商標取消審判
2022-300344
ジール、ゼットゼットゼット、スリーゼット
- 審判番号
- 2022-300344
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2008-054918
- 登録番号
- 5237572
- 請求日
- 2022年04月12日
- 審決日
- 2023年12月26日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社 ジール
- 【請求人代理人】弁理士法人スズエ国際特許事務所
- 【被請求人】株式会社 ZEAL.G・P
- 【被請求人代理人】國分 吾郎
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 大森 友子
- 審判官 板谷 玲子
- 分類
- T132 .1 -Y (X35) / T132 .11 -Y (X35)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5237572号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5237572号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成20年6月25日に登録出願、第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,販売促進のためのクーポン券・割引券の発行,経営の診断及び指導(フランチャイズの経営の診断及び指導を含む。),市場調査,商品の販売に関する情報の提供,中古自動車及び中古二輪自動車の売買の事業の管理,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,中古自動車・中古二輪自動車の販売の為の展示会の企画・運営又は開催,中古自動車・中古二輪自動車の売買契約の代理・代行又は仲介,その他の商品の売買契約の代理・代行又は仲介」及び第36類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同21年6月12日に設定登録がされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和4年4月25日である。
なお、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成31年(2019年)4月25日ないし令和4年(2022年)4月24日である(以下「要証期間」という場合がある。)。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定役務中、第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,販売促進のためのクーポン券・割引券の発行,経営の診断及び指導(フランチャイズの経営の診断及び指導を含む。),市場調査,商品の販売に関する情報の提供,中古自動車及び中古二輪自動車の売買の事業の管理,中古自動車・中古二輪自動車の販売の為の展示会の企画・運営又は開催,中古自動車・中古二輪自動車の売買契約の代理・代行又は仲介,その他の商品の売買契約の代理・代行又は仲介」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証および甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,販売促進のためのクーポン券・割引券の発行,経営の診断及び指導(フランチャイズの経営の診断及び指導を含む。),市場調査,商品の販売に関する情報の提供,中古自動車及び中古二輪自動車の売買の事業の管理,中古自動車・中古二輪自動車の販売の為の展示会の企画・運営又は開催,中古自動車・中古二輪自動車の売買契約の代理・代行又は仲介,その他の商品の売買契約の代理・代行又は仲介」(以下「請求に係る指定役務」という。)について継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)「中古自動車・中古二輪自動車の評価」について
第36類「中古自動車・中古二輪自動車の評価」は、請求に係る指定役務ではない。
(2)「中古自動車及び中古二輪自動車の売買の事業の管理」について
第35類「中古自動車及び中古二輪自動車の売買の事業の管理」とは、他人の依頼に基づいて、中古自動車等の売買の事業(経営)の診断や中古自動車等の売買の事業(経営)に関する助言を行う、いわゆる経営コンサルタントが行うサービスを指すものであり、「中古自動車及び中古二輪自動車の売買の事業」そのものではない。
ア 本件商標権者による使用について
(ア)乙第1号証について
本件商標権者の法人登記(乙1の1)およびホームページ(乙1の2)には、中古自動車等の売買の事業(経営)の診断や中古自動車等の売買の事業(経営)に関する助言についての記載がない。
また、法人登記やホームページに記載されていることのみで要証期間内の事業活動の実態を証明していることにはならない。
(イ)乙第4号証について
看板の写真(乙4)は、撮影日が不明であることから、要証期間における使用証拠とはいえない。
また、当該看板に付された商標は、「(図形)ZEAL」の背景に丸い円の中に何らかの文字が付加された図形と不可分一体的に結合していることから、本件商標と社会通念上同一の商標とはいえない。
さらに、被請求人は、当該看板に係る営業所にて、他人の依頼に基づいて、中古自動車等の売買事業(経営)の診断や中古自動車等の売買事業(経営)に関する助言が行われていることについて証明していない。
(ウ)乙第5号証について
ストリートビューの写真(乙5)での撮影日が「7月:2018年」および「8月:2020年」と表示されているものの、当該写真に表示されている看板に付された商標は、上記(イ)と同様に、本件商標と社会通念上同一の商標とはいえない。
また、被請求人は、当該写真にかかる「ZEAL回送センター」にて、本件商標権者が、他人の依頼に基づいて、中古自動車等の売買事業(経営)の診断や中古自動車等の売買事業(経営)に関する助言を行っていることについて証明していない。
(エ)乙第6号証について
パンフレット(乙6)には作成日や発行日についての記載がないことから、平成28年頃に作成されたかは不明である。
仮に当該パンフレットが平成28年に作成されていたとしても、要証期間においても継続して使用され、実際に顧客に配布されていたことは証明されていない。
また、要証期間の開始時においては、当該パンフレットに創業年月として記載のある平成15年9月から少なくとも15年以上が経過しており、「現在の事業を始めてから約10年が経ちました。」旨の文言が記載されたパンフレットをそのまま使用していたことには疑義が生じる。
そして、当該パンフレットは、他人の依頼に基づいて、中古自動車等の売買事業(経営)の診断や中古自動車等の売買事業(経営)に関する助言を行っている旨の記載がないことから、本件商標権者が、「中古自動車及び中古二輪自動車の売買の事業の管理」を行っていることを証明するものではない。
(オ)乙第7号証について
ホームページ写し(乙7)には日付の記載がないことから、要証期間におけるホームページ写しか否かは不明である。
また、当該ホームページは、他人の依頼に基づいて、中古自動車等の売買事業(経営)の診断や中古自動車等の売買事業(経営)に関する助言を行っていることを目的としていないことから、本件商標権者が「中古自動車及び中古二輪自動車の売買の事業の管理」を行っていることを証明するものではない。
(カ)乙第8号証について
名刺(乙8)は、いつ作成されたかは不明であり、かつ、現在も使用されているかについても不明である。
また、当該名刺は、本件商標権者が「中古自動車及び中古二輪自動車の売買の事業の管理」について本件商標を使用していることを証明するものではない。
(キ)乙第9号証について
バッジ(乙9)は、いつ作成されたかは証明されておらず、現在も使用されているかについても不明である。
また、当該バッジの商標は、本件商標の図形部分のみを抽出したものであることから、本件商標は社会通念上同一の商標ではない。
さらに、当該バッジは、本件商標権者が「中古自動車及び中古二輪自動車の売買の事業の管理」について本件商標を使用していることを証明するものではい。
(ク)以上のことから、乙第1号証及び乙第4号証ないし乙第9号証は、要証期間における本件商標の使用証拠にはならない。
イ 株式会社ZEAL.TEAMによる使用について
(ア)乙第2号証について
株式会社ZEAL.TEAM(以下「ZEAL.TEAM社」という場合がある。)の法人登記(乙2の1)およびホームページ(乙2の2)には、中古自動車等の売買の事業(経営)の診断や中古自動車等の売買の事業(経営)に関する助言についての記載がない。
したがって、当該法人登記およびホームページは、ZEAL.TEAM社が、他人の依頼に基づいて、中古自動車等の売買事業(経営)の診断や中古自動車等の売買事業(経営)に関する助言を行っていることについて何ら証明していない。
(イ)乙第3号証について
a 商標の使用について
ZEAL.TEAM社のホームページ(乙3)とする書証に表示されている商標は、本件商標の図形部分のみが使用されているものであることから、本件商標と社会通念上同一の商標ではない。
b 本件商標権者とZEAL.TEAM社について
(a)本件商標権者とZEAL.TEAM社の事業の一部が一致していること、(b)両社の会社名が「ZEAL」で一致していること、(c)ロゴについても同様のマークを使用していること、(d)ZEAL.TEAM社のホームページの、ZEAL.TEAM社の会社沿革において、本件商標権者に係る記載がなされていること、(e)本件商標権者の過去の本店所在地の住所とZEAL.TEAM社の現在の本店所在地の住所が同一であることは、両社がグループ会社である根拠にはならないものである。
そして、当該ホームページ記載の、小山回送センターが「ZEAL回送センター」であるかは不明である。
したがって、本件商標権者とZEAL.TEAM社が、いわゆるグループ会社であることについては、何ら証明されていない。
また、グループ会社だからといって当然に商標権の通常使用権者になるものでもない。
以上のことから、乙第3号証は、本件商標権者が、ZEAL.TEAM社に対し、本件商標に関する使用を少なくとも黙示的には許諾している証拠にはならない。
(ウ)乙第10号証について
被請求人は、ZEAL.TEAM社が「中古自動車及び中古二輪自動車の売買の事業の管理」を行っていることについて、証明していないことから、乙第10号証に係る内装によって、「中古自動車及び中古二輪自動車の売買の事業の管理」について本件商標を使用していることを証明するものではない。
また、ZEAL.TEAM社は、本件商標の通常使用権者でもない。
(エ)乙第11号証について
被請求人は、ZEAL.TEAM社が「中古自動車及び中古二輪自動車の売買の事業の管理」を行っていることについて、証明していないことから、乙11号証の契約に係る内装によって、「中古自動車及び中古二輪自動車の売買の事業の管理」について本件商標を使用していることを証明するものではない。
さらに、当該請負契約書が、上記(ウ)に係る内装に関するものであることの証明もされていない。
また、ZEAL.TEAM社は、本件商標の通常使用権者でもない。
(オ)以上のことから、乙第2号証、乙第3号証、乙第10号証及び乙第11号証は、要証期間における本件商標の使用証拠にはならない。
(3)「中古自動車・中古二輪自動車の売買契約の代理・代行又は仲介」について
中古自動車・中古二輪自動車の売買事業には、他人のために行う代理・仲介が当然に含まれるものではないことから、本件商標権者が中古自動車・中古二輪自動車の売買事業を行っているからといって、請求に係る指定役務中第35類「中古自動車・中古二輪自動車の売買契約の代理・代行又は仲介」を行っているとはいえない。
そして、被請求人は、「中古自動車・中古二輪自動車の売買契約の代理・代行又は仲介」について、本件商標を使用している証拠を提出していない。
(4)その他の請求に係る指定役務について
請求に係る指定役務中、「広告,トレーディングスタンプの発行,販売促進のためのクーポン券・割引券の発行,経営の診断及び指導(フランチャイズの経営の診断及び指導を含む。),市場調査,商品の販売に関する情報の提供,中古自動車・中古二輪自動車の販売の為の展示会の企画・運営又は開催,その他の商品の売買契約の代理・代行又は仲介」については、本件商標の使用証明がなされていない。
(5)結語
したがって、被請求人は、要証期間において、日本国内で商標権者等が本件商標を、請求に係る指定役務について使用したことを証明していない。
なお、被請求人は、請求に係る指定役務について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を答弁書、令和5年7月11日及び同年9月28日付け回答書において要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第15号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)当事者の概要
ア 本件商標権者
本件商標権者は、事業者を相手として、中古自動車等に関する売買等(代理、仲介等を含む)を行う事業者である(乙1)。
イ ZEAL.TEAM社
ZEAL.TEAM社は、本件商標権者と同様に、事業者を相手として、中古自動車等に関する売買等(代理、仲介等を含む)を行う事業者である(乙2)。
ウ ZEAL.TEAM社は、本件商標に関する通常使用権者であること
本件商標権者とZEAL.TEAM社は、事業の内容が一致し、会社名に「ZEAL」があり、同様のロゴを使用する、いわゆるグループ会社である(乙1の1、乙2の1、乙3)。両社は、いずれも「ZEALグループ」の一員であり、事業者向けサービスとして、中古自動車等の買取、展示、販売等の事業を展開する株式会社である。
本件商標権者は、ZEAL.TEAM社に対し、本件商標の使用を黙示的に許諾している。
(2)「中古自動車及び中古二輪自動車の売買の事業の管理」及び「中古自動車・中古二輪自動車の評価」等(以下「本件役務1」という。)についての使用
ア 本件商標権者による使用
(ア)本店所在地(営業所)での看板における使用
本件商標権者の本店所在地(栃木県小山市、乙1の1)には、中古自動車の購入及び販売事業(売買事業)の営業所が存在する(乙4)。
この営業所の入り口には、平成20年4月の開設当時(乙3)から、本件商標を使用した看板(以下「本件看板」という)が「複数」設置されている(乙4)。
Googleマップのストリートビューに表示される本件看板(乙5)の撮影日(「撮影日:7月2018」、「撮影日:8月2020」)より、遅くとも2018年7月から現在に至るまで、本件商標を使用した本件看板が本件商標権者の営業所に設置されていたことは明らかである。
そして、本件商標と、看板に掲げられたロゴについては、大きく円が描かれている点において相違している。
しかしながら、取引の実情から考えるに、単純な円形状に需要者・取引者が着目することは考え難い。それよりも、ZEALの字体やZからLに向けて奥行きのある立体感が表現されている点、Zの文字3つを用いてブロック形状のように表現されたマークが描かれている点等の共通点における各特徴こそに着目して、役務提供者を識別すると考えるのが自然である。
そうすると、上記の相違点は、上記個性的な特徴点を凌駕するほどに特徴的なものではなく、取引の実情からすれば、看板におけるロゴは本件商標と社会通念上同一であることは明らかである。
これらの事実からすれば、本件商標権者は、平成20年4月から現在に至るまで継続して、本件役務1について、本件看板に表示する方法によって本件商標を使用していたことは明らかである。
(イ)顧客向けパンフレットにおける使用
本件商標権者が顧客に手交する中古自動車販売に係るパンフレットの表紙、背面、全ページの上部には、本件商標が付されている(乙6)。
そして、当該パンフレットの「ご挨拶」のページ(最終ページ)の「現在の事業を始めてから約10年が経ちました」との記載及び、本件商標権者の事業を開始日(平成17年12月)より、当該パンフレットが作成されたのは平成28年頃であることが示されている。
これらの事実からすれば、本件商標権者は、平成28年頃から現在に至るまで継続して、本件役務1について、サービス内容を示すパンフレットに表示する方法によって本件商標を使用していたことは明らかである。
(ウ)ホームページにおける使用
本件商標権者は、中古自動車等の買取及び販売などの事業を紹介する自社ホームページにおいて、本件商標を使用している(乙7)。
(エ)名刺及び社員用バッジにおける使用
本件商標権者は、中古自動車等の購入を希望する顧客との商談の際に付すための社員用バッジ、当該顧客と交換する名刺についても、継続して、本件商標を用いている(乙8、乙9)
イ ZEAL.TEAM社による使用
(ア)本店入口及び本店会議室における利用
平成29年6月頃より、ZEAL.TEAM社の本店所在地のオフィスのエントランスには本件商標を使用した看板が設置され、同オフィス内の会議室には本件商標を大きく記載した内装が設けられている(乙10、乙11)。
上記より、ZEAL.TEAM社は、平成29年6月頃から現在に至るまで継続して、本件役務1について、看板等に表示する方法によって本件商標を使用していたことは明らかである。
(イ)社員バッジにおける使用
前記ア(エ)の社員バッジは、ZEAL.TEAM社の社員によっても利用されている(乙9)。本件役務1を提供する主体は社員(従業員)なのであるから、その従業員が本件商標のバッチを着用して役務を提供している事実は、当該役務について本件商標を商標的に使用していることを示している。
(3)「経営の診断及び指導(フランチャイズの経営の診断及び指導を含む。)」(以下「本件役務2」という。)についての使用
ア 本件商標権者によるフランチャイズ事業の実施
本件商標権者は、中古自動車等に係るフランチャイズ事業を行っている(乙1の2)。
本件商標権者は、平成31年4月1日、株式会社ZEALとの間で、本件商標の使用許諾を含めたフランチャイズ契約を締結している(乙12の1)。
上記フランチャイズ契約は、締結日である平成31年4月1日以降、都度、覚書を締結しながら、継続して有効に存続している(乙12の2~乙12の5)。
本件商標権者は、株式会社ZEALに対し、要証期間において、本件役務2の範ちゅうの役務を継続的に提供していた(乙12~乙14)。
イ 本件役務2の提供にかかる本件商標の使用について
本件商標権者は、本件役務2の提供に関連し、フランチャイズ契約に係る対価を請求するため、株式会社ZEALに対して請求書(以下「本件請求書」という。)を発行している(乙15)。
本件役務2の提供の対価は、月平均1台当たりの粗利益の金額(以下「平均単価」という。)によって定められた台当たりのインセンティブに月間販売台数を乗じて算出されることとなっている(乙12の2~乙12の5)。本件請求書には、平均単価と月間販売台数が記載されており、また、平均単価に月間販売台数を乗じた金額が合計額として記載されている。
したがって、本件請求書が本件役務の提供にかかる請求書であることは明らかである。
次に、本件請求書の左上には、本件商標が付されている(乙15)ことから、本件商標権者は、本件役務2に関して、本件商標を使用している。
なお、本件請求書の発行年月日には、「2021/2/8」等の記載があることなどから(乙15の1)、本件請求書は、要証期間内に作成及び発行されたものである。
(4)結語
以上の事実からすれば、本件商標については、請求に係る指定役務につき、日本国内において、継続的に使用されていたことは明らかである。
第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(1)本件商標権者は、フランチャイズ事業を行っている(乙1の2)。
(2)本件商標権者は、2019年4月1日付けで兵庫県神戸市所在の株式会社ZEALとの間でフランチャイズ契約(以下「本件契約」という。)を締結した。
本件契約において、本件商標権者は株式会社ZEALに対して、経営ノウハウを指導し、その技術を修得せしめることとなっている。
また、本件契約の有効期限は、本件契約の締結の日から満3年としているが、本件商標権者及び株式会社ZEALの一方又は双方より解約の申し入れがないときには更に1年自動的に延長されるとなっている(乙12の1)。
(3)本件契約において、株式会社ZEALは、経営に関するノウハウの指導の対価として本件商標権者にロイヤリティーを支払うものである(乙12の1)。
また、本件契約に係る契約書及び覚書において、株式会社ZEALは、上記のロイヤリティーの一部として、株式会社ZEALの販売した車両の平均単価と販売台数から算出されたインセンティブを本件商標権者に支払うこととなっている(乙12の1、乙12の2、乙12の4)
(4)本件契約に係るインセンティブ支払いの覚書は2020年12月22日付けで締結され、また、2021年3月25日付けで同年4月度からの変更契約が締結された(乙12の2、乙12の4)。
(5)本件商標権者は株式会社ZEALに対して、(ア)発行年月日を2021年2月8日とし、「品名・適用」を「2021年1月度 粗利インセンテイプ販売台数573台 平均単価322,573円(買取台数626台)」とする請求書を、(イ)発行年月日を2021年3月8日とし、「品名・適用」を「2021年2月度粗利インセンティブ 販売台数807台 平均単価330,57l円(買取台数868台)」とする請求書を、(ウ)発行年月日を2021年4月5日とし、「品名・適用」を「2021年3月度粗利インセンティブ 販売台数1,235台 平均単価322,422円」とする請求書を送付した(乙15)。
(6)上記(5)に係るそれぞれの請求書の左上には別掲2のとおりの構成からなる商標(以下「使用商標」という。)が表示されている。
2 上記1の認定事項に基づき、以下判断する。
(1)使用役務について
本件契約においては、本件商標権者が株式会社ZEALに対し、経営ノウハウを指導するとあり、また、株式会社ZEALは、当該経営ノウハウの指導の対価として、ロイヤリティーを本件商標権者に支払っている。そうすると、本件商標権者は、同人のフランチャイジー(株式会社ZEAL)に対し業として経営ノウハウの指導(以下「使用役務」という。)を行っているものと認められる。
そして当該使用役務「経営ノウハウの指導」は請求に係る指定役務中、第35類「経営の診断及び指導(フランチャイズの経営の診断及び指導を含む。)」の範ちゅうの役務と認められる。
(2)商標の使用及び使用時期について
本件商標権者は、2021年2月8日、同年3月8日及び同年4月5日に使用商標が表示された「粗利インセンティブ」に係る請求書を株式会社ZEALに送付しているところ、当該請求書に記載されている請求金額は、車両の販売台数と平均単価によって算出された金額であると認められるものであり、当該算出方法は本件契約に係る覚書に記載されたインセンティブの算出方法と一致する。
そうすると、当該請求書は、本件契約に係るインセンティブ支払の請求書であって、その請求金額は使用役務の提供料であると推認できる。
また、当該請求書は株式会社ZEALの所在地である兵庫県神戸市に送付されたものであるから、送付先は日本国内であることが明らかであり、その発行年月日も要証期間内であって、かつ本件契約の契約期間及び本件契約に係る覚書の締結日より、本件契約が存続されている期間内である。
(3)本件商標と使用商標の同一性について
本件商標は、別掲1のとおり、左側にはオレンジ色及び黒色からなるZ又はNの文字を3つ組み合わせたような図形を配し、右側には多少デザイン化された、オレンジ色、白色及び黒色からなる「ZEAL」の文字を配した構成となっている。
他方、使用商標は、別掲2のとおり、赤色の背景色に表示された、左側には白抜きによるZ又はNの文字を3つ組み合わせたような図形を配し、右側には多少デザイン化された、白抜きによる「ZEAL」の文字を配した構成からなるものであり、色彩は異なるものの、本件商標と同じ構成からなるものである。
そうすると、使用商標は、本件商標に類似する商標であって、色彩を本件商標と同一にすれば本件商標と同一の商標であると認められるものであるから、本件商標と同一の商標である。
(4)使用商標の使用者について
使用商標が表示されている請求書は、本件商標権者の作成に係るものと認められるから、使用商標の使用者は、本件商標権者である。
(5)小括
以上によれば本件商標権者は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務に含まれる、第35類「経営の診断及び指導(フランチャイズの経営の診断及び指導を含む。)」の範ちゅうの役務と認められる「経営ノウハウの指導」に係る請求書に本件商標を表示して、当該請求書を頒布したものと認められる。
本件商標権者の上記行為は、商標法第2条第3項第8号の「役務に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者が本件審判の請求に係る指定役務に含まれる「経営の診断及び指導(フランチャイズの経営の診断及び指導を含む。)」の範ちゅうの役務について、本件商標と同一と認められる商標を使用していたことを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-300344