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商標取消審判

2024-300566

オダチャンズ、オダチャン、オダ、オオデイエイ

審判番号
2024-300566
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2007-070067
登録番号
5210476
請求日
2024年08月19日
審決日
2025年06月11日
公報発行日
2025年09月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】弁理士法人 コンテンツシグナルIP
  • 【被請求人】株式会社 小田急百貨店
  • 【被請求人代理人】轟木 哲
  • 【被請求人代理人】植田 晋一
審判長/審判官
  • 審判長 旦 克昌
  • 審判官 大島 康浩
  • 審判官 小林 裕子
分類
T132 .1 -Y (X35)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第2条第3項第7号、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第1項、商標法第50条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第5210476号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第5210476号商標(以下「本件商標」という。)は、「ODAchan’s」の文字を標準文字で表してなり、平成19年6月28日に登録出願、「おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,建具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同21年3月6日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、令和6年9月2日である。 なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である令和3年(2021年)9月2日から同6年(2024年)9月1日までを、以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の指定役務中、第35類「おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,建具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「請求に係る役務」という場合がある。)についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定役務中、請求に係る役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 請求人は、被請求人の答弁に対し、何ら弁駁していない。 第3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判事件答弁書において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 本件審判請求が成り立たない旨の理由 商標権者である被請求人は、日本国内において要証期間内に、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標を指定役務中「身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下、「身の回り品の小売等役務」という場合がある)について、電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他人の知覚によっては認識することができない方法をいう。以下同じ。)により行う映像面を介した役務の提供にあたりその映像面に標章を表示して役務を提供し、又は商品若しくは役務に関する広告等し、これらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供している事実がある。 これは商標法第2条第3項第7号又は第8号に該当する行為であるから「商標の使用」に該当する。 以下に、理由を詳細に述べる。ここで、理由の根拠は、主に被請求人の企業ホームページに掲載された企業ブログのウェブページであり、また、インターネットアーカイブに保存された当該ウェブページであることから、主にこれらの証拠に基づいて理由を証明する。 (1)インターネットアーカイブに保存されているウェブページのデータについて 乙第4号証は、国立国会図書館のホームページのインターネット資料収集保存事業の世界のウェブアーカイブ(おすすめコンテンツ)に紹介されている「Internet Archive“Wayback Machine”(インターネットアーカイブ“ウェイバックマシン”)」について説明しているウェブページである。 (2)被請求人(株式会社小田急百貨店)の企業ホームページについて 乙第6号証は、被請求人の企業ホームページに掲載されている企業情報(会社案内)の会社案内(会社概要)のウェブページを示している。このウェブページのURLは「https://www.odakyu-dept.co.jp/corporation/profile/index.html」である。 この会社概要に記載の社名及び所在地は、本件審判の被請求人のものと一致しており、このウェブページは被請求人の企業ホームページに掲載されているものである。 また、会社概要に記載のホームページアドレスが「https://www.odakyu-dept.co.jp」であるとの表記から、このURL「https://www.odakyu-dept.co.jp/…/」を有するウェブページは、被請求人の企業ホームページに掲載されているウェブページであることを示している。 乙第5号証は、被請求人の企業ホームページのトップページである。このウェブページのURLは、「https://www.odakyu-dept.co.jp」である。 このウェブページの画面上部中央に表示されているロゴ「ODAKYU」は、被請求人の企業ロゴである。 (3)被請求人の企業ブログ「ODAchan’s Talk」について 乙第1号証の1は、ウェイバックマシンで検索され表示された、被請求人の企業ホームページに掲載されている企業ブログ「ODAchan’s Talk」の記事一覧のウェブページである。 乙第1号証の2は、ウェイバックマシンで検索して最初に表示される乙第1号証の1のウェブページの表示画面の一部であり、ウェブページ画面上部にウェイバックマシン(Wayback Machine)のツールバーが表示されている。このツールバーを非表示にすることで、乙第1号証の1の画面になり、乙第1号証の1のウェブページ画面上部の表示が現れる。 前記乙第1号証の1のウェブページ画面上部左側には、企業ロゴ「ODAKYU」と「Blog」の表示があり、この表示はこのウェブページが被請求人の企業ブログを掲載したウェブページであることを示している。 また、乙第1号証の1のウェブページのURLは、「https://web.archive.org/web/20220624224258/https://www.odakyu-dept.co.jp/blog/odachans/index.html」である。このURLは、乙第1号証の1のウェブページが表示の年月日にインターネットアーカイブに収集され、インターネット上に公開されていたことを示している。インターネット上に公開されていた時のURLは、「https://www.odakyu-dept.co.jp/blog/odachans/index.html」であり、このURLの前半の表示が「https://www.odakyu-dept.co.jp」であることは、このウェブページが被請求人の企業ホームページに掲載されていたウェブページであり、被請求人の企業ブログであることを示している。 この企業ブログの名称は「ODAchan’s Talk」(使用商標1)であり、そのブログ名称の下部には「年齢も売場もちがう、好奇心旺盛な小田急百貨店の社員が発信する、小田急百貨店チャンネル調査隊、略して「オダチャンズ」。本当に好きなもの、興味を持ったもの、伝えたいものにこだわってお伝えしています。これからもますますお役にたつ情報を探し、お届けしますのでお楽しみに♪」との記載がある。この記載は、本件商標である「ODAchan’s」(オダチャンズ)が被請求人の社員で構成された小田急百貨店チャンネル調査隊の略称として採択した一種の造語であることを示している。また、この企業ブログ「ODAchan’s Talk」が、被請求人の小田急百貨店の社員で構成された「オダチャンズ」が厳選したおすすめ商品を消費者に紹介するブログであることを示している。 (4)企業ブログ「ODAchan’s Talk」のブログ記事が要証期間内に一般大衆に閲覧可能な状態に置かれていたこと及び継続して一般大衆に閲覧可能な状態に置かれていたことについて 前記乙第1号証の1のウェブページのURLは、当該ウェブページが、2022年6月24日22時42分58秒に収集・保存されたことを示している。したがって、この乙第1号証の1のウェブページは、要証期間内に、「https://www.odakyu-dept.co.jp/blog/odachans/index.html」のウェブページが、被請求人のホームページに掲載され、一般大衆に閲覧可能な状態に置かれていたことを示している。 乙第2号証は、企業ブログ「ODAchan’s Talk」の2021年11月17日(水)に公開されたブログ記事の、ウェイバックマシンで検索され表示されたウェブページである。URLは、「https://web.archive.org/web/20220119141133/https://www.odakyu-dept.co.jp/blog/odachans/2021/211117_accessory.html」である。 このURLは、乙第2号証のウェブページが、2022年1月19日14時11分33秒に収集・保存された、被請求人の企業ブログのウェブページであることを示している。したがって、この乙第2号証のウェブページは、要証期間内に、被請求人のホームページに掲載され、一般大衆に閲覧可能な状態に置かれていたことを示している。 乙第8号証は、「葛葉川ふるさと峡谷だより「くずは」2022年4月号」の広報誌(発行:2022年(令和4年)4月10日、発行者:くずはの家)である。 この広報誌の1頁目「今月の話題「桜」」の文章は、「「ODAchan’s Talk」「桜餅特集」」を参考にして作成されたものであることを示す記載がある(1頁目右欄左側中段)。この記載の「「ODAchan’s Talk」「桜餅特集」」は、乙第9号証の企業ブログ「ODAchan’s Talk」の2021年2月17日(水)に公開された「【桜餅特集】関東と関西で桜餅って違う?!由来から名店の桜餅までまるっと紹介」のブログ記事を示している。乙第9号証は、ウェイバックマシンで検索され表示されたウェブページであり、そのURLは、「https://web.archive.org/web/20220624225232/https://www.odakyu-dept.co.jp/blog/odachans/210217_sakuramochi.html」である。 広報誌「くずは」の発行者は、2022年4月発行の広報誌の作成時に、1年以上前の2021年2月17日(水)に公開された乙第9号証のブログ記事を参考にしているが、乙第9号証は、URLから、ウェブページが、2022年6月24日22時52分32秒に収集・保存されていたことを示しており、また、2021年2月17日(水)に公開されたブログ記事は、その後の2022年6月24日においてもインターネット上に公開されていたことを示している。 すなわち、乙第9号証のブログ記事は、広報誌「くずは」が発行された2022年4月より少し前にもインターネット上に公開されており、「くずは」の文章はそのブログ記事に基づいている。そのため、当該ブログ記事は、2021年2月17日(水)にインターネット上の被請求人のホームページに公開され、少なくとも「くずは」の発行に利用されるまでの間継続して公開されており、一般大衆に閲覧可能な状態に置かれていたことに相違ない。 このようにインターネット上に公開されたブログ記事が公開後、その公開が中止されるまでの間継続して公開され、その間、一般大衆に閲覧可能な状態に置かれることは、企業ホームページへのブログ記事の掲載や、インターネット上へのブログ記事の投稿等においても一般的に行われていることである。前記広報誌の例は、乙第9号証の「桜餅特集」のブログ記事だけでなく、被請求人の企業ブログ「ODAchan’s Talk」のブログ記事が、公開後も被請求人がホームページ上でその公開を中止するまでの間の一定期間、継続して一般大衆に閲覧可能な状態に置かれていたことを示している。 よって、前述した乙第1号証の1、乙第2号証も同様であり、各ウェブページがインターネットアーカイブにより収集・保存された日時に、被請求人のホームページに掲載され、一般大衆に閲覧可能な状態に置かれていたことを示すとともに、各ウェブページに記載の各記事がその公開日に公開された後、少なくともインターネットアーカイブにより収集・保存される日時までの間、継続して一般大衆に閲覧可能な状態に置かれていたことを示している。 乙第7号証は、被請求人の企業ホームページの管理システム画面のスクリーンショットである。 画面の左側には、企業ブログ「ODAchan’s Talk」のブログ記事のタイトル一覧が並んでおり、右側には、各ブログ記事の公開終了指定時刻「2023/01/24 17:45」が表示されている。 ブログ記事タイトル一覧の下から3つ目に「211117_一年頑張った自分にご褒美!3万円前後が狙い目「普段使いの最旬パール」」の記載があり、これは乙第2号証のブログ記事である。 したがって、2021年11月17日(水)に公開された企業ブログ「ODAchan’s Talk」のブログ記事は、公開後、乙第2号証により要証期間内の2022年1月19日14時11分33秒に被請求人のホームページに掲載され、一般大衆による閲覧可能な状態に置かれていたことを示しており、また、当該ブログ記事は公開後も、乙第7号証のシステム画面で示されているように2023年1月24日17時45分までの間、継続して一般大衆による閲覧可能な状態に置かれ続け、その時刻で公開を中止したことを示している。 (5)使用商標が本件商標と社会通念上同一と認められる商標であることについて 使用商標1は、被請求人の企業ブログの名称「ODAchan’s Talk」であり、前述のとおり、乙第1号証の1、乙第1号証の2、乙第2号証、乙第9号証等で使用されている。 この企業ブログ名称の構成態様は、ローマ字で「ODAchan’s Talk」と横書きしたものであり、「ODAchan’s」と「Talk」の間にはスペースが空けられている。この企業ブログは、被請求人の小田急百貨店の社員で構成された「オダチャンズ」が厳選したおすすめ商品を消費者に紹介するブログであり、ブログ名称の両側には百貨店店員の制服を着たイラストの女性たち(「オダチャンズ」のメンバーを模している)が商品紹介をしているようなイラストも入っている。 例えば、ブログの個別記事(乙2)には、「1年頑張った自分にご褒美!3万円前後が狙い目「普段使いの最旬パール」」という個別記事のタイトルとともに、「2021年も残すところひと月あまり。仕事もプライベートもたくさん頑張った自分に、今年はご褒美を贈りませんか。ホリデーシーズンに向けて気になるアクセサリーがお目見えするなか、いま選ぶべきは遊びがきいたデザインパール。今回はお洋服感覚で買える3万円前後に予算をしぼって、鮮度も高く、高見えも叶う最旬パールを集めてみました。可愛くてお手頃なものから売り切れていくので、気になる方はお早めに!」などといった記載がある。この乙第2号証の記事は、企業ブログが、「オダチャンズ」が厳選したおすすめ商品を消費者に紹介するブログであることを示している。 したがって、使用商標1「ODAchan’s Talk」のうち、「ODAchan’s」とはスペースが空けられた「Talk」の文字部分は、小売等役務について使用する際に消費者に商品を紹介する又は商品について話すことを意味する、単なる普通名称の「トーク」(話す)を表す文字として認識されるにすぎず、「Talk」の文字部分は、自他商品等識別機能を何ら発揮しない単なる付記的部分にすぎない。 また、本件の使用商標1のように、登録商標に、何らかの関連する文字を付加して使用することは、実際の役務の提供を行う際にしばしば行われることである。前述のとおり使用商標1は、「オダチャンズ」が厳選したおすすめ商品を消費者に紹介するブログの名称として使用していることから、「Talk」の文字部分は、消費者に商品を紹介することを意味するだけの、自他商品等識別機能を何ら発揮しない単なる付記的部分であると理解されるべきである。 したがって、使用商標1「ODAchan’s Talk」において、自他商品等識別機能を果たすのは「ODAchan’s」の文字部分であり、この部分が本件商標に係る小売等役務の出所を表示するものとして認識される主要部分である。一方、「Talk」の部分は、上記のように単なる付記部分であると理解されるから、使用商用1のうち自他商品等識別標識として機能するのは「ODAchan’s」の文字部分であり、これにより、本件商標「ODAchan’s」と社会通念上の同一性が認められるということができる。すなわち、使用商標1「ODAchan’s Talk」は、本件商標「ODAchan’s」と社会通念上同一の商標である。 上記使用商標1とは別の使用態様の商標として、乙第3号証に示した使用商標2及び使用商標3がある。これらも本件商標と社会通念上同一の商標であるということができる。 使用商標2及び使用商標3は、それぞれ乙第2号証や乙第9号証などのブログの個別記事において表示されているウェブページの右欄「Links」の下部に表示された、リンクボタンである。このリンクボタンをクリックすることで、リンク先のウェブページに移動するようになっている。 使用商標2は、矩形のボタン枠内の左側に「ODAchan’s Talk」、Sの文字をデザイン化した「SPECIAL」、「オダチャンズトーク」、「スペシャル」の各文字を四段に横書きし、右側には百貨店店員の制服を着たイラストの女性たちが会話をしているイラストが表示されている。この使用商標2のリンクボタンは、その構成態様から、使用商標1をブログ名称とした「ODAchan’s Talk」の商品紹介のブログ記事とは別の、「ODAchan’s Talk(オダチャンズトーク)」の特別版のブログ記事へのリンクボタンであることを示している。また、自他商品等識別機能を発揮する主要部分は「ODAchan’s」の文字部分であり、この部分が本件商標に係る小売等役務の出所を表示するものとして認識される主要部分である。 使用商標3は、矩形のボタン枠内の上下に装飾模様が描かれ、その模様の間に、「Good Access MAGAZINE」の文字、その下に「ODAchan’s」の文字と、「ODAchan’s」が会話しているような態様で表された漫画における雲形の吹き出し模様(漫画で、登場人物のせりふを口から吹き出した形に囲った部分)中に「Talk」の文字が表された部分、さらにその下に「過去の記事一覧はコチラ」の文字を三段に表された構成態様のリンクボタンである。この使用商標3のリンクボタンは、その構成態様から、使用商標1をブログ名称とした「ODAchan’s Talk」の商品紹介のブログ記事とは別の、「ODAchan’s」の「Good Access MAGAZINE」というブログ記事一覧へのリンクボタンであることを示している。また、自他商品等識別機能を発揮する主要部分は「ODAchan’s」の文字部分であり、この部分が本件商標に係る小売等役務の出所を表示するものとして認識される主要部分である。 (6)本件商標の使用が本件審判で取消を請求された役務についての使用であることについて 本件商標の指定役務である小売等役務は、小売等の業務において行われる商品の販売に付随する総合的なサービス活動(店舗設計や品揃え、商品展示、接客サービス、商品の紹介、カタログを通じた商品の選択の工夫等)であり、最終的に商品の販売により収益をあげる役務である。この小売等役務についての商標の使用には、インターネットサイト上で取扱商品の広告を表示する際に、標章を表示することも含まれ、使用商標1「ODAchan’s Talk」を、「オダチャンズ」が厳選したおすすめ商品を消費者に紹介するブログの名称として使用していることは、前述のとおり乙第1号証の1及び乙第2号証などで既に示されている。 さらに前述のとおり、乙第1号証の1は、企業ブログ「ODAchan’s Talk」の記事一覧のウェブページであり、そのブログ名称の下部の記載から、このブログは、被請求人の小田急百貨店の社員で構成された「オダチャンズ」が厳選した小田急百貨店の店内で販売されているおすすめ商品やお役立ち情報を消費者に紹介する企業ブログであることを示している。 また、乙第1号証の1に掲載されているブログ記事の一覧は、記事が公開された日付が新しいものから順に12の記事が掲載されており、各記事の画像をクリックすることで、それぞれの詳細記事のウェブページに移動するようになっている。これらの記事の中に2021年11月17日(水)公開のブログ記事があり、このブログ記事には、イヤーカフの写真と共に、「1年頑張った自分にご褒美!3万円前後が狙い目「普段使いの最・・・」の記載があり、この記載は、少なくとも商品「イヤーカフ」の紹介をしているブログ記事であることを示している。 そして、商品「イヤーカフ」は、類似商品役務審査基準において第14類「身飾品」に含まれる商品であり、本件審判の取消請求に係る役務のうち、第35類「身の回り品の小売等役務」に類似する商品である。 したがって、乙第1号証の1の企業ブログ「ODAchan’s Talk」の記事一覧のウェブページでは、「オダチャンズ」のおすすめ商品として小田急百貨店の店内で販売されている商品「イヤーカフ」を消費者に紹介しており、また、使用商標1「ODAchan’s Talk」を、商品「イヤーカフ」を消費者に紹介している企業ブログの名称として使用していることは、「身の回り品の小売等役務」についての本件商標の使用に該当する。 また前述のとおり、乙第2号証は、企業ブログ「ODAchan’s Talk」において2021年11月17日(水)に公開されたブログ記事「1年頑張った自分にご褒美!3万円前後が狙い目「普段使いの最旬パール」」のウェブページである。 このウェブページでは、「オダチャンズ」が厳選したおすすめ商品、ネックレス、ピアス、ブレスレット、イヤーカフといった身飾品やブローチなどの商品を、小田急百貨店内の売り場の情報とともに消費者に紹介しており、このことは、「身の回り品の小売等役務」についての本件商標の使用に該当する。 (7)小括 以上述べたように、企業ブログ「ODAchan’sTalk」のブログ一覧(乙1の1)及び2021年11月17日(水)に公開されたブログ記事(乙2)は、要証期間内の少なくとも一定期間は、継続して一般大衆に閲覧可能な状態に置かれていたウェブページであることを証明した。また、前記乙第1号証の1及び乙第2号証において使用されている、企業ブログの名称である使用商標1「ODAchan’s Talk」は、本件商標「ODAchan’s」と社会通念上同一の商標であり、また別のウェブページに移動するためのリンクボタンで使用している使用商標2並びに使用商標3も本件商標「ODAchan’s」と社会通念上同一の商標であることを証明した。さらに、「ODAchan’s Talk」のブログ一覧及び2021年11月17日(水)に公開されたブログ記事は、「身の回り品の小売等役務」についての本件商標の使用に該当することを証明した。 したがって、被請求人は、日本国内において要証期間内に、本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標を「身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について自他商品等識別標識として使用し、商標法第2条第3項第7号又は第8号に該当する行為である「商標の使用」をしていることは、紛れもない事実である。 2 まとめ 以上述べた理由から、本件商標が請求に係る役務について要証期間に、被請求人によって使用されていたことが客観的に証明された。したがって、本件商標の登録は取消を免れることができる。 ついては答弁の趣旨のとおりの審決を求める。 第4 当審の判断 1 被請求人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。 (1)被請求人である商標権者は、東京都に所在し、百貨店業を事業内容とする法人である(乙6)。 (2)商標権者が開設したとみられる「ODAchan’s Talk」と題するブログ(以下「本件ブログ」という。)の、2022年(令和4年)6月24日付けのアーカイブにおいて、冒頭に「年齢も売場もちがう、好奇心旺盛な小田急百貨店の社員が発信する、小田急百貨店チャンネル調査隊、略して「オダチャンズ」。本当に好きなもの、興味を持ったもの、伝えたいものにこだわってお伝えしています。」(以下「オダチャンズ」の文字部分を「本件使用商標」という。)の記載があり、その下には「Latest Topics」の見出しの下、「1年頑張った自分にご褒美!3万円前後が狙い目「普段使いの最・・・ 2021年11月17日(水)」の記載とともに、「イヤーカフ」の写真が掲載されている(乙1の1)。 (3)本件ブログの2022年(令和4年)1月19日付けアーカイブにおいて、「2021年11月17日(水) 1年頑張った自分にご褒美!3万円前後が狙い目「普段使いの最旬パール」の見出しの下、「イヤーカフ」について、「まん丸とバロック風でアシンメトリーな<サマンサティアラ>のイヤーカフは、シンプルかつリュクスな空気感。左右どちらの耳につけるかによってパールの並びが変わるので、印象の違いを楽しめます。」等の説明のほか、価格及び売り場等の情報が掲載されている(乙2)。 2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。 (1)使用商標について ア 本件商標は、上記第1のとおり、「ODAchan’s」の文字を標準文字で表してなるところ、これより「オダチャンズ」の称呼を生じ、一般的な辞書類に掲載されている語ではないから、特定の観念を生じない。 イ 本件使用商標は、上記1(2)のとおり、「オダチャンズ」の文字を片仮名で表してなるところ、これより「オダチャンズ」の称呼を生じ、一般的な辞書類に掲載されている語ではないから、特定の観念を生じない。 ウ 本件商標と本件使用商標を比較すると、両者は、構成文字の文字種において欧文字と片仮名の差異を有するとしても、共に「オダチャンズ」の称呼を生じ、観念において相違するものではないことから、文字種のみに変更を加えた社会通念上同一の商標といえる。 (2)使用者について 本件使用商標が表示された本件ブログは、商標権者に係るものであるから、本件使用商標の使用者は、商標権者と認められる。 (3)使用役務について 上記1(2)及び(3)によれば、本件ブログにおいて、「イヤーカフ」の商品説明や価格、売場の情報が掲載されているから、これは、「イヤーカフの小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の役務(以下「本件役務」という。)についての情報といえるものであり、請求に係る役務中、「身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の範ちゅうに属するものである。 (4)使用時期について 上記1(2)及び(3)の本件ブログのアーカイブの日付から、2022年(令和4年)1月19日及び同年6月24日に、本件ブログにおいて「イヤーカフ」についての情報が提供されたものと推認できる。そして、これらの時期はいずれも要証期間内である。 (5)使用行為について 本件ブログに掲載された「イヤーカフ」についての商品説明、価格及び売場の情報は、本件役務に関する広告と認められる。 そうすると、商標権者は、本件ブログにおいて本件役務に関する広告を内容とする情報に本件使用商標を付したといえることから、この行為は、商標法第2条第3項第8号の「役務に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。 また、当該行為は、日本国内において行われたことが明らかである。 (6)小括 上記(1)ないし(5)によれば、商標権者は、要証期間内に、日本国内において、請求に係る役務中「身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の範ちゅうに属する役務に係る広告に、本件商標と社会通念上同一の商標を付して頒布する行為(商標法第2条第3項第8号)を行ったものと認められる。 3 まとめ 以上のとおり、被請求人は、要証期間に、日本国内において、商標権者が、本件商標と社会通念上同一の商標を、本件商標の指定役務中、請求に係る役務について使用していたことを証明したものと認められる。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-300566

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