特許拒絶査定不服審判
2025-007073
遊技機
- 審判番号
- 2025-007073
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-192184
- 請求日
- 2025年05月08日
- 審決日
- 2026年05月19日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社三共
- 審判長/審判官
- 審判長 ▲吉▼川 康史
- 審判官 山崎 仁之
- 審判官 齋藤 智也
- 分類
- P18 .4 -Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F) / P18 .537-Z (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第39条第1項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第36条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-192184「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 5月31日出願公開、特開2022- 80952〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年11月19日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 2月15日 :手続補正書の提出
同年 6月18日付け:拒絶理由通知書
同年 8月 2日 :意見書、手続補正書の提出
同年11月 8日付け:拒絶理由通知書
令和7年 1月16日 :意見書、手続補正書の提出
同年 2月 7日付け:補正却下、拒絶査定
(同年 2月12日 :原査定の謄本の送達)
同年 5月 8日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和7年5月8日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和7年5月8日にされた手続補正を却下する。
[理由](補正の適否の判断)
1 本件補正について(補正の内容)
令和7年5月8日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、令和6年8月2日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲に、
(本件補正前)
「【請求項1】
第1始動条件が成立したことにもとづいて第1識別情報の可変表示を行い、第2始動条件が成立したことにもとづいて第2識別情報の可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
非特別状態と該非特別状態よりも前記第2始動条件が成立しやすい特別状態とに制御可能な状態制御手段と、
第1識別情報の可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な第1保留記憶手段と、
第2識別情報の可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な第2保留記憶手段と、
前記有利状態に制御することを決定可能な決定手段と、
前記決定手段の決定結果にもとづいて、可変表示期間が異なる複数種類の可変表示パターンのうちから1の可変表示パターンを決定可能な可変表示パターン決定手段と、
前記有利状態に制御されることを示唆する示唆演出と、複数のキャラクタが移動する画像を表示する移動演出と、を含む演出を実行可能な演出実行手段と、
を備え、
前記移動演出における画像の表示期間は、第1表示期間と、第2表示期間と、を含み、
前記第1表示期間は、前記移動演出において最初のキャラクタの表示を開始してから、キャラクタの新たな表示がされ、いずれかのキャラクタの表示が最初に終了するまでの期間であり、
前記第2表示期間は、前記第1表示期間よりも長い期間であって、キャラクタの新たな表示がされ、かつ表示されているキャラクタの表示が終了する状態が継続する期間であり、
可変表示の態様がリーチ態様となった後に特定リーチ演出が実行される特定可変表示パターンを含み、
前記特別状態は、前記非特別状態から制御された前記有利状態が終了したときに制御される第1特別状態と、所定回数の可変表示が実行されたときに制御される第2特別状態と、を含み、
前記演出実行手段は、前記決定手段の決定結果にもとづいて、第1示唆演出と、該第1示唆演出が実行された場合よりも前記有利状態に制御される割合が高い第2示唆演出と、を含む複数種類の前記示唆演出を、可変表示の態様がリーチ態様となる前において実行可能であり、
前記第1特別状態における1の可変表示あたりの前記示唆演出の実行割合よりも、前記第2特別状態における1の可変表示あたりの前記示唆演出の実行割合が低く、
前記可変表示パターン決定手段は、前記第1特別状態、及び前記第2特別状態におけるいずれの期間においても、前記第2保留記憶手段に保留記憶が記憶されておらず、かつ、前記決定手段によって前記有利状態に制御することが決定されない可変表示である場合に、前記第2保留記憶手段に保留記憶を記憶させることが可能な所定可変表示パターンを決定可能であり、
前記演出実行手段は、前記第1特別状態において所定可変表示パターンにて可変表示が実行される場合に該可変表示において前記示唆演出を実行可能であり、前記第2特別状態において所定可変表示パターンにて可変表示が実行される場合に該可変表示において前記示唆演出を実行しない、
ことを特徴とする遊技機。」
とあったものを、
審判請求時に提出された手続補正書の特許請求の範囲における、
(本件補正後)
「【請求項1】
第1始動条件が成立したことにもとづいて第1識別情報の可変表示を行い、第2始動条件が成立したことにもとづいて第2識別情報の可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
非特別状態と該非特別状態よりも前記第2始動条件が成立しやすい特別状態とに制御可能な状態制御手段と、
第1識別情報の可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な第1保留記憶手段と、
第2識別情報の可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な第2保留記憶手段と、
前記有利状態に制御することを決定可能な決定手段と、
前記決定手段の決定結果にもとづいて、可変表示期間が異なる複数種類の可変表示パターンのうちから1の可変表示パターンを決定可能な可変表示パターン決定手段と、
前記有利状態に制御されることを示唆する示唆演出と、複数のキャラクタが移動する画像を表示する移動演出と、を含む演出を実行可能な演出実行手段と、
を備え、
前記移動演出における画像の表示期間は、第1表示期間と、第2表示期間と、を含み、
前記第1表示期間は、前記移動演出において最初のキャラクタの表示を開始してから、キャラクタの新たな表示がされ、いずれかのキャラクタの表示が最初に終了するまでの期間であり、
前記第2表示期間は、前記第1表示期間よりも長い期間であって、キャラクタの新たな表示がされ、かつ表示されているキャラクタの表示が終了する状態が継続する期間であり、
可変表示の態様がリーチ態様となった後に特定リーチ演出が実行される特定可変表示パターンを含み、
前記特別状態は、前記非特別状態から制御された前記有利状態が終了したときに制御される第1特別状態と、所定回数の可変表示が実行されたときに制御される第2特別状態と、を含み、
前記演出実行手段は、前記決定手段の決定結果にもとづいて、第1示唆演出と、該第1示唆演出が実行された場合よりも前記有利状態に制御される割合が高い第2示唆演出と、を含む複数種類の前記示唆演出を、可変表示の態様がリーチ態様となる前において実行可能であり、
前記第1特別状態における1の可変表示あたりの前記示唆演出の実行割合よりも、前記第2特別状態における1の可変表示あたりの前記示唆演出の実行割合が低く、
前記可変表示パターン決定手段は、前記第1特別状態、及び前記第2特別状態におけるいずれの期間においても、前記第2保留記憶手段に保留記憶が記憶されておらず、かつ、前記決定手段によって前記有利状態に制御することが決定されない可変表示である場合に、前記第2保留記憶手段に保留記憶を記憶させることが可能な所定可変表示パターンを決定可能であり、
前記演出実行手段は、
前記第1特別状態において所定可変表示パターンにて可変表示が実行される場合に該可変表示において前記示唆演出を実行可能であり、前記第2特別状態において所定可変表示パターンにて可変表示が実行される場合に該可変表示において前記示唆演出を実行せず、
前記移動演出を実行する際に、複数の点灯手段の各々を点灯させるための複数の輝度データで構成された輝度データテーブルとして、前記第1表示期間に対応する第1輝度データテーブルと、前記第2表示期間に対応する第2輝度データテーブルと、前記第3表示期間に対応する第3輝度データテーブルと、を用いることが可能であり、
前記第1輝度データテーブルにおける最初の輝度データは、前記移動演出において用いられる複数の前記点灯手段を消灯または低輝度で点灯させる輝度データである
ことを特徴とする遊技機。」
と補正するものである(下線は補正箇所を示すために当審合議体が付した。)。
2 補正の目的
(1)補正事項
本件補正により特許請求の範囲についてした補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「移動演出」について、当該移動演出を実行する際、複数の点灯手段を点灯させるために、当該移動演出の各表示期間に対応した輝度データテーブルを用いることが可能であること及び輝度データテーブルの内容を特定して限定するものである。
(2)補正目的
本件補正により特許請求の範囲についてした補正は、上記(1)のとおり、本件補正前の発明特定事項に限定を加えるものであって、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
3 本件補正発明の独立特許要件
上記2(2)で述べたとおり、本件補正により特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正であるから、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下で検討する。
(1)特許法第39条第1項(先願)について
ア 本件補正発明
本件補正発明は、上記1に(本件補正後)として記載したとおりのものであるところ、本件補正発明について以下に再掲する(符号A等は、分説するために当審合議体が付した。以下、符号A等を付した事項を「特定事項A」等という。)。
(本件補正発明)
「【請求項1】
A 第1始動条件が成立したことにもとづいて第1識別情報の可変表示を行い、第2始動条件が成立したことにもとづいて第2識別情報の可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 非特別状態と該非特別状態よりも前記第2始動条件が成立しやすい特別状態とに制御可能な状態制御手段と、
第1識別情報の可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な第1保留記憶手段と、
第2識別情報の可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な第2保留記憶手段と、
前記有利状態に制御することを決定可能な決定手段と、
前記決定手段の決定結果にもとづいて、可変表示期間が異なる複数種類の可変表示パターンのうちから1の可変表示パターンを決定可能な可変表示パターン決定手段と、
前記有利状態に制御されることを示唆する示唆演出と、複数のキャラクタが移動する画像を表示する移動演出と、を含む演出を実行可能な演出実行手段と、
を備え、
C 前記移動演出における画像の表示期間は、第1表示期間と、第2表示期間と、を含み、
前記第1表示期間は、前記移動演出において最初のキャラクタの表示を開始してから、キャラクタの新たな表示がされ、いずれかのキャラクタの表示が最初に終了するまでの期間であり、
前記第2表示期間は、前記第1表示期間よりも長い期間であって、キャラクタの新たな表示がされ、かつ表示されているキャラクタの表示が終了する状態が継続する期間であり、
D 可変表示の態様がリーチ態様となった後に特定リーチ演出が実行される特定可変表示パターンを含み、
前記特別状態は、前記非特別状態から制御された前記有利状態が終了したときに制御される第1特別状態と、所定回数の可変表示が実行されたときに制御される第2特別状態と、を含み、
前記演出実行手段は、前記決定手段の決定結果にもとづいて、第1示唆演出と、該第1示唆演出が実行された場合よりも前記有利状態に制御される割合が高い第2示唆演出と、を含む複数種類の前記示唆演出を、可変表示の態様がリーチ態様となる前において実行可能であり、
E 前記第1特別状態における1の可変表示あたりの前記示唆演出の実行割合よりも、前記第2特別状態における1の可変表示あたりの前記示唆演出の実行割合が低く、
F 前記可変表示パターン決定手段は、前記第1特別状態、及び前記第2特別状態におけるいずれの期間においても、前記第2保留記憶手段に保留記憶が記憶されておらず、かつ、前記決定手段によって前記有利状態に制御することが決定されない可変表示である場合に、前記第2保留記憶手段に保留記憶を記憶させることが可能な所定可変表示パターンを決定可能であり、
G 前記演出実行手段は、
前記第1特別状態において所定可変表示パターンにて可変表示が実行される場合に該可変表示において前記示唆演出を実行可能であり、前記第2特別状態において所定可変表示パターンにて可変表示が実行される場合に該可変表示において前記示唆演出を実行せず、
H 前記移動演出を実行する際に、複数の点灯手段の各々を点灯させるための複数の輝度データで構成された輝度データテーブルとして、前記第1表示期間に対応する第1輝度データテーブルと、前記第2表示期間に対応する第2輝度データテーブルと、前記第3表示期間に対応する第3輝度データテーブルと、を用いることが可能であり、
I 前記第1輝度データテーブルにおける最初の輝度データは、前記移動演出において用いられる複数の前記点灯手段を消灯または低輝度で点灯させる輝度データである
ことを特徴とする遊技機。」
イ 先願の請求項1に係る発明及び周知技術
(ア)先願の請求項1に係る発明
原査定の拒絶理由に先願3として引用された特願2020-131589号(令和2年8月3日に特許出願(特許第7483542号)。以下「先願」という。)の請求項1に係る発明(以下「先願発明」という。)は、令和6年2月21日に提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(符号a等は、分説するために当審合議体が付した。以下、符号a等を付した事項を「特定事項a」等という。)。
「【請求項1】
a 第1始動条件が成立したことにもとづいて第1識別情報の可変表示を行い、第2始動条件が成立したことにもとづいて第2識別情報の可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
b 非特別状態と該非特別状態よりも前記第2始動条件が成立しやすい特別状態とに制御可能な状態制御手段と、
第1識別情報の可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な第1保留記憶手段と、
第2識別情報の可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な第2保留記憶手段と、
前記有利状態に制御することを決定可能な決定手段と、
前記決定手段の決定結果にもとづいて、可変表示期間が異なる複数種類の可変表示パターンのうちから1の可変表示パターンを決定可能な可変表示パターン決定手段と、
前記有利状態に制御されることを示唆する示唆演出を含む演出を実行可能な演出実行手段と、
を備え、
d 可変表示の態様がリーチ態様となった後に特定リーチ演出が実行される特定可変表示パターンを含み、
前記特別状態は、前記非特別状態から制御された前記有利状態が終了したときに制御される第1特別状態と、所定回数の可変表示が実行されたときに制御される第2特別状態と、を含み、
前記演出実行手段は、前記決定手段の決定結果にもとづいて、第1示唆演出と、該第1示唆演出が実行された場合よりも前記有利状態に制御される割合が高い第2示唆演出と、を含む複数種類の前記示唆演出を、可変表示の態様がリーチ態様となる前において実行可能であり、
e 前記第1特別状態における1の可変表示あたりの前記示唆演出の実行割合よりも、前記第2特別状態における1の可変表示あたりの前記示唆演出の実行割合が低く、
j 前記決定手段によって前記有利状態に制御することが決定された可変表示である場合に前記可変表示パターン決定手段が前記第2特別状態において決定可能な可変表示パターンの数は、前記第1特別状態において決定可能な可変表示パターンの数よりも少なく、
f 前記可変表示パターン決定手段は、前記第1特別状態及び前記第2特別状態におけるいずれの期間においても、前記第2保留記憶手段に保留記憶が記憶されておらず、かつ、前記決定手段によって前記有利状態に制御することが決定されない可変表示である場合に、前記第2保留記憶手段に保留記憶を記憶させることが可能な所定可変表示パターンを決定可能であり、
g 前記演出実行手段は、前記第1特別状態において所定可変表示パターンにて可変表示が実行される場合に該可変表示において前記示唆演出を実行可能であり、前記第2特別状態において所定可変表示パターンにて可変表示が実行される場合に該可変表示において前記示唆演出を実行しない
ことを特徴とする遊技機。」
(イ)周知技術
a 引用文献等2
本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献等2のYouTube動画を視聴することで、次の事項が記録されていると認定することができる。
「どれが当たる!?激熱!(激アツ)リーチ集!『パチンコ演出集!』[たぬパチ!]」,YouTube[online][video],2020年05月25日,[2026年4月21日検索],<https://www.youtube.com/watch?v=T33ZI16XjbY>」
ここで、例えば、「<0分53秒>」は、動画の再生開始からの経過時間を示すものであり、以下の同様の「分秒」に係る記載も同じである。
また、コマ送り再生(「.(ピリオド)」キーを押すと1フレーム進み、「,(コンマ)」キーを押すと1フレーム戻る。1フレームは0.033秒に相当する。)を行うことにより経過時間を詳細に特定し、「分秒」の後に「(Aから56フレームコマ送り)」等と記載した。
(a)開示事項
A <0分53秒>
動画の画面左下には「CRルパン三世 LAST GOLD<平和/アムテックス>」との文字が表示されており、画面下側には「2020/5/25に公開済み」との文字が表示されているから、2020/5/25に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献等2に表示されているものは、「CRルパン三世 LAST GOLD」という遊技機に関する動画である。また、当該動画から、遊技機は表示装置及び表示装置の周囲に発光部材を備えることが看取される。そして、当該遊技機の表示装置の画面右辺の上側から左方向に移動する1のキャラクタが出現すること、及び、画面周囲の発光部材は暗いことが看取される。
[図:0001437098000001.jpg]
B <0分54秒>(Aから56フレームコマ送り)
最初に出現した1のキャラクタに続けて、これと同様のキャラクタが複数出現し、左側へ移動していく様子が看取される。
[図:0001437098000002.jpg]
C <0分55秒>(Aから84フレームコマ送り)
表示装置の画面左辺から最初に1のキャラクタが完全に消えること、及び、画面周囲の発光部材は明るいことが看取される。
[図:0001437098000003.jpg]
D <0分57秒>(Cから130フレームコマ送り)
連続して出現するキャラクタのうち、最後のキャラクタが出現したことが看取される。
[図:0001437098000004.jpg]
E <0分57秒>(Dから7フレームコマ送り)
表示装置の画面右辺から新たなキャラクタが出現してこないことが看取される。
[図:0001437098000005.jpg]
F <0分59秒>
全てのキャラクタが表示装置の画面左側へ消えたことが看取される。
[図:0001437098000006.jpg]
(b)引用文献等2開示事項
上記(a)より引用文献等2には、「CRルパン三世 LAST GOLD」という遊技機が表示装置及び表示装置の周囲に発光部材を備えており、表示装置において、複数の同様のキャラクタが画面右側から出現し、左に移動する表示が行われ、最初のキャラクタが現れ始め、最初に1のキャラクタが画面左側から消えるまでの期間は84フレームであり、最初に1のキャラクタが画面左側に消えてから、連続して出現するキャラクタのうち最後のキャラクタが画面右側に現れるまでの期間は130フレームであり、その後、全てのキャラクタが画面左側に消えることが開示されているものと認められる。
また、上記(a)A、Cより最初のキャラクタの表示が開始される時に、表示装置の画面周囲の発光部材は暗く、その後、複数の同様のキャラクタが移動する際に画面周囲の発光部材が明るくなることが開示されている。
よって、引用文献等2には、以下の技術が開示されているものと認められる(以下「引用文献等2開示事項」という。)。
「表示装置及び表示装置の周囲に発光部材を備えた遊技機において、複数の同様のキャラクタが画面右側から出現し、左に移動して、全てのキャラクタが左側から消える表示が行われ、最初のキャラクタが現れ始めてから最初に1のキャラクタが消えるまでの期間よりも、最初に1のキャラクタが消えてから連続して出現するキャラクタのうち最後のキャラクタが現れるまでの期間の方が長く、最後のキャラクタが現れてから全てのキャラクタが消えるまでの期間があり、最初のキャラクタが現れ始めるときに画面周囲の発光部材は暗くするという技術。」
b 引用文献等3
本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献等3のYouTube動画を視聴することで、次の事項が記録されていると認定することができる。
「【パチンコCR TVアニメーション弱虫ペダル】群予告・赤保留・CLIMAXリーチ」,YouTube[online][video],2017年05月15日,[2026年4月21日検索],<https://www.youtube.com/watch?v=xCiZgfnyFt8>」
(a)開示事項
A <7分03秒>
動画の画面左下には「パチンコCR TVアニメーション弱虫ペダル」との文字が表示されており、画面下側には「2017/5/15」との文字が表示されているから、2017/5/15に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献等3に表示されているものは、「CR TVアニメーション弱虫ペダル」という遊技機に関する動画である。また、当該動画から、遊技機は表示装置及び表示装置の画面の左右下側等に発光部材を備えることが看取される。そして、当該遊技機の表示装置の画面右辺の上側から1のキャラクタが出現すること、及び、表示装置の画面の左右下側に配置された発光部材は暗いことが看取される。
[図:0001437098000007.jpg]
B <7分04秒>(Aから21フレームコマ送り)
表示装置の画面右上から最初に出現した1のキャラクタに続けて、これと同様のキャラクタが複数左下へ移動していく様子、及び、表示装置の画面の左右下側に配置された発光部材は明るいことが看取される。
[図:0001437098000008.jpg]
C <7分05秒>(Aから38フレームコマ送り)
表示装置の画面の下側へ1のキャラクタが最初に完全に消えることが看取される。
[図:0001437098000009.jpg]
D <7分07秒>(Cから68フレームコマ送り後)
最後に出現するキャラクタの全体が表示されることが看取される。
[図:0001437098000010.jpg]
E <7分08秒>
全てのキャラクタが表示装置の画面左下へ消えたことが看取される。
[図:0001437098000011.jpg]
(b)引用文献等3開示事項
上記(a)より引用文献等3には、「パチンコCR TVアニメーション弱虫ペダル」という遊技機が表示装置及び表示装置の画面の左右下側等に発光部材を備えており、表示装置において、複数の同様のキャラクタが画面右上から出現し、左下に移動し、全てのキャラクタが左下から消える表示が行われ、最初のキャラクタが現れ始め、最初に1のキャラクタが画面下側から消えるまでの期間は38フレームであり、最初に1のキャラクタが画面下側に消えてから、連続して出現するキャラクタのうち最後のキャラクタが画面右上に現れるまでの期間は68フレームであることが開示されているものと認められる。
また、上記(a)A、Bより最初のキャラクタの表示が開始される時に、表示装置の画面左右下側の発光部材は暗く、その後、複数の同様のキャラクタが移動する際にこれらの発光部材が明るくなることが開示されている。
よって、引用文献等3には、以下の技術が開示されているものと認められる(以下「引用文献等3開示事項」という。)。
「表示装置及び表示装置の画面の左右下側等に発光部材を備えた遊技機において、複数の同様のキャラクタが表示装置の画面右上から出現し、左下に移動して、全てのキャラクタが左下から消える表示が行われ、最初のキャラクタが現れ始めてから最初に1のキャラクタが消えるまでの期間よりも、最初に1のキャラクタが消えてから連続して出現するキャラクタのうち最後のキャラクタが現れるまでの期間の方が長く、最後のキャラクタが現れてから全てのキャラクタが消えるまでの期間があり、最初のキャラクタが現れ始めるときに表示装置の画面左右下側の発光部材は暗くするという技術。」
c 引用文献4
本願出願前に頒布された特開2010-178800号公報(平成22年8月19日出願公開。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている。
「【0005】
以下に示す図8,図9は、フルカラーLEDを白色点灯させかつ階調制御する際にCPUが参照するデータである。図8は、従来のランプテーブル(LMP_data)の一例を示す図である。このランプテーブル10の読み出し時には、ある一つのランプ群(LED1~LED3)について、時間間隔と、各ランプ(LED1~LED3)に対するRGB別の点灯の情報(「1」ON/「0」OFF)と、参照する階調テーブルが設定される。t1の時間の間、LED1~LED3のRGBの値がすべて「1」であるため白色で点灯させる。また、このt1時間中は、以下に説明するスキャンデータ(scan_feed)を参照することが示されている。
【0006】
図9は、階調制御に用いるスキャンデータ(scan_feed)の一例を示す図である。このスキャンデータ20を用いた階調制御にはPWM制御が用いられ、9を最高輝度、0を消灯とした10階調を用いている。図9に示す例は、各LED1~LED3の階調がt2の時間経過毎に9→8→7→…(中略)…→0と次第に輝度を低くしていく(フェードアウトする)例である。なお、時間データが0の場合、テーブルの先頭に戻る仕様としており、図9の例では、輝度が高い状態から低い状態への変化がループする。図9は、輝度を次第に低くする階調制御の例であるが、逆に次第に輝度を高くする階調制御もある。」
「【図9】
[図:0001437098000012.jpg]
」
d 引用文献5
本願出願前に頒布された特開2013-74946号公報(平成25年4月25日出願公開。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている。
「【0136】
図17には、装飾制御処理(ステップB19)の具体的な手順の一例が示されている。
・・・一方、ステップB161において、フレーム更新タイミングである(Yes)と判定した場合は、ステップB162へ進み、予め用意されている変動表示ゲームの際の変動パターンや大当りのシーンなど複数の演出パターンにそれぞれ付与されている演出番号のうち今回の演出に対応した演出番号に基づいて、現在の輝度データテーブル(図18参照)をROMより取得する。
【0137】
そして、該輝度データテーブルから現在のフレーム数(フレーム番号)に対応する輝度データを取得する(ステップB163)。・・・
【0138】
・・・
また、ステップB167で、減算後の輝度は下の閾値以下でない(No)と判定した場合は、ステップB170へ進み、算出結果の輝度データを輝度調整レジスタ345に書き込むように指示してステップB171へ進む。
ステップB171では、点灯させたいダイオード列を指定する点灯データを取得してその点灯データを出力設定レジスタ346(図5参照)に書き込むように指示して、当該装飾制御処理から抜ける。なお、以上の処理を制御対象のダイオード(図5のLED0~LED15)分だけ行う。
【0139】
図18には、輝度データテーブルの例が示されている。図18において、フレームとは表示装置41におけるフレームに対応するものであり、表示フレームに対応して図18の輝度データテーブルの各フレームの輝度設定データと点灯データが、左から右へ順次、ペアで読み出されて輝度調整レジスタ345および出力設定レジスタ346レジスタに設定されることで、枠装飾装置18や盤装飾装置42内の対応する発光ダイオードが点灯制御されることとなる。図18はダイオードLED0に関するものであり、図示しないが、このようなテーブルがダイオード列(図5のLED0~LED15)ごとに用意されている。
なお、図18において、(A)は図17に示す装飾制御処理により輝度の設定が変更される前のテーブルデータを、(B1)と(B2)は図17に示す装飾制御処理により輝度の設定が変更された後のテーブルデータを示している。
【0140】
図19には、図17の装飾制御処理を実行することにより、輝度データテーブルの各フレームの輝度設定データと点灯データに従って、発光ダイオードを点灯制御する場合のタイミングチャートが示されている。」
「【図18】
[図:0001437098000013.jpg]
」
「【図19】
[図:0001437098000014.jpg]
」
e 周知技術1
遊技機の技術分野において、表示装置により遊技者にとって有利な状態である大当りとなることを示唆する様々な表示を行うことは技術常識であり、上記a及びbで認定した複数のキャラクタが移動する表示も同様の表示であることは明らかである。
そうすると、上記引用文献等2開示事項及び引用文献等3開示事項より、以下の技術が本願出願日前における当該技術分野の周知技術であると認められる(以下「周知技術1」という。)。
「表示装置及び表示装置の周囲に発光部材を備えた遊技機において、有利状態となることを示唆する表示として、複数の同様のキャラクタが表示装置の画面に出現し、一の方向に移動して、全てのキャラクタが画面から消える表示が行われ、最初のキャラクタが現れ始めてから最初に1のキャラクタが消えるまでの期間よりも、最初に1のキャラクタが消えてから連続して出現するキャラクタのうち最後のキャラクタが現れるまでの期間の方が長くし、最後のキャラクタが現れてから全てのキャラクタが消えるまでの期間があり、最初のキャラクタが現れ始めるときに画面周囲の発光部材は暗くする技術。」
f 周知技術2
上記引用文献4及び引用文献5の記載事項より、以下の技術が本願出願日前における当該技術分野の周知技術であると認められる(以下「周知技術2」という。)。
「遊技機において、LED等の発光部材の輝度を制御するためにデータテーブルを用いる技術。」
ウ 対比
本件補正発明と先願発明を対比する。
(ア)特定事項A、D~Gについて
先願発明の特定事項a、d~gと本件補正発明の特定事項A、D~Gは文言上一致しており、先願発明は、本件補正発明の特定事項A、D~Gに相当する構成を備えている。
(イ)特定事項Bについて
本件補正発明の特定事項Bと先願発明の特定事項bは、以下の点で文言上一致している。
「非特別状態と該非特別状態よりも前記第2始動条件が成立しやすい特別状態とに制御可能な状態制御手段と、
第1識別情報の可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な第1保留記憶手段と、
第2識別情報の可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な第2保留記憶手段と、
前記有利状態に制御することを決定可能な決定手段と、
前記決定手段の決定結果にもとづいて、可変表示期間が異なる複数種類の可変表示パターンのうちから1の可変表示パターンを決定可能な可変表示パターン決定手段と、
前記有利状態に制御されることを示唆する示唆演出を含む演出を実行可能な演出実行手段と、
を備え」る点。
したがって、先願発明は、本件補正発明の特定事項Bのうち、上記に相当する構成を備えている。
エ 一致点及び相違点
上記ウの検討を踏まえると、本件補正発明と先願発明は、
<一致点>
「【請求項1】
A 第1始動条件が成立したことにもとづいて第1識別情報の可変表示を行い、第2始動条件が成立したことにもとづいて第2識別情報の可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B’ 非特別状態と該非特別状態よりも前記第2始動条件が成立しやすい特別状態とに制御可能な状態制御手段と、
第1識別情報の可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な第1保留記憶手段と、
第2識別情報の可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な第2保留記憶手段と、
前記有利状態に制御することを決定可能な決定手段と、
前記決定手段の決定結果にもとづいて、可変表示期間が異なる複数種類の可変表示パターンのうちから1の可変表示パターンを決定可能な可変表示パターン決定手段と、
前記有利状態に制御されることを示唆する示唆演出と、
を含む演出を実行可能な演出実行手段と、
を備え、
D 可変表示の態様がリーチ態様となった後に特定リーチ演出が実行される特定可変表示パターンを含み、
前記特別状態は、前記非特別状態から制御された前記有利状態が終了したときに制御される第1特別状態と、所定回数の可変表示が実行されたときに制御される第2特別状態と、を含み、
前記演出実行手段は、前記決定手段の決定結果にもとづいて、第1示唆演出と、該第1示唆演出が実行された場合よりも前記有利状態に制御される割合が高い第2示唆演出と、を含む複数種類の前記示唆演出を、可変表示の態様がリーチ態様となる前において実行可能であり、
E 前記第1特別状態における1の可変表示あたりの前記示唆演出の実行割合よりも、前記第2特別状態における1の可変表示あたりの前記示唆演出の実行割合が低く、
F 前記可変表示パターン決定手段は、前記第1特別状態、及び前記第2特別状態におけるいずれの期間においても、前記第2保留記憶手段に保留記憶が記憶されておらず、かつ、前記決定手段によって前記有利状態に制御することが決定されない可変表示である場合に、前記第2保留記憶手段に保留記憶を記憶させることが可能な所定可変表示パターンを決定可能であり、
G 前記演出実行手段は、
前記第1特別状態において所定可変表示パターンにて可変表示が実行される場合に該可変表示において前記示唆演出を実行可能であり、前記第2特別状態において所定可変表示パターンにて可変表示が実行される場合に該可変表示において前記示唆演出を実行しない、
ことを特徴とする遊技機。」
の点で一致し、次の点で一応相違する。
<相違点1>(特定事項Bについて)
本件補正発明は、「演出実行手段」が「複数のキャラクタが移動する画像を表示する移動演出」を実行可能であるのに対し、先願発明は、「演出実行手段」がこのような演出を実行可能であるか否か不明である点。
<相違点2>(特定事項Cについて)
本件補正発明は、「前記移動演出における画像の表示期間は、第1表示期間と、第2表示期間と、を含み、前記第1表示期間は、前記移動演出において最初のキャラクタの表示を開始してから、キャラクタの新たな表示がされ、いずれかのキャラクタの表示が最初に終了するまでの期間であり、前記第2表示期間は、前記第1表示期間よりも長い期間であって、キャラクタの新たな表示がされ、かつ表示されているキャラクタの表示が終了する状態が継続する期間であ」るのに対し、先願発明は、このような特定がされていない点。
<相違点3>(特定事項H、Iについて)
本件補正発明は、「前記移動演出を実行する際に、複数の点灯手段の各々を点灯させるための複数の輝度データで構成された輝度データテーブルとして、前記第1表示期間に対応する第1輝度データテーブルと、前記第2表示期間に対応する第2輝度データテーブルと、前記第3表示期間に対応する第3輝度データテーブルと、を用いることが可能であり、前記第1輝度データテーブルにおける最初の輝度データは、前記移動演出において用いられる複数の前記点灯手段を消灯または低輝度で点灯させる輝度データである」のに対し、先願発明は、このような特定がされていない点。
オ 判断
(ア)相違点1~相違点3について
上記一応の相違点1~相違点3は、関連するのでまとめて検討する。
まず、上記一応の相違点3に係る本件補正発明の構成のうち、「前記第3表示期間」については、本件補正発明において、「第3表示期間」の定義がなく、その内容が不明であるため、本願の明細書を参照すると、【0006】には、「前記群演出における画像の表示期間は、第1表示期間と、第2表示期間と、第3表示期間とを含み、・・・前記第3表示期間は、キャラクタの新たな表示がされることなく、表示されているキャラクタの表示が終了する状態が継続する期間であ」る旨が記載されている。そこで、「前記第3表示期間」はこの明細書の記載を元に善解する。
次に、上記イ(イ)eに周知技術1として認定したとおり、「表示装置及び表示装置の周囲に発光部材を備えた遊技機において、有利状態となることを示唆する表示として、複数の同様のキャラクタが表示装置の画面に出現し、一の方向に移動して、全てのキャラクタが画面から消える表示が行われ、最初のキャラクタが現れ始めてから最初に1のキャラクタが消えるまでの期間よりも、最初に1のキャラクタが消えてから連続して出現するキャラクタのうち最後のキャラクタが現れるまでの期間の方が長くし、最後のキャラクタが現れてから全てのキャラクタが消えるまでの期間があり、最初のキャラクタが現れ始めるときに画面周知の発光部材は暗くする」ことは従来周知である。
ここで、当該周知技術1の複数キャラクタが移動する表示は、上記相違点1に係る「複数のキャラクタが移動する画像を表示する移動演出」に相当するものであり、また、「最初のキャラクタが現れ始めてから最初に1のキャラクタが消えるまでの期間」及び「最初に1のキャラクタが消えてから連続して出現するキャラクタのうち最後のキャラクタが現れるまでの期間」は、上記相違点2に係る事項の「第1表示期間」及び「第2表示期間」にそれぞれ相当する。そして、後者は前者よりも長いので、当該周知技術1は、上記相違点2の「前記第2表示期間は、前記第1表示期間よりも長い期間であ」るという事項を備えている。
また、周知技術1の「最後のキャラクタが現れてから全てのキャラクタが消えるまでの期間」は、上記相違点3に係る「前記第3表示期間」に相当し、「最初のキャラクタが現れ始めるときに画面周囲の発光部材が暗くなる」ことは、「前記移動演出において用いられる複数の前記点灯手段を消灯または低輝度で点灯させる」ことに相当する。
さらに、輝度データテーブルによる点灯手段の制御は、周知技術2に例示されるように広く用いられている技術であり、遊技機において当然に行われているものといえるところ、周知技術1は実質的に点灯手段の輝度を制御するデータテーブルを備えており、「第1表示期間」、「第2表示期間」及び「第3表示期間」の対応箇所として「第1輝度データテーブル」、「第2輝度データテーブル」及び「第3輝度データテーブル」を有すること、及び、「最初のキャラクタが現れ始めるときに画面周囲の発光部材が暗くなる」ことに鑑みて、「前記第1輝度データテーブルにおける最初の輝度データは、複数の前記点灯手段を消灯または低輝度で点灯させる輝度データである」ことは自明である。
したがって、周知技術1は、上記一応の相違点1~3に係る事項を備えている。
そして、先願発明は「有利状態に制御されることを示唆する示唆演出」を行うものであるところ、上記一応の相違点1~3に係る事項は、周知技術1の付加であって、新たな効果を奏するものとはいえないから、当該示唆演出において、有利状態に制御されることを示唆するという課題解決のための具体化手段における微差である。
したがって、上記一応の相違点1~3は実質的な相違点とはいえない。
(イ)まとめ
上記(ア)より、本件補正発明と先願発明との間に実質的な差異はなく、両者は実質的に同一である。
カ 審判請求人の主張について
審判請求人は、審判請求書において、本件補正発明の特定事項H、Iに関して、「本願発明は、上記特徴1を有することで、例えば[2299]段落で示されるように、移動演出が実行される前に行われていたランプの点灯と混じることなく、一旦、区切りをつけた上で移動演出が実行されたときにランプが点灯するため、より好適な移動演出を提供することができる、という有利な効果を奏します。上記特徴1は格別の効果を奏すとともに、周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等に該当するものではありません。」と主張するが、上記オ(ア)に記載したとおり、複数のキャラクタが移動する表示において、その最初のときに発光手段を暗くすることは、当該技術分野の周知技術にすぎず、移動演出の前に区切りがつくという効果は、新たに奏せられるものとはいえない。
よって、審判請求人の主張は採用できない。
キ 小括
したがって、本件補正発明は、先願発明と実質的に同一であるから、特許法第39条第1項に規定する要件を満たしていない。
(2)特許法第36条第2項(明確性)について
本件補正発明には、「前記第3表示期間」と記載されているが、この記載よりも前に「第3表示期間」は記載されておらず、「前記第3表示期間」とは、どのような期間のことを意味するか不明である。
したがって、本件補正発明は、特許を受けようとする発明が明確でなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
4 むすび(補正の却下の決定のむすび)
以上のとおり、本件補正発明は、特許法第39条第1項及び第36条第6項第2号の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たしていないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は(以下「本願発明」という。)、令和6年8月2日提出の手続補正書により補正された、上記第2の1に(本件補正前)として記載したとおりのものであるところ、本願発明について以下に再掲する(符号A等は、分説するために当審合議体が付した。以下、符号A等を付した事項を「特定事項A」等という。)。
「【請求項1】
A 第1始動条件が成立したことにもとづいて第1識別情報の可変表示を行い、第2始動条件が成立したことにもとづいて第2識別情報の可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 非特別状態と該非特別状態よりも前記第2始動条件が成立しやすい特別状態とに制御可能な状態制御手段と、
第1識別情報の可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な第1保留記憶手段と、
第2識別情報の可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な第2保留記憶手段と、
前記有利状態に制御することを決定可能な決定手段と、
前記決定手段の決定結果にもとづいて、可変表示期間が異なる複数種類の可変表示パターンのうちから1の可変表示パターンを決定可能な可変表示パターン決定手段と、
前記有利状態に制御されることを示唆する示唆演出と、複数のキャラクタが移動する画像を表示する移動演出と、を含む演出を実行可能な演出実行手段と、
を備え、
C 前記移動演出における画像の表示期間は、第1表示期間と、第2表示期間と、を含み、
前記第1表示期間は、前記移動演出において最初のキャラクタの表示を開始してから、キャラクタの新たな表示がされ、いずれかのキャラクタの表示が最初に終了するまでの期間であり、
前記第2表示期間は、前記第1表示期間よりも長い期間であって、キャラクタの新たな表示がされ、かつ表示されているキャラクタの表示が終了する状態が継続する期間であり、
D 可変表示の態様がリーチ態様となった後に特定リーチ演出が実行される特定可変表示パターンを含み、
前記特別状態は、前記非特別状態から制御された前記有利状態が終了したときに制御される第1特別状態と、所定回数の可変表示が実行されたときに制御される第2特別状態と、を含み、
前記演出実行手段は、前記決定手段の決定結果にもとづいて、第1示唆演出と、該第1示唆演出が実行された場合よりも前記有利状態に制御される割合が高い第2示唆演出と、を含む複数種類の前記示唆演出を、可変表示の態様がリーチ態様となる前において実行可能であり、
E 前記第1特別状態における1の可変表示あたりの前記示唆演出の実行割合よりも、前記第2特別状態における1の可変表示あたりの前記示唆演出の実行割合が低く、
F 前記可変表示パターン決定手段は、前記第1特別状態、及び前記第2特別状態におけるいずれの期間においても、前記第2保留記憶手段に保留記憶が記憶されておらず、かつ、前記決定手段によって前記有利状態に制御することが決定されない可変表示である場合に、前記第2保留記憶手段に保留記憶を記憶させることが可能な所定可変表示パターンを決定可能であり、
G 前記演出実行手段は、
前記第1特別状態において所定可変表示パターンにて可変表示が実行される場合に該可変表示において前記示唆演出を実行可能であり、前記第2特別状態において所定可変表示パターンにて可変表示が実行される場合に該可変表示において前記示唆演出を実行しない、
ことを特徴とする遊技機。」
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は概略、この出願の令和6年8月2日付け手続補正書により補正された請求項1に係る発明は、その出願日前の下記の出願に係る発明と同一であるから、特許法第39条第1項の規定により特許を受けることができない、というものを含むものである。
<引用文献等一覧>
特願2020-131589号(特許第7483542号公報)
3 先願
先願発明は、上記第2[理由]3(1)イ(ア)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、本件補正発明(上記第2[理由]3(1)ア)から、発明特定事項H、Iを削除したものである。
そうすると、本願発明と先願発明とは、相違点1、2でのみ一応相違するが、本願発明も、上記第2[理由]3(1)で示した理由と同様の理由により、先願発明と実質的に同一である。
5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第39条第1項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
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2025-007073