特許訂正審判
2021-390036
プライマー組成物及びカーテンウォールユニット
- 審判番号
- 2021-390036
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2018-538259
- 登録番号
- 特許第6690723号(P6690723)
- 請求日
- 2021年02月15日
- 審決日
- 2021年06月02日
- 公報発行日
- 2021年10月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】信越化学工業 株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人英明国際特許事務所
- 【請求人】韓国信越シリコーン株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人英明国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 川端 修
- 審判官 蔵野 雅昭
- 審判官 小出 輝
- 分類
- P141 .851-Y (C09D) / P141 .852-Y (C09D) / P141 .853-Y (C09D) / P141 .854-Y (C09D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6690723号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6690723号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-7〕について訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件特許第6690723号(以下「本件特許」という。)に係る特願2018-538259号は、平成29年7月18日(優先権主張 平成28年9月9日、日本国)を国際出願日とする特許出願であって、令和2年4月13日にその特許権の設定の登録がされた。その後、令和3年2月15日に本件訂正審判の請求(以下「本件訂正審判請求」という。)がなされたものである。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第6690723号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3、4~7について訂正することを認める。また、特許第6690723号の明細書を本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、訂正することを認める、との審決を求める。」(審判請求書2頁1~6行)、というものである。なお、審判請求書の「5 請求の趣旨」に記載された「訂正することを求める」(2カ所)は、「訂正することを認める」の誤記であると解釈した。
第3 訂正の内容等
1 概要
本件訂正審判請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下の訂正事項1~6からなるものである。
訂正事項1、2、3、4、5-1~5-7は、それぞれ、審判請求書の「6(2)ア~オ」に記載の訂正事項1~5に対応し、訂正事項6は、審判請求書の「6(2)訂正事項」には記載がないが、審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲の記載に基づいて、当審で認定したものである。
なお、本件訂正前の請求項1~7は、請求項2~7が、訂正事項1による訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあり、また、訂正事項5-1~5-7による明細書の訂正に係る請求項は、請求項1~7であるから、本件訂正は、請求項1~7の一群の請求項について請求されている。
(1) 訂正事項1
本件訂正前の請求項1の、「R2は同一でも異なっていてもよく、水素原子及び/又は非置換又は置換の一価炭化水素基である。」を、「R2は同一でも異なっていてもよく、水素原子及び/又は非置換の一価炭化水素基である。」に訂正する。
また、請求項1を直接又は間接的に引用する請求項4~7も、同様に訂正する。
(2) 訂正事項2
本件訂正前の請求項1の、「Ti(OR1)3(R2CH2COCH2COOCH2R2)1」を、「Ti(OR1)3(R2CH2COCHCOOCH2R2)1」に訂正する。
また、請求項1を直接又は間接的に引用する請求項4~7も、同様に訂正する。
(3) 訂正事項3
本件訂正前の請求項2の、「前記(B)成分が、(B1)テトラオルガノオキシチタン及び/又はその部分加水分解縮合物と(B2)アセト酢酸エステルとを、(B1)中のチタン原子1モルに対して(B2)アセト酢酸エステルを0.8モル以上1.2モル未満の比率で混合して生成する反応生成物の混合物であることを特徴とする請求項1に記載のプライマー組成物」を、
「有機樹脂、金属及び樹脂塗装された金属から選ばれる基材と室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物との接着性を向上させるプライマー組成物であって、
(A)R3SiO1/2単位(式中、各Rは独立に炭素数1~6の非置換又は置換の1価炭化水素基を表す。)及びSiO4/2単位を含み、SiO4/2単位に対するR3SiO1/2単位のモル比が0.6~1.2である三次元網状構造のオルガノシロキサンポリマー 100質量部と、
(B)(B1)テトラオルガノオキシチタン及び/又はその部分加水分解縮合物と(B2)アセト酢酸エステルとを、(B1)中のチタン原子1モルに対して(B2)アセト酢酸エステルを0.8モル以上1.2モル未満の比率で混合して生成する反応生成物の混合物であって下記式(1)で表されるチタン化合物を75モル%以上含有するオルガノオキシ基含有チタン化合物の混合物 300~1000質量部と、
Ti(OR1)3(R2CH2COCHCOOCH2R2)1 ・・・(1)
(式中、R1は同一でも異なっていてもよく、非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R2は同一でも異なっていてもよく、水素原子及び/又は非置換の一価炭化水素基である。)
(C)溶剤 1000~8000質量部
を含んでなることを特徴とするプライマー組成物」に訂正する。
また、請求項2を直接又は間接的に引用する請求項4~7も、同様に訂正する。
(4) 訂正事項4
本件訂正前の請求項3の、「前記(B)成分が、(B1)テトラオルガノオキシチタン及び/又はその部分加水分解縮合物と(B3)チタン原子1個に対して2個のアセト酢酸エステルのキレートが形成されているオルガノオキシ基含有チタンキレート化合物とを、(B1)中のチタン原子1モルに対して、(B3)チタン原子1個に対して2個のアセト酢酸エステルのキレートが形成されているオルガノオキシ基含有チタンキレート化合物を0.8モル以上1.2モル未満の比率で混合して生成する反応生成物の混合物であることを特徴とする請求項1に記載のプライマー組成物」を、
「有機樹脂、金属及び樹脂塗装された金属から選ばれる基材と室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物との接着性を向上させるプライマー組成物であって、
(A)R3SiO1/2単位(式中、各Rは独立に炭素数1~6の非置換又は置換の1価炭化水素基を表す。)及びSiO4/2単位を含み、SiO4/2単位に対するR3SiO1/2単位のモル比が0.6~1.2である三次元網状構造のオルガノシロキサンポリマー 100質量部と、
(B)(B1)テトラオルガノオキシチタン及び/又はその部分加水分解縮合物と(B3)チタン原子1個に対して2個のアセト酢酸エステルのキレートが形成されているオルガノオキシ基含有チタンキレート化合物とを、(B1)中のチタン原子1モルに対して、(B3)チタン原子1個に対して2個のアセト酢酸エステルのキレートが形成されているオルガノオキシ基含有チタンキレート化合物を0.8モル以上1.2モル未満の比率で混合して生成する反応生成物の混合物であって下記式(1)で表されるチタン化合物を75モル%以上含有するオルガノオキシ基含有チタン化合物の混合物 300~1000質量部と、
Ti(OR1)3(R2CH2COCHCOOCH2R2)1 ・・・(1)
(式中、R1は同一でも異なっていてもよく、非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R2は同一でも異なっていてもよく、水素原子及び/又は非置換の一価炭化水素基である。)
(C)溶剤 1000~8000質量部
を含んでなることを特徴とするプライマー組成物」に訂正する。
また、請求項3を直接又は間接的に引用する請求項4~7も、同様に訂正する。
(5) 訂正事項5-1
本件訂正前の明細書の発明の詳細な説明(以下、「発明の詳細な説明」という。)の段落【0012】の、
「[1]有機樹脂、金属及び樹脂塗装された金属から選ばれる基材と室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物との接着性を向上させるプライマー組成物であって、
(A)R3SiO1/2単位(式中、各Rは独立に炭素数1~6の非置換又は置換の1価炭化水素基を表す。)及びSiO4/2単位を含み、SiO4/2単位に対するR3SiO1/2単位のモル比が0.6~1.2である三次元網状構造のオルガノシロキサンポリマー 100質量部と、
(B)下記式(1)で表されるチタン化合物又は式(1)で表わされるチタン化合物を75モル%以上含有するオルガノオキシ基含有チタン化合物の混合物 300~1000質量部と、
Ti(OR1)3(R2CH2COCH2COOCH2R2)1 ・・・(1)
(式中、R1は同一でも異なっていてもよく、非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R2は同一でも異なっていてもよく、水素原子及び/又は非置換又は置換の一価炭化水素基である。)
(C)溶剤 1000~8000質量部
を含んでなることを特徴とするプライマー組成物。
[2]
前記(B)成分は、(B1)テトラオルガノオキシチタン及び/又はその部分加水分解縮合物と(B2)アセト酢酸エステルとを、(B1)中のチタン原子1モルに対して(B2)アセト酢酸エステルを0.8モル以上1.2モル未満の比率で混合して生成する反応生成物の混合物であることを特徴とする[1]記載のプライマー組成物。
[3]
前記(B)成分は、(B1)テトラオルガノオキシチタン及び/又はその部分加水分解縮合物と(B3)チタン原子1個に対して2個のアセト酢酸エステルのキレートが形成されているオルガノオキシ基含有チタンキレート化合物とを、(B1)中のチタン原子1モルに対して、(B3)チタン原子1個に対して2個のアセト酢酸エステルのキレートが形成されているオルガノオキシ基含有チタンキレート化合物を0.8モル以上1.2モル未満の比率で混合して生成する反応生成物の混合物であることを特徴とする[1]記載のプライマー組成物。
[4]
アミノ基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤、イソシアヌレート環含有シランを含有しないものである[1]~[3]のいずれかに記載のプライマー組成物」を、
「[1]
有機樹脂、金属及び樹脂塗装された金属から選ばれる基材と室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物との接着性を向上させるプライマー組成物であって、
(A)R3SiO1/2単位(式中、各Rは独立に炭素数1~6の非置換又は置換の1価炭化水素基を表す。)及びSiO4/2単位を含み、SiO4/2単位に対するR3SiO1/2単位のモル比が0.6~1.2である三次元網状構造のオルガノシロキサンポリマー 100質量部と、
(B)下記式(1)で表されるチタン化合物又は式(1)で表されるチタン化合物を75モル%以上含有するオルガノオキシ基含有チタン化合物の混合物 300~1000質量部と、
Ti(OR1)3(R2CH2COCHCOOCH2R2)1 ・・・(1)
(式中、R1は同一でも異なっていてもよく、非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R2は同一でも異なっていてもよく、水素原子及び/又は非置換の一価炭化水素基である。)
(C)溶剤 1000~8000質量部
を含んでなることを特徴とするプライマー組成物。
[2]
有機樹脂、金属及び樹脂塗装された金属から選ばれる基材と室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物との接着性を向上させるプライマー組成物であって、
(A)R3SiO1/2単位(式中、各Rは独立に炭素数1~6の非置換又は置換の1価炭化水素基を表す。)及びSiO4/2単位を含み、SiO4/2単位に対するR3SiO1/2単位のモル比が0.6~1.2である三次元網状構造のオルガノシロキサンポリマー 100質量部と、
(B)(B1)テトラオルガノオキシチタン及び/又はその部分加水分解縮合物と(B2)アセト酢酸エステルとを、(B1)中のチタン原子1モルに対して(B2)アセト酢酸エステルを0.8モル以上1.2モル未満の比率で混合して生成する反応生成物の混合物であって下記式(1)で表されるチタン化合物を75モル%以上含有するオルガノオキシ基含有チタン化合物の混合物 300~1000質量部と、
Ti(OR1)3(R2CH2COCHCOOCH2R2)1 ・・・(1)
(式中、R1は同一でも異なっていてもよく、非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R2は同一でも異なっていてもよく、水素原子及び/又は非置換の一価炭化水素基である。)
(C)溶剤 1000~8000質量部
を含んでなることを特徴とするプライマー組成物。
[3]
有機樹脂、金属及び樹脂塗装された金属から選ばれる基材と室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物との接着性を向上させるプライマー組成物であって、
(A)R3SiO1/2単位(式中、各Rは独立に炭素数1~6の非置換又は置換の1価炭化水素基を表す。)及びSiO4/2単位を含み、SiO4/2単位に対するR3SiO1/2単位のモル比が0.6~1.2である三次元網状構造のオルガノシロキサンポリマー 100質量部と、
(B)(B1)テトラオルガノオキシチタン及び/又はその部分加水分解縮合物と(B3)チタン原子1個に対して2個のアセト酢酸エステルのキレートが形成されているオルガノオキシ基含有チタンキレート化合物とを、(B1)中のチタン原子1モルに対して、(B3)チタン原子1個に対して2個のアセト酢酸エステルのキレートが形成されているオルガノオキシ基含有チタンキレート化合物を0.8モル以上1.2モル未満の比率で混合して生成する反応生成物の混合物であって下記式(1)で表されるチタン化合物を75モル%以上含有するオルガノオキシ基含有チタン化合物の混合物 300~1000質量部と、
Ti(OR1)3(R2CH2COCHCOOCH2R2)1 ・・・(1)
(式中、R1は同一でも異なっていてもよく、非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R2は同一でも異なっていてもよく、水素原子及び/又は非置換の一価炭化水素基である。)
(C)溶剤 1000~8000質量部
を含んでなることを特徴とするプライマー組成物。
[4]
アミノ基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤、イソシアヌレート環含有シランを含有しないものである[1]~[3]のいずれかに記載のプライマー組成物。」に訂正する。
(6) 訂正事項5-2
発明の詳細な説明の段落【0015】の、「式(1)で表わされる」を、「式(1)で表される」に訂正する。
(7) 訂正事項5-3
発明の詳細な説明の段落【0015】、【0024】の「Ti(OR1)3(R2CH2COCH2COOCH2R2)1」(それぞれ1カ所)を「Ti(OR1)3(R2CH2COCHCOOCH2R2)1」に訂正し、【0026】の「Ti(OR1)2(R2CH2COCH2COOCH2R2)2」を「Ti(OR1)2(R2CH2COCHCOOCH2R2)2」に訂正し、【0034】の「配位子(R2CH2COCH2COOCH2R2)」(2カ所)を「配位子(R2CH2COCHCOOCH2R2)」に訂正する。
(8) 訂正事項5-4
発明の詳細な説明の段落【0015】、【0024】、【0031】の「水素原子及び/又は非置換又は置換の一価炭化水素基である。)」を「水素原子及び/又は非置換の一価炭化水素基である。)」に訂正する。
(9) 訂正事項5-5
発明の詳細な説明の段落【0025】の、「(B1)テトラアルコキシチタン等のテトラオルガノオキシシラン」を、「(B1)テトラアルコキシチタン等のテトラオルガノオキシチタン」に訂正する。
(10) 訂正事項5-6
発明の詳細な説明の「(B1)成分のテトラオルガノオキシシラン」(段落【0026】に2カ所、段落【0029】に2カ所、)を、いずれも、「(B1)成分のテトラオルガノオキシチタン」に訂正する。
(11) 訂正事項5-7
発明の詳細な説明の「(B1)成分であるテトラオルガノオキシシラン」(段落【0027】に1カ所、段落【0029】に1カ所)を、いずれも、「(B1)成分であるテトラオルガノオキシチタン」に訂正する。
(12) 訂正事項6
本件訂正前の請求項1の、「式(1)で表わされる」を、「式(1)で表される」に訂正する。
また、請求項1を直接又は間接的に引用する請求項4~7も、同様に訂正する。
第4 訂正の適否の判断
1 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
(1) 訂正事項1について
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1について、(B)成分の式(1)における「R2」が「同一でも異なっていてもよく、水素原子及び/又は非置換又は置換の一価炭化水素基」とされていたものを、「同一でも異なっていてもよく、水素原子及び/又は非置換の一価炭化水素基」に訂正することにより、その選択肢の一部(置換の一価炭化水素基)を削除するものである。
また、本件訂正後の請求項1を引用する請求項4~7についても、同様に、「R2」の選択肢の一部を削除するものである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記のとおり、訂正事項1に係る訂正は、「R2」の選択肢の一部を削除するものであり、請求項4~7についても同様に訂正するものであるから、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
また、訂正事項1に係る訂正は、「R2」の選択肢の一部を削除するものであり、請求項4~7についても同様に訂正するものであるので、本件訂正前の請求項1に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(2) 訂正事項2について
ア 訂正事項2は、本件訂正前の請求項1に、「Ti(OR1)3(R2CH2COCH2COOCH2R2)1」と記載されていたものを、「Ti(OR1)3(R2CH2COCHCOOCH2R2)1」に訂正し、また、本件訂正後の請求項1を引用する請求項4~7についても、同様に、訂正するものである。
イ 以下に述べるように、訂正前の「Ti(OR1)3(R2CH2COCH2COOCH2R2)1」には、「Ti(OR1)3(R2CH2COCH2COOCH2R2)1」と「Ti(OR1)3(R2CH2COCHCOOCH2R2)1」の両者が実質的に含まれているのにもかかわらず、「Ti(OR1)3(R2CH2COCH2COOCH2R2)1」と表記され、明瞭でない記載となっていたところ、訂正事項2は、「R2」の選択肢の一部を削除する訂正事項1にともない、「Ti(OR1)3(R2CH2COCH2COOCH2R2)1」が含まれないことを明確にして、「Ti(OR1)3(R2CH2COCHCOOCH2R2)1」のみが含まれることを特定するものであるから、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的としたものであり、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないものであるといえる。以下、詳説する。
ウ まず、訂正前の「Ti(OR1)3(R2CH2COCH2COOCH2R2)1(R1は非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R2は水素原子及び/又は非置換又は置換の一価炭化水素基である)」という化学式で表される化合物について検討する。当該化合物は、その化学式に基づき、金属原子(Ti)に「OR1」で表される基が3個と「R2CH2COCH2COOCH2R2」で表される化合物が1個結合(配位)した一般に金属錯体と呼ばれる化合物であると、理解することができる。
また、上記化学式で表される金属錯体において、金属原子(Ti)に結合した「OR1」がアルコキシル基(あるいはオルガノオキシ基)と呼ばれる基であり、「R2CH2COCH2COOCH2R2」は、配位子と呼ばれるものであることは技術常識である。
そして、上記化学式の価数について検討すると、技術常識に照らして、当該化学式の価数は全体としては中性(0価)であり、「OR1」は-1価であり、「R2CH2COCH2COOCH2R2」は中性であると解することが合理的であるから、このような場合は、Tiの価数は+3であり、上記化学式で表される金属錯体は、3価のTiの化合物(金属錯体)であるということができる。
ここで、このように理解した場合には、中性の配位子である「R2CH2COCH2COOCH2R2」が、+3価のTiに配位結合を形成することができるもの(配位座となりうる部分構造を備えているもの)であることを要するが、R2が「置換の一価炭化水素基」である場合には、+3価のTiに配位結合を形成することができるものが存在する可能性があるとしても、R2が「水素原子及び/又は非置換の一価炭化水素基」である場合には、+3価のTiに配位結合を形成するものが存在するということは困難である。すなわち、該当する化合物(例えば、アセト酢酸エチル)が、+3価のTiに配位子として結合している金属錯体は、世の中に知られているとはいえない。
したがって、R2が「水素原子及び/又は非置換の一価炭化水素基」である場合については、上記化学式で表される金属錯体が実在するとはいえないから、「R2CH2COCH2COOCH2R2」という配位子は、Tiに配位結合を形成することができないものであると考えるのが合理的である。
そうすると、上記化学式で表される金属錯体は、訂正前のR2が「置換の一価炭化水素基」である場合は存在するとしても、訂正後のR2が「水素原子及び/又は非置換の一価炭化水素基」に特定された場合については、「R2CH2COCH2COOCH2R2」という配位子はTiに配位結合を形成することができず、そのような化合物は存在しないと考えるのが合理的である。
エ 次に、発明の詳細な説明の記載を検討する。
発明の詳細な説明には、「Ti(OR1)3(R2CH2COCH2COOCH2R2)1」の製造方法について以下の記載がある。
「【0024】
(B)成分は、下記式(1)で表されるアルコキシ基含有チタン化合物等のオルガノオキシ基含有チタン化合物を主成分として75モル%以上、好ましくは80モル%以上含有するオルガノオキシ基含有チタン化合物の混合物である。
Ti(OR1)3(R2CH2COCH2COOCH2R2)1 … (1)
(式中、R1は同一でも異なっていても良く、非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R2は同一でも異なっていても良く、水素原子及び/又は非置換又は置換の一価炭化水素基である。)
【0025】
より具体的には、(B)成分は、(B1)テトラアルコキシチタン等のテトラオルガノオキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物と(B2)アセト酢酸エステルとを、(B1)中のチタン原子1モルに対して(B2)アセト酢酸エステルを0.8モル以上1.2モル未満の比率で混合して生成する反応生成物の混合物であってもよい。
【0026】
この場合、(B1)成分のテトラオルガノオキシシランと(B2)成分のアセト酢酸エステルとの反応は、室温(25℃)にて定量的に容易に進行して、(B1)成分のテトラオルガノオキシシラン中の4個のオルガノオキシ基のうちの1個がアセト酢酸エステルと交換して式(1)で示されるキレート錯体を生成するものであり、更に、(B1)成分の全てが式(1)で示されるチタンキレート錯体に変換してもなお、過剰の(B2)成分であるアセト酢酸エステルが反応系内に残存している場合には、式(1)で示されるチタンキレート錯体全体のうち過剰の(B2)成分と等モル分だけが、式(1)で示されるチタンキレート錯体中の3個のオルガノオキシ基のうちの1個がアセト酢酸エステルと更に交換して、下記式(1)’に示す(B3)成分であるチタン原子1個に対して2個のオルガノオキシ基を有すると共に2個のアセト酢酸エステルのキレートが形成されているアルコキシ基含有チタンキレート錯体を定量的に生成するものである。
Ti(OR1)2(R2CH2COCH2COOCH2R2)2 … (1)’
(式中、R1及びR2の定義は同じである。)」
なお、「テトラオルガノオキシシラン」(【0025】に1カ所、【0026】に2カ所)は、「テトラオルガノオキシチタン」の誤記であると認めた。また、「アセト酢酸エステル」(【0025】に2カ所、【0026】に5カ所)の「アセト」は、「CH3CO」を意味する用語であるので、「アセト酢酸エステル」に対応する化学式は、「CH3COCH2COOCH2R2」であり、「R2CH2COCH2COOCH2R2」(アシル酢酸エステル)ではないが、「アセト酢酸エステル」が「R2CH2COCH2COOCH2R2」を意味する用語として誤用されているものと認めた。
上記によれば、発明の詳細な説明には、「Ti(OR1)3(R2CH2COCH2COOCH2R2)1」という化合物の製造方法について、テトラオルガノオキシチタン(Ti(OR1)4)と「R2CH2COCH2COOCH2R2」を混合することにより、テトラオルガノオキシチタン中の4個のオルガノオキシ基(OR1)のうちの1個が「R2CH2COCH2COOCH2R2」と定量的に交換して式(1)で示されるキレート錯体を生成する」(段落【0026】)と説明され、その際、過剰の「R2CH2COCH2COOCH2R2」が存在する場合には、「Ti(OR1)3(R2CH2COCH2COOCH2R2)1」中の3個のオルガノオキシ基(OR1)のうちの1個がさらに「R2CH2COCH2COOCH2R2」と定量的に交換して「Ti(OR1)2(R2CH2COCH2COOCH2R2)2」となると説明され、これらの交換反応が室温(25℃)で容易に定量的に進行するものであることが説明されているが、これらの説明は、要するにオルガノオキシ基が「R2CH2COCH2COOCH2R2」と定量的に交換すると述べるにとどまるものであって、化学反応式などは何も示されておらず、発明の詳細な説明の記載からは、請求項に記載された「R2CH2COCH2COOCH2R2」が、その表現された化学式に限られるものであると解釈することはできない。
オ そこで、当該化学反応式を推定する参考資料として、特開平4-18481号公報(第1頁左下欄、第3頁右下欄1行~4頁右上欄5行)を参照することとする。
上記公報には、チタンのアルコキシサイド(テトラオルガノオキシチタンに該当する)とアセト酢酸エステル(R2CH2COCH2COOCH2R2に該当する)を反応させることによって、チタンのアセト酢酸エステル錯体が生成する化学反応について記載されている。そして、この化学反応は、チタンのアルコキシサイド、アセト酢酸エステル、及び、チタンのアセト酢酸エステル錯体が、それぞれ、上記交換反応における、テトラオルガノオキシチタン、R2CH2COCH2COOCH2R2、及び、式(1)で示されるキレート錯体に該当する点で、反応基質及び反応生成物が共通しているから、上記交換反応の化学反応式を、この化学反応の反応式と同様のものであると推定することは、合理的であるといえる。
そして、上記公報には、アセト酢酸エステルが二座配位子(キレート配位子)であること、当該反応は、具体的には、チタンのアルコキシサイドに対してアセト酢酸エステルを2倍モル反応させるものであり、その化学反応式が「Ti(OR3)4 + 2CH3COCH2CO2R → Ti(OR3)2(CH3COCHCO2R)2 + 2R3OH」というものであること、その好ましい反応温度が室温~約100℃であり、好ましい反応時間が10分間~4時間であることなどが記載されている。また、これらの記載に基づき、二座配位子が、アセト酢酸エステルそのものではなく、アセト酢酸エステルの「CO」と「COO」に挟まれたメチレン(CH2)の水素が1つ失われているアニオン([CH3COCHCO2R]-)であることも理解できる。
以上によれば、当業者は、本件発明に係る交換反応の化学反応式が、「Ti(OR1)4 + R2CH2COCH2COOCH2R2 → Ti(OR1)3(R2CH2COCHCOOCH2R2)1 + R1OH」というものである可能性があり、この化学反応式においては、反応生成物が「Ti(OR1)3(R2CH2COCHCOOCH2R2)1」であって、「Ti(OR1)3(R2CH2COCH2COOCH2R2)1」ではないものの、発明の詳細な説明中の多数の誤記についても上記公報の記載や技術常識に照らして解釈すると、請求項1や発明の詳細な説明中に多数記載されている「Ti(OR1)3(R2CH2COCH2COOCH2R2)1」は、いずれも「Ti(OR1)3(R2CH2COCHCOOCH2R2)1」(+4価のTiの化合物)も意味するものであると理解するのが合理的である。
カ 以上をまとめると、訂正前は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1の「Ti(OR1)3(R2CH2COCH2COOCH2R2)1」が表す化合物について、その記載のとおりの+3価のTiの化合物を表しているという解釈(ただし、実質的には「R2CH2COCH2COOCH2R2」という配位子がTiに配位結合を形成することができるものである場合、すなわち、R2が「置換の一価炭化水素基」であり、かつ、当該置換基が配位座となりうる部分構造を備えているものに限る。以下、「特定の+3価のTiの化合物」という。)の他に、「Ti(OR1)3(R2CH2COCHCOOCH2R2)1」という+4価のTiの化合物を表していると解釈することができることから、そのような化合物を「Ti(OR1)3(R2CH2COCH2COOCH2R2)1」という化学式で記載することは明確ではなかったといえる。
キ これに対し、訂正事項1、2による訂正後の請求項1の記載は、「Ti(OR1)3(R2CH2COCHCOOCH2R2)1(式中、R1は同一でも異なっていてもよく、非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R2は同一でも異なっていてもよく、水素原子及び/又は非置換の一価炭化水素基である。)」であり、訂正事項1による訂正で、R2が「置換の一価炭化水素基」である場合が除かれたので、本件訂正前の「Ti(OR1)3(R2CH2COCH2COOCH2R2)1」が「特定の+3価のTiの化合物」を表しているという解釈は採り得なくなった。
また、本件訂正前の「R2CH2COCH2COOCH2R2」という記載では、この記載が「R2CH2COCHCOOCH2R2」と「R2CH2COCH2COOCH2R2」のいずれを意味しているのかが明確ではなかったが、本件訂正により、前者であることが明確になった。
また、請求項4~7についても同様に訂正されるので、明確になった。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであると認められる。
ク また、本件訂正前の請求項1の本件特許の特許請求の範囲の請求項1の「Ti(OR1)3(R2CH2COCH2COOCH2R2)1」という記載が表す化合物について、「特定の+3価のTiの化合物」と「Ti(OR1)3(R2CH2COCHCOOCH2R2)1」という+4価のTiの化合物の双方を表しているとも解することができたところ、訂正事項2による訂正後は、後者のみを表すものに限定され、請求項4~7についても同様に限定されることになる。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとも認められる。
ケ また、上記のとおり、訂正事項2に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、請求項4~7についても同様に訂正するものであるから、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
また、訂正事項2に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明または特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、請求項4~7についても同様に訂正するものであるから、本件訂正前の請求項1、4~7に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(3) 訂正事項3について
訂正事項3に係る訂正は、要するに、本件訂正前の請求項2が請求項1を引用する記載であったものを、引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しない記載とするとともに、訂正事項1、2と同じ訂正をするというものである。
そうすると、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、第3号に規定する明瞭でない記載の釈明、又は、第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであると認められる。
また、訂正事項3に係る訂正は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、明瞭でない記載の釈明または特許請求の範囲の減縮のみを目的とするものであり、請求項4~7についても同様に訂正するものであるから、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
また、訂正事項3に係る訂正は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、明瞭でない記載の釈明または特許請求の範囲の減縮のみを目的とするものであり、請求項4~7についても同様に訂正するものであるから、本件訂正前の請求項2、4~7に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4) 訂正事項4について
訂正事項4に係る訂正は、要するに、本件訂正前の請求項3が請求項1を引用する記載であったものを、引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しない記載とするとともに、訂正事項1、2と同じ訂正をするというものである。
そうすると、訂正事項4に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、第3号に規定する明瞭でない記載の釈明、又は、第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであると認められる。
また、訂正事項4に係る訂正は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、明瞭でない記載の釈明、又は、特許請求の範囲の減縮のみを目的とするものであり、請求項4~7についても同様に訂正するものであるから、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
また、訂正事項4に係る訂正は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、明瞭でない記載の釈明又は特許請求の範囲の減縮のみを目的とするものであり、請求項4~7についても同様に訂正するものであるから、本件訂正前の請求項3~7に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(5) 訂正事項6について
訂正事項6に係る訂正は、本件訂正前の請求項1の、「式(1)で表わされる」という記載に、送り仮名の誤りがあったためその意味が明瞭ではなかったので、「式(1)で表される」に訂正し、請求項1を直接又は間接的に引用する請求項4~7も、同様に訂正するものであるから、訂正事項6に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであると認められる。
また、訂正事項6に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明のみを目的とするものであり、請求項4~7についても同様に訂正するものであるから、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
また、訂正事項6に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明のみを目的とするものであり、請求項4~7についても同様に訂正するものであるから、本件訂正前の請求項3~7に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項6に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(6) 訂正事項5-1~5-7について
ア 訂正の目的の適否について
訂正事項5-1に係る訂正は、訂正事項1~4、6に係る訂正により特許請求の範囲が訂正されることにともなって、明細書の記載と特許請求の範囲の記載の不整合が生じるので、段落【0012】の記載について、訂正事項1~4、6に係る訂正と同様の訂正をするとともに、読点が欠落していた箇所に読点を追加するものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであると認められる。
訂正事項5-2~5-4に係る訂正は、発明の詳細な説明の段落【0015】、【0024】、【0026】、【0031】、【0034】の記載について、訂正事項1、2、6と同様の訂正をするものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであると認められる。
訂正事項5-5~5-7に係る訂正は、発明の詳細な説明の段落【0025】、【0026】、【0027】、【0029】の記載について、明らかに「チタン」と記載すべき箇所に、「シラン」と記載されている箇所を、本来の意味の「チタン」に訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものであると認められる。
イ 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項5-1~5-7に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明又は誤記又は誤訳の訂正のみを目的とするものであるから、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
また、訂正事項5-1~5-7に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明又は誤記又は誤訳の訂正のみを目的とするものであるから、本件訂正前の請求項1~7に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項5-1~5-7に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
2 独立特許要件について
上記1のとおり、訂正事項1~6に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮又は誤記又は誤訳を目的とするものを含むものであるが、訂正事項1~6に係る訂正後の請求項1~7に係る発明について独立して特許することができないと認められる理由を発見しない。
したがって、訂正事項1~6に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
3 別の訂正単位とする求めについて(付言)
審判請求人は、本件訂正後の請求項2、3については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めているが、請求項4(~7)は、請求項1~3をいずれも引用しているから、請求項1~7は、一群の請求項であり、そのような求めは採用することができない。
第5 結論
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号~第4号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項~第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-390036