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特許異議申立

2021-700351

口栓、及び口栓を備える包装容器

審判番号
2021-700351
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-035809
登録番号
6780793
請求日
2021年04月19日
審決日
2022年07月12日
公報発行日
2022年10月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】凸版印刷株式会社
  • 【権利者代理人】長谷川 芳樹
  • 【権利者代理人】黒木 義樹
  • 【権利者代理人】和田 雄二
  • 【権利者代理人】鈴木 洋平
  • 【権利者代理人】石坂 泰紀
  • 【異議申立人】遠藤 楓実
審判長/審判官
  • 審判長 井上 茂夫
  • 審判官 藤井 眞吾
  • 審判官 稲葉 大紀
分類
P1651.121-YAA(B65D) / P1651.113-YAA(B65D) / P1651.536-YAA(B65D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6780793号発明「口栓、及び口栓を備える包装容器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6780793号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕について訂正することを認める。 特許第6780793号の請求項1、3~9に係る特許を維持する。 特許第6780793号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6780793号の請求項1~9に係る特許についての出願は、令和2年3月3日の出願であって、令和2年10月19日にその特許権の設定登録がされ、令和2年11月4日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立て以降の経緯は、次のとおりである。 令和3年 4月19日 :特許異議申立人遠藤楓実(以下「申立人」という。)による請求項1~9に係る特許に対する特許異議の申立て 令和3年 8月 3日付け:取消理由通知書 令和3年 9月30日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和3年11月22日 :申立人による意見書の提出 令和4年 3月 4日付け:取消理由通知書(決定の予告) 令和4年 4月28日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出(以下、この訂正請求書による訂正の請求を「本件訂正請求」といい、訂正自体を「本件訂正」という。) 令和4年 6月10日 :申立人による意見書の提出 なお、上記令和3年9月30日提出の訂正請求書による訂正の請求は、本件訂正請求がされたから、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 第2 本件訂正の適否 1 本件訂正の内容 本件訂正の内容は、訂正箇所に下線を付して示すと、次のとおりである。 (1)訂正事項1 本件訂正前の請求項1に記載された「前記山状突起の方に寄っている」を、 「前記山状突起の方に寄っており、 前記山状突起の稜線は、その頂部と前記天板の中心点とを通る直線を基準としてみたときに、前記直線を対称の軸とする線対称の形状を有し、 前記キャップの外径が20~30mmであり、 一つの前記山状突起を介して隣り合う前記鋸状突起の頂部同士を結ぶ仮想円弧の長さが、2~10mmであり、 前記鋸状突起の頂部の曲率半径が0.1~0.9mmであり、前記山状突起の頂部の曲率半径が1~5mmであり、 互いに隣り合う前記鋸状突起と前記山状突起との間の谷底を通る仮想円弧を基準としたときに、前記鋸状突起の高さが0.3~1.5mmであり、前記山状突起の高さが0.1~0.6mmであり、 前記スパウトに対して前記キャップを相対的に回転させて前記スパウトから前記キャップを取り外すまでのトルクの最大値が45.3~75cN・mである」に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3~9も同様に訂正する。)。 (2)訂正事項2 本件訂正前の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 本件訂正前の請求項3に記載された「前記鋸状突起の頂部の曲率半径が0.1~0.9mmであり、前記山状突起の頂部の曲率半径が1~5mmである、請求項1又は2に記載の口栓」を、「前記鋸状突起の頂部の曲率半径が0.2~0.5mmであり、前記山状突起の頂部の曲率半径が2~4mmである、請求項1に記載の口栓」に訂正する(請求項3の記載を直接的又は間接的に引用する請求項4~9も同様に訂正する。)。 (4)訂正事項4 本件訂正前の請求項4に記載された「前記鋸状突起の高さが0.3~1.5mmであり、前記山状突起の高さが0.1~0.6mmである、請求項1~3のいずれか一項に記載の口栓」を、「前記鋸状突起の高さが0.6~1.0mmであり、前記山状突起の高さが0.2~0.5mmである、請求項1又は3に記載の口栓」に訂正する(請求項4の記載を直接的又は間接的に引用する請求項5~9も同様に訂正する。)。 (5)訂正事項5 本件訂正前の請求項5に記載された「前記キャップの外径が20~30mmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の口栓」を、「前記キャップの外径が23~28mmである、請求項1、3及び4のいずれか一項に記載の口栓」に訂正する(請求項5の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6~9も同様に訂正する。)。 (6)訂正事項6 本件訂正前の請求項6に記載された「仮想円弧の長さが、2~10mmである、請求項1~5のいずれか一項に記載の口栓」を、「仮想円弧の長さが、3~8mmである、請求項1、3~5のいずれか一項に記載の口栓」に訂正する(請求項6の記載を直接的又は間接的に引用する請求項7~9も同様に訂正する。)。 (7)訂正事項7 本件訂正前の請求項7に記載された「バンド部を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の口栓」を、「バンド部を備え、 前記バンド部は、連通部によって2つの半リングに分割されており、 複数の突起状の接続部によって、前記半リングはそれぞれ前記側壁の下端に接続されており、 前記キャップを前記スパウトから取り外す際のスパウトに対するキャップの相対的な回転方向でみたときに最も上流側にある前記接続部が他の前記接続部よりも大きい、請求項1、3~6のいずれか一項に記載の口栓」に訂正する(請求項7の記載を直接的又は間接的に引用する請求項8、9も同様に訂正する。)。 (8)訂正事項8 本件訂正前の請求項9に記載された「請求項1~8のいずれか一項に記載された」を、「請求項1、3~8のいずれか一項に記載された」に訂正する。 (9)訂正事項9 本件訂正前の明細書の【0042】に記載された「キャップ10は、側壁15の外周面に形成されたローレット13を有することから、複数のピークがある場合であっても、容易に回転させてローレット13から取り外すことができる。」を、「キャップ10は、側壁15の外周面に形成されたローレット13を有することから、複数のピークがある場合であっても、容易に回転させてスパウト30から取り外すことができる。」に訂正する。 2 一群の請求項 本件訂正前の請求項1~9は、請求項2~9が、本件訂正前の請求項1の記載を引用する関係にあるから、本件訂正は、一群の請求項〔1~9〕について請求されたものである。 3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について 訂正事項1は、本件訂正前の請求項1の記載事項を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項1は、本件特許の明細書の【0030】、【0034】、【0035】、【0037】、【0039】、【0040】、【0057】の記載に基づくものであるから、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてするものである。 また、訂正事項1は、本件訂正前の請求項1に係る発明の発明特定事項をさらに限定するものであり、また、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は、本件訂正前の請求項3について、訂正事項2によって削除された請求項2を引用しているという不明瞭な状態を解消させるとともに、記載事項を限定するものであるから、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項3は、本件特許の明細書の【0035】、【0036】の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 また、訂正事項3は、本件訂正前の請求項3に係る発明の発明特定事項をさらに限定するものであり、また、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (4)訂正事項4について 訂正事項4は、本件訂正前の請求項4について、訂正事項2によって削除された請求項2を引用しているという不明瞭な状態を解消させるとともに、記載事項を限定するものであるから、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項4は、本件特許の明細書の【0037】、【0038】の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 また、訂正事項4は、本件訂正前の請求項4に係る発明の発明特定事項をさらに限定するものであり、また、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (5)訂正事項5について 訂正事項5は、本件訂正前の請求項5について、訂訂正事項2によって削除された請求項2を引用しているという不明瞭な状態を解消させるとともに、記載事項を限定するものであるから、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項5は、本件特許の明細書の【0034】の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 また、訂正事項5は、本件訂正前の請求項5に係る発明の発明特定事項をさらに限定するものであり、また、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (6)訂正事項6について 訂正事項6は、本件訂正前の請求項6について、訂正事項2によって削除された請求項2を引用しているという不明瞭な状態を解消させるとともに、記載事項を限定するものであるから、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項6は、本件特許の明細書の【0039】の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 また、訂正事項6は、本件訂正前の請求項6に係る発明の発明特定事項をさらに限定するものであり、また、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (7)訂正事項7について 訂正事項7は、本件訂正前の請求項7について、訂正事項2によって削除された請求項2を引用しているという不明瞭な状態を解消させるとともに、記載事項を限定するものであるから、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項7は、本件特許の明細書の【0026】及び本件特許の図面の【図3】の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 また、訂正事項7は、本件訂正前の請求項7に係る発明の発明特定事項をさらに限定するものであり、また、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (8)訂正事項8について 訂正事項8は、本件訂正前の請求項8について、訂正事項2によって削除された請求項2を引用しているという不明瞭な状態を解消させるものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項8は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (9)訂正事項9について 本件特許の明細書の【0042】には、「キャップ10は、側壁15の外周面に形成されたローレット13を有することから、複数のピークがある場合であっても、容易に回転させてローレット13から取り外すことができる。」と記載されているところ、本件特許は、スパウトからキャップを取り外すことができる口栓に関するものであり、本件特許の明細書の【0031】、【0041】には、スパウトからキャップを取り外すことが記載されており、かつ、本件特許の明細書の【0042】を除き、キャップ10を、ローレット13から取り外すことは記載されていない。 そのため、本件特許の明細書の【0042】の記載は、本件特許の明細書【0042】以外の記載及び特許請求の範囲の記載との関係で、不合理が生じているために不明瞭となっている記載である。 そうすると、訂正事項9は、明細書に生じている記載上の不備を訂正によって治癒し、本来の意を明らかにするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。 訂正事項9は、本件特許の明細書の【0031】、【0041】の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 訂正事項9は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 また、訂正事項9は、明細書の訂正に係る一群の請求項の全てについて行うものである。 4 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項並びに第9項で準用する同法第126条第4項ないし第6項の規定に適合する。 したがって、明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり本件訂正が認められたことから、本件特許の請求項1、3~9に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1、3~9に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 スパウトと、前記スパウトに取り付けられたキャップと、を具備する口栓であって、 前記スパウトは、外ネジが形成された円筒状の側壁と、前記側壁の一端側にフランジと、を備え、 前記キャップは、天板と、前記天板の外周縁に接続し、内周面に前記外ネジと螺合する内ネジが形成されるとともに、外周面にローレットが形成された側壁と、を備え、 前記ローレットは複数の鋸状突起と複数の山状突起とで構成され、前記鋸状突起と前記鋸状突起よりも小さい高さを有する前記山状突起とが一つずつ円周方向に沿って交互に並んでおり、 前記鋸状突起の頂部は、前記キャップを前記スパウトから取り外す際の前記スパウトに対する前記キャップの相対的な回転方向でみたときに、下流側に隣接する前記山状突起よりも上流側に隣接する前記山状突起の方に寄っており、 前記山状突起の稜線は、その頂部と前記天板の中心点とを通る直線を基準としてみたときに、前記直線を対称の軸とする線対称の形状を有し 、 前記キャップの外径が20~30mmであり、 一つの前記山状突起を介して隣り合う前記鋸状突起の頂部同士を結ぶ仮想円弧の長さが、2~10mmであり、 前記鋸状突起の頂部の曲率半径が0.1~0.9mmであり、前記山状突起の頂部の曲率半径が1~5mmであり、 互いに隣り合う前記鋸状突起と前記山状突起との間の谷底を通る仮想円弧を基準としたときに、前記鋸状突起の高さが0.3~1.5mmであり、前記山状突起の高さが0.1~0.6mmであり、 前記スパウトに対して前記キャップを相対的に回転させて前記スパウトから前記キャップを取り外すまでのトルクの最大値が45.3~75cN・mである、口栓。」 「【請求項3】 前記鋸状突起の頂部の曲率半径が0.2~0.5mmであり、前記山状突起の頂部の曲率半径が2~4mmである、請求項1に記載の口栓。 【請求項4】 互いに隣り合う前記鋸状突起と前記山状突起との間の谷底を通る仮想円弧を基準としたときに、 前記鋸状突起の高さが0.6~1.0mmであり、 前記山状突起の高さが0.2~0.5mmである、請求項1又は3に記載の口栓。 【請求項5】 前記キャップの外径が23~28mmである、請求項1、3及び4のいずれか一項に記載の口栓。 【請求項6】 一つの前記山状突起を介して隣り合う前記鋸状突起の頂部同士を結ぶ仮想円弧の長さが、3~8mmである、請求項1、3~5のいずれか一項に記載の口栓。 【請求項7】 前記キャップの前記側壁の一端に接続され、前記側壁と前記フランジとの間において前記キャップを前記スパウトに固定する円筒状のバンド部を備え、 前記バンド部は、連通部によって2つの半リングに分割されており、 複数の突起状の接続部によって、前記半リングはそれぞれ前記側壁の下端に接続されており、 前記キャップを前記スパウトから取り外す際のスパウトに対するキャップの相対的な回転方向でみたときに最も上流側にある前記接続部が他の前記接続部よりも大きい、請求項1、3~6のいずれか一項に記載の口栓。 【請求項8】 前記バンド部は、前記天板に向かうように傾斜するフック部を有し、 前記フック部は、前記スパウトの前記側壁に設けられた突起に当接することによって、前記キャップが前記スパウトに対して相対的に離間することを規制する、請求項7に記載の口栓。 【請求項9】 請求項1、3~8のいずれか一項に記載された口栓と当該口栓が取り付けられる容器本体とを備える包装容器。」 第4 取消理由の通知(決定の予告)について 1 取消理由の概要 当審が令和4年3月4日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 本件特許の請求項1~9に係る発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項及び周知技術に基いて、また、引用文献3に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 以下、申立人が提出した甲第1号証等を「甲1」等という。 引用文献1:国際公開第2019/031608号(甲6) 引用文献2:特開2015-140214号公報(甲2) 引用文献3:意匠登録第1648833号公報(甲4) 引用文献4:特開2007-76676号公報(甲5) 引用文献5:特開2004-149164号公報(甲3) 引用文献6:特開2011-105381号公報 引用文献7:特開2016-69083号公報(甲10) 2 当審の判断 (1)引用文献に記載された事項、発明 ア 引用文献1 (ア)引用文献1に記載された事項 引用文献1には、次の事項が記載されている。 「技術分野 [0001] 本発明は、注出口栓及び注出口栓を備える包装容器に関する。」 「発明が解決しようとする課題 [0009] 本発明は、口栓本体に閉止板を設けない構成であっても、高い密封性を確保しながら、開栓に必要な力が大きくなることを抑制することが可能な注出口栓及び注出口栓を備える包装容器を提供することを目的とする。」 「[0053]<第2の実施形態> (注出口栓) 本発明の第2の実施形態について説明する。図5は、第2の実施形態に係る注出口栓の部分断面図である。図6及び図7は、それぞれ図5に示す矩形で囲まれた領域A及び領域Bの拡大断面図である。図8は、本実施形態に係る注出口栓を備える包装容器の斜視図である。 [0054] 図5及び図8に示すように、注出口栓101は、容器本体2に溶着等により、取り付けられる口栓本体103と、口栓本体103に螺着することができるキャップ104とを備える。なお、図5~図8はキャップ104が口栓本体103にキャッピングされた状態を示す。キャップ104が口栓本体103にキャッピングされた状態とは、キャップ104が口栓本体103に螺着されるとともにキャップ104の高さ方向における移動が、後述する突起部11bにより規制された状態をいうものとする。 [0055](キャップ) キャップ104は、天板5と、天板5の外周縁に接続され、内周面に内ネジ6aが形成された側壁6と、天板5に周状に設けられた円筒状のインナーリング7と、天板5の側壁6とインナーリング7との間に設けられたコンタクトリング8とを有する。側壁6の天板5とは反対側の端部である下端部には、薄肉部118を介して取り付けられた円筒状のバンド部119が設けられる。バンド部119の薄肉部118とは反対側の端部である下端部には、一端が連接するフラップ20が設けられる。バンド部119の下端部に、キャップ104の内方と外方とを連通する連通部119aを1つ以上設けてもよい。 [0056] バンド部119は、開栓に際して薄肉部118を破断させることによりキャップ104から離脱することができるタンパーエビデンスバンドである。薄肉部118は、一例として、図7に示すように、キャップ104の側壁6及びバンド部119の内周面に周方向に所定の間隔で並べて形成された、側壁6とバンド部119とをつなぐ複数のリブ118aにより構成することができる。詳細は後述するが、開栓に必要な力が大きさに相当する薄肉部118の強度は、キャッピングの過程において、キャップ104の外周面からリブ118aに向かって形成される溝6b(スコアーカット部等ともいう)によりリブ118aの径方向における厚みを調整することにより適宜変更することができる。溝6bは、図5に示すように、円周方向にわたって形成することができる。 [0057] フラップ20は、開栓時に後述する突起部11bと当接させることで、薄肉部118を破断させてバンド部119を口栓本体103もしくはキャップ104に残すための部材である。フラップ20は、バンド部119の下端部に、周方向に所定の間隔をおいて1つ以上設けることができる。フラップ20を複数個設けることで、使用前に口栓本体103にキャップ104を螺着等により装着(セット)する際の反発力を低減(分散)することができる。 ・・・ [0059](口栓本体) 口栓本体103は、筒状の側壁11と、側壁11の一端縁から外方に延出するフランジ17と、側壁11の外周面に形成された外ネジ11aと、側壁11の外周面の外ネジ11aとフランジ17との間の領域から外方に突出する突起部11bとを有する。 [0060] フランジ17は、口栓本体103を容器本体2に取り付ける際の接合箇所となる。フランジ17は、バンド部119と密着(密接)することができるように、図5、図7に示すように、側壁11の近傍の厚みを他の部分よりも大きく形成してもよい。フランジ17と、容器本体2との接合には、超音波溶着、接着等の周知の技術を用いることができる。 ・・・ [0062](キャッピング状態について) 図5乃至図7に示すように、キャップ104が口栓本体103にキャッピングされた状態において、インナーリング7の外周面は、口栓本体103の側壁11の内周面と密着する。また、バンド部119は、下端部がフランジ17と密着する。さらに、フラップ20は、他端が突起部11bとフランジ17との間の空隙に、天板5に向くようにバンド部119との連接部において折り返された状態で収容される。」 「[請求項1] 容器本体に溶着される口栓本体と、前記口栓本体に螺着されるキャップとを備える注出口栓であって、 前記キャップは、天板と、前記天板の外周縁に接続され、内周面に内ネジが形成された側壁と、前記天板の内面に周状に設けられたインナーリングとを有し、 前記インナーリングは、外周面に、前記天板側から、第1の外径を有する第1の領域と、最外径が前記第1の外径より小さい第2の外径を有する第2の領域とを有し、 前記口栓本体は、外周面に外ネジが形成された側壁を有し、かつ、前記キャップよりも剛性が低い材料からなり、 前記口栓本体の側壁は、内周面に、前記容器本体側と反対の上端側から、第1の内径を有する第1の領域と、最内径が前記第1の内径より小さい第2の内径を有する第2の領域とを有し、 前記キャップが前記口栓本体に螺着された状態において、 前記インナーリングの前記第1の領域と前記口栓本体の側壁の前記第1の領域とが全周にわたって密着し、 前記インナーリングの前記第2の領域と前記口栓本体の側壁の前記第2の領域とが全周にわたって密着し、 前記キャップの側壁の内周面の所定の部分と前記口栓本体の側壁の外周面の所定の部分とが全周にわたって密着するとともに、 前記インナーリングの前記第1の領域と前記口栓本体の側壁の前記第1の領域とが密着した領域と、前記インナーリングの前記第2の領域と前記口栓本体の側壁の前記第2の領域とが密着した領域との間に空間を有する、注出口栓。 ・・・ [請求項7] 前記キャップは、前記キャップの側壁の前記天板とは反対側の端部に設けた薄肉部を介して取り付けられた円筒状のバンド部と、前記バンド部の前記薄肉部とは反対側の端部に一端が連接する1つ以上のフラップとを更に有し、 前記口栓本体は、前記口栓本体の側壁の一端縁から外方に延出するフランジと、前記口栓本体の側壁の外周面の前記外ネジと前記フランジとの間の領域から外方に突出する突起部とを更に有し、 前記キャップが前記口栓本体に螺着された状態において、 前記バンド部は、前記薄肉部とは反対側の端部が前記フランジと密着し、 前記フラップは、他端が前記突起部と前記フランジとの間の空隙に、前記天板に向かって傾斜するように前記バンド部との連接部において折り返された状態で収容される、請求項1~6のいずれかに記載の注出口栓。 ・・・ [請求項12] 請求項1~11のいずれかに記載された注出口栓を備える、包装容器。」 「[図5] [図:0001389372000001.jpg] 」 (イ)引用文献1に記載された発明 上記(ア)の記載事項を総合すると、引用文献1には次の発明又は事項(以下「引用発明1」という。)が記載されている。 「容器本体に溶着等により、取り付けられる口栓本体と、口栓本体に螺着することができるキャップとを備える注出口栓であり、 キャップは、天板と、天板の外周縁に接続され、内周面に内ネジが形成された側壁と、天板に周状に設けられた円筒状のインナーリングと、天板の側壁とインナーリングとの間に設けられたコンタクトリングとを有し、側壁の天板とは反対側の端部である下端部には、薄肉部を介して取り付けられた円筒状のバンド部が設けられ、バンド部の薄肉部とは反対側の端部である下端部には、一端が連接するフラップが設けられ、 口栓本体は、筒状の側壁と、側壁の一端縁から外方に延出するフランジと、側壁の外周面に形成された外ネジと、側壁の外周面の外ネジとフランジとの間の領域から外方に突出する突起部とを有し、 キャップが口栓本体にキャッピングされた状態において、フラップは、他端が突起部とフランジとの間の空隙に、天板に向かって傾斜するようにバンド部との連接部において折り返された状態で収容される、注出口栓。」 イ 引用文献2 引用文献2には、次の事項が記載されている。 「【請求項1】 容器本体の口部に対して螺着可能に構成され、外周面に突状のローレットが形成されてなる有頂筒状のキャップであって、 前記ローレットは、山の高さの異なる高ローレット部と低ローレット部との2形状の山を有する隣接するもの同士の組み合わせがキャップ軸回りの回転方向に交互に連続して配置され、 前記高ローレット部は、前記回転方向に回転させた閉栓時に指が掛る第1斜面と、開栓時に指が掛る第2斜面と、を有し、 前記第1斜面の傾斜角度が前記第2斜面よりも小さいことを特徴とするキャップ。 【請求項2】 1組のローレット群の前記回転方向のピッチは、0.5~3mmであることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。 ・・・」 「【背景技術】 【0002】 一般に、キャップとして、例えば、特許文献1に記載されるように開栓しやすくしたものが知られている。また、液体洗剤、液体漂白剤、液体柔軟剤、溶剤等の液状物や、粒状洗剤、粒状漂白剤、粒状調味料等の粉粒物を収納する容器では、容器本体の口部にキャップを螺合により着脱可能に装着し、このキャップの着脱によって口部を開閉させている。このような容器本体の口部に螺着されるキャップには、開閉の際に手指が滑らないように、その回転方向に略直交する向きの凸条又は凹条からなるローレット(ナール)が形成され、指先とキャップの摩擦力を増大させている。 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、従来の容器のキャップ形状では、開栓時のみならず、閉栓時においてもトルクを発揮させ易くなるため、使用後の閉栓時に過大に螺合させてしまうおそれがあった。そのため、その後に使用するときに開栓し難くなる場合があり、その点で改善の余地があった。 また、容器の工場出荷時には閉栓にかかるトルクを管理することができ閉め過ぎを防止することができるが、製品を購入した使用者の閉める力を管理することは極めて困難となっている。とくに閉栓時にローレットが有効に働いた場合には、摩擦力が発揮されて閉め過ぎが生じるおそれがあった。 【0005】 本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、閉栓時の指掛かりを悪くすることで、閉栓時における閉め過ぎを抑制することができるキャップを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 上記目的を達成するため、本発明に係るキャップでは、容器本体の口部に対して螺着可能に構成され、外周面に突状のローレットが形成されてなる有頂筒状のキャップであって、前記ローレットは、山の高さの異なる高ローレット部と低ローレット部との2形状の山を有する隣接するもの同士の組み合わせがキャップ軸回りの回転方向に交互に連続して配置され、前記高ローレット部は、前記回転方向に回転させた閉栓時に指が掛る第1斜面と、開栓時に指が掛る第2斜面と、を有し、前記第1斜面の傾斜角度が前記第2斜面よりも小さいことを特徴としている。 【0007】 本発明では、容器を使用した後にキャップを回転方向で閉栓側に回して閉める際に、高ローレット部の第1斜面に指が掛る。このとき、第1斜面の傾斜角度が第2斜面よりも小さく緩やかな斜面となっているので、キャップを強く回そうとすると、指が滑って指掛りが悪くなる。つまり、キャップの閉じる方向への回転操作がし難くなり、過大なトルクが入力されるのを防止することができ、キャップの締め付け過ぎを抑えることができるので、次に使用する際において、容易に開栓することができる。 一方で、キャップを開栓側に回して開ける際には、高ローレット部の第2斜面に指が掛る。このとき、第2斜面の傾斜角度が第1斜面よりも大きく急傾斜となるので、強く指が掛り、キャップを強く回すことができ、開栓に必要なトルクをキャップに入力することができる。 このように、ローレットに対する開栓方向と閉栓方向の摩擦係数を変化させることで、キャップの閉め過ぎを抑えるとともに、キャップを開けやすくすることができる。」 「【0019】 (第1の実施の形態) 図1及び図2に示すように、本実施の形態によるキャップ1は、内容物を収容する不図示の容器本体における頂部に位置する口部に螺着されるものである。このキャップ1は、平面視真円形の天壁部2と、天壁部2の周縁から垂下された円筒状の周壁部4とを備え、全体として有頂円筒状とされたものである。ここで、前記容器本体は、内容物として、例えば液体洗剤、液体漂白剤、液体柔軟剤、溶剤等の液状物や、粒状洗剤、粒状漂白剤、粒状調味料等の粉粒物を収納する。 なお、キャップ1の材質は、特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の樹脂であってもよいし、アルミニウム等の金属であってもよい。 【0020】 周壁部4の内面には、周方向に延びるネジ部(図示省略)が形成されている。キャップ1は、キャップ軸O1回りのX1方向(以下、閉栓方向X1という)に回転されることで、前記ネジ部が容器本体の口部に形成されたネジ部(不図示)と螺合して容器本体と螺着され、キャップ軸O1回りのY1方向(以下、開栓方向Y1という)に回転されることで容器本体から螺脱される。 【0021】 ここで、キャップ1の回転方向Eは、キャップ軸O1回りに周回する方向をいい、キャップ軸O1に直交する方向をキャップ径方向という。また、キャップ軸O1方向におけるキャップ1の頂部側を上方、開放側を下方という。 【0022】 図3に示すように、周壁部4の外周面には、ローレット10が形成されている。ローレット10は、山の高さの異なる高ローレット部11と低ローレット部12との2形状の山を有する隣接する一対の組み合わせがキャップ軸O1回りの回転方向Eに交互に連続して配置されている。これら高ローレット部11及び低ローレット部12は、それぞれキャップ軸O1方向に延在し、キャップ軸O1方向に直交する断面が、突端を頂部11c、12cとする略三角形をなしている。つまり、高ローレット部11の頂部11cは、低ローレット部12の頂部12cよりも径方向の外側に位置している。 【0023】 高ローレット部11は、閉栓方向X1に回転させた閉栓時に指が掛る第1斜面11aと、開栓方向に回転させた開栓時に指が掛る第2斜面11bと、を有し、第1斜面11aの傾斜角度θ1が前記第2斜面11bの傾斜角度θ2よりも小さく形成されている。例えば、高ローレット部11の第1斜面11aの傾斜角度θ1が1~45°、第2斜面11bの傾斜角度θ2が45~90°とすることが好ましい。 低ローレット部12は、回転方向Eの閉栓方向に向かうに従い漸次、基端から径方向の外側に向けて傾斜する第3斜面12aと、同じく開栓方向Y1に向かうに従い漸次、基端から径方向の外側に向けて傾斜する第4斜面12bと、を有し、第3斜面12aの傾斜角度θ3が前記第4斜面12bの傾斜角度θ4よりも大きく形成されている。 【0024】 1つの高ローレット部11と1つの低ローレット部12から構成される1組のローレット群10Aの回転方向EのピッチPは、高ローレット部11の第1斜面11aにおける周壁部4の外周面との交差部(基端11d)から低ローレット部12の第4斜面12bにおける周壁部4の外周面との交差部(基端12d)までの周方向の距離をいう。そのローレット群10AのピッチPとして、例えば0.5~3mmが好ましい。つまり、回転方向Eで隣り合う高ローレット部11、11同士の間隔は、指が入らない寸法に形成されており、低ローレット部12に対してその形状にかかわらず指が掛らない寸法に設定されている。前記ピッチPが0.4mm未満の場合には、間隔小さ過ぎて指に当たる高ローレット部11が多くなり、指に過度な痛みを感じ得るおそれがあり、前記ピッチPが3mm超では、キャップ1を掴んだときに高ローレット部11に指が引っ掛かりにくいおそれがある。 【0025】 なお、高ローレット部11と低ローレット部12の高低差に関しては、低ローレット部12の頂部12cが高ローレット部11の頂部11cよりも低くなっていれば、とくに制限されるものではないが、開栓時の指の掛かり具合から勘案してその高低差が大きい方が好ましい。 また、本実施の形態において、高ローレット部11と低ローレット部12は、周壁部4に複数の凹条が刻設されることにより形成されている。 【0026】 次に、本実施の形態のキャップ1の使用方法、及び作用について図面に基づいて説明する。 図1~図3に示すように、本実施の形態では、容器を使用した後にキャップ1を把持して回転方向Eの閉栓方向X1に回して締め付ける際に、低ローレット部12が回転方向の両側に隣接する高ローレット部11よりも低くなっており、その高ローレット部11、11同士の間の低ローレット部12部分に指がフィットし、高ローレット部11の第1斜面11aから頂部11cに指が引っ掛かる。 このとき、第1斜面11aの傾斜角度θ1が45°以下で第2斜面11bの傾斜角度θ2の45°を超える急傾斜よりも小さく緩やかな角度となるので、強く締め付けようとするとローレット10に接触する指が第1斜面11aで徐々に滑ってしまい指の掛かりが悪くなる。そのため、キャップ1の閉栓方向X1への回転操作がし難くなり、閉栓するときに過大なトルクが入力されるのを防止することができる。つまり、キャップ1の締め付け過ぎを抑えることが可能となり、次に容器を使用する際において、容易に開栓することができる。 【0027】 一方で、キャップ1を開栓側に回して開ける際には、急傾斜に形成された高ローレット部11の第2斜面11bに強く指が掛るので、キャップ1を強く回そうとすると、閉栓時のように指が滑ることがなく、十分に指掛りとなり、開栓に必要なトルクをキャップ1に入力することができ、容易にキャップ1を開栓方向Y1に回転することができる。 このように、ローレット10に対する閉栓方向X1と開栓方向Y1との摩擦係数を変化させることで、キャップ1の閉め過ぎを抑えるとともに、キャップ1を開けやすくすることができる。 【0028】 また、本実施の形態では、1組のローレット群10Aの回転方向EのピッチPが0.5~3mmである形状にすることにより、複数の高ローレット部11が指に掛ることになり、キャップ1の外周面に指がフィットし、閉栓時及び開栓時ともに、前述の効果をより確実に発揮することができる。」 「【0034】 例えば、本実施の形態では、キャップ1、1Aの周壁部4の全周にローレット10が形成されているが、全周であることに制限されず、周面の一部の範囲であってもかまわない。 また、ローレット10が形成される周壁部4が平面視で円形状であることにも制限されることはなく、多角形状、楕円形状などであってもよい。さらに、ローレット10は、本実施の形態では周壁部4に形成されているが、これに限定されず、本実施の形態の例において天壁部2の外周面に形成されていてもかまわない。 【0035】 また、本実施の形態では、高ローレット部11の形状として、略三角形状に形成しているが、これに制限されることはない。例えば、頂部11cに平坦部が形成されていてもよいし、頂部cが円弧状に丸めた形状であってもよい。要は、高ローレット部11として、第1斜面11aと、この第1斜面11aよりも傾斜角度の大きな第2斜面11bが形成されていればよいのである。」 「【図3】 [図:0001389372000002.jpg] 」 以上を総合すると、引用文献2には次の発明(以下「引用発明2」又は「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。 「容器本体の口部に対して螺着可能に構成され、外周面に突状のローレットが形成されてなる有頂筒状のキャップであって、 前記ローレットは、山の高さの異なる高ローレット部と低ローレット部との2形状の山を有する隣接するもの同士の組み合わせがキャップ軸回りの回転方向に交互に連続して配置され、 前記高ローレット部は、前記回転方向に回転させた閉栓時に指が掛る第1斜面と、開栓時に指が掛る第2斜面と、を有し、 前記第1斜面の傾斜角度が前記第2斜面よりも小さく、 前記低ローレット部は、前記回転方向の閉栓方向に向かうに従い漸次、基端から径方向の外側に向けて傾斜する第3斜面と、同じく開栓方向に向かうに従い漸次、基端から径方向の外側に向けて傾斜する第4斜面と、を有し、 前記第3斜面の傾斜角度が前記第4斜面の傾斜角度よりも大きく形成され、 1組のローレット群の前記回転方向のピッチは、0.5~3mmである、キャップ。」 ウ 引用文献3 (ア)引用文献3に記載された事項 引用文献3には、次の事項が記載されている。 「(54)【意匠に係る物品】口栓蓋材」 「(55)【意匠に係る物品の説明】本物品は、清涼飲料、酒、シャンプー、パーマ液等の液状物を収容する包装用容器の口部に使用される口栓蓋材に関するものである。」 「【図面】 【正面上方からの参考斜視図】 [図:0001389372000003.jpg] 【正面下方からの参考斜視図】 [図:0001389372000004.jpg] 【正面図】 [図:0001389372000005.jpg] 【背面図】 [図:0001389372000006.jpg] 【平面図】 [図:0001389372000007.jpg] 【A-A断面図】 [図:0001389372000008.jpg] 【底面図】 [図:0001389372000009.jpg] 【右側面図】 [図:0001389372000010.jpg] 【左側面図】 [図:0001389372000011.jpg] 」 【正面上方からの参考斜視図】、【正面下方からの参考斜視図】、【正面図】、【背面図】、【平面図】、【A-A断面図】、【底面図】、【右側面図】及び【左側面図】に図示されたものは、「清涼飲料、酒、シャンプー、パーマ液等の液状物を収容する包装用容器の口部に使用される口栓蓋材」である。 【正面上方からの参考斜視図】、【正面下方からの参考斜視図】、【平面図】及び【A-A断面図】から、「口栓蓋材」は、天板と、前記天板の外周縁に接続し、内周面に内ネジが形成されるとともに、外周面にローレットが形成された側壁と、を備えていることが看取される。そして、「包装用容器の口部に使用される口栓蓋材」の側壁の内周面に内ネジを備えているのであれば、当該内ネジは、「包装用容器の口部」の外ネジと螺合することは自明である。 【正面上方からの参考斜視図】、【正面下方からの参考斜視図】及び【平面図】から、前記ローレットは複数の鋸状突起と複数の山状突起とで構成され、前記鋸状突起と前記鋸状突起よりも小さい高さを有する前記山状突起とが一つずつ円周方向に沿って交互に、それぞれ12ずつ並んでいることが看取される。 【A-A断面図】に図示されたネジ形状から、【平面図】の反時計回り方向が、「口栓蓋材」を開栓する方向となることが分かるから、【平面図】及び【A-A断面図】から、前記鋸状突起の頂部は、「口栓蓋材」を「包装容器の口部」から取り外す際の「包装容器の口部」に対する「口栓蓋材」の相対的な回転方向でみたときに、下流側に隣接する前記山状突起よりも上流側に隣接する前記山状突起の方に寄っていることが看取される。 【平面図】から、前記山状突起の稜線は、その頂部と前記天板の中心点とを通る直線を基準としてみたときに、前記直線を対称の軸とする線対称の形状を有していることが看取される。 (イ)引用文献3に記載された発明 上記(ア)の記載事項を総合すると、引用文献3には次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されている。 「天板と、前記天板の外周縁に接続し、内周面に包装用容器の口部の外ネジと螺合する内ネジが形成されるとともに、外周面にローレットが形成された側壁と、を備え、前記ローレットは複数の鋸状突起と複数の山状突起とで構成され、前記鋸状突起と前記鋸状突起よりも小さい高さを有する前記山状突起とが一つずつ円周方向に沿って交互に、それぞれ12ずつ並んでおり、前記鋸状突起の頂部は、口栓蓋材を包装容器の口部から取り外す際の包装容器の口部に対する口栓蓋材の相対的な回転方向でみたときに、下流側に隣接する前記山状突起よりも上流側に隣接する前記山状突起の方に寄っており、前記山状突起の稜線は、その頂部と前記天板の中心点とを通る直線を基準としてみたときに、前記直線を対称の軸とする線対称の形状を有している、包装用容器の口部に使用される口栓蓋材及び包装用容器の口部。」 エ 引用文献5 引用文献5には、次の事項が記載されている。 「【0002】 【従来の技術】 【特許文献1】特開2002-284218 従来より、容量が1.0~1.8リットル程度の紙製の容器にポリエチレン等の樹脂製の注出口を取り付けることが広く行われている。この注出口は、容器に取り付けるためのフランジ部と、そのフランジ部から直立するように形成された筒状のノズル部と、そのノズル部を閉じる口壁と、その口壁を容易に開封しうるように、前記口壁に無端状に形成された薄肉部で構成されたスコアラインと、前記口壁のスコアラインで囲まれた領域に連結されたプルタブとを備えており、そのフランジ部を容器に対して超音波シールして取り付けており、開封に当たってはプルタブを引張ってスコアラインを引き裂き、それに囲まれた領域を除去する構成であった。また、その注出口には樹脂製のキャップをねじ込んで取り付けていた。従来の注出口の口径(ノズル部の内径)は、18mm程度がほとんどであり、キャップ外径は25mm程度がほとんどであった。」 オ 引用文献6 引用文献6には、次の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、液体、粉体あるいは粒体等を内容物とする包装容器の注出位置に、包装容器内側から溶着される注出口栓に関する。」 「【0034】 検証のため、50-55N・cmのトルクでキャップ502を螺着した注出口栓500を、220J(30KHz、0.2秒)の高エネルギーで超音波シール処理し、その後のキャップ開栓トルクを測定したところ、本実施形態の注出口栓500では、44-50N・cmであった。スパウト501の側壁507の端部全周がキャップ502の内部天面に接触せず、プルリング503の端部全周がキャップ502内部天面に接触する形態の注出口栓では、55-60N・cmであった。また、スパウト501の側壁507の端部全周がキャップ502内部天面に接触するが、プルリング503の端部全周がキャップ502内部天面に接触しない形態の注出口栓では、58-63N・cmであった。また、本実施形態の注出口栓500では、スパウト501の側壁507とインナーリング511との間で溶着が発生しなかったが、他の注出口栓では、溶着が発生した。」 カ 引用文献7 引用文献7には、次の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、注出口栓及び包装容器に関するものである。」 「【0026】 口栓本体の密封性能を確認するため、実施例及び比較例に係るキャップと口栓本体との螺合後の回転トルクを測定した。 【0029】 (試験方法) 実施例及び比較例のサンプルを準備して、それぞれ、セット(注出口栓の容器本体への取り付け)直後、内容液充填(セット3日後、70℃)直後、充填1日後、充填7日後及び充填14日後における、開封トルク(N・cm)を測定した。試験結果を表1に示す。 【0030】 【表1】 [図:0001389372000012.jpg] 」 キ 周知技術 上記オ及びカの記載事項から、次の周知技術が認められる。 「スパウトと、前記スパウトに取り付けられたキャップと、を具備する口栓において、開栓トルクを44~54cN・m程度とすること。」 上記エの記載事項から、次の周知技術が認められる。 「スパウトと、前記スパウトに取り付けられたキャップと、を具備する口栓において、スパウトの口径は、18mm程度がほとんどであり、キャップ外径は25mm程度がほとんどであること。」 上記ア(ア)の記載事項、特に[0054]の記載事項から、次の周知技術が認められる。 「包装容器の口栓が、包装容器の注出口となる、すなわちスパウトであること。」 上記ア(ア)の記載事項、特に[0055]、[0059]及び[0062]の記載事項から、次の周知技術が認められる。 「キャップが、キャップの側壁の一端に接続され、側壁とフランジとの間においてキャップをスパウトに固定する円筒状のバンド部を備え、バンド部は、キャップの天板に向かうように傾斜するフック部を有し、フック部は、スパウトの側壁に設けられた突起に当接することによって、キャップがスパウトに対して相対的に離間することを規制すること。」 (2)引用発明1を主引用発明とする理由について ア 本件発明1について (ア)対比 引用発明1の「容器本体に溶着等により、取り付けられる口栓本体」及び「口栓本体に螺着することができるキャップ」は、その構成や機能からみて、本件発明1の「スパウト」及び「前記スパウトに取り付けられたキャップ」に相当するから、引用発明1の「注出口栓」は、本件発明1の「口栓」に相当する。 引用発明1の「口栓本体」における「筒状の側壁」、「側壁の一端縁から外方に延出するフランジ」及び「側壁の外周面に形成された外ネジ」は、その構成や機能からみて、それぞれ本件発明1の「スパウト」における「円筒状の側壁」、「前記側壁の一端側」の「フランジ」及び「円筒状の側壁」に「形成された」「外ネジ」に相当する。 引用発明1の「天板」及び「内ネジ」は、その構成や機能からみて、それぞれ本件発明1の「天板」及び「前記外ネジと螺合する内ネジ」に相当する。 引用発明1の「天板の外周縁に接続され、内周面に内ネジが形成された側壁」と、本件発明1の「前記天板の外周縁に接続し、内周面に前記外ネジと螺合する内ネジが形成されるとともに、外周面にローレットが形成され」「前記ローレットは複数の鋸状突起と複数の山状突起とで構成され、前記鋸状突起と前記鋸状突起よりも小さい高さを有する前記山状突起とが一つずつ円周方向に沿って交互に並んでおり、前記鋸状突起の頂部は、前記キャップを前記スパウトから取り外す際の前記スパウトに対する前記キャップの相対的な回転方向でみたときに、下流側に隣接する前記山状突起よりも上流側に隣接する前記山状突起の方に寄っており、前記山状突起の稜線は、その頂部と前記天板の中心点とを通る直線を基準としてみたときに、前記直線を対称の軸とする線対称の形状を有し」、「一つの前記山状突起を介して隣り合う前記鋸状突起の頂部同士を結ぶ仮想円弧の長さが、2~10mmであり、前記鋸状突起の頂部の曲率半径が0.1~0.9mmであり、前記山状突起の頂部の曲率半径が1~5mmであり、互いに隣り合う前記鋸状突起と前記山状突起との間の谷底を通る仮想円弧を基準としたときに、前記鋸状突起の高さが0.3~1.5mmであり、前記山状突起の高さが0.1~0.6mmであ」る「側壁」とは、「前記天板の外周縁に接続し、内周面に前記外ネジと螺合する内ネジが形成された側壁」の限りで一致する。 そうすると、本件発明1と引用発明1とは、次の一致点1で一致し、相違点1~3で相違する。 [一致点1] 「スパウトと、前記スパウトに取り付けられたキャップと、を具備する口栓であって、 前記スパウトは、外ネジが形成された円筒状の側壁と、前記側壁の一端側にフランジと、を備え、 前記キャップは、天板と、前記天板の外周縁に接続し、内周面に前記外ネジと螺合する内ネジが形成された側壁と、を備えた、口栓。」 [相違点1] 「前記天板の外周縁に接続し、内周面に前記外ネジと螺合する内ネジが形成された側壁」について、本件発明1は「前記天板の外周縁に接続し、内周面に前記外ネジと螺合する内ネジが形成されるとともに、外周面にローレットが形成され」、「前記ローレットは複数の鋸状突起と複数の山状突起とで構成され、前記鋸状突起と前記鋸状突起よりも小さい高さを有する前記山状突起とが一つずつ円周方向に沿って交互に並んでおり、前記鋸状突起の頂部は、前記キャップを前記スパウトから取り外す際の前記スパウトに対する前記キャップの相対的な回転方向でみたときに、下流側に隣接する前記山状突起よりも上流側に隣接する前記山状突起の方に寄っており、前記山状突起の稜線は、その頂部と前記天板の中心点とを通る直線を基準としてみたときに、前記直線を対称の軸とする線対称の形状を有し」、「一つの前記山状突起を介して隣り合う前記鋸状突起の頂部同士を結ぶ仮想円弧の長さが、2~10mmであり、前記鋸状突起の頂部の曲率半径が0.1~0.9mmであり、前記山状突起の頂部の曲率半径が1~5mmであり、互いに隣り合う前記鋸状突起と前記山状突起との間の谷底を通る仮想円弧を基準としたときに、前記鋸状突起の高さが0.3~1.5mmであり、前記山状突起の高さが0.1~0.6mmであ」る「側壁」であるのに対し、引用発明1は「天板の外周縁に接続され、内周面に内ネジが形成された側壁」である点。 [相違点2] 本件発明1は「前記キャップの外径が20~30mmであ」るのに対して、引用発明1はキャップの外径が不明である点。 [相違点3] 本件発明1は「前記スパウトに対して前記キャップを相対的に回転させて前記スパウトから前記キャップを取り外すまでのトルクの最大値が45.3~75cN・mである」であるのに対し、引用発明1は「口栓本体」から「キャップ」を取り外すまでのトルクの最大値は不明である点。 (イ)判断 相違点1について検討する。 引用文献2記載事項は、「前記山状突起の稜線は、その頂部と前記天板の中心点とを通る直線を基準としてみたときに、前記直線を対称の軸とする線対称の形状を有し」、「一つの前記山状突起を介して隣り合う前記鋸状突起の頂部同士を結ぶ仮想円弧の長さが、2~10mmであり、前記鋸状突起の頂部の曲率半径が0.1~0.9mmであり、前記山状突起の頂部の曲率半径が1~5mmであり、互いに隣り合う前記鋸状突起と前記山状突起との間の谷底を通る仮想円弧を基準としたときに、前記鋸状突起の高さが0.3~1.5mmであり、前記山状突起の高さが0.1~0.6mmであ」るという構成を備えていないため、引用発明1の「キャップ」に、引用文献2記載事項を適用したとしても、相違点1に係る本件発明1の構成とはならない。 したがって、引用発明1において、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 よって、相違点2、3について検討するまでもなく、本件発明1は、当業者が引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 イ 本件発明3~9について 本件発明3~9は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記アで検討したのと同じ理由により、当業者が引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)引用発明3を主引用発明とする理由について ア 本件発明1について (ア)対比 引用発明3の「口栓蓋材」は、その構成や機能からみて、本件発明1の「キャップ」に相当し、引用発明3の「前記鋸状突起と前記鋸状突起よりも小さい高さを有する前記山状突起とが一つずつ円周方向に沿って交互に、それぞれ12ずつ並んで」いる態様は、本件発明1の「前記ローレットは複数の鋸状突起と複数の山状突起とで構成され、前記鋸状突起と前記鋸状突起よりも小さい高さを有する前記山状突起とが一つずつ円周方向に沿って交互に並んで」いる態様に相当する。 引用発明3の「包装用容器の口部に使用される口栓蓋材及び包装用容器の口部」からなるものは、本件発明1の「スパウトと、前記スパウトに取り付けられたキャップと、を具備する口栓」と、「キャップを具備する口栓」の限りで一致する。 そうすると、本件発明1と引用発明3とは、次の一致点2で一致し、相違点4~6で相違する。 [一致点2] 「天板と、前記天板の外周縁に接続し、内周面に前記外ネジと螺合する内ネジが形成されるとともに、外周面にローレットが形成された側壁と、を備え、 前記ローレットは複数の鋸状突起と複数の山状突起とで構成され、前記鋸状突起と前記鋸状突起よりも小さい高さを有する前記山状突起とが一つずつ円周方向に沿って交互に並んでおり、 前記鋸状突起の頂部は、前記キャップを前記スパウトから取り外す際の前記スパウトに対する前記キャップの相対的な回転方向でみたときに、下流側に隣接する前記山状突起よりも上流側に隣接する前記山状突起の方に寄っており、前記山状突起の稜線は、その頂部と前記天板の中心点とを通る直線を基準としてみたときに、前記直線を対称の軸とする線対称の形状を有している、キャップを具備する口栓」 [相違点4] 「キャップを具備する口栓」について、本件発明1は「スパウトと、前記スパウトに取り付けられたキャップと、を具備する口栓」であるのに対し、引用発明3は「包装用容器の口部に使用される口栓蓋材及び包装用容器の口部」であり、「包装用容器の口部」がスパウトであるか否かが不明である点。 [相違点5] 本件発明1が「前記キャップの外径が20~30mmであり、一つの前記山状突起を介して隣り合う前記鋸状突起の頂部同士を結ぶ仮想円弧の長さが、2~10mmであり、前記鋸状突起の頂部の曲率半径が0.1~0.9mmであり、前記山状突起の頂部の曲率半径が1~5mmであり、互いに隣り合う前記鋸状突起と前記山状突起との間の谷底を通る仮想円弧を基準としたときに、前記鋸状突起の高さが0.3~1.5mmであり、前記山状突起の高さが0.1~0.6mmであ」るのに対して、引用発明3はそのような構成であるか不明である点。 [相違点6] 本件発明1が「前記スパウトに対して前記キャップを相対的に回転させて前記スパウトから前記キャップを取り外すまでのトルクの最大値が45.3~75cN・mである」であるのに対し、引用発明3は「包装用容器の口部」から「口栓蓋材」を取り外すまでのトルクの最大値は不明である点。 (イ)判断 事案に鑑み相違点5について検討する。 本件発明1は、「前記キャップの外径が20~30mmであり、一つの前記山状突起を介して隣り合う前記鋸状突起の頂部同士を結ぶ仮想円弧の長さが、2~10mmであり、前記鋸状突起の頂部の曲率半径が0.1~0.9mmであり、前記山状突起の頂部の曲率半径が1~5mmであり、互いに隣り合う前記鋸状突起と前記山状突起との間の谷底を通る仮想円弧を基準としたときに、前記鋸状突起の高さが0.3~1.5mmであり、前記山状突起の高さが0.1~0.6mmであ」るものであり、本件特許の明細書の【0034】~【0039】の記載によると、このような構成にすることによって、指による回転操作を一層容易にしつつ、回転操作時の指の痛みを一層軽減し、指触りをよくすることができ、鋸状突起に指がかかり易くなり、キャップをスパウトから十分円滑に取り外すことができるものである。 相違点5に係る本件発明1の構成について、引用文献1には記載も示唆もなく、他の各甲号証にも記載されておらず、また出願前において周知技術であるともいえない。 したがって、引用発明1において、相違点5に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 よって、相違点4、6について検討するまでもなく、本件発明1は、当業者が引用文献3に記載された発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 イ 本件発明3~9について 本件発明3~9は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記アで検討したのと同じ理由により、当業者が引用文献3に記載された発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (4)小括 以上のとおり、本件発明1、3~9は、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項及び周知技術に基いて、また、引用文献3に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでないから、特許法第29条第2項の規定に該当せず、したがって、請求項1、3~9に係る特許は、同法第113条第2号に該当しない。 第5 取消理由の通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について 1 実施可能要件について (1)申立人の主張 申立人は、本件訂正前の請求項2における「前記スパウトに対して前記キャップを相対的に回転させて前記スパウトから前記キャップを取り外すまでのトルクの最大値が25~75cN・mである」の記載に関して、発明の詳細な説明の記載が、当業者が本件訂正前の請求項2に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではない旨を述べている(特許異議申立書28ページ8行~29ページ末行)。 (2)当審の判断 本件特許の発明の詳細な説明には、本件特許が解決しようとする課題(【0004】、【0005】)、当該課題を解決するための手段(【0006】~【0015】)、本件発明の効果(【0016】)、本件発明を実施するための形態(【0018】~【0047】)、実施例(【0048】~【0068】)が記載されており、これら記載、及び技術常識を踏まえれば、本件発明を実施することが可能である。 また、発明の詳細な説明の【0053】にはトルクの測定方法が記載されており、「スパウトに対してキャップを相対的に回転させてスパウトからキャップを取り外すまでのトルクの最大値」を測定すること、当該測定値が「25~75cN・m」であるか否かを判定することができる。 さらに、発明の詳細な説明の【0057】【表1】には、「スパウト30に対してキャップ10を相対的に反時計回りに回転させ、スパウト30からキャップ10が取り外されるまでのトルク」の最大値が記載されており、当該【表1】には、「45.3~75cN・m」のものが記載されており、これら実施例を基準にすれば、それ以外の口栓も実施可能である。 2 新規性・進歩性について (1)申立人の主張 ア 甲1(特開2019-199280号公報)に記載された発明を主引用発明とする理由について 請求項1~9に係る発明は、甲1に記載された発明であり、請求項1~9に係る発明は、甲1に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものである。 イ 甲2(引用文献2)に記載された発明を主引用発明とする理由について 請求項1~9に係る発明は、甲2に記載された発明であり、請求項1~9に係る発明は、甲2に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものである。 ウ 甲3(引用文献5)に記載された発明を主引用発明とする理由について 請求項1~9に係る発明は、甲3に記載された発明であり、請求項1~9に係る発明は、甲3に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものである。 エ 甲4(引用文献3)に記載された発明を主引用発明とする理由について 請求項1~9に係る発明は、甲4に記載された発明である。 (2)当審の判断 ア 上記(1)アについて (ア)本件発明1について 甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 「キャップ10であって、キャップ10は、天板11と、天板11の外周縁に接続し、内周面に外ネジと螺合する内ネジが形成されるとともに、外周面にローレット20、30が形成された筒部12と、を備え、ローレット20、30は複数の大突起と複数の小突起とで構成され、大突起20と大突起よりも小さい高さを有する小突起30とが一つずつ円周方向に沿って交互に並んでおり、小突起の稜線は、その頂部と天板の中心点とを通る直線を基準としてみたときに、当該直線を対称の軸とする線対称の形状を有し、フランジ部13の外径が20~30mmであり、一つの小突起20を介して隣り合う大突起30の頂部同士を結ぶ直線の長さは、3mm以上13mm以下であり、小突起の頂部の曲率半径は1mm以上であり、大突起20の高さが0.5~1.5mmであり、小突起30の高さが0.4~0.8mmである、キャップ。」 本件発明1と甲1発明を対比すると、少なくとも次の相違点で相違する。 [相違点7] 本件発明1が「前記ローレットは、円周方向に沿って交互に並ぶように、鋸状突起と、前記鋸状突起よりも小さい高さを有する山状突起と、で構成され、前記鋸状突起の頂部は、前記キャップを前記スパウトから取り外す際の前記スパウトに対する前記キャップの相対的な回転方向でみたときに、下流側に隣接する前記山状突起よりも上流側に隣接する前記山状突起の方に寄っており」、「前記鋸状突起の頂部の曲率半径が0.1~0.9mmであ」るのに対し、甲1発明は、そのように構成されていない点。 相違点7について検討する。 相違点7に係る本件発明1の構成は、各甲号証に記載されておらず、また出願前において周知技術であるともいえない。 したがって、甲1発明において、相違点7に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 よって、本件発明1は、甲1に記載された発明ではなく、また、当業者が甲1に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (イ)本件発明3~9について 本件発明3~9は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記(ア)と同様の理由により、甲1に記載された発明ではなく、また、当業者が甲1に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 イ 上記(1)イについて (ア)本件発明1について 本件発明1と甲2(引用文献2)に記載された発明である引用発明2を対比すると、少なくとも次の相違点で相違する。 [相違点8] 本件発明1が「前記山状突起の稜線は、その頂部と前記天板の中心点とを通る直線を基準としてみたときに、前記直線を対称の軸とする線対称の形状を有し、前記キャップの外径が20~30mmであり、一つの前記山状突起を介して隣り合う前記鋸状突起の頂部同士を結ぶ仮想円弧の長さが、2~10mmであり、前記鋸状突起の頂部の曲率半径が0.1~0.9mmであり、前記山状突起の頂部の曲率半径が1~5mmであり、互いに隣り合う前記鋸状突起と前記山状突起との間の谷底を通る仮想円弧を基準としたときに、前記鋸状突起の高さが0.3~1.5mmであり、前記山状突起の高さが0.1~0.6mmであ」るのに対し、引用発明2は、そのように構成されていない点。 相違点8について検討する。 相違点8に係る本件発明1の構成は、各甲号証に記載されておらず、また出願前において周知技術であるともいえない。 したがって、引用発明2において、相違点8に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 よって、本件発明1は、当業者が甲2に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (イ)本件発明3~9について 本件発明3~9は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記(ア)と同様の理由により、甲2に記載された発明ではなく、また、当業者が甲2に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ 上記(1)ウについて (ア)本件発明1について 甲3には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されている。 「注出口1Aと、注出口1Aに取り付けられたキャップ3Aとを具備する口栓であって、注出口1Aは、外ねじ1baが形成された円筒状のノズル部1bと、ノズル部1bの一端側にフランジ1aと、を備え、キャップ3Aは、天板部3bと、天板部3bの外周縁に接続し、内周面に外ねじ1baと螺合する内ねじ3aaが形成されるとともに、外周面にローレット11が形成された胴部3aと、を備え、ローレット11は複数の凸条12を有し、ローレット11の複数の凸条12は円周方向に沿って連続し、凸条12の頂部は、キャップ3Aをノズル部1bから取り外す際のノズル部に対するキャップ3Aの相対的な回転方向でみたときに、下流側に隣接する凸条12よりも上流側に隣接する凸条12の方に寄っており、キャップ外径は30mm以上とすることができる、口栓。」 本件発明1と甲3発明を対比すると、少なくとも次の相違点で相違する。 [相違点9] 本件発明1が「前記ローレットは、複数の鋸状突起と複数の山状突起とで構成され、前記鋸状突起と前記鋸状突起よりも小さい高さを有する前記山状突起とが一つずつ円周方向に沿って交互に並んでおり、前記鋸状突起の頂部は、前記キャップを前記スパウトから取り外す際の前記スパウトに対する前記キャップの相対的な回転方向でみたときに、下流側に隣接する前記山状突起よりも上流側に隣接する前記山状突起の方に寄っており、前記山状突起の稜線は、その頂部と前記天板の中心点とを通る直線を基準としてみたときに、前記直線を対称の軸とする線対称の形状を有し、前記キャップの外径が20~30mmであり、一つの前記山状突起を介して隣り合う前記鋸状突起の頂部同士を結ぶ仮想円弧の長さが、2~10mmであり、前記鋸状突起の頂部の曲率半径が0.1~0.9mmであり、前記山状突起の頂部の曲率半径が1~5mmであり、互いに隣り合う前記鋸状突起と前記山状突起との間の谷底を通る仮想円弧を基準としたときに、前記鋸状突起の高さが0.3~1.5mmであり、前記山状突起の高さが0.1~0.6mmであ」るのに対し、甲3発明は、そのように構成されていない点。 相違点9について検討する。 相違点9に係る本件発明1の構成は、各甲号証に記載されておらず、また出願前において周知技術であるともいえない。 したがって、甲3発明において、相違点9に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 よって、本件発明1は、当業者が甲3に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (イ)本件発明3~9について 本件発明3~9は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記(ア)と同様の理由により、甲3に記載された発明ではなく、また、当業者が甲3に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 エ 上記(1)エについて 上記第4の2(3)アで示したとおり、上記相違点5は実質的なものであり、申立人の主張する新規性欠如について、取消理由があるとすることはできない。 第6 むすび 以上のとおり、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由、及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、請求項1、3~9に係る特許を取り消すことはできない。また、他に請求項1、3~9に係る特許を取り消すべき理由は発見しない。 また、本件特許の請求項2は、本件訂正により削除されたため、請求項2に係る特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-700351

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  • 2025-700457異議申立 / 2025-07-10 / 維持キャップ及びその製造方法
    共通の審決分類: 113・B65D、121・B65D、536・B65D
  • 2024-701009異議申立 / 2025-06-05 / 訂正認容電子部品包装用カバーテープおよび電子部品包装体
    共通の審決分類: 113・B65D、121・B65D、536・B65D

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