特許異議申立
2021-700364
硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒
- 審判番号
- 2021-700364
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-019915外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 6775092
- 請求日
- 2021年04月22日
- 審決日
- 2023年01月13日
- 公報発行日
- 2023年04月28日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P1651.113-YAA(C08G) / P1651.121-YAA(C08G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第29条、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の8
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6775092号発明「硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6775092号の明細書及び特許請求の範囲を令和4年5月31日付け訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕、〔4、8、9〕、〔5-7、10-12〕について訂正することを認める。
特許6775092号の請求項1ないし3に係る特許に対する本件特許異議の申立てを却下する。
特許第6775092号の請求項4ないし12に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯・本件異議申立ての趣旨・審理範囲
1.本件特許の設定登録までの経緯
本件特許第6775092号に係る出願(特願2020-19915号、以下「本願」という。)は、令和2年2月7日(優先権主張:平成31年4月10日、特願2019-75038号)に出願人花王株式会社(以下「特許権者」ということがある。)によりされた特許出願であり、令和2年10月7日に特許権の設定登録(請求項の数7)がされ、令和2年10月28日に特許掲載公報が発行されたものである。
2.本件特許異議の申立ての趣旨
本件特許につき、
(1)令和3年4月22日に特許異議申立人中平茉里(以下「申立人A」ということがある。)により、「特許第6775092号の特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された発明についての特許を取り消すべきである。」という趣旨の本件特許異議の申立てが、
(2)同年同月28日に特許異議申立人廣瀬妙子(以下「申立人B」ということがある。)により、「特許第6775092号の特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された発明についての特許を取り消すべきである。」という趣旨の本件特許異議の申立てが、
それぞれされた。(以下、各人からの申立てをそれぞれ「申立てA」及び「申立てB」ということがある。)
3.審理すべき範囲
上記2.の各申立ての趣旨を総合すると、「特許第6775092号の特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された発明についての特許を取り消すべきである。」、すなわち、全請求項を審理の対象とすべきものとなり、特許異議の申立てがない請求項は存するものではなく、また、令和4年5月31日付け訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)された特許請求の範囲の請求項1ないし12についても、訂正前の請求項1ないし7に基づくものであるから、特許異議の申立てがない請求項は存しない。
4.以降の手続の経緯
令和3年 9月 2日付け 取消理由通知
同年11月 4日 意見書・訂正請求書
同年11月16日付け 通知書(両申立人あて)
同年12月10日 意見書(申立人A)
同年12月14日 意見書(申立人B)
令和4年 3月25日付け 取消理由通知(決定の予告)
同年 5月31日 意見書・訂正請求書
同年 9月 2日付け 通知書(両申立人あて)
同年10月 3日 意見書(申立人A)
同年10月 7日 意見書(申立人B)
(なお、令和4年5月31日付け訂正請求がされたことにより、令和3年11月4日付け訂正請求は取り下げられたものとみなす(特許法第120条の5第7項)。)
第2 取消理由の概要
1.申立人が主張する取消理由の概要
各申立人が主張する取消理由の概要はそれぞれ以下のとおりである。
(1)申立人Aが主張する取消理由の概要
申立人Aは、同人が提出した本件特許異議申立書(以下、「申立書A」ということがある。)において、下記甲第1号証ないし甲第4号証を提示し、具体的な取消理由として、概略、以下のア.ないしウ.が存するとしている。
ア.本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、本願の特許出願前にこの発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許は特許法第29条の規定に違反してされたものであって、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消すべきものである。(以下「取消理由A1」という。)
イ.本件特許の請求項1ないし5に係る発明は、いずれも甲第2号証に記載された発明であるか、当該甲第2号証に記載された発明に基づき、当業者の周知技術(甲第4号証)を組み合わせることによって、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第1項第3号に該当するか、同法同条第2項の規定により特許を受けることができるものではないから、それらの特許は特許法第29条の規定に違反してされたものであって、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消すべきものである。(以下「取消理由A2」という。)
ウ.本件特許の請求項5に係る発明は、甲第3号証に記載された発明であるか、又は甲第3号証に記載された発明に基づき、甲第2号証に記載された事項を組み合わせることによって当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができるものではないか、同法同条第2項の規定により特許を受けることができるものではないから、その特許は特許法第29条の規定に違反してされたものであって、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消すべきものである。(以下「取消理由A3」という。)
●申立人A提示の甲号証
甲第1号証:特表2001-503462号公報
甲第2号証:HUNTSMAN社が2017年4月27日に作成・発行したものと解される「JEFFCATRH-1」なる商品名の製品の安全データシート(部分訳添付)
甲第3号証:特開2017-75322号公報
甲第4号証:M.T.Meredith et al.“Catalyst Solutions for Stable Polyol Resin Blends”2019 American Chemistry Council(部分訳添付)(頒布月日不明)
(上記「甲第1号証」ないし「甲第4号証」をそれぞれ「甲A1」ないし「甲A4」と略す。)
●申立人Aが以降の手続で提示した参考資料
・令和3年12月10日付け意見書に添付して提示した参考資料
参考資料1:HUNTSMAN社が自社製品である「JEFFCATRH-1 Amine Catalyst」なるアミン触媒製品につき2017年頃に作成・頒布されたものと認められる技術資料(Technical Bulletin)(部分訳添付)(以下「参考資料a1」という。)
・令和4年10月3日付け意見書に添付して提示した参考資料
参考資料1:東京化成工業株式会社が自社製品である「D1562」なる1,2-ジメチルイミダゾール製品につき作成したものと認められる頒布日不明の技術資料:(以下「参考資料a2」という。)
参考資料2:HUNTSMAN社が自社製品である「JEFFCATRDMDEE Catalyst」なるアミン触媒製品につき2007年頃に作成・頒布され2回にわたり改訂された(最終改定:2020年)ものと認められる技術資料(Technical Bulletin)(部分訳添付)(以下「参考資料a3」という。)
(2)申立人Bの取消理由
申立人Bは、同人が提出した本件異議申立書(以下、「申立書B」ということがある。)において、下記甲第1号証ないし甲第5号証を提示し、具体的な取消理由として、概略、以下のア.及びイ.が存するとしている。
ア.本件特許の請求項1ないし7に係る発明は、いずれも、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができるものではないか、又は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができるものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、本件の請求項1ないし7に係る発明についての特許は、特許法第29条に違反してされたものであって、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消すべきものである。(以下「取消理由B1」という。)
イ.本件特許の請求項1ないし7に係る発明は、いずれも、甲第4号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができるものではないか、又は、甲第4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができるものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、本件の請求項1ないし7に係る発明についての特許は、特許法第29条に違反してされたものであって、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消すべきものである。(以下「取消理由B2」という。)
●申立人B提示の甲号証
甲第1号証:特表2016-514177号公報
甲第2号証:Tosoh Speciality Chemicals USA INC.が2015年4月7日に作成・公開したものと解される「TOYOCAT-DM70」なる商品名の製品の安全データシート(部分訳添付)
甲第3号証:Dow Chemical Companyが2011年11月14日に作成・公開したものと解される「VORANOLTM360」なる商品名の製品の技術資料(部分訳添付)
甲第4号証:国際公開2019/050970号
(特表2020-532634号公報を訳文として添付)
甲第5号証:特表2020-532634号公報
(上記「甲第1号証」ないし「甲第5号証」をそれぞれ「甲B1」ないし「甲B5」と略す。)
●申立人Bが以降の手続で提示した参考資料
・令和4年10月7日付け意見書に添付して提示した参考資料
参考資料1:HUNTSMAN社が自社製品である「JEFFCATR H-1 Amine Catalyst」なるアミン触媒製品につき2017年頃に作成・頒布されたものと認められる技術資料(Technical Bulletin)(部分訳添付)(以下「参考資料b」という。)
(3)特許権者が提示した乙号証(参考)
乙第1号証:特許第5018139号公報
乙第2号証:特許第5076405号公報
2.当審が通知した取消理由
当審が通知した取消理由は、概略以下のとおりである。
(1)令和3年9月2日付け取消理由通知
●本件特許の請求項1ないし7に係る発明は、下記甲号証(甲B1)に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができるものではないか、又は、下記甲号証(甲B1)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けられないものであるから、いずれにしても、本件特許の請求項1ないし7に係る発明についての特許は、特許法第29条に違反してされたものであって、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。(以下「取消理由1」という。)
●本件特許の請求項1ないし4に係る発明は、下記甲号証(甲A2)に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができるものではないか、又は、下記甲号証(甲A2)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けられないものであるから、いずれにしても、本件特許の請求項1ないし4に係る発明についての特許は、特許法第29条に違反してされたものであって、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。(以下「取消理由2」という。)
(2)令和4年3月25日付け取消理由通知(決定の予告)
●(令和3年11月4日付け訂正請求で訂正された)本件特許の請求項1ないし12に係る発明は、甲A2に記載された発明であるか、または、甲A2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当するか、または、同法同条第2項の規定により、特許を受けることができるものではなく、本件の請求項1ないし12に係る発明についての特許は、いずれも特許法第29条に違反して特許されたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。(以下「取消理由3」という。)
第3 令和4年5月31日付けの訂正請求について
1.訂正請求の内容
令和4年5月31日付けの訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)は、訂正前の特許請求の範囲及び明細書を一群の請求項ごとに訂正することにより、訂正後の特許請求の範囲及び明細書にすることを含むものであって、以下の訂正事項1ないし16を含むものであり、以下の別の訂正単位とする求めを含むものである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に「請求項1~3いずれか記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒」と記載されているのを、
「式(I):
【化3】
[図:0001396246000001.jpg]
(式中、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して、水素原子、又は炭素原子数が1以上8以下であり、酸素原子数が0以上2以下である置換基であり、R2とR3は連結していてもよい)
で表されるイミダゾール系化合物と、式(II):
【化4】
[図:0001396246000002.jpg]
(式中、R4及びR5はそれぞれ独立して、炭素原子数が2以上8以下であり、酸素原子数が0以上2以下である、窒素原子に結合して環を形成している置換基であり、Xは-O-又は-NR6-であり、R6は炭素原子数が1以上8以下であり、酸素原子数が0以上2以下である1価の置換基であり、nは1以上3以下の整数である)
で表されるアミン化合物とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒であって、前記式(I)で表されるイミダゾール系化合物と前記式(II)で表されるアミン化合物との質量比(イミダゾール系化合物/アミン化合物)が、60/40以上90/10以下である、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒」
に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項4に「炭素数2以上8以下の多価アルコール及び水から選ばれる1種以上の溶媒とを含有する」と記載されているのを、
「該式(I)で表されるイミダゾール系化合物と該式(II)で表されるアミン化合物の合計100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下の水とを含有する」
に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項4に「硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物。」と記載されているのを、
「硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物(ただし、硬質ポリウレタンフォームの製造として、沈殿抵抗性のコバルトベースの金属触媒、沈殿抵抗性の亜鉛ベースの金属触媒、沈殿抵抗性のスズベースの金属触媒、沈殿抵抗性のジルコネートベースの金属触媒、沈殿抵抗性のマンガンベースの金属触媒、沈殿抵抗性のチタンベースの金属触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の沈殿抵抗性の金属触媒を用いる硬質ポリウレタンフォームの製造を除く)。」
に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項5に「請求項1~3いずれか記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒又は請求項4記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物、」と記載されているのを、
「式(I):
【化5】
[図:0001396246000003.jpg]
(式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して、水素原子又は、炭素原子数が1以上8以下であり、酸素原子数が0以上2以下である置換基であり、R2とR3は連結していてもよい)で表されるイミダゾール系化合物と、式(II):
【化6】
[図:0001396246000004.jpg]
(式中、R4及びR5はそれぞれ独立して、炭素原子数が2以上8以下であり、酸素原子数が0以上2以下である、窒素原子に結合して環を形成している置換基であり、Xは-O-又は-NR6-であり、R6は炭素原子数が1以上8以下であり、酸素原子数が0以上2以下である1価の置換基であり、nは1以上3以下の整数である)
で表されるアミン化合物とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒であって、前記式(I)で表されるイミダゾール系化合物と前記式(II)で表されるアミン化合物との質量比(イミダゾール系化合物/アミン化合物)が、60/40以上90/10以下である、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒と、該式(I)で表されるイミダゾール系化合物と該式(II)で表されるアミン化合物の合計100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下の水とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物、」
に訂正する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項5に「硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物。」と記載されているのを、
「硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(ただし、沈殿抵抗性のコバルトベースの金属触媒、沈殿抵抗性の亜鉛ベースの金属触媒、沈殿抵抗性のスズベースの金属触媒、沈殿抵抗性のジルコネートベースの金属触媒、沈殿抵抗性のマンガンベースの金属触媒、沈殿抵抗性のチタンベースの金属触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の沈殿抵抗性の金属触媒を含むものを除く)。」
に訂正する。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項4に、
「請求項1~3いずれか記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒と、炭素数2以上8以下の多価アルコール及び水から選ばれる1種以上の溶媒とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物。」
とあるうち、請求項2を引用するものについて、訂正後の請求項4に従属する形式に改め、
「式(I)で表されるイミダゾール系化合物が、1,2-ジメチルイミダゾールである、請求項4記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物。」と訂正し、新たに請求項8とする。
(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項4に、
「請求項1~3いずれか記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒と、炭素数2以上8以下の多価アルコール及び水から選ばれる1種以上の溶媒とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物。」
とあるうち、請求項3を引用するものについて、訂正後の請求項4又は8に従属する形式に改め、
「式(II)で表されるアミン化合物が、ジモルホリノジエチルエーテルである、請求項4又は8記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物。」と訂正し、新たに請求項9とする。
(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項5に、
「請求項1~3いずれか記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒又は請求項4記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物、ポリオール、及びハロゲン化炭化水素を含有するポリオール組成物であって、前記ハロゲン化炭化水素がヒドロハロオレフィンを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物。」
とあるうち、請求項2を引用するものについて、訂正後の請求項5又は6に従属する形式に改め、
「式(I)で表されるイミダゾール系化合物が、1, 2ージメチルイミダゾールである、請求項5又は6記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物。」
と訂正し、新たに請求項10とする。
(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項5に、
「請求項1~3いずれか記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒又は請求項4記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物、ポリオール、及びハロゲン化炭化水素を含有するポリオール組成物であって、前記ハロゲン化炭化水素がヒドロハロオレフィンを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物。」
とあるうち、請求項3を引用するものについて、訂正後の請求項5、6又は10に従属する形式に改め、
「式(II)で表されるアミン化合物が、ジモルホリノジエチルエーテルである、請求項5、6又は10記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物。」
と訂正し、新たに請求項11とする。
(13)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項7に、
「請求項5又は6記載のポリオール組成物とポリイソシアネートとを混合する工程を含む、硬質ポリウレタンフォームの製造方法。」
とあるうち、請求項2又は3を引用する請求項5又は6を引用するものについて、訂正後の請求項10又は11に従属する形式に改め、
「請求項10又は11記載のポリオール組成物とポリイソシアネートとを混合する工程を含む、硬質ポリウレタンフォームの製造方法。」
と訂正し、新たに請求項12とする。
(14)訂正事項14
明細書の段落【0014】に記載の「(式中、・・・(略)・・・に関する。」を以下のように訂正する。
「(式中、R4及びR5はそれぞれ独立して、炭素原子数が2以上8以下であり、酸素原子数が0以上2以下である、窒素原子に結合して環を形成している置換基であり、Xは-O-又は-NR6-であり、R6は炭素原子数が1以上8以下であり、酸素原子数が0以上2以下である1価の置換基であり、nは1以上3以下の整数である)
で表されるアミン化合物とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒であって、前記式(I)で表されるイミダゾール系化合物と前記式(II)で表されるアミン化合物との質量比(イミダゾール系化合物/アミン化合物)が、60/40以上90/10以下である、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒と、該式(I)で表されるイミダゾール系化合物と該式(II)で表されるアミン化合物の合計100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下の水とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物(ただし、硬質ポリウレタンフォームの製造として、沈殿抵抗性のコバルトベースの金属触媒、沈殿抵抗性の亜鉛ベースの金属触媒、沈殿抵抗性のスズベースの金属触媒、沈殿抵抗性のジルコネートベースの金属触媒、沈殿抵抗性のマンガンベースの金属触媒、沈殿抵抗性のチタンベースの金属触女、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の沈殿抵抗性の金属触媒を用いる硬質ポリウレタンフォームの製造を除く)、
〔2〕 前記式(I)で表されるイミダゾール系化合物と、前記式(II)で表されるアミン化合物とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒であって、前記式(I)で表されるイミダゾール系化合物と前記式(II)で表されるアミン化合物との質量比(イミダゾール系化合物/アミンヒ合物)が60/40以上90/10以下である硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒と、該式(I)で表されるイミダゾール系化合物と該式(II)で表されるアミン化合物の合計100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下の水とを含有する硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物、ポリオール、及びハロゲン化炭化水素を含有するポリオール組成物であって、前記ハロゲン化炭化水素がヒドロハロオレフィンを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(ただし、沈殿抵抗性のコバルトベースの金属触媒、沈殿抵抗性の亜鉛ベースの金属触媒、沈殿抵抗性のスズベースの金属触媒、沈殿抵抗性のジルコネートベースの金属触媒、沈殿抵抗性のマンガンベースの金属触媒、沈殿抵抗性のチタンベースの金属触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の沈殿抵抗性の金属触媒を含むものを除く)、並びに
〔3〕 前記〔2〕記載のポリオール組成物とポリイソシアネートとを混合する工程を含む、硬質ポリウレタンフォームの製造方法
に関する。」
(15)訂正事項15
明細書の段落【0072】に記載の「実施例1~3及び比較例1~6」を、「実施例1~3及び比較例1~6(実施例3は参考例である)」に訂正する。
(16)訂正事項16
明細書の段落【0084】に記載の「実施例4~7及び参考例1〔硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物の調製〕」を、「実施例4~7及び参考例1〔硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物の調製〕(実施例4、5は参考例である)」に訂正する。
(17)別の訂正単位とする求め
訂正後の請求項4と、訂正後の請求項4の記載を引用する訂正後の請求項8及び9、並びに訂正後の請求項5と、訂正後の請求項5を引用する訂正後の請求項6、7、10~12については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、それぞれ、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求める。
2.各訂正事項に係る訂正の適否について
以下の説示においては、訂正前の請求項1ないし7を項番に従いそれぞれ「旧請求項1」のようにいい、訂正後の請求項1ないし12を項番に従いそれぞれ「新請求項1」のようにいう。
(1)訂正事項1ないし3について
ア.訂正の目的について
訂正事項1ないし3に係る各訂正では、旧請求項1ないし3の各記載事項を全て削除して新請求項1ないし3としているから、訂正事項1ないし3に係る各訂正は、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ.新規事項の有無及び特許請求の範囲の実質的な拡張・変更の有無
訂正事項1ないし3に係る各訂正は、上記ア.で検討したとおり、いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、旧請求項1ないし3の各記載事項を全て削除しているだけであるから、本件特許明細書に記載された事項の範囲内で訂正されたことが明らかであって、また、上記訂正によって本件訂正の前後で特許請求の範囲が実質的に拡張又は変更されたものでないことも明らかである。
したがって、訂正事項1ないし3に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に規定する要件を満たすものといえる。
(2)訂正事項4ないし6について
ア.訂正の目的
訂正事項4に係る訂正では、旧請求項4における「請求項1~3いずれか記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒」なる記載につき、旧請求項1に記載された事項を書き下すことにより、引用形式で記載されたものを独立形式に改めるとともに、旧請求項1に記載された「50/50以上90/10以下ある」との数値範囲に係る記載を「60/40以上90/10以下である」と数値範囲を限定している。
また、訂正事項5に係る訂正では、旧請求項4における「炭素数2以上8以下の多価アルコール及び水から選ばれる1種以上の溶媒とを含有する」なる記載につき、溶媒に係る並列的選択肢である「水」のみに限定した上で、その含有量を「該式(I)で表されるイミダゾール系化合物と該式(II)で表されるアミン化合物の合計100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下・・を含有する」と限定している。
そして、訂正事項6に係る訂正では、「(ただし、硬質ポリウレタンフォームの製造として、沈殿抵抗性のコバルトベースの金属触媒、沈殿抵抗性の亜鉛ベースの金属触媒、沈殿抵抗性のスズベースの金属触媒、沈殿抵抗性のジルコネートベースの金属触媒、沈殿抵抗性のマンガンベースの金属触媒、沈殿抵抗性のチタンベースの金属触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の沈殿抵抗性の金属触媒を用いる硬質ポリウレタンフォームの製造を除く)」と、旧請求項4において、一部の態様を除外することを付加規定している。
してみると、訂正事項4に係る訂正は、引用項形式で記載された旧請求項4につき独立項形式に書き改められたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定の「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであるとともに、また、訂正事項4ないし6に係る訂正は、いずれも旧請求項4につき、特許請求の範囲を実質的に減縮しているものと認められるから、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ.新規事項の有無及び特許請求の範囲の実質的な拡張・変更の有無
訂正事項4ないし6に係る各訂正は、上記ア.で検討したとおり、いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、旧請求項4の特許請求の範囲を実質的に減縮しているものであるから、本件特許明細書に記載された事項の範囲内で訂正されたことが明らかであって、また、上記訂正によって本件訂正の前後で特許請求の範囲が実質的に拡張又は変更されたものでないことも明らかである。
したがって、訂正事項4ないし6に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に規定する要件を満たすものといえる。
(3)訂正事項7及び8について
ア.訂正の目的
訂正事項7に係る訂正では、旧請求項5における「請求項1~3いずれか記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒又は請求項4記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物、」なる記載のうち「請求項4記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物」について、訂正事項4及び5に係る訂正と同様に、旧請求項1に記載された事項を書き下すことにより、引用形式で記載されたものを独立形式に改めるとともに、旧請求項1に記載された「50/50以上90/10以下ある」との数値範囲に係る記載を「60/40以上90/10以下である」と数値範囲を限定し、また、旧請求項1を引用する旧請求項4における「炭素数2以上8以下の多価アルコール及び水から選ばれる1種以上の溶媒とを含有する」なる記載につき、溶媒に係る並列的選択肢である「水」のみに限定した上で、その含有量を「該式(I)で表されるイミダゾール系化合物と該式(II)で表されるアミン化合物の合計100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下・・を含有する」と限定している。
そして、訂正事項8に係る訂正では、「(ただし、硬質ポリウレタンフォームの製造として、沈殿抵抗性のコバルトベースの金属触媒、沈殿抵抗性の亜鉛ベースの金属触媒、沈殿抵抗性のスズベースの金属触媒、沈殿抵抗性のジルコネートベースの金属触媒、沈殿抵抗性のマンガンベースの金属触媒、沈殿抵抗性のチタンベースの金属触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の沈殿抵抗性の金属触媒を用いる硬質ポリウレタンフォームの製造を除く)」と、旧請求項5で「請求項4記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物」として引用する旧請求項4において、一部の態様を除外することを付加規定している。
してみると、訂正事項7に係る訂正は、旧請求項1を引用する旧請求項4を更に引用する引用項形式で記載された旧請求項5につき独立項形式に書き改められたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定の「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであるとともに、また、訂正事項7及び8に係る訂正は、いずれも旧請求項5につき、特許請求の範囲を実質的に減縮しているものと認められるから、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ.新規事項の有無及び特許請求の範囲の実質的な拡張・変更の有無
訂正事項7及び8に係る各訂正は、上記ア.で検討したとおり、いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、旧請求項5の特許請求の範囲を実質的に減縮しているものであるから、本件特許明細書に記載された事項の範囲内で訂正されたことが明らかであって、また、上記訂正によって本件訂正の前後で特許請求の範囲が実質的に拡張又は変更されたものでないことも明らかである。
したがって、訂正事項7及び8に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に規定する要件を満たすものといえる。
(4)訂正事項9及び10について
ア.訂正の目的
訂正事項9及び10に係る各訂正では、それぞれ、旧請求項4における「請求項1~3いずれか記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒」なる記載において、旧請求項2又は旧請求項3を引用する部分につき、新請求項4を引用する形式で新たに新請求項8とし、新請求項4又は新請求項8を引用する形式で新請求項9としている。
そして、新請求項4は、上記(2)で説示したとおり、訂正事項4ないし6に係る訂正により、旧請求項4に比して、その特許請求の範囲を実質的に減縮されているものであるから、当該新請求項4を引用する新請求項8又は9についても、旧請求項1を引用する旧請求項2又は旧請求項3を更にそれぞれ引用する旧請求項4の各部分に比して、その特許請求の範囲を実質的に減縮されているものと認められる。
してみると、訂正事項9又は10に係る各訂正は、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ.新規事項の有無及び特許請求の範囲の実質的な拡張・変更の有無
訂正事項9又は10に係る各訂正は、上記ア.で検討したとおり、いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、旧請求項4の旧請求項2又は旧請求項3をそれぞれ引用する各部分に比して、その特許請求の範囲を実質的に減縮して新請求項8又は9としているものであるから、本件特許明細書に記載された事項の範囲内で訂正されたことが明らかであって、また、上記訂正によって本件訂正の前後で特許請求の範囲が実質的に拡張又は変更されたものでないことも明らかである。
したがって、訂正事項9又は10に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に規定する要件を満たすものといえる。
(5)訂正事項11及び12について
ア.訂正の目的
訂正事項11及び12に係る各訂正では、それぞれ、旧請求項5における「請求項1~3いずれか記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒又は請求項4記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物、ポリオール、及びハロゲン化炭化水素を含有するポリオール組成物であって、前記ハロゲン化炭化水素がヒドロハロオレフィンを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物。」なる記載において、旧請求項2又は旧請求項3を引用する部分につき、新請求項5又は6を引用する形式で新たに新請求項10とし、新請求項5又は6あるいは新請求項10を引用する形式で新請求項11としている。
そして、新請求項5は、上記(3)で説示したとおり、訂正事項7及び8に係る訂正により、旧請求項5に比して、その特許請求の範囲を実質的に減縮されているものであり、また、旧請求項5又は新請求項5を引用する旧請求項6又は新請求項6についても同様であるから、当該新請求項5又は6を引用する新請求項10又は11についても、旧請求項1を引用する旧請求項2又は旧請求項3を更にそれぞれ引用する旧請求項5又は旧請求項6の各部分に比して、その特許請求の範囲を実質的に減縮されているものと認められる。
してみると、訂正事項11又は12に係る各訂正は、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ.新規事項の有無及び特許請求の範囲の実質的な拡張・変更の有無
訂正事項11又は12に係る各訂正は、上記ア.で検討したとおり、いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、旧請求項5又は6の旧請求項2又は旧請求項3をそれぞれ引用する各部分に比して、その特許請求の範囲を実質的に減縮して新請求項10又は11としているものであるから、本件特許明細書に記載された事項の範囲内で訂正されたことが明らかであって、また、上記訂正によって本件訂正の前後で特許請求の範囲が実質的に拡張又は変更されたものでないことも明らかである。
したがって、訂正事項11又は12に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に規定する要件を満たすものといえる。
(6)訂正事項13について
ア.訂正の目的
訂正事項13に係る訂正では、それぞれ、旧請求項7における「請求項5又は6記載のポリオール組成物とポリイソシアネートとを混合する工程を含む、硬質ポリウレタンフォームの製造方法。」なる記載において、旧請求項2又は旧請求項3を引用する旧請求項5又は6を更に引用する部分につき、新請求項10又は新請求項11を引用する形式で新請求項12としている。
そして、新請求項10又は新請求項11は、上記(5)で説示したとおり、訂正事項11及び12に係る訂正により、旧請求項5に比して、その特許請求の範囲を実質的に減縮されているものであり、また、旧請求項5又は新請求項5を引用する旧請求項6又は新請求項6についても同様であるから、当該新請求項5又は6を引用する新請求項10又は11を更に引用する新請求項12についても、旧請求項1を引用する旧請求項2又は旧請求項3を更にそれぞれ引用する旧請求項5又は旧請求項6を重ねて引用する旧請求項7の部分に比して、その特許請求の範囲を実質的に減縮されているものと認められる。
してみると、訂正事項13に係る訂正は、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ.新規事項の有無及び特許請求の範囲の実質的な拡張・変更の有無
訂正事項13に係る訂正は、上記ア.で検討したとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、旧請求項7の旧請求項2又は旧請求項3をそれぞれ引用する旧請求項5又は旧請求項6を更に引用する部分に比して、その特許請求の範囲を実質的に減縮して新請求項12としているものであるから、本件特許明細書に記載された事項の範囲内で訂正されたことが明らかであって、また、上記訂正によって本件訂正の前後で特許請求の範囲が実質的に拡張又は変更されたものでないことも明らかである。
したがって、訂正事項13に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に規定する要件を満たすものといえる。
(7)訂正事項14について
ア.訂正の目的
訂正事項14に係る訂正では、本件特許に係る明細書(以下「本件特許明細書」という。)の発明の詳細な説明の【0010】ないし【0014】に記載された本件発明の要約記載につき、上記訂正事項1ないし13に係る訂正により特許請求の範囲が旧請求項1ないし7から新請求項1ないし12に訂正されたことに伴い、新請求項の内容と整合しなくなった要約記載を新請求項の内容に整合するように【0014】を訂正したものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定の明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ.新規事項の有無及び特許請求の範囲の実質的な拡張・変更の有無
訂正事項14に係る訂正は、本件特許明細書の発明の詳細な説明における要約記載について、上記(1)ないし(6)で検討した特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正事項1ないし13に係る訂正がされた特許請求の範囲に基づいた要約記載に訂正しただけのものであるから、本件特許明細書に記載された事項の範囲内で訂正されたことが明らかであって、また、上記訂正によって本件訂正の前後で特許請求の範囲が実質的に拡張又は変更されたものでないことも明らかである。
したがって、訂正事項14に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に規定する要件を満たすものといえる。
(8)訂正事項15及び16について
ア.訂正の目的
訂正事項15及び16に係る訂正では、それぞれ、本件特許明細書の発明の詳細な説明の【0072】又は【0084】に記載された本件発明の実施例に係る記載につき、上記訂正事項1ないし13に係る訂正により特許請求の範囲が旧請求項1ないし7から新請求項1ないし12に訂正されたことに伴い、新請求項に記載されている事項を具備しなくなった実施例につき参考例であると訂正したものであるから、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定の明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ.新規事項の有無及び特許請求の範囲の実質的な拡張・変更の有無
訂正事項15及び16に係る訂正は、本件特許明細書の発明の詳細な説明における実施例に係る記載について、訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項を具備しなくなった実施例につき参考例であると単に訂正しただけのものであるから、本件特許明細書に記載された事項の範囲内で訂正されたことが明らかであって、また、上記訂正によって本件訂正の前後で特許請求の範囲が実質的に拡張又は変更されたものでないことも明らかである。
したがって、訂正事項15及び16に係る訂正は、いずれも特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に規定する要件を満たすものといえる。
(9)独立特許要件
本件の2件の特許異議の申立ては、併合すると、旧請求項1ないし7、すなわち全請求項に係る発明についての特許に対してされたものであって、訂正後の新請求項1ないし12は、上記(1)ないし(6)で説示したとおり、旧請求項1ないし7に基づくものであるから、申立てが行われていない請求項に係る特許は存するものでなく、独立特許要件につき検討すべき請求項は存しない。
3.本件訂正に係る検討のまとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、同第3号又は同第4号に掲げる目的要件を満たすものであり、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に規定する要件も満たすものであるから、本件訂正を認める。
第4 本件特許の特許請求の範囲に記載された事項
上記本件訂正により適法に訂正された本件特許の特許請求の範囲には、以下のとおりの事項が記載されている。
「【請求項1】(削除)
【請求項2】(削除)
【請求項3】(削除)
【請求項4】
式(I):
【化3】
[図:0001396246000005.jpg]
(式中、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して、水素原子、又は炭素原子数が1以上8以下であり、酸素原子数が0以上2以下である置換基であり、R2とR3は連結していてもよい)
で表されるイミダゾール系化合物と、式(II):
【化4】
[図:0001396246000006.jpg]
(式中、R4及びR5はそれぞれ独立して、炭素原子数が2以上8以下であり、酸素原子数が0以上2以下である、窒素原子に結合して環を形成している置換基であり、Xは-O-又は-NR6-であり、R6は炭素原子数が1以上8以下であり、酸素原子数が0以上2以下である1価の置換基であり、nは1以上3以下の整数である)
で表されるアミン化合物とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒であって、前記式(I)で表されるイミダゾール系化合物と前記式(II)で表されるアミン化合物との質量比(イミダゾール系化合物/アミン化合物)が、60/40以上90/10以下である、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒と、該式(I)で表されるイミダゾール系化合物と該式(II)で表されるアミン化合物の合計100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下の水とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物(ただし、硬質ポリウレタンフォームの製造として、沈殿抵抗性のコバルトベースの金属触媒、沈殿抵抗性の亜鉛ベースの金属触媒、沈殿抵抗性のスズベースの金属触媒、沈殿抵抗性のジルコネートベースの金属触媒、沈殿抵抗性のマンガンベースの金属触媒、沈殿抵抗性のチタンベースの金属触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の沈殿抵抗性の金属触媒を用いる硬質ポリウレタンフォームの製造を除く)。
【請求項5】
式(I):
【化5】
[図:0001396246000007.jpg]
(式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して、水素原子又は、炭素原子数が1以上8以下であり、酸素原子数が0以上2以下である置換基であり、R2とR3は連結していてもよい)で表されるイミダゾール系化合物と、式(II):
【化6】
[図:0001396246000008.jpg]
(式中、R4及びR5はそれぞれ独立して、炭素原子数が2以上8以下であり、酸素原子数が0以上2以下である、窒素原子に結合して環を形成している置換基であり、Xは-O-又は-NR6-であり、R6は炭素原子数が1以上8以下であり、酸素原子数が0以上2以下である1価の置換基であり、nは1以上3以下の整数である)
で表されるアミン化合物とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒であって、前記式(I)で表されるイミダゾール系化合物と前記式(II)で表されるアミン化合物との質量比(イミダゾール系化合物/アミン化合物)が、60/40以上90/10以下である、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒と、該式(I)で表されるイミダゾール系化合物と該式(II)で表されるアミン化合物の合計100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下の水とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物、ポリオール、及びハロゲン化炭化水素を含有するポリオール組成物であって、前記ハロゲン化炭化水素がヒドロハロオレフィンを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(ただし、沈殿抵抗性のコバルトベースの金属触媒、沈殿抵抗性の亜鉛ベースの金属触媒、沈殿抵抗性のスズベースの金属触媒、沈殿抵抗性のジルコネートベースの金属触媒、沈殿抵抗性のマンガンベースの金属触媒、沈殿抵抗性のチタンベースの金属触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の沈殿抵抗性の金属触媒を含むものを除く)。
【請求項6】
ヒドロハロオレフィンが、ヒドロフルオロオレフィン及びヒドロクロロフルオロオレフィンの少なくとも1種である、請求項5記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物。
【請求項7】
請求項5又は6記載のポリオール組成物とポリイソシアネートとを混合する工程を含む、硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項8】
式(I)で表されるイミダゾール系化合物が、1,2-ジメチルイミダゾールである、請求項4記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物。
【請求項9】
式(II)で表されるアミン化合物が、ジモルホリノジエチルエーテルである、請求項4又は8記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物。
【請求項10】
式(I)で表されるイミダゾール系化合物が、1,2-ジメチルイミダゾールである、請求項5又は6記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物。
【請求項11】
式(II)で表されるアミン化合物が、ジモルホリノジエチルエーテルである、請求項5、6又は10記載の硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物。
【請求項12】
請求項10又は11記載のポリオール組成物とポリイソシアネートとを混合する工程を含む、硬質ポリウレタンフォームの製造方法。」
(以下、上記各請求項に係る発明を項番に従い「本件発明1」ないし「本件発明12」という。)
第5 当審の判断
当審は、
本件の請求項1ないし3に係る特許に対する両申立人からの特許異議の申立ては、本件訂正により請求項1ないし3はいずれもその記載内容が全て削除されたことによって、各申立てに係る審理対象を欠くものとなり、不適法なものとなったものでその治癒ができないものであるから、特許法第120条の8で準用する同法第135条の規定により却下すべきものであり、
両申立人が主張する上記取消理由及び当審が通知した上記取消理由についてはいずれも理由がなく、ほかに本件の請求項4ないし12に係る発明についての特許を取り消すべき理由も発見できないから、本件の請求項4ないし12に係る発明についての特許は、取り消すべきものではなく、維持すべきもの、
と判断する。
以下、取消理由1ないし3、取消理由A1ないしA3並びに取消理由B1及びB2につきそれぞれ検討・詳述する。
I.取消理由についての検討
上記取消理由1ないし3、取消理由A1ないしA3並びに取消理由B1及びB2は、いずれも特許法第29条に係るものであって、主たる引用例を異にするものであるから、当該主たる引用例ごとに検討する。
なお、取消理由1及びB1又は取消理由2、3及びA2は、それぞれ主たる引用例を一にするもの(甲B1又は甲A2)であるから、それぞれ併せて検討する。
1.各甲号証に記載された事項及び各甲号証に記載された発明
両申立人が提示した上記各甲号証に係る記載事項を確認し、当該記載事項に基づき各取消理由において引用される主たる引用例に記載された発明を認定する。なお、併せて両申立人が提示した参考資料等についても、その内容を確認する。
(1)申立人Aが提示した各甲号証及び参考資料について
ア.甲A1
甲A1には、硬質ポリウレタンフォーム製造用の組成物として、ポリオールAないしD(A20.5重量部、B23.0重量部、C10.0重量部及びD21.0重量部の合計74.5重量部)、DMBA(ジメチルベンジルアミン)触媒0.6重量部とDMDEE(2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル)触媒0.8重量部とNMI(N-メチルイミダゾール(1-メチルイミダゾール))触媒0.2重量部、発泡剤としての水3.3重量部とHCFC 141bの4.2重量部を含有する組成物が記載されている(第24頁「表5」の「フォーム番号23」参照。)。
してみると、甲A1には、
「ポリオール混合物74.5重量部、DMBA(ジメチルベンジルアミン)触媒0.6重量部とDMDEE(2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル)触媒0.8重量部とNMI(N-メチルイミダゾール(1-メチルイミダゾール))触媒0.2重量部、発泡剤としての水3.3重量部とHCFC 141bの4.2重量部を含有する硬質ポリウレタンフォーム製造用の組成物。」に係る発明(以下「甲A1発明」という。)が記載されている。
イ.甲A2
甲A2には、HUNTSMAN社が上市している「JEFFCATRH-1」なる製品名のものが記載され(第1頁「1.1 Product identifier」の欄)、当該製品名のものが、1,2-ジメチルイミダゾール30~60質量%、2,2’-ジモルフォリニルジエチルエーテル(「2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル」ということもある。)30~60質量%及びエタン-1,2-ジオール13~30質量%からなる組成物であることも記載されている(第3頁「3.2 Mixtures」の欄)。
そして、上記組成物につき前2成分のみに着目し、エタン-1,2-ジオールを除いて質量比を計算すると、1,2-ジメチルイミダゾール30~60質量%及び2,2’-ジモルフォリニルジエチルエーテル30~60質量%なる量比は、2種合計100質量部に対して1,2-ジメチルイミダゾール33~67質量部及び2,2’-ジモルフォリニルジエチルエーテル33~67質量部の量比となることが算出できる。
してみると、上記甲A2には、上記記載事項からみて、
「1,2-ジメチルイミダゾール30~60質量%、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル30~60質量%及びエタン-1,2-ジオール13~30質量%からなる組成物。」
に係る発明(以下「甲A2発明」という。)が記載されている。
ウ.甲A3
甲A3には、(a)1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを含むヒドロハロオレフィン発泡剤;(b)1種類以上のポリオール;(c)1種類以上の界面活性剤;及び(d)少なくとも1種類のアミン触媒を含む触媒;を含む、発泡性組成物が記載され(【請求項1】参照)、当該(d)成分のアミン触媒として、1,2-ジメチルイミダゾール及び2,2-ジモルホリノジエチルエーテルを含む群の1以上から選択されることが記載されている(【請求項10】参照)。
してみると、上記甲A3には、上記記載事項からみて、
「(a)1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを含むヒドロハロオレフィン発泡剤;(b)1種類以上のポリオール;(c)1種類以上の界面活性剤;及び(d)1,2-ジメチルイミダゾール及び2,2-ジモルホリノジエチルエーテルを含む群の1以上から選択される少なくとも1種類のアミン触媒を含む触媒;を含む、発泡性組成物。」
に係る発明(以下「甲A3発明」という。)が記載されている。
エ.その他の甲号証又は参考資料
(ア)甲A4
甲A4には、
「Historically, chlorofluorocarbons (CFCs) and hydrochlorofluorocarbons(HCFCs) were used as liquid and gaseous blowing agents to provide closed-cell polyurethane foams with high thermal resistance R-value properties.
However, these blowing agents contribute to ozone depletion and the greenhouse effect, and so are being phased out of use. Their replacements represent a new class of blowing agents classified as "hydrohalo-olefins"(HHOs) or hydrofluoro-olefms (HFOs), which have a much shorter atmospheric lifetime and thus a lower global warming potential (GWP).」(第1頁「INTRODUCTION」の欄)
(申立人訳:歴史的に、ガス状や液状のクロロフルオロカーボン(CFCs)とヒドロクロロフルオロカーボン(HCFCs)は、高い熱流抵抗(R-バリュー)特性を持った独泡(クローズドセル)のポリウレタンフォームを共提する発泡剤として用いられてきた。しかしながら、これらの発泡剤はオゾン層の破壊や温室効果に寄与しており、段階的に使用停止となっている。これらの代替えとして、非常に大気中の寿命が短く、それ故に地球温暖化係数(GWP)が低い、ヒドロハロオレフィン(HHOs)やヒドロフルオロオレフィン(HFOs)として分類される、新しいクラスの発泡剤が登場した。)
と記載され、また、
「
[図:0001396246000009.jpg]
Figure 4:Change tack-free time after 6 weeks of B-side storage at 50℃ for different catalysts and 1233zd(E)blowing agent」(第4頁中段)
(申立人訳:(図の下の説明文)図4:それぞれの触媒と発泡剤1233zd(E)を含んだB液を、50℃で 6週間貯蔵した後の、ベトツキ解消時間の変化)
と記載されている。
(イ)参考資料a1
参考資料a1は、HUNTSMAN社が自社製品である「JEFFCATR H-1 Amine Catalyst」なるアミン触媒製品に係る2017年頃に作成・頒布されたものと認められる技術資料(Technical Bulletin)であるところ、その第1頁の表題下には、
「Jeffcat H-1 Amine catalyst is designed to have good stability with next generation Hydrofluoroolefin(HFO) blowing agents,such as trans-1-chloro-3,3,3-trifluoropropene,and to provide a balanced blowing/gelling catalytic potency for both rigid and flexible foam applications at various density ranges.」
(申立人訳:Jeffcat H-1 アミン触媒は、トランス 1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンなどの次世代ハイドロフルオロオレフィン(HFO)発泡剤との安定性が良好で且つ、様々な密度範囲での硬質および軟質ポリウレタンフォーム用途に、泡化活性/樹脂化活性をバランス良く生じさせる触媒として設計されています。)
と記載されている。
また、第1頁中段の「SALES SPECIFICATIONS」の欄には、「Water,wt% 1.0max.」と、製品には最大1.0重量%の水が含まれていることも記載されている。
(ウ)参考資料a2
参考資料a2は、東京化成工業株式会社が自社製品である「D1562」なる1,2-ジメチルイミダゾール製品につき作成したものと認められる頒布日不明の技術資料であるところ、その第2/5頁下段には、「避けるべき条件」として「湿気(吸湿)」と記載されている。
(エ)参考資料a3
参考資料a3は、HUNTSMAN社が自社製品である「JEFFCATR DMDEE Catalyst」なるアミン触媒製品につき2007年頃に作成・頒布され2回にわたり改訂された(最終改定:2020年)ものと認められる技術資料(Technical Bulletin)であるところ、その第1頁下段の「ADDISIONAL INFORMATION」の欄の最下行には、「Water solubility,wt% >10」、すなわち、製品の水溶解度が10重量%超であることが記載されている。
(2)申立人Bが提示した各甲号証及び参考資料について
ア.甲B1
甲B1には、(a)テトラフルオロプロペン、クロロトリフルオロプロペン、及び/又はヘキサフルオロブテンを含む発泡剤;(b)1種類以上のポリオール;(c)1種類以上の界面活性剤;(d)水;並びに(e)沈殿抵抗性のコバルトベースの金属触媒、沈殿抵抗性の亜鉛ベースの金属触媒、沈殿抵抗性のスズベースの金属触媒、沈殿抵抗性のジルコネートベースの金属触媒、沈殿抵抗性のマンガンベースの金属触媒、沈殿抵抗性のチタンベースの金属触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の沈殿抵抗性の金属触媒;を含む発泡性組成物が記載され(【請求項1】)、当該発泡性組成物につき、微細な均一の気泡構造を有し、フォームの崩壊が少ししかないか又はないことを特徴とする、硬質乃至半硬質のポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォーム、並びにそれらの製造方法に使用すること及び当該触媒系には1種類以上のアミン触媒を含ませることもできることも記載されている(【0013】)。
そして、甲B1には、上記請求項に係る発泡性組成物として、ポリオール類、水2重量部、Toyocat DM70の4.5重量部、Jeffcat DMDEEの1重量部、Dabco T120の0.2重量部及び1233zd(E)10重量部を含有する組成物が記載されており(【0069】表2の「A」)、さらに、当該組成物にイソシアネートであるLupranate M20を混合反応させてウレタンフォームを製造している(【0068】)。
してみると、甲B1には、上記記載事項からみて、
「(e)沈殿抵抗性のコバルトベースの金属触媒、沈殿抵抗性の亜鉛ベースの金属触媒、沈殿抵抗性のスズベースの金属触媒、沈殿抵抗性のジルコネートベースの金属触媒、沈殿抵抗性のマンガンベースの金属触媒、沈殿抵抗性のチタンベースの金属触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の沈殿抵抗性の金属触媒並びに1種類以上のアミン触媒;を含む硬質乃至半硬質のポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォーム製造用の触媒系。」
に係る発明(以下「甲B1発明1」という。)、及び
「(a)テトラフルオロプロペン、クロロトリフルオロプロペン、及び/又はヘキサフルオロブテンを含む発泡剤;(b)1種類以上のポリオール;(c)1種類以上の界面活性剤;(d)水;並びに(e)沈殿抵抗性のコバルトベースの金属触媒、沈殿抵抗性の亜鉛ベースの金属触媒、沈殿抵抗性のスズベースの金属触媒、沈殿抵抗性のジルコネートベースの金属触媒、沈殿抵抗性のマンガンベースの金属触媒、沈殿抵抗性のチタンベースの金属触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の沈殿抵抗性の金属触媒並びに1種類以上のアミン触媒を含む触媒系;を含む硬質乃至半硬質のポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォーム製造用の発泡性組成物。」
に係る発明(以下「甲B1発明2」という。)が記載されている。
イ.甲B4
甲B4には、トランス-1-クロロ-3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFCO 1233zd)などの少なくとも1種のヒドロハロオレフィン発泡剤;ポリオール;ならびに2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミンならびにジオール、アルカノールアミン及びそれらの組み合わせから選ばれるヒドロキシル含有化合物を含む触媒系を含有するポリオールプレミックスが記載されており(請求項1及び請求項2)、当該ヒドロキシル含有化合物がエチレングリコールなどのジオールであること(請求項6)及びプレミックスが金属触媒を実質的に含まないこと(請求項9)も記載され、さらに当該プレミックスと少なくとも1種のイソシアナートと接触させることを含むポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームの製造方法も記載されている(請求項13)。
してみると、甲B4には、上記記載事項からみて、
「2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミンならびにジオール、アルカノールアミン及びそれらの組み合わせから選ばれるヒドロキシル含有化合物を含み、金属触媒を実質的に含まないポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォーム製造用の触媒系。」
に係る発明(以下「甲B4発明1」という。)並びに
「トランス-1-クロロ-3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFCO 1233zd)などの少なくとも1種のヒドロハロオレフィン発泡剤;ポリオール;ならびに2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミンならびにジオール、アルカノールアミン及びそれらの組み合わせから選ばれるヒドロキシル含有化合物を含み、金属触媒を実質的に含まない触媒系を含有するポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォーム製造用のポリオールプレミックス。」
に係る発明(以下「甲B4発明2」という。)が記載されている。
ウ.その他の甲号証又は参考資料
(ア)甲B2
甲B2は、TOSOH SPECIALITY CHMEMICALS USA,INCが2008年5月1日に作成し、2015年4月7日に改訂したものと認められる「TOYOCAT-DM70」なる製品名のものの製品安全データシートであり、当該製品名のものが、1,2-ジメチルイミダゾール70%、エチレングリコール30%の濃度比で含有したものであることが記載されている(第2頁「3. COMPOSITION/INFORMATION ON INGREDIENT」の欄)。
(イ)甲B3
甲B3は、Dow Chemical Companyが2011年11月14日に作成・公開したものと解される「VORANOLTM360」なる商品名の製品の技術資料であり、当該製品が高密度又は低密度の硬質ウレタンフォームの製造用に設計されていることが記載されている(第1頁「Description」の欄)。
(ウ)甲B5
甲B5には、
「-少なくとも1種のヒドロハロオレフィン発泡剤;
-ポリオール;ならびに
-2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミンならびにジオール、アルカノールアミン及びそれらの組み合わせから選ばれるヒドロキシル含有化合物を含む触媒系
を含む」「ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームの製造」用の「金属触媒を実質的に含まない」「ポリオールプレミックス。」が記載されている(【請求項1】、【請求項9】及び【請求項13】)。
(エ)参考資料b
参考資料bは、申立人Aが提示した参考資料a1と同一の文献であり、上記(1)ウ.(イ)で摘示した事項が記載されている。
2.各取消理由に係る検討
(1)取消理由2及び3並びに取消理由A2について
事案に鑑み、まず甲A2に基づく取消理由2及び3並びに取消理由A2につき併せて検討する。
ア.本件発明4について
(ア)対比
本件発明4と甲A2発明とを対比すると、甲A2発明における「1,2-ジメチルイミダゾール」及び「2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル」は、それぞれ本件発明4における「式(I)・・・で表されるイミダゾール系化合物」及び「式(II)・・・で表されるアミン化合物」に相当し、甲A2発明における「1,2-ジメチルイミダゾール30~60質量%、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル30~60質量%及びエタン-1,2-ジオール13~30質量%からなる」との量比は、前2成分のみに着目し、エタン-1,2-ジオールを除いて質量比を計算すると、2種合計100質量部に対して1,2-ジメチルイミダゾール33~67質量部及び2,2’-ジモルフォリニルジエチルエーテル33~67質量部の量比となるから、本件発明4における「前記式(I)で表されるイミダゾール系化合物と前記式(II)で表されるアミン化合物との質量比(イミダゾール系化合物/アミン化合物)が、60/40以上90/10以下である」との間で、60/40以上67/33以下の範囲で重複する。
また、甲A2発明における「組成物」は、イミダゾール化合物、アミン化合物及びエタン-1,2-ジオールなる複数の成分からなるものであり、本件発明4における「硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物」との間で「組成物」である限りにおいて、一致する。
してみると、本件発明4と甲A2発明とは、
「式(I)(式及びその説明については省略)で表されるイミダゾール系化合物と、式(II)(式及びその説明については省略)で表されるアミン化合物とを含有し、前記式(I)で表されるイミダゾール系化合物と前記式(II)で表されるアミン化合物との質量比(イミダゾール系化合物/アミン化合物)が、60/40以上67/33以下である組成物。」で一致し、以下の点で相違する。
相違点a1:本件発明4では「該式(I)で表されるイミダゾール系化合物と該式(II)で表されるアミン化合物の合計100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下の水とを含有する」のに対して、甲A2発明ではそのような特定がされていない点
相違点a2:本件発明4では「硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物」であるのに対して、甲A2発明では組成物の用途につき特定されていない点
相違点a3:本件発明4では「(ただし、硬質ポリウレタンフォームの製造として、沈殿抵抗性のコバルトベースの金属触媒、沈殿抵抗性の亜鉛ベースの金属触媒、沈殿抵抗性のスズベースの金属触媒、沈殿抵抗性のジルコネートベースの金属触媒、沈殿抵抗性のマンガンベースの金属触媒、沈殿抵抗性のチタンベースの金属触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の沈殿抵抗性の金属触媒を用いる硬質ポリウレタンフォームの製造を除く)」のに対して、甲A2発明では、当該「沈殿抵抗性の金属触媒を用いる硬質ポリウレタンフォームの製造を除く」ことにつき特定されていない点
(イ)検討
事案に鑑みて、相違点a1から検討する。
甲A2には、甲A2発明において、イミダゾール系化合物とアミン化合物との合計100質量部に対して、水を1質量部以上15質量部以下の量で含有させることが記載も示唆もされていない。
なお、参考資料a1(参考資料b)の記載を参酌すると、甲A2発明に係る「JEFFCATRH-1」なる製品組成物には、最大1.0重量%の水が含まれていることが記載されているが、これは製品組成物において最大1.0重量%の水が不純物として含まれていることが記載されているに過ぎず、製品組成物に意図的に含有させた成分に係る記載であると解することはできないし、1.0重量%の水が含有されていることを意味するものとは認められない。
してみると、相違点a1は実質的な相違点であるといえるから、本件発明4は、甲A2に記載された発明ということができない。
また、両申立人が提示したいずれの甲号証の記載を検討しても、甲A2発明の組成物につき、触媒組成物とする上において、イミダゾール系化合物とアミン化合物との合計100質量部に対して、水を1質量部以上15質量部以下の量で含有させることを想起し得る記載は見あたらないから、当業者が容易に想到し得たものとも認められない。
そして、本件特許明細書の実施例及び比較例に係る記載(【表3】)からみて、本件発明4に係る実施例6及び7の場合、相違点a1に係る点で本件発明の範囲外となった実施例4及び5の場合に比して、タイター温度(いわゆる固化温度)が同等以下となり、低温における作業性に優れることが看取できるから、本件発明4は、相違点a1の点で特段の効果を奏しているものと認められる。一方、両申立人が提示したいずれの甲号証の記載を見ても、本件発明の前記効果を予測し得ない。
(ウ)小括
したがって、本件発明は、相違点a2及びa3について検討するまでもなく、甲A2に記載された発明でないし、甲A2に記載された発明、及び両申立人が提示した各甲号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
イ.本件発明5について
(ア)対比
本件発明5につき甲A2発明と対比すると、本件発明5に係る「式(I):
【化5】
[図:0001396246000010.jpg]
(式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して、水素原子又は、炭素原子数が1以上8以下であり、酸素原子数が0以上2以下である置換基であり、R2とR3は連結していてもよい)で表されるイミダゾール系化合物と、式(II):
【化6】
[図:0001396246000011.jpg]
(式中、R4及びR5はそれぞれ独立して、炭素原子数が2以上8以下であり、酸素原子数が0以上2以下である、窒素原子に結合して環を形成している置換基であり、Xは-O-又は-NR6-であり、R6は炭素原子数が1以上8以下であり、酸素原子数が0以上2以下である1価の置換基であり、nは1以上3以下の整数である)
で表されるアミン化合物とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒であって、前記式(I)で表されるイミダゾール系化合物と前記式(II)で表されるアミン化合物との質量比(イミダゾール系化合物/アミン化合物)が、60/40以上90/10以下である、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒と、該式(I)で表されるイミダゾール系化合物と該式(II)で表されるアミン化合物の合計100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下の水とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物」及び「(ただし、沈殿抵抗性のコバルトベースの金属触媒、沈殿抵抗性の亜鉛ベースの金属触媒、沈殿抵抗性のスズベースの金属触媒、沈殿抵抗性のジルコネートベースの金属触媒、沈殿抵抗性のマンガンベースの金属触媒、沈殿抵抗性のチタンベースの金属触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の沈殿抵抗性の金属触媒を含むものを除く)」は、本件発明4と同一であるから、「触媒組成物」につき、上記ア.(ア)で示したとおり、甲A2発明との間で相違点a1ないしa3と同様の点を除き、一致している。
してみると、本件発明5と甲A2発明とは、
「式(I)(式及びその説明については省略)で表されるイミダゾール系化合物と、式(II)(式及びその説明については省略)で表されるアミン化合物とを含有し、前記式(I)で表されるイミダゾール系化合物と前記式(II)で表されるアミン化合物との質量比(イミダゾール系化合物/アミン化合物)が、60/40以上67/33以下である組成物。」で一致し、以下の点で相違する。
相違点a1’:本件発明5では「該式(I)で表されるイミダゾール系化合物と該式(II)で表されるアミン化合物の合計100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下の水とを含有する」のに対して、甲A2発明ではそのような特定がされていない点
相違点a2’:本件発明5は「硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒」「を含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物と、ポリオール、及びハロゲン化炭化水素とを含有するポリオール組成物であって、前記ハロゲン化炭化水素がヒドロハロオレフィンを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物」であるのに対して、甲A2発明では、「組成物」であり、その用途並びに「硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物と、ポリオール、及びハロゲン化炭化水素とを含有するポリオール組成物であって、前記ハロゲン化炭化水素がヒドロハロオレフィンを含有する」ことが特定されていない点
相違点a3’:本件発明5では「(ただし、硬質ポリウレタンフォームの製造として、沈殿抵抗性のコバルトベースの金属触媒、沈殿抵抗性の亜鉛ベースの金属触媒、沈殿抵抗性のスズベースの金属触媒、沈殿抵抗性のジルコネートベースの金属触媒、沈殿抵抗性のマンガンベースの金属触媒、沈殿抵抗性のチタンベースの金属触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の沈殿抵抗性の金属触媒を用いる硬質ポリウレタンフォームの製造を除く)」のに対して、甲A2発明では、当該「沈殿抵抗性の金属触媒を用いる硬質ポリウレタンフォームの製造を除く」ことにつき特定されていない点
(イ)検討
上記相違点a1’及びa2’につき併せて検討すると、甲A2には、「硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒と、該式(I)で表されるイミダゾール系化合物と該式(II)で表されるアミン化合物の合計100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下の水とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物」を含有する「硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物」につき記載も示唆もされていない。
してみると、相違点a1’及びa2’はいずれも実質的な相違点であるといえるから、本件発明5は、甲A2に記載された発明ということができない。
また、両申立人が提示したいずれの甲号証の記載を検討しても、甲A2発明の組成物につき、イミダゾール系化合物とアミン化合物との合計100質量部に対して、水を1質量部以上15質量部以下の量で含有させ触媒組成物とした上で、その組成物を含有する硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物を構成することを想起し得る記載は見あたらないから、当業者が容易に想到し得たものとも認められない。
(ウ)小括
したがって、本件発明5は、相違点a3’について検討するまでもなく、甲A2に記載された発明でないし、甲A2に記載された発明、及び両申立人が提示した各甲号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
ウ.本件発明6ないし12について
本件発明6ないし12は、いずれも本件発明4又は5を直接又は間接的に引用するものであるから、上記ア.又はイ.で説示した理由と同一の理由により、甲A2に記載された発明でないし、甲A2に記載された発明、及び両申立人が提示した各甲号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
エ.小括
以上のとおり、本件発明4ないし12は、いずれも甲A2に記載された発明でないし、甲A2に記載された発明、及び両申立人が提示した各甲号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、取消理由2及び3並びに取消理由A2はいずれも理由がない。
(2)取消理由1及び取消理由B1について
次に、甲B1に基づく取消理由1及び取消理由B1につき併せて検討する。
ア.本件発明4について
(ア)対比
本件発明4と甲B1発明1とを対比すると、本件発明4における「式(I)で表されるイミダゾール系化合物」及び「式(II)で表されるアミン化合物」は、いずれもポリウレタン製造用のアミン触媒であることは当業者に自明であるから、甲B1発明1における「アミン触媒」との間で、「2種のアミン触媒」である限りにおいて、一致している。
また、甲B1発明1における「硬質乃至半硬質のポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォーム製造用の触媒系」は、複数の成分からなる硬質ポリウレタンフォーム製造用の触媒系であるから、本件発明4における「硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物」に相当する。
してみると、本件発明4と甲B1発明1とは、
「2種のアミン触媒を含む硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物。」
で一致し、以下の点で相違する。
相違点b1:本件発明4では、「式(I):(式は省略)
(式中、R1、は炭素原子数が1であり、酸素原子数が0である置換基であり、R2及びR3はそれぞれ水素原子である)
で表されるイミダゾール系化合物と、
式(II):(式は省略)
(式中、R4及びR5はそれぞれ-CH2CH2-O-CH2CH2-であり、Xは-O-であり、nは1である)
で表されるアミン化合物とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒であって、前記式(I)で表されるイミダゾール系化合物と前記式(II)で表されるアミン化合物との質量比(イミダゾール系化合物/アミン化合物)が、60/40以上90/10以下である、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒」であるのに対して、甲B1発明1では「1種類以上のアミン触媒」であり、2種のアミン触媒を使用する場合の量比につき特定されていない点
相違点b2:本件発明4では「該式(I)で表されるイミダゾール系化合物と該式(II)で表されるアミン化合物の合計100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下の水とを含有する」のに対して、甲B1発明1では、触媒系を構成する上での水の使用及びその量比につき特定されていない点
相違点b3:本件発明4では「(ただし、硬質ポリウレタンフォームの製造として、沈殿抵抗性のコバルトベースの金属触媒、沈殿抵抗性の亜鉛ベースの金属触媒、沈殿抵抗性のスズベースの金属触媒、沈殿抵抗性のジルコネートベースの金属触媒、沈殿抵抗性のマンガンベースの金属触媒、沈殿抵抗性のチタンベースの金属触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の沈殿抵抗性の金属触媒を用いる硬質ポリウレタンフォームの製造を除く)」のに対して、甲B1発明1では「沈殿抵抗性のコバルトベースの金属触媒、沈殿抵抗性の亜鉛ベースの金属触媒、沈殿抵抗性のスズベースの金属触媒、沈殿抵抗性のジルコネートベースの金属触媒、沈殿抵抗性のマンガンベースの金属触媒、沈殿抵抗性のチタンベースの金属触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の沈殿抵抗性の金属触媒・・・を含む」点
(イ)検討
事案に鑑み、相違点b3につき検討すると、甲B1発明1では、金属触媒の使用を前提とするものであるのに対して、本件発明4では、意図的に金属触媒を使用する態様を除外しているのであるから、相違点b3は、実質的な相違点であるものと認められるし、また、甲B1発明1において、金属触媒を使用しないものとすることについては、阻害要因が存するものと認められ、甲B1発明1において、たとえ他の技術が存在したとしても、相違点b3につき当業者が容易になし得るということはできない。
(ウ)小括
したがって、相違点b1及びb2につき検討するまでもなく、本件発明4は、甲B1に記載された発明であるということはできず、また、甲B1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということもできない。
イ.本件発明5について
(ア)対比
本件発明5につき甲B1発明2と対比すると、本件発明5に係る「式(I):
【化5】
[図:0001396246000012.jpg]
(式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して、水素原子又は、炭素原子数が1以上8以下であり、酸素原子数が0以上2以下である置換基であり、R2とR3は連結していてもよい)で表されるイミダゾール系化合物と、式(II):
【化6】
[図:0001396246000013.jpg]
(式中、R4及びR5はそれぞれ独立して、炭素原子数が2以上8以下であり、酸素原子数が0以上2以下である、窒素原子に結合して環を形成している置換基であり、Xは-O-又は-NR6-であり、R6は炭素原子数が1以上8以下であり、酸素原子数が0以上2以下である1価の置換基であり、nは1以上3以下の整数である)
で表されるアミン化合物とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒であって、前記式(I)で表されるイミダゾール系化合物と前記式(II)で表されるアミン化合物との質量比(イミダゾール系化合物/アミン化合物)が、60/40以上90/10以下である、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒と、該式(I)で表されるイミダゾール系化合物と該式(II)で表されるアミン化合物の合計100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下の水とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物」及び「(ただし、沈殿抵抗性のコバルトベースの金属触媒、沈殿抵抗性の亜鉛ベースの金属触媒、沈殿抵抗性のスズベースの金属触媒、沈殿抵抗性のジルコネートベースの金属触媒、沈殿抵抗性のマンガンベースの金属触媒、沈殿抵抗性のチタンベースの金属触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の沈殿抵抗性の金属触媒を含むものを除く)」は、本件発明4と同一であるのに対して、甲B1発明2における「(e)沈殿抵抗性のコバルトベースの金属触媒、沈殿抵抗性の亜鉛ベースの金属触媒、沈殿抵抗性のスズベースの金属触媒、沈殿抵抗性のジルコネートベースの金属触媒、沈殿抵抗性のマンガンベースの金属触媒、沈殿抵抗性のチタンベースの金属触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の沈殿抵抗性の金属触媒並びに1種類以上のアミン触媒を含む触媒系」は、甲B1発明1と同一であるから、「触媒組成物」につき、上記ア.(ア)で示したとおり、甲B1発明1との間で相違点b1ないしb3と同様の点を除き、一致している。
また、甲B1発明2における「(a)テトラフルオロプロペン、クロロトリフルオロプロペン、及び/又はヘキサフルオロブテンを含む発泡剤」並びに「(b)1種類以上のポリオール」は、本件発明5における「ハロゲン化炭化水素」及び「ハロゲン化炭化水素がヒドロハロオレフィンを含有する」並びに「ポリオール」にそれぞれ相当し、甲B1発明2における「硬質乃至半硬質のポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォーム製造用の発泡性組成物」は、ポリオールを含有するものであるから、本件発明5における「硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物」に相当する。
してみると、本件発明5と甲B1発明2とは、
「2種のアミン触媒を含む硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物、ポリオール、及びハロゲン化炭化水素を含有するポリオール組成物であって、前記ハロゲン化炭化水素がテトラフルオロプロペン、クロロトリフルオロプロペン及び/又はヘキサフルオロブテンを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物。」
で一致し、以下の点で相違する。
相違点b1’:本件発明5では、式(I):(式は省略)
(式中、R1、は炭素原子数が1であり、酸素原子数が0である置換基であり、R2及びR3はそれぞれ水素原子である)
で表されるイミダゾール系化合物と、
式(II):(式は省略)
(式中、R4及びR5はそれぞれ-CH2CH2-O-CH2CH2-であり、Xは-O-であり、nは1である)
で表されるアミン化合物とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒であって、前記式(I)で表されるイミダゾール系化合物と前記式(II)で表されるアミン化合物との質量比(イミダゾール系化合物/アミン化合物)が、60/40以上90/10以下である、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒」であるのに対して、甲B1発明2では「1種類以上のアミン触媒」であり、2種のアミン触媒を使用する場合の量比につき特定されていない点
相違点b2’:本件発明5では「該式(I)で表されるイミダゾール系化合物と該式(II)で表されるアミン化合物の合計100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下の水とを含有する」のに対して、甲B1発明2では、触媒系を構成する上での水の使用及びその量比につき特定されていない点
相違点b3’:本件発明5では「(ただし、硬質ポリウレタンフォームの製造として、沈殿抵抗性のコバルトベースの金属触媒、沈殿抵抗性の亜鉛ベースの金属触媒、沈殿抵抗性のスズベースの金属触媒、沈殿抵抗性のジルコネートベースの金属触媒、沈殿抵抗性のマンガンベースの金属触媒、沈殿抵抗性のチタンベースの金属触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の沈殿抵抗性の金属触媒を用いる硬質ポリウレタンフォームの製造を除く)」のに対して、甲B1発明2では「沈殿抵抗性のコバルトベースの金属触媒、沈殿抵抗性の亜鉛ベースの金属触媒、沈殿抵抗性のスズベースの金属触媒、沈殿抵抗性のジルコネートベースの金属触媒、沈殿抵抗性のマンガンベースの金属触媒、沈殿抵抗性のチタンベースの金属触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の沈殿抵抗性の金属触媒・・・を含む」点
(イ)検討
事案に鑑み、相違点b3’につき検討すると、甲B1発明2では、金属触媒の使用を前提とするものであるのに対して、本件発明5では、意図的に金属触媒を使用する態様を除外しているのであるから、相違点b3’は、実質的な相違点であるものと認められるし、また、甲B1発明2において、金属触媒を使用しないものとすることについては、阻害要因が存するものと認められ、甲B1発明2において、たとえ他の技術が存在したとしても、相違点b3’につき当業者が容易になし得るということはできない。
(ウ)小括
したがって、相違点b1’及びb2’につき検討するまでもなく、本件発明5は、甲B1に記載された発明であるということはできず、また、甲B1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということもできない。
ウ.本件発明6ないし12について
本件発明6ないし12は、いずれも本件発明4又は5を直接又は間接的に引用するものであるから、上記ア.又はイ.で説示した理由と同一の理由により、甲B1に記載された発明でないし、甲B1に記載された発明、及び両申立人が提示した各甲号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
エ.小括
以上のとおり、本件発明4ないし12は、いずれも甲B1に記載された発明でないし、甲B1に記載された発明、及び両申立人が提示した各甲号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、取消理由1及び取消理由B1はいずれも理由がない。
(3)取消理由A3について
本件発明5及びその一部が訂正により分割されてなる本件発明10及び11に係る甲A3に基づく取消理由A3につき検討する。
ア.本件発明5について
(ア)対比
本件発明5と甲A3発明とを対比すると、甲A3発明における「1,2-ジメチルイミダゾール」及び「2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル」は、それぞれ本件発明5における「式(I)・・・で表されるイミダゾール系化合物」及び「式(II)・・・で表されるアミン化合物」に相当し、甲A3発明における「(d)1,2-ジメチルイミダゾール及び2,2-ジモルホリノジエチルエーテルを含む群の1以上から選択される少なくとも1種類のアミン触媒を含む触媒」は、1,2-ジメチルイミダゾールと2,2’-ジモルホリノジエチルエーテルを併用する限りにおいて、本件発明5における「式(I)・・・で表されるイミダゾール系化合物と式(II)・・・で表されるアミン化合物とを・・・を含有する、・・・アミン触媒組成物」に相当する。
また、甲A3発明における「(a)1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを含むヒドロハロオレフィン発泡剤」は、本件発明5における「ハロゲン化炭化水素」及び「前記ハロゲン化炭化水素がヒドロハロオレフィンを含有する」に相当し、甲A3発明における「(b)1種類以上のポリオール」は、本件発明5における「ポリオール」に相当する。
そして、甲A3発明における「発泡性組成物」は、「(b)1種類以上のポリオール」を含有するものであり、ポリイソシアネート化合物と組み合わせて反応発泡させ、ポリウレタンフォームを製造するためのものであることが明らかであるから、本件発明5における「ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物」に相当する。
してみると、本件発明5と甲A3発明とは、
「式(I)(式及びその説明については省略)では、表されるイミダゾール系化合物と、式(II)(式及びその説明については省略)で表されるアミン触媒とを含有するアミン触媒組成物、ポリオール、及びハロゲン化炭化水素を含有するポリオール組成物であって、前記ハロゲン化炭化水素がヒドロハロオレフィンを含有する、ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物。」
で一致し、以下の点で相違する。
相違点c1:「ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物」につき、本件発明5では「式(I)(式及び説明は省略)で表されるイミダゾール系化合物と、式(II)(式及び説明は省略)で表されるアミン化合物とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒であって、前記式(I)で表されるイミダゾール系化合物と前記式(II)で表されるアミン化合物との質量比(イミダゾール系化合物/アミン化合物)が、60/40以上90/10以下である、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒と、該式(I)で表されるイミダゾール系化合物と該式(II)で表されるアミン化合物の合計100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下の水とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物」であるのに対して、甲A3発明では「(d)1,2-ジメチルイミダゾール及び2,2-ジモルホリノジエチルエーテルを含む群の1以上から選択される少なくとも1種類のアミン触媒を含む触媒」である点
相違点c2:本件発明5では「(ただし、硬質ポリウレタンフォームの製造として、沈殿抵抗性のコバルトベースの金属触媒、沈殿抵抗性の亜鉛ベースの金属触媒、沈殿抵抗性のスズベースの金属触媒、沈殿抵抗性のジルコネートベースの金属触媒、沈殿抵抗性のマンガンベースの金属触媒、沈殿抵抗性のチタンベースの金属触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の沈殿抵抗性の金属触媒を用いる硬質ポリウレタンフォームの製造を除く)」のに対して、甲A3発明では、当該「沈殿抵抗性の金属触媒を用いる硬質ポリウレタンフォームの製造を除く」ことにつき特定されていない点
(イ)検討
上記相違点c1につき検討すると、甲A3には、甲A3発明において、イミダゾール系化合物とアミン化合物とを60/40以上90/10以下の特定の量比で使用すること並びにイミダゾール系化合物とアミン化合物との合計100質量部に対して、水を1質量部以上15質量部以下の量で含有させることが記載も示唆もされていない。
してみると、相違点c1は実質的な相違点であるといえるから、本件発明5は、甲A3に記載された発明ということができない。
また、両申立人が提示した他の甲号証の記載を検討すると、甲A3発明において、例えば甲A2発明などに基づき、イミダゾール系化合物とアミン化合物とを60/40以上90/10以下の特定の量比で使用することにつき想到し得たとしても、甲A3発明の組成物において、2種のアミン触媒を併用した上で、イミダゾール系化合物とアミン化合物との合計100質量部に対して、水を1質量部以上15質量部以下の量で含有させた触媒組成物を構成して、当該触媒組成物を含有させたポリオール組成物とすることを想起し得る記載は見あたらないから、当業者が容易に想到し得たものとも認められない。
(ウ)小括
したがって、本件発明5は、相違点c2について検討するまでもなく、甲A3に記載された発明でないし、甲A3に記載された発明、及び両申立人が提示した各甲号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
イ.本件発明10及び11について
本件発明10及び11は、いずれも本件発明5を直接又は間接的に引用するものであるから、上記ア.で説示した理由と同一の理由により、甲A3に記載された発明でないし、甲A3に記載された発明、及び両申立人が提示した各甲号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
ウ.小括
以上のとおり、本件発明5、10及び11は、いずれも甲A3に記載された発明でないし、甲A3に記載された発明、及び両申立人が提示した各甲号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、取消理由A3は理由がない。
(4)取消理由B2について
甲B4に基づく取消理由B2につき検討する。
ア.本件発明4について
(ア)対比
本件発明4と甲B4発明1とを対比すると、甲B4発明1における「2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル」は、本件発明4における「式(II)・・・で表されるアミン化合物」に相当し、甲B4発明1における「金属触媒を含まない」は、本件発明4における「(ただし、硬質ポリウレタンフォームの製造として、沈殿抵抗性のコバルトベースの金属触媒、沈殿抵抗性の亜鉛ベースの金属触媒、沈殿抵抗性のスズベースの金属触媒、沈殿抵抗性のジルコネートベースの金属触媒、沈殿抵抗性のマンガンベースの金属触媒、沈殿抵抗性のチタンベースの金属触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の沈殿抵抗性の金属触媒を用いる硬質ポリウレタンフォームの製造を除く)」に相当する。
また、甲B4発明1における「ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォーム製造用の触媒系」は、複数の成分からなるものであるから、本件発明4における「ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物」に相当する。
してみると、本件発明4と甲B4発明1とは、
「式(II)(式及びその説明については省略)で表されるアミン化合物を含有するポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物(ただし、硬質ポリウレタンフォームの製造として、沈殿抵抗性のコバルトベースの金属触媒、沈殿抵抗性の亜鉛ベースの金属触媒、沈殿抵抗性のスズベースの金属触媒、沈殿抵抗性のジルコネートベースの金属触媒、沈殿抵抗性のマンガンベースの金属触媒、沈殿抵抗性のチタンベースの金属触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の沈殿抵抗性の金属触媒を用いる硬質ポリウレタンフォームの製造を除く)。」で一致し、以下の点で相違する。
相違点d1:本件発明4では「式(I)(式及び説明は省略)で表されるイミダゾール系化合物と、式(II)(式及び説明は省略)で表されるアミン化合物とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒であって、前記式(I)で表されるイミダゾール系化合物と前記式(II)で表されるアミン化合物との質量比(イミダゾール系化合物/アミン化合物)が、60/40以上90/10以下である、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒と、該式(I)で表されるイミダゾール系化合物と該式(II)で表されるアミン化合物の合計100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下の水とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物」であるのに対して、甲B4発明1では「2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミンならびにジオール、アルカノールアミン及びそれらの組み合わせから選ばれるヒドロキシル含有化合物を含」む「ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォーム製造用の触媒系」である点
(イ)検討
相違点d1につき検討すると、甲B4には、甲B4発明1の触媒系において、更に1,2-ジメチルイミダゾールなどの触媒化合物を追加使用できることが開示されている([0041]、訳文【0042】)一方、請求項10においてイミダゾール系化合物を実質的に含まないものも規定されており、具体的にイミダゾール系化合物を更に使用することについて記載されておらず、ましてや「60/40以上90/10以下」なる特定の量比で使用することについても記載又は示唆されていないし、甲B4発明1の触媒系において、イミダゾール系化合物とアミン化合物との合計100質量部に対して、水を1質量部以上15質量部以下の量で含有させることが記載も示唆もされていない。
なお、甲B4には、「JEFFCATRH-1」なる製品の触媒組成物を使用した場合につき比較参考例として記載されている([0085]~[0100])が、この製品の触媒組成物は、甲A2発明のものであり、上記(1)ア.(イ)で説示した理由により、イミダゾール系化合物とアミン化合物との合計100質量部に対して、水を1質量部以上15質量部以下の量で含有させたものではない。
してみると、相違点d1は実質的な相違点であるといえるから、本件発明4は、甲B4に記載された発明ということができない。
また、両申立人が提示したいずれの甲号証の記載を検討しても、甲B4発明1の触媒系につき、更にイミダゾール系化合物を特定の量比で追加使用し、イミダゾール系化合物とアミン化合物との合計100質量部に対して、水を1質量部以上15質量部以下の量で含有させることを想起し得る記載は見あたらないから、当業者が容易に想到し得たものとも認められない。
(ウ)小括
したがって、本件発明4は、甲B4に記載された発明でないし、甲B4に記載された発明、及び両申立人が提示した各甲号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
イ.本件発明5について
(ア)対比
本件発明5につき甲B4発明2と対比すると、本件発明5に係る「式(I):
【化5】
[図:0001396246000014.jpg]
(式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して、水素原子又は、炭素原子数が1以上8以下であり、酸素原子数が0以上2以下である置換基であり、R2とR3は連結していてもよい)で表されるイミダゾール系化合物と、式(II):
【化6】
[図:0001396246000015.jpg]
(式中、R4及びR5はそれぞれ独立して、炭素原子数が2以上8以下であり、酸素原子数が0以上2以下である、窒素原子に結合して環を形成している置換基であり、Xは-O-又は-NR6-であり、R6は炭素原子数が1以上8以下であり、酸素原子数が0以上2以下である1価の置換基であり、nは1以上3以下の整数である)
で表されるアミン化合物とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒であって、前記式(I)で表されるイミダゾール系化合物と前記式(II)で表されるアミン化合物との質量比(イミダゾール系化合物/アミン化合物)が、60/40以上90/10以下である、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒と、該式(I)で表されるイミダゾール系化合物と該式(II)で表されるアミン化合物の合計100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下の水とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物」及び「(ただし、沈殿抵抗性のコバルトベースの金属触媒、沈殿抵抗性の亜鉛ベースの金属触媒、沈殿抵抗性のスズベースの金属触媒、沈殿抵抗性のジルコネートベースの金属触媒、沈殿抵抗性のマンガンベースの金属触媒、沈殿抵抗性のチタンベースの金属触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の沈殿抵抗性の金属触媒を含むものを除く)」は、本件発明4と同一であるから、甲B4発明2における「2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミンならびにジオール、アルカノールアミン及びそれらの組み合わせから選ばれるヒドロキシル含有化合物を含み、金属触媒を実質的に含まない(ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォーム製造用の)触媒系」なる甲B4発明1との間で、「触媒組成物」について、上記ア.(ア)で示したとおり、相違点d1と同様の点を除き、一致している。
また、甲B4発明2における「トランス-1-クロロ-3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFCO 1233zd)などの少なくとも1種のヒドロハロオレフィン発泡剤」は、本件発明5における「ハロゲン化炭化水素」及び「前記ハロゲン化炭化水素がヒドロハロオレフィンを含有する」に相当し、甲B4発明2における「ポリオール」は、本件発明5における「ポリオール」に相当する。
そして、甲B4発明2における「ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォーム製造用のポリオールプレミックス」は、本件発明5における「ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物」に相当する。
してみると、本件発明5と甲B4発明2とは、
「式(II)(式及びその説明については省略)で表されるアミン化合物を含有するポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物、ポリオール、及びハロゲン化炭化水素を含有するポリオール組成物であって、前記ハロゲン化炭化水素がヒドロハロオレフィンを含有する、ポリウレタンフォーム製造用ポリオール組成物(ただし、硬質ポリウレタンフォームの製造として、沈殿抵抗性のコバルトベースの金属触媒、沈殿抵抗性の亜鉛ベースの金属触媒、沈殿抵抗性のスズベースの金属触媒、沈殿抵抗性のジルコネートベースの金属触媒、沈殿抵抗性のマンガンベースの金属触媒、沈殿抵抗性のチタンベースの金属触媒、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の沈殿抵抗性の金属触媒を用いる硬質ポリウレタンフォームの製造を除く)。」で一致し、以下の点で相違する。
相違点d1’:本件発明5では「式(I)(式及び説明は省略)で表されるイミダゾール系化合物と、式(II)(式及び説明は省略)で表されるアミン化合物とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒であって、前記式(I)で表されるイミダゾール系化合物と前記式(II)で表されるアミン化合物との質量比(イミダゾール系化合物/アミン化合物)が、60/40以上90/10以下である、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒と、該式(I)で表されるイミダゾール系化合物と該式(II)で表されるアミン化合物の合計100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下の水とを含有する、硬質ポリウレタンフォーム製造用アミン触媒組成物」であるのに対して、甲B4発明2では「2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミンならびにジオール、アルカノールアミン及びそれらの組み合わせから選ばれるヒドロキシル含有化合物を含」む「ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォーム製造用の触媒系」である点
(イ)検討
上記相違点d1’につき検討すると、相違点d1’は上記ア.(ア)と同一の相違点であるから、上記ア.(イ)で説示した理由と同一の理由により、実質的な相違点であり、両申立人が提示したいずれの甲号証の記載を検討しても、当業者が容易に想到し得たものとも認められない。
(ウ)小括
したがって、本件発明5は、甲B4に記載された発明でないし、甲B4に記載された発明、及び両申立人が提示した各甲号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
ウ.本件発明6ないし12について
本件発明6ないし12は、いずれも本件発明4又は5を直接又は間接的に引用するものであるから、上記ア.又はイ.で説示した理由と同一の理由により、甲B4に記載された発明でないし、甲B4に記載された発明、及び両申立人が提示した各甲号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
エ.小括
以上のとおり、本件発明4ないし12は、いずれも甲B4に記載された発明でないし、甲B4に記載された発明、及び両申立人が提示した各甲号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、取消理由B2は理由がない。
(5)取消理由A1について
申立人Aが主張する取消理由A1は、上記本件訂正前の旧請求項1に係る特許についてのものであるところ、本件訂正により請求項1は、その内容を全て削除されたから、検討することを要しない。
II.当審の判断のまとめ
以上のとおりであるから、両申立人が主張する上記取消理由A1ないしA3並びに取消理由B1及びB2又は当審が通知した上記取消理由1ないし3についてはいずれも理由がなく、他に各特許を取り消すべき理由も発見できない。
第6 むすび
以上のとおり、本件特許に対する令和4年5月31日付け訂正請求による訂正は、適法であるから、これを認める。
また、本件の請求項1ないし3に係る特許に対しての両申立人からの特許異議の申立ては、適法に訂正されたことにより不適法なものとなったから、却下する。
そして、本件特許に係る異議の申立てにおいて両特許異議申立人が主張する取消理由はいずれも理由がなく、また、当審が通知した取消理由についても理由がないから、本件の請求項4ないし12に係る発明についての特許は、取り消すことができない。
他に本件の請求項4ないし12に係る発明についての特許を取り消すべき理由も発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-700364