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特許拒絶査定不服審判

2021-015618

遊技機

審判番号
2021-015618
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-021062外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年11月15日
審決日
2022年09月28日
公報発行日
2022年12月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .572-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F) / P18 .4 -Z (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法39条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第39条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020- 21062「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 5月14日出願公開、特開2020- 73132〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成22年4月8日(以下「出願遡及日」という。)に出願した特願2010-89865の一部を平成25年12月26日に新たな特許出願(特願2013-268606)とし、さらにその一部を平成28年7月25日に新たな特許出願(特願2016-145386)とし、さらにその一部を平成30年10月15日に新たな特許出願(特願2018-194472)とし、さらにその一部を令和2年2月11日に新たな特許出願(特願2020-21062)としたものであって、令和3年4月5日付けで拒絶の理由が通知され、同年6月10日に意見書及び手続補正書が提出され、同年8月12日付け(謄本送達日:同年同月17日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対し、同年11月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 令和3年11月15日に提出された手続補正書による補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和3年11月15日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 (1)本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、令和3年6月10日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、 「発光することで遊技に関する報知を行う発光素子と、 遊技の状況に応じてあらかじめ定められた駆動信号を出力する駆動信号出力手段と、 前記駆動信号出力手段から前記駆動信号が出力されている場合に前記発光素子を発光させる駆動手段と、 前記駆動信号に混入されるノイズを除去するノイズ除去手段と、 を備え、 前記ノイズ除去手段に入力される前の前記駆動信号により前記発光素子とは別の発光素子を発光させることなく、前記ノイズ除去手段から出力された後の前記駆動信号により前記発光素子を発光させるように構成されたことを特徴とする遊技機。」とあったものを、 「発光することで遊技に関する報知を行う発光素子と、 遊技の状況に応じてあらかじめ定められた駆動信号を出力する駆動信号出力手段と、 前記駆動信号出力手段から前記駆動信号が出力されている場合に前記発光素子を発光させる駆動手段と、 前記駆動信号に混入されるノイズを除去するノイズ除去手段と、 予め定められた所定条件が成立した場合に所定特典を付与するか否かの付与判定を行う付与判定手段と、 前記付与判定の結果が前記所定特典を付与することに対応した付与対応結果である場合に遊技者に対して前記所定特典を付与することが可能な特典付与手段と、 前記付与判定の結果が前記付与対応結果となった場合に前記発光素子を予め定められた特定態様で発光させることに対応した前記駆動信号が前記駆動信号出力手段から出力されるようにする手段と、 を備えていることを特徴とする遊技機。」とする補正を含むものである。なお、下線は当審で付した。以下同様。 (2)補正事項 本件補正後の請求項1に係る上記補正は、以下の補正事項からなる。 ア 補正事項1 本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「前記ノイズ除去手段に入力される前の前記駆動信号により前記発光素子とは別の発光素子を発光させることなく、前記ノイズ除去手段から出力された後の前記駆動信号により前記発光素子を発光させるように構成された」との記載を削除する補正(以下「補正事項1」という。)。 イ 補正事項2 本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために、 「予め定められた所定条件が成立した場合に所定特典を付与するか否かの付与判定を行う付与判定手段と、 前記付与判定の結果が前記所定特典を付与することに対応した付与対応結果である場合に遊技者に対して前記所定特典を付与することが可能な特典付与手段と、 前記付与判定の結果が前記付与対応結果となった場合に前記発光素子を予め定められた特定態様で発光させることに対応した前記駆動信号が前記駆動信号出力手段から出力されるようにする手段と、 を備えている」こと を追加する補正(以下「補正事項2」という。)。 2 新規事項について 本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「当初明細書等」という。)の【0232】~【0237】、【0305】~【0318】、【0486】、【0507】、【0510】、図18、図23等の記載に基づくものであり、新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 3 補正の目的について (1)補正事項1 補正事項1は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項の記載を削除するものであるから、補正事項1の目的は、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除、同項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮(いわゆる限定的減縮)、同項第3号に掲げる誤記の訂正、同項第4号に掲げる明りようでない記載の釈明のいずれにも該当しない。 (2)補正事項2 補正事項2は、本件補正前の請求項1に記載した発明における「遊技の状況に応じてあらかじめ定められた駆動信号」であって、「前記駆動信号出力手段から」「出力されている場合に」、「駆動手段」が「前記発光素子を発光させる」「駆動信号」について、「前記発光素子を予め定められた特定態様で発光させることに対応した」ものであること、及び、「前記付与判定の結果が前記付与対応結果となった場合に」、「遊技機」に「備え」られる「手段」が「前記駆動信号出力手段から出力されるようにする」ものであることを限定し、 それに加えて、上記「付与判定」について、「所定特典を付与するか否かの付与判定」であること、及び、「予め定められた所定条件が成立した場合に」、「遊技機」に「備え」られる「付与判定手段」が「行う」ものであることを限定し、 また、上記「所定特典」について、「前記付与判定の結果が前記所定特典を付与することに対応した付与対応結果である場合に」、「遊技機」に「備え」られる「特典付与手段」が「遊技者に対して」「付与することが可能な」ことを限定するものである。 また、本件補正前の請求項1に記載した発明と、本件補正後の請求項1に記載した発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。 したがって、補正事項2は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (3)小括 上記(1)で述べたとおり、本件補正の目的は特許法第17条の2第5項各号に掲げる目的に該当しないから、本件補正は同項の規定に違反する。 4 独立特許要件について 上記3で述べたとおり、本件補正は目的外補正であることを理由として却下すべきものであるが、仮に本件補正が特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮(いわゆる限定的減縮)を目的とするものであるとして、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、検討する。 (1)本願補正発明 本願補正発明は、次のとおり分説することができる。なお、符号A等は当審で付与した。分説された本願補正発明の発明特定事項を、符号に基づき以下、「発明特定事項A」等という。 「A 発光することで遊技に関する報知を行う発光素子と、 B 遊技の状況に応じてあらかじめ定められた駆動信号を出力する駆動信号出力手段と、 C 前記駆動信号出力手段から前記駆動信号が出力されている場合に前記発光素子を発光させる駆動手段と、 D 前記駆動信号に混入されるノイズを除去するノイズ除去手段と、 E 予め定められた所定条件が成立した場合に所定特典を付与するか否かの付与判定を行う付与判定手段と、 F 前記付与判定の結果が前記所定特典を付与することに対応した付与対応結果である場合に遊技者に対して前記所定特典を付与することが可能な特典付与手段と、 G 前記付与判定の結果が前記付与対応結果となった場合に前記発光素子を予め定められた特定態様で発光させることに対応した前記駆動信号が前記駆動信号出力手段から出力されるようにする手段と、 を備えている H ことを特徴とする遊技機。」 (2)同日発明 原査定の拒絶の理由に引用された出願であり、本願の出願遡及日(平成22年4月8日)に出願された特願2010-89864(以下「同日出願1」という。)は、平成26年1月10日に特許第5445294号として設定登録されたものであって、その請求項1に係る発明(以下「同日発明」という。)は、次のとおりのものである。なお、符号a等は、本願補正発明の発明特定事項A等に対応させて当審で付与した。 「a 発光することで遊技に関する報知を行う発光素子と、 b 遊技の状況に応じてあらかじめ定められた駆動信号を出力する駆動信号出力手段と、 c 前記駆動信号出力手段から前記駆動信号が出力されている場合に前記発光素子を発光させる駆動手段と、 d 前記駆動信号に混入されるノイズを除去するノイズ除去手段と、 を備えている h ことを特徴とする遊技機。」 (3)対比 本願補正発明と同日発明とを対比する。なお、以下の見出し(a)ないし(h)は、本願補正発明のAないしHに対応させている。 (a)同日発明の発明特定事項aにおける「発光することで遊技に関する報知を行う発光素子」は、本願補正発明の発明特定事項Aにおける「発光することで遊技に関する報知を行う発光素子」に相当する。 (b)同日発明の発明特定事項bにおける「遊技の状況に応じてあらかじめ定められた駆動信号を出力する駆動信号出力手段」は、本願補正発明の発明特定事項Bにおける「遊技の状況に応じてあらかじめ定められた駆動信号を出力する駆動信号出力手段」に相当する。 (c)同日発明の発明特定事項cにおける「前記駆動信号出力手段から前記駆動信号が出力されている場合に前記発光素子を発光させる駆動手段」は、本願補正発明の発明特定事項Cにおける「前記駆動信号出力手段から前記駆動信号が出力されている場合に前記発光素子を発光させる駆動手段」に相当する。 (d)同日発明の発明特定事項dにおける「前記駆動信号に混入されるノイズを除去するノイズ除去手段」は、本願補正発明の発明特定事項Dにおける「前記駆動信号に混入されるノイズを除去するノイズ除去手段」に相当する。 (h)同日発明の発明特定事項hにおける「遊技機」は、本願補正発明の発明特定事項Hにおける「遊技機」に相当する。 上記(a)~(h)によれば、本願補正発明と同日発明は、 「A 発光することで遊技に関する報知を行う発光素子と、 B 遊技の状況に応じてあらかじめ定められた駆動信号を出力する駆動信号出力手段と、 C 前記駆動信号出力手段から前記駆動信号が出力されている場合に前記発光素子を発光させる駆動手段と、 D 前記駆動信号に混入されるノイズを除去するノイズ除去手段と、 を備えている H ことを特徴とする遊技機。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 ・相違点1(発明特定事項E) 本願補正発明は、「予め定められた所定条件が成立した場合に所定特典を付与するか否かの付与判定を行う付与判定手段」を備えていることが特定されているのに対し、 同日発明は、そのような手段を備えることが特定されていない点。 ・相違点2(発明特定事項F) 本願補正発明は、「前記付与判定の結果が前記所定特典を付与することに対応した付与対応結果である場合に遊技者に対して前記所定特典を付与することが可能な特典付与手段」を備えていることが特定されているのに対し、 同日発明は、そのような手段を備えることが特定されていない点。 ・相違点3(発明特定事項G) 本願補正発明は、「前記付与判定の結果が前記付与対応結果となった場合に前記発光素子を予め定められた特定態様で発光させることに対応した前記駆動信号が前記駆動信号出力手段から出力されるようにする手段」を備えていることが特定されているのに対し、 同日発明は、そのような手段を備えることが特定されていない点。 (4)同日発明を先願とし、本願補正発明を後願とした場合について判断する。 ア 相違点1について 遊技機において、予め定められた所定条件が成立した場合に所定特典を付与するか否かの付与判定を行う付与判定手段を備えることは、周知である。 (以下、このことを「周知技術1」という。 例えば、特開2004-49384号公報(以下「周知例1」という。)には、【0079】に「始動入賞記憶数=0ではない場合(TK1;NO)は、保留球数が1乃至4個ある場合である。そこで。これから消化(開始)するゲームの分の始動入賞記憶数を1減算する(TK2)。続いて、特別図柄記憶領域のアドレスをセットし、大当り判定用乱数アドレスとする(TK3)。そして、大当り判定値テーブルをセットし(TK4)、比較結果を判定する(TK5)。このTK5の手順が実行されるとCPU35aが本発明の大当り判定手段として機能する。大当り判定用乱数アドレスの内容と大当り判定値が一致した場合は(TK5;YES)、大当りであるため、大当り図柄の決定及び変動パターンの決定を行う特別図柄大当り設定処理(TK6)を実行する。」と記載されている。 また、特開2008-200065号公報(以下「周知例2」という。)には、【0068】に「保留記憶数が「0」ではない場合(S202でno)、……以下に説明する、特別図柄大当たり判定処理(S203)、……が行われる。」と、【0069】に「特別図柄大当たり判定処理(S203)では、遊技の当否判定が行われ、「大当たり遊技」の実行の可否が判定される。」と、記載されている。) そして、同日発明(先願)の「遊技機」に周知技術1を付加しても、新たな効果を奏しない。 よって、上記相違点1は、課題解決のための具体化手段における微差にすぎない。 イ 相違点2について 遊技機において、付与判定の結果が所定特典を付与することに対応した付与対応結果である場合に遊技者に対して所定特典を付与することが可能な特典付与手段を備えることは、周知である。 (以下、このことを「周知技術2」という。 例えば、周知例1には、【0082】に「特別電動役物処理(T7)では、大当りの際に大入賞口22の開閉動作に伴う設定処理や大当り中の画面表示に関わる設定を行う。」と記載されている。 また、周知例2には、【0027】に「大入賞口15は、横長に形成されて、常には、可動扉15Tにて閉塞されている。そして、後述する所定条件の成立によって、パチンコ遊技機10が「大当たり状態」になり、「大当たり遊技」が実行される。その大当たり遊技が実行されると、遊技盤11の裏に設けたソレノイド15S(図3参照)が駆動され、可動扉15Tが所定期間に亘って前側に倒れる。これにより、大入賞口15が開放され、可動扉15Tを案内にして、大入賞口15に多くの遊技球が入賞可能になる。」と記載されている。) そして、同日発明(先願)の「遊技機」に周知技術2を付加しても、新たな効果を奏しない。 よって、上記相違点2は、課題解決のための具体化手段における微差にすぎない。 ウ 相違点3について 遊技機において、付与判定の結果が付与対応結果となった場合に発光素子を予め定められた特定態様で発光させることに対応した駆動信号が駆動信号出力手段から出力されるようにする手段を備えることは、周知である。 (以下、このことを「周知技術3」という。 例えば、周知例1には、【0034】に「また、本実施形態の遊技機の特徴として、特別図柄始動保留球数LED26の間に大当り予告報知ランプ28が配置される。大当り予告報知ランプ28は、例えばLEDから構成され、内部的に大当りとなっている場合に特別図柄表示装置20の可視表示部Hに大当り状態が表示される前に、所定条件で発光することで大当りになっていることを予告報知するものである。」と、【0036】に「主基板35は、遊技を全体的に制御するために各種制御信号を出力する。……また、ランプ基板37も主基板35からの指示(制御コマンド)により、……大当り予告報知ランプ28の発光演出を行うためのランプ制御を実行する。」と、記載されている。 また、周知例2には、【0033】に「表示枠体23のうち液晶表示画面34の上部には、……大当たりランプ25が備えられている。この大当たりランプ25は、各特別図柄13A,13B,13Cが変動表示している間に点灯し、遊技者に大当たりを報知する。」と記載されている。) そして、同日発明(先願)の「遊技機」に周知技術3を付加しても、新たな効果を奏しない。 よって、上記相違点3は、課題解決のための具体化手段における微差にすぎない。 エ 小括 以上のとおりであるから、本願補正発明(後願)は、同日発明(先願)と実質的に同一である。 (5)本願補正発明を先願とし、同日発明を後願とした場合について判断する。 ア 相違点1について 同日発明(後願)は、本願補正発明(先願)の発明特定事項Eを特定しないことにより、周知技術1を削除したものである。 そして、本願補正発明(先願)の「遊技機」から周知技術1を削除しても、新たな効果を奏しない。 よって、上記相違点1は、課題解決のための具体化手段における微差にすぎない。 イ 相違点2について 同日発明(後願)は、本願補正発明(先願)の発明特定事項Fを特定しないことにより、周知技術2を削除したものである。 そして、本願補正発明(先願)の「遊技機」から周知技術2を削除しても、新たな効果を奏しない。 よって、上記相違点2は、課題解決のための具体化手段における微差にすぎない。 ウ 相違点3について 同日発明(後願)は、本願補正発明(先願)の発明特定事項Gを特定しないことにより、周知技術3を削除したものである。 そして、本願補正発明(先願)の「遊技機」から周知技術3を削除しても、新たな効果を奏しない。 よって、上記相違点3は、課題解決のための具体化手段における微差にすぎない。 エ 小括 以上のとおりであるから、同日発明(後願)は、本願補正発明(先願)と実質的に同一である。 (6)請求人の主張について ア 請求人は、審判請求書の【本願発明が特許されるべき理由】の「(3)拒絶査定に対する意見」において、 「ここで、本願明細書には、「発光素子」として当選告知用LED37を用いる構成(段落0233~0241欄)のほか、演出用可動役物の演出用LEDや図柄表示装置31のLEDバックライトを用いる構成(段落0390、0392、0402欄)が記載されている。引用文献1(当審注:同日出願1)に係る特許発明(当審注:同日発明)ではそれら全ての構成が含まれているが、本願発明(当審注:本願補正発明)では当選告知用LED37だけが含まれるように限定されており、本願発明は出願1に係る発明の下位概念となっている。 なお、発光素子を発光させるための駆動信号に混入されるノイズを除去する構成に関し、当選告知用の発光素子を対象として当該構成を適用することは、周知慣用技術といえるものではない。」(以下「第1の主張」という。) 「しかも、上記相違点に係る構成により、本願発明では、付与対応結果である場合には特定態様で発光素子が発光するため、発光素子の発光態様を遊技者が視認することにより、特典が付与されることを知ることとなる。このような発光素子にあっては、遊技者の注意を惹きつけることができ、遊技への注目度を高めることができる。しかしながら、特定態様で発光素子が発光されるか否かへの注目度の高さに起因して発光素子の誤動作による発光が遊技者に視認されやすく、目立ちやすいともいえる。そうすると、特典が付与される遊技回においてノイズにより発光素子が特定態様で発光しないことが発生し、予定したとおりの演出を実行できないという問題が発生し得る。また、特典が付与されない遊技回においてノイズにより発光素子が特定態様で発光してしまうことが発生することも想定され、この場合には、遊技者の期待感を裏切ることになって遊技への集中が途切れるばかりか、遊技ホールへの苦情等のトラブルが発生し得る。 このような問題を本願発明では解決することができるが、引用文献1に係る特許発明では、遊技におけるどのような状況で発光素子を発光させるものであるかが特定されておらず、遊技ホールへの苦情等のトラブルを回避する等の効果は得られない。かかる効果は遊技機においては重大な差異をもたらすものである。」(以下「第2の主張」という。) 等と主張する。 イ 第1の主張について検討する。 上記(3)(a)で述べたように、同日発明の発明特定事項aにおける「発光することで遊技に関する報知を行う発光素子」は、本願補正発明の発明特定事項Aにおける「発光することで遊技に関する報知を行う発光素子」に相当するから、本願補正発明と同日発明は、この点において相違しない。 また、上記(4)ウで述べたように、付与判定の結果が付与対応結果となった場合に発光素子を予め定められた特定態様で発光させることに対応した駆動信号が駆動信号出力手段から出力されるようにする手段を備えることは、周知技術であり、当該周知技術を付加しても、新たな効果を奏するものではない。 したがって、第1の主張が妥当であるとは認められない。 ウ 第2の主張について検討する。 同日出願1の明細書には、以下の記載がある。 (ア)【発明が解決しようとする課題】の欄 「【0004】 ここで、遊技の興趣を高めるものとして、図柄表示装置とは別に、発光素子が設けられているとともに、当該発光素子を駆動させる素子駆動手段としての駆動回路が搭載されている。駆動回路は遊技に関する制御を行う制御装置と例えば配線等を介して接続されており、当該制御装置から制御信号が入力された場合に発光素子を発光させる。当該発光により遊技の興趣の向上が図られている。 【0005】 かかる構成において、例えば駆動回路に対してノイズが入ると、発光素子が誤動作し、当該誤動作によって遊技者に対して誤解を与え、遊技者に意図したゲーム性が伝わらない場合がある。 【0006】 上記課題は、発光素子及び当該発光素子を駆動させる素子駆動手段を備えた遊技機に共通する課題である。 【0007】 本発明は、以上例示した事情等を鑑みてなされたものであり、発光素子及び当該発光素子を駆動させる素子駆動手段を備える遊技機において、発光素子の駆動を好適に行うことが可能な遊技機を提供することを目的とするものである。」 【発明が解決しようとする課題】の欄の記載から、同日発明が解決しようとする課題は、「誤動作によって遊技者に対して誤解を与え」ること、及び、「遊技者に意図したゲーム性が伝わらない」ことを含むと認められる。そして、これらの課題は、請求人が主張する本願補正発明の効果に関連するものである。 (イ)【発明を実施するための形態】の欄 「【0024】 メイン表示部33では、上作動口23又は下作動口24への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、上作動口23又は下作動口24への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。つまり、本パチンコ機10では、上作動口23への入賞と下作動口24への入賞とが内部抽選において区別されておらず、上作動口23又は下作動口24への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が共通の表示領域であるメイン表示部33にて明示される。そして、上作動口23又は下作動口24への入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、メイン表示部33にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、開閉実行モードへ移行する。 …… 【0034】 当選告知用LED37は、遊技者に対して特典が付与される場合、具体的には開閉実行モード(開閉実行状態)への移行に当選した場合に発光するように設定されている。これにより、遊技者は図柄表示装置31の変動表示態様及び当選告知用LED37の発光態様に対して注目し易い。これにより、遊技への注目度を向上させることができる。」 「【0323】 その後、t33のタイミング及びt34のタイミングにて実行される2回の音声発光制御処理を経たt35のタイミングにて、p型MOSFET211がONとなる閾値電圧Vthとなる。これにより、p型MOSFET211がONとなり、当選告知用LED37に対して電圧が印加され、当該当選告知用LED37が発光する。当該発光により、遊技者は大当たりに当選したことを認識することができる。 【0324】 この場合、第3駆動IC203からのLOW信号出力タイミングに対するp型MOSFET211のONタイミングが、t2のタイミングからt35のタイミングまでの遅延期間T4だけ、時定数回路221によって遅延されている。当該遅延期間T4は、音声発光制御処理の実行周期(期間Ta)よりも長く設定されており、具体的には複数の処理回分の期間に設定されている。これにより、複数の処理回に亘って第3駆動IC203からのLOW信号が継続している場合に、当選告知用LED37が発光するようになっている。これにより、仮にLED駆動データSDの伝送エラー又はノイズによって一時的に第3駆動IC203からLOW信号が出力された場合であっても、当選告知用LED37が発光しないようになっている。これにより、意図しない場合に当選告知用LED37が誤動作する不都合を回避することができる。 【0325】 ここで、既に説明したとおり、当選告知用LED37は、大当たりである場合に発光するように設定されているため、当該当選告知用LED37が発光するか否かは遊技者にとって重要な注目点である。このため、当選告知用LED37に対する遊技者の注目度は高い。さらに、当選告知用LED37の発光による遊技者に与えるインパクトを高めるべく、当選告知用LED37の発光強度は他のLED173と比較して高く設定されているとともに、遊技者にとって比較的見やすい位置であるセンターフレーム32に設けられている。よって、当選告知用LED37の誤動作が目立ち易く、遊技者に対して誤解を与え易い。 【0326】 これに対して、本実施形態によれば、時定数回路221が設けられているため、LED駆動データSDの伝送エラー又はノイズによって一時的に第3駆動IC203からLOW信号が出力された場合であっても、当選告知用LED37が発光しないようになっている。」 【発明を実施するための形態】の欄の記載から、同日発明の実施形態が、 上作動口23又は下作動口24への入賞に基づいて、内部抽選が行われ(本願補正発明の発明特定事項Eに対応する)、 内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、開閉実行モードへ移行し(本願補正発明の発明特定事項Fに対応する)、 当選告知用LED37は、開閉実行状態への移行に当選した場合に発光するように設定されていて、p型MOSFET211がONとなり、当選告知用LED37に対して電圧が印加され、当該当選告知用LED37が発光し、当該発光により、遊技者は大当たりに当選したことを認識することができる(本願補正発明の発明特定事項Gに対応する) という構成を有すると認められる。 また、【発明を実施するための形態】の欄の記載から、同日発明の実施形態が、 当選告知用LED37の発光により、遊技者は大当たりに当選したことを認識することができ、当選告知用LED37は、大当たりである場合に発光するように設定されているため、当該当選告知用LED37が発光するか否かは遊技者にとって重要な注目点であり、このため、当選告知用LED37に対する遊技者の注目度は高く、 当選告知用LED37の誤動作が目立ち易く、遊技者に対して誤解を与え易いことに対して、時定数回路221が設けられているため、LED駆動データSDの伝送エラー又はノイズによって一時的に第3駆動IC203からLOW信号が出力された場合であっても、当選告知用LED37が発光しないようになっている という効果を奏すると認められる。そして、これらの効果は、請求人が主張する本願補正発明の効果に相当するものである。 (ウ)したがって、第2の主張が妥当であるとは認められない。 エ 以上のとおりであるから、請求人の主張を採用することはできない。 (7)まとめ 以上のように、本願補正発明と同日発明とは、どちらの発明に着目しても、他の発明と実質的に同一であるといえるから、本願補正発明は同日発明と同一である。 また、同日発明は特許されており協議を行うことができない。 したがって、本願補正発明は、特許法第39条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 5 補正の却下の決定についてのむすび 本件補正は、上記3のとおり、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 また、仮に本件補正が同法第17条の2第5項の規定に違反しないものだとしても、本願補正発明は、上記4のとおり、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和3年6月10日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に記載されたものであるところ、本願発明は次のとおり分説することができる。なお、符号A等は当審で付与した。 「A 発光することで遊技に関する報知を行う発光素子と、 B 遊技の状況に応じてあらかじめ定められた駆動信号を出力する駆動信号出力手段と、 C 前記駆動信号出力手段から前記駆動信号が出力されている場合に前記発光素子を発光させる駆動手段と、 D 前記駆動信号に混入されるノイズを除去するノイズ除去手段と、 を備え、 I 前記ノイズ除去手段に入力される前の前記駆動信号により前記発光素子とは別の発光素子を発光させることなく、前記ノイズ除去手段から出力された後の前記駆動信号により前記発光素子を発光させるように構成された H ことを特徴とする遊技機。」 2 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由は、本願発明は、下記の同日出願に係る発明と同一と認められ、かつ、下記の同日出願に係る発明は特許されており協議を行うことができないから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 <引用文献等一覧> 1.特願2010-089864号(特許第5445294号公報) 3 引用例 同日出願1の請求項1に係る発明、すなわち、同日発明は、上記第2[理由]3(2)に記載したとおりである。 4 対比 本願発明と同日発明とを対比する。なお、以下の見出し(a)ないし(h)は、本願発明のAないしHに対応させている。 (a)同日発明の発明特定事項aにおける「発光することで遊技に関する報知を行う発光素子」は、本願発明の発明特定事項Aにおける「発光することで遊技に関する報知を行う発光素子」に相当する。 (b)同日発明の発明特定事項bにおける「遊技の状況に応じてあらかじめ定められた駆動信号を出力する駆動信号出力手段」は、本願発明の発明特定事項Bにおける「遊技の状況に応じてあらかじめ定められた駆動信号を出力する駆動信号出力手段」に相当する。 (c)同日発明の発明特定事項cにおける「前記駆動信号出力手段から前記駆動信号が出力されている場合に前記発光素子を発光させる駆動手段」は、本願発明の発明特定事項Cにおける「前記駆動信号出力手段から前記駆動信号が出力されている場合に前記発光素子を発光させる駆動手段」に相当する。 (d)同日発明の発明特定事項dにおける「前記駆動信号に混入されるノイズを除去するノイズ除去手段」は、本願発明の発明特定事項Dにおける「前記駆動信号に混入されるノイズを除去するノイズ除去手段」に相当する。 (h)同日発明の発明特定事項hにおける「遊技機」は、本願発明の発明特定事項Hにおける「遊技機」に相当する。 上記(a)~(h)によれば、本願発明と同日発明は、 「A 発光することで遊技に関する報知を行う発光素子と、 B 遊技の状況に応じてあらかじめ定められた駆動信号を出力する駆動信号出力手段と、 C 前記駆動信号出力手段から前記駆動信号が出力されている場合に前記発光素子を発光させる駆動手段と、 D 前記駆動信号に混入されるノイズを除去するノイズ除去手段と、 を備えている H ことを特徴とする遊技機。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 ・相違点4(発明特定事項I) 本願発明は、「前記ノイズ除去手段に入力される前の前記駆動信号により前記発光素子とは別の発光素子を発光させることなく、前記ノイズ除去手段から出力された後の前記駆動信号により前記発光素子を発光させるように構成された」ことが特定されているのに対し、 同日発明は、そのようなことが特定されていない点。 5 判断 (1)同日発明を先願とし、本願発明を後願とした場合について判断する。 ア まず、相違点4のうち、本願発明(後願)の「前記ノイズ除去手段に入力される前の前記駆動信号により前記発光素子とは別の発光素子を発光させることなく、」という部分について検討する。 同日発明(先願)では、「発光することで遊技に関する報知を行う発光素子」であって、「前記駆動信号が出力されている場合に」「発光」される「前記発光素子」についての特定がある。しかしながら、同日発明(先願)では、上記発光素子以外の発光素子、すなわち、「前記発光素子とは別の発光素子」について何ら特定されていない。そうすると、同日発明(先願)は、「前記発光素子とは別の発光素子」を備えていない態様を含むと解するのが相当である。 そして、同日発明(先願)の「前記発光素子とは別の発光素子」を備えていない態様においては、「前記ノイズ除去手段に入力される前の前記駆動信号により前記発光素子とは別の発光素子を発光させること」がないことは、明らかである。 また、同日発明(先願)では、「前記発光素子とは別の発光素子」について何ら特定されていないものの、同日出願1の明細書における「第1実施形態」では、「当選告知用LED37」(同日発明の「発光素子」に対応する。)とは別の「LED173」が備えられている。しかしながら、同日出願1の明細書における「第1実施形態」では、「時定数回路221」(同日発明の「ノイズ除去手段」に対応する。)に入力される前の「OUT16端子から出力されている信号」(同日発明の「駆動信号」に対応する。)により「LED173」を発光させることはない。そうすると、同日発明(先願)の「前記発光素子とは別の発光素子」を備えている態様においても、「前記ノイズ除去手段に入力される前の前記駆動信号により前記発光素子とは別の発光素子を発光させること」がないものが含まれるといえる。 したがって、相違点4のうち、「前記ノイズ除去手段に入力される前の前記駆動信号により前記発光素子とは別の発光素子を発光させることなく、」という部分によっては、本願発明(後願)は同日発明(先願)と実質的に相違しない。 イ 次に、相違点4のうち、本願発明(後願)の「前記ノイズ除去手段から出力された後の前記駆動信号により前記発光素子を発光させるように構成された」という部分について検討する。 同日発明(先願)における「駆動手段」は、「前記駆動信号が出力されている場合に前記発光素子を発光させる」ものである。 ここで、同日発明(先願)における「前記駆動信号」は、「ノイズ除去手段」によって「混入されるノイズ」を「除去」されるものである。 そうすると、同日発明(先願)は、「前記ノイズ除去手段から出力された後の前記駆動信号により前記発光素子を発光させるように構成された」ものであるということができる。 したがって、相違点4のうち、「前記ノイズ除去手段から出力された後の前記駆動信号により前記発光素子を発光させるように構成された」という部分によっては、本願発明(後願)は同日発明(先願)と実質的に相違しない。 ウ 小括 以上のとおりであるから、本願発明(後願)と同日発明(先願)とは実質的に同一の発明である。 (2)本願発明を先願とし、同日発明を後願とした場合について判断する。 上記(1)で述べたように、「前記ノイズ除去手段に入力される前の前記駆動信号により前記発光素子とは別の発光素子を発光させることなく、」との部分では、同日発明(後願)は本願発明(先願)と相違せず、「前記ノイズ除去手段に入力された後の前記駆動信号により前記発光素子を発光させるように構成された」との部分でも、同日発明(後願)は、本願発明(先願)と相違しない。 したがって、同日発明(後願)と本願発明(先願)とは実質的に同一の発明である。 (3)小括 以上のように、本願発明と同日発明とは、どちらの発明に着目しても、他の発明と実質的に同一であるといえるから、本願発明は同日発明と同一である。 また、同日発明は特許されており協議を行うことができない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-015618

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