商標取消審判
2024-300042
ココナッツミルクロムフレッシュココナッツ、シェフズチョイス、シェフズ
- 審判番号
- 2024-300042
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2001-056944
- 登録番号
- 4613804
- 請求日
- 2024年01月24日
- 審決日
- 2025年02月12日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】エイチビーシー トレーディング オーストラリア ピーティーワイ エルティーディ
- 【請求人代理人】行田 朋弘
- 【請求人代理人】小暮 理恵子
- 【被請求人】ユーキトレーディング株式会社
- 【被請求人代理人】大内 康一
- 審判長/審判官
- 審判長 高橋 幸志
- 審判官 清川 恵子
- 審判官 白鳥 幹周
- 分類
- T131 .1 -Z (Z30)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項、商標法第50条第1項、商標法第50条第2項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第4613804号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第4613804号商標の商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標について
本件登録第4613804号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成13年6月22日に登録出願され、第30類「タイ産のココナッツミルクソースを原料とする即席菓子のもと」を指定商品として同14年10月18日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録日は令和6年2月14日である(以下、当該登録前3年以内の期間(令和3年2月14日ないし同6年2月13日)を「要証期間」という。)。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品(以下「請求に係る指定商品」という場合がある。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)登録商標と使用商標の同一性について
被請求人は、乙第1号証に係るラベルが本件商標であると主張しているが、当該ラベルと本件商標とが同一又は社会通念上同一でないことは明白である。
まず、本件商標は全体が不鮮明であり、当該ラベルにおいて表示されている各文字や図形が、本件商標では明確に認識できない。特に、当該ラベルにおいては、ココナッツの写真が表示されている一方、本件商標では、ココナッツらしき図形は見当たるものの、当該ラベルにおいて表示されているココナッツと同一であると認識することができない。
当該ラベルの左側領域では、「ココナッツミルク」及び「内容量165g」との表示があるが、本件商標の対応する領域では、そのような文字はなく、外国語の記載があるのみである。
当該ラベルでは、ココナッツの写真の右上に「T」のロゴとその下に「THAILAND」の文字が配置されている。一方、本件商標では、左側領域では、相当するロゴ及び文字はなく、右側領域では、当該ロゴとは全く異なる楕円形の図形の中に「THAILAND」の文字が配置されている。
このように、本件商標は当該ラベルと全く異なっており、同一又は社会通念上同一ではない。
(2)指定商品と使用に係る商品について
被請求人は、本件商標を缶入りココナッツミルクに使用していると主張し、ココナッツミルクは実質的に、請求に係る指定商品であると述べているが、請求に係る指定商品は、「タイ産のココナッツミルクソースを原料とする即席菓子のもと」であり、ココナッツミルクそれ自体ではない。請求に係る指定商品は第30類に属し、類似群32F09に分類される商品である。一方、ココナッツミルクは、第29類に属し、類似群31D01に分類される商品である。このように、請求に係る指定商品とココナッツミルクとは、区分及び分類が異なり、類似ですらない。
被請求人は、「ココナッツミルクは、煮詰めたものを焼くなどするのみで、容易に菓子類を作ることができ、実質的に即席菓子のもとといえる」と述べているが、客観的な根拠に欠ける主張であり、被請求人の主張は明らかに失当である。
(3)実際の取引について
被請求人は、缶入りココナッツミルクを輸入し、卸売業を営む事業者に納入している旨述べているが、実際の輸入及び納入の証拠となる書類は一切提出されていない。本件商標権者の納入先と主張するユーキ食品株式会社のカタログを提出しているが、本件商標権者とユーキ食品株式会社との間の取引を証明する書類も提出されていない。
したがって、本件商標権者が実際に本件商標を使用しているのかが証明されていない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする旨の審決を求め、答弁において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第2号証を提出した。
1 本件商標権者であるユーキトレーディング株式会社は、食品その他の輸出入業務を営むものであり、タイ国バンコク所在の法人「シェフズ チョイス マニュファクチャラー カンパニー リミテッド」(以下「シェフズチョイス社」という場合がある。)から概ね30ないし40年にわたりタイ産の食品の輸入に携わり、これらを日本国内の事業者に販売してきたものである。
2 本件商標権者は、本件商標を長く所有し、シェフズチョイス社からの輸入品である缶入りココナッツミルクに使用している。すなわち、乙第1号証は本件商標を顕現したラベル(別掲2、以下「使用商標」という場合がある。)であるが、本件商標権者は、輸入品である缶入りココナッツミルクの側面全周にわたり前記ラベルを巻回貼付して、当該商品を、卸し売業を営む事業者に納入している。
3 乙第2号証は、本件商標権者の商品納入先であるユーキ食品株式会社の発行頒布に係る業務用総合カタログであり、このカタログはその裏表紙の末尾の注記にあるように、2023年6月現在の商品状況の下に、各種商品が記載されている。そして、本件商標権者の納入に係る前記ラベル貼付済の前記缶入りココナッツミルクは、カタログの15ページのエスニック調味料の欄の冒頭に掲載されている。
4 本件商標の指定商品は「タイ産のココナッツミルクソースを原料とする即席菓子のもと」であるが、ココナッツミルクは、煮詰めたものを焼くなどするのみで、容易に菓子類を作ることができ、実質的に即席菓子のもとといえるものである。
第4 審尋について
審判長は、被請求人に対して、令和6年10月17日付けで通知した審尋により、被請求人の主張及び提出に係る証拠によっては、被請求人が、商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用を証明したものと認めることができない旨の暫定的見解を示したうえで、請求人提出の審判事件弁駁書の主張及び上記暫定的見解に対し、意見があれば証拠とともに提出されたい旨の審尋を送付し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。
しかしながら、被請求人は上記審尋に対し、何ら応答していない。
第5 当審の判断
被請求人は、本件商標権者が要証期間に我が国において、その請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用した事実が存する旨主張するので、以下検討する。
1 被請求人が提出した証拠(乙第1号証及び乙第2号証をまとめていうときは「乙各号証」という。)及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)乙第1号証について
被請求人は、乙第1号証は、本件商標に係る商標を顕現したラベル(別掲2、使用商標)であり、輸入品である「缶入りココナッツミルク」の側面全周に使用商標を貼付し、当該「缶入りココナッツミルク」を事業者に納品している(以下、使用商標を貼付した商品を「使用商品」という。)と主張している。
使用商標は別掲2のとおりの構成からなる(以下、使用商標の「Chef‘s Choice」の文字を囲んだシェフの帽子と思しき図形の下に「ココナッツミルク」の片仮名等が表示されている部分を「第1領域」、「栄養成分表示」の文字等が表示されている部分を「第2領域」、「Chef‘s Choice」の文字を囲んだシェフの帽子と思しき図形の下に「COCONUT MILK」の欧文字等が表示されている部分を「第3領域」、「yOUKI 商品番号110652」「●名称:ココナッツミルク」の文字等が表示されている部分を「第4領域」という。)のに対し、本件商標は別掲1の構成からなる(以下、本件商標の「Chef‘s Choice」の文字を囲んだシェフの帽子と思しき図形の下にタイ語と思しき文字が表示されている部分を「左側領域」、「COCONUT MILK」「FROM FRESH COCONUTS」の文字等が表示されている部分を「中間領域」、「Chef‘s Choice」の文字を囲んだシェフの帽子と思しき図形の下に「COCONUT MILK」の欧文字等が表示されている部分を「右側領域」という。)ものである。
ア 使用商標の第1領域には、本件商標の左側領域にある「白抜きの文字(タイ語と思われる外国語)」及び最下部の「文字(タイ語と思われる外国語)と、13.5の数字」の記載が確認できない。
イ 使用商標の第2領域には、栄養成分表示等の記載があるところ、本件商標の中間領域上部にある「COCONUT MILK」「FROM FRESH COCONUTS」の白抜きの文字、下部に読み取れる文字として「PRODUCT OF THAILAND」、四角の枠で囲まれた「SHAKE WELL BEFORE USING」、「CAN NANG:13.5OZ」等の記載とは相違している。
ウ 使用商標の第3領域には本件商標の右側領域にある、中央に3つのとがった三角を有する図形2つをつなげて右斜め向きに配した図形、「THAILAND」の文字、小さな文字が「&」を挟んで表された文字が内部にある二重線で描かれた楕円形の図形は表示されていない。
エ 使用商標には、本件商標には存在しない「yOUKI 商品番号110652」の文字部分を上部に有する第4領域がある。
オ 使用商標の作成者について
上記エの部分には、「名称:ココナッツミルク」「原材料名:ココナッツ」「輸入者:ユーキトレーディング株式会社 東京都渋谷区東2-26-13」の記載、「総販売者:ユウキ食品株式会社」(以下「ユウキ食品」という場合がある。)、「東京都調布市富士見町1-2-2」の記載がある。
カ 使用商標を使用商品に貼り付けた日又は使用商品の納品日の作成日について
乙第1号証については、本件商標権者が使用商標を使用商品に貼り付けた日(商品の包装に商標を付した日)等を確認できる証拠の提出はない。
キ 使用商品について
上記オのとおり、使用商標には、「名称:ココナッツミルク」「原材料名:ココナッツ」と記載されている。
(2)乙第2号証について
被請求人は、乙第2号証について、本件商標権者の商品納入先の発行頒布に係る業務用総合カタログ(以下「本件カタログ」という。)である旨主張している。
ア 本件カタログについて
本件カタログの裏表紙には、「ユウキ食品株式会社」及び住所、「2023年6月」の記載がある。
イ 本件カタログに掲載された商品について
本件カタログ15頁は、「エスニック調味料」を標題とするページであり、そこに「ココナッツミルク」として、使用商標の構成中の「Chef’s Choice」の文字を囲んだシェフの帽子と思しき図形と「COCONUTS MILK」の欧文字が記載され、ココナッツの写真のある、使用商標の第3領域と思われる部分が掲載されている。
ウ 本件商標権者とシェフズチョイス社との取引について
被請求人は、本件商標権者がシェフズチョイス社から缶入りココナッツミルクを輸入している旨主張しているが、具体的な取引書類等の提出はない。
2 上記1によれば、当審の判断は以下のとおりである。
(1)使用商標について
上記1(1)によれば、本件商標と使用商標は、表示されている文字の有無、文字の相違、楕円図形の有無、領域の有無など相違点が明らかであることから、社会通念上同一の商標と認められない。
(2)使用行為について
被請求人は、本件商標権者は、輸入品である缶入りココナッツミルクの側面全周にわたり本件ラベルを巻回貼付して、使用商品を卸売業を営む事業者に納入している旨主張しているが、使用商標には本件商標権者とユウキ食品の両者の記載がある上、本件商標権者が、使用商標を使用商品に貼付し、事業者(ユウキ食品)に納品していることを裏付ける客観的な証拠の提出はない。
また、上記1(2)の本件カタログについても、本件商標権者が商品納入先と説明するユウキ食品が2023年6月に作成したものと認められるものの、ユウキ食品と本件商標権者との関係性は不明であり、本件カタログに使用商品の掲載が認められるとしても、本件商標権者が、広告の役務に関する本件カタログに使用商標を付して頒布したことは認められないから、商標法第2条第3項8号に掲げる使用行為による使用を証明しているとはいえない。
(3)請求に係る指定商品について
使用商標に記載されている、名称「ココナッツミルク」は食用園芸作物であるココナッツを食用又は保存用に処理をしたものと認められ、第29類に属する商品であると推認されるところ、請求に係る指定商品は、本件商標の登録出願時の商品及び役務の区分に係る商品及び役務を定める商標法施行規則別表(第6条関係)(平成8年通商産業省令第66号)の第30類に「即席菓子のもと」があることから、当該指定商品は「即席菓子のもと」の範ちゅうの商品と認められる。
そうすると、ココナッツミルクと即席菓子のもとは、明らかに相違する商品であり、使用商品は、請求に係る指定商品の範ちゅうの商品とは認められない。
(4)小括
上記(1)ないし(3)のとおり、本件商標と使用商標は、社会通念上同一の商標であると認めることはできず、本件商標権者が使用商品に使用商標を貼付したのか、本件商標権者が使用商品を卸売業者に納品していたのか、本件商標権者が使用商品を本件カタログに掲載したのか等について確認することができず、商標法第2条第3項各号について使用行為を行ったことが確認できない。
また、その使用商品も請求に係る指定商品の範ちゅうの商品とは認められない。
その他、被請求人の提出した証拠を参照しても、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が、要証期間に、日本国内において、本件商標(社会通念上同一と認められるものを含む。)を請求に係る指定商品について使用したことを認めるに足る証拠は見いだせない。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが、その請求に係る指定商品について、使用していることを証明したということはできない。
また、被請求人は、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
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