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特許拒絶査定不服審判

2021-016015

アクチュエータ及び触感呈示装置

審判番号
2021-016015
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-101813外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年11月22日
審決日
2022年08月30日
公報発行日
2022年09月30日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G06F) / P18 .537-WY (G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-101813「アクチュエータ及び触感呈示装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年12月 5日出願公開、特開2019-207504、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 17項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、平成30年5月28日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和 3年 4月22日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 6月25日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年 8月18日付け:拒絶査定(原査定)
令和 3年11月22日 :拒絶査定不服審判の請求
令和 4年 5月17日付け:拒絶理由通知書(当審拒絶理由通知)
令和 4年 7月21日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要

原査定の概要は次のとおりである。

本願請求項1-2,4-5に係る発明は、以下の引用文献Aに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献A:国際公開第2017/163917号

第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

(理由1:サポート要件)

この出願は、特許請求の範囲の請求項4の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

記

本願のアクチュエータは、少なくとも、弾性部材である「振動板」を含むものであるから、本願のアクチュエータは、弾性部材を必ず備えるものであり、請求項4で規定する「アクチュエータは、弾性部材を備えない」とする構成は、明細書または図面に記載されたものではない。

(理由2:明確性)

この出願は、特許請求の範囲の請求項1,3-5の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

記

請求項1には「前記所定方向の前記振動板に基づいて設定される第1バネ定数を有する第1領域」と、「前記振動対象に基づいて設定される第2バネ定数を有する第2領域」と記載されている。

「前記所定方向の前記振動板に基づいて設定される第1バネ定数」について、「第1バネ定数」は、「前記所定方向の前記振動板」自体の性質(パラメータ)を用いて算出される値と解されるところ、振動板自体の性質(パラメータ)が何であるのか不明であって、該「第1バネ定数」が不明りょうとなっている。

また、「第2のバネ定数」についても同じく、「振動対象」自体の性質(パラメータ)が何であるのか不明であって、該「第2バネ定数」が不明りょうとなっている。

請求項2を引用しない部分の請求項3、4には、「第1バネ定数」又は「第2バネ定数」を特定する規定はないから、請求項1について指摘したことと同じことが指摘される。

請求項5には、請求項1の上記記載と同じ記載があるから、請求項1について指摘したことと同じことが指摘される。

(理由3:進歩性)

本願請求項1-2,5に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:国際公開第2017/163917号

(拒絶査定時の引用文献A)

第4 本願発明

本願請求項1-3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明3」という。)は、令和4年7月21日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-3は以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
圧電素子と、
前記圧電素子が接合され、前記圧電素子の伸縮変位に応じて振動する振動板と、
を有し、
続きを表示(全40行)
前記振動板は、前記圧電素子の伸縮変位を所定方向の振動に変換し、
前記振動板は、保持部を介して触感を呈示する振動対象を変位可能に支持し、
前記振動板は、前記所定方向の前記振動板に基づいて設定される第1バネ定数を有する第1領域と、前記振動対象に基づいて設定される第2バネ定数を有する第2領域とを含み、
前記保持部は、前記第1領域と前記第2領域とにまたがって前記振動対象に接合され、
前記第1バネ定数K1は、下記の式(1)によって算出され、
前記第2バネ定数K2は、下記の式(2)によって算出される、アクチュエータ。
K1=F1/U1 式(1)
K2=(F2-F1)/U2 式(2)
ここで、
F1:前記圧電素子の伸縮変位が最大になるときに前記第1領域にかかる力
U1:前記第1領域の中央付近における所定方向の振幅
F2:前記圧電素子の伸縮変位が最大になるときに前記振動板にかかる力
U2:前記振動対象の最大振幅
である。
【請求項2】
前記第1領域と、前記第2領域とは、異なる材料で形成されている、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
触感を呈示する振動対象と、アクチュエータとを備え、
前記アクチュエータは、
圧電素子と、
前記圧電素子が接合され、前記圧電素子の伸縮変位に応じて振動する振動板と、
を有し、
前記振動板は、前記圧電素子の伸縮変位を所定方向の振動に変換し、
前記振動板は、保持部を介して前記振動対象を変位可能に支持し、
前記振動板は、前記所定方向の前記振動板に基づいて設定される第1バネ定数を有する第1領域と、前記振動対象に基づいて設定される第2バネ定数を有する第2領域とを含み、
前記保持部は、前記第1領域と前記第2領域とにまたがって前記振動対象に接合され、
前記第1バネ定数K1は、下記の式(1)によって算出され、
前記第2バネ定数K2は、下記の式(2)によって算出される、触感呈示装置。
K1=F1/U1 式(1)
K2=(F2-F1)/U2 式(2)
ここで、
F1:前記圧電素子の伸縮変位が最大になるときに前記第1領域にかかる力
U1:前記第1領域の中央付近における所定方向の振幅
F2:前記圧電素子の伸縮変位が最大になるときに前記振動板にかかる力
U2:前記振動対象の最大振幅
である。」

第5 引用文献、引用発明等

1.引用文献1について

令和4年5月17日付けの当審拒絶理由に引用された引用文献1(原査定時の引用文献A)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は強調のため当審にて付与した。)

(1)段落[0011]~[0014]の記載

「[0011][触感呈示装置の構成例]
図1に示されるように、本実施形態に係る触感呈示装置1は、アクチュエータ10と、筐体20と、振動対象30とを備える。
[0012] アクチュエータ10は、圧電素子11と、振動板12と、支持部13と、固定部14と、保持部15とを備える。アクチュエータ10は、固定部14を介して筐体20に接合される。アクチュエータ10には、保持部15を介して振動対象30が接合される。
[0013] 図1、図2A及び図2Bを参照して、アクチュエータ10の各部についての説明がなされる。
[0014] 圧電素子11は、例えば長方形状である。圧電素子11は、印加される電圧信号に応じて長手方向に種々のパターンで伸縮変位する。圧電素子11は、他の形状であってよい。圧電素子11は、圧電フィルムであってよいし、圧電セラミックであってよい。圧電セラミックは、圧電フィルムよりも、より大きい振動エネルギーを有する振動を発生させることができる。」

(2)段落[0016]~[0018]の記載

「[0016] 振動板12は、所定の厚みを有する長方形の板状の部材である。振動板12は、他の形状の部材であってよい。振動板12は、例えば、弾性を有する薄板である。振動板12は、金属、樹脂、又は、金属及び樹脂等の複合材料等で構成されてよい。振動板12は、金属薄板であってよい。金属薄板は、シム板ともいう。筐体20の側に対向する面は、第1主面12aともいう。振動対象30の側に対向する面は、第2主面12bともいう。
[0017] 振動板12の第1主面12aには、圧電素子11が設けられる。圧電素子11は、圧電素子11の長手方向が振動板12の長手方向と一致するように設けられる。振動板12の第2主面12bには、保持部15が設けられる。圧電素子11及び保持部15はそれぞれ、接着等の方法で振動板12に接合される。
[0018] 振動板12の第1主面12aに圧電素子11が設けられた構造は、いわゆるモノモルフである。モノモルフにおいては、圧電素子11の伸縮変位が、振動板12の屈曲振動を引き起こす。振動板12は、振動板12の一方の端部のみが筐体20に支持されている場合には、振動板12の他方の端部における第1主面12aの法線方向の振幅が最大になるように振動する。振動板12は、振動板12の両端が筐体20に支持されている場合には、振動板12の中央付近における第1主面12aの法線方向の振幅が最大になるように振動する。」

(3)段落[0022]の記載

「[0022] 保持部15は、例えばゴム材料等で構成されてよい。保持部15は、ゴム材料等に限られず、金属等の他の材料で構成されてよい。保持部15は、振動板12の第2主面12bの側に設けられる。保持部15は、例えば接着等の方法を用いて振動板12に接合される。保持部15は、第2主面12bの側の中央付近に設けられる。保持部15が設けられる位置は中央付近に限られない。保持部15は、振動板12の最大の振幅となる部分に設けられてよい。保持部15には、例えば接着等の方法を用いて振動対象30が接合される。」

(4)段落[0024]の記載

「[0024] ・・・(前略)・・・。振動対象30には、保持部15によってアクチュエータ10が接合される。筐体20が剛体とみなされる場合、アクチュエータ10が発生する振動は、主に振動対象30に伝達される。アクチュエータ10から振動対象30に振動が伝達されることによって、振動対象30は、タッチしたユーザに触感を呈示することができる。」

(5)段落[0031]の記載

「[0031][フレームの形状]
アクチュエータ10のフレーム10aは、アクチュエータ10の駆動に応じて弾性変形する。圧電素子11に電圧信号が印加されていない場合、図1、図2A及び図2Bに例示されるように、支持部13は、固定部14に対して略直立である。言い換えれば、圧電素子11が伸縮変位していない場合、支持部13は、固定部14に対して略直立である。一方で圧電素子11が縮む方向に変位した場合、図4に示されるように、振動板12は、第2主面12bの側が凸になるように屈曲する。振動板12の屈曲に応じて、支持部13の上部は振動板12に引っ張られる。支持部13の下部は固定部14で固定される。結果として、支持部13は傾く。図1、図2A及び図2Bに例示されるフレーム10aと比較して、振動板12と支持部13とがなす角度、及び、支持部13と固定部14とがなす角度がそれぞれ大きくなっている。」

(6)[図1]

[図:0001388208000001.jpg]

(7)[図2A]

[図:0001388208000002.jpg]

(8)[図2B]

[図:0001388208000003.jpg]

(9)[図4]

[図:0001388208000004.jpg]

2.引用発明

上記記載からみて、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

(引用発明1)

「アクチュエータ10は、圧電素子11と、振動板12と、支持部13と、固定部14と、保持部15とを備え、
アクチュエータ10には、保持部15を介して振動対象30が接合され、
圧電素子11は、印加される電圧信号に応じて長手方向に種々のパターンで伸縮変位し、
圧電素子11の伸縮変位が、振動板12の屈曲振動を引き起こし、
振動板12は、振動板12の中央付近における第1主面12aの法線方向の振幅が最大になるように振動し、
保持部15は、振動板12の最大の振幅となる部分に設けられてよく、
振動対象30には、保持部15によってアクチュエータ10が接合され、アクチュエータ10から振動対象30に振動が伝達されることによって、振動対象30は、タッチしたユーザに触感を呈示することができ、
圧電素子11が縮む方向に変位した場合、振動板12は、第2主面12bの側が凸になるように屈曲するアクチュエータ10。」

第6 対比・判断

1.本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。

ア.引用発明1の「アクチュエータ10」、「圧電素子11」、「振動板12」、「保持部15」、「振動対象30」は、それぞれ、本願発明1の「アクチュエータ」、「圧電素子」、「振動板」、「保持部」、「振動対象」に相当する。

イ.引用発明1では「圧電素子11の伸縮変位が、振動板12の屈曲振動を引き起こし」、「振動板12は、振動板12の中央付近における第1主面12aの法線方向の振幅が最大になるように振動」していることから、該振動板12は圧電素子11の伸縮変位を所定の方向の振動に変換しているといえ、本願発明1の「前記振動板は、前記圧電素子の伸縮変位を所定方向の振動に変換し」ていることに相当する。

ウ.引用発明1の「保持部15は、振動板12の最大の振幅となる部分に設けられ、」「振動対象30には、保持部15によってアクチュエータ10が接合され、アクチュエータ10から振動対象30に振動が伝達されることによって、振動対象30は、タッチしたユーザに触感を呈示することができる」ものであるから、振動板12は保持部15を介して触感を呈示する振動対象30を変位可能に支持しているといえ、本願発明1の「前記振動板は、保持部を介して触感を呈示する振動対象を変位可能に支持」することに相当する。

エ.引用発明1は、「圧電素子11が縮む方向に変位した場合、振動板12は、第2主面12bの側が凸になるように屈曲する」から、圧電素子11からの力により振動板12が図4に示される程度の変位量だけ屈曲していることからみて、フックの法則をあてはめると、該振動板12の領域は該力を該変位量で除算した値であるバネ定数を有しているといえ、本願発明1の「前記振動板は、前記所定方向の前記振動板に基づいて設定される第1バネ定数を有する第1領域と、前記振動対象に基づいて設定される第2バネ定数を有する第2領域とを含み」とは、「前記振動板は、バネ定数を有する領域を含む」点で共通している。

オ.引用発明1の「保持部15」は、保持部15を介して振動対象30が接合され、振動板12の最大の振幅となる部分に設けられていることから、本願発明1の「前記保持部は、前記第1領域と前記第2領域とにまたがって前記振動対象に接合される」と、「前記保持部は、領域に設けられ前記振動対象に接合される」点で共通している。

(2)一致点、相違点

そうしてみると、本願発明1と引用発明1には、次の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>

「圧電素子と、
前記圧電素子が接合され、前記圧電素子の伸縮変位に応じて振動する振動板と、
を有し、
前記振動板は、前記圧電素子の伸縮変位を所定方向の振動に変換し、
前記振動板は、保持部を介して触感を呈示する振動対象を変位可能に支持し、
前記振動板は、バネ定数を有する領域を含み、
前記保持部は、前記領域に設けられ前記振動対象に接合される、
アクチュエータ。」

<相違点>

(相違点1)

「前記振動板は、バネ定数を有する領域を含」むことに関し、本願発明1は「前記所定方向の前記振動板に基づいて設定される第1バネ定数を有する第1領域と、前記振動対象に基づいて設定される第2バネ定数を有する第2領域」であるのに対し、引用発明1は「該振動板12の領域は該力を該変位量で除算した値であるバネ定数を有している」ものであって、2つの領域があることは不明で、さらに、それぞれの領域において、設定されるために用いるものが不明である点。

(相違点2)

「前記保持部は、前記領域に設けられ」に関し、本願発明1は「前記第1領域と前記第2領域とにまたがって」いるのに対し、引用発明1は「前記領域に設けられている」ことにとどまる点。

(相違点3)

本願発明1では、「前記第1バネ定数K1は、下記の式(1)によって算出され、前記第2バネ定数K2は、下記の式(2)によって算出される」のに対し、引用発明1では、バネ定数の算出式について特定されていない点。

K1=F1/U1 式(1)

K2=(F2-F1)/U2 式(2)

ここで、

F1:前記圧電素子の伸縮変位が最大になるときに前記第1領域にかかる力
U1:前記第1領域の中央付近における所定方向の振幅
F2:前記圧電素子の伸縮変位が最大になるときに前記振動板にかかる力
U2:前記振動対象の最大振幅

である。

(3)相違点についての判断

ア.本願発明1において、振動板における第1の領域と第2の領域は、それぞれ第1のバネ定数と第2のバネ定数により特定されることから、事案に鑑みて、上記相違点1、3を合わせて検討する。

イ.本願発明1の「第1の領域」と「第2の領域」は、それぞれ「前記所定方向の前記振動板に基づいて設定される第1バネ定数」を有すること、「前記振動対象に基づいて設定される第2バネ定数」を有することが特定され、更に「第1バネ定数」と「第2バネ定数」は、それぞれ式(1)、式(2)によって算出されることが特定されているところ、式(1)、式(2)に基づいて、本願明細書【0023】~【0027】の記載を参酌すると、「第1の領域」は、「変換機構」(振動板12が圧電素子11の伸縮変位を所定方向の振動に変換する機構)を実現する第1板12-1を特定し、「第2の領域」は、「支持機構」(振動板12が振動対象2を変位可能に支持する機構)を実現する第2板12-2を特定しているものと理解できる。

ウ.特に、「第2バネ定数K2」を算出するための式(2)に着目すると、式の右辺にある(F2-F1)は(圧電素子の伸縮変位が最大になるときに振動板にかかる力)-(圧電素子の伸縮変位が最大になるときに第1領域にかかる力)で算出されるところ、本願明細書【0027】の記載を参酌すると、(F2-F1)は、圧電素子11の伸縮変位が最大になるときに第2板12-2(すなわち、第2の領域)にかかる力と理解できる。

そうすると、圧電素子の伸縮変位が最大になるときに振動板12にかかる力(F2)は、第1領域12-1にかかる力(F1)と、第2領域12-2に係る力との和となることから、振動板12の全領域は、第1の領域12-1と第2の領域12-2のいずれかである、すなわち、振動板12は「変換機構」を実現する第1の領域12-1と「支持機構」を実現する第2の領域12-2のみからなるものと認められる。

エ.他方、引用発明1の振動板12は、前記圧電素子11の伸縮変位を所定方向の振動に変換し(変換機構)、保持部15を介して触感を呈示する振動対象30を変位可能に支持し(支持機構)ていると認められたとしても、振動板12について、「変換機構」を実現する第1の領域と「支持機構」を実現する第2の領域に分割して特定することについて、引用文献1には記載も示唆もなく、加えて、それぞれの領域が有するバネ定数を、式(1)、式(2)によって算出することについても引用文献1には記載も示唆もない。

オ.そしてみると、本願発明1の相違点1、3に係る構成は、引用文献1に記載されておらず、本願出願日前において周知技術であるとも認められない。

したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明1に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2について

本願発明2も、本願発明1の相違点1、3に係る構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明3について

本願発明3は、「触感を呈示する振動対象と、アクチュエータとを備え」た「触感呈示装置」であり、前記アクチュエータは本願発明1と同じ構成を有するものとして特定されている。

よって、本願発明3も、本願発明1の相違点1、3に係る構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第7 当審拒絶理由について

1.特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について

令和4年7月21日付けの補正により、特許法第36条第6項第1号(サポート要件)の拒絶理由を通知した請求項4が削除された結果、この拒絶の理由は解消した。

2.特許法第36条第6項第2号(明確性)について

令和4年7月21日付けの補正により、特許法第36条第6項第2号(明確性)の拒絶理由を通知していない請求項2の特定事項が、独立形式の請求項の限定事項として加えられた結果、この拒絶の理由は解消した。

3.特許法第29条第2項(進歩性)について

上記第6で示したように、令和4年7月21日付け補正により、本願発明1~3は、当業者であっても、引用発明1に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第8 原査定についての判断

令和4年7月21日付けの補正により、補正後の請求項1~3は、上記相違点1~3に係る技術的事項を有するものとなった。当該相違点1、3に係る構成は、原査定における引用文献A(当審拒絶理由における引用文献1)には記載されておらず、本願出願日前における周知技術でもないので、本願発明1~3は、当業者であっても、原査定における引用文献Aに基づいて容易に発明できたものではない。

したがって、原査定を維持することはできない。

第9 むすび

以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。

他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-016015

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    共通の審決分類: 121・G06F、537・G06F
  • 2025-011898拒絶査定不服審判 / 2026-07-28 / 原査定取消(特許/登録すべき)セッションベースの情報展示方法およびその装置、機器、並びにコンピュータプログラム
    共通の審決分類: 121・G06F、537・G06F

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