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特許訂正審判

2021-390066

MUC1-C癌タンパク質のHLA-A24アゴニストエピトープ及び組成物及び使用方法

審判番号
2021-390066
法域
特許
審判種別
訂正審判(訂正の審決)
出願番号
特願2016-525904外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年04月13日
審決日
2021年07月16日
公報発行日
2021年11月26日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P141 .852-Y (C12N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法126条1項特許法126条5項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6788500号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】
特許第6788500号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔25~46〕について、訂正することを認める。

理由

目次 ▾ 11項目
【理 由】

第1 手続の経緯

本件特許第6788500号に係る出願(特願2016-525904号)は、平成26年10月22日を国際出願日(パリ条約による優先権主張 2013年10月23日 米国)として出願されたものであって、その請求項1~56に係る発明について令和2年11月4日に特許権の設定登録がなされた。

これについて、令和3年4月13日に本件訂正審判が請求された。

第2 請求の趣旨および訂正の内容

本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第6788500号に係る明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項25~46及び訂正明細書の段落[0043]、[0073]及び[0190]について訂正することを認める、との審決を求めるものである。

そして、本件訂正審判の請求による訂正の内容は、下記訂正事項1~5のとおりである。

1.訂正事項1

特許請求の範囲の請求項25における、

「MUC1抗原が、野生型MUC1のアミノ酸配列に関して更に:T93、A161、P162、G169、S170、T171、A392、C406、T444、D445、及びS460の位置にアミノ酸置換を含む、請求項24の酵母-MUC1免疫療法組成物。」

との記載を、

「MUC1抗原が、野生型MUC1のアミノ酸配列に関して更に:T93、A141、P142、G149、S150、T151、A392、C406、T444、D445、及びS460の位置にアミノ酸置換を含む、請求項24の酵母-MUC1免疫療法組成物。」

に訂正する(請求項25の記載を引用する請求項26~46も同様に訂正する)。

2.訂正事項2

特許請求の範囲の請求項27における、

「MUC1抗原が、野生型MUC1のアミノ酸配列に関して更に以下:T93L、A161Y、P162L、G169V、S170Y、T171L、A392Y、C404A、C406V、T444L、D445F、及びS460Yから選択されるアミノ酸置換を含む、請求項24~26のいずれか1項の酵母-MUC1免疫療法組成物。」

との記載を、

「MUC1抗原が、野生型MUC1のアミノ酸配列に関して更に以下:T93L、A141Y、P142L、G149V、S150Y、T151L、A392Y、C404A、C406V、T444L、D445F、及びS460Yから選択されるアミノ酸置換を含む、請求項24~26のいずれか1項の酵母-MUC1免疫療法組成物。」

に訂正する(請求項27の記載を引用する請求項28~46も同様に訂正する)。

3.訂正事項3

明細書段落[0043]における、

「A161、P162、G169、S170、T171」

との記載を、

「A141、P142、G149、S150、T151」

に訂正するとともに、同じく明細書段落[0043]における、

「A161Y、P162L、G169V、S170Y、T171L」

との記載を、

「A141Y、P142L、G149V、S150Y、T151L」

に訂正する。

4.訂正事項4

明細書段落[0073]における、

「A232Y(野生型MUC1における161位)、P233L(野生型MUC1における162位)、G240V(野生型MUC1における169位)、S241Y(野生型MUC1における170位)、T242L(野生型MUC1における171位)」

との記載を、

「A232Y(野生型MUC1における141位)、P233L(野生型MUC1における142位)、G240V(野生型MUC1における149位)、S241Y(野生型MUC1における150位)、T242L(野生型MUC1における151位)」

に訂正する。

5.訂正事項5

明細書段落[0190]における、

「A232Y(野生型MUC1中161位)、P233L(野生型MUC1中162位)、G240V、(野生型MUC1中169位)、S241Y(野生型MUC1中170位)、T242L(野生型MUC1中171位)」

との記載を、

「A232Y(野生型MUC1中141位)、P233L(野生型MUC1中142位)、G240V、(野生型MUC1中149位)、S241Y(野生型MUC1中150位)、T242L(野生型MUC1中151位)」

に訂正する。

第3 当審の判断

1 願書に添付した特許請求の範囲及び明細書の記載事項

折りたたみ中(クリックで表示)

願書に添付した特許請求の範囲及び明細書には、特に配列番号14、16のアミノ酸配列について、次の事項が記載されている。下線は当審による。

(1)特許請求の範囲

ア 「酵母-MUC1免疫療法組成物であって:
(a)酵母ビヒクル;及び
(b)少なくとも1のMUC1抗原を含む、融合タンパク質であって、MUC1抗原が、野生型MUC1のアミノ酸配列に関して以下:T422K、P430A、及びT431Lのアミノ酸置換によって配列番号14を有する野生型MUC1タンパク質のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を有する、融合タンパク質
を含む、免疫療法組成物。」(請求項24)

(2)明細書

イ 「1つの実施形態においては、本発明における使用に好適なMUC1アゴニスト抗原は、少なくとも1、2、…又はそれ以上のアミノ酸置換により、野生型(天然)のMUC1タンパク質若しくはポリペプチド又はそれらのペプチドとは異なるアミノ酸配列を有する、MUC1タンパク質若しくはポリペプチド又はそれらのペプチドを含み、該アミノ酸置換は、抗原に1以上のMUC1アゴニストエピトープを導入する。かかるアミノ酸置換としては、以下:T93、A161、P162、G169、S170、T171、A392、C406、T422、P430、T431、T444、D445、S460、S462、及び/又はA470、のアミノ酸位置における置換が挙げられ得る(置換の位置は、受入番号NP_001191214(配列番号14)で表されるアミノ酸配列を有する野生型MUC1に関して提供される(しかし、同一又は同等の位置は、容易に他のいずれかの野生型MUC1配列内で同定し得る))。1つの実施形態においては、置換は:T93L、A161Y、P162L、G169V、S170Y、T171L、A392Y、C406V、T422K、P430A、T431L、T444L、D445F、S460Y、S462K、及び/又はA470Lである。」([0043])

ウ 「テンプレートとして用いられる野生型MUC1タンパク質と比較して、配列番号16の配列は、以下:(配列番号16を参照し、配列番号14に対応する、受入番号NP_001191214で表される野生型MUC1の置換位置を、括弧内に更に参照して示された置換位置):T184L(野生型MUC1における93位)、A232Y(野生型MUC1における161位)、P233L(野生型MUC1における162位)、G240V(野生型MUC1における169位)、S241Y(野生型MUC1における170位)、T242L(野生型MUC1における171位)…のアミノ酸置換を含有する。」([0073])

エ 「簡潔に述べると、N末端からC末端にインフレームで融合された以下:(1)配列番号17のα因子リーダー配列(配列番号16の1位~89位に対応);(2)リンカー配列Thr-Ser(配列番号16の90位~91位に対応);(3)15アミノ酸のアゴニスト置換及び1の不活性置換の導入を除いて、野生型タンパク質に一致する全長MUC1アゴニストタンパク質(配列番号16の92位~566位に対応);及び(4)ヘキサペプチドヒスチジンタグ(配列番号16の567位~572位に対応)、の配列要素を有する単一のポリペプチドとして、配列番号16で表される、MUC1アゴニスト抗原を含む融合タンパク質を製造した。配列番号16は、配列番号15(酵母の発現のためにコドンを最適化)で表される塩基配列によりコードされる。…テンプレートとして用いられた野生型MUC1タンパク質と比較して、配列番号16は、以下:(配列番号16を参照し、括弧内で、配列番号14と同定された受入番号NP_001191214で表される野生型MUC1における置換の位置を更に参照し、置換位置を示す):T184L(野生型MUC1中93位)、A232Y(野生型MUC1中161位)、P233L(野生型MUC1中162位)、G240V、(野生型MUC1中169位)、S241Y(野生型MUC1中170位)、T242L(野生型MUC1中171位)、…のアミノ酸置換を含有する。」( [0190])

オ 「Ala Pro Asp Thr Arg Pro Ala Pro Gly Ser Thr … Ala Pro Asp Asn Arg Pro Ala Leu Gly Ser Thr」(配列表の配列番号14の141位~151位及び161位~171位)

カ 「Tyr Leu Asp Thr Arg Pro Ala Pro Val Tyr Leu … Ala Pro Asp Asn Arg Pro Ala Leu Gly Ser Thr」(配列表の配列番号16の232位~242位及び252位~262位)

2 訂正事項についての判断

(1)訂正の目的について

審判請求人は、訂正事項1~5は、いずれも、配列番号16のアミノ酸配列の特定のアミノ酸位置に対応する配列番号14のアミノ酸位置に関して、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである旨説明している。

以下、それぞれの訂正事項の内容に鑑み、訂正事項4及び5、訂正事項1~3の順で検討する。

ア 訂正事項4及び5

訂正事項4及び5はいずれも、配列番号16のアミノ酸配列の特定のアミノ酸位置に対応する配列番号14のアミノ酸位置の訂正に関するものである。

ここで、前記1(2)イ~エのとおり、配列番号14は野生型MUC1に係るアミノ酸配列であり、配列番号16は、その92位~566位に、15アミノ酸のアゴニスト置換と1の不活性置換が導入された全長野生型MUC1であるMUC1アゴニスト抗原を含む融合タンパク質のアミノ酸配列であり、すなわち配列番号16の92位が配列番号14の1位に対応する。

そのため、配列番号16の232位以降が配列番号14の141位以降に対応するところ、前記1(2)オ及びカから明らかであるとおり、アラニンからチロシン、プロリンからロイシン、グリシンからバリン、セリンからチロシン、チロシンからロイシンへの置換がそれぞれ生じているのは、配列番号16の232位(配列番号14の141位)、233位(同142位)、240位(同149位)、241位(同150位)、242位(同151位)の位置であって、明細書段落[0073]及び[0190]に記載されるような配列番号14の161位、162位、169位、170位、171位(前記1(2)ウ及びエ参照)ではない。また、配列番号14と配列番号16の対応部分(92位~566位、前記1(2)エ参照)との間で、配列番号14の141位、142位、149位、150位、151位以外に、これらの特定のアミノ酸置換が生じていると認められる位置は見当たらない。

そうすると、訂正事項4に係る明細書段落[0073]の配列番号16に関する「A232Y(野生型MUC1における161位)、P233L(野生型MUC1における162位)、G240V(野生型MUC1における169位)、S241Y(野生型MUC1における170位)、T242L(野生型MUC1における171位)」が「A232Y(野生型MUC1における141位)、P233L(野生型MUC1における142位)、G240V(野生型MUC1における149位)、S241Y(野生型MUC1における150位)、T242L(野生型MUC1における151位)」の誤記であり、また、訂正事項5に係る明細書段落[0190]の配列番号16に関する「A232Y(野生型MUC1中161位)、P233L(野生型MUC1中162位)、G240V、(野生型MUC1中169位)、S241Y(野生型MUC1中170位)、T242L(野生型MUC1中171位)」が「A232Y(野生型MUC1中141位)、P233L(野生型MUC1中142位)、G240V、(野生型MUC1中149位)、S241Y(野生型MUC1中150位)、T242L(野生型MUC1中151位)」の誤記であることは、当業者にとって明らかである。

したがって、訂正事項4及び5はいずれも、配列番号16のアミノ酸配列の特定のアミノ酸位置に対応する配列番号14のアミノ酸位置の誤りを訂正するものであり、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定される誤記の訂正を目的とするものである。

イ 訂正事項1~3

訂正事項1は、請求項25において引用される請求項24の記載(前記1(1)ア)からみて、配列番号14で表される野生型MUC1におけるアミノ酸位置に関して、置換を有する5つのアミノ酸位置を訂正事項4及び5と同様に「A161、P162、G169、S170、T171」から「A141、P142、G149、S150、T151」に訂正するものである。訂正事項3の前段についても同様である。

訂正事項2は、請求項27において引用される請求項24の記載(前記1(1)ア)からみて、配列番号14で表される野生型MUC1におけるアミノ酸位置に関して、特定のアミノ酸への置換を有する5つのアミノ酸位置を訂正事項4及び5と同様に「A161Y、P162L、G169V、S170Y、T171L」から「A141Y、P142L、G149V、S150Y、T151L」に訂正するものである。訂正事項3の後段についても同様である。

これらの点について、上記アで示したとおり、融合タンパク質中の野生型MUC1に置換を導入したMUC1抗原に上記のとおりの誤りがあることは明らかであるから、上記アと同様に、訂正事項1に係る請求項25及び訂正事項3の前段に係る明細書段落[0043]における「A161、P162、G169、S170、T171」が「A141、P142、G149、S150、T151」の誤記であり、また、訂正事項2に係る請求項27及び訂正事項3の後段に係る明細書段落[0043]における「A161Y、P162L、G169V、S170Y、T171L」が「A141Y、P142L、G149V、S150Y、T151L」の誤記であることは、当業者にとって明らかである。

したがって、訂正事項1から3は、配列番号16のアミノ酸配列の特定のアミノ酸位置に対応する配列番号14のアミノ酸位置の誤りを訂正するものであり、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定される誤記の訂正を目的とするものである。

ウ 小括

よって、訂正事項1~5はいずれも、配列番号16のアミノ酸配列の特定のアミノ酸位置に対応する配列番号14のアミノ酸位置の誤りを訂正するものであり、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定される誤記の訂正を目的とするものである。

(2)国際出願日における国際出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること

訂正事項1~5はいずれも、配列番号16のアミノ酸配列の特定のアミノ酸位置に対応する配列番号14のアミノ酸位置に関して訂正するものであり、これらの配列は、2014(平成26)年10月22日に米国に国際特許出願(外国語書面出願)された外国語書面(国際公開第2015/061416号)の一部を構成する配列表「SEQUENCE LISTING」の配列番号14及び配列番号16の記載に基づくものであるから、訂正事項1~5は、国際出願日における国際出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものといえる。

したがって、訂正事項1~5は、特許法第126条第5項に規定する要件に適合する。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと

前記(1)の理由から明らかなように、訂正事項1~5は、単に誤記を訂正することで、本来その意であることが明らかな内容に正すものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。

(4)独立特許要件について

前記(1)及び(3)で検討したとおり、訂正事項1~5は、特許請求の範囲に記載される技術的事項を変更するものではないから、訂正後の特許請求の範囲の請求項25~46に記載された発明は、特許された発明と同一であり、訂正後の特許請求の範囲の請求項25~46に記載された事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見当たらない。

したがって、訂正事項1~5は、特許法第126条第7項に規定する要件に適合する。

第4 むすび

以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項ないし第7項に規定する要件に適合する。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-390066

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