特許異議申立
2025-700457
キャップ及びその製造方法
- 審判番号
- 2025-700457
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-160809
- 登録番号
- 7574025
- 請求日
- 2025年04月23日
- 審決日
- 2025年07月10日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】日本山村硝子株式会社
- 【権利者代理人】藤本 英夫
- 【異議申立人】太田 寿子
- 審判長/審判官
- 審判長 八木 誠
- 審判官 葛原 怜士郎
- 審判官 武市 匡紘
- 分類
- P1651.113-Y (B65D) / P1651.121-Y (B65D) / P1651.536-Y (B65D) / P1651.537-Y (B65D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7574025号発明「キャップ及びその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7574025号の請求項1~2に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7574025号(以下「本件特許」という。)の請求項1~2に係る特許についての出願は、令和2年9月25日の出願であって、令和6年10月18日にその特許権の設定登録がされ、令和6年10月28日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和7年4月23日に特許異議申立人太田寿子(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされた。
その後、申立人は令和7年5月20日付け手続補正指令書(方式)に対して、令和7年5月27日提出の手続補正書(方式)により特許異議申立書を補正した。
以下、令和7年5月27日提出の手続補正書(方式)により補正された特許異議申立書を「申立書」という。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~2に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~2に記載された次の事項により特定されるものである。
「【請求項1】
ペットボトルである容器の口部に装着されて使用され、開栓の際に容器口部から離脱するキャップ本体と容器口部から離脱せずにとどまるタンパーエビデンスバンドとを有するキャップであって、
複数種類の植物由来原料を混合した樹脂原料で成形し、
前記キャップの成形に用いる原料に占める前記樹脂原料の配合率を95%以上としてあり、
前記樹脂原料のMFR(190℃、荷重2.16kg(JIS K7210))が2~5g/10分、密度が0.954~0.957g/cm3 、曲げ弾性率が1200~1400MPa、ESCR(耐環境応力き裂性)が2時間以上であることを特徴とするキャップ。
【請求項2】
請求項1に記載のキャップの製造方法であって、
前記原料を用いたインジェクション成形またはコンプレッション成形により、前記キャップを成形するキャップの製造方法。」
第3 申立理由の概要
申立人は、申立書に以下に記載の甲第1号証~甲第5号証(以下甲第1号証等を「甲1」等という。)を提出して、大要、次の申立理由を主張している。
1 申立理由1(新規性)
本件発明1~2は、甲1に記載された発明又は甲2に記載された発明であるから、本件発明1~2は、特許法第29条第1項第3号に該当するものである。
2 申立理由2(進歩性)
本件発明1~2は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の甲1~甲5に記載された事項に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1~2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
3 申立理由3(実施可能要件)
本件特許は、発明の詳細な説明の記載が以下の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(1)「複数種類の植物由来原料を混合した樹脂原料」の配合率が95~99%の条件下で本件発明1に規定されたMFR、密度、曲げ弾性率及びESCRを特定するには膨大な組み合わせの過度な実験が必要であり、出願時の技術常識を参酌しても本件発明1を到底実施することができない。
(2)本件発明の明細書には樹脂温度など具体的な成形条件は何ら開示がなく、どのような樹脂原料をインジェクション成形またはコンプレッション成形すればよいのか不明であり、出願時の技術常識を参酌しても本件発明2を到底実施することはできない。
4 申立理由4(サポート要件)
本件特許は、明細書又は特許請求の範囲の記載が以下の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(1)本件特許の出願時における明細書及び図面には、ポリエチレンである植物由来原料Aと、ポリエチレンである植物由来原料Bとを用いた実施例のみが開示されているに留まるところ、本件発明1はポリエチレンに限らない「複数種類の植物由来原料を混合した樹脂原料」と規定しており、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものである。
(2)本件発明の明細書には、樹脂温度などの具体的な成形条件は何ら開示されていない。
[証拠方法]
甲第1号証:特開2011-231316号公報
甲第2号証:特開2018-167860号公報
甲第3号証:インターネット記事:世界初!飲料用ペットボトルに植物由来原料を100%使用したキャップ(※1)を導入、2019年2月27日公開、https://www.suntory.co.jp/softdrink/news/pr/article/SBF0774.html
甲第4号証:インターネット記事:テトラパックのバイオキャップ、カゴメが国内で初めて採用、2020年1月29日公開、https://www.tetrapak.com/ja-jp/about-tetra-pak/news-and-events/newsarchive/bio-based-cap-launch
甲第5号証:特開2011-136728号公報
第4 当審の判断
1 申立理由1、2(新規性、進歩性)について
(1)甲1に記載された事項、発明
ア 甲1には、次の事項が記載されている。ここで、下線は当審で付与し、・・・は省略を示す。以下同様。
・「【請求項1】
下記の特性(1)~(3)を満たすポリエチレン系重合体を主成分として含むことを特徴とする容器蓋用ポリエチレン系樹脂成形材料。
特性(1):温度190℃・荷重2.16Kgにおけるメルトフローレート(MFR)が0.8g/10分以上5.0g/10分未満で、温度190℃・荷重21.6Kgにおけるハイロードメルトフローレート(HLMFR)が180g/10分以上400g/10分以下であり、且つHLMFR/MFRが80~200である
特性(2):密度が0.955g/cm3以上0.970g/cm3以下である
特性(3):分子量105以上の成分の、13C-NMRスペクトルの測定値から下記式(a)により求めたCSD(コモノマー・シークエンス・ディストリビューション)の値が0.0~3.0である
CSD=4×[EE][CC]/[EC]2 式(a)
(式(a)中、[EE]はエチレン・エチレン連鎖数、[CC]はコモノマー・コモノマー連鎖数、[EC]はエチレン・コモノマー連鎖数を表す。)
・・・
【請求項4】
前記ポリエチレン系重合体は、さらに下記の特性(4)及び(5)を満たすことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の容器蓋用ポリエチレン系樹脂成形材料。
特性(4):曲げ弾性率が900~1500MPaである
特性(5):190℃、せん断速度400sec-1での溶融時粘度が200~500Pa・sである」
・「【技術分野】
【0001】
本発明は、容器蓋用ポリエチレン系樹脂成形材料に関し、より詳しくは、清涼飲料などの液体、特に炭酸飲料の液体を収容する容器の蓋に適したポリエチレン系樹脂成形材料に関するものであり、とりわけ高速成形性、高流動性、剛性、耐衝撃性、耐ストレスクラック性、滑り性、低臭気性、食品安全性、開栓性、閉栓性などにおしなべて優れ、且つ高温時においても長期耐久性が良好な、容器蓋用ポリエチレン系樹脂成形材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチック容器は、各種の物性や成形性及び軽量性や経済性などに優れ、更には環境問題対応の再利用性などに適しているので、最近では、従来の金属製やガラス製などの容器を凌いで、日用品や産業用として汎用されている。プラスチック容器のなかでも、いわゆるPETボトル(ポリエチレンテレフタレート製の容器)は、優れた機械的強度や透明性或いは高いガス遮蔽性や無公害性などにより、飲食品用の容器として認可されてから、清涼飲料などの容器として非常に需要が高くなっている。特に、最近では小型のPETボトルが携帯用の飲料用小型容器として消費者に重用されており、また、PETボトルの耐熱性と耐圧性が改良され、冬季用の携帯高温飲料や長期保存用の高温殺菌処理飲料の容器としても汎用されている。」
・「【課題を解決するための手段】
【0012】
・・・
本発明の容器蓋用ポリエチレン系樹脂成形材料(以下、ポリエチレン系樹脂成形材料ともいう)は、好ましくは特定のポリエチレン系重合体を二種類組み合わせて組成物として用いることにより、清涼飲料用容器などの容器蓋部材用として好適であり、清涼飲料用などの容器本体材料としても使用され得るものである。」
・「【0038】
特性(4)
本発明のポリエチレン系樹脂成形材料は、曲げ弾性率が好ましくは900~1500MPaであり、より好ましくは950~1450MPaである。曲げ弾性率が900MPa未満では剛性が低下し、容器の内圧により容器蓋が変形し易く、特に高温時に変形し易くなる。ここで、曲げ弾性率は、試験片として210℃で射出成形した4×10×80mmの板状体を用い、JIS-K6922-2:1997年に準拠して測定される値である。」
・「【0050】
(5)重合モノマー
・・・
原料エチレンとしては、植物由来のエチレンを用いて重合することもでき、該エチレンを使用したエチレン系重合体としても差し支えない。」
・「【実施例】
【0060】
・・・
【0061】
(1)温度190℃・荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR):JIS-K6922-2:1997年に準拠して測定した。
(2)温度190℃・荷重21.6kgにおけるハイロードメルトフローレート(HLMFR):JIS-K6922-2:1997年に準拠して測定した。
(3)密度:JIS-K6922-1,2:1997年に準じて測定した。
・・・
【0066】
[実施例1]
(触媒の製造)
マグネシウムエトキシド115gとトリn-ブトキシモノクロルチタン151gとn-ブタノール37gとを150℃で6時間混合して均一化した。次に60℃まで下げてn-ヘキサンを加え均一溶液とした。次いで所定温度にてエチルアルミニウムセスキクロライドを457g滴下し1時間攪拌した。生成した沈殿をn-ヘキサンで洗浄することによって触媒成分が210g得られた。得られた固体を乾燥し粉末とした。この粉末中にMgが11.0重量%、Tiが10.5重量%含まれていた。
(重合体の製造)
第一段反応器として内容積200リットルの第一段重合器に、触媒供給ラインから上記(触媒の製造)で得られた固体触媒成分1.5g/hrを、またトリエチルアルミニウムを有機金属化合物供給ラインから40mmol/hrを供給して、重合内容物を所要速度で排出しながら、70℃において重合溶媒(n-ヘキサン)70(l/hr)、水素78(mg/hr)、エチレン13.8(kg/hr)、1-ブテン0.35(kg/hr)の速度で供給し、全圧1.3MPa、平均滞留時間2.4hrの条件下で連続的に第一段共重合を行った。
第一段反応器の重合生成物を一部採取し、重合物を回収して物性を測定した結果を、「高分子量成分(A)」とした。
第一段反応器で生成したスラリー状重合生成物をそのまま内容積400リットルの第二段反応器へ全量、内径50mmの連続管を通して導入し、重合器内容物を所要速度にて排出しながら、82℃にて重合溶媒(n-ヘキサン)100(l/hr)、水素31.9(g/hr)、エチレン43.8(kg/hr)の速度で供給し、全圧1.1MPa、平均滞留時間1.8hrの条件下で連続的に第二段重合を行った。
第二段反応器から排出される重合生成物をフラッシング槽へ導入し、重合生成物を連続的に抜き出し、脱気ラインから未反応ガスを除去した。得られた重合体のスチームストリッピング処理を施した後、ペレタイザーで造粒した後、その物性を評価した。結果を表2に示した。なお、表2において、第二段反応器で生成した「低分子量成分(B)」の物性は、最終製品であるポリエチレン組成物の物性と第一段反応器で得られた成分(A)の物性とから加成則に基づく計算により求めた。
上記の方法で得られた材料は、引張降伏強度が大きく、曲げ弾性率などの機械物性に優れ、耐久性などを必要とする容器蓋の適性に優れていた。
【0067】
[実施例2~7]
表1に示す条件以外は実施例1と同様に行って、エチレン系重合体を得た。上記の方法で重合された「成分(A)」と「成分(B)」を表2に示した割合で配合し、本発明のポリエチレン系樹脂成形材料を製造した。得られた材料の評価結果を表2に示した。得られた材料は、引張降伏強度が大きく、曲げ弾性率などの機械物性に優れ、耐久性などを必要とする容器蓋適性に優れていた。」
・「【0069】
【表1】
[図:0001425816000001.jpg]
【0070】
【表2】
[図:0001425816000002.jpg]
」
イ 甲1から把握される事項
・段落【0001】、【0002】、【0066】を踏まえると、実施例で製造したポリエチレン系樹脂成形材料はPETボトル等のプラスチック容器の容器蓋に用いられるものである。
・段落【0061】、【0070】、【表2】の実施例6に着目すると、実施例6のポリエチレン系樹脂成形材料は、温度190℃・加重2.16kgにおけるMFRが4.2g/10分、密度が0.955g/cm3、曲げ弾性率が850MPa、定ひずみESCRが420時間である。
ウ 甲1発明
上記ア、イより特に実施例6に着目すると、甲1には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。
「第一段反応器として内容積200リットルの第一段重合器に、触媒供給ラインから固体触媒成分1.5g/hrを、またトリエチルアルミニウムを有機金属化合物供給ラインから40mmol/hrを供給して、重合内容物を所要速度で排出しながら、70℃において重合溶媒(n-ヘキサン)70(l/hr)、水素980(mg/hr)、エチレン22.5(kg/hr)、1-ブテン0.82(kg/hr)の速度で供給し、全圧1.3MPa、平均滞留時間2.1hrの条件下で連続的に第一段共重合を行い、
第一段反応器で生成したスラリー状重合生成物をそのまま内容積400リットルの第二段反応器へ全量、内径50mmの連続管を通して導入し、重合器内容物を所要速度にて排出しながら、82℃にて重合溶媒(n-ヘキサン)100(l/hr)、水素31.0(g/hr)、エチレン42(kg/hr)の速度で供給し、全圧1.1MPa、平均滞留時間1.8hrの条件下で連続的に第二段重合を行い、
第二段反応器から排出される重合生成物をフラッシング槽へ導入し、重合生成物を連続的に抜き出し、脱気ラインから未反応ガスを除去し、得られた重合体のスチームストリッピング処理を施した後、ペレタイザーで造粒した後、その物性を評価し、
得られたポリエチレン系樹脂成形材料は、温度190℃・加重2.16kgにおけるMFRが4.2g/10分、密度が0.955g/cm3、曲げ弾性率が850MPa、定ひずみESCRが420時間であり、
PETボトル等のプラスチック容器の容器蓋に用いられるポリエチレ系樹脂成形材料。」
(2)甲2に記載された事項、発明
ア 甲2には、次の事項が記載されている。
・「【請求項1】
注出口部を有する頭部と、前記頭部と連接した胴部とを備えたチューブ容器本体、および
前記チューブ容器本体の注出口部に着脱可能に装着して、注出口部を閉鎖するキャップ、
を備えたチューブ容器において、
少なくとも、前記チューブ容器本体の注出口部およびキャップが、主成分としてポリエチレンを含み、
前記注出口部を構成するポリエチレンが高密度ポリエチレンであり、
前記キャップを構成するポリエチレンは、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、および直鎖状低密度ポリエチレンからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、チューブ容器。
【請求項2】
前記キャップを構成するポリエチレンが、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーを重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含む、請求項1に記載のチューブ容器。」
・「【0020】
上記した高密度ポリエチレンは化石燃料由来のものを使用してもよいが、環境負荷の低減のためカーボンニュートラル材料として知られるバイオマス由来の高密度ポリエチレンを使用してもよい。頭部やキャップはチューブ容器に占める質量割合が大きいため、頭部をバイオマス由来の高密度ポリエチレンを用いて成形することにより、チューブ容器全体として化石燃料の使用量を大幅に削減することができ、環境負荷を減らすことができる。また、チューブ容器本体10の頭部11は、従来の化石燃料から得られる原料から製造された頭部と比べて、機械的特性等の物性面で遜色がないため、従来の頭部を代替することができる。
【0021】
環境負荷低減の観点からは、バイオマス由来のポリエチレンのみを用いることが好ましいと言えるが、製造コスト等を考慮して、化石燃料由来のポリエチレンとバイオマス由来のポリエチレンとをブレンドしたものを用いてもよい。ここで、バイオマス由来のポリエチレンとは、バイオマス由来のエチレンを含むモノマー重合体である。原料であるモノマーとしてバイオマス由来のエチレンを用いているため、重合されてなるポリエチレンはバイオマス由来となる。原料モノマー中のバイオマス由来のエチレンの含有量は、100質量%である必要は無く、例えば、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。原料モノマーには、化石燃料由来のエチレンが含まれていてもよく、ブチレン、ヘキセン、およびオクテン等のα-オレフィンのモノマーが含まれていてもよい。このような場合であっても、得られた重合体をバイオマスポリエチレンと呼ぶ。バイオマス由来のポリエチレンを使用する場合、異なるバイオマス度のポリオレフィンを2種以上含むものであってもよい。また、化石燃料由来のポリエチレンとバイオマス由来のポリエチレンとをブレンドする場合、混合方法は特に限定されず、ドライブレンドやメルトブレンドでもよい。また、両者を混合する場合の化石燃料由来のポリエチレンとバイオマス由来のポリエチレンとの混合割合は、質量比において1:9~9:1が好ましく、より好ましくは2:8~8:2である。
・・・
【0024】
本発明において、好適に使用できるバイオマス由来の高密度ポリエチレンとしては、ブラスケム社製のSHA7260(密度:0.955g/cm3、MFR:20g/10分、バイオマス度94%)、同SHC7260(密度:0.959g/cm3、MFR:7.2g/10分、バイオマス度94%)、同SHD7255LSL(密度:0.954g/cm3、MFR:4.5g/10分、バイオマス度94%)、同SGE7252(密度:0.953g/cm3、MFR:2.2g/10分、バイオマス度96%)等が挙げられる。」
・「【実施例】
【0061】
・・・
【0064】
(3)頭部
筒状胴部をラミネートチューブ容器成形用のマンドレルに装着し、次に筒状胴部の一方の端部に、円錐台形状の肩部とそれに連続する筒状の注出口部からなる頭部を、下記表1に示す組成のポリエチレンを使用し、温度230℃において射出成形法にて成形して、図1に示すようなチューブ容器本体を作製した。表1中の数値は質量部を表す。得られたチューブ容器本体の頭部の注出口部は、外径を13mm、高さを11.5mmとし、注出口部の側面には螺条を設けた。螺条は2mmの間隔で注出口部の側面に3巻き設け、螺条の高さは1.5mmとした。また、肩部の外径は38mmとした。
・・・
【0069】
【表1】
[図:0001425816000003.jpg]
」
・「【図1】
[図:0001425816000004.jpg]
」
イ 甲2から把握される事項
・バイオマス由来の高密度ポリエチレンに関し、段落【0024】には、「好適に使用できるバイオマス由来の高密度ポリエチレンとしては、ブラスケム社製の」「SGE7252(密度:0.953g/cm3、MFR:2.2g/10分、バイオマス度96%)」と記載され、段落【0069】、【表1】には、「ブラスケム社製、高密度ポリエチレン、SHE7252(密度0.953g・cm3、MFR2.2g/10分)」と記載されている。両者は販売会社、密度、MFRが等しいことから、商品名である「SGE7252」か「SHE7252」のいずれか一方が誤記であり、両者は同じ商品を示していると認められる。
・段落【0069】、【表1】の実施例4を踏まえると、実施例4のキャップは、バイオマス由来の高密度ポリエチレンであるバイオHDPE-2(高密度ポリエチレン、密度0.953g/cm3、MFR2.2g/10分)から成形されている。
ウ 甲2発明
上記ア、イより特に実施例4に着目すると、甲2には以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されている。
「チューブ容器に用いられるキャップであって、バイオマス由来の高密度ポリエチレンであるバイオHDPE-2(高密度ポリエチレン、密度0.953g/cm3、MFR2.2g/10分)から成形されているキャップ。」
(3)甲3に記載された事項、発明
ア 甲3には、次の事項が記載されている。
・「世界初!飲料用ペットボトルに植物由来原料を100%使用したキャップ(※1)を導入」
・「サントリー食品インターナショナル(株)(代表取締役社長:小郷 三朗、以下、当社)は、飲料用ペットボトルに植物由来原料を100%使用したキャップ※1を2019年3月から世界で初めて導入します。
※1 主原料であるエチレンを100%植物由来化したポリエチレンキャップ。
ただし、製造ライン切り替え時の微量の石油由来成分及び着色剤成分を除く」
・「今回、当社は、バイオ素材活用での環境への取組みをさらに進化させ、2019年3月より九州熊本工場(熊本県上益城郡)において「サントリー 阿蘇の天然水」(550ml 手売り・自動販売機用)でエチレンを100%植物由来化したポリエチレンキャップの導入を開始します(年間約150万ケース)。これにより、現行ペットボトルキャップに比べて、石油由来原料の使用量を約90%、CO2排出量を約56%削減※3することが可能となります。」
・「
[図:0001425816000005.jpg]
」
イ 甲3から把握できる事項
・図よりキャップは、飲料用ペットボトルの口部に装着されている。
ウ 甲3発明
上記ア、イより甲3には以下の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されている。
「エチレンを100%植物由来化し、飲料用ペットボトルの口部に装着されるキャップ。」
(4)甲1を主引例とした場合
ア 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲1発明を、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
・甲1発明の「PETボトル等のプラスチック容器」は、本件発明1の「ペットボトルである容器」に相当し、以下同様に、
「容器蓋」は「キャップ」に、
「ポリエチレン系樹脂成形材料」は「樹脂原料」にそれぞれ相当する。
・甲1発明の「PETボトル等のプラスチック容器の容器蓋」は、プラスチック容器の口部に装着され使用されることは明らかであるから、本件発明1の「ペットボトルである容器の口部に装着されて使用され」る「キャップ」に相当する。
・甲1発明の「容器蓋」の成形に用いる「ポリエチレン系樹脂組成物」はエチレン、1-ブテン、水素から生成されるポリエチレンであることから、本件発明1の「前記キャップの成形に用いる原料に占める前記樹脂原料の配合率を95%以上とし」たものといえる。
・甲1発明の「ポリエチレン系樹脂組成物」は、「温度190℃・加重2.16kgにおけるMFRが4.2g/10分」であることから、本件発明1の「MFR(190℃、荷重2.16kg(JIS K7210))が2~5g/10分」であることに相当する。同様に、甲1発明の「ポリエチレン系樹脂組成物」の「密度が0.955g/cm3」であることは、本件発明1の「密度が0.954~0.957g/cm3」に相当し、「定ひずみESCRが420時間であ」ることは、「ESCR(耐環境応力き裂性)が2時間以上である」ことに相当する。
以上のことから、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点1]
「ペットボトルである容器の口部に装着されて使用される、キャップであって、
前記キャップの成形に用いる原料に占める前記樹脂原料の配合率を95%以上としてあり、
前記樹脂原料のMFR(190℃、荷重2.16kg(JIS K7210))が2~5g/10分、密度が0.954~0.957g/cm3 、ESCR(耐環境応力き裂性)が2時間以上であるキャップ。」
[相違点1A]キャップに関し、本件発明1は「開栓の際に容器口部から離脱するキャップ本体と容器口部から離脱せずにとどまるタンパーエビデンスバンドとを有する」のに対し、甲1発明はそのような構成を有しているか不明な点。
[相違点1B]樹脂原料に関し、本件発明1は「複数種類の植物由来原料を混合した樹脂原料で成形し」ているのに対し、甲1発明では、複数種類の植物由来原料を混合した樹脂原料を用いているのか不明な点。
[相違点1C]曲げ弾性率に関し、本件発明1は「曲げ弾性率が1200~1400MPa」と特定されているのに対し、甲1発明は「曲げ弾性率が850MPa」である点。
(イ)判断
事案に鑑み相違点1Bについて検討する。
甲1の段落【0012】には、「本発明の容器蓋用ポリエチレン系樹脂成形材料(以下、ポリエチレン系樹脂成形材料ともいう)は、好ましくは特定のポリエチレン系重合体を二種類組み合わせて組成物として用いること」が、段落【0050】には、「原料エチレンとしては、植物由来のエチレンを用いて重合することもでき、該エチレンを使用したエチレン系重合体としても差し支えない。」ことが記載されている。しかしながら、これらの記載は、容器蓋用ポリエチレン系樹脂成形材料について、特定のポリエチレン系重合体を二種類組み合わせて用いること、植物由来のエチレンを用いてエチレン系重合体として用いることが示されているのみであり、相違点1Bのように、複数種類の植物由来原料を混合した樹脂原料を用いることを示唆しているものではない。
また、甲2の段落【0021】には、「バイオマス由来のポリエチレンを使用する場合、異なるバイオマス度のポリオレフィンを2種以上含むものであってもよい。」ことが記載されているが、当該記載は環境負荷低減の観点から、バイオマス由来のポリエチレンを用いることの説明の記載の一部にすぎず、甲2の実施例においても、複数種類のバイオマス由来原料を混合した樹脂原料を用いたものは記載されていない。すると、甲1発明に対し、甲2に記載された事項を適用しても、相違点1Bに係る本件発明1の構成とはならない。
また、申立人が提出した甲3~甲5にも、キャップの成形に用いる樹脂原料として、複数種類の植物由来原料を混合した樹脂原料を用いることは記載も示唆もされていない。
以上より、相違点1Bは実質的な相違点であり、本件発明1は、甲1発明ではない。
そして、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、当業者が甲1発明及び甲2~甲5に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て有するものである。
したがって、上記ア(イ)で判断したように、本件発明2は、当業者が甲1発明及び甲2~甲5に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものでない。
(5)甲2を主引例とした場合
ア 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲2発明を、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
・甲2発明の「キャップ」は、本件発明1の「キャップ」に相当する。
・甲2発明の「キャップ」は、チューブ容器の口部に装着され使用されるものであることは明らかであるから、甲2発明の「キャップ」と、本件発明1の「ペットボトルである容器の口部に装着されて使用され」る「キャップ」とは、「容器の口部に装着されて使用され」る「キャップ」の限りで一致する。
・甲2発明の「キャップ」は、「バイオマス由来の高密度ポリエチレンであるバイオHDPE-2(高密度ポリエチレン、密度0.953g/cm3、MFR2.2g/10分)から成形されている」ことから、甲2発明の「キャップ」と、本件発明1の「複数種類の植物由来原料を混合した樹脂原料で成形」された「キャップ」とは、「植物由来原料を混合した樹脂原料で成形」された「キャップ」の限りで一致する。また、甲2発明の「キャップ」は「バイオマス由来の高密度ポリエチレンであるバイオHDPE-2(高密度ポリエチレン、密度0.953g/cm3、MFR2.2g/10分)から成形されている」ことから、本件発明2の「成形に用いる原料に占める前記樹脂原料の配合率を95%以上」であるといえる。
・甲2発明の「キャップ」は「MFR2.2g/10分」であることから、甲2発明の「高密度ポリエチレン」と、本件発明2の「MFR(190℃、荷重2.16kg(JIS K7210))が2~5g/10分」である「樹脂原料」とは、「MFRが2~5g/10分」である「樹脂原料」の限りで一致する。
以上のことから、本件発明1と甲2発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点2]
「容器の口部に装着されて使用されるキャップであって、
植物由来原料を混合した樹脂原料で成形し、
前記キャップの成形に用いる原料に占める前記樹脂原料の配合率を95%以上としてあ り、
前記樹脂原料のMFRが2~5g/10分であるキャップ。」
[相違点2A]キャップに関し、本件発明1は「ペットボトルである容器の口部に装着されて使用され、開栓の際に容器口部から離脱するキャップ本体と容器口部から離脱せずにとどまるタンパーエビデンスバンドとを有する」のに対し、甲2発明はチューブ容器に用いられるキャップである点。
[相違点2B]樹脂原料に関し、本件発明1は「複数種類の植物由来原料を混合した樹脂原料で成形し」ているのに対し、甲2発明で用いる原料は1種類の原料から成形されている点。
[相違点2C]樹脂原料の特性に関し、本件発明1は「MFR(190℃、荷重2.16kg(JIS K7210))が2~5g/10分、、密度が0.954~0.957g/cm3、曲げ弾性率が1200~1400MPa、ESCR(耐環境応力き裂性)が2時間以上である」と特定されているのに対し、甲2発明は「密度が0.953g/cm3、MFR2.2g/10分」であり、曲げ弾性率及びESCR(耐環境応力き裂性)の値が不明な点。
(イ)判断
事案に鑑み相違点2Bについて検討する。
上記(4)ア(イ)で検討したのと同様、甲2発明において、複数種類の植物由来原料を混合した樹脂材料でキャップを成形するようにすることは、当業者が容易になし得たことではない。
したがって、相違点2Bは実質的な相違点であり、本件発明1は、甲2発明ではない。
仮に、相違点2Bが実質的な相違点でないとしても、甲2発明の「チューブ容器に用いられるキャップ」を相違点2Aのようにペットボトルである容器の口部に用いられるキャップとした上で、さらに、相違点2Cのように密度や曲げ弾性率、ESCRとして特定の値となるようにすることは、甲1、甲3~甲5に記載された事項に基づいて当業者が容易になし得たことではない。
イ 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て有するものである。
したがって、上記ア(イ)で判断したように、本件発明2は、当業者が甲2発明及び甲1、甲3~甲5に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものでない。
(6)甲3を主引例とした場合
ア 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲3発明を、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
・甲3発明の「キャップ」は、本件発明1の「キャップ」に相当する。
・甲3発明の「飲料用ペットボトルの口部に装着されるキャップ」は、口部に装着された状態で使用されることは明らかであるから、本件発明1の「ペットボトルである容器の口部に装着されて使用され」る「キャップ」に相当する。
・甲3発明は「エチレンを100%植物由来化」したものを用いていることから、甲3発明の「エチレン」と、本件発明1の「複数種類の植物由来原料を混合した樹脂原料」とは、「植物由来原料の樹脂原料」の限りで一致する。また、甲3発明の「キャップ」は「エチレンを100%植物由来化し」たものであるから、本件発明1の「成形に用いる原料に占める前記樹脂原料の配合率を95%以上」であるといえる。
以上のことから、本件発明1と甲3発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点3]
「ペットボトルである容器の口部に装着されて使用されるキャップであって、
植物由来原料の樹脂原料で成形し、
前記キャップの成形に用いる原料に占める前記樹脂原料の配合率を95%以上であるキャップ。」
[相違点3A]キャップに関し、本件発明1は「開栓の際に容器口部から離脱するキャップ本体と容器口部から離脱せずにとどまるタンパーエビデンスバンドとを有する」のに対し、甲3発明はどのような構成であるのか不明な点。
[相違点3B]樹脂原料に関し、本件発明1は「複数種類の植物由来原料を混合した樹脂原料で成形し」ているのに対し、甲3発明で用いる原料は1種類の原料から成形されている点。
[相違点3C]樹脂原料の特性に関し、本件発明1は「MFR(190℃、荷重2.16kg(JIS K7210))が2~5g/10分、密度が0.954~0.957g/cm3、曲げ弾性率が1200~1400MPa、ESCR(耐環境応力き裂性)が2時間以上である」と特定されているのに対し、甲3発明はどのような特性を有するのか不明な点。
(イ)判断
事案に鑑み相違点3Bについて検討する。
上記(4)ア(イ)で検討したのと同様、甲3発明において、複数種類の植物由来原料を混合した樹脂材料でキャップを成形するようにすることは、当業者が容易になし得たことではない。
そして、申立人が提出した甲1、甲2、甲4、甲5にも、キャップの成形に用いる樹脂原料として、複数種類の植物由来原料を混合した樹脂原料を用いることは記載も示唆もされていない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、当業者が甲3発明及び甲1、甲2、甲4、甲5に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものでない。
イ 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て有するものである。
したがって、上記ア(イ)で判断したように、本件発明2は、当業者が甲3発明及び甲1、甲2、甲4、甲5に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものでない。
2 申立理由3(実施可能要件)について
(1)物の発明について実施可能要件を満たすためには、明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が、その記載及び出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、当該発明に係る物を作り、使用をすることができる程度のものでなければならない。以下検討する。
(2)発明の詳細な説明の段落【0025】には、「密度が0.952g/cm3、MFR(190℃、荷重2.16kg(JIS K7210))が1.6g/10分、曲げ弾性率が1175±5MPa、ESCR(耐環境応力き裂性)が15時間のポリエチレンである植物由来原料Aと、密度が0.959g/cm3、MFR(190℃、荷重2.16kg(JIS K7210))が7.2g/10分、曲げ弾性率が1431±22MPa、ESCR(耐環境応力き裂性)が3時間のポリエチレンである植物由来原料B」とが記載されている。また、段落【0030】には、「もちろん、キャップ1の成形につき、上記樹脂原料のみを用いず、上記樹脂原料以外の原料を混合するようにしてもよいが、環境保全等の観点から、キャップ1の成形に用いる原料に占める上記樹脂原料の配合率を95%以上とするのが好ましく、98%以上とするのがより好ましい(着色成分を除く)。」と記載されている。
(3)上記(2)より、発明の詳細な説明には、植物由来原料A、Bとして好ましい密度、MFR、曲げ弾性率、ESCR(耐環境応力き裂性)の値の組み合わせが少なくとも2種類記載されている。また、キャップに樹脂原料以外の原料を混合すること、樹脂原料の配合率を95%以上とすることも記載されている。
そして、密度、MFR、曲げ弾性率、ESCR(耐環境応力き裂性)の値はいずれも樹脂原料として一般的な物性値であり、このような物性値を有する樹脂原料を製造すること、あるいは市販の樹脂原料の中から選択することは、当業者であれば通常行う事項である。
ゆえに、本件発明1を実施するために、当業者が過度の試行錯誤を要するものであるとはいえない。
(4)本件発明2で特定される「インジェクション成形またはコンプレッション成形」について、これらはいずれも当業者に広く知られた成形方法であり、樹脂原料の種類や成形品に応じて成形条件を適宜設定することは、当業者が通常行う事項である。
ゆえに、本件発明2を実施するために、当業者が過度の試行錯誤を要するものであるとはいえない。
(5)以上より、発明の詳細な説明の記載は実施可能要件を満たすものである。
3 申立理由4(サポート要件)について
(1)特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。以下検討する。
(2)本件発明の解決しようとする課題は、「植物由来原料の配合率を高めながら所望の性状を持たせるのを容易とするキャップ及びその製造方法を提供すること」と認められる(段落【0006】)。
(3)上記(2)における課題を解決するための手段として、「前記樹脂原料のMFR(190℃、荷重2.16kg(JIS K7210))が2~5g/10分、密度が0.954~0.957g/cm3 、曲げ弾性率が1200~1400MPa、ESCR(耐環境応力き裂性)が2時間以上である」樹脂原料を用いることと認められる(段落【0007】)。
(4)すると、本件発明1は、上記(3)の課題を解決するための手段を有していることから、本件発明の課題を解決することができるものであり、発明の詳細な説明に記載された事項の範囲内であるといえる。
(5)また、発明の詳細な説明の段落【0020】には、「そして、キャップ1は、例えばインジェクション成形またはコンプレッション成形により成形されるのであり、本例では、複数種類の植物由来原料を混合した樹脂原料でキャップ1を成形する。」と記載されており、本件発明2の「前記原料を用いたインジェクション成形またはコンプレッション成形により、前記キャップを成形する」との事項は発明の詳細な説明に記載された事項である。
そして、上記2(4)と同様、「インジェクション成形またはコンプレッション成形」は、いずれも当業者に広く知られた成形方法であり、樹脂原料の種類や成形品に応じて成形条件を適宜設定することは、当業者が通常行う事項にすぎない。
(6)以上のとおり、本件発明1~2は、発明の詳細な説明に記載された範囲内であり、上記第3の4(1)、(2)に示す申立人の主張は採用できない。
(7)よって、本件発明1~2は、発明の詳細な説明に記載された事項の範囲内である。
第5 むすび
以上のとおり、申立人が提出した特許異議の申立理由1~4及び証拠によっては、請求項1~2に係る特許を取り消すことはできない。また、他に請求項1~2に係る特許を取り消すべき理由は発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700457