特許異議申立
2021-700140
鋳型製造用硬化剤の供給装置
- 審判番号
- 2021-700140
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-113404
- 登録番号
- 6744136
- 請求日
- 2021年02月08日
- 審決日
- 2022年06月22日
- 公報発行日
- 2022年09月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】花王株式会社
- 【権利者代理人】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
- 【異議申立人】石田 祥子
- 審判長/審判官
- 審判長 見目 省二
- 審判官 河端 賢
- 審判官 田々井 正吾
- 分類
- P1651.113-YAA(B22C) / P1651.121-YAA(B22C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第7項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6744136号発明「鋳型製造用硬化剤の供給装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6744136号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-2〕、〔3-4〕について訂正することを認める。
特許第6744136号の請求項1-4に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6744136号の請求項1-4に係る特許についての出願は、平成28年6月7日に出願され、令和2年8月3日にその特許権の設定登録がされ、同年8月19日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1-4に係る特許に対して、特許異議の申立て(以下、「本件特許異議申立て」という。)があり、次のとおりに手続が行われた。
令和3年 2月 8日 :特許異議申立人石田祥子(以下、「申立人」という。)による請求項1-4に係る特許に対する本件特許異議の申立て
令和3年 6月 3日付け:当審より申立人に対する審尋
令和3年 7月21日 :申立人による回答書の提出
令和3年10月28日付け:取消理由通知
令和3年12月22日 :特許権者花王株式会社(以下、単に「特許権者」という。)による訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)と意見書の提出
令和4年 1月20日付け:申立人に対し訂正請求があった旨の通知
令和4年 2月22日 :申立人による意見書の提出
第2 訂正の適否
本件訂正請求における特許請求の範囲の訂正事項は、以下のとおりである。
1 一群の請求項1-2に係る訂正
(1)訂正事項
ア 訂正事項1
(a)訂正前の請求項1の「前記硬化剤を混練機に供給する硬化剤供給手段」を、訂正後の請求項1の「前記硬化剤を混練機及び硬化剤量測定手段に供給する硬化剤供給手段」に、(b)訂正前の請求項1の「前記設定供給量QA及び前記制御条件CA1に基づいて前記硬化剤供給手段で供給される前記硬化剤の量を示す測定結果RAを取得する硬化剤量測定手段」を、訂正後の請求項1の「前記設定供給量QA及び前記制御条件CA1に基づいて前記硬化剤供給手段で前記混練機に供給されずに前記硬化剤測定手段に供給される前記硬化剤の量を示す測定結果RAを取得する前記硬化剤量測定手段」に、それぞれ訂正する。(訂正後の請求項1を引用する請求項2も同時に訂正する。)
イ 訂正事項2
(a)訂正前の請求項2の「前記硬化剤供給手段で前記硬化剤を前記硬化剤量測定手段に供給する供給ステップSA1」を、訂正後の請求項2の「前記硬化剤供給手段で前記硬化剤を前記混練機に供給せずに前記硬化剤量測定手段に供給する供給ステップSA1」に、(b)訂正前の請求項2の「前記制御条件CA2に基づいて前記硬化剤供給手段で前記硬化剤を混練機に供給する供給ステップSA2」を、訂正後の請求項2の「前記制御条件CA2に基づいて前記硬化剤供給手段で前記硬化剤を前記硬化剤量測定手段に供給せずに前記混練機に供給する供給ステップSA2」に、それぞれ訂正する。
なお、訂正前の請求項1-2について、訂正前の請求項2は、訂正前の請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1-2に対応する訂正後の請求項1-2は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、本件訂正請求の訂正事項1-2は、この一群の請求項について請求されたものである。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1
訂正事項1(上記(1)ア)について、(a)は硬化剤供給手段に関する事項を、(b)は硬化剤量測定手段に関する事項を、それぞれ減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするもので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
そして、訂正事項1は、本件明細書の段落【0020】、【0024】、【0034】、及び図1等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
イ 訂正事項2
訂正事項2(上記(1)イ)について、(a)は供給ステップSA1に関する事項を、(b)は供給ステップSA2に関する事項を、それぞれ減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするもので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
そして、訂正事項2は、本件明細書の段落【0020】、【0024】、【0033】、【0034】、【0037】、図1、及び図2等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
2 一群の請求項3-4に係る訂正
(1)訂正事項
ア 訂正事項3
(a)訂正前の請求項3の「前記硬化剤を混練機に供給する硬化剤供給手段」を、訂正後の請求項3の「前記硬化剤を混練機及び硬化剤量測定手段に供給する硬化剤供給手段」に、(b)訂正前の請求項3の「前記設定供給量QA及び前記制御条件CA1に基づいて前記硬化剤供給手段で供給される前記硬化剤の量を示す測定結果RAを取得する硬化剤量測定手段」を、訂正後の請求項3の「前記設定供給量QA及び前記制御条件CA1に基づいて前記硬化剤供給手段で前記混練機に供給されずに前記硬化剤測定手段に供給される前記硬化剤の量を示す測定結果RAを取得する前記硬化剤量測定手段」に、それぞれ訂正する。(訂正後の請求項3を引用する請求項4も同時に訂正する。)
イ 訂正事項4
(a)訂正前の請求項4の「前記硬化剤供給手段で前記硬化剤を前記硬化剤量測定手段に供給する供給ステップSA1」を、訂正後の請求項4の「前記硬化剤供給手段で前記硬化剤を前記混練機に供給せずに前記硬化剤量測定手段に供給する供給ステップSA1」に、(b)訂正前の請求項4の「前記制御条件CA2に基づいて前記硬化剤供給手段で前記硬化剤を混練機に供給する供給ステップSA2」を、訂正後の請求項4の「前記制御条件CA2に基づいて前記硬化剤供給手段で前記硬化剤を前記硬化剤量測定手段に供給せずに前記混練機に供給する供給ステップSA2」に、それぞれ訂正する。
なお、訂正前の請求項3-4について、訂正前の請求項4は、訂正前の請求項3を引用しているものであって、訂正事項3によって訂正される請求項3に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項3-4に対応する訂正後の請求項3-4は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、本件訂正請求の訂正事項3-4は、この一群の請求項について請求されたものである。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項3
訂正事項3(上記(1)ア)について、(a)は硬化剤供給手段に関する事項を、(b)は硬化剤量測定手段に関する事項を、それぞれ減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするもので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
そして、訂正事項3は、本件明細書の段落【0020】、【0024】、【0034】、【0040】、及び図3等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
イ 訂正事項4
訂正事項4(上記(1)イ)について、(a)は供給ステップSA1に関する事項を、(b)は供給ステップSA2に関する事項を、それぞれ減縮するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするもので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
そして、訂正事項4は、本件明細書の段落【0020】、【0024】、【0040】、【0051】、【0052】、【0058】、図3、及び図4等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
なお、本件の特許異議は、全ての請求項に対して申立てられているから、本件訂正請求の訂正事項において、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
3 小括
したがって、上記の訂正事項1-4は、いずれも特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-2〕、〔3-4〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
上記第2のとおり、本件訂正請求は認容されたから、訂正後の請求項1-4に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1-4に記載した以下の事項により特定されるとおりのものである。(以下、各請求項に係る発明を「本件発明1」などといい、各請求項に係る発明をまとめて「本件発明」という。)
【請求項1】
耐火性粒子、粘結剤、及び硬化剤を用いる鋳型の製造に用いられる硬化剤供給装置であって、
前記硬化剤を混練機及び硬化剤量測定手段に供給する硬化剤供給手段と、
前記硬化剤の設定供給量QAを入力する設定供給量入力手段と、
前記設定供給量QAに対応した前記硬化剤供給手段の制御条件CA1が予め記憶された制御条件記憶手段Aと、
前記設定供給量QA及び前記制御条件CA1に基づいて前記硬化剤供給手段で前記混練機に供給されずに前記硬化剤測定手段に供給される前記硬化剤の量を示す測定結果RAを取得する前記硬化剤量測定手段と、
前記設定供給量QA、前記制御条件CA1、及び前記測定結果RAに基づいて前記硬化剤供給手段の新たな制御条件CA2を取得する制御条件取得手段Aと、
を有する、硬化剤供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の硬化剤供給装置を用いた鋳型の製造方法であって、
前記設定供給量入力手段に前記設定供給量QAを入力する設定供給量QA入力ステップと、
前記設定供給量QA入力ステップで入力された前記設定供給量QA、及び前記制御条件記憶手段Aに予め記憶された前記制御条件CA1に基づいて、前記硬化剤供給手段で前記硬化剤を前記混練機に供給せずに前記硬化剤量測定手段に供給する供給ステップSA1と、
前記供給ステップSA1で供給された硬化剤の量を前記硬化剤量測定手段で測定して前記測定結果RAを取得する測定ステップMAと、
前記設定供給量QA、前記制御条件CA1、及び前記測定結果RAに基づいて、前記硬化剤供給手段の新たな制御条件CA2を前記制御条件取得手段Aで取得する制御条件取得ステップGAと、
前記制御条件CA2に基づいて前記硬化剤供給手段で前記硬化剤を前記硬化剤量測定手段に供給せずに前記混練機に供給する供給ステップSA2と、
を有する鋳型の製造方法。
【請求項3】
耐火性粒子、粘結剤、及び硬化剤を用いる鋳型の製造に用いられる硬化剤及び粘結剤の供給装置であって、
前記硬化剤を混練機及び硬化剤量測定手段に供給する硬化剤供給手段と、
前記硬化剤の設定供給量QAを入力する設定供給量入力手段と、
前記設定供給量QAに対応した前記硬化剤供給手段の制御条件CA1が予め記憶された制御条件記憶手段Aと、
前記設定供給量QA、及び前記制御条件CA1に基づいて前記硬化剤供給手段で前記混練機に供給されずに前記硬化剤測定手段に供給される前記硬化剤の量を示す測定結果RAを取得する前記硬化剤量測定手段と、
前記設定供給量QA、前記制御条件CA1、及び前記測定結果RAに基づいて前記硬化剤供給手段の新たな制御条件CA2を取得する制御条件取得手段Aと、
前記粘結剤を混練機に供給する粘結剤供給手段と、
前記設定供給量QAで示される硬化剤の量に対応する粘結剤の量QBを供給する前記粘結剤供給手段の制御条件CB1が予め記憶された制御条件記憶手段Bと、
前記設定供給量QA及び前記制御条件CB1に基づいて前記粘結剤供給手段で供給される前記粘結剤の量を示す測定結果RBを取得する粘結剤量測定手段と、
前記設定供給量QAに対応する粘結剤の量QB、前記制御条件CB1、及び前記測定結果RBに基づいて、前記粘結剤供給手段の新たな制御条件CB2を取得する制御条件取得手段Bと、を有する硬化剤及び粘結剤の供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載の硬化剤及び粘結剤の供給装置を用いた鋳型の製造方法であって、
前記設定供給量入力手段に前記設定供給量QAを入力する設定供給量QA入力ステップと、
前記設定供給量QA入力ステップで入力された前記設定供給量QA、及び前記制御条件記憶手段Aに予め記憶された前記制御条件CA1に基づいて、前記硬化剤供給手段で前記硬化剤を前記混練機に供給せずに前記硬化剤量測定手段に供給する供給ステップSA1と、
前記供給ステップSA1で供給された硬化剤の量を前記硬化剤量測定手段で測定して前記測定結果RAを取得する測定ステップMAと、
前記設定供給量QA、前記制御条件CA1、及び前記測定結果RAに基づいて、前記硬化剤供給手段の新たな制御条件CA2を前記制御条件取得手段Aで取得する制御条件取得ステップGAと、
前記制御条件CA2に基づいて前記硬化剤供給手段で前記硬化剤を前記硬化剤量測定手段に供給せずに前記混練機に供給する供給ステップSA2と、
前記設定供給量QA、及び前記制御条件CB1に基づいて、前記粘結剤供給手段で前記粘結剤を前記粘結剤量測定手段に供給する供給ステップSB1と、
前記供給ステップSB1で供給された粘結剤の量を前記粘結剤量測定手段で測定して前記測定結果RBを取得する測定ステップMBと、
前記設定供給量QAに対応する粘結剤の量、前記測定結果RB、及び前記制御条件CB1に基づいて、前記粘結剤供給手段の新たな制御条件CB2を取得する制御条件取得ステップGBと、
前記制御条件CB2に基づいて前記粘結剤供給手段で前記粘結剤を混練機に供給する供給ステップSB2と、
を有する鋳型の製造方法。
第4 当審が令和3年10月28日付け取消理由通知書で通知した取消理由
1 当審が通知した取消理由の概要は以下のとおりである。
訂正前の請求項1-4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である甲第1号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1-4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
2 甲第1号証の記載事項
甲第1号証:特公平2-142号公報
甲第1号証(以下、「甲1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は、当審で付した。以下同じ。)
(1)発明の詳細な説明
ア 「本発明は、新規且つ改良された鋳型製造装置に関し、特に本発明は従来の生砂造型で一般に用いられている従来の天然材料のバインダー(結合剤)ではなく、触媒即ち硬化剤の作用により硬化させることのできる可塑性樹脂材料のバインダーを用いるノーベーク(no-bake)式として知られる新規な方法を利用する鋳型製造装置に関するものである。」(第3欄第30-37行)
イ 「今日、最も一般に用いられている鋳型材料はケイ砂で、このケイ砂粒子は各種の結合剤で所定鋳型強度になるように結合される。金属鋳物の成形に最も広く用いられている生砂造型法では、結合剤が粘土(クレー)と、水と、ベントナイトによつて構成され、シリカ砂とバインダーはその両者が均一な鋳型形成用混合物になるまで各種の装置で処理される。次いで、この混合物をパターン上に散布して堆積させ、このパターンを取除いてキヤビテイーを作ることにより鋳型キヤビテイーが形成される。」(第4欄第3-13行)
ウ 「本発明の他の目的は砂と未硬化樹脂バインダーとを混合する第1部分と触媒をこの砂-未硬化バインダーと混合する第2部分とを含む鋳型材料用の新規且つ改良された連続混合器を提供することにある。」(第7欄第15-19行)
エ 「次に第2,2A,2B,2C図を参照すると、分配ヘツド12には一般に円筒状の上方区画室を備えた混合室22を含み、この混合室22は円錐台形の上端部24とパターン18上に鋳型材料を分配するための放出出口28を構成する下方開口端を有する拡大下方区画室26とを有している。この混合ヘツドには複数の軸受32によつて支持された垂直ローターシヤフト30が設けられており、このシヤフト30は混合ヘツド上端のVベルト34を介して電気モーター36によつて駆動される。
鋳型材料であるケイ砂は第2図に示すように分配器の円錐台形上端部24の入口開口40と連通したホツパー部分38内に供給される。この砂は無端ベルトコンベヤ42によつて供給される。このベルトコンベヤはVベルト46を介して電気モーター44によつて駆動される。このモーターは混合ヘツドへの砂の流速が選択的に制御、変更できるような電気的速度制御装置を備えた型式のものである。また、分配ヘツド上のモーター36は、混合ヘツド内のローターシヤフト30の速度が選択的に制御され且つ必要に応じて変化できるとともにコンベヤベルト42によつて混合室内に供給されるケイ砂の流速すなわち流量と一致できるような電気式速度制御装置を含んだ型式のものである。
混合室22の中間レベルにおいて、ローターシヤフト30には、複数の高さにおいて長さの異る複数の放射状混合エレメント48(第2A図)が設けられており、これらの混合エレメントは混合室内における砂の流下落度を遅らせて砂が可塑性樹脂バインダーと混合される時間の間砂を保持するようになつている。フルフリルアルコールのような未硬化の可塑性樹脂バインダーは1つまたは複数の樹脂噴射ノズル50から混合室の上側レベル内に導入される。これらのノズルは樹脂を小さな液滴にして噴射して混合エレメント48によつて旋回しながら混合室内を下方に流れる砂と均一に混合する。樹脂と砂が完全に混合された後、混合物は下方区画室26内へと流入し、そこで樹脂を硬化するための触媒即ち硬化剤が導入される。触媒は下方区画室26のすぐ上のレベルに設けられた1つまたは複数の噴射ノズル54から導入される。触媒が樹脂と砂の混合物と混合されると樹脂が硬化を開始するので迅速且つ均一な混合が望ましい。そのため、下方区画室26の触媒噴射ノズル54のすぐ下のローターシヤフトにはフアン状の混合エレメント56が取付けられている。このフアン状混合エレメント56にはローターシヤフト30上のカラーにヒンジ結合された複数の互いに隔てられたインペラーが含まれる。これらのインペラーは砂と樹脂の混合物を混合室の下方区画室26の壁面へ向つて外向きに投げ飛ばし砂-樹脂混合物内の触媒を完全に拡散させるヘラの役目をする。混合物の下降運動はインペラーの傾斜面によつて加速され、触媒が加えられた樹脂と砂との完全混合物が下向きの流れとなつて下方の鋳型枠14内の鋳型パターン18の表面上に放出される。」(第9欄第34行-第11欄第4行)
オ 「鋳型材料であるケイ砂はホツパー92からコンベヤベルト42上に供給される。すなわち砂はホツパーの下側出口からその下のベルト上に直接放出される。ホツパー92はキヤリツジ62と一緒に動く直立部材94に支持されている。液体樹脂は容積型樹脂ポンプ98の出力側に結合された可撓性樹脂供給ライン96(第3図)を介して樹脂入口ノズル50の1つに供給される。樹脂はタンク用供給ライン102を介して樹脂貯蔵タンク100からポンプへと供給される。また、触媒は可変容積型触媒ポンプ106の出力側に結合されている可撓性触媒供給ライン104を介して触媒噴射ノズル54の1つへ供給される。触媒ポンプへは第3図に示す供給ライン110を介して貯蔵器108から触媒が送られる。樹脂用および触媒用貯蔵タンクはキヤリツジ62と一緒に移動するように取付けても、装置の近くの静止位置に設置してもよい。樹脂用および触媒用供給ライン96,102,104,110は全て混合ヘツド12と相対運動できるように可撓性のラインである。」(第12欄第41行-第13欄第16行)
カ 「本発明では、鋳型形成用パターン18に対する混合ヘツド12の相対運動は、米国特許第3069608号に記載されている型式の数値制御装置によつて制御される。この数値制御装置は樹脂ポンプ98と触媒ポンプ108の制御および鋳型枠14内に鋳型材料を層状に散布するため混合室22を通る鋳型材料の流れの制御と整合されている。特に、この自動制御システムには第8図に示すようなパンチテープ等の適当な制御媒体から生ずる一連の情報ブロツクを読み取るテープリーダー112(第7図)を含んでいる。このテープリーダー112の出力は緩衝記憶レジスター114へ送られ、次の情報ブロツクがテープ113から読み出されると、緩衝レジスター114に記憶れていた情報が送り出されてアクテイブ貯蔵レジスター116内に貯蔵される。一般に、前記の数値制御システムには、テープリーダー、パンチテープおよび種々のレジスターが含まれている。
テープ113上の各情報ブロツクにはX、Y、Z軸における所望の移動量に対応する一連の数値表示と、各軸線における所望の移動方向に対応する数値表示が含まれる。さらに、各情報ブロツクには混合ヘツドが所定距離を移動する時間の間に混合室へ流入する樹脂の所望の体積又は流れに対応する数値表示と、混合室22への触媒の所望の流れ又は体積に対応する数値表示とが含まれる。」(第13欄第17-42行)
キ 「X、Y、Z軸情報に続いて、第8図にサブブロツク136として示した一連の情報横列がテープ113上に設けられている。このサブブロツク136の情報の第1列は、X、Y、Z軸情報で与えられる移動時間中の樹脂流の所望体積に関する一連の列であり、サブブロツク136におけるこの一連の列は以下で詳細に説明するように樹脂流を制御するのに用いられる所望の数値指令信号または設定位置信号を構成している。この樹脂流ブロツク136の直ぐ後ろでテープ113上に横列の第2ブロツク138が設けられ、これは触媒流量に関する情報ブロツクで、このブロツクの最後の3列が所望触媒流に対応する数値指令または設定位置値を与える。」(第15欄第28-41行)
ク 「樹脂流および触媒流などに関するテープ113上の数値情報を混合室22の操作制御に用いる場合、この数値情報は分配ヘツド12への情報および触媒の流れを制御し且つ計量板52を調節する通常のプロセス制御系と同様な制御系へ送られる。特に、アクテイブ貯蔵レジスター116内に貯蔵された数値情報は多重チヤンネル式デジタル-アナログ変換器144へと送られる。変換器144の各チヤンネルにはテープ113上の1つのサブブロツク内の数値情報に対応する適当な制御信号または設定信号が与えられる。すなわち、この変換器144の出力接続器146に樹脂容積制御アナログ信号が生じ、その出力接続器148には有機触媒流制御用アナログ信号が生じ、出力接続器150にはアナログ速度信号が送られる。」(第16欄第28-42行)
ケ 「乗算器160の出力162は分割モジユール164へ1つの入力として供給される。この分割モジユールの他の入力はライン146上のデジタル-アナログ変換器144から来る有機樹脂設定位置信号として供給される。テープ113上のサブブロツク136のコード化された樹脂容積数は鋳型枠14内の特定位置における鋳型の強度を特定なものにするために砂に加える樹脂の所望割合を示す分数の形をしている。この場合、樹脂容積数すなわちテープ113のサブブロツク136は一連の情報ブロツクとともに変化して、ノズル50からの樹脂流を鋳型枠内の各位置で変え、それによつて鋳型内の所定位置における砂-バインダー比を異ならせることができることは理解できよう。
分割モジユール164の出力接続器166に生じるアナログ出力信号は接続器146に生じる樹脂設定位置信号に比例している。例えば、接続器162上に生じる砂容積信号が5ボルトで、2%の有機樹脂を混合室12に加えなければならない場合には、接続器166の分割モジユール164の出力信号は0.10ボルトになる。この0.10ボルトの信号は樹脂流制御器168へ送られる。この制御器の出力は容積可変型樹脂ポンプ98の運転条件を制御する。樹脂流制御器168へのフイードバツク情報を出すため、ポンプ98の出力ラインに樹脂流量計170を設け、それから出る電気的フイードバツク信号はライン172を通つて樹脂流制御器168へと送られる。従つて、単位時間当りポンプ98によつて送られる樹脂の容積はテープ113上の樹脂容積数に応じて変化する。この場合、テープ上の樹脂と触媒の数値は砂容積の%ではなく単位時間当りの砂重量の%で表わされるということは理解できよう。
触媒の必要量は各瞬間に於いて用いられる樹脂量によつて決まるので、樹脂流制御器168に送られる制御信号に従つて触媒流を制御する必要がある。このため、分割モジユール164の出力信号が分割モジユール174の1つの入力として加えられる。このモジユール174の他方の入力には変換器144からの触媒設定位置信号または制御信号が加えられる。例えば、樹脂流の30%に等しいき容積の触媒流が望ましい時には、分割モジユール174の出力が出力接続器176上に0.033ボルトの信号を与えるようにする(前記の例のように、分割器164からの出力信号は0.10ボルトと仮定する)。
分割モジユール174の出力は触媒ポンプ106を制御する有機触媒流制御器178へ送られる。ポンプ106の出力ラインに設けられた触媒流量計180から出されるフイードバツク信号はライン182を介して触媒流制御器178の別の入力へと送られる。従つて、ポンプ106は樹脂流の容積の30%の流れに調節されて、この量の触媒が可撓管104を介して触媒ノズル54へと送られる。」(第17欄第24行-第18欄第35行)、
(2)図面
ア 第1図
「
[図:0001388344000001.jpg]
」
イ 第2図
「
[図:0001388344000002.jpg]
」
ウ 第3図
「
[図:0001388344000003.jpg]
」
エ 第7図(第7A-B図)
「
[図:0001388344000004.jpg]
」
オ 第8図
「
[図:0001388344000005.jpg]
」
(3)上記(1)-(2)より、甲1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
ア 引用文献1記載の鋳型製造装置は、生砂造形法で砂、バインダー(結合剤)、及び触媒(硬化剤)を用いる鋳型の製造方法で使用されるもの(上記(1)ア、イ)であり、触媒は触媒ポンプ106の出力側に結合されている触媒供給ライン104を介して触媒噴射ノズル54に供給されて、混合室22に噴射されて導入され(上記(1)エ、第2図)、また、触媒流量計180は触媒ポンプ106の出力ラインに設けられている(上記(1)ケ、第3図)から、触媒は、触媒ポンプ106により送られて混合室22及び触媒流量計180に導入されることが認められる。
イ テープ113上の各情報ブロツクには混合室22への触媒の所望の流れ又は体積に対応する数値表示とが含まれ(上記(1)カ-キ、第8図)、テープリーダー112は上記テープ113の一連の情報ブロツクを読み取り、緩衝レジスター114、アクテイブ貯蔵レジスター116とデジタル-アナログ変換器144を経由して、分割モジュール174の入力として加えられ、分割モジュール174の出力が出力接続器176上に与えた信号が制御流量計178に送られて触媒ポンプ106を制御する(上記(1)カ-ケ、第7図)から、テープリーダー112は、触媒の所望の流れ又は体積を入力するためのものであり、分割モジュール174は、触媒の所望の流れ又は体積を入力とし、この触媒の所望の流れ又は体積に対応した出力接続器176上の信号を出力するものである。
ウ 触媒の所望の流れ又は体積を入力とする分割モジュール174が出力した出力接続器176上の信号に基づいて、触媒は、触媒ポンプ106により噴射ノズル54から混合室22に導入されるところ、触媒流量計180は、この触媒の流量のフイードバツク信号を出すから、触媒流量計180は、触媒の所望の流れ又は体積及び出力接続器176上の信号に基づいて触媒ポンプ106で混合室22に導入される触媒の流量のフイードバツク信号を出す(上記(1)エ、ケ、第2-3、7図)ものである。
エ 触媒の所望の流れ又は体積を入力とする分割モジュール174が出力した出力接続器176上の信号は触媒流制御器178(の入力)に送られ、触媒流量計180から出されるフィードバック信号はライン182を介して触媒流制御器178の別の入力に送られるから、触媒流制御器178は、触媒の所望の流れ又は体積、出力接続器176上の信号、及び触媒の流量のフイードバツク信号に基づいて触媒ポンプ106を制御すること(上記(1)ケ、第7図)が、認められる。
(4)上記(1)-(3)より、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。
「砂、バインダー、及び触媒を用いる鋳型の製造に用いられる触媒を導入する装置であって、
前記触媒を混合室22及び触媒流量計180に導入する触媒ポンプ106と、
前記触媒の所望の流れ又は体積を入力するテープリーダー112と、
前記触媒の所望の流れ又は体積に対応した出力接続器176上の信号を与える分割モジュール174と、
前記触媒の所望の流れ又は体積及び前記出力接続器176上の信号に基づいて触媒ポンプ106で混合室22に導入される前記触媒の流量のフイードバツク信号を出す前記触媒流量計180と、
前記触媒の所望の流れ又は体積、前記出力接続器176上の信号、及び前記触媒の流量のフイードバツク信号に基づいて前記触媒ポンプ106を制御する触媒流制御器178と、
を有する、触媒を導入する装置。」
3 本件特許発明1について
(1)本件特許発明1と甲1発明の対比
ア 甲1発明の「砂」は本件特許発明1の「耐火性粒子」に相当し、以下同様に「バインダー」は「粘結剤」に、「触媒」は「硬化剤」に、「触媒を導入する装置」は「硬化剤供給装置」に、それぞれ相当する。
イ 甲1発明の「混合室22」は本件特許発明1の「混練機」に相当し、以下同様に「触媒流量計180」は「硬化剤測定手段」に、「触媒ポンプ106」は「硬化剤供給手段」に、それぞれ相当し、そして、甲1発明における「触媒」を「混合室22」及び「触媒流量計180」に「導入」することは、本件特許発明1の「硬化剤」を「混練機」及び「硬化剤測定手段」に「供給」することに相当する。
ウ 甲1発明の「触媒の所望の流れ又は体積」は本件特許発明1の「硬化剤の設定供給量QA」に相当し、同様に「テープリーダー112」は「設定供給量入力手段」に、相当する。
エ 甲1発明の「前記触媒の所望の流れ又は体積に対応した出力接続器176上の信号を与える分割モジュール174」と、本件特許発明1の「前記設定供給量QAに対応した前記硬化剤供給手段の制御条件CA1が予め記憶された制御条件記憶手段A」とを対比すると、甲1発明の「出力接続器176上の信号」は、触媒流制御器178に入力されて触媒ポンプ106の制御に関与するから、本件特許発明1の「硬化剤供給手段の制御条件CA1」に相当するものであり、両者は、「前記設定供給量QAに対応した前記硬化剤供給手段の制御条件CA1」を「処理する処理手段」という点に限り、一致する。
オ 甲1発明の「前記触媒の所望の流れ又は体積及び出力接続器176上の信号に基づいて触媒ポンプ106で混合室22に導入される前記触媒の流量のフイードバツク信号を出す前記触媒流量計180」と、本件特許発明1の「前記設定供給量QA及び前記制御条件CA1に基づいて前記硬化剤供給手段で前記混練機に供給されずに前記硬化剤測定手段に供給される前記硬化剤の量を示す測定結果RAを取得する前記硬化剤量測定手段」とを対比すると、甲1発明の「触媒ポンプ106で」「導入される」「前記触媒の流量のフイードバツク信号」は、触媒流量計180によって計測された触媒ポンプ106で導入される触媒の流量を示すものであるから、本件特許発明1の「前記硬化剤供給手段で供給される硬化剤の量を示す測定結果RA」に相当する。したがって、両者は、「前記設定供給量QA及び前記制御条件CA1に基づいて前記硬化剤供給手段で供給される前記硬化剤の量を示す測定結果RAを取得する前記硬化剤量測定手段」という点に限り、一致する。
カ 甲1発明の「前記触媒の所望の流れ又は体積、出力接続器176上の信号、及び前記触媒の流量のフイードバツク信号に基づいて前記触媒ポンプ106を制御する触媒流制御器178」は、「出力接続器176上の信号」を入力とし、他の入力である「前記触媒の流量のフイードバツク信号」を加味して出力する新たな信号で触媒ポンプ106を制御するのであるから、本件特許発明1の「前記設定供給量QA、前記制御条件CA1、及び前記測定結果RAに基づいて前記硬化剤供給手段の新たな制御条件CA2を取得する制御条件取得手段A」に相当する。
(2)本件特許発明1と甲1発明の一致点及び相違点
したがって、本件特許発明1と甲1発明とは、以下の点で一致し、相違する。
ア 一致点
「耐火性粒子、粘結剤、及び硬化剤を用いる鋳型の製造に用いられる硬化剤供給装置であって、
前記硬化剤を混練機及び硬化剤量測定手段に供給する硬化剤供給手段と、
前記硬化剤の設定供給量QAを入力する設定供給量入力手段と、
前記設定供給量QAに対応した前記硬化剤供給手段の制御条件CA1が処理される処理手段と、
前記設定供給量QA及び前記制御条件CA1に基づいて前記硬化剤供給手段で供給される前記硬化剤の量を示す測定結果RAを取得する硬化剤量測定手段と、
前記設定供給量QA、前記制御条件CA1、及び前記測定結果RAに基づいて前記硬化剤供給手段の新たな制御条件CA2を取得する制御条件取得手段Aと、
を有する、硬化剤供給装置。」
イ 相違点
(ア)相違点1
「前記設定供給量QAに対応した前記硬化剤供給手段の制御条件CA1が処理される処理手段」に関し、本件特許発明1では、「硬化剤供給手段の制御条件CA1」が「制御条件記憶手段A」に「予め記憶され」るのに対して、甲1発明においては、この制御条件CA1である「触媒ポンプ106を制御する信号」は、単に「分割モジュール174」から「出力する」ものである点。
(イ)相違点2
本件特許発明1の「前記設定供給量QA及び前記制御条件CA1に基づいて前記硬化剤供給手段で前記混練機に供給されずに前記硬化剤測定手段に供給される前記硬化剤の量を示す測定結果RAを取得する前記硬化剤量測定手段」に関し、本件特許発明1の「硬化剤量測定手段」が「測定結果RA」を取得する「硬化剤」が、「混練機に供給され」ないのに対して、甲1発明の「触媒流量計180」が出す「触媒の流量のフイードバツク信号」の触媒は、混練機としての「混合室22に導入され」る点。
(3)相違点の検討
事案に鑑み、相違点2から検討する。
甲1発明は、記載事項(1)エ、ケ、第2-3、7図の記載からみて、混合室22へ導入される触媒の流量のフイードバツク信号により、触媒ポンプ106による混合室22への触媒の導入を制御するものであり、混合室22へ導入される触媒の流量を取得することが前提となるから、相違点2に係る発明特定事項を備えた本件特許発明1のように、触媒流量計180が、混合室22に導入しない触媒の流量の計測を行う構成には変更し得ないものである。
そして、本件特許発明1は、相違点2に係る発明特定事項により、「硬化剤量測定手段」が「測定結果RA」を取得する「硬化剤」が、「混練機に供給され」ないことで、鋳物工場の粉じんや、硬化剤等の粘度の変化を原因として、上記の混合室22へ導入される触媒の流量のフイードバツクが適正に機能しないような状況であっても、所望の量の硬化剤を供給することができるという顕著な効果を奏するもの(本件特許明細書の段落【0016】等)であることが認められ、甲1発明からは予測し得るものではない。
よって、本件特許発明1が、相違点2が存する甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4)したがって、相違点1について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4 請求項2について
請求項2に係る「鋳型の製造方法」の発明は、請求項1の「硬化剤供給装置」の発明特定事項を引用して全て含み、さらに鋳型の製造方法に関する発明の特定事項を追加したものであるから、本件特許発明2は、本件特許発明1と同様に、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
5 請求項3-4について
請求項3に係る「硬化剤及び粘結剤の供給装置」の発明は、請求項1の硬化剤の供給装置」の発明特定事項を全て含み、さらに粘結剤の供給装置に関する発明特定事項を追加したものであり、請求項4に係る「鋳型の製造方法」の発明は、請求項3の「硬化剤及び粘結剤の供給装置」の発明特定事項を引用して全て含み、さらに鋳型の製造方法に関する発明の特定事項を追加したものであるから、本件特許発明3-4は、本件特許発明1と同様に、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
6 小括
したがって、取消理由通知の取消理由により、本件請求項1-4に係る特許を取り消すことはできない。
第5 取消理由で採用しなかった特許異議申立理由について
1 本件特許発明1-4の甲第2号証記載の発明による進歩性の欠如
甲第2号証:特開昭47-16323号公報(以下、「甲2」という。)
(1) 甲2の記載事項
ア 発明の詳細な説明
(ア)「本発明は自硬性用鋳物砂をミキサーにて混練する場合に添加する硬化促進剤やバインダー等の添加剤を自動的に添加する装置に関するものである。」(第1ページ左下欄第15-17行)
(イ)「図において、(1)は複数の検出器で、夫々はサーモカツプルのような温度を電気信号に変換するものや湿度を電気信号に変換するもので、夫々気温検出用、大気温度検出用、鋳物砂等を入れる金枠温度検出用、鋳物砂の温度検出用、砂の水分検出用として夫々所要の対称物の部分に装置されている。ただし(1)は従来の検出器で検出して自動にてその値を電気信号にかえる機構をも有しているのである。(第1ページ右下欄第14行-第2ページ左上欄第1行)
(ウ)「(2)は演算機構であり、前記各検出器(1)からの信号を受ける入力端子を有し、該各検出器(1)の検出値を要因としてあらかじめ記憶させてある演算方法により、硬化促進剤等の添加剤の最適添加量を計算するものである。(3)は制御容量ポンプであり、その吸入口には硬化促進剤やバインダー等の添加剤のタンク(4)に通じる管が連結され、吐出口には連続ミキサー(5)への管が連結されている。また、該ポンプ(12)の制御回路には前記演算機構(2)の出力端が接続され、該演算機構(2)によつて計算された値によりポンプ(3)を制御してタンク(4)からの添加剤をミキサー(5)に送るようにしてある。」(第2ページ左上欄第2-13行)
(エ)「また、前記ミキサー(5)には鋳物砂の供給装置(6)と、液状のフラン樹脂の供給装置(7)とが夫々連結されているが、これらの供給装置(6)(7)は定量供給装置であらかじめ一定量の砂及びフラン樹脂をミキサー(5)に連続供給するように設定されている。従つて前記演算機構(2)はミキサー(5)に定量供給されている砂とフラン樹脂の量に対する最適の硬化促進剤の添加量を算出するものであり、これにより演算機構(2)を簡素化し得る。」(第2ページ左上欄第14行-右上欄第1行)
(オ)「但し、ミキサー(5)への砂やフラン樹脂の添加量が一定でない場合においても、この砂やフラン樹脂のミキサー(5)への供給量の変化を検出する検出器を設け、これも要因の一つとして演算機構(2)に加えることによりミキサー(5)への砂等の供給量の変化に対応する添加剤の最適添加量を
計算し得るので、ミキサー(5)への砂等の供給は必ずしも一定にする必要はない。」(第2ページ右上欄第1-8行)
イ 図面
「
[図:0001388344000006.jpg]
」
(2) 甲2発明
上記(1)ア-イより、甲2には、次の発明(以下、この甲2記載の発明を「甲2発明」という。)が記載されている。
「鋳物砂、フラン樹脂、及び硬化促進剤やバインダー等の添加剤を用いる鋳型の製造に用いられる添加剤自動供給装置であって、
前記添加剤を連続ミキサー(5)に供給する制御容量ポンプ(3)と、
前記添加剤の最適添加量を演算し、
前記最適添加量に対応した前記制御容量ポンプ(3)を制御する値を計算する演算機構(2)と、
砂の供給装置(6)やフラン樹脂の供給装置(7)による砂及びフラン樹脂の連続ミキサー(5)への供給量の変化を検出する検出器と、
を有する、硬化剤供給装置。」
(3)判断
本件特許発明1と甲2発明とを対比すると、両者は、本件特許発明1の「前記設定供給量QA及び前記制御条件CA1に基づいて前記硬化剤供給手段で前記混練機に供給されずに前記硬化剤測定手段に供給される前記硬化剤の量を示す測定結果RAを取得する前記硬化剤量測定手段」に関し、本件特許発明1の「硬化剤量測定手段」が「測定結果RA」を取得する「硬化剤」が、「混練機に供給され」ないのに対して、甲2発明ではそのような構成がない点で少なくとも相違する。
すなわち、甲2発明において、フラン樹脂、及び硬化促進剤やバインダー等の添加剤のいずれについても、その供給の制御の対象となるのは、連続ミキサー(5)に供給されるものであり、これらの量の計測は、混練装置である連続ミキサー(5)に投入されるものに対して行われるから、少なくとも本件特許発明1の「前記設定供給量QA及び前記制御条件CA1に基づいて前記硬化剤供給手段で前記混練機に供給されずに前記硬化剤測定手段に供給される前記硬化剤の量を示す測定結果RAを取得する前記硬化剤量測定手段」について、混練機に供給されずに硬化剤測定手段に供給される硬化剤の量を示す測定結果を取得することに対応する事項を備えておらず、甲2の他の記載をみても当該事項を示唆する内容は記載されていない。
そして、甲2発明において、「前記設定供給量QA及び前記制御条件CA1に基づいて前記硬化剤供給手段で前記混練機に供給されずに前記硬化剤測定手段に供給される前記硬化剤の量を示す測定結果RAを取得する前記硬化剤量測定手段」の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たものであるとする理由も見いだせない。
よって、本件特許発明1が、甲2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、本件特許発明2-4も、上記第4の4-5で検討したのと同様に、本件特許発明の発明特定事項を全て含むものであるから、やはり、本件特許発明1と同様に、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
2 本件特許発明1-4の甲第3号証記載の発明による進歩性の欠如
甲第3号証:特開平6-210395号公報(以下、「甲3」という。)
(1)甲3の記載事項
ア 特許請求の範囲
「【請求項1】 鋳造後、鋳物砂を回収し焙焼炉で焙焼した後、リクレーマーで再生処理して再生砂を得、次いで混練装置で再生砂と硬化性レジンとを混練処理して混練砂を得るに当たり、混練装置において2因子以上の混練処理条件を計測し、得られた計測値に基づいて多変量解析法又はファジイ推論法により混練砂の抗折強度を予測し、予測された抗折強度が適正値となるように混練装置の混練処理条件を調節することを特徴とする鋳物砂の混練方法。」
イ 発明の詳細な説明
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鋳物砂の混練方法に関するものである。
・・・
【0007】本発明は前記従来技術の問題点を解決するためのものであり、その目的とするところは、混練装置の運転を自動制御することにより混練条件を常に最適条件に調節し、これによって安定した抗折強度を有する混練砂を容易に得ることができる鋳物砂の混練方法を提供することにある。
・・・
【0011】混練処理条件の計測方法としては、この分野で慣用の定量的計測方法(例えば、重量又は流量の計測、温度の計測、機械特性の計測等)を使用することができる。
・・・
【0022】再生砂及びレジン(熱硬化性レジン)を各々所定量計量する。再生砂をサンドヒーターで所定温度に加熱後混練装置に投入する(砂投入)。又、レジンも混練装置に投入する。次いで混練装置において、再生砂と、レジン及び所望により添加する他の添加剤とを混練処理する。混練終了後、混練砂を混練装置から排出し(排砂)、ホッパーに移送する。なお排砂の際、混練砂の一部をサンプリングして抗折強度を測定する。
【0023】前記混練処理の際、適する2因子以上の混練処理条件〔本例では、レジン量、砂温、投入砂温、マラー温度、排砂温、抗折強度(サンプリング試料の抗折強度)及び気温の7因子〕を計測し、この計測値を混練装置制御用コンピューターに入力し、多変量解析法又はファジイ推論法を適用して最適な混練条件を算出し、この最適な混練条件となるように混練装置を制御する。すなわち、本例ではサンドヒーターの設定温度及びレジン量の設定値を変更する。それ故、次の混練サイクルにおいては新たに設定された混練条件で混練が行なわれる。以下、この操作を繰り返すことによって、混練装置を自動制御(フィードバック制御)することができる。」
ウ 図面
「
[図:0001388344000007.jpg]
」
(2)甲3発明
上記(1)ア-ウより、甲3には、次の発明(以下、この甲3記載の発明を「甲3発明」という。)が記載されている。
「鋳物砂、及び硬化性レジンを用いる鋳物砂の混練方法であって、
硬化性レジンを混練装置に投入し、混練装置に投入されるレジン量を計測し、
計測したレジン量及び混練砂の一部をサンプリングして測定した抗折強度等に基づいて算出した最適な混練条件に基づいて硬化性レジンを混練装置に供給する、
鋳物砂の混練方法。」
(3)判断
本件特許発明1と甲3発明とを対比すると、両者は、本件特許発明1の「前記設定供給量QA及び前記制御条件CA1に基づいて前記硬化剤供給手段で前記混練機に供給されずに前記硬化剤測定手段に供給される前記硬化剤の量を示す測定結果RAを取得する前記硬化剤量測定手段」に関し、本件特許発明1の「硬化剤量測定手段」が「測定結果RA」を取得する「硬化剤」が、「混練機に供給され」ないのに対して、甲3発明ではそのような構成がない点で少なくとも相違する。
すなわち、甲3発明は、本件特許発明1の「硬化剤」ではなく「粘結剤」に相当する「硬化性レジン」の供給に関し特定するものであるが、仮に「硬化剤」への適用が可能であるとしても、「硬化性レジン」のレジン量の計測は、混練装置に投入されるものに対して行われるから、少なくとも本件特許発明1の「前記設定供給量QA及び前記制御条件CA1に基づいて前記硬化剤供給手段で前記混練機に供給されずに前記硬化剤測定手段に供給される前記硬化剤の量を示す測定結果RAを取得する前記硬化剤量測定手段」について、混練機に供給されずに硬化剤測定手段に供給される硬化剤の量を示す測定結果を取得することに対応する事項を備えておらず、甲3の他の記載をみても当該事項を示唆する内容は記載されていない。
そして、甲3発明において、「前記設定供給量QA及び前記制御条件CA1に基づいて前記硬化剤供給手段で前記混練機に供給されずに前記硬化剤測定手段に供給される前記硬化剤の量を示す測定結果RAを取得する前記硬化剤量測定手段」の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たものであるとする理由も見いだせない。
よって、本件特許発明1が、甲3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、本件特許発明2-4も、上記第4の4-5で検討したのと同様に、本件特許発明の発明特定事項を全て含むものであるから、やはり、本件特許発明1と同様に、甲3発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない。
3 小括
したがって、取消理由で採用しなかった特許異議申立理由により、本件請求項1-4に係る特許を取り消すことはできない。
第6 申立人の令和4年2月22日提出の意見書(以下、「申立人意見書」という。)における主張について
1 申立人は申立人意見書において、本件訂正請求で訂正された請求項1に記載した「前記設定供給量QA及び前記制御条件CA1に基づいて前記硬化剤供給手段で前記混練機に供給されずに前記硬化剤測定手段に供給される前記硬化剤の量を示す測定結果RAを取得する前記硬化剤量測定手段」の発明特定事項について、添付した参考資料1-4に記載された周知技術である旨主張する。
なお、当該発明特定事項は、訂正請求と同日の令和3年12月22日に特許権者が提出した意見書において「相違点3」として説明された事項であり、また、上記第4の3で検討した「相違点2」と関連する事項であるが、上記申立人意見書において「相違点3」としていることから、以下、「相違点3事項」という。
そして、甲1発明にこの周知技術を適用する動機付けがあることから、本件特許発明1-4は、甲1発明により進歩性を有さず、取り消される旨の主張をする。
2 参考資料についての検討
(1)参考資料1:「αsystemコントローラ」取扱説明書、群栄化学工業株式会社、平成26年10月発行、p.7、11-12、60
ア 参考資料1の記載事項
(ア)第7ページ
「1 概要
本装置はアルカリ性フェノール樹脂と硬化剤の添加率および、配合比を砂温度に対して最適な条件とするためのコントローラです。
1.1 主な機能
・・・
9)自動計量機能を装備しています。
レヂン、硬化剤A,B,Cの液毎に流量センサーを装備し、装置の起動時に流量を自動計測し、計測結果を各液の計量値に反映します。
(イ)第11ページ
「4 装置本体各部の構成と名称
4.1 装置各部の構成
・・・
4.1.2 硬化剤ポンプA・B・C
3種の硬化剤A・B・Cの吐出用ポンプで、バイキングポンプを使用しています。タイミングベルトによりACサーボモーターに連結されていて、砂温度および、レヂン添加量により、回転数を制御しています。
4.1.3 電磁弁ユニット
レヂン用、硬化剤A・B・C用4個のエアオペレート式の3方弁が取り付け板に配置されています。3方弁に搭載された電磁弁により弁の開閉を行います。
弁が閉の場合は、各液とも、タンク←一→3方弁間を循環しています。3方弁が開になると各液を吐出します。
・・・
4.1.5 流量センサー
レヂン用、硬化剤A用、硬化剤B用、硬化剤C用各1個のコリオリ式流量センサーが取り付けられています。
各液の流量を自動計測し、計測結果を各液の計量値に反映します。
・・・」
(ウ)第12ページ
「4.2 装置各部の名称
[図:0001388344000008.jpg]
・・・
図4.1 αsystemコントローラ各部の名称」
(エ)第60ページ
「6.5 自動計量
6.5.1 自動計量機能の概要
レヂン、硬化剤A・B・Cの液毎に流量センサーを装備し、装置の起動時に各液の流量を自動計測し、計測結果を各液の計量値に反映します。
[図:0001388344000009.jpg]
図6.27 自動計量の概要図
・・・」
イ 参考資料1についての検討
上記アの記載事項からみて、参考資料1には、以下の事項が記載されているものと認められる。
(ア)参考資料1の装置は、アルカリ性フェノール樹脂と硬化剤の添加率および、配合比を砂温度に対して最適な条件とするためのコントローラであること。
(イ)硬化剤A・B・Cの液毎に流量センサーを装備し、装置の起動時に各液の流量を自動計測し、計測結果を各液の計量値に反映すること。
(ウ)電磁弁ユニットの薬液吐出用三方弁の開閉により、薬液タンクに貯蔵された硬化剤が、「弁が閉の場合」はリターン(戻り)側配管を経由して再び薬液タンクに戻されてタンクと3方弁間を循環するモードに、「3方弁が開になると」薬液吐出口へ送られて各液を吐出するモードに、切り替え可能なこと。
これに対して、上記(ア)-(ウ)の事項からは、装置の起動時に、硬化剤A・B・Cの各液の流量を自動計測し、計測結果を各液の計量値に反映することは認められるが、相違点3事項における「前記硬化剤供給手段で前記混練機に供給されずに前記硬化剤測定手段に供給される前記硬化剤の量を示す測定結果RAを取得する」ことまでは記載されていない。
申立人は、申立人意見書の3(2)(2-2)「参考資料1」の末部(第3ページ)において、「以上の記載から、参考資料1には3方弁が「閉」の場合において、「硬化剤量測定手段(流量センサー)は、硬化剤供給手段(薬液ポンプ)から混練機(ミキサー)に供給されずに硬化剤量測定手段(流量センサー)に供給される硬化剤の量を示す測定結果を取得する」旨の技術が記載されている。」との主張をするが、このような技術が実現されるためには、3方弁が「閉」の場合において、硬化剤の液の重量が流量センサーにより自動計測される必要がある。しかしながら、参考文献1の装置が、3方弁が閉のタイミングで流量センサーが動作し得るものであっても、そのような動作をさせることの根拠を見出すことができないから、相違点3事項に関する内容が記載されているものと認めることができない。
また、仮に、参考資料1の装置が、申立人が主張するように動作するのだとしても、上記第4の3(3)で検討したとおり、甲1発明は、混合室22へ導入される触媒の流量を取得することが前提となるものであって、触媒流量計180が、混合室22に導入しない触媒の流量の計測を行う構成には変更し得ないものであるから、この参考資料1記載の事項を適用することには阻害要因があり、甲1発明及び参考文献1記載の事項から本件特許発明1-4に至ることが容易であるとはいえない。
(2)参考資料2:特許第5019496号公報
ア 参考資料2の記載事項
(ア)特許請求の範囲
「【請求項1】
回転する金型本体に溶湯を供給して遠心鋳造により中空部材を形成する際、前記金型本体内面に塗型材を塗布する方法であって、
塗型材貯留タンクから塗型材を導出するための容積回転式ポンプの下流側に設けられたレギュレータと、該レギュレータから出力される塗型材の流量を検出する流量計と、該流量計によって検出される塗型材の流量と予め設定されている値とを比較し、その差信号を該レギュレータに出力する比較器と、前記流量計の下流側に設けられた3方弁とを有し、
前記レギュレータは、前記差信号によって前記容積回転式ポンプから供給される塗型材の流量を調節して塗型材の流量を制御し、
前記3方弁の一方の出力側は、塗型材供給機に連結され、他方の出力側は前記塗型材貯留タンクに連通されており、
前記金型本体への塗型材供給時は、前記塗型材貯留タンクから前記容積回転式ポンプによって供給される塗型材を、前記3方弁を介して前記塗型材供給機のみに供給して、前記塗型材供給機のノズルにより前記金型本体の内周面に塗型材を塗布し、一方、前記金型本体への塗型材供給遮断時は前記3方弁を介して前記容積回転式ポンプによって送られる塗型材を前記塗型材貯留タンクのみに供給して循環させることを特徴とする塗型材の塗布方法。」
(イ)発明の詳細な説明
「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は鋳鉄管等の鋳造に際し、遠心力を利用する金型用の塗型材の塗布方法およびその装置に関する。
・・・
【0013】
また、容積回転式ポンプからの塗型材の流量と設定流量との間に差があるとき、この流量差を少なくするためにレギュレータを制御している。このため、塗型材のノズルからの噴出量が一定となり、品質に優れた製品を得ることが可能となる。
【0014】
なお、前記流量差を少なくするための制御は、容積回転式ポンプ自体によって塗装機の流量を直接制御して可及的に吐出流量の定量化を図るようにしてもよいことは勿論である。
・・・
【0019】
図示しない回転駆動源を介してローラ17を回転させ、このローラ17により金型本体12を回転させる。その間にモーノポンプ34を付勢し、塗型材貯留タンク32からパイプ35を介して塗型材を塗型材供給機22側に送る。この場合、モーノポンプ34の出力流量が予め設定されている。そこで、モーノポンプ34から導出された塗型材は、レギュレータ36に導入され、流量計38、比較器40、3方弁42を介して前記のように塗型材供給機22に送られる。塗型材供給機22のノズル20は、前記金型本体12に形成された孔部18の内部に進入してその軸線方向に沿って円盤14側から孔部18側へと退動動作しながら当該金型本体12の内周面に塗型材を塗布する。
【0020】
この間に、比較器40では、流量計38のフィードバック信号と、設定値に係る信号とを対比し、そこに差が生じているとき、その差がなくなるまでレギュレータ36に対して信号を送る。レギュレータ36は、前記差信号によってその流量制御を行い、3方弁42に最適な流量下に塗型材を送る。3方弁42の他方の出力側は、前記の通り、塗型材貯留タンク32に連通している。従って、前記3方弁42から送り込まれる塗型材は、前記塗型材貯留タンク32に対して所定の流量で流入するに至る。
【0021】
本発明によれば、以上のように塗型材をノズル20を介して金型本体12内に塗型するとき、容積回転式ポンプ、例えば、モーノポンプ34を用いているために、脈動を起こすことなく塗型材をノズル20に対して送ることが可能となる。
【0022】
さらに、3方弁42と塗型材貯留タンク32とを連通させるために、塗型材を常に循環させることが可能となることから、時間の経過によって塗型材の粘度が上昇することを避けることができる。すなわち、塗型材の粘度を一定に保つことができ、さらにまた、前記3方弁42と塗型材貯留タンク32とを連通させているために、塗型材の供給と遮断時の変動がなくなり、この結果、特に、金型本体12内部で長尺な鋳造品を得ようとするとき、塗型材の膜厚にばらつきが少なくなり、従って、製品自体の外周寸法のばらつきを抑制することができるという効果が得られる。
・・・
【0026】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、塗装材を塗型材貯留タンクから金型本体に供給するために容積回転式ポンプを採用している。従って、ノズルから塗型材を供給するとき、脈動を生ずることなく前記金型内周面に均一に塗型材の膜厚を形成することができる。しかもノズルに供給される塗型材を分岐させて前記塗型材貯留タンクに該塗型材の一部を循環させる弁機構を設けている。このため、塗型材貯留タンク内の塗型材の粘度が変わることなく塗型材の粘度変化に基づく塗膜のばらつきの発生を阻止することができる。従って、品質の均一な製品を製造することができる効果が得られる。」
(ウ)図面
「
【図1】
[図:0001388344000010.jpg]
」
イ 参考資料2についての検討
上記ア(ア)の【請求項1】には、「前記金型本体への塗型材供給時は、前記塗型材貯留タンクから前記容積回転式ポンプによって供給される塗型材を、前記3方弁を介して前記塗型材供給機のみに供給して、前記塗型材供給機のノズルにより前記金型本体の内周面に塗型材を塗布し、一方、前記金型本体への塗型材供給遮断時は前記3方弁を介して前記容積回転式ポンプによって送られる塗型材を前記塗型材貯留タンクのみに供給して循環させる」ことが記載されているが、上記ア(イ)の段落【0013】-【0014】、【0019】-【0022】の記載からみて、塗型材の流量の測定を伴う流量制御は「金型本体への塗型材供給時」に行われるものであって、この際、塗型材は金型本体に供給されるものであるから、参考資料2には、相違点3事項に対応する内容が開示されていない。仮に「金型本体への塗型材供給遮断時」に塗型材の流量の測定が行われるとしても、上記第4の3(3)で検討したとおり、甲1発明は、混合室22へ導入される触媒の流量を取得することが前提となるものであって、触媒流量計180が、混合室22に導入しない触媒の流量の計測を行う構成には変更し得ないものであるから、この参考資料2記載の事項を適用することには阻害要因がある。また、参考資料2記載の「塗型材」は、本件特許発明1及び甲1発明の「硬化剤」や「触媒」と異なり、さらに、「金型本体への塗型材供給遮断時」に、「塗型材貯留タンクのみに供給して循環させる」塗型材は流量を測定するためのものではなく、塗型材貯留タンク内の塗型材の粘度が変わらないようにするためのものであるから、甲1発明に適用しても、本特許発明1-4に至ることはない。
(3)参考資料3:「鋳型の生産技術」、財団法人素形材センター,平成7年1月20日発行、p.265
ア 参考資料3の記載事項
参考資料3の第265ページには、以下の記載がある。
「使用上では,ポンプの吐出量が使用中に多少変動するおそれがあることと,気温が上下すると液体の粘度が変わり,ポンプの吐出量も変わる.したがって,ポンプの吐出量は時々チェックする必要がある.チェックの方法は,砂粒の送りを止め,粘結剤と硬化剤を別々に運転し,一定時間の吐出量を容器に受け,その重量を測定する.そして,もしずれているときはポンプのダイヤルを調整して所定量になるようにする.」
イ 参考資料3についての検討
上記アの記載は、相違点3事項における「前記硬化剤供給手段で前記混練機に供給されずに前記硬化剤測定手段に供給される前記硬化剤の量を示す測定結果RAを取得する」ことに対応する事項を示すものである。
しかしながら、上記第4の3(3)で検討したとおり、甲1発明は、混合室22へ導入される触媒の流量を取得することが前提となるものであって、触媒流量計180が、混合室22に導入しない触媒の流量の計測を行う構成には変更し得ないものであるから、この参考資料4記載の事項を適用することには阻害要因があり、仮にこの阻害要因を無視して適用するとしても、この参考文献4のものは、触媒の重量を測定した結果に応じて、ポンプのダイヤルを調整して所定量になるようにするものであるから、設定供給量に対して新たな制御条件を取得する本件特許発明1-4に至ることはない。
(4)参考資料4:「現場に役立つ鋳鉄の鋳型マニュアル」、全国銑鉄鋳物工業組合連合会、平成13年1月発行、p.63
ア 参考資料4の記載事項
参考資料4の第63ページには、以下の記載がある。
「(4)混練における材料の計量管理はなぜ重要か
混練機で最も重要な点は混練効率であるが、それに次いで大切なものが計量装置で、砂や粘結剤、硬化剤の計量精度、とくに計量の再現性がよいことが要求される。
1(丸囲みの1)アルカリフェノール粘結剤の計量で配慮すべき問題は、温度による粘度変化である。地域、場所によっては、低温時にサービスタンク類を加温して粘度低下を防止し、ポンプの計量精度を保持する必要がある。また定期的に計量検査を行うことが必要である」
イ 参考資料4についての検討
上記アの記載は、混錬における材料の計量管理の重要性を説明したものであるが、混錬における材料の計量管理全般に関するもので、相違点3事項における測定結果として、「前記混練機に供給されずに前記硬化剤測定手段に供給される」硬化剤の量を取得することまで、記載あるいは示唆するものではなく、また、仮に、何らかの示唆があるとしても、上記第4の3(3)で検討したとおり、甲1発明は、触媒流量計180が、混合室22に導入しない触媒の流量の計測を行う構成には変更し得ないものであるから、この参考資料4記載の事項を適用して、本件特許発明1-4に至ることはない。
3 小括
以上のとおり、参考資料1-4記載の事項は、いずれも甲1発明に適用して本件特許発明1-4に至ることはなく、甲1発明に「前記混練機に供給されずに前記硬化剤測定手段に供給される」変更をし得ない事情があるのであるから、これらの参考文献を重畳して適用しても、本件特許発明1-4に至ることはない。
したがって、申立人意見書の主張は採用することができない。
第7 むすび
以上により、請求項1-4に係る特許は、取消理由通知の取消理由、及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。さらに、他に請求項1-4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-700140