商標取消審判
2021-300282
キヨマサ、セーショー
- 審判番号
- 2021-300282
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2010-077328
- 登録番号
- 5418907
- 請求日
- 2021年04月09日
- 審決日
- 2022年03月11日
- 公報発行日
- 2022年10月28日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】松元 卓哉
- 【被請求人】西 孝弘
- 【被請求人代理人】特許業務法人アイリンク国際特許商標事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 矢澤 一幸
- 審判官 杉本 克治
- 審判官 山田 啓之
- 分類
- T132 .1 -Z (X3035)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5418907号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第5418907号商標の指定商品及び指定役務中、第30類「菓子及びパン,サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」及び第35類「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5418907号商標(以下「本件商標」という。)は、「清正」の文字を標準文字で表してなり、平成22年10月4日に登録出願、第30類「菓子及びパン,サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」及び第35類「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「請求に係る商品及び役務」という。)を含む第29類、第30類及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同23年6月17日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和3年5月31日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、平成30年5月31日から令和3年5月30日までの期間(以下「要証期間」という。)である。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、請求に係る商品及び役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、フルーツセロリを使用したシャーベットの試作品開発及びパッケージ等のデザインを有限会社西弘から株式会社JAMMに委託する際の委託契約書である。
乙第1号証からは、「フルーツセロリ」に関連する商品のパッケージ等のデザイン制作を有限会社西弘から株式会社JAMMに依頼していることが分かる。
しかしながら、その依頼内容は「フルーツセロリ」を使用したシャーベットのパッケージデザイン等の作成を依頼するものであり、本件商標を付した商品に関する依頼であることは明記されていない。
したがって、両者の間に取り交わされた委託契約書からは、アイスクリーム及びシャーベットに対して本件商標を使用されたということができない。
(2)乙第2号証の1について
乙第2号証の1は、乙第1号証の委託契約書に従い株式会社JAMMがフルーツセロリを使用した商品のパッケージ等デザインを作成し、有限会社西弘に納品したことを示す納品書である。
乙第2号証の1からは、「清正」の文字がシールに印字されていることが分かる。
しかしながら、乙第2号証の1の納品書に印字された標章は、同一のフォントで上下2段に「清正/農園」と印字されている。2段に表記した「清正」と「農園」は、外観上親和性が高く、これに対峙した需要者に「清正」と「農園」とを一体に認識させる印象を与える。
よって、使用商標はあくまでも「清正/農園」の2段書きの標章であり、本件商標と社会通念上同一であると認めることができない。
また、被請求人の答弁書において、「この商品は商標権者が経営する『清正農園』の現地のみで販売されており」、「商標権者は、・・・自ら経営する清正農園で、本件商標を付したアイスクリーム及びシャーベットを販売しています。」と記載されている。
このことから、シールに印字された2段書きの「清正/農園」に対峙した需要者は、その表記を商品の製造販売元を示す「清正農園」として認識するにすぎず、殊更「清正」部分を分離抽出して自他商品等の識別標識として捉えることはない。
したがって、乙第2号証の1のシールに印字された2段書きの「清正/農園」は、本件商標の使用に該当しない。
(3)乙第2号証の2について
乙第2号証の2は、乙第2号証の1と同様に株式会社JAMMから有限会社西弘に納品されたフルーツセロリを使用したパッケージ等デザインを撮影した写真である。
乙第2号証の2からは、「清正」の文字がシールに印字されていることが分かる。
しかしながら、乙第2号証の2は、アイスクリーム及びシャーベットの天面に貼付したシールに標章「清正」が表示されていることが分かるだけであり、写真の撮影時期がどこにも記載されていない。
また、本件商標を付した商品の販売場所が「清正農園」内のみであるため、2段書きの「清正/農園」に対峙した需要者は、その「清正/農園」の表記を商品の製造販売元を示す「清正農園」として認識するにすぎない。
したがって、乙第2号証の2のシールに印字された2段書きの「清正/農園」は、本件商標の使用に該当しない。
(4)乙第5号証について
乙第5号証は、2020年10月3日に発刊されたリビング熊本1650号において、セロリを使用したアイス&ジェラートを清正農園が製造、販売したことを示す記事である。
乙第5号証の1の記事には、セロリを使用したアイス又はジェラートの写真の下部に「まだ試作中ですが・・・とセロリのアイス&ジェラートを見せてくれました!」と記載されており、当該記事を掲載した雑誌の発刊時においてセロリを使用したアイス&ジェラートを試作していることが分かる。また、乙第5号証の1の記事から、2020年10月3日において、セロリを使用したアイスクリーム及びシャーベットが未発売であることも分かる。
このように、乙第5号証の1からは、本件商標を付したアイスクリーム及びシャーベットが試作品であり、商品に市場流通性がなく、法の定める商品には該当しないことが分かる。
したがって、乙第5号証の1の証拠方法に基づいて本件商標の使用があったということはできない。
乙第5号証の2は、乙第5号証の1に掲載されたセロリを使用したアイス&ジェラートの拡大写真である。乙第5号証の2は、解像度が低く読み取りにくいものであり、証拠としては不十分である。仮に、文字の位置関係などから乙第7号証の納品書に印字されているシャーベットのシールデザインであるとしても、乙第5号証の2の証拠方法に基づいて本件商標の使用があったということはできない。
(5)乙第7号証について
乙第7号証は、フルーツセロリを使用したアイスクリーム及びシャーベットとそれに貼付するシールを株式会社ついんスターが製造して有限会社西弘が経営する清正農園に納品したことを示す納品書である。
乙第7号証からは、アイスクリーム及びシャーベットのパッケージに貼付するシールに標章「清正」が印字されていることが分かる。
乙第7号証には、「有限会社 西弘 清正農園パンフレットより抜粋」と記載されている。このパンフレットは、有限会社西弘が経営する「清正農園」を紹介したものである。
清正農園を紹介するパンフレットと乙第7号証に印字されたアイスクリーム及びシャーベットに貼付されるシールデザインを比較すると、パンフレット(甲2)の表紙に印字された人の顔とその下に印字された「清正/農園」の文字をパンフレットから抜粋してシールデザインの一部として使用していることが分かる。
このことから、乙第7号証の納品書における標章「清正/農園」は、商品の製造・販売元の表記として印字されているものであり、標章「清正」の部分を抽出してセロリアイス又はシャーベットを識別する標識として使用していない。
したがって、乙第7号証のシールに印字された2段書き「清正/農園」は、本件商標と社会通念上同一とは認められない。
(6)乙第8号証について
乙第8号証は、現地で販売しているセロリを使用したアイスクリーム及びシャーベットの商品写真である。
被請求人は、答弁書において、「本件商標を付したアイスクリーム及びシャーベットを過去3年に販売しており」、「この商品は商標権者が経営する『清正農園』の現地のみで販売されており」、「商標権者は、・・・自ら経営する清正農園で、本件商標を付したアイスクリーム及びシャーベットを販売しています。」と記載している。
しかしながら、被請求人が提出した証拠方法は、アイスクリーム又はシャーベットのパッケージに2段書きの「清正/農園」を印字したシールを貼付した写真(乙8)を提出しただけであり、その販売時期・販売数量・具体的な販売場所など販売を裏付けるための証拠が存在しない。
したがって、乙第8号証に基づいて、本件商標の使用があったということはできない。
第3 被請求人の答弁
1 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。
(1)商標使用実態の概要
商標権者は、本件商標を付したアイスクリーム及びシャーベットを過去3年に販売しており、それは現在も継続している。
この商品は商標権者が経営する「清正農園」の現地のみで販売されており、大々的な広告はされていないため、広告物などへの掲載は少なくなっている。その中で、今回手に入れることができた外部媒体への掲載証拠として、熊本リビング新聞社が発行している「リビング熊本」を提出する(乙5の1、乙5の2)。ここに、本願商標が表示されたシャーベットの写真が掲載されている。
(2)リビング熊本への商標の掲載について
今回提出したリビング熊本の写しは、原本が手に入らなかったため、写真が小さくなっている(乙5の1)。
併せて商品部分の拡大図を提出したが、拡大によりぼやけてしまっている(乙5の2)。
したがって、「本願商標を付した商品である」という事実を示すために、これを補完する証拠として、リビング熊本に掲載されている商品と同じ種類の商品の写真を3件提出する。
1件目は、現在も商標権者が現地で販売している商品の写真である(乙8)。
2件目は、商標権者が上記の商品のパッケージデザインを委託した先の、株式会社JAMMが発行した納品書である(乙2の1、乙2の2)。
3件目は、商標権者が商品の製造を委託した、株式会社ついんスターが発行した納品書である(乙7)。
以上を踏まえてリビング熊本の写真を確認すると、提出物件では画素が荒いとはいえ、上記の写真と比較し、本願商標を付した商品写真であることが分かる。更によく観察すると、リビング熊本に写真が掲載された商品は、乙第2号証の2の6つのパッケージデザインのうち、左上のパッケージデザインが採用された商品であることが分かる。
(3)リビング熊本の記事に記載された商標使用者について
リビング熊本の記事には、「清正農園」という屋号のみ記載されているため、これが商標権者の使用であることが一見では分からない。
したがって、清正農園が商標権者の運営する組織であることが分かる証拠も併せて提出した(乙3、乙4、乙6)。
まず、乙第6号証として、有限会社西弘が「清正農園」を経営していることを示す会社概要を提示する。この会社概要に掲載されている清正農園の住所及び電話番号は、乙第5号証の1の清正農園の問い合わせ先の住所及び電話番号と同じである。
次に、商標権者が有限会社西弘の取締役であることを示す有限会社西弘の現在事項全部証明書を乙第3号証として提示する。
上記のように、リビング熊本で本件商標を使用しているのが商標権者であることは明らかである。
(4)その他
乙第1号証は、有限会社西弘(代表者は商標権者)が、株式会社JAMMと結んだ「『フルーツセロリ』を6次産業化する新商品開発事業委託契約書」の写しである。
乙第1号証の第2条にあるとおり、有限会社西弘は、株式会社JAMMに「シャーベットの試作品開発、シロップの試作品開発、パッケージ等デザイン、完成品のプランディング及びコーディネート」を委託契約している。そして、この契約書に従い、株式会社JAMMから有限会社西弘にアイスクリームのパッケージデザインが納品されている(乙2の1、乙2の2)。
以上により、商標権者が確かに商品を製造販売していることが分かる。
(5)まとめ
商標権者は、上述のとおり、自ら経営する清正農園で、本件商標を付したアイスクリーム及びシャーベットを販売している。
商標を使用している事実は、リビング熊本に掲載された記事から確認できる。また、現実の使用を裏付ける証拠として、当該事業に関する「新商品開発事業委託契約書」、パッケージデザインの納品書及び商品の納品書も存在する。
このように、商標権者が3年以内に本件商標を使用していることは明らかである。
2 合議体は、令和3年12月13日付け審尋により、被請求人に対して、被請求人提出に係る証拠によっては、被請求人は本件商標の使用をしていることを証明したということはできない旨の暫定的見解を示した上で、これに対する意見を求めたが、被請求人は、何ら意見を述べていない。
第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠によれば、次の事実が認められる。
(1)本件商標の商標権者(以下、単に「商標権者」という。)は、有限会社西弘の取締役である(乙3、乙4、乙6)。
(2)有限会社西弘は、清正農園を経営している(乙6)。
(3)清正農園は、2020年(令和2年)10月3日発行の「リビング熊本」(熊本リビング新聞社発行)に、「カップ入りのセロリのアイスクリーム又はシャーベット」(以下「使用商品」という。)についての広告を掲載した(乙5の1)。
(4)当該広告には、別掲1のとおり、「清正農園」の文字を横書きしてなる商標(以下「使用商標1」という。)が記載されている(乙5の1)。
(5)当該広告には、使用商品の写真が掲載されているが(乙5の1)、使用商品の包装(カップ)にどのような文字等が表示されているかは不明である(乙5の2)。
(6)被請求人が使用商品であると主張している商品(乙2の2の写真に写っている6個の商品のうち、左上に写っている商品。以下「使用主張商品」という。)には、その包装(カップ)に、別掲2のとおり、「清正」及び「農園」の文字を2段に横書きで表してなる商標(以下「使用商標2」という。)が表示されている(乙5の2)。
2 判断
(1)前記1(1)のとおり、商標権者は、有限会社西弘の取締役であるから、本件商標の使用について、有限会社西弘に対し、黙示の許諾を与えていたものと推認することができる。
したがって、有限会社西弘は、本件商標に係る通常使用権者(以下、単に「通常使用権者」という。)であるということができる。
(2)前記1(3)のとおり、使用商品は、「カップ入りのセロリのアイスクリーム又はシャーベット」であるから、これは、請求に係る商品及び役務中、第30類「菓子及びパン」に含まれる商品であると認められる。
(3)前記1(2)及び(3)によれば、有限会社西弘は、令和2年10月3日発行の「リビング熊本」に使用商品の広告を掲載したことが認められる。また、当該「リビング熊本」は、同日に頒布されたものと推認することができる。
そして、令和2年10月3日は、要証期間内である。
(4)使用商標1は、別掲1のとおり、「清正農園」の文字を横書きしてなり、同書、同大、等間隔でまとまりよく一体に表されているものであり、これから生じる「キヨマサノーエン」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、使用商標1は、殊更「清正」の文字部分を抽出し、着目されるといった事情も見いだせない。
そうすると、「清正」の文字を標準文字で表してなる本件商標と使用商標1とは、「農園」の文字の有無という点において、明らかに異なるものである。
してみると、使用商標1は、本件商標と社会通念上同一の商標ということはできない。
(5)使用商標2は、別掲2のとおり、「清正」及び「農園」の文字を2段に横書きで表してなり、同書、同大でまとまりよく一体に表されているものであり、これから生じる「キヨマサノーエン」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、使用商標2は、殊更「清正」の文字部分を抽出し、着目されるといった事情も見いだせない。
そうすると、前記(4)と同様に、使用商標2は、本件商標と社会通念上同一の商標ということはできない。
(6)以上によれば、通常使用権者である有限会社西弘は、要証期間内である令和2年10月3日に、使用商品に関する広告に使用商標1を付して頒布した(商標法第2条第3項第8号)ということができるが、使用商標1は、本件商標と社会通念上同一とはいえない。
また、仮に、被請求人が主張するように、当該広告に掲載されている使用商品が使用主張商品であるとしても、使用主張商品に表示されている使用商標2は、使用商標1と同様に、本件商標と社会通念上同一とはいえない。
したがって、被請求人の提出に係る証拠によっては、被請求人は、本件商標の使用をしていることを証明したということはできない。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人の提出に係る証拠によっては、被請求人が、要証期間内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る商品及び役務についての本件商標の使用をしていることを証明したとはいえず、また、当該使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしたともいえない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品及び指定役務中、請求に係る商品及び役務についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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