特許拒絶査定不服審判
2024-015375
遊技機
- 審判番号
- 2024-015375
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-133481外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年09月26日
- 審決日
- 2025年06月23日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .4 -Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法39条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第39条第2項、特許法第39条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-133481「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 2月18日出願公開、特開2022- 29891〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年8月6日の出願であって、令和5年8月1日に手続補正書が提出され、令和6年4月8日付けで拒絶の理由が通知され、同年6月4日に意見書が提出されたところ、同6月21日付け(送達日:同年7月2日)で拒絶査定がなされ、それに対して、同年9月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1~2のうち、請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和5年8月1日提出の手続補正書の特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定される次のとおりのものである(符号A等は、分説するために当審で付した。以下「特定事項A」等という。)。
(本願発明)
「【請求項2】
A 遊技領域を形成する遊技盤と、
B 前記遊技盤に設けられた外レールと、
C 抽選の実行に応じて図柄の変動表示及び停止表示を行う図柄表示手段と、
D 前記図柄表示手段が停止表示を行う図柄として非当選図柄か、もしくは複数種類の当選図柄のうちいずれか1つを選択する停止図柄選択手段と、
E 前記非当選図柄又は前記当選図柄のいずれが選択された場合も図柄の変動表示に関する変動パターンを共通の処理を用いて選択する変動パターン選択手段とを備え、
F 前記外レールには、前記遊技盤への取り付け位置を案内する所定の案内部が複数形成されており、
G 遊技球の発射方向に沿って前記外レールが前記遊技盤に取り付けられた状態において、前記外レールの始端から左端までの範囲を第1の範囲とし、前記外レールの左端から上端までの範囲を第2の範囲とし、前記外レールの上端から終端までの範囲を第3の範囲とすると、
H 前記所定の案内部は、前記第3の範囲には形成されていない
I ことを特徴とする遊技機。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略、次のとおりである。
1.(同日出願)この出願の下記の請求項に係る発明は、同日出願された下記の出願に係る発明と同一と認められ、かつ、下記の出願に係る発明は特許されており協議を行うことができないから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない。
2.(先願)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願日前の下記の出願に係る発明と同一であるから、特許法第39条第1項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由1(同日出願)について
・請求項 2
・引用文献等 1-5
●理由2(先願)について
・請求項 1
・引用文献等 6、2、3
<引用文献等一覧>
1.特願2020-133480号(特許第7257365号公報)
2.特開2020-043915号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2006-006654号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2017-113392号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2003-299803号公報(周知技術を示す文献)
6.特願2020-130064号(特許第7121078号公報)
第4 同日出願の請求項1に係る発明
原査定の拒絶の理由に引用され、本願と同一出願人が、本願と同日(令和2年8月6日)に出願した特願2020-133480号(特許第7257365号公報)(以下「同日出願」という。)は、令和5年4月5日に設定登録がされたところ、その請求項1に係る発明(以下「同日発明」という。)は、次のとおりのものである。(符号a等は、本願発明の特定事項A等に概ね対応させて当審で付した。以下「特定事項a」等という。)。
(同日発明)
「【請求項1】
a 遊技領域を形成する遊技盤と、
b 前記遊技盤に設けられた外レールと、
j 前記遊技領域を流下した遊技球が回収される回収通路と、
k 前記回収通路に遊技球が到達可能な入球口の位置を前記回収通路より上方に設置可能な構造部材とを備え、
f 前記外レールには、前記遊技盤への取り付け位置を案内する所定の案内部が複数形成されており、
g 遊技球の発射方向に沿って前記外レールが前記遊技盤に取り付けられた状態において、前記外レールの始端から左端までの範囲を第1の範囲とし、前記外レールの左端から上端までの範囲を第2の範囲とし、前記外レールの上端から終端までの範囲を第3の範囲とすると、
h 前記所定の案内部は、前記第3の範囲には形成されていない
i ことを特徴とする遊技機。」
第5 対比・判断
本願発明と同日発明とを対比する。
1 同日発明を先願とし、本願発明を後願と仮定した場合
(1)本願発明の特定事項A、B、F~Iについて
それぞれの文言が一致するので、同日発明の特定事項a、b、f~iは、それぞれ、本願発明の特定事項A、B、F~Iに相当する。
したがって、同日発明は、本願発明の特定事項A、B、F~Iに相当する構成を備える。
(2)一致点及び相違点
そうすると、本願発明と同日発明とは、以下の点で一応相違し、その余の点で一致する。
<相違点1>(特定事項C)
本願発明は、「抽選の実行に応じて図柄の変動表示及び停止表示を行う図柄表示手段」を備えているのに対し、同日発明は、そのような「図柄表示手段」を備えるとは特定されていない点。
<相違点2>(特定事項D)
本願発明は、「前記図柄表示手段が停止表示を行う図柄として非当選図柄か、もしくは複数種類の当選図柄のうちいずれか1つを選択する停止図柄選択手段」を備えているのに対し、同日発明は、そのような「停止図柄選択手段」を備えるとは特定されていない点。
<相違点3>(特定事項E)
本願発明は、「前記非当選図柄又は前記当選図柄のいずれが選択された場合も図柄の変動表示に関する変動パターンを共通の処理を用いて選択する変動パターン選択手段」を備えているのに対し、同日発明は、そのような「変動パターン選択手段」を備えるとは特定されていない点。
(3) 上記相違点について検討する。
ア まず、<相違点1>(特定事項C)及び<相違点2>(特定事項D)についてまとめて検討する。
「抽選の実行に応じて図柄の変動表示及び停止表示を行う図柄表示手段と、前記図柄表示手段が停止表示を行う図柄として非当選図柄か、もしくは複数種類の当選図柄のうちいずれか1つを選択する停止図柄選択手段と」を備えることは、以下に例示するように、遊技機の分野において当業者に広く知られた周知の技術である(以下「周知技術1」という。)。
(例:特開2020-043915号公報(以下「周知例1」という。【0080】、【0325】、【0374】、図18参照。)、特開2006-006654号公報(以下「周知例2」という。【0026】、【0033】、【0048】、【0050】~【0052】、図1参照。))
そして、同日発明の「遊技機」において行われる演出及びそれを実行する手段を検討するにあたり上記相違点1及び2を備えることは、周知技術の単なる付加であって新たな効果を奏するものではないから、課題解決のための具体化手段における微差にすぎず、本願発明の特定事項C及びDの有無に係る上記相違点1及び2は、実質的な相違点ではない。
イ 次に、<相違点3>(特定事項E)について検討する。
「非当選図柄又は当選図柄のいずれが選択された場合も図柄の変動表示に関する変動パターンを共通の処理を用いて選択する変動パターン選択手段と」を備えることは、以下に例示するように、遊技機の分野において当業者に広く知られた周知の技術である(以下「周知技術2」という。)。
(例:上記周知例1(周知例1において、「はずれ時にも」「小当り時にも」「大当り時にも」、「同様の処理を実行するために呼び出される共通モジュールである」「変動パターン決定処理」(【0340】)「を実行する」「主制御CPU72」(【0336】)は、本願発明の特定事項Eの「変動パターン選択手段」に相当する。)、
上記周知例2(周知例2において、「大当り判定用乱数の乱数値と特定処理判定値とが」(【0033】)「一致判定された場合に行なわれる」「大当り設定処理」では(【0048】)、「大当り図柄決定処理が終了すると、前記変動パターンテーブルの内から大当りテーブルを設定して」「変動パターン決定処理」を行い(【0050】、【図8】)、一方、「一致判定されない場合に行なわれる」「ハズレ設定処理」では(【0051】)、「ハズレ図柄決定処理」(【0052】)から「変動パターンテーブルからハズレテーブルを設定」する処理に進み「変動パターン決定処理」が行われ(【0053】、【図7】)、「変動パターン決定処理」では「乱数値に対応した変動パターンを前記変動パターン選択手段24が選択する」(【0054】)ところ、「大当り図柄決定処理」及び「ハズレ図柄決定処理」のいずれの後にも行われる「変動パターン決定処理」における「変動パターン選択手段24」は、本願発明の「変動パターン選択手段」に相当する。))
そして、上記アで検討したように、同日発明について「図柄表示手段が停止表示を行う図柄として非当選図柄か、もしくは複数種類の当選図柄のうちいずれか1つを選択する停止図柄選択手段」の有無に係る上記相違点1は、実質的な相違点ではないことを踏まえると、同日発明において「非当選図柄」又は「当選図柄」の変動表示を行う際、「共通の変動パターン決定処理(同様の処理)を実行することにより」、「当選時専用のプログラムや、はずれ時専用のプログラムは不要となるため、変動パターン決定処理に関するプログラムのコード量を削減する」(上記周知例1の【0706】参照。)ために、上記相違点3を備えることは、周知技術の単なる付加であって新たな効果を奏するものではないから、課題解決のための具体化手段における微差にすぎず、本願発明の特定事項Eの有無に係る上記相違点3は、実質的な相違点ではない。
ウ してみると、同日発明(先願)と本願発明(後願)は実質的に同一である。
2 本願発明を先願とし、同日発明を後願と仮定した場合
(1)同日発明の特定事項a、b、f~i
それぞれの文言が一致するので、本願発明の特定事項A、B、F~Iは、それぞれ、同日発明の特定事項a、b、f~iに相当する。
したがって、本願発明は、同日発明の特定事項a、b、f~iに相当する構成を備える。
(2)一致点及び相違点
そうすると、同日発明と本願発明とは、以下の点で一応相違し、その余の点で一致する。
<相違点4>(特定事項j)
同日発明は、「前記遊技領域を流下した遊技球が回収される回収通路」を備えているのに対し、本願発明は、そのような「回収通路」を備えるとは特定されていない点。
<相違点5>(特定事項k)
同日発明は、「前記回収通路に遊技球が到達可能な入球口の位置を前記回収通路より上方に設置可能な構造部材」を備えているのに対し、本願発明は、そのような「構造部材」を備えるとは特定されていない点。
(3) 上記相違点について検討する。
<相違点4>(特定事項j)及び<相違点5>(特定事項k)についてまとめて検討する。
「遊技領域を流下した遊技球が回収される回収通路と、前記回収通路に遊技球が到達可能な入球口の位置を前記回収通路より上方に設置可能な構造部材と」を備えることは、以下に例示するように、遊技機の分野において当業者に広く知られた周知の技術である(以下「周知技術3」という。)。
(例:特開2017-113392号公報(以下「周知例3」という。周知例3において、「ステージ44の中央落下部43の下側に対応して設けられる上下方向の振り分け入口(通過口)51と、この振り分け入口51の下側に配置された左右一対の第1,第2始動入賞口(特定入球口)45,46と」、「振り分け入口51を通過し」「第1,第2始動入賞口45,46への入賞を逃した遊技球を遊技盤5の後側に案内するための例えば3つの第1アウト口54~56と」を備える(【0031】、【図5】、【図7】)ところ、「第1,第2始動入賞口(特定入球口)45,46」及び「3つの第1アウト口54~56」は、いずれも、「遊技領域」から「遊技球」を回収する機能を備えるから、同日発明の「回収通路」に相当する。また、「振り分け入口51を通過し」た「遊技球」は、「第1,第2始動入賞口(特定入球口)45,46」及び「3つの第1アウト口54~56」のいずれかに案内される、すなわち、「遊技球」は「振り分け入口51」から、その下側の「第1,第2始動入賞口(特定入球口)45,46」及び「第1アウト口54~56」、すなわち、「回収通路」に到達することができるから、上記「振り分け入口51」は、同日発明の「回収通路に遊技球が到達可能な入球口」に相当し、上記「振り分け入口51」が形成される「前装着体62」(【0033】、【図3】、【図4】)は、同日発明の「回収通路に遊技球が到達可能な入球口の位置を前記回収通路より上方に設置可能な構造部材」に相当する。)、
特開2003-299803号公報(以下「周知例4」という。周知例4において、「遊技領域31はガイドレール32、33にて囲まれた略円形の領域であり」「ガイドレール32、33の下端間は連続せず流入口34となって」おり(【0025】)、「流入口34の下方にはスロープ板36が配されており、そのスロープ板36の奥側にアウト口35が開口し」、「また、スロープ板36の下流側部分は入賞樋37の床部材となって」おり(【0026】)、「入賞樋37から流出した遊技球及びアウト口35を通過した遊技球は排出通路44によって集合させられて機外に排出される」(【0030】、【図5】)ところ、「入賞樋37から流出した遊技球及びアウト口35を通過した遊技球」を「機外に排出」する「排出通路44」は、同日発明の「回収通路」に相当する。また、「流入口34を通過した遊技球」は、「流入口34の下方」の「排出通路44によって」「機外に排出される」から、上記「流入口34」は、同日発明の「回収通路に遊技球が到達可能な入球口」に相当し、上記「流入口34」を「排出通路44」の上方に設置する構造である「排球機構50」は、同日出願の「回収通路に遊技球が到達可能な入球口の位置を前記回収通路より上方に設置可能な構造部材」に相当する構成を備えているといえる。)、
特開2015-204914号公報(以下「周知例5」という。周知例5において、「遊技盤15の遊技領域16に」「配設され」た(【0041】)「入賞口ユニット70は、入球部33と、入球部33に連設された左右一対の第1誘導部71と、各第1誘導部71の端部に連設された左右一対の第2誘導部72と、を有」し(【0042】)、「入球部33に入球した遊技球は」、「第1始動入賞口28へ入球する場合や、第1始動入賞口28へ至る第1通路34aの途中に開口されている外側排出口43又は内側排出口44を通じて入球部33の外に排出される場合があ」り、また、「第2始動入賞口29aへ入球する場合や、第2始動入賞口29aへ至る第2通路34bの途中に開口されている外側排出口43又は内側排出口44を通じて入球部33の外に排出される場合があ」り、「外側排出口43又は内側排出口44を通じて入球部33の外に排出される遊技球は」、「アウト口57の周辺に落下し、アウト口57へ流れ」(【0051】)、一方、「第1誘導部71の」「第1誘導面71aを転動する遊技球は」、「第2誘導部72へ向かって転動」し、「第1誘導面71aの最下流に到達した遊技球は、それぞれの最下流に位置する第2誘導部72の入口78を通過し、第2誘導面72aで受け入れられた後、第2誘導面72aの傾斜によってアウト口57へ導かれ」(【0052】)るとしている。
上記「アウト口57」は、同日発明の「回収通路」に相当し、「外側排出口43又は内側排出口44」及び「入口78」は、同日発明の「回収通路に遊技球が到達可能な入球口」に相当する。また、上記「第1始動入賞口28」及び「第2始動入賞口29a」も、「遊技領域」から「遊技球」を回収する機能を備えるから、同日発明の「回収通路」に相当するといえるところ、「第1始動入賞口28」及び「第2始動入賞口29a」に対しては、上記「入球部33」は、同日発明の「回収通路に遊技球が到達可能な入球口」に相当する。
ここで、上記「外側排出口43又は内側排出口44」及び「入口78」は、「アウト口57」に対して上方にあり、「入球部33」は、「第1始動入賞口28」及び「第2始動入賞口29a」に対して上方にあるから(【図3】、【図5】、【図6】)、上記「外側排出口43又は内側排出口44」、「入口78」、「アウト口57」、「入球部33」、「第1始動入賞口28」及び「第2始動入賞口29a」を備える「入賞口ユニット70」は、同日出願の「回収通路に遊技球が到達可能な入球口の位置を前記回収通路より上方に設置可能な構造部材」に相当する構成を備えているといえる。))
そして、同日発明において「遊技球」を回収する構成を具体的にどのようにするか当業者が検討するにあたり上記相違点4及び5を備えることは、周知技術の単なる付加であって新たな効果を奏するものではないから、課題解決のための具体化手段における微差にすぎず、同日発明の特定事項j及びkの有無に係る上記相違点4及び5は、実質的な相違点ではない。
してみると、本願発明(先願)と同日発明(後願)は実質的に同一である。
3 小括
以上のとおり、本願発明と同日発明とは、いずれの発明を先願と仮定しても、他の発明と実質的に同一であるから、本願発明と同日発明とは同一である。
4 請求人の主張について
(1)請求人は、審判請求書において、下記の主張をしている。
「(i)相違点5の技術的意義
・・・・この点について引用文献6には、「構造部材」の技術的特徴や技術的意義、及びその効果について極めて詳細に記載されており(例えば、段落0011,0058,0074~0081,0130~0132、図7、図8、図9等参照)、また、その技術的優位性については、比較例との比較をもって検証する旨の記載がある(例えば、段落0082~0084、図10等参照)。
したがって、「構造部材」の構成は、同日出願発明において特徴的な技術事項であると当業者には理解される。
(ii)「周知技術」とする原査定の認定誤り
原査定は、同日出願発明が備える「構造部材」の構成について、これを引用文献4,5から「周知技術」と認定している。
そこで、引用文献4,5に記載のものが同日出願発明の「構造部材」といえるかについて検討する。
先ず、引用文献4に記載されたものは、中央始動入賞ユニット17の内部で振り分け手段60による遊技球の振り分け、第1,第2始動入賞口45,46への遊技球の入賞、第1アウト口54~56への遊技球の排出等が行われている(段落0034、図13)。このため、遊技球が振り分け入口51に入球した時点では、その遊技球は第1,第2始動入賞口45,46に入賞するかも知れないので(段落0043、図13(b))、第1アウト口54~56へ排出されることが可能になるかは未定である。一方、遊技球が第1アウト口54~56のどこかに排出されることが可能になるのは、遊技球が第1,第2遊技球案内通路52,53により案内されてきたにも拘わらず、第1,第2始動案内部78,79から零れた時点である(段落0045、図13(c))。
そうすると、引用文献4の中央始動入賞ユニット17内において、遊技球が第1アウト口54~56に排出されることが可能になる「入球口」は、第1,第2始動案内部78,79から零れた遊技球が入球していく第1アウト口54~56それぞれの入口(図13(c)に2箇所の例で遊技球が二点鎖線で示されている位置)である。そして、引用文献4には、第1アウト口54~56よりも上方にそれぞれの入口を設置可能な部材は記載されていない。
また、引用文献5に記載されたものは、アウト口35への入口最上部の位置に流入口34が位置しているものに過ぎない(図5)。また、スロープ板36は、アウト口35の入口底部(遊技球を受け止める底)を形成している部材であり(段落0026、図5)、流入口34を設置するためのものではない。
してみれば、引用文献4,5は、それぞれ単独で何らかの技術事項を個別に開示しているだけであり、互いに異なる技術を開示した文献であり、何らかの周知技術を示す文献ではない。
よって、原査定の「上記相違点4-5に係る構成は、引用文献4及び5に記載されているように周知技術であるといえる」とした認定は誤りである。
(iii)同一性判断の誤り
上記のように、同日出願発明が備える「構造部材」の構成は、引用文献4,5から周知技術といえるものではなく、同日出願発明において技術的効果を奏するものであり、相違点4,5は、課題解決のための具体化手段における微差ではない。
したがって、本願請求項2に係る発明と同日出願発明とは、少なくとも相違点4,5において実質的に相違しており、「本願発明と同日出願発明は実質同一である」とした原査定の拒絶の理由は誤りであるから、本件審判において取り消されるべきである。」
(2)上記主張について検討する。
ア 相違点5の技術的意義に関する主張について
請求人は、引用文献6(※当審注:引用文献6は、引用文献等1(同日出願)の誤りと考えられる。)における「構造部材」の技術的特徴や技術的意義、及びその効果について引用箇所を示し、相違点5の技術的意義について主張している。
一方、同日発明において、「回収通路に遊技球が到達可能な入球口の位置を前記回収通路より上方に設置可能な構造部材」は、「入球口の位置」が「回収通路より上方に設置可能」な「構造部材」であることを意味するにとどまる。
そして、上記2(3)の検討から、「入球口の位置」が「回収通路より上方に設置可能」な「構造部材」は、周知技術3として広く知られており、かつ、上記周知技術3を付加することにより新たな効果や顕著な効果を奏するものではないから、上記の請求人の「「構造部材」の構成は、同日出願発明において特徴的な技術事項である」という主張は採用できない。
イ 請求人の引用文献4に対する主張について
同日発明において、「遊技領域を流下した遊技球が回収される回収通路」は、遊技領域を流下した遊技球を回収すること以外、その具体的な機能が特定されていないから、「第1アウト口54~56」のみを意味するものに限られず、入賞により遊技球を回収する「第1,第2始動入賞口45,46」も意味し得るところ、上記2(3)で検討したように、周知例3(審判請求書の引用文献4に対応。)において、「振り分け入口51」は、同日発明の「回収通路に遊技球が到達可能な入球口」に相当し、上記「振り分け入口51」が形成される「前装着体62」は、同日発明の「回収通路に遊技球が到達可能な入球口の位置を前記回収通路より上方に設置可能な構造部材」に相当する。
したがって、請求人が主張するような「遊技球が第1アウト口54~56に排出されることが可能になる「入球口」は、第1,第2始動案内部78,79から零れた遊技球が入球していく第1アウト口54~56それぞれの入口(図13(c)に2箇所の例で遊技球が二点鎖線で示されている位置)である」とはいえず、「引用文献4には、第1アウト口54~56よりも上方にそれぞれの入口を設置可能な部材は記載されていない」とする旨の主張は採用できない。
ウ 請求人の引用文献5に対する主張について
請求人が主張するように、周知例4(審判請求書の引用文献5に対応。)に記載されたものが「アウト口35への入口最上部の位置に流入口34が位置しているもの」であったとしても、上記2(3)で検討したように、「流入口34」、「排出通路44」は、それぞれ、同日発明の「回収通路に遊技球が到達可能な入球口」、「回収通路」に相当し、上記「流入口34」を「排出通路44」の上方に設置する構造である「排球機構50」は、同日出願の「回収通路に遊技球が到達可能な入球口の位置を前記回収通路より上方に設置可能な構造部材」に相当する構成を備えているといえる。
エ そして、上記2(3)で検討したように、相違点4及び5に係る構成は、周知例3(引用文献4)、周知例4(引用文献5)、及び、周知例6に例示されているように、周知技術3として広く知られており、相違点4及び5は実質的な相違点ではなく、請求人の上記「「上記相違点4-5に係る構成は、引用文献4及び5に記載されているように周知技術であるといえる」とした認定は誤りである」という主張、及び、「本願請求項2に係る発明と同日出願発明とは、少なくとも相違点4,5において実質的に相違しており、「本願発明と同日出願発明は実質同一である」とした原査定の拒絶の理由は誤りである」という主張は、採用できない。
5 まとめ
以上のとおり、本願発明と同日発明は同一の発明であると認められ、かつ、同日出願に係る発明は特許されており協議を行うことができないから、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない。
第6 むすび
以上のとおり、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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