2021-017523
遊技機
- 審判番号
- 2021-017523
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-111630外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年12月20日
- 審決日
- 2022年07月19日
- 公報発行日
- 2022年10月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社サンセイアールアンドディ
- 【請求人代理人】河野 元
- 分類
- P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成28年2月25日に出願した特願2016-34183号の一部を令和1年6月15日に新たな特許出願(特願2019-111630号)としたものであって、令和2年6月10日に手続補正書が提出され、同年8月14日付けで拒絶の理由が通知され、同年10月22日に意見書及び手続補正書が提出され、令和3年2月22日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年4月23日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年9月27日付け(謄本送達日:同年10月5日)で、同年4月23日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年12月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。
第2 令和3年12月20日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年12月20日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲についてする補正であって、令和2年10月22日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、
「【請求項1】電力を供給する電力供給手段と、遊技球を検知する第1検知手段と、前記第1検知手段による遊技球の検知に基づいて当否判定を実行する判定手段と、続きを表示(全16行)第1の態様と、前記第1の態様よりも遊技球の入球可能性が高い第2の態様とに変化可能な可変入球口と、前記可変入球口を前記第1の態様又は前記第2の態様に変化させる電気的駆動手段と、前記電気的駆動手段の動作を制御する駆動制御手段と、前記可変入球口に入球した遊技球を検知する第2検知手段と、を備え、前記判定手段による当否判定の結果が当りであると前記可変入球口を前記第2の態様に変化させ、前記第2検知手段によって遊技球が検知されると所定の遊技利益を付与可能な遊技機であって、前記電力供給手段による前記電力供給の開始の際に、所定の記憶領域に記憶されるバックアップ情報に基づいて電力遮断時の遊技状態を復帰させる復帰手段と、前記電力供給手段による前記電力供給の開始の際に、所定の記憶領域に記憶されるバックアップ情報を消去して初期化状態とする初期化手段と、を備え、前記駆動制御手段は、前記電力供給手段による電力供給の開始に基づいて、前記初期化手段によって初期化状態とする場合には、前記電気的駆動手段を動作させて前記可変入球口を前記第2の態様に変化させる初期動作を実行し、前記電力供給手段による電力供給の開始に基づいて、前記復帰手段によって遊技状態を復帰する場合には、前記初期動作を実行しないものであり、前記第1検知手段は、前記初期動作の実行期間において無効とされ、前記初期動作の終了後に有効とされるものであり、前記初期動作の実行中であることを報知する初期動作報知手段を備え、前記初期動作報知手段は、前記初期動作の実行中に前記初期動作の実行中であることを報知することを特徴とする遊技機。」とあったものを、
「【請求項1】電力を供給する電力供給手段と、遊技球を検知する第1検知手段と、前記第1検知手段による遊技球の検知に基づいて当否判定を実行する判定手段と、続きを表示(全15行)第1の態様と、前記第1の態様よりも遊技球の入球可能性が高い第2の態様とに変化可能な可変入球口と、前記可変入球口を前記第1の態様又は前記第2の態様に変化させる電気的駆動手段と、前記電気的駆動手段の動作を制御する駆動制御手段と、前記可変入球口に入球した遊技球を検知する第2検知手段と、を備え、前記判定手段による当否判定の結果が当りであると前記可変入球口を前記第2の態様に変化させ、前記第2検知手段によって遊技球が検知されると所定の遊技利益を付与可能な遊技機であって、前記電力供給手段による前記電力供給の開始の際に、所定の記憶領域に記憶されるバックアップ情報に基づいて電力7遮断時の遊技状態を復帰させる復帰手段と、前記電力供給手段による前記電力供給の開始の際に、所定の記憶領域に記憶されるバックアップ情報を消去して初期化状態とする初期化手段と、を備え、前記電力供給手段による電力供給の開始に基づいて、前記初期化手段によって初期化状態とする場合には、前記駆動制御手段は前記電気的駆動手段を動作させて前記可変入球口を前記第2の態様に変化させる初期動作を実行すると共に、前記初期動作の実行中であることを遊技者が認識可能に所定の表示部で報知する初期動作報知を実行し、前記電力供給手段による電力供給の開始に基づいて、前記復帰手段によって遊技状態を復帰する場合には、前記駆動制御手段は前記初期動作を実行しないと共に、前記初期動作報知を実行しないものとされ、前記第1検知手段は、前記初期動作の実行期間において無効とされ、前記初期動作の終了後に有効とされることを特徴とする遊技機。」とする補正である(なお、下線は、補正後の箇所を明示するために合議体が付した。)。
2 補正の適否
(1)補正の目的について
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「初期化手段によって初期化状態とする場合」に実行される「初期動作報知」に関して、「前記駆動制御手段は、前記電力供給手段による電力供給の開始に基づいて、前記初期化手段によって初期化状態とする場合には、前記電気的駆動手段を動作させて前記可変入球口を前記第2の態様に変化させる初期動作を実行し、前記電力供給手段による電力供給の開始に基づいて、前記復帰手段によって遊技状態を復帰する場合には、前記初期動作を実行しないものであり、」、かつ、「前記初期動作の実行中であることを報知する初期動作報知手段を備え、前記初期動作報知手段は、前記初期動作の実行中に前記初期動作の実行中であることを報知する」とあったものを「前記電力供給手段による電力供給の開始に基づいて、前記初期化手段によって初期化状態とする場合には、前記駆動制御手段は前記電気的駆動手段を動作させて前記可変入球口を前記第2の態様に変化させる初期動作を実行すると共に、前記初期動作の実行中であることを遊技者が認識可能に所定の表示部で報知する初期動作報知を実行し、前記電力供給手段による電力供給の開始に基づいて、前記復帰手段によって遊技状態を復帰する場合には、前記駆動制御手段は前記初期動作を実行しないと共に、前記初期動作報知を実行しないものとされ、」と補正することで、「初期動作報知」が、「初期化手段によって初期化状態とする場合には」「初期動作の実行中であることを遊技者が認識可能に所定の表示部で報知する」ものであること、及び、「復帰手段によって遊技状態を復帰する場合」に、「初期動作報知」を実行しないことについて限定することを含むものである。
そして、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
(2)新規事項について
本件補正は、願書に最初に添付した明細書の段落【0253】、【0254】の記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A~Nは、分説するため当審判合議体にて付した。)。
「A 電力を供給する電力供給手段と、B 遊技球を検知する第1検知手段と、C 前記第1検知手段による遊技球の検知に基づいて当否判定を実行する判定手段と、D 第1の態様と、前記第1の態様よりも遊技球の入球可能性が高い第2の態様とに変化可能な可変入球口と、続きを表示(全14行)E 前記可変入球口を前記第1の態様又は前記第2の態様に変化させる電気的駆動手段と、F 前記電気的駆動手段の動作を制御する駆動制御手段と、G 前記可変入球口に入球した遊技球を検知する第2検知手段と、を備え、H 前記判定手段による当否判定の結果が当りであると前記可変入球口を前記第2の態様に変化させ、前記第2検知手段によって遊技球が検知されると所定の遊技利益を付与可能な遊技機であって、I 前記電力供給手段による前記電力供給の開始の際に、所定の記憶領域に記憶されるバックアップ情報に基づいて電力遮断時の遊技状態を復帰させる復帰手段と、J 前記電力供給手段による前記電力供給の開始の際に、所定の記憶領域に記憶されるバックアップ情報を消去して初期化状態とする初期化手段と、を備え、K 前記電力供給手段による電力供給の開始に基づいて、前記初期化手段によって初期化状態とする場合には、前記駆動制御手段は前記電気的駆動手段を動作させて前記可変入球口を前記第2の態様に変化させる初期動作を実行すると共に、前記初期動作の実行中であることを遊技者が認識可能に所定の表示部で報知する初期動作報知を実行し、L 前記電力供給手段による電力供給の開始に基づいて、前記復帰手段によって遊技状態を復帰する場合には、前記駆動制御手段は前記初期動作を実行しないと共に、前記初期動作報知を実行しないものとされ、M 前記第1検知手段は、前記初期動作の実行期間において無効とされ、前記初期動作の終了後に有効とされるN ことを特徴とする遊技機。」(なお、構成Iの「電力7遮断時」は、「電力遮断時」の誤記と認められるため、「電力遮断時」に置き換えて本願発明の認定を行った。)
(2)引用文献1(特開2005-118287号公報)の記載及び引用発明
ア 引用文献1の記載事項
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原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献1(特開2005-118287号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審判合議体が付した。以下同じ。)。
(ア)
「【0015】図1にはパチンコ機10の機表側が略示されており、パチンコ機10において機体の外郭をなす外枠11の開口前面側には、各種の遊技用構成部材をセットする縦長方形の中枠12が開閉及び着脱自在に組み付けられている。・・・」
(イ)
「【0019】図柄表示装置21の下方には、図示しないソレノイドにより開閉動作を行う開閉羽根24aを備えた始動入賞口24が配置されている。始動入賞口24の奥方には、入賞した遊技球を検出する始動入賞口センサSE1(図5に示す)が設けられており、始動入賞口24は、遊技球の入賞検出を契機に特別図柄表示器22における特別図柄組み合わせゲームの始動条件(特別図柄変動の始動条件)を付与し得るようになっている。また、始動入賞口24は、遊技球の検出を契機に遊技者に対して所定個数(例えば4個)の遊技球(賞球)の払出条件を付与し得るようになっている。従って、本実施形態における始動入賞口24は、遊技球の入賞検出を行う入賞装置として構成される。同時に、本実施形態における始動入賞口24は、開閉動作を行う開閉羽根24aを備えた可変入賞装置として構成される。また、始動入賞口センサSE1は、入賞装置毎に設けられ、遊技球の入賞検知を契機に入賞検知信号を出力する入賞検知手段として構成される。・・・【0022】前記始動入賞口24の下方には、図示しないソレノイドにより開閉動作を行う開閉扉26aを備えた大入賞口26が配置されている。大入賞口26の開閉扉26aは、特別図柄表示器22の表示態様(図柄組み合わせ)が予め定めた表示態様になったことに関連して開閉動作するようになっている。より詳しくは、大入賞口26の開閉扉26aは、通常、遊技球が入賞しないように閉鎖されているが、特別図柄表示器22の特別図柄組み合わせゲームによって導出され、停止した特別図柄組み合わせが大当り組み合わせ(例えば、[777])になったことを条件として開閉動作するようになっている。従って、本実施形態における大入賞口26の開閉扉26aは、所定の遊技演出作動を行う遊技演出実行手段として構成される。【0023】また、大入賞口26の奥方には、入賞した遊技球を検出する大入賞口センサSE3(図5参照)が設けられており、遊技球の検出を契機に遊技者に対して所定個数(例えば10個)の遊技球(賞球)の払出条件を付与し得るようになっている。即ち、大当り組み合わせで停止した場合、大入賞口26の開閉動作によって遊技球の入賞可能となり、多数の遊技球(賞球)が獲得できるチャンスを得ることができる。従って、本実施形態における大入賞口26は、遊技球の入賞検出を行う入賞装置として構成される。同時に、本実施形態における大入賞口26は、開閉動作を行う開閉扉26aを備えた可変入賞装置として構成される。また、大入賞口センサSE3は、入賞装置毎に設けられ、遊技球の入賞検知を契機に入賞検知信号を出力する入賞検知手段として構成される。」
(ウ)
「【0032】前記電源基板35は、遊技場の電源ACをパチンコ機10への供給電圧として電源電圧V1(例えば、DC30V)に変換処理する電源回路44を備えている。この電源回路44には、主基板36、図柄基板37、ランプ基板38、音声基板39、払出基板40、及び発射基板42が接続されている。そして、電源回路44は、変換処理した後の電源電圧V1を前記各基板36~40,42に各々に対応する供給すべき所定の電源電圧V2~V7にさらに変換処理し、その変換後の電源電圧V2~V7を前記各基板36~40,42に供給するようになっている。・・・【0035】次に、前記主基板36について説明する。主基板36は、パチンコ機10全体を制御するメインCPU50を備えており、該メインCPU50にはROM51及びRAM52が接続されている。前記ROM51には、パチンコ機10を制御するための各種制御プログラム(メイン処理プログラム、割込み処理プログラム、電源断処理プログラムなど)が記憶保持されている。一方、前記RAM52には、パチンコ機10の稼動中に適宜書き換えられる各種制御情報(賞球数、始動保留球数の記憶値、停止図柄に関する情報など)が記憶保持されるようになっている。尚、「始動保留球数の記憶値」とは、図柄の変動中に始動入賞口24に入賞した遊技球の数を所定の上限値(一般的には4)の範囲内で記憶した値であり、この始動保留球数の記憶値又は始動入賞口24への入賞により図柄組み合わせゲームが行われるようになっている。そして、このRAM52には、電源基板35のバックアップ用電源47が接続されており、電源電圧V1(電源AC)の遮断時(電圧Vへの降下時)においてバックアップ用電源47から供給された電源電圧VB(例えば、DC5V)に基づき制御情報を記憶保持するようになっている。【0036】そして、前記メインCPU50は、パチンコ機10の稼働中に各種の演算処理を行い、遊技演出、作動確認及び賞球払出し等のための各種制御情報(図柄制御用、可動制御用、発光制御用、音声制御用、払出制御用など)を前記各基板37?40に対して制御信号として出力する出力処理を実行するようになっている。また、メインCPU50は、始動入賞口24(開閉羽根24a)及び大入賞口26(開閉扉26a)と接続されており、各種演算処理の結果、開閉羽根24a及び開閉扉26aに対して遊技演出及び作動確認等を行わせるための制御信号を出力するようになっている。」
(エ)
「【0061】以下、主基板36、図柄基板37、ランプ基板38、音声基板39及び払出基板40における電源投入時(復電時)の処理について図7?図9に示すフローチャートに基づき説明する。・・・【0064】続きを表示(全14行)まず、図7のフローチャートに示すように、メインCPU50は、遊技中に所定周期毎に実行される割込み処理プログラムの割込みを禁止に設定し、該割込み処理プログラムの実行を待機状態とする(ステップM1)。そして、メインCPU50は、レジスタ、ウォッチドックタイマ及びポートなどの各種デバイスの初期設定を行う(ステップM2)。また、メインCPU50は、RAM52に記憶保持された各種制御情報を消去するためのRAMクリアスイッチ48が操作されてON状態に設定されているか否か(即ち、RAMクリアスイッチ回路49からRAMクリア信号が入力されたか否か)を判定する(ステップM3)。そして、この判定結果が肯定の場合、即ち、RAMクリアスイッチ48がON状態である場合(RAMクリア信号が入力された場合)、メインCPU50は、RAM52に記憶保持された各種制御情報を消去(クリア)し、RAM52の記憶内容を初期化する(ステップM4)。次に、メインCPU50は、初期化されたRAM52に対して遊技を開始させるための初期値を設定すると共に(ステップM5)、スタックポインタを初期設定する(ステップM6)。【0065】その後、メインCPU50は、各種制御信号(初期化用コマンド)を図柄基板37、ランプ基板38、音声基板39及び払出基板40の各サブCPU54,58,62,66に対して夫々出力する。その一方、メインCPU50は、始動入賞口24(開閉羽根24a)及び大入賞口26(開閉扉26a)に対して確認用作動のための制御を実行する(ステップM7)。【0066】具体的には、メインCPU50は、図柄基板37の図柄CPU54に対して確認用作動を開始させるための制御コマンドからなる制御信号(初期化信号)を出力する。また、メインCPU50は、ランプ基板38の発光CPU58に対して確認用作動を開始させるための制御コマンドからなる制御信号(初期化信号)を出力する。同様に、メインCPU50は、音声基板39の音声CPU62に対して確認用作動を開始させるための制御コマンドからなる制御信号(初期化信号)を出力する。そして、メインCPU50は、払出基板40の払出CPU66に対し、発射装置19に対して発射停止信号を出力させるための制御コマンドからなる制御信号(初期化信号)を出力する。さらに、メインCPU50は、初期化信号を出力する一方、所定の確認時間Tの間、始動入賞口24(開閉羽根24a)及び大入賞口26(開閉扉26a)に対して開閉動作を伴った確認用作動のための制御を実行する。これにより、始動入賞口24の開閉羽根24a及び大入賞口26の開閉扉26aは、所定間隔にて開閉動作を繰り返し実行する。・・・【0068】一方、前記ステップM3の判定結果が否定、即ち、RAMクリアスイッチ48がOFF状態である場合、メインCPU50はRAM52に記憶保持された制御情報が異常であるか否かを判定する(ステップM11)。このとき、メインCPU50は、前述した電源断処理プログラムにおいてRAM52に設定されたバックアップフラグを確認し、RAM52に記憶された制御情報が正常な情報となっているか否かを判定する。そして、その判定結果が肯定、即ち、RAM52に記憶保持された制御情報に異常がある場合、メインCPU50は前記ステップM4に移行し、RAM52の記憶内容を初期化する。これ以降、メインCPU50は、前記ステップM5~ステップM10の処理を実行する。即ち、本実施形態では、RAMクリアスイッチ48がOFF状態に設定されている場合であっても、RAM52に記憶保持された制御情報が異常である場合に、RAM52の記憶内容を初期化するようになっている。そして、この場合においても、前記ステップM7の処理により、発射装置19の作動を規制し、各種遊技演出実行手段(図柄表示装置21、電飾ランプ16及びスピーカ17等)が正常に作動するか否か示すように構成されている。【0069】また、前記ステップM11の判定結果が否定、即ち、RAM52に記憶保持された制御情報が正常である場合、メインCPU50は制御情報として記憶保持されているスタックポインタを復帰設定する(ステップM12)。また、メインCPU50は、RAM52に記憶保持されているバックアップフラグをクリアする(ステップM13)。そして、メインCPU50は、割込み処理プログラムの戻り番地としてRAM52に記憶保持されている制御情報に基づき電源断前の戻り番地を設定し、該戻り番地から割込み処理プログラムに基づきパチンコ機10の遊技を制御する(ステップM14)。この場合、メインCPU50は、RAM52の記憶内容が初期化されていないため、前記ステップM7の処理が実行されない。即ち、発射装置19の作動が規制されず、又各種遊技演出実行手段の確認用作動が行われない。」
(オ)
「【0086】最後に、遊技店の営業時間中に瞬間的な停電が発生した場合の前記各基板36~40の動作態様について説明する。営業時間中に停電が発生したとき、主基板36のメインCPU50は、バックアップ処理を実行してRAM52に各種制御情報を記憶保持するとともに、パチンコ機10全体(遊技の全体)の稼働を停止する。即ち、図柄表示装置21、可動装置30、電飾ランプ16、遊技盤ランプ27、スピーカ17、球払出装置41及び発射装置19等の作動を停止する。【0087】そして、停電が解消して復電し、パチンコ機10に電力が再び供給されると、メインCPU50は、RAM52の記憶内容(即ち、バックアップ情報)に基づいてパチンコ機10全体を制御する。即ち、図柄表示装置21、電飾ランプ16、遊技盤ランプ27及びスピーカ17等の遊技演出実行手段は、確認用作動等を行わず、また、発射装置19の発射作動は規制されずに、停電前の状態を引き継いで遊技演出作動のための作動をする。従って、復電後には、RAM52の記憶内容(バックアップ情報)に基づく作動態様での遊技演出作動と、前記確認用作動等とが重複して行われることもないので、遊技を再開した遊技者を混乱させてしまうおそれがなくなる。」
(カ)
「【0103】(9)各遊技演出実行手段(16,17,21,24a,26a,27,30)が確認用作動を行っている間は、各基板37~40は、入賞発生に基づく全ての制御を行わない。このため、特別図柄組み合わせゲーム及び普通図柄組み合わせゲームは行われることがないので、確認用作動が行われているときは、第1の条件が成立しなくなる。従って、メインCPU50は、確認用作動中、可変入賞装置(始動入賞口24、大入賞口26)に開閉動作を伴う所定の遊技演出作動を実行させることがなくなる。即ち、遊技演出作動と確認用作動が重複して行われることがないため、遊技者を混乱させるおそれが無くなる。・・・【0108】○上記第一実施形態では、発射装置19の発射作動を規制するだけであったが、図柄表示装置21等の遊技演出実行手段が確認用作動を行っている間、発射装置19の発射作動の規制に加えて、メインCPU50に対する入賞検知信号の入力を無効にしてもよい。このようにすれば、何かの間違いで遊技領域13aに遊技球が入球し、始動入賞口24等の入賞装置に入賞しても、メインCPU50において入賞発生に基づく制御が行われず、確実に確認用作動が行われる。また、第二実施形態と異なり、発射装置19の発射作動を規制しているので、遊技球を遊技領域13aへ発射するにもかかわらず、遊技演出用の作動が行われないという事態を回避でき、無駄に遊技球が消費されなくなり、遊技者に対する不利益を与えなくてすむようになる。」
イ 引用発明
上記アの記載事項によると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a~nは、本件補正発明のA~Nに概ね対応させて付与した。)。
「a 遊技場の電源ACをパチンコ機10への供給電圧として電源電圧V1に変換処理する、電源基板35に設けられた電源回路44(【0032】)と、b 始動入賞口24の奥方に設けられ、入賞した遊技球を検出する始動入賞口センサSE1(【0019】)と、d、h1 通常、遊技球が入賞しないように閉鎖されているが、特別図柄組み合わせゲームによって大当り組み合わせ(例えば、[777])が導出されたことを条件として開閉動作する、開閉扉26aを備えた大入賞口26(【0022】)と、e 大入賞口26の開閉扉26aの開閉動作を行うソレノイド(【0022】)と、続きを表示(全20行)g 大入賞口26の奥方に設けられ、入賞した遊技球を検出する大入賞口センサSE3(【0023】)と、電源回路44に接続されている主基板36(【0032】)と、主基板36に設けられ、パチンコ機10全体を制御するメインCPU50(【0035】)と、を備え、c メインCPU50は、始動入賞口24への入賞により特別図柄組み合わせゲームを行い、また、停止した特別図柄組み合わせが大当り組み合わせ(例えば、[777])になったことを条件として、大入賞口26の開閉扉26aを開閉動作するようになっており(【0022】、【0035】、【0036】)、f メインCPU50は、大入賞口26(開閉扉26a)と接続されており、各種演算処理の結果、開閉扉26aに対して遊技演出及び作動確認等を行わせるための制御信号を出力し(【0036】)、h2 大入賞口センサSE3による遊技球の検出を契機に遊技者に対して所定個数の遊技球(賞球)の払出条件を付与し得る(【0023】)、 パチンコ機10(【0015】)であって、i、l メインCPU50は、営業時間中に停電が発生し、RAMクリアスイッチ48がOFF状態である場合、RAM52の記憶内容が初期化されていないため、大入賞口26(開閉扉26a)に対する確認用作動のための制御は行わず(【0068】、【0069】)、バックアップ処理を実行してRAM52に各種制御情報を記憶保持するとともに、パチンコ機10全体(遊技の全体)の稼働を停止し、停電が解消して復電し、パチンコ機10に電力が再び供給されると、RAM52の記憶内容(バックアップ情報)に基づいてパチンコ機10全体を制御し(【0086】、【0087】)、j、k メインCPU50は、主基板36の電源投入時の処理において、RAMクリアスイッチ48がON状態である場合、RAM52に記憶保持された各種制御情報を消去(クリア)し、RAM52の記憶内容を初期化し(【0061】、【0064】)、その後、大入賞口26(開閉扉26a)に対して確認用作動のために、所定間隔にて開閉扉26aの開閉動作を繰り返す制御を実行し(【0065】、【0066】)、確認用作動中、大入賞口26に開閉動作を伴う所定の遊技演出作動を実行させないことで、遊技演出作動と確認用作動が重複して行われることがないため、遊技者を混乱させるおそれが無くなり(【0103】)、m 図柄表示装置21等の遊技演出実行手段が確認用作動を行っている間、何かの間違いで遊技領域13aに遊技球が入球し、始動入賞口24等の入賞装置に入賞しても、メインCPU50に対する入賞検知信号の入力を無効にすることで、メインCPU50において入賞発生に基づく制御が行われず、確実に確認用作動が行われる(【0108】)n パチンコ機10(【0015】)。」
(3)引用文献2(特開平5-329256号公報)の記載及び記載された技術事項
引用文献2には、次の事項が記載されている。
「【0016】図1はパチンコ遊技機1の前面斜視図で、パチンコ遊技機1の前面枠2には、遊技盤3(後述する)の前面を覆うカバーガラス4の上方に賞球の表示ランプ5等が、カバーガラス4の下方にパチンコ球の供給皿6、受け皿7と、供給皿6からのパチンコ球を1個ずつ打ち出す打球発射装置の操作部8が配設される。」
「【0132】特定表示データの場合、遊技機の機種名、メッセージ(例えば、「ただいま機能チェックを行っています。しばらくお待ち下さい。」)等を全画面表示または画面を一色(例えば、時間により色を変化)にする。」こと、
「【0164】また、遊技制御装置75により、電源投入時にROM77、映像出力制御装置45のフォントROM86,87の種別判定、各入力センサ、出力系の作動チェックが行われ、これらに異常があれば、異常信号が出力されるが、この自己診断中、映像出力制御装置45により、映像表示装置20に特定表示データに基づく映像が表示される。」ことが記載されている。
上記記載事項から、引用文献2には、次の技術事項(以下「引用文献2に記載された技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「電源投入時の自己診断中に、映像表示装置20に「ただいま機能チェックを行っています。しばらくお待ち下さい。」のメッセージ映像が表示される パチンコ遊技機1。」
(4)引用文献3(特開2015-97680号公報)の記載及び記載された技術事項
引用文献3には、「【0670】
図61(b)に示すパチンコ機100では、確認動作が開始され、第一の扉側演出可動体2241aは、初期位置から最大稼働位置に到達し、初期動作を完了している。なお、図61(b)に示す装飾図柄表示装置208には、電源投入による、確認動作を含めた初期化処理等の処理中であることを報知する文字表示がなされている。この文字表示は、例えば、図6に示すステップS115、あるいは図7に示す主制御部タイマ割込処理が開始されるようになるまで表示される。」ことが記載されている。
上記記載事項から、引用文献3には、次の技術事項(以下「引用文献3に記載された技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「装飾図柄表示装置208に、電源投入による確認動作を含めた初期化処理等の処理中であることを報知する文字表示がなされるパチンコ機100。」
(5)対比
本件補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する。
(a)
引用発明の「パチンコ機10への供給電圧として電源電圧V1に変換処理する、電源基板35に設けられた電源回路44」は、本件補正発明の「電力を供給する電力供給手段」に相当する。
したがって、引用発明の構成aは、本件補正発明の構成Aに相当する。
(b)
引用発明の「入賞した遊技球を検出する始動入賞口センサSE1」は、本件補正発明の「遊技球を検知する第1検知手段」に相当する。
したがって、引用発明の構成bは、本件補正発明の構成Bに相当する。
(c)
引用発明において、「始動入賞口24への入賞」は、構成bによると、「始動入賞口センサSE1」により検出されるものである。そうすると、引用発明の「始動入賞口24への入賞によ」ることは、本件補正発明の「第1検知手段による遊技球の検知に基づ」くことに相当する。
そして、引用発明の「停止した特別図柄組み合わせが大当り組み合わせ(例えば、[777])になったことを条件として、大入賞口26の開閉扉26aを開閉動作する」ことは、大当り判定の結果を踏まえて「大入賞口26の開閉扉26aを開閉動作する」ことであるから、本件補正発明の「当否判定を実行する判定手段」に相当する。
したがって、引用発明の構成cは、本件補正発明の構成Cに相当する。
(d)
引用発明の「開閉扉26aを備えた大入賞口26」は、本件補正発明の「可変入球口」に相当する。
そして、引用発明の「遊技球が入賞しないように閉鎖されている」状態、「開閉動作する」状態は、それぞれ、本件補正発明の「第1の態様」、「第1の態様よりも遊技球の入球可能性が高い第2の態様」に相当する。
また、引用発明の「開閉扉26aを備えた大入賞口26」が、「閉鎖されている」状態から「開閉動作する」状態になることは、本件補正発明の「可変入球口」が、「第1の態様」から「第2の態様」に変化することに相当する。
したがって、引用発明の「通常、遊技球が入賞しないように閉鎖されているが、特別図柄組み合わせゲームによって大当り組み合わせ(例えば、[777])が導出されたことを条件として開閉動作する、開閉扉26aを備えた大入賞口26」は、本件補正発明の「第1の態様と、第1の態様よりも遊技球の入球可能性が高い第2の態様とに変化可能な可変入球口」に相当する。
よって、引用発明は、本件補正発明の構成Dに相当する構成を備える。
(e)
上記(d)より、引用発明の「大入賞口26の開閉扉26aの開閉動作を行うソレノイド」は、「大入賞口26の開閉扉26a」を閉状態にすることも行うものであるから、本件補正発明の「可変入球口を第1の態様又は第2の態様に変化させる電気的駆動手段」に相当する。
したがって、引用発明の構成eは、本件補正発明の構成Eに相当する。
(f)
上記(e)より、引用発明の「ソレノイド」は、本件補正発明の「電気的駆動手段」に相当する。
そうすると、引用発明の「開閉扉26aに対して遊技演出及び作動確認等を行わせるための制御信号を出力」する「メインCPU50」は、構成eによると、「開閉扉26aの開閉動作」が「ソレノイド」の動作により行われるものであるから、本件補正発明の「電気的駆動手段の動作を制御する駆動制御手段」としての機能を有する。
したがって、引用発明の構成fは、本件補正発明の構成Fに相当する。
(g)
引用発明の「大入賞口26の奥方に設けられ、入賞した遊技球を検出する大入賞口センサSE3」は、本件補正発明の「可変入球口に入球した遊技球を検知する第2検知手段」に相当する。
したがって、引用発明の構成gは、本件補正発明の構成Gに相当する。
(h、n)
引用発明の構成h1の「大入賞口26」の「開閉扉26a」を「特別図柄組み合わせゲームによって大当り組み合わせ(例えば、[777])が導出されたことを条件として開閉動作」させることは、上記(d)より、本件補正発明の「判定手段による当否判定の結果が当りであると可変入球口を第2の態様に変化させ」ることに相当する。
そして、引用発明のh2の「大入賞口センサSE3による遊技球の検出」、「遊技者に対」する「所定個数の遊技球(賞球)の払出条件」は、それぞれ、本件補正発明の「第2検知手段によ」る「遊技球」の「検知」、「所定の遊技利益」に相当することから、引用発明の「大入賞口センサSE3による遊技球の検出を契機に遊技者に対して所定個数の遊技球(賞球)の払出条件を付与し得る」ことは、本件補正発明の「第2検知手段によって遊技球が検知されると所定の遊技利益を付与可能な」ことに相当する。
また、引用発明の「パチンコ機10」は、本件補正発明の「遊技機」に相当する。
したがって、引用発明は、本件補正発明の構成H、Nに相当する構成を備える。
(i)
引用発明の「停電が解消して復電し、パチンコ機10に電力が再び供給される」ときは、本件補正発明の「電力供給手段による電力供給の開始の際」に相当する。
そして、引用発明の「RAM52の記憶内容(バックアップ情報)に基づいてパチンコ機10全体を制御」することは、本件補正発明の「所定の記憶領域に記憶されるバックアップ情報に基づいて電力遮断時の遊技状態を復帰させる」ことに相当する。
そうすると、引用発明の「停電が解消して復電し、パチンコ機10に電力が再び供給されると、RAM52の記憶内容(バックアップ情報)に基づいてパチンコ機10全体を制御」する「メインCPU50」は、本件補正発明の「電力供給手段による電力供給の開始の際に、所定の記憶領域に記憶されるバックアップ情報に基づいて電力遮断時の遊技状態を復帰させる復帰手段」としての機能を有する。
したがって、引用発明は、本件補正発明の構成Iに相当する構成を備える。
(j)
引用発明の「主基板36の電源投入時」は、本件補正発明の「電力供給手段による電力供給の開始の際」に相当する。
そして、引用発明の「RAM52に記憶保持された各種制御情報を消去(クリア)し、RAM52の記憶内容を初期化」することは、本件補正発明の「所定の記憶領域に記憶されるバックアップ情報を消去して初期化状態とする」ことに相当する。
そうすると、引用発明の「主基板36の電源投入時の処理において」、「RAM52に記憶保持された各種制御情報を消去(クリア)し、RAM52の記憶内容を初期化」する「メインCPU50」は、本件補正発明の「電力供給手段による電力供給の開始の際に、所定の記憶領域に記憶されるバックアップ情報を消去して初期化状態とする初期化手段」としての機能を有する。
したがって、引用発明は、本件補正発明の構成Jに相当する構成を備える。
(k)
上記(j)より、引用発明の「主基板36の電源投入時の処理において」、「RAM52に記憶保持された各種制御情報を消去(クリア)し、RAM52の記憶内容を初期化」するための「RAMクリアスイッチ48がON状態である場合」は、本件補正発明の「電力供給手段による電力供給の開始に基づいて、初期化手段によって初期化状態とする場合」に相当する。
そして、引用発明において、「開閉扉26aの開閉動作を」行うのは、構成eより「ソレノイド」であって、上記(e)より、引用発明の「ソレノイド」は、本件補正発明の「電気的駆動手段」に相当する。また、上記(f)より、引用発明の「メインCPU50」は、本件補正発明の「電気的駆動手段の動作を制御する駆動制御手段」としての機能を有する。
さらに、引用発明の「大入賞口26(開閉扉26a)に対して確認用作動のために、所定間隔にて開閉扉26aの開閉動作を繰り返す制御を実行」することは、本件補正発明の「可変入球口を第2の態様に変化させる初期動作を実行する」ことに相当する。
そうすると、引用発明の「大入賞口26(開閉扉26a)に対して確認用作動のために、所定間隔にて開閉扉26aの開閉動作を繰り返す制御を実行する」「メインCPU50」は、本件補正発明の「電気的駆動手段を動作させて可変入球口を第2の態様に変化させる初期動作を実行する」「駆動制御手段」としての機能を有する。
したがって、引用発明の構成j、kと、本件補正発明の構成Kとは、「電力供給手段による電力供給の開始に基づいて、初期化手段によって初期化状態とする場合に」「電気的駆動手段を動作させて可変入球口を第2の態様に変化させる初期動作を実行する」「駆動制御手段」であることで共通する。
(l)
引用発明において、「営業時間中に停電が発生し、RAMクリアスイッチ48がOFF状態である場合」において、「停電が解消して復電し、パチンコ機10に電力が再び供給され」、「メインCPU50」により「RAM52の記憶内容(バックアップ情報)に基づいてパチンコ機10全体」が「制御」されることは、上記(i)より、本件補正発明の「電力供給手段による電力供給の開始に基づいて、復帰手段によって遊技状態を復帰する場合」に相当する。
そして、引用発明の「大入賞口26(開閉扉26a)に対する確認用作動のための制御は行わ」ないことは、本件補正発明の「駆動制御手段は初期動作を実行しない」ことに相当する。
また、引用発明は、「大入賞口26(開閉扉26a)に対する確認用作動のための制御」を「行わ」ないため、「確認用作動」を行っている旨の報知も行わないものと認められる。
そうすると、引用発明は、本件補正発明の「初期動作報知を実行しない」という構成を備えるものである。
したがって、引用発明は、本件補正発明の構成Lに相当する構成を備える。
(m)
引用発明の「何かの間違いで遊技領域13aに遊技球が入球し、始動入賞口24等の入賞装置に入賞しても、メインCPU50に対する入賞検知信号の入力を無効にする」ことは、本件補正発明の「第1検知手段は、」「無効とされ」るということに相当する。
そして、引用発明の「図柄表示装置21等の遊技演出実行手段が確認用作動を行っている間」は、本件補正発明の「初期動作の実行期間」に相当する。
また、引用発明において、「遊技演出実行手段」による「確認用作動」の終了後は、「始動入賞口24等の入賞装置に入賞」すると、「入賞発生に基づく制御が行われ」るといえる。
したがって、引用発明の構成mは、本件補正発明の構成Mに相当する。
上記(a)~(n)によれば、本件補正発明と引用発明は、
「A 電力を供給する電力供給手段と、B 遊技球を検知する第1検知手段と、C 前記第1検知手段による遊技球の検知に基づいて当否判定を実行する判定手段と、D 第1の態様と、前記第1の態様よりも遊技球の入球可能性が高い第2の態様とに変化可能な可変入球口と、続きを表示(全14行)E 前記可変入球口を前記第1の態様又は前記第2の態様に変化させる電気的駆動手段と、F 前記電気的駆動手段の動作を制御する駆動制御手段と、G 前記可変入球口に入球した遊技球を検知する第2検知手段と、を備え、H 前記判定手段による当否判定の結果が当りであると前記可変入球口を前記第2の態様に変化させ、前記第2検知手段によって遊技球が検知されると所定の遊技利益を付与可能な遊技機であって、I 前記電力供給手段による前記電力供給の開始の際に、所定の記憶領域に記憶されるバックアップ情報に基づいて電力遮断時の遊技状態を復帰させる復帰手段と、J 前記電力供給手段による前記電力供給の開始の際に、所定の記憶領域に記憶されるバックアップ情報を消去して初期化状態とする初期化手段と、を備え、K´ 前記電力供給手段による電力供給の開始に基づいて、前記初期化手段によって初期化状態とする場合には、前記駆動制御手段は前記電気的駆動手段を動作させて前記可変入球口を前記第2の態様に変化させる初期動作を実行し、L 前記電力供給手段による電力供給の開始に基づいて、前記復帰手段によって遊技状態を復帰する場合には、前記駆動制御手段は前記初期動作を実行しないと共に、前記初期動作報知を実行しないものとされ、M 前記第1検知手段は、前記初期動作の実行期間において無効とされ、前記初期動作の終了後に有効とされるN 遊技機。」
の点で一致し、次の点で相違する。
[相違点](構成K)
「可変入球口を第2の態様に変化させる初期動作」に関して、本件補正発明は、「初期動作の実行中であることを遊技者が認識可能に所定の表示部で報知する初期動作報知を実行」するのに対して、引用発明は、「開閉扉26aの開閉動作を繰り返す制御を実行する」際に、本件補正発明のように「初期動作報知」を実行するか否か明らかでない点。
(6)当審判合議体の判断 上記相違点について検討する。
引用発明は、「確認用作動中、大入賞口26に開閉動作を伴う所定の遊技演出作動を実行させないことで、遊技演出作動と確認用作動が重複して行われることがないため、遊技者を混乱させるおそれが無くな」るものであって、遊技者が「確認用作動中」に「遊技演出作動」中であると誤認しないようにするものである。
一方、引用文献2に記載された技術事項の「確認用作動中」、「映像表示装置20」、「「ただいま機能チェックを行っています。しばらくお待ち下さい。」のメッセージ映像が表示」、「パチンコ遊技機1」は、それぞれ、本件補正発明の「初期動作の実行中」、「表示部」、「初期動作報知」、「遊技機」に相当する。 そうすると、引用文献2に記載された技術事項の「電源投入時の自己診断中に、映像表示装置20に「ただいま機能チェックを行っています。しばらくお待ち下さい。」のメッセージ映像が表示されるパチンコ遊技機1」は、本件補正発明の「初期動作の実行中であることを」「所定の表示部で報知する初期動作報知を実行」する「遊技機」に相当する。
また、引用文献3に記載された技術事項の「確認動作を含めた初期化処理等の処理中であることを報知する文字表示」、「装飾図柄表示装置208」、「パチンコ機100」は、それぞれ、本件補正発明の「初期動作の実行中であることを」「報知する初期動作報知」、「表示部」、「遊技機」に相当する。
そうすると、引用文献3に記載された技術事項の「装飾図柄表示装置208に、電源投入による確認動作を含めた初期化処理等の処理中であることを報知する文字表示がなされるパチンコ機100」は、本件補正発明の「初期動作の実行中であることを」「所定の表示部で報知する初期動作報知を実行」する「遊技機」に相当する。
そして、引用文献2に記載された技術事項、及び、引用文献3に記載された技術事項は、「初期動作報知を実行」することにより、入賞に基づく遊技演出作動が発生しないことを遊技者に認識させるという自明の課題を解決するものである。
そうすると、引用発明と、上記引用文献2及び引用文献3に記載された技術事項とは、「確認用作動中」に「遊技演出作動」中と誤認させないという共通の課題を解決するものである。
したがって、引用発明に上記引用文献2に記載された技術事項を適用して、または、引用発明に上記引用文献3に記載された技術事項を適用して、「確認用作動中」に、「図柄表示装置21」に「確認用作動中」である旨の表示を行い、遊技者が認識可能とし、上記相違点に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。
(7)本件補正発明により奏される効果は、引用発明、引用文献2に記載された技術事項、又は、引用文献3に記載された技術事項により奏される効果から、予測することができた程度のものである。
(8)請求人の主張について
請求人は、令和3年12月20日付けの審判請求書において、次の点について主張をする。
「3-2.引用文献との対比(1)引用文献1には、「電源投入時に、RAMクリアスイッチがON状態である場合、RAMの記憶内容を初期化すると共に、始動入賞口及び大入賞口に対して確認用作動のための制御を実行する。また、電源投入時に、RAMクリアスイッチがOFF状態である場合、RAMの記憶内容を復旧すると共に、確認用作動を行うことなく遊技を行う」遊技機について記載されている。また、引用された引用文献2には「遊技機の電源投入時に、「ただいま機能チェックを行っています。しばらくお待ち下さい」といったメッセージを表示する 」遊技機について記載されている。また、引用文献3には「電源投入時に、装飾図柄表示装置208に、確認動作を含めた初期化処理等の処理中であることを報知する文字表示を行う」遊技機について記載されている。(2)しかしながら、引用文献1乃至3には、補正後の本件補正発明1の特徴的構成である「前記電力供給手段による電力供給の開始に基づいて、前記初期化手段によって初期化状態とする場合には、前記駆動制御手段は前記電気的駆動手段を動作させて前記可変入球口を前記第2の態様に変化させる初期動作を実行すると共に、前記初期動作の実行中であることを遊技者が認識可能に所定の表示部で報知する初期動作報知を実行し、前記電力供給手段による電力供給の開始に基づいて、前記復帰手段によって遊技状態を復帰する場合には、前記駆動制御手段は前記初期動作を実行しないと共に、前記初期動作報知を実行しないものとされ、」の構成について記載も示唆もなされていない。(3)本件補正発明1は、本構成を有することで、前述した「電力供給の際の態様(初期化処理を行うか行わないか)によって、初期化動作の有無が異なる遊技機において、当該態様に応じて異なる、適切な報知態様とすることができる。またこれにより、遊技者に適切な情報を提供し、初期動作の実行有無による不信感の発生の防止を図る」といった優れた効果を奏する。(4)また、引用文献1乃至3には、電源供給の態様に応じて初期化動作の有無が異なる遊技機において、夫々異なる報知態様を実行することまでは記載がなく、引用文献1乃至3に係る発明は、前述した本件補正発明1に特有の効果を奏することもない。」
そこで、請求人の構成K、構成Lに係る上記主張について検討する。
まず、構成Kの「初期動作」に伴い実行される「初期動作報知」に関して、上記「(5)対比」において、相違点として抽出し、上記「(6)当審判合議体の判断」において検討したように、引用発明に上記引用文献2に記載された技術事項、または、引用発明に上記引用文献3に記載された技術事項を適用して「初期動作報知」を実行可能とすることは、当業者が容易になし得たものである。
また、本件補正発明の構成Lの「電力供給の開始に基づいて、」「遊技状態を復帰する場合には、」「初期動作を実行しないと共に、初期動作報知を実行しない」ことは、上記「(5)対比」「(l)」において検討したとおり、引用発明から導かれる技術事項である。
ここで、請求人の主張する本件補正発明の奏するという上記優れた効果について検討する。
引用発明は、一方で、「RAM52の記憶内容を初期化し」、その後の「確認用作動中、大入賞口26に開閉動作を伴う所定の遊技演出作動を実行させないことで、遊技演出作動と確認用作動が重複して行われることがないため、遊技者を混乱させるおそれが無くな」(構成k)るという適切な報知を行うものである。
また、引用発明は、他方で、「RAM52の記憶内容が初期化され」ない場合、「大入賞口26(開閉扉26a)に対する確認用作動のための制御は行わ」れず、確認用作動に伴う報知も行われないと認められるものである。
そうすると、請求人が主張する本件補正発明が奏する上記効果は、引用発明、引用文献2に記載された技術事項、もしくは、引用文献3に記載された技術事項の奏する効果から、当業者が予測できた範囲内のものである。
よって、請求人の上記主張を採用することはできない。
(9)小括
以上のとおり、本件補正発明は、引用発明及び上記引用文献2に記載された技術事項、又は、引用発明及び上記引用文献3に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
4 まとめ
本件補正は、上記3において検討したことからみて、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和2年10月22日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(記号A~Oは、分説するため当審判合議体にて付した。)。
「【請求項1】A 電力を供給する電力供給手段と、B 遊技球を検知する第1検知手段と、C 前記第1検知手段による遊技球の検知に基づいて当否判定を実行する判定手段と、続きを表示(全16行)D 第1の態様と、前記第1の態様よりも遊技球の入球可能性が高い第2の態様とに変化可能な可変入球口と、E 前記可変入球口を前記第1の態様又は前記第2の態様に変化させる電気的駆動手段と、F 前記電気的駆動手段の動作を制御する駆動制御手段と、G 前記可変入球口に入球した遊技球を検知する第2検知手段と、を備え、H 前記判定手段による当否判定の結果が当りであると前記可変入球口を前記第2の態様に変化させ、前記第2検知手段によって遊技球が検知されると所定の遊技利益を付与可能な遊技機であって、I 前記電力供給手段による前記電力供給の開始の際に、所定の記憶領域に記憶されるバックアップ情報に基づいて電力遮断時の遊技状態を復帰させる復帰手段と、J 前記電力供給手段による前記電力供給の開始の際に、所定の記憶領域に記憶されるバックアップ情報を消去して初期化状態とする初期化手段と、を備え、K2 前記駆動制御手段は、前記電力供給手段による電力供給の開始に基づいて、前記初期化手段によって初期化状態とする場合には、前記電気的駆動手段を動作させて前記可変入球口を前記第2の態様に変化させる初期動作を実行し、前記電力供給手段による電力供給の開始に基づいて、前記復帰手段によって遊技状態を復帰する場合には、前記初期動作を実行しないものであり、L2 前記第1検知手段は、前記初期動作の実行期間において無効とされ、前記初期動作の終了後に有効とされるものであり、M 前記初期動作の実行中であることを報知する初期動作報知手段を備え、N 前記初期動作報知手段は、前記初期動作の実行中に前記初期動作の実行中であることを報知するO ことを特徴とする遊技機。」
2 原査定の拒絶の理由(令和3年2月22日付け)
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
<引用文献等一覧>
1.特開2005-118287号公報
2.特開平5-329256号公報
3.特開2015-97680号公報
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1ないし3及びその記載事項は、前記「第2の3」「(2)」ないし「(4)」に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記「第2[理由]」で検討した本件補正発明から、「初期動作報知」に関する限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記「第2の3」「(6)当審判合議体の判断」において検討したように、引用発明及び上記引用文献2に記載された技術事項、又は、引用発明及び上記引用文献3に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に引用発明及び上記引用文献2に記載された技術事項、又は、引用発明及び上記引用文献3に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許を受けることができないから、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
2021-017523