商標取消審判
2021-300667
アイテラス、イテラス、テラス
- 審判番号
- 2021-300667
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2011-072413
- 登録番号
- 5479924
- 請求日
- 2021年09月03日
- 審決日
- 2022年11月14日
- 公報発行日
- 2023年02月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】安達 友和
- 【被請求人】岩崎不動産 株式会社
- 【被請求人代理人】弁理士法人スズエ国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 矢澤 一幸
- 審判官 豊田 純一
- 審判官 杉本 克治
- 分類
- T132 .1 -Y (X35)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第1号、商標法第50条、商標法第2条第3項第5号、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第2項、商標法第2条第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5479924号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5479924号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおり、「iTerrace」の欧文字と「アイテラス」の片仮名を2段に書してなり、平成23年10月11日に登録出願、第35類「ショッピングセンター・ショッピングモールの事業の運営・管理,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理」を含む第35類及び第36類に属する商標登録原簿記載の役務を指定役務として、同24年3月16日に設定登録されたものである。
そして、本件審判請求の登録は、令和3年9月27日にされたものであり、この登録前3年以内の期間(平成30年(2018年)9月27日~令和3年(2021年)9月26日)を、以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張の要点
請求人は、本件商標の指定役務中、第35類「ショッピングセンター・ショッピングモールの事業の運営・管理,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理」(以下「本件審判請求に係る指定役務」という。)の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書、令和3年11月12日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年12月6日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
なお、以下、証拠の表示については、「甲第○号証」を「甲○」、「乙第○号証」を「乙○」のように、簡略して表記する場合があり、枝番号をすべて示すときは枝番号を省略する。
1 請求の理由
本件商標は、本件審判請求に係る指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 弁駁書による主張
(1)乙第2号証ないし乙第4号証及び乙第6号証ついて
アイテラス落合南長崎のウェブサイト(乙2)、アイテラス落合南長崎の各フロア情報(乙3)、アイテラス落合南長崎のアクセス情報に関する資料(乙4)、店舗別営業時間のお知らせに関する資料(乙6)は、「iTerrace」、「アイテラス」及び「アイテラス\iTerrace」の表示が認められるが、これらの資料はショッピングセンター自体のウェブサイトであり、前記表示は、ショッピングセンターの名称としての使用にすぎず、「ショッピングセンター・ショッピングモールの事業の運営・管理,商品の販売に関する情報の提供」についての使用ではない。
すなわち、岩崎不動産株式会社(以下「岩崎不動産社」又は「本件商標権者」という。)がアイテラス落合南長崎の運営・管理に関する一切の業務を委託するとする株式会社二十一世紀(以下「二十一世紀社」という。)が「iTerrace」、「アイテラス」及び「アイテラス\iTerrace」という商標を用いて小売り役務を提供しているといい得たとしても、「iTerrace」、「アイテラス」及び「アイテラス\iTerrace」という商標を用いて「ショッピングセンター・ショッピングモールの事業の運営・管理,商品の販売に関する情報の提供」の役務を行っているとはいえない。
第35類の「ショッピングセンター・ショッピングモールの事業の運営・管理」については、「商業等に従事する企業に対するショッピングセンター・ショッピングモールの事業の運営・管理」と解するべきであり、仮に自己が「ショッピングセンター・ショッピングモールの事業の運営・管理」を行っていたとしても、本件商標の指定役務中の「ショッピングセンター・ショッピングモールの事業の運営・管理」には当たらないというべきである。
また、「商品の販売に関する情報の提供」については、「商業等に従事する企業に対する商品の販売に関する情報の提供」と解するべきであり(甲3)、ショッピングセンター・ショッピングモールにおいて商品の最終需要者である消費者に対し商品を紹介することなどは、本件指定役務の「商品の販売に関する情報の提供」には当たらないというべきである。
仮に、これらの表示の使用が「ショッピングセンター・ショッピングモールの事業の運営・管理,商品の販売に関する情報の提供」の役務についての使用と主張されるのであれば、商標法第2条第3項第1号ないし同項第10号に規定の「使用」のいずれに該当するのか不明である。
(2)乙第5号証ついて
アイテラス落合南長崎の事業主に関する資料(乙5)は、「アイテラス落合南長崎」という表示が認められるが、これは単にショッピングセンター名を表示したにすぎず、本件商標を「ショッピングセンター・ショッピングモールの事業の運営・管理,商品の販売に関する情報の提供」について使用したとは認められない。
(3)乙第7号証について
被請求人は、「岩崎不動産株式会社は「iTerrace\アイテラス」の商標を「ショッピングセンター・ショッピングモールの事業の運営・管理」について広告的に使用していることがわかる」としているが、ここでいう「広告的に使用」とは、商標法第2条第3項第8号のことを言及しているのであれば、誰に対する「ショッピングセンター・ショッピングモールの事業の運営・管理」に関する広告であるのかが不明である。
また、乙第7号証の2には不鮮明ながら「iTerrace/アイテラス」の表示が入った電光掲示板が認められるが、これは、単に一般消費者に対する「iTerrace/アイテラス」という名前のショッピングセンターの広告にすぎない。
よって、これらの証拠からは、被請求人が主張するような「岩崎不動産株式会社は「iTerrace/アイテラス」の商標の下、「ショッピングセンター・ショッピングモールの事業の運営・管理」を行っている」とはいえない。
(4)乙第8号証ないし乙第11号証ついて
乙第8号証ないし乙第11号証が示すものは単にショッピングセンターの名称である「アイテラス落合南長崎」、「iTerrace落合南長崎」又は「iTerrace」を表示したにすぎず、「ショッピングセンター・ショッピングモールの事業の運営・管理,商品の販売に関する情報の提供」についての商標法第2条第3項第1号ないし同項第10号に規定する標章の「使用」とはいえない。
(5)まとめ
以上により、被請求人の答弁書による主張は、審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務のいずれかについての登録商標の使用していることを証明するものではない。
第3 被請求人の主張の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書において、その理由を要旨、以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第11号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 主張の要旨
本件商標権者又は通常使用権者は、本件商標を要証期間に、日本国内において、本件審判請求に係る指定役務に使用していた。
2 答弁の理由
(1)本件商標権者である岩崎不動産社は、「iTerrace」の商標の下、東京都豊島区南長崎において複合型ショッピングセンターアイテラス落合南長崎(以下「アイテラス落合南長崎」という。)を運営している(乙2)。
このアイテラス落合南長崎は、物販・飲食・スポーツ・子育て支援及び医療など、さまざまな日常生活に関するサービスを詰め込んだ複合商業施設であり(乙3)、都営地下鉄大江戸線「落合南長崎」駅のA3出口に直結している(乙4)。
そして、アイテラス落合南長崎は、岩崎不動産社及び二十一世紀社が事業主となって施工されたもので、2012年3月30日にオープンし(乙5)、オープンしてから現在まで継続して同所、同名称にて存続している。
この点、要証期間である2021年1月8日においても、アイテラス落合南長崎が複合商業施設として運営されていたことは、ホームページに掲載されていた「各店舗別営業時間のお知らせ」(乙6)から明らかである。
(2)岩崎不動産社は、平成24年(2012年)3月29日付けで、東京都交通局と大江戸線落合南長崎駅地下通路の広告掲出契約書を締結し(乙7の1)、契約締結から現在まで継続して、「iTerrace/アイテラス」の商標が掲載された電光掲示板を大江戸線落合南長崎駅地下通路に設置している(乙7の2)。
このことから、岩崎不動産社は「iTerrace/アイテラス」の商標を「ショッピングセンター・ショッピングモールの事業の運営・管理」について広告的に使用していることがわかる。
以上より、岩崎不動産社は「iTerrace/アイテラス」の商標の下、「ショッピングセンター・ショッピングモールの事業の運営・管理」を行っている。
(3)二十一世紀社は、ショッピングセンターであるアイテラス落合南長崎の管理運営会社であり(乙8、乙11)、アイテラス落合南長崎の運営・管理をオープン時から現在まで行っている。
そして、その一環として、2020年4月8日及び同月9日において、「営業・売上関係(2020年3月度)」、「管理関係(メンテナンス関係)」、「販売促進活動報告と計画案」、「防火・防災関係」及び「連絡事項(2020年度iTerrace落合南長崎売上予算)」について、iTerrace落合南長崎店長会を開いている(乙9)。
また、二十一世紀社は、2020年4月8日において、緊急事態宣言及び東京都からの休業要請を受けて、各テナントに対し休業要請をするなど、ショッピングセンターであるアイテラス落合南長崎の事業を円滑に運営するための新型コロナ感染予防対策も行っている(乙10)。
このことから、二十一世紀社は、「iTerrace/アイテラス」の商標の下、「ショッピングセンター・ショッピングモールの事業の運営・管理」を行っていることがわかる。
(4)二十一世紀社は、上記店長会において、営業・売上関係(2020年3月度)資料として、アイテラス落合南長崎に出店している各テナントに対し、2020年3月度の日別売上及び曜日別売上に関する情報を提供している(乙9の2)。
このことから、二十一世紀社は、「iTerrace/アイテラス」の商標の下、「商品の販売に関する情報の提供」を行っていることがわかる。
ここで、岩崎不動産社と二十一世紀社は、平成24年(2012年)3月30日付けにおいて、岩崎不動産社が所有する「iTerrace落合南長崎」の管理・運営に関して、管理業務委託契約を締結している(乙11)。
すなわち、岩崎不動産社は二十一世紀社に対し、(ア)テナントの管理、連携、折衝等の業務、(イ)テナントの募集、選択及びテナントとの間の賃貸借契約の締結等その他契約関係の管理業務一切、(ウ)固定賃料、売上歩合賃料、共益費その他の使用料などの徴収等その他管理に必要な諸経費の支払いなどの収支管理業務一切、(エ)広告宣伝・販売促進に関する業務一切、(オ)建物内外の清掃、衛生管理に関する業務一切、(カ)電気設備、冷暖房空調換気設備など建物付属設備の操作、運転などの機能管理業務一切、(キ)建物附属設備の保全及び保守管理業務一切、(ク)建物内外の保安管理業務一切、(ケ)官公庁、町内会などとの折衝などの渉外業務一切、(コ)その他別に定める事項についての、アイテラス落合南長崎の運営・管理に関する一切の業務を委託し、二十一世紀社は岩崎不動産社に対し、これを受託することを約している(乙11:iTerrace落合南長崎管理業務委託契約書第1条)。
この管理委託契約の最初の期間は、平成24年(2012年)4月1日から同27年(2015年)3月31日までの3年間となっているが(同契約第12条)、当事者が期間満了3月前までに別段の意思表示をしないときは、この契約は、同一条件をもってさらに2年間更新されるものであり(同条ただし書)、現在も有効である。
このことから、岩崎不動産社は、二十一世紀社が「iTerrace落合南長崎」の管理・運営をするに際し、「iTerrace/アイテラス」の商標を使用することについて使用許諾をしているといえる。
そうすると、二十一世紀社は、「iTerrace/アイテラス」に係る商標権の通常使用権者に該当する。
したがって、本件商標に係る「iTerrace/アイテラス」は、岩崎不動産社又は通常使用権者によって、本件審判の請求の登録前3年以内において、「ショッピングセンター・ショッピングモールの事業の運営・管理,商品の販売に関する情報の提供」の役務に使用されていることは明らかである。
第4 当審の判断
1 被請求人の立証責任
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、ア 要証期間に、イ 日本国内において、ウ 本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、エ 本件審判請求に係る指定役務のいずれかについての、オ 本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。
2 被請求人の提出した乙各号証によれば、以下のとおりである。
(1)乙第2号証ないし乙第4号証及び乙第6号証について
乙第2号証は、被請求人が「アイテラス落合南長崎のウェブサイト」と主張するものであり、乙第3号証は、被請求人が「アイテラス落合南長崎の各フロア情報」と主張するものであり、乙第4号証は、被請求人が「アイテラス落合南長崎のアクセス情報に関する資料」と主張するものであり、乙第6号証は、被請求人が「店舗別 営業時間のお知らせに関する資料」と主張するものであり、これらの証拠のトップページの左上には、「iTerrace」の欧文字(以下「使用商標」という。)が記載されていることが確認できる。
そうすると、ショッピングセンター「アイテラス落合南長崎」は、その出所を表示する場合に、使用商標を使用していることが推認できる。
(2)乙第5号証について
乙第5号証は、被請求人が、「アイテラス落合南長崎の事業主に関する資料」と主張するものであり、本号証の1葉目の左上に「特集実績」の記載、その下に「アイテラス落合南長崎」の記載があり、右側の事業主の欄に「岩崎不動産株式会社」の記載、その下に「・事業計画策定」の記載及び「・施設コンセプト策定」の記載がある。
(3)乙第7号証について
乙第7号証の1は、平成24年3月29日に、東京都交通局長と岩崎不動産社の代表取締役社長との間で締結された「大江戸線落合南長崎駅地下通路の広告掲出契約書」の写しであり、本号証の1葉目の「大江戸線落合南長崎駅地下通路の広告掲出契約書」の標題の下に、「東京都交通局(以下「甲」という。)と岩崎不動産株式会社(以下「乙」という。)とは、甲乙間で平成23年3月23日付けで締結した・・(中略)・・大江戸線落合南長崎駅A3出入り口等の維持管理に関する協定書第13条に基づき、大江戸線落合南長崎駅地下通路(・・中略・・以下「本施設」という。)における広告の掲出に関し、次の条件により契約を締結する。」の記載があり、「第2条」には、「広告掲出の方法及び内容は、甲の定める東京都交通局広告掲出審査要領に基づき乙が決定する。」の記載があり、「第4条」には「広告掲出の期間は、本施設の供用開始の日から平成44年3月31日までとする。ただし、期間満了前に甲乙協議のうえ期間を延長できるものとする。」の記載があり、本号証の3葉目に「平成24年3月29日」の記載があり、「甲」の欄に「東京都交通局長」の記載とその氏名の記載があり、「乙」の欄に「岩崎不動産株式会社」の記載と同社の代表取締役社長の氏名が記載されている。
また、乙第7号証の2は、被請求人が、「大江戸線落合南長崎駅地下通路の電光掲示板に関する資料」と主張するものであり、これらの電光掲示板には使用商標が表示されている。
3 判断
(1)本件商標の使用者、使用役務及び使用時期について
上記2によれば、本件商標権者である岩崎不動産社は、平成24年(2012年)3月30日にオープンした東京都豊島区南長崎在の「アイテラス落合南長崎」の事業主(乙5)である。
(2)使用商標及び本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について
上記2(1)及び(3)のとおり、ショッピングセンター「アイテラス落合南長崎」は、その出所を表示する場合に、使用商標を使用していることが推認できる。
また、岩崎不動産社代表取締役社長は、「アイテラス落合南長崎」のオープン前日の2012年3月29日に、東京都交通局長との間で、「大江戸線落合南長崎駅地下通路の広告掲出契約書」(乙7の1)を締結し、同契約に基づき、都営地下鉄大江戸線落合南長崎駅構内に電光掲示板が設置されており、係る電光掲示板には使用商標が表示されている。
そして、本件商標は、「iTerrace」の欧文字と「アイテラス」の片仮名を2段に書してなるところ、その構成中の「アイテラス」の片仮名は、「iTerrace」の欧文字の読みを表示するものと容易に認識できることから、「iTerrace」の欧文字のみの使用も本件商標の使用と認められる。
また、使用商標は、「iTerrace」の欧文字よりなるものであるから、本件商標と使用商標は、いずれも「アイテラス」と称呼されるものであり、本件商標の構成中の「iTerrace」と使用商標「iTerrace」は、つづりを共通にするものであることからすると、本件商標と使用商標は社会通念上同一の商標というべきである。
(3)使用役務、使用時期及び使用行為について
「ショッピングセンター・ショッピングモールの事業の運営・管理」の役務の範囲には、ショッピングセンターへの集客を目的として、効果的な設置場所や広告掲示の内容を検討し、実行する行為が含まれるものである。
これを本件について見ると、本件商標権者である岩崎不動産社は、ショッピングセンター「アイテラス落合南長崎」の事業の運営・管理の一環として、当該ショッピングセンターの最寄り駅の構内に、当該ショッピングセンターへの集客を目的として、東京都交通局に依頼し、当該ショッピングセンターのオープン時から令和14年3月31日までの間、広告掲示を行っていることが推認できる。
また、「大江戸線落合南長崎駅地下通路の広告掲出契約書」(乙7の1)第2条によると、「広告掲出の方法及び内容は、甲の定める東京都交通局広告掲出審査要領に基づき」という規約はあるものの、岩崎不動産社がその内容を決めることができ、その広告掲示には、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる使用商標が表示されていたことが確認できる。
そして、「ショッピングセンター・ショッピングモールの事業の運営・管理」の役務において、事業の運営の一環として行う広告掲示は、当該役務に係る「役務の提供の用に供する物」に該当すると判断することができる。
そうすると、岩崎不動産社が、要証期間に、日本国内において、本件審判請求に係る指定役務中の「ショッピングセンター・ショッピングモールの事業の運営・管理」の役務を提供するに当たり、その一環として広告掲示に本件商標と社会通念上同一の商標を付す行為を行ったことが確認でき、係る使用行為は、商標法第2条第3項第5号に該当すると認められる。
(4)請求人の主張について
請求人は、「岩崎不動産社は「iTerrace\アイテラス」の商標を「ショッピングセンター・ショッピングモールの事業の運営・管理」について広告的に使用していることがわかる」としているが、ここでいう「広告的に使用」とは、誰に対する「ショッピングセンター・ショッピングモールの事業の運営・管理」に関する広告であるのかが不明である。また、乙第7号証の2には不鮮明ながら「iTerrace/アイテラス」の表示が入った電光掲示板が認められるが、これは、単に一般消費者に対する「iTerrace/アイテラス」という名前のショッピングセンターの広告にすぎない。よって、これらの証拠からは被請求人が主張するような「岩崎不動産社は「iTerrace/アイテラス」の商標の下、「ショッピングセンター・ショッピングモールの事業の運営・管理」を行っている」とはいえない。」旨を主張する。
しかしながら、前記(3)のとおり、岩崎不動産社は、ショッピングセンター「アイテラス落合南長崎」の事業の運営・管理の一環として、当該ショッピングセンターの最寄り駅の構内に、当該ショッピングセンターへの集客を目的として、要証期間に広告掲示を行っていることが推認でき、「広告掲出の方法及び内容」は、岩崎不動産社が決めることができ、当該広告掲示には、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる使用商標が表示されていたことが確認できる。そして、「ショッピングセンター・ショッピングモールの事業の運営・管理」の役務において、事業の運営の一環として行う広告掲示は、当該役務に係る「役務の提供の用に供する物」に該当すると判断することができることから、岩崎不動社は、要証期間に、日本国内において、本件審判請求に係る指定役務中の「ショッピングセンター・ショッピングモールの事業の運営・管理」を提供するに当たり、その一環として広告掲示に本件商標と社会通念上同一の商標を付す行為を行ったことが確認でき、係る使用行為は、商標法第2条第3項第5号に該当すると認められる。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
(5)まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標権者がその請求に係る指定役務について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定役務について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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