商標拒絶査定不服審判
2021-016355
リフレッシュコンクリート、リフレッシュ
- 審判番号
- 2021-016355
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-017325
- 請求日
- 2021年11月30日
- 審決日
- 2022年09月07日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】太平洋マテリアル株式会社
- 【請求人代理人】岩瀬 ひとみ
- 【請求人代理人】船橋 理恵
- 審判長/審判官
- 審判長 小松 里美
- 審判官 鈴木 雅也
- 審判官 渡邉 あおい
- 分類
- T18 .13 -Z (W01021937)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-17325拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年2月18日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年2月22日付け:拒絶理由通知書
令和3年4月8日 :意見書、手続補正書、手続補足書の提出
令和3年8月23日付け:拒絶査定
令和3年11月30日 :審判請求書、手続補足書(甲1~甲28)の提出
令和4年5月30日付け:証拠調べ通知書
令和4年7月13日 :意見書の提出
第2 本願商標
本願商標は、「Refresh Concrete」の文字を標準文字で表してなり、第1類、第2類、第19類及び第37類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、登録出願されたものであり、指定商品及び指定役務については、上記第1の手続補正書により、第1類「アルカリ金属塩,珪酸塩,モルタル用混和剤,モルタル接着増強剤,その他の化学品,土木又は建築用のり及び接着剤,その他の工業用のり及び接着剤」、第2類「塗料の性質を持つ腐食防止剤,腐蝕防止剤,塗料の性質を持つ防錆剤,その他の防錆剤,防錆塗料,その他の塗料」、第19類「ポリマーセメントモルタル,その他のモルタル,セメント及びその製品,陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,合成樹脂エマルションを主たる材料とする土木又は建築用の下地調整用塗材,ゴムエマルションを主たる材料とする土木又は建築用の下地調整用塗材,その他の土木又は建築用の塗材」及び第37類「建設工事,建造物の補修工事,建築物・構造物の補修・補強・改修工事,耐震建築工事に関する助言,構造物の施工方法に関する助言,建設工事に関する助言及びコンサルティング」に補正されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、「Refresh Concrete」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「Refresh」の文字は「生き生きさせる、外観を新しくする」等の意味を有し、「Concrete」の文字は「セメント・砂・砂利・水を調合し、こねまぜて固まらせた一種の人造石。製法が簡単で、圧縮に対して抵抗力が強く、耐火・耐水性が大きいので鋼材と併用し、土木建築用構造材料として使用」されるものを表すものである。そして、本願の指定商品・指定役務の分野では、「Refresh」に通ずる「リフレッシュ」の文字が、「再生、復元」等の意味で使用されており、コンクリートを再生・復元する商品・役務も、広く一般に取引されている実情が見受けられる。そうすると、本願商標をその指定商品・指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「コンクリートを再生・復元する商品・役務」であること、すなわち、商品の品質・役務の質を表したものと認識するにすぎないから、本願商標は、単に商品の品質・役務の質を普通に用いられる方法で表示するものと判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記意味合いに照応する商品・役務以外の商品・役務に使用するときは、商品の品質・役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第4 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、原審が示した事実に加え、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、上記第1の証拠調べ通知書によって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。
第5 請求人の意見の要旨
証拠調べ通知書における使用例は、「Refresh Concrete」又は「リフレッシュコンクリート」の文字自体を使用しているものではないこと、また、「Refresh」又は「リフレッシュ」の語は、辞書の掲載状況からすれば、我が国においては「人を元気にする」等、「人」を対象とする意味合いで親しまれていること、さらに、「リフレッシュ」の使用例は、一義的な内容を指すものではなく、これらには、将来に向かって品質が劣化することを防止したり、性能を更に強化・向上させたり、美観(綺麗)を維持する効果や用途を指称するものが含まれていることから、本願商標の自他商品・役務識別力を否定する根拠としては不十分であり、本願商標は、自他商品又は自他役務の識別力を十分に発揮するものである。
第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)商標法第3条第1項第3号について
商標法第3条第1項第3号が、その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(・・・)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標について商標登録の要件を欠くと規定しているのは、このような商標は、指定商品又は指定役務との関係で、その商品又は役務の品質(質)、効能、用途その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品又は自他役務の識別力を欠くものであることによるものと解される。
そうすると、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、本件審決時において、指定商品又は指定役務との関係で、その商品又は役務の品質(質)、効能、用途その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合に、将来を含め、指定商品又は指定役務の取引者、需要者によって商品又は役務の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(知財高裁平成26年(行ケ)第10056号判決、同平成27年(行ケ)第10107号判決参照)。
(2)本願商標の構成並びに指定商品及び指定役務について
ア 本願商標は、「Refresh Concrete」の文字を標準文字で表してなるものであるから、当該文字を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。
イ 本願の指定商品及び指定役務は、第1類、第2類、第19類及び第37類に属する上記第2のとおりの商品及び役務であって、当該商品及び役務には、例えば、第1類「モルタル接着増強剤,土木又は建築用のり及び接着剤」、第2類「塗料の性質を持つ腐食防止剤,腐蝕防止剤,塗料の性質を持つ防錆剤,その他の防錆剤,防錆塗料」、第19類「モルタル,セメント及びその製品,土木又は建築用の塗材」や第37類「建設工事,建造物の補修工事,建築物・構造物の補修・補強・改修工事」等、建造物の補修や改修工事の役務及びそれに用いる商品を多数含むから、本願の指定商品及び指定役務の取引者、需要者には、建造物の補修や改修工事の役務又はそれに用いる商品に関わる者が多数含まれるものといえる。
(3)本願商標の構成文字について
ア 本願商標の構成中の「Refresh」の文字は、「(人を)生き生きさせる、(休息・飲食物などで)元気を回復させる、新たな活力を与える」の意味のほか、「・・・の外観(色彩など)を新しくする」の意味をも有する英語として英和辞典に掲載されており、用法として「Refresh a fence」が「塗り変えて塀を新しくする」を意味するものとして例示されている。また、国語辞典等には、「リフレッシュ」が、その英語表記「refresh」とともに掲載されている(別掲(1))。
さらに、本願商標の構成中の「Concrete」の文字については、原審において開示したとおり、国語辞典に、「コンクリート」が「セメント・砂・砂利・水を調合し、こねまぜて固まらせた一種の人造石。」を意味する語として、その英語表記「concrete」とともに掲載されている(「広辞苑第7版」株式会社岩波書店)。
イ 証拠調べ通知書において開示した別掲(2)の事実によれば、本願商標の指定商品及び指定役務を扱う業界において、コンクリート(構造物)の劣化を補修・改修し、再生、劣化抑制、劣化予防保全する工事が行われており、その工法やそれに用いる商品の特徴、用途、効能等を説明する際に、「リフレッシュ」及び「コンクリート」の文字が、例えば、次のように用いられていることが認められる。
(ア)コンクリート構造物の劣化補修・中性化防止、中性化したコンクリートのアルカリ付与、コンクリートの中性化の進行防止及び発錆防止などを用途とする「鉄筋コンクリート用防錆剤」の効果について「コンクリートのリフレッシュ効果」、特長について「中性化したコンクリートをリフレッシュさせます。」、用途について「中性化したコンクリートにアルカリ付与することで、コンクリートのリフレッシュ化」(別掲(2)ア・イ)。
(イ)「コンクリートの改質剤・改良剤」の仕様について「古いコンクリートのリフレッシュ」、再生効果について「塗布することで中性化の進んだコンクリートをリフレッシュします」、特長(効果)について「中性化/劣化防止/(経年劣化したコンクリートのリフレッシュ)」(同ウ・エ)。
(ウ)建造物の修理工事における鉄筋コンクリートの劣化防止処理について「リフレッシュコンクリート」(同オ)。
(エ)「コンクリートの中性化・塩害などの劣化または劣化の恐れのある鉄筋コンクリート構造物の補修・改修・予防保全を目的に開発」され、「コンクリート構造物および鉄筋コンクリート構造物の劣化部の補修および耐久性向上」を用途とする「鉄筋コンクリート構造物補修・改修工法」(「リフリート工法」)の特長(特性)として「・単なる表面改装ではなく、素地内部から施工するコンクリート躯体改修、改善工法です。・浸透性アルカリ性付与材「RF-100」の塗布によって、劣化した躯体にアルカリ性を付与すると同時に表面を強化、コンクリートを化学的、物理的にリフレッシュする工法です。」(同カ・キ)。
(オ)「経年劣化したコンクリートの改質とジャンカを超微粒子のコンクリートで修復し表面を保護することにより中性化防止、防カビ、防水、クラック予防」となる工事について、「コンクリート打ちっぱなしの復元リフレッシュ施工」(同ク)。
(カ)ガレージ土間のコンクリートの「防滑塗装」又は「特殊塗料」による塗装を用いたリフォーム工事について、「コンクリートのリフレッシュ」、「ガレージの床コンクリートのリフレッシュ工事」(同ケ・サ)。
(キ)コンクリートに関する製品又は工法が、「中性化現象の要因である水、炭酸ガス、酸化性ガス等の進入を液体ガラスとの反応で形成された改質層が防ぎ、しかも液体ガラスのもつ強アルカルで再生させる効果」を有することの説明の見出しとして「中性化 / 劣化防止性(経年劣化したコンクリートのリフレッシュ)」(同コ)。
(ク)「住宅のリフォーム工事」のうちの「外装のリフォーム」の項目として「コンクリートのリフレッシュ」(同シ)。
(4)判断
上記(3)イの認定事実によれば、本願の指定商品及び指定役務を扱う業界において、「リフレッシュ」の語が「コンクリート」について用いられた場合、「リフレッシュ」の語は、「劣化又は劣化のおそれのあるコンクリート(構造物)を補修・改修・再生又は劣化抑制・劣化予防保全する」程の意味を表す語として一般に理解されているものと認められる。
そして、上記(2)イのとおり、本願の指定商品及び指定役務の取引者、需要者には建造物の補修や改修工事の役務又はそれに用いる商品に関わる者が多数含まれるといえるところ、上記(3)アのとおり「Refresh」及び「Concrete」の各文字が、「リフレッシュ」及び「コンクリート」の各語の英語表記として国語辞典等にも掲載されており我が国において親しまれた語であるといえること、及び、本願の指定商品及び指定役務を扱う業界において「リフレッシュ」の文字が「コンクリート」について用いられた場合の上記のとおりの一般的な理解の内容に照らすと、本願商標を構成する「Refresh Concrete」の文字が、その指定商品又は指定役務に使用されたときには、かかる取引者、需要者によって、「劣化又は劣化のおそれのあるコンクリート(構造物)の補修・改修・再生又は劣化抑制・劣化予防保全」という商品の品質、用途又は役務の質、用途を表示したものとして、取引者、需要者によって一般に認識されるものというのが相当である。
加えて、上記(2)アのとおり、本願商標は、普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、自他商品又は自他役務の識別力を欠くというべきである。
したがって、本願商標は、その指定商品の品質又は用途並びに指定役務の質又は用途を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、証拠調べ通知書における使用例は、「Refresh Concrete」又は「リフレッシュコンクリート」の文字自体を使用しているものではないこと、また、「Refresh」又は「リフレッシュ」の語は、辞書の掲載状況からすれば、我が国においては「人を元気にする」等、「人」を対象とする意味合いで親しまれていること、さらに、「リフレッシュ」の使用例は、一義的な内容を指すものではなく、これらには、将来に向かって品質が劣化することを防止したり、性能を更に強化・向上させたり、美観(綺麗)を維持する効果や用途を指称するものが含まれていることから、本願商標の自他商品・役務識別力を否定する根拠としては不十分であり、本願商標は、自他商品又は自他役務の識別力を十分に発揮するものである旨主張する。
しかしながら、上記1(1)で説示したとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、本件審決時において、指定商品又は指定役務との関係で、その商品又は役務の品質(質)、効能、用途その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合に、将来を含め、指定商品又は指定役務の取引者、需要者によって商品又は役務の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りるというべきであるから、「Refresh Concrete」又は「リフレッシュコンクリート」の文字自体が取引上現実に使用されている事実があることまで必要とするものではないというべきである。
また、「Refresh」又は「リフレッシュ」の語は、辞書において「人」を対象とする意味合いが掲載されているとしても、上記1(3)アのとおり、「・・・の外観(色彩など)を新しくする」のように物を対象とした意味合いも掲載されており、また、本願の指定商品又は指定役務とは無関係な分野における「Refresh」又は「リフレッシュ」の意義やその掲載状況は、本願商標が、本願の指定商品又は指定役務の取引者、需要者に、商品又は役務の特性を表示したものと一般に認識されるものであるか否かという認定、判断に影響を与えるものではないというべきである。
そして、上記1(3)イの認定事実によれば、「リフレッシュ」の語は、本願の指定商品又は指定役務の分野において、「コンクリート」について広く用いられているものであって、本願商標が、その指定商品又は役務に使用された場合には、取引者、需要者は、「劣化又は劣化のおそれのあるコンクリート(構造物)の補修・改修・再生又は劣化抑制・劣化予防保全」程の意味合いを表示したものと理解するものといえるから、それが請求人の主張に係る一義的な内容を指すものではないとしても、本願商標は、かかる商品の品質、用途又は役務の質、用途を表示したものとして、取引者、需要者によって一般に認識されるものというのが相当である。
さらに、本願商標が自他商品又は自他役務の識別力を欠くものであることは、上記1(4)のとおりである。
(2)請求人は、商標の構成中に「REFRESH」又は「リフレッシュ」の文字を含む他の登録商標の存在に照らせば、本願商標は一種の造語として理解されるものというべきである旨主張する。
しかしながら、商標の商標登録の可否は、商標の構成、指定商品又は指定役務、取引の実情等を踏まえて、当該商標毎に個別に判断されるものであり、請求人が指摘するような商標登録例があるからといって、そのことから直ちにそれらの商標とは構成や指定商品又は指定役務の異なる本願商標が、取引者、需要者によって、「劣化又は劣化のおそれのあるコンクリート(構造物)の補修・改修・再生又は劣化抑制・劣化予防保全」という商品の品質、用途又は役務の質、用途を表示したものとして、一般に認識されるものであることを否定することはできない。
(3)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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