商標取消審判
2021-300305
スマロジ
- 審判番号
- 2021-300305
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2016-129701
- 登録番号
- 5941103
- 請求日
- 2021年04月16日
- 審決日
- 2021年10月28日
- 公報発行日
- 2022年05月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社 Trasaburou
- 【請求人代理人】駒津 啓佑
- 【被請求人】前山倉庫 株式会社
- 審判長/審判官
- 審判長 岩崎 安子
- 審判官 森山 啓
- 審判官 板谷 玲子
- 分類
- T131 .1 -Y (W3539)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5941103号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5941103号商標(以下「本件商標」という。)は、「スマロジ」の片仮名を標準文字で表してなり、平成28年11月17日に登録出願、第35類「物流に関する広告及びこれに関する情報の提供,広告用スペースの提供(ウェブサイト上の広告スペースの提供を含む。),物流に関するマーケティング,商品の販売促進又は役務の提供促進のための企画及び実行の代理,物流に関する市場調査及びこれに関する情報の提供,物流に関する事業の運営及び管理,物流に関する事業の運営に関するコンサルティング,商品の在庫管理及び物流管理,ビジネスコンサルティング,輸出入に関する事務の代理又は代行」及び第39類「車両による輸送,航空機による輸送,ヘリコプターによる輸送,貨物のこん包,貨物の輸送の媒介,貨物の積卸し,倉庫の提供,商品の保管・輸送及び配達からなる物流管理」を指定役務として、同29年3月23日に登録査定、同年4月14日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録は、令和3年5月11日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の平成30年5月11日から令和3年5月10日までを以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、「商標法第50条第1項の規定により、登録第5941103号商標の登録を取り消す。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上日本国内において本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないことから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人である商標権者は、本件商標の使用に関して、「2017年2月に本件商標を付した会社パンフレットの挟み込み冊子3,000部を作成」と主張し、挟み込み冊子の写しを提出しているが(乙1)、これからは挟み込み冊子が2017年2月に作成されたかは不明である。よって、上記商標権者の主張は妥当性を欠く。
また、商標権者は、挟み込み冊子と思しき注文にかかる請求書及び納品書(乙2)、並びに、挟み込み冊子と思しき代金支払いに関する資料(乙3)を提出しているが、これらに記載された日付は「2017年2月」、「2017年3月」であり3年以内の使用を示すものでない。よって、これらの証拠は使用を示す証拠として妥当でない。
(2)商標権者は、「採用活動においても会社説明会や面接希望者への会社概要の説明に使用し、年間300~500部を配布しており現在継続して使用している」と主張しているが、この主張を裏付ける証拠は何も提出されていない。よって、この主張は採用できるものではない。
(3)さらに、商標権者は、「2017年4月以降、当社サービスの広告・営業を目的として本件商標を会社名刺の裏面に記載し使用している」と主張し、商標権者の会社の取締役営業部長の名刺の表面及び裏面を提出しているが(乙4)、これからは2017年4月以降に本件商標が商標権者の会社名刺の裏面に使用されたか否かは不明である。よって、この上記商標権者の主張は妥当性を欠く。
(4)以上のとおり、答弁書における商標権者の主張及び商標権者の提出に係る証拠は妥当性を欠くものである。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証(枝番を含む。)を提出した。
本件商標は、2017年(平成29年)2月に本件商標を付した会社パンフレットの挟み込み冊子3,000部を作成(乙1の1、乙1の2)し、日本国内の顧客向けの営業活動(営業プレゼン、会社説明等)に使用している。また、採用活動においても会社説明会や面接希望者への会社概要の説明に使用し、年間300ないし500部を配布しており、現在継続して使用している。
なお、当社における顧客とは、法人団体がメインとなる。また、2017年(平成29年)4月以降、当社サービスの広告・営業を目的として本件商標を会社名刺の裏面に記載し使用している(乙4)。
第4 当審の判断
1 事実認定
被請求人の提出した証拠及び当事者の主張によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)パンフレット(挟み込み冊子)(乙1の1)には、表面の上段において、「最適物流をご提案」、「前山倉庫の『スマロジ』」、「倉庫保管から荷役、流通加工、輸送までトータルサポート」の文字が右肩上がりに三段に表示されており、中でも「最適物流をご提案」と「『スマロジ』」の文字は大きく表示され、「スマロジ」の片仮名は、太字のゴシック体の書体で白色で表されている。同表面の中段には、商品が倉庫に保管されている写真等とともに、「『物流技術管理士』が最適な物流サービスをご提案します。」の文字が三段で表示されている。同表面の下段には、ご提案のポイントとして、「最適保管」、「最適在庫」、「最適輸送」の三つについて簡単に説明がされている。同表面の最上部には「SMART LOGISTICS INNOVATOR」の表示、同表面の最下部には「前山倉庫株式会社」の表示がある。
また、同裏面には、「最適保管」、「最適在庫」、「最適輸送」の三つについて、更に詳細な説明がされており、その最下部には、「前山倉庫株式会社」の文字が、住所及び同営業部の電話番号、FAX番号等とともに表示されている。
以上のことから、被請求人である前山倉庫株式会社は、商品の倉庫保管、在庫管理、輸送等をトータルにサポートする物流サービスを提供しており、当該物流サービスを「スマロジ(SMART LOGISTICS INNOVATOR)」と名付けているものと認められる(乙1の1)。
(2)パンフレット(挟み込み冊子)(乙1の1)は、被請求人の会社パンフレットのポケット部分に挟み込んで用いられている(乙1の2)。
(3)2017年(平成29年)2月28日付けの請求書及び納品書(乙2)は、中川商事株式会社から前山倉庫株式会社宛のものである。同請求書及び納品書には、いずれにも、品名・規格の欄に「シートデザイン制作(リライト・画像補正含む)」、数量の欄に「1」、売上単価の欄に「10,000」(円)、売上金額の欄に「10,000」(円)の表示、また、品名・規格の欄に「シート印刷製本(マットコート135kg A4版 両面カラー)」、数量の欄に「3,000」、売上単価の欄に「20」(円)、売上金額の欄に「60,000」(円)の表示がある。同請求書の請求額の合計は「400,885」(円)である。
そして、パンフレット(挟み込み冊子)(乙1の1)は、光沢が抑えられた厚めの上質紙で、A4版の両面カラーであり、同請求書及び納品書中の「シート印刷製本(マットコート135kg A4版 両面カラー)」と整合している。
そうすると、パンフレット(挟み込み冊子)(乙1の1)は、2017年(平成29年)2月28日に、中川商事株式会社から被請求人に対して、3,000部が納品されたものと認められる(乙2)。
(4)銀行通帳の写し(乙3の1)及び総合振込の伝送受付明細照会(照会結果)(乙3の2)によれば、2017年(平成29年)3月31日に、前山倉庫株式会社の普通預金の口座から「中川商事株式会社」の口座に、「400,885円」が振り込まれている。
そうすると、2017年(平成29年)2月28日に中川商事株式会社から被請求人に対して納品されたパンフレット(挟み込み冊子)(乙1の1)等の費用「400,885円」は、2017年(平成29年)3月31日に支払われたものと認められる。
(5)2017年(平成29年)2月28日に3,000部が作成、納品されたパンフレット(挟み込み冊子)(乙1の1)について、被請求人は、日本国内において、顧客向けの営業活動(営業プレゼン、会社説明等)や採用活動(会社説明会や面接希望者への会社概要の説明)に使用し、年間300ないし500部を配布しており、現在も継続して使用しているとのことである。
2 判断
上記1で認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標
パンフレット(挟み込み冊子)(乙1の1)に表示された「スマロジ」の片仮名は、太字のゴシック体の書体で白色で表してなる商標(以下「使用商標」という。)であるのに対し、本件商標は、「スマロジ」の片仮名を標準文字で表してなる商標であるから、本件商標と使用商標とは、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であり、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
(2)使用役務
本件商標の使用に係る役務は、「商品の倉庫保管、在庫管理及び輸送等の物流サービス」(乙1の1)であるところ、当該役務は、請求に係る指定役務中、第35類「物流に関する事業の運営及び管理,商品の在庫管理及び物流管理」及び第39類「商品の保管・輸送及び配達からなる物流管理」に該当するものと認められる。
(3)使用時期及び使用場所
パンフレット(挟み込み冊子)(乙1の1)は、2017年(平成29年)2月28日に、3,000部作成(乙2)されたものと認められる。そして、毎年改訂する必要のないこの種のパンフレット(挟み込み冊子)は、多量の部数を一度に注文し、順次使用していく場合が多いことは、取引の経験則上認められることである。加えて、現在(答弁書提出時)も当該冊子が存在(乙1の1、乙1の2)していることを合わせて考えれば、パンフレット(挟み込み冊子)は、その作成以降、要証期間を含め、現在に至るまで、日本国内において、顧客向けの営業活動(営業プレゼン、会社説明等)や採用活動(会社説明会や面接希望者への会社概要の説明)で使用(配布)されているものと推認される。
(4)使用者
パンフレット(挟み込み冊子)(乙1の1)には、被請求人の名称である「前山倉庫株式会社」が表示されていることから、被請求人、すなわち商標権者が本件商標の使用者である。
(5)使用行為
パンフレット(挟み込み冊子)(乙1の1)での使用商標の使用は、「役務に関する広告に標章を付して頒布する行為」(商標法第2条第3項第8号)が行われたものと認められる。
(6)小括
上記(1)ないし(5)で判断したとおり、本件商標の商標権者は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務中、第35類「物流に関する事業の運営及び管理,商品の在庫管理及び物流管理」及び第39類「商品の保管・輸送及び配達からなる物流管理」に関する広告(パンフレット(挟み込み冊子))に本件商標と社会通念上同一の商標を付して頒布する行為(商標法第2条第3項第8号)をしていたものと認められる。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、被請求人である商標権者は、本件商標の使用に関して、「2017年2月に本件商標を付した会社パンフレットの挟み込み冊子3,000部を作成」と主張し、挟み込み冊子の写しを提出しているが(乙1の1)、同証拠からは挟み込み冊子が2017年2月に作成されたかは不明である旨主張している。
しかしながら、パンフレット(挟み込み冊子)(乙1の1)は、2017年(平成29年)2月28日に、中川商事株式会社から被請求人に対して、3,000部が作成、納品(乙2)されたものと認められること、上記1(3)のとおりである。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
(2)また、請求人は、商標権者は、「採用活動においても会社説明会や面接希望者への会社概要の説明に使用し、年間300~500部を配布しており現在継続して使用している」と主張しているが、この主張を裏付ける証拠は何も提出されていないから、採用できるものではない旨主張している。
しかしながら、毎年改訂する必要のない乙第1号証の1のようなパンフレット(挟み込み冊子)は、多量の部数を一度に注文し、順次使用していく場合が多いことは、取引の経験則上認められることであり、加えて、現在(答弁書提出時)も当該冊子が存在(乙1の1、乙1の2)していることを合わせて考えれば、パンフレット(挟み込み冊子)(乙1の1)は、その作成以降、要証期間を含め、現在に至るまで、日本国内において、顧客向けの営業活動(営業プレゼン、会社説明等)や採用活動(会社説明会や面接希望者への会社概要の説明)で使用(配布)されているものと推認されること、上記2(3)のとおりである。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件商標の商標権者が、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務中、第35類「物流に関する事業の運営及び管理,商品の在庫管理及び物流管理」及び第39類「商品の保管・輸送及び配達からなる物流管理」について、本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしていたことを証明したと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りではない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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