商標取消審判
2021-300402
アサクラ
- 審判番号
- 2021-300402
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2016-100668
- 登録番号
- 5933993
- 請求日
- 2021年05月26日
- 審決日
- 2022年06月23日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】松元 卓哉
- 【請求人代理人】松尾 憲一郎
- 【請求人代理人】市川 泰央
- 【請求人代理人】原 志津子
- 【請求人代理人】▲高▼松 賢介
- 【被請求人】朝倉酒造 株式会社
- 【被請求人代理人】塙 信一
- 審判長/審判官
- 審判長 岩崎 安子
- 審判官 大森 友子
- 審判官 馬場 秀敏
- 分類
- T131 .1 -Y (W33)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第1号、商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第2号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5933993号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は,成り立たない。
審判費用は,請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5933993号商標(以下「本件商標」という。)は,「朝倉」の文字を横書きしてなり,平成28年9月2日に登録出願,第33類「泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒,直し,みりん,リキュール,洋酒」を指定商品として,同29年3月24日に設定登録がされ,現に有効に存続しているものである。
そして,本件審判の請求の登録日は,令和3年6月9日である。
なお,本件審判において,商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは,平成30年(2018年)6月9日ないし令和3年(2021年)6月8日である(以下「要証期間」という場合がある。)。
第2 請求人の主張
請求人は,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は,下記の被請求人の答弁に対し,何ら弁駁していない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第42号証(枝番号を含む。ただし,乙第8号証は欠番である。)を提出した。
本件商標権者は,本件商標の指定商品のうち清酒について「朝倉」という商標をラベルに印刷し,清酒300ミリリットル入の瓶に貼り付け,販売等を行って商標を「使用」した。
1 本件商標権者の事業等
(1)本件商標権者の定款上の主たる目的は,酒類の製造・加工,輸入・販売であり(乙1),酒類,焼酎,リキュールの製造免許を得ている(乙2)。
(2)本件商標権者は,アシードブリュー株式会社から分割により平成28年(2016年)4月1日設立された会社である(乙1,乙4)。
(3)本件商標権者は,平成31年2月,ベストアメニティ株式会社のグループ会社となった(乙5の3)。
(4)タンク内の清酒を商品化するにあたり本件商標権者は,詰口事績表(乙6)を作成している。これには下記3ないし5の商標を使用した対象となる清酒を製造した事実が記載されている。
なお,本件商標権者が製造・販売している300ミリリットル入清酒は「登録商標「仙酔郷」(乙7)及び「朝倉」の2銘柄である。
2 ラベルの作成
本件商標権者は,本件商標を使用するため,デザイン他を株式会社カンキ堂に依頼し,平成29年6月21日過ぎに案を受け取った(乙9)。これをもとに本件商標権者は「朝倉」の清酒300ミリリットル瓶用ラベルを完成させ,そのデータを社内のパソコンに保存し,使用するたびに印刷していた(乙10,乙11)。
3 使用の事実1
(1)本件商標権者は,平成29年(2017年)7月の北部九州豪雨災害で甚大な被害を受けた朝倉市を支援する目的で,Livehouse&Club PEACE(福岡県中央区,以下「ライブハウスピース」という。)で平成30年(2018年)7月16日に開催された朝倉市復興支援ライブに協賛を求められ,これに応じ(乙12),清酒「朝倉」(乙13)及び焼酎「帝王」,各24本を平成30年(2018年)7月14日ヤマト運輸の宅急便で案内文(乙14)を添えて「ライブハウスピース」に送付し(乙15),主催者に寄付した。
寄付した清酒300ミリリットル瓶に貼ったラベルは,上記2の記載の方法で作成したラベル(乙11)である。
(2)朝倉市復興支援ライブの主催者は,平成30年(2018年)7月16日会場のバーコーナーで清酒「朝倉」及び焼酎「帝王」を1本500円で客に販売した(乙17)。販売代金は朝倉福祉事務所を通じて被災者に「義援金」として届けられたものと考えられる(乙12の1)。
(3)本件商標権者が寄付した「朝倉」及び「帝王」は,平成30年(2018年)7月1日から同年7月31日までの酒税の課税対象となる移出分である(乙18の1)。
当該酒税の申告は,2018年8月30日に受け付けられ(乙18の2),納付税額21万2000円が申告書記載の口座から引き落とされている(乙20)。
(4)以上のとおり,平成30年(2018年)7月に本件商標権者は本件商標「朝倉」を表示したラベルを清酒300ミリリットル瓶24本に貼り付け,送付し,寄付して使用した。
4 使用の事実2
(1)蕎麦処「螢雪の里 黒川山荘」の経営者(以下「経営者」という。乙21,乙22)より,令和元年(2019年)9月,電気ビル「みらい広場」(福岡県中央区)で開催される九州北部豪雨復興応援マーケット「第10回朝倉いきいきヴィレッジ」(乙23)に出品を打診された(乙22)。
(2)これを受けて本件商標権者は,令和元年(2019年)9月21日に経営者らに,試飲用として焼酎「帝王」,清酒「朝倉」を各1本交付した(乙21,乙22)。
(3)売上伝票(乙26の1)は,本件商標権者の代表者が「朝倉」12本等を購入(乙26の2)したことが記載されており,そのうち「朝倉」2本を試飲用として寄付した。「帝王」は自家用(乙26の1)とした3本のうち2本が寄付された。
(4)本件商標権者が寄付した「朝倉」及び「帝王」は,令和元年(2019年)9月1日から同年9月30日までの酒税の課税対象となる移出分である(乙24の1)。
当該酒税の申告は,2019年10月29日に受け付けられ(乙24の2),納付税額21万800円が申告書記載の口座から引き落とされている(乙27)。
(5)以上のとおり,本件商標権者は「朝倉」と表示されている清酒300ミリリットル入瓶2本を本件商標権者代表者に売却し,その後,経営者らに試飲用として提供し,本件商標を使用した。
5 使用の事実3
(1)令和元年(2019年)12月11日(水曜日)から同月15日(日曜日)まで,グランメッセ熊本(熊本県上益城郡益城町)で開催された「全国メガグルメリーグ100」に,ベストアメニティ株式会社が特別協賛し,本件商標権者がそこに出展することになった(乙28)。
(2)これを受けて本件商標権者は,令和元年11月26日付グランメッセ熊本展示ホールにおける酒類販売業の免許申請を熊本東税務署に対し行い(乙29,乙30),同年12月6日付けで熊本東税務署長より酒類販売業免許通知が発せられた(乙29)。
(3)開催日前日の同年12月10日に本件商標権者の代表取締役及び従業員が会場に雑穀米焼酎「とんでんなか」,芋焼酎「帝王」,吟醸生貯蔵酒「朝倉」300ミリリットル(36本)を持ち込み(乙32,乙33),熊本東税務署長名の酒類販売業免許通知書(乙29)2頁記載の酒類販売場のテーブルに陳列し(乙35),グランメッセ熊本の開催期間中,販売した。
(4)前記販売の実績中「朝倉」300ミリリットル(売価500円)は,33本販売され小計は1万6500円であった。
その他の酒類も加えた売上合計額は15万6750円であった(乙36)。
この売上代金合計15万6750円は,ベストアメニティがグループ分(ベストアメニティ,雑穀本家縁家売上,みづまの駅,本件商標権者)全部を現場で受け取り(乙36),令和元年12月27日に本件商標権者口座へ入金されてきた(乙37)。
(5)グランメッセ熊本における「朝倉」36本持ち出し分に関する酒税の申告は,令和2年1月20日廿木税務署が受付け(乙31の2),令和2年2月27日酒税44万2800円が納付された(乙34の1,2)。
(6)以上のとおり,清酒300ミリリットル瓶に「朝倉」と表示したラベルを貼り付け,グランメッセ熊本会場へ持ち込み販売したもので,これらの事実は商標の使用にあたる。
6 結論
以上のとおり本件商標権者は,本件商標「朝倉」を表示したラベルを作成し,清酒300ミリリットル入りの瓶の側面に貼り付け(商標法第2条第3項第1号),これを商品として販売,寄付等(商標法第2条第3項第2号)を行った。
第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(1)本件商標権者について
本件商標権者は,平成28年4月1日にアシードブリュー株式会社から分割によって設立された,酒類の製造・加工・輸出入・販売等を目的とする法人であって(乙1),2019年(平成31年)2月にベストアニメティ株式会社のグループに参入した(乙5の3)。
(2)「朝倉」の表示のあるラベルについて
別掲のとおりの構成からなる,筆文字で縦書きされた「朝倉」の表示(以下「使用商標」という。)のあるラベル(以下「本件ラベル」という。)には,「清酒」及び「内容量300ml詰」の文字並びに本件商標権者の名称及び住所等が記載されている(乙11)。
(3)本件商標権者による商品の販売について
ア グランメッセ熊本(熊本県上益城郡益城町)の展示ホールにおいて2019年(令和元年)12月11日ないし同月15日に開催された,主催をグランメッセ熊本 指定管理者 熊本産業文化振興株式会社,後援を熊本県等,特別協賛をベストアメニティ株式会社とする「九州最大級の食の祭典 ベストアメニティPRESENTS 全国メガグルメリーグ100」(以下「本件イベント」という。)のパンフレットには,「全国名産品」及び「全国物産販売」として本件商標権者が出店する旨が記載されている(乙28)。
イ 本件商標権者は,令和元年11月26日付けで,本件イベントで酒類を販売するための酒類販売業免許を熊本東税務署に申請し,同税務署は同年12月6日付けで酒類販売業免許通知書を本件商標権者に交付した(乙29,乙30)。
当該免許において,本件商標権者が,本件イベントで販売できる酒類の種類は,清酒,単式蒸留酒及びリキュールに限られるものである。
ウ 本件イベント内の本件商標権者に係る物販ブースの「吟醸生貯蔵酒 /朝倉/辛口であっさりした味わいの日本酒です。/500円(税込)」の表示のある店頭広告の下には,使用商標が表示された本件ラベルと認められるラベルが貼付された瓶入りの商品(以下「使用商品」という。)のほか,複数の種類の酒類と思しき商品が陳列されている(乙29,乙35)。
エ 本件商標権者は,本件イベントにおいて売価500円の「朝倉300ml」を33本販売した。当該商品の売上の合計は1万6500円であり,本件商標権者の本件イベントに係る売上全体は税込みで15万6750円であった(乙36)。
オ 令和元年12月27日付けで本件商標権者の口座に15万6750円が入金された(乙37)。
2 上記1の認定事項に基づき、以下判断する
(1)使用商品について
使用商品に貼付されている本件ラベルには,「清酒」の文字が表示されている。また,使用商品は「・・・の日本酒です。」の表示の下,販売されたものと認められるから,使用商品は「清酒」であり,本件商標の指定商品(請求に係る指定商品)の範ちゅうの商品である。
また,本件商標権者が,本件イベントにおいて販売した「朝倉300ml」は,使用商標と同一の文字の「朝倉」と本件ラベルにある内容量の表示と同一の「300ml」の文字からなるものであるから,当該「朝倉300ml」は使用商品であると認められる。
(2)本件商標の使用者について
使用商品に貼付された本件ラベルには,本件商標権者の名称及び住所が表示されていること及び本件商標権者は,酒類の製造を目的としており,上記(1)より使用商品が清酒であることからすると,本件ラベルを使用商品に付したのは本件商標権者と認められる。そうすると,使用商標の使用者は,本件商標権者である。
(3)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について
本件商標は,上記第1のとおり,「朝倉」の文字を横書きしてなり,他方,使用商標は,別掲のとおり「朝倉」の筆文字を縦書きにて表したものである。
そうすると,本件商標と使用商標とは,書体にのみに変更を加えた同一の文字からなるものであって,かつ横書きによる表示態様とこれに対応すると認められる縦書きによる表示態様の相互間の使用によるものであるから,本件商標と使用商標とは,社会通念上同一の商標と認められる。
(4)商標の使用及び使用時期について
本件商標権者は,2019年(令和元年)12月11日ないし同月15日に熊本県で開催された本件イベントにおいて,清酒を含む酒類を販売するために,酒類販売業免許を熊本東税務署に申請し,本件イベントの開催前の同月6日付けで当該免許を取得している。そして,本件商標権者は,本件イベントにおける同人の物販ブースに使用商品(朝倉300ml)を陳列し,これを33本販売し,同月27日付けで,使用商品33本を含む本件商標権者の売上代金が入金されているものと認められるところ,本件商標権者の本件イベントにおける販売行為に不自然なところはない。
そうすると,本件商標権者は,2019年(令和元年)12月11日ないし同月15日に,使用商標を使用商品(清酒)の瓶(包装)に付し,また,使用商標を瓶(包装)に付した使用商品(清酒)を譲渡(販売)したものと認められる。
そして,当該期間は,要証期間内である。
(5)小括
以上によれば,本件商標権者は,要証期間に日本国内において,本件商標の指定商品(請求に係る指定商品)に含まれる「清酒」の包装に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付し,またこれを譲渡したものと認められる。
本件商標権者による上記行為は,商標法第2条第3項第1号の「商品の包装に標章を付す行為」及び同項第2号の「商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,本件商標権者が本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「清酒」について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したというべきである。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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