商標取消審判
2021-300302
スマートロジックスマロジ、スマートロジック、スマロジ
- 審判番号
- 2021-300302
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2010-016033
- 登録番号
- 5354784
- 請求日
- 2021年04月16日
- 審決日
- 2022年07月21日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】株式会社 Trasaburou
- 【請求人代理人】駒津 啓佑
- 【被請求人】スマートロジック 株式会社
- 【被請求人代理人】特許業務法人IPX
- 審判長/審判官
- 審判長 小松 里美
- 審判官 大山 健
- 審判官 鈴木 雅也
- 分類
- T131 .1 -Z (X0942)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第6条第1項、商標法第2条第3項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5354784号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第5354784号商標の商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5354784号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成22年3月3日に登録出願、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,電子出版物」及び第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,ウェブサイトの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,インターネットサーバーの記憶領域の貸与,インターネットサーバーの記憶領域の貸与に関する情報の提供,インターネットを通じたコンピュータデータベースへのアクセスタイムの賃貸,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守に関する助言・指導及び情報の提供,電子計算機端末による情報処理システム及び通信ネットワークシステムの設計・作成又は保守及びそれらに関する調査・分析又は助言」を指定商品及び指定役務として、同年9月17日に設定登録がされたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和3年5月10日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の期間は、平成30年5月10日ないし令和3年5月9日である(以下「要証期間」という。)。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務(以下、「本件審判請求に係る指定商品及び指定役務」という。)について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)商標法においては、一商標一出願の原則があるところ(商標法第6条第1項)、本件商標が使用されたか否かの判断は、本件商標が一体で使用されたか否かで判断されるべきである。
それは、例えば、10個の要素からなる商標があったとして、その要素の1つを使用したことが商標法上の使用に該当するとしたならば権利範囲が不明確になるからである。
そして、本件商標について検討すると、いわゆる二段併記の構成からなる商標であって、上記原則から照らせば、二段併記された商標が一体として使用された否かを判断されるべきである。
しかしながら、被請求人は二段併記された商標の各要素が使用された証拠を提出しており、原則から照らせば、二段併記の構成からなる本件商標の使用を証明したことにはならない。
(2)次に、社会通念上同一の商標の使用に該当するかについて検討する。
審判便覧53-01(甲2)の2.(2)(エ)の例2には、「登録商標が二段併記等の構成からなる場合であって、上段及び下段等の各部が観念を同一とするときに、その一方の使用」が社会通念上同一と認められる商標の使用である旨が記載されている。
このことを本件商標について検討すると、本件商標は、「SmartLogic」と「SmaLogi」の二段併記の構成からなる。
ここで、上段の「SmartLogic」は、「Smart」と「Logic」の結合商標であると認識され、「Smart」部分からは、「頭のよい、賢明な、気のきいた、抜けめのない」などの意味が看取され(甲3)、「Logic」部分からは、「論理、論法、道理」などの意味が看取され(甲4)、「SmartLogic」全体として、気のきいた論理のような観念が感得される。
他方、下段の「SmaLogi」は、何がしかの略である「Sma」と、何がしかの略である「Logi」の結合商標であると認識される。「Sma」の部分は、「スマ」と称呼されるが、「スマ」は、スマート、スマイル、スマップなどの複数の略称であるといえ、当該部分からは複数の観念が看取できる(甲5)。また、「Logi」の部分は、「ロジ」と称呼されるが、「ロジ」は、ロジック、ロジスティックスなどの複数の略称であるといえ、当該部分からは複数の観念が看取され(甲6)、「SmaLogi」全体として特定の観念は生じないと解すべきである。
よって、「SmartLogic」部分と、「SmaLogi」部分の観念は同一ではなく、それぞれの部分の使用証拠によっては、本件商標の使用とは認められない。
(3)以上により、被請求人の答弁における主張及び提出された証拠は妥当性を欠くものである。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第13号証を提出した。
1 審判事件答弁書における主張
(1)被請求人は、1997年(平成9年)9月24日に設立された法人であり、その事業目的は、コンピュータ及び周辺機器の開発並びに製造、販売、賃貸業などである(乙1、乙2)。
本件商標の「SmartLogic」は、被請求人の商号「スマートロジック」の英語表記であり、いわゆるコーポレートブランドとして、法人設立当時から現在に至るまで使用を継続している。
また、「SmaLogi」部分はその略称として使用しているものである。
(2)以下に、被請求人による本件商標の使用状況について説明する。
ア 被請求人は、1997年(平成9年)9月24日から現在に至るまで会社名でもある「スマートロジック」の英語表現「SmartLogic」をwebサイト等に表示して使用している(乙3)。
イ Webサイトの「業務内容」のページには、「機器の回路設計から、ミドル層までのソフトウェア開発を手がけます。」、「機器の回路設計~ミドル層までのソフトウェア開発」等の記載があり、少なくとも指定役務中、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に対して本件商標を使用していることがわかる(乙4)。
ウ なお、Webサイトで使用している「SmartLogic」のイメージは、2012年(平成24年)1月頃に依頼し製作したもので(乙5)、完成後から現在に至るまで様々な場所で継続して使用している。
エ また、被請求人が提供する「Agriware」という農業用モニタリングシステムのパンフレット、及び同システムのWebサイトの写しを提出する(乙6~乙8)。
当該パンフレットには、製品ブランド「Agriware」の他に、コーポレートブランドの「SmartLogic」も記載されている。
オ 「Agriware」は、圃場環境をリアルタイムでモニタリング管理できるシステムであり、「子機+センサー」で測定した情報を、親機へ無線で送信し、親機が測定情報をクラウドサーバーヘ送信する。顧客は自身のパソコン、スマートフォンのソフトウェアを利用して状況をモニタリング・管理することができる。つまり、被請求人は少なくとも第9類「電気通信機械器具」中、「遠隔測定制御機械器具」や、第42類「電子計算機用プログラムの提供」に対して本件商標を使用していることがわかる。
カ また、モニタリング・管理できるソフトウェア上には、「SmaLogi」と社会通念上同一と判断される片仮名表記「スマロジ」が使用されており、被請求人が「SmaLogi」を第42類「電子計算機用プログラムの提供」に対して使用していることがわかる(乙9)。
キ このように、被請求人が「SmartLogic」と合わせて、その略称である「SmaLogi(スマロジ)」を使用することで、被請求人の顧客は、被請求人のこと、あるいは被請求人の製品のことを「スマロジ」と呼んでいる事実がある(乙10~乙13)。
ク すなわち、「SmartLogic」及び「SmaLogi」は、被請求人を表す商標として密接不可分な関係のものとして、少なくとも第9類「電気通信機械器具」、第42類「電子計算機用プログラムの提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」(審決注:「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」の重複は誤記と認める。)に対して、出所表示機能を発揮する形で使用されている。
(3)よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものではない。
第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び同人の提出に係る証拠は、以下のとおりである。
(1)本件商標権者のウェブページについて
乙第2号証ないし乙第4号証は、2021年6月18日に出力された本件商標権者のウェブページの出力書面である。
これらの書面にはいずれも別掲2に示すとおりの態様で「SmartLogic」の文字(以下「使用商標1」という。)が表示されている。
なお、乙第2号証は、「会社概要」のページであり、「企業情報」として、社名、設立、資本金、本社所在地等の記載とともに、「事業内容」の欄に「CPU,MPUを用いたハードウェア/ファームウェアの委託開発、設計」の記載がある。
また、乙第4号証は、「業務内容・営業品目」のページであり、「業務内容」として「機器の回路設計から、ミドル層までのソフトウェア開発を手がけます。」及び「営業品目」として「機器の回路設計~ミドル層までのソフトウェア開発」の記載がある。
(2)パンフレットについて
ア 乙第6号証は、本件商標権者が作成した「Agriware」と称する農業用ワイヤレスセンサーネットワークシステムに係るパンフレットであり、「SmartLogic」の文字(以下「使用商標2」といい、「使用商標1」とあわせて「使用商標」という場合がある。)が表示されている。
イ 乙第7号証は、本件商標権者が作成した「クラウド型データロガーシステム」のパンフレットであり、使用商標1が表示されている。
ウ 上記パンフレット(乙6、乙7)は、いずれも作成日、頒布日などは不明である。
(3)「Agriware」のウェブページについて
乙第8号証は、2021年6月23日に出力された本件商標権者の「環境モニタリングシステム」に関するウェブページの出力書面である。
当該書面には、使用商標1とともに、「Agriware」と称する「農業用モニタリングシステム」と屋外用の「クラウド型データロガー」が掲載されているが、その掲載日は不明である。
(4)「アプリケーションソフトウェアのUIのイメージ」について
乙第9号証は、パソコン上の画面を印刷した書面であって、被請求人によれば「提供するアプリケーションソフトウェアのUIのイメージ」である。
当該書面には、「スマロジ試験親機」の表題の下、「2021/3/16 04:18」から「2021/3/23 04:18」までの「CPU温度」についての推移を示すグラフが表示されている。
(5)顧客とのメールについて
乙第10号証ないし乙第12号証は、本件商標権者の担当者と顧客とのメールの文面を印刷した書面であり、2019年(平成31年)2月19日(乙10)及び2021年(令和3年)3月2日(乙11、乙12)には、「スマロジさんのセンサ」及び「スマロジのUI」(乙10)、「スマロジさんにも迷惑のかからないような」(乙11)、「スマロジで・・・EC、pHの制御、潅水時間の制御、・・・飽差制御を行っています。」(乙12)の記載がある。
(6)納品書及び請求書について
乙第13号証は、2019年(平成31年)2月1日付けで顧客が本件商標権者に宛てて作成した「年間保守サポート」についての納品書及び請求書であり、宛先欄に記載された本件商標権者の住所及び名称とともに「(CU-SMALOGI)」の記載がある。
(7)上記(1)ないし(6)によれば、以下の事実が認められる。
本件商標権者は、自身のウェブページ(乙2~乙4、乙8)において、使用商標1を表示したこと、また、農業用ワイヤレスセンサーネットワークシステム及びクラウド型データロガーシステムに係るパンフレット(乙6、乙7)を作成し、それらのパンフレットに使用商標1又は使用商標2を表示したことが認められる。
しかしながら、本件商標権者のウェブページ(乙2~乙4、乙8)は、いずれも当該ページの掲載日は明らかではなく、その書面の出力日(2021年6月18日、同月23日)は要証期間外である。また、本件商標権者の作成したパンフレット(乙6、乙7)も作成日や頒布日が不明であることに加え、ウェブページ(乙2~乙4、乙8)及びパンフレット(乙6、乙7)の記載内容からは本件商標権者の扱う商品及び役務の詳細も明らかではない。
加えて、上記(4)ないし(6)において、「スマロジ試験親機」の文字(乙9)、メールの文面中に「スマロジ」の文字(乙10~乙12)又は納品書及び請求書の宛先の一部に「CU-SMALOGI」の文字(乙13)が、要証期間において各書面に記載されたとはいい得るものの、当該各文字が何らかの商品又は役務の出所を示す商標として使用されたものとは認められない。
してみれば、被請求人は、要証期間に本件審判請求に係る指定商品及び指定役務について使用商標を使用していることを証明したものとは認められない。
2 本件商標と使用商標との社会通念上同一性について
本件商標は、別掲1のとおり、「SmartLogic」の欧文字を上段に、「SmaLogi」の欧文字を下段に書してなるものである。
他方、使用商標は、「SmartLogic」の文字からなるものであるから、本件商標と表示態様が顕著に異なるものである。
したがって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということはできない。
なお、被請求人は、被請求人が「SmartLogic」と合わせて、その略称である「SmaLogi(スマロジ)」を使用することで、被請求人の顧客は、被請求人のこと、あるいは被請求人の製品のことを「スマロジ」と呼んでいる事実があり(乙10~乙13)、「SmartLogic」及び「SmaLogi」は被請求人を表す商標として密接不可分な関係のものとして、出所表示機能を発揮する形で使用されている旨主張する。
しかしながら、本件商標の構成と同一の「SmartLogic」の欧文字と、「SmaLogi」の欧文字を上下二段に表してなる商標は、被請求人が提出したいずれの証拠にも見当たらない。
また、「SmartLogic」がスマートロジック社の英語表記であり、被請求人の顧客が被請求人のこと又は被請求人の製品のことを「スマロジ」と称しているとしても、そのことが本件商標における「SmartLogic」の部分と「SmaLogi」の部分との観念を同一にするものであることを示す証拠たり得るものとはいえないから、使用商標の表示をもって、二段書きの構成からなる商標の上段及び下段の各部分が観念を同一とするときのいずれか一方の使用に当たるものということもできない。
したがって、「SmaLogi」及び「スマロジ」が「SmartLogic」の略称であること、及び「SmartLogic」と「SmaLogi」が被請求人を表す商標として密接不可分な関係であることを前提として、本件商標を使用している旨の上記被請求人の主張は採用できない。
3 小括
上記1及び2のとおり、被請求人の提出した証拠によっては、商標権者が本件商標あるいは本件商標と社会通念上同一と認められる商標を要証期間に使用したことを立証したということはできず、他に、本件商標について、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが要証期間に日本国内において、本件審判請求に係る指定商品及び指定役務について、商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為をした事実を被請求人が証明したということはできない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判請求に係る指定商品及び指定役務について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。
また、被請求人は、本件審判請求に係る指定商品及び指定役務について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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