商標取消審判
2022-300807
キョク、ゴク、キワメ
- 審判番号
- 2022-300807
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願1977-077385
- 登録番号
- 1488400
- 請求日
- 2022年09月01日
- 審決日
- 2024年07月18日
- 公報発行日
- 2024年10月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社 シニアライフクリエイト
- 【請求人代理人】佐藤 勝
- 【被請求人】ニコニコのり 株式会社
- 【被請求人代理人】藤田 典彦
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 豊瀬 京太郎
- 審判官 小俣 克巳
- 分類
- T132 .1 -Y (Z30)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第50条第2項、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第1488400号の1の1商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第1488400号の1の1商標(以下「本件商標」という。)は、「極」の漢字を書してなり、昭和52年10月31日に登録出願、第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同56年11月27日に設定登録されたものである。
その後,平成12年8月7日に、指定商品中「食肉」について商標権の分割移転(商標登録第1488400号の2へ分割)の登録がされ、さらに、同14年4月24日に、第29類ないし第32類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品とする指定商品の書換登録がされ、さらにまた、同年12月12日に、指定商品中、第29類「肉製品,加工水産物(かつお節・寒天・削り節・食用魚粉・とろろ昆布・干しのり・干しひじき・干しわかめ・焼きのりを除く。)」について商標権の分割移転(商標登録第1488400号の1の2へ分割)の登録がされたものである。
そして、商標権の一部取消し審判において、指定商品中、第29類「加工野菜及び加工果実」については、その確定登録が平成25年8月29日に、第30類「アーモンドペースト」及び第31類「コプラ」については、その確定登録が同26年3月6日になされたことにより取り消され、最終的に、本件商標の指定商品は、第29類「卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物但し、肉製品,加工水産物(かつお節・寒天・削り節・食用魚粉・とろろ昆布・干しのり・干しひじき・干しわかめ・焼きのりを除く。)を除く、但し、加工野菜及び加工果実を除く」、第30類「コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,おでん,お好み焼き,焼きそば,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす、但し、アーモンドペーストを除く」、第31類「食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,野菜,糖料作物,果実,コプラ,麦芽、但し、コプラを除く」及び第32類「飲料用野菜ジュース」となり、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判請求の登録日は、令和4年9月29日である。
また、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和元年(2019年)9月29日ないし同4年(2022年)9月28日である(以下「要証期間」という。)。
第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第30類「ぎょうざ,しゅうまい,すし,おでん,お好み焼き,焼きそば,たこ焼き,べんとう,ラビオリ」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第30類「ぎょうざ,しゅうまい,すし,おでん,お好み焼き,焼きそば,たこ焼き,べんとう,ラビオリ」(以下「請求に係る指定商品」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は、被請求人提出の審判事件答弁書に対して、何ら弁駁していない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証(枝番号を含む。)を提出した。
被請求人は、要証期間に、日本国内において、通常使用権者が、請求に係る指定商品中「すし」について本件登録商標を使用していることを以下のとおり立証する。
1 乙第1号証は、2021年(令和3年)12月7日付締結の、商標権者(被請求人)がイオンリテール株式会社との間に交わした本件商標の商標権に関する商標権使用許諾(通常使用権の許諾)契約書である。
許諾商標には本件商標の登録番号が記載され、使用商品として「太巻」「太巻ハーフ」「恵方巻セット」と記載され、これらの商品(いずれも指定商品「すし」に属するものである)について商標権者とイオンリテール株式会社との間に、2021年(令和3年)12月7日(審決注:「12月9日」の誤記と認める。)付で発効し、2022年(令和4年)2月28日まで有効な通常使用権許諾契約が成立していることがわかる。
2 乙第2号証は、2021年(令和3年)12月10日に、通常使用権者が行った「恵方巻」についてのプレスリリース記事である。
6/8ページに「鮨よしたけ監修極(きわみ)太巻」の記述がある。この記載における商標としての識別要部は「極」であり、本件商標とは社会通念上同一といえる範囲のものであり、商品「太巻(すし)」についての使用に当たるものである。
3 乙第3号証の1は、通常使用権者が経営するスーパーマーケットである「イオン」及び「イオンスタイル」で発売する、近年、節分の時期によく食されるようになっている「恵方巻」について宣伝するために発行した宣伝パンフレットである。
同パンフレットに発行日は記載されていないが、「2022年の節分は2月3日(木)」とあり、ご予約締切日「2022年1月28日(金)」、お渡し期間「2022年2月1日(火)~2月3日(木)」などと記載されていることから、2022年(令和4年)2月の節分に向けての恵方巻を宣伝するパンフレットであることが分かる。しかして、同パンフレットには鮨よしたけ監修の「極太巻」が掲載されている。「きわみ」の振り仮名が付されているとはいえ、「極」の文字は一際大きく記載されており、本件商標とは書体が異なるものの社会通念上同一といえる範囲のものである。
4 乙第3号証の2は、乙第3号証の1として提出したパンフレットの印刷費用の請求書のコピーである。
品名に「2022恵方巻パンフ」と記され、対象品が乙第3号証の1として提出したパンフレットであることが推認できる。また、日付が2021年12月31日となっており、支払予定日が1月20日と記載されている。少なくとも2021年末までに同パンフレットが納品され、翌年1月20日に支払されたことが推認でき、同パンフレットが実際に存在し、宣伝に使用されたものであることがわかる。
5 乙第4号証は、インターネット上においてハンドルネーム「すいか」と称する者が「すいかの北九州ランチ」と題して運営するブログにおいて2022年(令和4年)2月4日付で投稿した「銀座鮨よしたけ監修極太巻きイオン」と題された記事である。
同記事には、前日に「銀座鮨よしたけ監修」の恵方巻き「極太巻き」を通常使用権者の店舗であるイオン戸畑店にて購入し食したことが記され、その商品を撮影した写真が掲載されている。同写真に撮影された商品には商品「太巻」が入った容器の蓋に「極太巻」の文字が明瞭に表わされた厚紙のカバーが貼られている。それには「極」の文字が「きわみ」の添え字と共に一際大きく表示され、その下に「太巻」の文字がやや小さく表されているところから、「極」の文字が強く認識されるものであり、その書体は登録態様とは異なるものの「極」の文字において一致し、「きわみ」の添え字も小さいものであって、全体の使用態様は本件商標と社会通念上同一といえる範囲のものである。同商品には加工年月日(22.2.3)及び消費期限(22.2.4AM2)の記載があるシールが貼られ、同商品がこの日時に実際に存在したことがわかる。
第4 当審の判断
1 被請求人提出の乙各号証及び同人の主張並びに職権調査によれば、次のことが認められる。
(1)商標権使用許諾契約書(乙1)
乙第1号証は、商標権者であるニコニコのり株式会社とイオンリテール株式会社(以下「イオンリテール社」という。)との間で、2021年(令和3年)12月7日に締結された商標権使用許諾契約書であり、商標権者が所有する本件商標(ほか1件)について、「鮨よしたけ監修 極 太巻」等の商品に対して、イオンリテール社に通常使用権を許諾することが記載されている。また、契約期間が2021年(令和3年)12月9日ないし2022年(令和4年)2月28日であること、許諾地域は日本国内であること等が記載されており、商標権者及びイオンリテール社の各代表者の押印も確認できる。
(2)宣伝パンフレット(乙3の1)
乙第3号証の1は、「イオンの恵方巻」と題された宣伝パンフレット(以下「宣伝パンフレット」という。)であり、第1葉目左上には、イオンリテール社が経営するスーパーマーケット「イオン」(被請求人主張、職権調査(https://www.aeonretail.jp/company/))のハウスマークが表示されており、「2022年の節分は2月3日(木)」、「ご予約締切日 2022年1月28日(金)」及び「お渡し期間 2022年2月1日(火)~2月3日(木)」の記載がある。
また、第6葉目には、太巻きすし(以下「使用商品」という。)の写真と共に、別掲のとおり、「極 太巻」(「極」の文字には「きわみ」とルビが振られている。以下「使用商標」という。)及び「大好評を頂いた「極 恵方巻」」の記載がある。
(3)代金支払請求書(乙3の2)
乙第3号証の2は、2021年(令和3年)12月31日付けで、凸版印刷株式会社からイオンリテール社に宛てた代金支払請求書であり、「品名 2022恵方巻パンフ」、「数量 331,340」及び「御支払予定日は01月20日となっております。」の記載がある。
2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)通常使用権者について
上記1(1)によれば、イオンリテール社は、2021年(令和3年)12月9日から2022年(令和4年)2月28日までの間、商品「太巻きすし」について、本件商標の通常使用権者である。
(2)使用商品について
使用商品は「太巻きすし」であるから、請求に係る商品中「すし」の範ちゅうに含まれる商品である。
(3)使用商標について
本件商標は、「極」の漢字をゴシック体で表してなるものである。
他方、使用商標は、別掲のとおり、「極 太巻」(「極」の文字には「きわみ」とルビが振られている。)の文字を明朝体で横書きした構成からなるところ、「極」の文字は、「太巻」の文字に比してひときわ大きく顕著に表されている。
そして、使用商標の構成中「太巻」の文字部分は、使用商品との関係では商品の品質を表すものであるから、使用商標における出所識別標識としての要部は「きわみ」のルビが振られた「極」の文字部分にあるといえる。
そうすると、本件商標と使用商標における出所識別標識としての要部とは、文字の書体において、ゴシック体と明朝体の差異があり、また、ルビの有無に差異があるとしても、共に「極」の漢字を表したものであり、「きわみ」と称呼されるといえることから、両者は、書体にのみに変更を加えた同一の文字からなるものであって、これに商品の品質を表す語である「太巻」の文字を付加した使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(4)使用時期及び使用行為について
宣伝パンフレットには、「2022年の節分は2月3日(木)」及び「ご予約締切日 2022年1月28日(金)」等の記載があるから、2022年(令和4年)の節分の時期に合わせて作成されたと推認することができる。
また、イオンリテール社は、2021年(令和3年)12月31日付けで凸版印刷株式会社から「品名 2022恵方巻パンフ」の支払代金請求を受けているから、当該「品名 2022恵方巻パンフ」の作成者はイオンリテール社であるところ、当該「品名 2022恵方巻パンフ」は恵方巻きに係るパンフレットであること及び2020年用のものであることから宣伝パンフレットと認められる。
そうすると、宣伝パンフレットは、遅くとも2021年(令和3年)12月31日までには、イオンリテール社に納品され、予約締切日である2022年(令和4年)1月28日までの間にイオンリテール社の経営するスーパーマーケット「イオン」において、顧客に対して頒布されたものと推認することができる。
そして、当該期間は、要証期間内であるともに、イオンリテール社の通常使用権に係る契約期間でもある。
(5)小括
上記(1)ないし(4)からすれば、本件商標の通常使用権者であるイオンリテール社は、要証期間に、日本国内において、請求に係る指定商品中「すし」の範ちゅうに含まれる使用商品(太巻きすし)の広告(宣伝パンフレット)に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して顧客に対して頒布するする行為(商標法第2条第3項第8号)により使用したといえる。
3 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用者が本件審判請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを証明したといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、本件審判の請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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