項2記載の発明においては、請求項1に記載の情報記録装置において、前記文字情報は、さらに、前記背景部と文字部との間の縁どり部に対する色を指定する色情報が割り当てられている。 【0009】したがって、背景部と文字部との間に縁取りを設け、かかる縁取りの色を背景の色とは異なる色を指定することによって、ユーザによる文字部の認識をし易くすることができる。 【0010】請求項3記載の発明は、請求項1に記載の情報記憶装置において、前記ディジタルオーディオ情報は歌曲の伴奏音楽情報であり、かつ前記文字情報は当該伴奏音楽情報に適合させて再生されるべき歌詞に関する情報を文字、図形、色彩、又はこれらの組み合わせにより表現した情報であり、さらに、当該文字情報は、前記歌曲の進行に合わせて文字部の色変りをなす為の色を指定する情報を含んでなる。 【0011】したがって、伴奏音楽情報に適合させて再生されるべき歌詞に関する文字情報を、歌曲の進行に合わせて色変わりさせることができる。 【0012】請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の情報記憶装置から情報を再生する情報再生装置であって、前記情報記憶装置から情報を読み取る情報読取手段と、当該情報読取手段が読み取った情報を復調して、画像情報及び文字情報を含むその復調情報を出力する情報復調手段と、前記復調画像情報を再生し、ディスプレイ装置に表示する画像情報再生手段と、前記復調文字情報が指定する色彩を付加したグラフィック信号を生成することにより、背景部と文字部との間に縁どり部を備えた文字情報としてディスプレイ装置に表示する文字情報再生手段と、を備えている。 【0013】したがって、ディスプレイ装置等により、これらの文字情報を文字画像として表示させることができる。 【0014】 【発明の実施の形態】第1実施例 第3図及び第6図に、請求項1又は2記載の発明にかかる情報記憶装置の実施例を示す。第3図は、情報記憶装置であるCD-ROMXAディスクのオーディオ情報に関するデータ構造を示している。 【0015】CD-ROMとは、ディジタルオーディオディスクとして確立しているCDを、ディジタル情報の読み出し専用メモリ(ROM:Read Only Memoryの略)の情報記憶装置として利用するメディアである。1985年に規格が定められ、現在、各種分野への応用が進みつつある。CD-ROMの特徴としては、大記録容量、光信頼性、高アクセス性、大量複写の可能性、再生システムの低兼性等が挙げられる。 【0016】このCD-ROMをベースとしたフォーマットとして具体化しているものに、CD-I(CD-Interactive の略)と、CD-ROMXAとがある。両者ともに音声・音響情報と画像情報を記録再生可能で、音声・音響情報については両者とも、適応差分パルス符号変調(以下、ADPCMという。ADPCM:Adaptive Differential Pulse Code Modulation の略)を用いている点で共通している。(日経エレクトロニクス1989年5月15日号(No.473)195~200頁参照。) 第3図は、このCD-ROMXAディスクの記憶領域であるデータ・セクタ構造のうちオーディオ情報に関する部分を示している。 【0017】CD信号フォーマットの場合、サブコード98フレーム分を1ブロックとして取扱い、1ブロックは1/75秒に相当する。したがって、 44.1×103×16×2×1/75×1/8=2352 より、CDの1ブロックには2352バイトのデータを記録することができる。ここに、44.1×103は標本化周波数を、16は量子化数を、2はステレオのLとRを、1/75は時間(秒)を、1/8はビットとバイトの変換率を表している。 【0018】CD-ROMXAでは、この1ブロックを1セクタとして各セクタ中にユーザ・データを記録する。ユーザ・データ領域の大きさ等によりMode1とMode2の規格があり、Mode2にはForm1とForm2の規格があるが、本実施例のCD-ROMXAの記憶領域201においてボリューム・ディスクリプタはMode1、画像情報と音声情報はMode2のForm2を採用している。 【0019】第3図において、このCD-ROMXAディスク11の記憶領域201は、リード・イン部LINと、トラックTと、リード・アウト部 LOUTとを有している。記憶領域201においてトラックTは、ボリューム・ディスクリプタTDと、セクタT1~TmとギャップTGとを有している。ボリューム・ディスクリプタTDは、CD-ROMXAであることを示す識別コード、フラッグ、スタートアップディレクトリ等を記憶した部分である。セクタT1~Tm(例えばTk)は、シンクSSYNCと、ヘッダSH、とサブヘッダSSHとユーザ・データSUDと、誤り検出符号部SEDCとを含んでいる。シンクSSYNCは12バイトであり、セクタを区分する信号を記憶した部分である。ヘッダSHは4バイトであり、そのうち3バイトはCDのサブコードと同様なアドレス情報が記憶され、残りの1バイトにはモード情報が記憶される。サブヘッダSSHは8バイトであり、ファイル・ナンバH1と、チャンネル・ナンバH2と、サブモードH3と、コーディング・フォーメーションH4とを備えている。各項目H1~H4は各々1バイトであり、2重書き(2度繰返す)されている。 【0020】ユーザ・データSUDは2324バイトであり、サウンドグループSG0~SGnとスペアユニットUSPとを有している。第3図は、サウンドグループSG0~SGnが各々128バイトで、スペアユニットUSPが20バイトの例を示している。したがって、この場合は、n=17であり、全部で18のサウンドグループがあることになる。サウンドグループSG0~SGnは、計2304バイトである。そして、誤り検出符号部SEDCは4バイトから成っている。サウンドグループSG0~SGnには、音声・音響信号がADPCM方式で符号化されて記憶される。 【0021】ADPCMの原理を第4図に示す。まず、過去の入力信号から現在の入力信号を適応予測器Dにより予測し、予測した信号yと現在の入力信号xとの差分e(=x-y)を減算器STで演算する。次いで、差分eを適応量子化器Qにより複数のビット数で量子化してCeに符号化する。再生は上記の逆を行う。すなわち、符号化信号Ceを、適応逆量子化器Q-1により差分eに戻す。次いで、適応予測器Dにより予測した信号yと差分eを加算器ADにより加算して出力信号xを得る。 【0022】このADPCM方式では、少ないビットで効率のよいオーディオデータの記憶が可能である。ビット節減率(データ圧縮率)によりオーディオ特性も異なる。第5図に、ADPCMとオーディオ特性等との関係を示す。第5図からわかるように、Aレベルのビット節減率は、ステレオ記憶で1/2、モノラル記憶で1/4である。Bレベルのビット節減率は、ステレオ記憶で1/4、モノラル記憶で1/8である。また、Cレベルでは、ステレオ記憶で1/8、モノラル記憶で1/16である。ビット節減率が例えば1/4ということは、従来の記録容量の1/4で済み、あとの3/4は他のデータの記憶に用いることができることを意味する。 【0023】第3図において、個々のサウンドグループSGiは各々128バイトであり、サウンドグ ループSGiは、サウンドパラメータ部PiとADPCMサンプルデータ部Diを有している。サウンドパラメータ部Piは16バイトであり、第4図に示すADPCMの適応予測器Dの予測フィルタの係数等を格納したものである。ADPCMサンプルデータ部Diの容量は112バイトであり、ADPCMでサンプリングしたデータが記憶される。したがって、1つのセクタ全体では、2016バイト(=112×18)のデータ容量となる。仮にADPCMの方式としてBレベルのステレオ記憶を行うとすると、 37.8×103×4×2×1/75×1/8=504 より、記憶に必要なバイト数は504バイトとなる。 【0024】したがって、2016÷504=4より、通常の記憶方式に比べて4倍のデータが記憶可能である。すなわち、全部で4チャンネル分の音声・音響信号を記憶することができる。この場合、第1チャンネルはセクタT1,T5,T9…T4h+1に記憶される。ここに、hは0以上の整数である。また第2チャンネルはセクタT2,T6,T10,…T4h+2に、第3チャンネルはセクタT3,T7,T11,…T4h+3に、そして第4チャンネルはセクタT4,T8,T12,…T4h+4にそれぞれ記憶される。 【0025】このようにして、ADPCMサンプルデータ部Diに楽章情報又は楽曲情報であるカラオケの伴奏音楽がパルス符号変調されて記憶される。 【0026】次に、第6図に、ユーザ・データSUD(2324バイト)の領域を利用してディジタル画像情報401を記憶する例を示す。この場合、ユーザ・データSUD(2324バイト)は、コントロール情報402と、静止画情報411と、テロップ情報421とを有している。 【0027】コントロール情報402は4バイトであり、各セクタごと、すなわち1/75秒ごとに配置されており、静止画表示の開始、歌詞等のテロップのON/OFF、又はテロップの色変り等を制御する。静止画情報411は2048バイトであり、静止画・図形などの情報を記憶する部分である。また、テロップ情報421は272バイトであり、静止画・図形とは別に、歌詞等のテロップに関する文字情報のみを独立に記憶する部分である。 【0028】ここで、第7図を用いて、画面の構成について説明する。画像表示装置等における画面GAの最大画面範囲AMは、水平方向が320ドット、垂直方向が240ドットで、計76800(=320×240)のピクセル(画像を構成する1単位)から成っている。実際には最大画面範囲AMよりも小さい有効画面範囲AEが用いられ、この有効画面範囲AEは、水平方向が288ビット、垂直方向が216ドットで、計62208(=288×216)のピクセルから構成されている。1ピクセルの表示には8ビット(1バイト)の制御情報が必要である。したがって、最大画面範囲AMに画像を表示させるためには1画面あたり76800バイトの静止画情報が必要であり、有効画面範囲AE では1画面あたり62208バイトの静止画情報が必要となる。 【0029】一方、歌詞等の文字や歌詞に関連する図形などを静止画とは別に表示するテロップは、横書き表示と、縦書き表示とが可能である。横書き表示部ATHは、水平方向が288ドット、垂直方向が50ドットで、計14400(=288×50)のピクセルを含んでいる。また、縦書き表示 部ATVは、水平方向が50ドット、垂直方向が216ドットで、計10800(=50×216)のピクセルを含んでいる。テロップの場合は、1ピクセルの表示には2ビットの色情報が必要である。したがって、横書き表示部ATHにテロップを表示させるためには、28800ビット、すなわち3600バイトのテロップ情報が必要である。また、 縦書き表示部ATVにテロップを表示させるためには、21600ビット、すなわち2700バイトのテロップ情報が必要である。 【0030】第8図を用いて、テロップの1ピクセルを表示させる色情報の割当てについて説明する。2ビットの色情報とは4個の色情報I~IVである。第8図(C)に示すように、色情報Iは背景部の色を指定する情報である。色情報IIは、文字部の色を指定する情報である。色情報IIIは文字部の外縁の縁どり部の色を指定する情報である。色情報IVは、曲の進行にあわせて歌うべき歌詞の位置を示す場合などに文字部の色を変化させる「色変り」用に文字部に割り当てる色を指定するための情報である。背景部、文字部、縁どり部の関係を第8図(A)に示す。第8図(B)は、第8図(A)の部分を拡大した図である。第8図(B)において、Iは背景部を、IIは文字部を、IIIは縁どり部を、それぞれ示している。」 「 [図:0001398211000009.jpg] 」(【図8】) (2)甲6に記載されている技術的事項 上記(1)から、甲6には、次の技術的事項が記載されているといえる。 「 矩形状の表示領域を構成する各ピクセルに対して任意に色を指定できるようにすることで、文字部と背景部とのコントラストをつけることが可能となり、ユーザによる文字部の認識をし易くすることができることであって、 文字情報は、さらに、背景部と文字部との間の縁どり部に対する色を指定する色情報が割り当てられてられることによって、背景部と文字部との間に縁取りを設け、かかる縁取りの色を背景の色とは異なる色を指定することによって、ユーザによる文字部の認識をし易くすることができるようにすること。」 第7 申立人の主張の検討 1 理由1(新規性)、理由2(進歩性)について (1)本件発明1について ア 本件発明1と甲1発明との対比 (ア)甲1発明の「矩形ライセンスプレートブランク20」は、「「001 SPL」という英数字66、及び森と湖の背景のグラフィック68が印刷され」る「再帰反射シート40」に「隣接して位置決めされ」る点で、本件発明1の「基材」に相当する。 また、甲1発明の「森と湖」は、本件発明1の「画像」に相当し、甲1発明の「再帰反射シート40」における、「「001 SPL」という英数字66、及び森と湖の背景のグラフィック68が印刷され」る部分は、本件発明1の「画像印刷層」に相当する。 そうすると、甲1発明の「再帰反射シート40」は、後述する相違点は別にして、本件発明1の「基材上に画像印刷層が配置されたグラフィックフィルム」に相当する。 (イ)甲1発明の「「001 SPL」という英数字66」は、本件発明1の「識別表示」に相当し、甲1発明の「「001 SPL」という英数字66」が印刷される領域は、本件発明1の「識別表示が」「配置された識別情報表示領域」に相当する。 (ウ)甲1発明の「識別表示が内側に配置された識別情報表示領域」が印刷されていない領域は、本件発明1の「前記識別情報表示領域以外の任意表示領域」に相当する。 (エ)上記(ア)~(ウ)を総合すると、甲1発明の甲1発明の「再帰反射シート40」における、「「001 SPL」という英数字66、及び森と湖の背景のグラフィック68が印刷され」る部分が、「「001 SPL」という英数字66」が印刷される領域、及び、「識別表示が内側に配置された識別情報表示領域」が印刷されていない領域を有することは、本件発明1の「前記画像印刷層は、識別表示が」「配置された識別情報表示領域と、前記識別情報表示領域以外の任意表示領域とを備えており」に相当する。 (オ)甲1発明の、「英数字66」を、「紫外線インクジェットプリンター(Mimaki USA(ジョージア州Suwanee)から市販されている、モデル「JF-1631」)及び見た目に不透明な、赤外線透明な、シアン、マゼンタ及びイエロー(CMY)インク(3M Companyから「Mimaki UV Piezo Inkjet Ink Series F-200」の商品名で市販されている)を使用して反射シートの15cm×31cm試料の前側に印刷」することは、シアンを使用するためシアンの光学濃度を含むことは明らかであるから、本件発明1の「前記識別表示は、少なくともシアン」「の光学濃度を含んで形成され」ることに相当する。 (カ)甲1発明の「識別表示が内側に配置された識別情報表示領域」が印刷されていない領域には、少なくとも森と湖の背景のグラフィック68が印刷されている部分があることは明らかであり、さらに、「背景グラフィック68を、紫外線インクジェットプリンター(Mimaki USA(ジョージア州Suwanee)から市販されている、モデル「JF-1631」)及び見た目に不透明な、赤外線透明な、シアン、マゼンタ及びイエロー(CMY)インク(3M Companyから「Mimaki UV Piezo Inkjet Ink Series F-200」の商品名で市販されている)を使用して反射シートの15cm×31cm試料の前側に印刷」することは、本件発明1の「前記識別表示以外の領域は、背景図の少なくとも一部を含み、且つ少なくともシアン」の「光学濃度を含んで形成され」に相当する。 (キ)そうすると、本件発明1と甲1発明とは、次の点で一致又は相違する。 <一致点> 基材上に画像印刷層が配置されたグラフィックフィルムであって、 前記画像印刷層は、識別表示が配置された識別情報表示領域と、前記識別情報表示領域以外の任意表示領域とを備えており、 前記識別表示は、少なくともシアンの光学濃度を含んで形成され、 前記識別表示以外の領域は、背景図の少なくとも一部を含み、且つ少なくともシアンの光学濃度を含んで形成される、 グラフィックフィルム。 <相違点> (相違点1) 本件発明1は、「識別表示が内側に配置された識別情報表示領域」を備えおり、「前記識別表示以外の領域」が、「前記識別情報表示領域内」のものであるのに対して、甲1発明は、「「001 SPL」という英数字66が印刷される」部分が「領域」であって、「001 SPL」が「内側に配置された識別情報表示領域」との概念がなく、少なくとも森と湖の背景のグラフィック68が印刷されている部分がある「識別表示が内側に配置された識別情報表示領域」が印刷されていない領域が、「前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域」であるか定かではない点。 (相違点2) 本件発明1は、「識別表示」が、「ブラックの光学濃度」を含むのに対して、甲1発明は、「英数字66」が「ブラックの光学濃度」を含んでいない点。 (相違点3) 本件発明1は、「前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域」は、「ブラックの光学濃度」を含むのに対して、甲1発明は、「識別表示が内側に配置された識別情報表示領域」が印刷されていない領域が、「ブラックの光学濃度」を含んでいない点。 (相違点4) 本件発明1は、「前記識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対する、前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和の比率は80%以下である」のに対して、甲1発明は、そのような構成を有していない点。 イ 新規性(理由1)について 上記ア(キ)のとおり、本件発明1の発明特定事項と甲1発明の発明特定事項との間に相違点1~4があるから、本件発明1は、新規性を有する。 ウ 進歩性(理由2)について(相違点の判断) 事案に鑑み、相違点2~4から検討する。 甲2~甲6に記載された技術的事項は「第6」2(2)、3(2)、4(2)、5(2)、6(6)のとおりであり、いずれの技術的事項にも、「識別表示」が、シアンの光学濃度と「ブラックの光学濃度」を含むことは特定されていない。また、「前記識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対する、前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和の比率は80%以下である」ことも特定されていない。 このため、甲1発明に甲2~甲6に記載された技術的事項を適用しても、相違点2、3には至らず、このため、甲1発明に甲2~甲6に記載された技術的事項を適用しても、相違点4に至らないことは明らかである。 仮に、甲1発明の「シアン、マゼンタ及びイエローインクの組み合わせを使用して黒色で印刷」することが、上記相違点2、3の「ブラックの光学濃度」を含むことに相当するとしても、甲1には、「前記識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対する、前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和の比率は80%以下である」ことは示唆されておらず、上述したとおり、甲2~甲6に記載された技術的事項も当該構成は特定されておらず、甲2~甲6には示唆もされていない。このため、甲1発明に甲2~甲6に記載された技術的事項を適用しても、上記相違点4の構成には至らない。 なお、甲2~甲6に記載された技術的事項のいずれかを主引用発明として、他の技術的事項を適用したとしても、少なくとも上記相違点4の構成に至らないことは明らかである。 そして、本件発明1は、相違点2~4の構成を採用することで、「識別表示の判読性の低下を低減できる」(本件明細書【0015】)という効果を奏するものである。 エ 申立人の主張等について (ア)申立人は、特許異議申立書で、次のように主張等する。 (主張等1) 申立人は、甲1発明において、甲1には、「英数字「001 SPL」66をシートのほぼ中央に、シアン、マゼンタ及びイエローインクの組み合わせを使用して黒色で印刷した。」(【0076】)と記載されていることから、「英数字「001 SPL」66」を、少なくとも、シアンの光学濃度とブラックの光学濃度の両方が含まれる。また、背景グラフィック68にシアンインクを使用していることから、甲1の背景グラフィックには、シアンの光学濃度とブラックの光学濃度の両方が含まれる、と主張する。(特許異議申立書22ページ(d)、23ページ(e)) (主張等2) 申立人は、甲1発明には、「前記識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対する、前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和の比率は80%以下である」ことは明記されていないものの、甲1発明は、測定していないだけであって、ナンバーの色に比較して背景の色を淡くすることが従来から当たり前であって、その根拠として根拠として、甲2、3に記載のナンバープレートの図柄を拡大した印刷物を測定した、と説明する。(特許異議申立書25~29頁) (主張等3) 申立人は、出願人(特許権者)が、審査時の令和2年9月10日付け意見書において、「これに対し、本願発明は、識別「情報表示領域内で識別表示以外の領域に背景図の少なくとも一部が含まれ、さらに、その領域がシアン及びブラックの光学濃度を含んで形成されていたとしても、光学濃度の和の比率を制御することで、識別表示の判読性の低下を低減させるという技術思想に基づいており、引用文献1及び2とは本質的に相違します。」(同意見書3頁4~7行)と主張し、背景図にシアンのみならずブラックの光学濃度も含まれること、すなわち、背景図にシアンとブラックの両方の光学濃度が含まれることが引用文献との相違である旨、主張していることについて、甲7に示されるように、波長620nmの光を入射させると、ブラックとシアンでは吸収があることは出願前より技術常識であるため、波長620nmの光源を備えたカメラにて撮影すると、シアン及びブラックは、ともに黒色に写ることもまた出願前より技術常識である、すなわち、ALPRシステムの自動速度取締機による読取りにおいて、識別表示の判読「主に、シアンとブラックの混合濃度が影響することは、本件特許の出願前より技術常識であり、甲7の下記図2には、ブラックの反射スペクトルは記載されていないが、シアンについて高い吸収があれば、ブラックについても同様に高い吸収があることは、あたりまえのことであるから、「前記識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対する、前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和の比率は80%以下である」と定めることは、当業者であれば容易になし得る程度の色調の調整にすぎないと主張する。(特許異議申立書29~30ページ) (イ)申立人の主張の検討 主張等1について、本件発明1と甲1発明とを対比すると、上記相違点2、3のとおり、甲1発明には、「英数字「001 SPL」66が印刷された部分と、「英数字「001 SPL」66が印刷されていない部分に、「ブラックの光学濃度」が含まれていない点で、本件発明1と相違するものである。仮に、相違点でないとしても、上記ウのとおり、本件発明1の「前記識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対する、前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和の比率は80%以下である」との構成は、甲1~甲6には記載されていない。 よって、主張等1に基づいて、本件発明1は、当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。 主張等2について、ナンバーの色に比較して背景の色を淡くすることが従来から当たり前とする根拠として測定した被測定物は、甲2、甲3の印刷物であって、実物のナンバープレートではないことから、ナンバーの色に比較して背景の色を淡くすることが従来から当たり前とは関係のないものである。そのため、甲1発明が「前記識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対する、前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和の比率は80%以下である」ことの根拠にはならないことから、申立人の主張等2は失当である。 主張等3について、波長620nmの光とシアン及びブラックの吸収特性は単なる物理的な特性を示すものにすぎず、シアン及びブラックの光学濃度の和の比率を制御することとは関係のない事項である。そのため、申立人の「当業者であれば容易になし得る程度の色調の調整にすぎない」との主張は後知恵であるから、主張等3は失当である。 オ 小括 よって、本件発明1は、甲1発明ではない。また、相違点1を判断するまでもなく、甲1発明及び甲2~甲6に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (2)本件発明2~9について 本件発明2~4は、本件発明1を引用する発明であるから、本件発明2~4は、本件発明1の、「識別表示」が、「ブラックの光学濃度」を含む構成、「識別表示」が、「ブラックの光学濃度」を含む構成、「前記識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対する、前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和の比率は80%以下である」構成を備えるものである。そして、本件発明2~4と甲1発明とを対比すると、上記(1)ア(キ)のとおり相違点を有し、当該相違点の判断は上記(1)ウのとおりであるから、本件発明2~4は、甲1発明ではなく、甲1発明及び甲2~甲6に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 「ライセンスプレート」の発明である本件発明5、及び、「グラフィックフィルムの製造方法」の発明である本件発明9は、「グラフィックフィルム」の発明である本件発明1とカテゴリーが異なるのみであるから、本件発明5及び本件発明9は、いずれも、本件発明1の、「識別表示」が、「ブラックの光学濃度」を含む構成、「識別表示」が、「ブラックの光学濃度」を含む構成、「前記識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対する、前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和の比率は80%以下である」構成を備えるものである。そして、本件発明5と甲1発明を「ライセンスプレート」に書き換えた発明とを対比すると、上記(1)ア(キ)のとおりの相違点を有し、相違点の判断は、上記(1)ウのとおりであるから、本件発明5は、甲1発明を「ライセンスプレート」に書き換えた発明ではなく、甲1発明を「ライセンスプレート」に書き換えた発明及び甲2~甲6に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。また、本件発明9と甲1発明を「グラフィックフィルムの製造方法」に書き換えた発明とを対比すると、上記(1)ア(キ)のとおりの相違点を有し、相違点の判断は、上記(1)ウのとおりであるから、本件発明9は、甲1発明を「グラフィックフィルムの製造方法」に書き換えた発明ではなく、甲1発明を「グラフィックフィルムの製造方法」に書き換えた発明及び甲2~甲6に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 さらに、本件発明6~8は、本件発明5を引用する発明であるから、本件発明6~8は、本件発明1の、「識別表示」が、「ブラックの光学濃度」を含む構成、「識別表示」が、「ブラックの光学濃度」を含む構成、「前記識別表示を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和に対する、前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域を形成するシアン及びブラックの光学濃度の和の比率は80%以下である」構成を備えるものである。そして、本件発明2~4と甲1発明を「ライセンスプレート」に書き換えた発明とを対比すると、上記(1)ア(キ)のとおり相違点を有し、当該相違点の判断は上記(1)ウのとおりであるから、本件発明6~8、甲1発明を「ライセンスプレート」に書き換えた発明ではなく、甲1発明を「ライセンスプレート」に書き換えた発明及び甲2~甲6に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 2 理由3(実施可能要件)、理由4(明確性要件)について (1)申立人の主張の概要 ア 実施可能要件について 本件特許明細書の[0087]及び[0097]には、墨版生成なしでCMYKカラーに変換し、さらにシアンのみで表示した、ソフトウエアシュミレーションでの評価と、印刷画像のカメラを用いた視認テストの結果とが同等である旨、記載されている。また、表1に示すとおり、例えば、本件特許明細書の実施例2~4及び全比較例では、識別情報表示領域の色指定はシアンのみである。本件特許が特許法第36条第4項第1号違反が看過されて登録になったものではないことを前提とするなら、シアンの色指定をすれば、シアンの光学濃度のみならず、ブラックの光学濃度も含まれることを本件特許権者は知っている。 しかし、本件特許権者は、令和2年9月10日付け意見書において「…背景グラフィックには、シアン、マゼンタ及びイエローを使用したことを記載するのみであって、黒色(ブラック)を使用したことについては記載されておりません。」(同意見書2頁下から6~4行)、「特に、引用文献2の上記記載(0076段落)によれば、英数字と背景グラフィックとの判読性を担保するために、英数字の描画に使用する黒色(ブラック)を背景グラフィックに使用しておりません。」(同意見書3頁1~3行)と主張し、ブラックの光学濃度の有無の問題を、黒色(ブラック)の使用・未使用、にすり替えている。 本審理において、この主張が、依然として正当と判断されるのであれば、本件特許明細書の全実施例の背景においても同様に黒色(ブラック)が使用されていないのであるから(前記表1参照)、本件特許に対応する実施例は無く、本発明は当業者には理解できず、特許法第36条第4項第1項に違反して取り消されるべきである。 「 [図:0001398211000010.jpg] 」(【表1】) イ 明確性要件について 「・・・背景グラフィックには、シアン、マゼンタ及びイエローを使用したことを記載するのみであって、黒色(ブラック)を使用したことについては記載されておりません。」(令和2年9月10日付意見書2頁下から6~4行)、「特に、引用文献2の上記記載(0076段落)によれば、英数字と背景グラフィックとの判読性を担保するために、英数字の描画に使用する黒色(ブラック)を背景グラフィックに使用しておりません。」(同意見書3頁1~3行)とする出願人の主張(令和2年9月10日付意見書)が、引用文献との相違点として認められ、本件特許が維持されるのであれば、本件発明1は、背景図において、「黒色(ブラック)」が含まれることが必須の構成として明記されるべきである。 したがって、特許法第36条第6項第2項に規定の要件を具備していない。 (2)主張の検討 主張の内容に鑑み、実施可能要件と明確性要件をまとめて検討をする。 実施可能要件違反の指摘については、上記「第4」1(2)のとおりであるから、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を満たすものである。 そして、審査時における特許権者の意見書の主張は、様々な解釈が可能であるが、本件発明は、上記「第4」2(2)のとおり明確であり、上記1のとおり、新規性、進歩性を有するものである。 このため、仮に、申立人が主張するように、審査時における特許権者の意見書の主張が論点のすり替えであるとしても、これをもって、本件特許明細書の発明の詳細な説明が、当業者が本件発明を実施することができる程度に記載されていないというものではなく、本件発明が不明確になるものでもない。 よって、申立人の主張は適切でない。 3 令和4年10月19日及び令和5年2月15日提出の申立人の回答書による主張について (1)主張の概要 ア 甲1を補強する証拠について 甲1は本件特許権者の出願である。甲1の優先日は2012年3月30日であり、本件特許権者は、本件特許の出願日より前から米国で、本発明のグラフィクフィルムおよびナンバープレート(ライセンスプレート)が実施されていることを知っていた。この事実を補強する証拠(甲1の【図2】を補強する証拠)として、甲8~甲12を提出する。 すなわち、本件特許出願時の当業界の技術常識を示す周知技術として甲8~甲12を提出するのであり、従来から御庁も審決取消訴訟では後から、出願当時の当業界の技術水準を示す周知技術としての証拠を知財高裁に提出しています。 本件異議申立人は、甲8のナンバープレートを米国の中古品取扱者から入手することができた。ちなみにこのナンバープレートは、甲1(本件特許権者の出願)の図2のナンバープレートと中央のミネソタ州の形を縁取ったマークが無い等の異なる点はあるが、背景は甲1とほぼ同一である。 そこで前記定義に従い、甲8の中古品ナンバープレートについて、上記No.1~3についての測定と同要領で、シアン(C)の光学濃度(Dc)、およびブラック(K)の光学濃度(Dk)を、[測定装置]分光光度計SPM50(グレタグマクベス社製)(本件特許明細書[0037]参照)を用いて各々測定し、構成要件Fに規定の「比率」を算出したところ、下記表5に示すようにいずれも80%以下であるとの結果を得た。 [図:0001398211000011.jpg] 以上のことから、本件特許権者は、前記識別情報表示領域内で前記識別表示以外の領域の少なくとも一部について前記比率が80%以下のグラフィックフィルムが、本件特許出願日よりも前に実施されていることを、本件特許出願日以前に知っていたはずである。したがって、本件特許権者は、本件特許出願日以前に同一物が米国で販売されていたことを知りながら、本件特許出願をしており、極めて悪質であるといわざるを得ない。万一、異なるというのであれば、本件特許権者は、甲1の図2のナンバープレートの分析値を開示すべきである。 イ 甲第2号証、甲第3号証の印刷物の測定結果と公然実施の裏付けについて 令和4年12月16日審尋では、甲第2号証及び甲第3号証を拡大した印刷物に対する測定結果が公然実施の裏付けとなり得ることの説明が不足している旨、指摘されています。 そこで、異議申立人は、下記(A)(B)及び(C)について光学濃度の測定を行いました。 (A)甲第8号証のナンバープレートとほぼ同サイズの印刷物(153mm×301mm) (B)約5倍拡大印刷物(157mm×307mm) (C)約10倍拡大印刷物(159mm×311mm) 異議申立書の26~27頁と同様、上記(A)(B)及び(C)は、インクジェットメディアと呼ばれるグラフィックフィルムに印刷しております。使用プリンタはミマキエンジニアリング製インクジェットプリンタ JV300-160であり、光学濃度の測定は分光光度計SPM50です。 (表5) [図:0001398211000012.jpg] (表6)[(A)甲第8号証のナンバープレートとほぼ同サイズの印刷物] [図:0001398211000013.jpg] (表7)[(B)約5倍拡大印刷物] [図:0001398211000014.jpg] (表8)[(C)約10倍拡大印刷物] [図:0001398211000015.jpg] 表5(ナンバープレート)と表6(ナンバープレートとほぼ同サイズの印刷物)とを比較すると、比率について印刷物の方が大きいですが、さほど大きな差ではありません。 表5(ナンバープレート)と表7(約5倍拡大印刷物)及び表8(約10倍拡大印刷物)とを比較すると、比率についてある程度差はあり、拡大すると「比率」が大きくなる傾向がみられます。しかし、いずれの場合も「比率」は80%よりもかなり小さい値ですので、「比率」が十分に小さい場合は、拡大あるいは縮小した印刷物を測定することでも、「比率」が80%以下であるか否かの確認においては、ナンバープレートを測定したことに等しいと言えます。 (2)主張の検討 ア 甲1を補強する証拠について 令和4年12月16日付けの「本件特許異議申立理由を変更する主張であると認められるから、採用し得ない。」との審尋について、申立人は、「本件特許出願時の当業界の技術常識を示す周知技術として甲第8号証~甲第12号証を提出するのであり、従来から御庁も審決取消訴訟では後から、出願当時の当業界の技術水準を示す周知技術としての証拠を知財高裁に提出しています。」と主張する。しかしながら、甲1を補強するために新たな証拠として甲8~甲12を提出することは、周知技術の根拠を異にする新たな異議申立理由を追加することに他ならない。 よって、申立人の当該主張は、本件特許異議申立理由を変更する主張であるといわざるを得ないから、失当である。 イ 甲第2号証、甲第3号証の印刷物の測定結果と公然実施の裏付けについて 申立人は、甲8の実物及び印刷物に対する測定結果を比較することで、甲2及び甲3の印刷物に対する測定結果から、甲2及び甲3の実物のナンバープレートも同様の測定結果が得られたに等しい旨主張する。 しかしながら、申立人は、甲2は「東京五輪特別仕様ナンバープレートの制度設計について」の資料であり、甲3は「石井大臣会見要旨」であって、甲2及び甲3には、これらに記載されているナンバープレートが公然実施されていることを認めるに足る記載はない。そして、申立人は、甲2及び甲3に記載されているナンバープレートが公然実施されている根拠及び理由を示していない。そのため、甲8の実物及び印刷物に対する測定結果を比較することは、公然実施とは関係のない事項である。 よって、申立人の主張は失当である。 第8 むすび 請求項1~9に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。 また、他に請求項1~9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-700482

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  • 2025-701115異議申立 / 2026-03-02 / 維持熱中症発症リスク判定システム、熱中症発症リスク判定プログラム及び熱中症発症リスク…
    同じ当事者: 柏木 里実
  • 2025-700329異議申立 / 2025-11-21 / 維持熱伝導性樹脂組成物、放熱構造体及び熱伝導性樹脂組成物の製造方法
    同じ当事者: 柏木 里実
  • 2025-700722異議申立 / 2025-10-01 / 維持セルロース繊維を含む不織布
    同じ当事者: 柏木 里実
  • 2025-700425異議申立 / 2025-08-20 / 維持スパンレース不織布
    同じ当事者: 柏木 里実
  • 2025-700322異議申立 / 2025-07-29 / 維持熱伝導性シリコーン組成物
    同じ当事者: 柏木 里実
同じ論点・分野の審決(審決分類)267件(121・G09F、536・G09F、537・G09F)
  • 2024-701008異議申立 / 2025-11-12 / 維持表示体
    共通の審決分類: 121・G09F、536・G09F、537・G09F
  • 2024-700647異議申立 / 2025-06-05 / 訂正認容表示体
    共通の審決分類: 121・G09F、536・G09F、537・G09F
  • 2024-700093異議申立 / 2025-03-25 / 訂正認容加飾パネル及び表示部
    共通の審決分類: 121・G09F、536・G09F、537・G09F
  • 2021-700408異議申立 / 2021-08-19 / 維持操作表示パネル組込物品
    共通の審決分類: 121・G09F、536・G09F、537・G09F
  • 2019-700718異議申立 / 2020-12-17 / 訂正認容フレキシブルデバイス用積層フィルム、光学部材、表示部材、前面板、及びフレキシブル…
    共通の審決分類: 121・G09F、536・G09F、537・G09F

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