特許訂正審判
2021-390102
遊技機
- 審判番号
- 2021-390102
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2014-242704
- 登録番号
- 特許第6519159号(P6519159)
- 請求日
- 2021年07月15日
- 審決日
- 2021年09月15日
- 公報発行日
- 2021年12月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社 三洋物産
- 【請求人代理人】工藤 洋平
- 審判長/審判官
- 審判長 瀬津 太朗
- 審判官 鉄 豊郎
- 審判官 ▲高▼橋 祐介
- 分類
- P141 .851-Y (A63F) / P141 .853-Y (A63F) / P141 .856-Y (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第7項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6519159号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6519159号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 事案の概要
1 手続の経緯
特願2014-242704号は、平成26年12月1日の出願であって、平成31年3月12日に特許査定され、その後、請求項1及び2に係る発明について、令和1年5月10日に特許権の設定の登録がされ(特許第6519159号、以下「本件特許」という。)、令和3年7月15日に訂正審判(以下「本件審判」という。)が請求されたものである。
2 請求の趣旨
本件審判の請求の趣旨は、「特許第6519159号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。また、請求人が求める訂正の内容は、以下のとおりである。
3 訂正の内容
(1)訂正事項1
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に「前記有効期間外では複数の示唆態様を異なる位置で動的に表示させ、前記有効期間において前記複数の示唆態様が重なる位置で表示させることが可能に構成され、」と記載されているのを、「前記有効期間外では複数の示唆態様を前記表示手段における異なる位置で動的に表示させ、前記有効期間において前記複数の示唆態様を互いに重なる態様で前記表示手段における所定位置に表示させることが可能に構成され、」に訂正する。
なお、下線は当合議体が付したものであり、訂正箇所及び訂正に関連する箇所等を表す。以下同様。
(2)訂正事項2
本件特許の特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3)訂正事項3
本件特許の明細書の段落【0006】、【0008】にそれぞれ記載された「前記有効期間外では複数の示唆態様を異なる位置で動的に表示させ、前記有効期間において前記複数の示唆態様が重なる位置で表示させることが可能に構成され、」を、「前記有効期間外では複数の示唆態様を前記表示手段における異なる位置で動的に表示させ、前記有効期間において前記複数の示唆態様を互いに重なる態様で前記表示手段における所定位置に表示させることが可能に構成され、」に訂正する。
(4)訂正事項4
本件特許の明細書の段落【0007】、【0012】をそれぞれ削除する。
第2 当合議体の判断
以下、本件訂正前の請求項1、2を、それぞれ「訂正前請求項1」、「訂正前請求項2」という。また、訂正前請求項1に係る発明を、「訂正前発明1」という。
訂正後についても、「訂正前」を「訂正後」に変えて同様に、「訂正後請求項1」、「訂正後発明1」等という。
1 特許法第126条第1項ただし書(訂正の目的)について
(1)訂正事項1
ア 訂正前請求項1には、「・・・複数の示唆態様を異なる位置で動的に表示させ、・・・前記複数の示唆態様が重なる位置で表示させる・・・」と記載されており、「複数の示唆態様」が何に表示されるのか特定されていない。
これに対して、訂正後請求項1では、「・・・複数の示唆態様を前記表示手段における異なる位置で動的に表示させ、・・・前記複数の示唆態様を互いに重なる態様で前記表示手段における所定位置に表示させる・・・」とすることにより、「複数の示唆態様」が表示される対象を「表示手段における所定位置」と特定したものである。
してみると、訂正事項1により訂正された事項は特許請求の範囲の減縮といえるから、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 訂正前請求項1において、11段落目に「・・・複数の示唆態様を異なる位置で動的に表示させ、・・・前記複数の示唆態様が重なる位置で表示させる・・・」(以下「第1の記載」という。)と、13段落目に「前記複数の示唆態様を互いに重なる態様で前記表示手段に表示させる」(以下「第2の記載」という。)と記載されていたが、「複数の示唆態様」が「重なる」ように「表示させる」ことに関し、第1の記載と第2の記載とが整合していなかった。
これに対して、訂正後請求項1では、第1の記載を「前記複数の示唆態様を互いに重なる態様で前記表示手段における所定位置に表示させる・・・」とすることにより、第2の記載と整合させたものである。
してみると、訂正事項1により訂正された事項は明瞭でない記載の釈明といえるから、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)訂正事項2
訂正事項2は、訂正前請求項2を削除するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(3)訂正事項3
訂正事項3は、本件明細書等の段落【0006】、【0008】の記載を、訂正事項1による特許請求の範囲の訂正に伴い、整合性を図るための訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
(4)訂正事項4
訂正事項4は、本件明細書等の段落【0007】、【0012】の記載を、訂正事項2による特許請求の範囲の訂正に伴い、整合性を図るための訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
2 特許法第126条第5項(新規事項の有無)について
(1)訂正事項1について
ア 訂正後発明1の「前記有効期間外では複数の示唆態様を前記表示手段における異なる位置で動的に表示させ、前記有効期間において前記複数の示唆態様を互いに重なる態様で前記表示手段における所定位置に表示させることが可能に構成され、」に関して、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面(以下「本件明細書等」という。)には、以下の記載がある。
(ア)「【0430】・・・この役物連動演出が実行されると、実行中の変動表示は図60(a)に示すように、第3図柄表示装置81の左下に縮小して表示される。また、第1球状役物330と第2球状役物340とは点灯され、画面右上および左上にPUSHの文字を円形に囲んだ絵柄(PUSH絵柄)が表示される(図60(a)参照)。この左上に表示されたPUSH絵柄は右下へと移動し、右上に表示されたPUSH絵柄は左下へと移動される(図60(b))。
【0431】・・・そして、2つのPUSH絵柄は画面中央にて重なり合うように移動されていき(図61(a)参照)、2つのPUSH絵柄が完全に重なり合ったタイミングで、第1球状役物330および第2球状役物340とが消灯され、ボタン押下残時間を示すゲージが画面右下に表示される(図61(b)参照)。ここで、第1球状役物330と第2球状役物とは、それぞれ第1球状カバー体(330a,330b)と第2球状カバー体(340a,340b)とを備えており、第1球状役物330および第2球状役物340とが消灯されるタイミングで、球状役物の前面部を覆う位置に可動される。・・・」
(イ)「【0859】
ここで、SWシナリオとは、特別図柄の変動期間に合わせて枠ボタン22が有効に設定される期間や、予告表示内容や、枠ボタン22が押下された場合に表示される表示内容等が設定されているものである。このSWシナリオは、枠ボタン入力監視・演出処理(S1307)内のS2002の処理により順次更新されてその更新されたシナリオが設定される。これにより、更新されて設定されたシナリオが枠ボタン22の有効期間であることが設定されたシナリオである場合には、枠ボタン22の操作が有効として判別される。また、SWシナリオには、球状役物330,340の可動データも設定されており、役物を可動するタイミング等がSW有効時間の開始タイミングと一致するように設定されている。」
(ウ)「【0887】
・・・SW有効期間であると判定された場合は(S2004:No)、SWが押下されたか否かを判定する(S2005)。SWが押下されたと判定された場合は(S2005:Yes)、SW押下を示す表示用押下コマンドを設定し(S2006)、S2008の処理へ移行する。」
(エ)「【1038】
・・・表示用SW演出コマンドを受信したと判別された場合は(S4401:Yes)、受信した表示用SW演出コマンドが示すSW演出表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定し(S4402)、・・・S4402の処理が実行されることにより、上述した役物連動演出におけるSW演出(図60、図61)が、第3図柄表示装置81に表示される。」
(オ)「【図61】
」
イ 上記ア(ア)ないし(オ)の記載からみて、訂正後発明1の「前記有効期間外では複数の示唆態様を前記表示手段における異なる位置で動的に表示させ、前記有効期間において前記複数の示唆態様を互いに重なる態様で前記表示手段における所定位置に表示させることが可能に構成され、」が本件明細書等に記載されていることは明らかである。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前請求項2を削除するものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前請求項1に対応する明細書の段落【0006】、【0008】について、訂正事項1と同様の訂正をしたものであるから、訂正事項1と同様の理由により、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(4)訂正事項4について
訂正事項4は、本件明細書等の段落【0007】、【0012】の記載を、訂正事項2による特許請求の範囲の訂正に伴い、整合性を図るための訂正であるから、訂正事項2と同様の理由により、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(5)小括
以上のとおり、訂正事項1ないし4は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
3 特許法第126条第6項(特許請求の範囲の拡張又は変更の有無)について
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、上記1(1)アで示したように、「複数の示唆態様」が表示される対象を「表示手段」に具体的に特定するとともに、上記1(1)イで示したように、第1の記載と第2の記載とを整合させるものであり、カテゴリー、対象又は目的を変更するものではないから、訂正前の特許請求の範囲が実質上拡張し、又は変更するものでない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前請求項2を削除するものであるから、訂正前の特許請求の範囲が実質上拡張し、又は変更するものでない。
(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正事項1と同様の訂正をしたものであるから、訂正前の特許請求の範囲が実質上拡張し、又は変更するものでない。
(4)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正事項2と同様の訂正をしたものであるから、訂正前の特許請求の範囲が実質上拡張し、又は変更するものでない。
(5)小括
以上のとおり、訂正事項1ないし4は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
4 特許法第126条第7項について
(1)訂正後発明1について
上記1で検討したとおり、請求項1の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであるところ、請求項1全体に着目すれば、同法同条同項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするといえる。
そこで、訂正後発明1が特許出願の際独立して特許を受けることができるか(いわゆる独立特許要件の充足性。特許法第126条第7項)について検討すると、訂正前発明1と同様、訂正後発明1が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しないから、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
(2)訂正後発明2について
上記1で検討したとおり、請求項2の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものである。
そこで、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定 される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるかについて検討すべきであるところ、請求項2は本件訂正によって削除され、独立特許要件の判断の対象となる発明が存在しない。
(3)小括
したがって、本件訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
5 一群の請求項について
本件審判は、特許権全体に対して請求されたものであり、請求項ごとに請求されたものではないから、一群の請求項に関する特許法第126条第3項及び第4項の規定に適合するか否かの検討を要しない。
第3 むすび
以上のとおりであるから、訂正事項1ないし4は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条第4項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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