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商標取消審判

2021-300157

グランド

審判番号
2021-300157
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願1959-022276
登録番号
0580541
請求日
2021年03月04日
審決日
2021年10月04日
公報発行日
2022年06月24日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】グードルン コマーシャル
  • 【請求人代理人】村井 康司
  • 【請求人代理人】魯 佳瑛
  • 【被請求人】クラシエホールディングス 株式会社
  • 【被請求人代理人】三上 真毅
審判長/審判官
  • 審判長 佐藤 松江
  • 審判官 鈴木 雅也
  • 審判官 阿曾 裕樹
分類
T131 .1 -Y (Z30) / T131 .11 -Y (Z30)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第2号、商標法第50条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第580541号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

1 本件商標 本件登録第580541号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「GRAND」の欧文字及び「グランド」の片仮名を上下二段に表してなり、昭和34年7月15日に登録出願、第43類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同36年9月20日に設定登録されたものである。 その後、平成14年2月20日に指定商品を第30類「粉末あめ,水あめ(調味料),もち,菓子(甘栗・甘酒・氷砂糖・みつ豆・ゆであずきを除く。),パン」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。 2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第6号証を提出した。 (1)請求の理由 本件商標は、その指定商品について、本件審判の請求の登録前3年以内(平成30年(2018年)3月24日から令和3年(2021年)3月23日まで。以下「要証期間」という。)に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用していないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。 (2)被請求人の答弁に対する弁駁 ア 通常使用権者による使用について 本件商標の通常使用権者であるモロゾフ株式会社(以下「本件使用権者」という。)が、要証期間に、別掲2の標章(以下「使用標章」という。)を、菓子の一種である「クグロフ」に使用したことには異論がない。 イ 社会通念上同一性について (ア)全体観察について a 使用標章は、別掲2のとおり、「morozoff」、「grand」及び「TOKYO」の文字が白抜きで側壁に表された建物の図形と、ひとつのまとまりとなっている結合商標である。 当該標章の構成中「grand」の文字部分のみが分離して認識されるような事情はない。当該標章は常に結合した態様で焼きクグロフ専用の個別包装袋に表示又は店舗名として使用されており(乙5~乙10、乙17、乙18)、「grand」の文字部分のみが独立して商標として使用されていない。 b また、本件使用権者は、洋菓子店として1931年創業以来、菓子店舗直営店20店、百貨店・専門店1,199店、喫茶店舗28店を展開する洋菓子製造・販売事業者であり(乙3)、その社名商標「morozoff」は、需要者に洋菓子店の商標として広く認識されている著名商標である。 他方、「grand」の文字は、「大きい、高貴な、気高い」の意味合いを有するフランス語であって、洋菓子分野においてよく使われる表現である。 よって、別掲2の標章は全体として、又は「morozoff」の文字部分のみで商標として機能するもので、「grand」の文字部分のみが単独で商標として機能するとはいえない。 (イ)称呼の不一致について a 「GRAND」の欧文字は、英語のみならずフランス語としても広く知られている語であるから、使用される環境によって、英語又はフランス語として認識される場合があり得る。つまり、「GRAND」の欧文字は、英語として「グランド」の称呼及びフランス語として「グラン」の称呼が生じ得る。 また、フランスの影響を多く受ける分野である美容・ファッション・グルメ・ライフスタイル等において、洗練されたイメージを与えるフランス語表現はよく使われており、容易なフランス語単語は、一般的に認識されている。あらゆる分野において、フランス語「GRAND」が有するイメージを借用し、フランス語の読み方にならって「グラン」の称呼が生じている(甲1~甲4)。 さらに、本件商標の指定商品及び「洋菓子」の分野においては、「GRAND」の欧文字は、フランス語にならって「グラン」の称呼が生じるのが最も自然である。洋菓子屋の店舗名として、「GRAND」を「グラン」とフランス語の読み方にならって称呼が生ずる表現が多数存在しており、一般的な読み方となっている(甲5、甲6)。 b 加えて、本件使用権者は、焼きクグロフ(洋菓子)専門店の店舗を新たに展開し、その店舗で販売する商品に商標を付して販売しており、その店舗名は、例えば「モロゾフグラン」等(乙5~乙10)のように、一貫して「grand」の文字部分を「グラン」と表示しているもので、「グランド」との称呼を望んでいないこと明らかである。 また、一般需要者又は取引者が記載したブログ等において、本件使用権者の店舗名は「モロゾフグラン」(乙16~乙18)と記載されており、使用に係る標章である「grand」の文字部分から実際に生じる称呼は「グラン」である。 c 以上を踏まえると、本件商標は、英単語の「GRAND」の意味合いと「グランド」の称呼が生じる一方で、使用標章の「grand」の文字部分からは、フランス語の「GRAND」の意味合いと「グラン」の称呼が生じるから、その意味合いや称呼が明らかに異なるため、社会通念上同一の商標ではない。 3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第20号証を提出した。 (1)被請求人は、1887年創業の旧カネボウ株式会社から、日用品、医薬品、食品事業を2006年に継承した事業主体であり、クラシエグループの持ち株会社として、各事業会社のグループ経営戦略の策定・推進、経営管理を行っている(乙1)。 (2)本件商標の使用 ア 通常使用権者による使用 (ア)本件商標に関して、本件商標権者は、10年以上前より、本件使用権者(モロゾフ株式会社)に使用許諾を与えている。 本件使用権者は、1931年創業、菓子店舗直営店20店、百貨店・専門店1,199店、喫茶店舗28店を展開する洋菓子製造・販売事業者である(乙3)。 乙第4号証は、2020年3月31日付けで、本件商標権者と本件使用権者の間で締結された本件商標の使用許諾契約書であり、一定の範囲(日本全土、本件商標の指定商品、2020年4月1日から3年間)で、通常使用権を許諾することが明記されている。 (イ)本件使用権者は、上記契約に基づき、本件使用権者が営業展開する焼きクグロフ専門店「モロゾフグラン」において、本件商標を別掲2の態様で、2006年から現在まで継続して使用している。 乙第5号証は、本件使用権者による別掲2の標章の商品「焼きクグロフ」への使用が、旧カネボウ株式会社及び本件商標権者により使用許諾を得たものであることを裏付ける、本件使用権者の従業員による陳述書である。 「モロゾフグラン」の代表的な店舗として、エキュート赤羽店(乙6、乙7)、ららぽーと海老名店(乙8、乙9)、神戸さんちか店(乙5)がある。 乙第10号証は、本件使用権者のFacebookページに2017年5月11日に掲載された上記店舗に関する情報であり、クグロフを中心としたスイーツのお店として2006年にオープンしたこと、「プティクグロフ(ピーチティー)」、「焼クグロフ(ピーチメルバ)」が販売されていることが、別掲2の標章を店頭の商品陳列ケースに掲げた店舗写真とともに紹介されている。 (ウ)「クグロフ」(kouglof)とは、フランス・アルザス地方の銘菓、斜めにうねりのあるググロフ型で焼いたレーズン入りブリオッシュ生地の菓子であり(乙11)、ヨーロッパを中心に幅広く親しまれた焼き菓子として、我が国においても知られている(乙12)。 そのため、上記店舗において販売されている焼きクグロフは、本件商標の指定商品中「菓子(甘栗・甘酒・氷砂糖・みつ豆・ゆであずきを除く。)」に含まれる。 イ 本件商標の個別包装袋等における使用 (ア)乙第13号証は、2021年2月4日に、本件使用権者がD社(乙14)に、本件使用商品の個別包装袋の制作・印刷を依頼した「営業資材注文書」であり、乙第15号証は、同月26日に同社が当該包装袋を納品したことを示す請求明細票である。 上記包装袋には、別掲2の標章が表示され、「モロゾフグラン」で販売する焼きクグロフの個別包装袋として以前から使用されているものと同一デザインであることは、本件使用権者の従業員による陳述書(乙5)により裏付けられる。 (イ)本件使用権者が展開する上記店舗において、需要者は、1個50円から150円程度の焼きクグロフを好きな数量だけ購入することができ、購入数や種類(味)に応じて、個別の包装袋に袋詰めして販売されている(乙16)。 Instagramに要証期間に投稿された「モロゾフグラン」に関する商品写真(乙17)には、使用標章が表示された上記包装袋に、本件使用権者の社名、本店所在地、販売店、お買い上げ日が記入されたシールが貼付されており、「販売店」、「お買い上げ日」として、それぞれ「モロゾフグランTOKYOエキュート赤羽 2020.3.3」、「モロゾフグランTOKYO 2019.8」(写真が途中で切れている)、「モロゾフグランTOKYOエキュート赤羽 2018.9.25」と印字されている。 また、食ベログに掲載された「モロゾフグラン」に関する利用者の投稿記事(乙18)には、エキュート赤羽店にて、2019年7月25日に、焼きクグロフ「クリームブリュレ」、「メープル」が、2020年12月8日に「焼きクグロフ」が、それぞれ販売されていたことが写真とともに掲載されている。 (ウ)以上のとおり、本件使用権者は、要証期間以前より現在に至るまで、焼きクグロフ専門店「モロゾフグラン」の店舗看板(広告)、及び当該店舗で販売する本件使用商品の包装袋やラベル等に、別掲2の標章を継続して使用している(乙5~乙18)。 ウ 本件商標と同一又は社会通念上同一の商標の使用 乙第5号証のとおり、本件使用権者は、別掲2の標章において、「Grand」の欧文字の書体が、スペースを空けて左に配された「morozoff」の文字と異なっており、両語は一体のものとは認識され難いことから、本件商標権者より本件商標の使用許諾を得て、現在まで継続して使用している。 また、本件商標は、「GRAND」及び「グランド」を二段書きにしてなるところ、下段の片仮名は上段の欧文字の表音を示すものである。 他方、本件使用権者が使用する標章は、「Grand」の欧文字を筆記体により横書きにしてなるものである。 そのため、本件商標の欧文字部分と使用に係る標章とは、つづりを同一にし、その一部について大文字と小文字の表示及び書体を変更するにすぎないから、片仮名部分の有無の相違はあるものの、称呼及び観念において相違はないため、両者は社会通念上同一の商標といえる。 エ まとめ 以上のとおり、本件商標権者は、本件使用権者に、本件商標に係る指定商品について通常使用権を許諾しており、これに基づき、本件使用権者は、自身が運営する焼きクグロフ専門店「モロゾフグラン」において、「Grand」の欧文字を筆記体により書した標章を、当該店舗の看板及び商品(焼きクグロフ)の包装袋やラベル等に付して、2006年から現在まで継続して使用している。 上記の個別包装袋は本件商品の包装に該当し、使用に係る標章は本件商標と社会通念上同一の商標であるから、上記包装における標章の表示は、本件商標の指定商品「菓子(甘栗・甘酒・氷砂糖・みつ豆・ゆであずきを除く。)」に含まれる洋菓子(焼きクグロフ)への商標の使用(商標法第2条第3項第2号)に該当する。 また、上記の使用時期(2018年9月25日~)は、要証期間である。 したがって、本件商標権者が、本件使用権者を通じて、要証期間に、本件商標に係る指定商品のいずれかについて、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標を使用したといえる。 4 当審の判断 (1)被請求人の主張及び提出証拠によれば、以下の事実が認められる。 ア 本件商標権者(クラシエホールディングス株式会社)は本件使用権者(モロゾフ株式会社)との間で、本件商標(登録第580541号商標)について、2020年3月31日付けで、同年4月1日から3年間、日本国全土の、その指定商品に係る範囲において、通常使用権を許諾する旨の契約を締結している(乙4)。 イ 本件使用権者が運営する、菓子「クグロフ」に特化した店舗「モロソフグランTOKYO」は、2011年9月23日に、JR東日本赤羽駅構内の「エキュート赤羽」にオープンし、「焼きクグロフ」の販売をしている(乙7)。 ウ 上記店舗(エキュート赤羽店)で顧客に販売された「焼きクグロフ」の包装袋(2018年9月25日、2020年12月8日販売)には、別掲2と同様の態様で「grand」の欧文字(以下「本件使用商標」という。)が表示されている(乙17、乙18)。 (2)上記で認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。 ア 本件商標の通常使用権者と認められる本件使用権者(モロゾフ株式会社)は、本件使用商標を包装に付した「焼きクグロフ」を、要証期間(2018年9月25日、2020年12月8日を含む。)に、顧客に販売したことが認められる。 イ 本件使用商標は、「grand」の欧文字を、別掲2と同様の態様で、筆記体状の書体で表してなるところ、当該文字は「壮大な」の意味を有する英語(「ジーニアス英和辞典 第5版」大修館書店)であるから、その構成文字に相応して「グランド」の称呼が生じ、「壮大な」程度の観念が生じる。 他方、本件商標は、別掲1のとおり、「GRAND」の欧文字と「グランド」の片仮名を上下二段に表してなるところ、上記と同様に、その構成文字に相応して、「グランド」の称呼が生じ、「壮大な」程度の観念が生じる。 そうすると、本件使用商標は、本件商標の構成中「GRAND」の欧文字部分とは、つづりを共通にする欧文字を表してなるから、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標といえるものであって、その構成中「グランド」の片仮名部分とは、片仮名とローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって、同一の称呼(グランド)及び観念(壮大な)を生じる商標であるから、本件商標とは社会通念上同一の商標であると認められる。 ウ 本件使用権者の使用に係る「焼きクグロフ」は、「アルザス地方の銘菓。斜めにうねりのあるクグロフ型で焼いたレーズン入りブリオッシュ生地の菓子。」である「クグロフ」(乙11)の一種といえるから、本件商標の指定商品中「菓子(甘栗・甘酒・氷砂糖・みつ豆・ゆであずきを除く。)」の範ちゅうにある商品であると認められる。 エ 以上によれば、本件商標の通常使用権者は、要証期間に、本件商標と社会通念上同一の商標を包装に付した、その指定商品中「菓子(甘栗・甘酒・氷砂糖・みつ豆・ゆであずきを除く。)」に含まれる商品を、譲渡又は引渡ししたこと(商標法第2条第3項第2号)が認められる。 (3)請求人の主張について ア 請求人は、本件使用権者の使用に係る商標は、別掲2のような構成の、一つのまとまりのある結合商標であって、常に結合した態様で包装袋に表示又は店舗名として使用しているから、「grand」の文字部分のみが独立して使用されておらず、また、「morozoff」の商標は著名商標である一方で、「grand」の文字は「大きい」等の意味を有するフランス語で、洋菓子分野においてよく使用される表現であるから、別掲2の標章は構成全体として又は「morozoff」の文字部分のみで商標として機能するもので、「grand」の文字部分のみが単独で商標として機能するとはいえない旨を主張する。 しかしながら、別掲2の使用標章の構成において、「morozoff」の文字部分、「grand」の文字部分及び「TOKYO」の文字を含む図形部分は、それぞれ間隔を設けて配置されており、文字部分は互いに書体を異にすることからも、本件使用商標(grand)は、他の文字部分や図形部分とは視覚上分離して看取され、独立した商標として表示されているものと認めることができる。 イ 請求人は、「GRAND」の文字は、英語のみならずフランス語としても広く知られている語で「グランド」の称呼と「グラン」の称呼が生じ得ること、フランス語が有するイメージを借用して「グラン」の称呼が生じる事例があること(甲1~甲4)、洋菓子分野ではフランス語風の称呼が生じるのが自然であること(甲5~甲10)、店舗名において「grand」の文字を「グラン」と一貫して表示していること(乙5~乙10)を踏まえると、本件使用商標から生じる称呼は「グラン」であって、本件商標とは、称呼が異なるから、社会通念上同一の商標とはいえない旨を主張する。 しかしながら、本件使用商標は、上記のとおり、「grand」の欧文字を表してなるもので、他の文字部分や図形部分とは視覚上分離、独立した商標として表示されているから、自然と我が国で極めて親しまれた外来語である英語に相応する称呼(グランド)及び観念(壮大な)が生じる。 そして、請求人主張のように「grand」の欧文字からフランス語風に「グラン」の称呼をも生じる場合を否定するものではないが、本件使用商標のような構成においては、英語に相応する称呼及び観念が生じることが自然であって、それは請求人主張の取引の実情や使用実態によって必ずしも否定されない。 したがって、本件使用商標は、上記(2)イのとおり、本件商標とは社会通念上同一の商標と認められる。 (4)まとめ 以上のとおり、被請求人は、要証期間に、日本国内において、本件商標の通常使用権者が、その指定商品中、第30類「菓子(甘栗・甘酒・氷砂糖・みつ豆・ゆであずきを除く。)」に含まれる商品について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したものと認められる。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-300157

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