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特許拒絶査定不服審判

2021-015490

遊技機

審判番号
2021-015490
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-016050外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年11月11日
審決日
2022年06月14日
公報発行日
2022年08月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .161-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条の2
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条の2、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2020- 16050「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 4月23日出願公開、特開2020- 62561〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成26年8月22日(以下「遡及日」という。)に出願した特願2014-169939の一部を平成30年6月18日に新たな特許出願(特願2018-115352)とし、さらにその一部を令和2年2月3日に新たな特許出願(特願2020-16050)としたものであって、同年8月24日に手続補正書が提出され、令和3年3月15日付けで拒絶の理由が通知され、同年5月14日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年10月11日付け(送達日:同月12日)で拒絶査定がなされ、それに対して、同年11月11日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 令和3年11月11日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 本件補正について 本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲は、 (補正前:令和3年5月14日付け手続補正書でした手続補正) 「【請求項1】 遊技領域が形成された遊技盤を備え、前記遊技盤に植設された遊技釘によって前記遊技領域を流下する遊技球の流下方向が変化可能に構成された遊技機において、 前記遊技領域内に打込まれた遊技球を開口部より受入可能とされた受入口と、 左右に延びていると共に上面を遊技球が転動可能なように左右のうちの一方が低くされた案内部材を遊技釘が植設される前記遊技盤の前面よりも前方の前記遊技領域内に突出可能な突出案内手段と、 を備え、 前記受入口の前記開口部は、遊技釘が植設される前記遊技盤の前面よりも前方に設けられており、 前記突出案内手段は、前記案内部材を前記案内部材の上面を遊技球が転動可能となる位置まで前記遊技領域内に突出させることで前記案内部材の上面と前記受入口の前記開口部を連通させ、前記案内部材の上面を転動する遊技球を前記受入口へ受け入れ可能とし、 前記案内部材が前記遊技領域内に突出させていない状態においては、前記受入口へ遊技球が受け入れられないように前記案内部材の上面と前記受入口の前記開口部が連通しないようにさせているとともに、前記開口部からの遊技球の受け入れを阻止するように前記開口部の前方に受入阻止部材を位置させており、 前記受入阻止部材は、前記案内部材の上面を転動する遊技球を上面から見た場合に遊技球の転動方向と直交する方向に前記案内部材の動作に合わせて動作するようにされているとともに、前記突出案内手段により前記案内部材が前記遊技領域内に突出され前記案内部材の上面を2つの遊技球が連なって転動している状態において前記案内部材の突出が終了した場合に前記受入口へ向かう2つの遊技球の間に割り込むように動作可能とされ、 左右に延びていると共に前記案内部材の左右のうち低くなっている一端側と相対する一端側が低くなるように上面が傾斜した固定棚部を前記案内部材よりも上流側に設けることで、前記固定棚部の上面を転動した遊技球が前記案内部材の上面を転動可能にしている ことを特徴とする遊技機。」から、 (補正後:令和3年11月11日付け手続補正書でした手続補正) 「【請求項1】 遊技領域を形成しているとともに傾斜面を有するセンター役物を有した遊技盤を備え、前記遊技盤に植設された遊技釘によって前記遊技領域を流下する遊技球の流下方向が変化可能に構成された遊技機において、 前記遊技領域内に打込まれた遊技球を開口部より受入可能とされた受入口と、 左右に延びていると共に上面を遊技球が転動可能なように左右のうちの一方が低くされた案内部材を遊技釘が植設される前記遊技盤の前面よりも前方の前記遊技領域内に突出可能な突出案内手段と、 を備え、 前記受入口の前記開口部は、遊技釘が植設される前記遊技盤の前面よりも前方に設けられており、 前記突出案内手段は、前記案内部材を前記案内部材の上面を遊技球が転動可能となる位置まで前記遊技領域内に突出させることで前記案内部材の上面と前記受入口の前記開口部を連通させ、前記案内部材の上面を転動する遊技球を前記受入口へ受け入れ可能とし、 前記案内部材が前記遊技領域内に突出させていない状態においては、前記受入口へ遊技球が受け入れられないように前記案内部材の上面と前記受入口の前記開口部が連通しないようにさせているとともに、前記開口部からの遊技球の受け入れを阻止するように前記開口部の前方に受入阻止部材を位置させており、 前記受入阻止部材は、前記案内部材の上面を転動する遊技球を上面から見た場合に遊技球の転動方向と直交する方向に前記案内部材の動作に合わせて動作するようにされているとともに、前記突出案内手段により前記案内部材が前記遊技領域内に突出され前記案内部材の上面を2つの遊技球が連なって転動している状態において前記案内部材の突出が終了した場合に前記受入口へ向かう2つの遊技球の間に割り込むように動作可能とされ、 左右に延びていると共に前記案内部材の左右のうち低くなっている一端側と相対する一端側が低くなるように上面が傾斜し、前記センター役物が有する前記傾斜面を転動する遊技球と同じ方向に遊技球を転動可能な固定棚部を前記案内部材よりも上流側に設けることで、前記固定棚部の上面を転動した遊技球が前記案内部材の上面を転動可能にしている ことを特徴とする遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審が付した。)。 2 補正の適否 (1)本件補正 本件補正による特許請求の範囲の請求項1についての補正は、発明を特定するために必要な事項である「遊技領域が形成された遊技盤」について、「傾斜面を有するセンター役物を有した」という限定を加えることに付随して、「遊技盤が形成された」を、「遊技領域を形成しているとともに」と表現を改めるとともに、発明を特定するために必要な事項である「固定棚部」について、「前記センター役物が有する前記傾斜面を転動する遊技球と同じ方向に遊技球を転動可能」であるという限定を加えるものである。 (2)補正目的 上記(1)の本件補正は、補正前の発明特定事項に限定を加えるものであって、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。 (3)新規事項 本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面の【0551】、【0552】、【0722】、【図98】の記載からみて新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 3 本件補正発明の独立特許要件についての検討 上記2(2)のとおり、本件補正による特許請求の範囲の請求項1についての補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正であるから、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (1)本件補正発明 本件補正による特許請求の範囲の請求項1において、「前記案内部材が前記遊技領域内に突出させていない状態においては、」と記載されるところ、当該記載において、「前記案内部材」が主語であり、「突出させていない」が述語であるとはいいがたく、また、当該記載の直上の段落に、「前記突出案内手段は、前記案内部材を前記案内部材の上面を遊技球が転動可能となる位置まで前記遊技領域内に突出させることで・・・」と記載されていることから、当該記載は、「前記案内部材を前記遊技領域内に突出させていない状態においては、」の明らかな誤記であると認められ、本件補正発明を次のとおりのものと認定する(下線は、当審が付した。また、記号A~Dは、当審にて分説して付した。なお、上記の解釈をした箇所は、以下で分説するC2の記載である。)。 本件補正発明 「【請求項1】 A 遊技領域を形成しているとともに傾斜面を有するセンター役物を有した遊技盤を備え、前記遊技盤に植設された遊技釘によって前記遊技領域を流下する遊技球の流下方向が変化可能に構成された遊技機において、 B 前記遊技領域内に打込まれた遊技球を開口部より受入可能とされた受入口と、 C 左右に延びていると共に上面を遊技球が転動可能なように左右のうちの一方が低くされた案内部材を遊技釘が植設される前記遊技盤の前面よりも前方の前記遊技領域内に突出可能な突出案内手段と、 を備え、 B1 前記受入口の前記開口部は、遊技釘が植設される前記遊技盤の前面よりも前方に設けられており、 C1 前記突出案内手段は、前記案内部材を前記案内部材の上面を遊技球が転動可能となる位置まで前記遊技領域内に突出させることで前記案内部材の上面と前記受入口の前記開口部を連通させ、前記案内部材の上面を転動する遊技球を前記受入口へ受け入れ可能とし、 C2 前記案内部材を前記遊技領域内に突出させていない状態においては、前記受入口へ遊技球が受け入れられないように前記案内部材の上面と前記受入口の前記開口部が連通しないようにさせているとともに、前記開口部からの遊技球の受け入れを阻止するように前記開口部の前方に受入阻止部材を位置させており、 C3 前記受入阻止部材は、前記案内部材の上面を転動する遊技球を上面から見た場合に遊技球の転動方向と直交する方向に前記案内部材の動作に合わせて動作するようにされているとともに、前記突出案内手段により前記案内部材が前記遊技領域内に突出され前記案内部材の上面を2つの遊技球が連なって転動している状態において前記案内部材の突出が終了した場合に前記受入口へ向かう2つの遊技球の間に割り込むように動作可能とされ、 C4 左右に延びていると共に前記案内部材の左右のうち低くなっている一端側と相対する一端側が低くなるように上面が傾斜し、前記センター役物が有する前記傾斜面を転動する遊技球と同じ方向に遊技球を転動可能な固定棚部を前記案内部材よりも上流側に設けることで、前記固定棚部の上面を転動した遊技球が前記案内部材の上面を転動可能にしている D ことを特徴とする遊技機。」 (2)先願 原査定の拒絶の理由に先願3として引用され、本願の遡及日前の特許出願であって、本願の遡及日後に出願公開された特願2014-97401(特開2015-213589)(出願日:平成26年5月9日、出願公開日:平成27年12月3日、出願人:日本ぱちんこ部品株式会社、発明者:松原広司、足立義一)(以下「先願」という。)の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、「遊技機用可変入賞装置及びそれを備えた遊技機」に関し、次の事項が図とともに記載されている(下線は合議体が付した。以下同じ。) ア 記載事項 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、遊技機用可変入賞装置及びそれを備えた遊技機に関するものである。 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 ・・・ 【0006】 本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、遊技球を内部に誘導可能に構成された遊技機用可変入賞装置及びこれを備えた遊技機において、入賞する遊技球の数の適正化を図ることができ、且つ可変入賞装置の嵩張りを効果的に抑制し得る構成を提供することを目的とする。」 (イ)「【発明を実施するための形態】 【0020】 [第1実施形態] 以下、本発明に係る遊技機用可変入賞装置10及びそれを備えた遊技機1を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。 【0021】 (遊技機及び遊技機用可変入賞装置の概要) まず、遊技機1の概要を説明する。 図1に示す遊技機1は、いわゆるパチンコ機として構成されるものであり、木板(ベニヤ板)、アクリル板等によって構成される遊技盤2の盤面2a(前面)に沿って遊技球の発射を誘導するガイドレール5が設けられ、このガイドレール5等によって区画された形態で遊技領域が形成されている。また、遊技盤2の中央付近には、各種表示を行い得る液晶表示部3が配置され、この液晶表示部3の下方には、始動口7が配置されている。そして、液晶表示部3の下方側且つ始動口7の側方には、本発明に係る遊技機用可変入賞装置10が配置されている。また、遊技機1には、遊技盤2の前方において当該遊技盤2の盤面2aとほぼ平行に透明板(ガラス板等)が配置され、ガイドレール5等によって区画された遊技領域内において透明板と遊技盤2との間を遊技球が流下するように構成されている。なお、図1では、透明板の図示を省略している。 【0022】 本明細書において、「前後方向」とは、遊技盤2の盤面2a(前面)と直交する方向を意味し、盤面2aに対し遊技者が位置するべき側を前方側、それとは反対側(即ち、遊技機1奥側)を後方側とする。また、「上下方向」とは、前後方向と直交する方向であって遊技球が流下する方向を意味する。例えば、図1に示す遊技機1の長手方向が鉛直方向となるように盤面2aが鉛直方向と平行に配置される場合、鉛直方向が上下方向となる。また、「左右方向」とは、上記「前後方向」及び「上下方向」と直交する横方向を意味する。更に、上下方向と直交する平面方向を「水平方向」とする。即ち、「水平方向」は、前後方向及び左右方向と平行な面方向である。なお、図4、図5、図8、図9では、遊技盤2の盤面2aの位置を二点鎖線にて仮想的に示している。 【0023】 次に、遊技機用可変入賞装置10の概要を説明する。 遊技機用可変入賞装置10(以下、入賞装置10ともいう)は、図1のように、遊技機1の遊技盤2に固定されて用いられるものであり、その一部が遊技盤2の前方側から視認可能となるように遊技盤2の前方側に露出した状態で配置される。なお、以下の代表例では、入賞装置10の枠体20が遊技盤2に直接固定された構成を例示するが、入賞装置10は、遊技盤2に取り付けられていればよく、例えば、他部材を介して間接的に遊技盤2に固定されていてもよい。また、図1等に示す代表例では、遊技球を内部に入球させるように開口形態で構成される入球開口22(図2等参照:後述)が大入賞口として機能するアタッカーとしての例を示すが、遊技球が入球開口22(図2)内に入り込んで入賞し得る構成であれば電動チューリップや役物等の様々な入賞装置に適用できることは勿論である。 【0024】 この入賞装置10は、図2~図5のような外観をなしており、図6、図7の分解斜視図で示すように、主として、枠体20、球誘導体40、開閉部材50、伝達機構R、ソレノイド90などを備えている。そして、図2のように、枠体20に形成された入球開口22の上端の開口部を遊技球の導入口とし、所定条件の成立時に、入球開口22に導入された遊技球を入賞口25に導いて入賞させ(図8(B)、図9(B)参照:後述)、それ以外の時期には、入球開口22内に導入された遊技球が入球開口22内を通過して遊技領域の下方に落ちるようになっている(図8(A)、図9(A)参照:後述)。 【0025】 枠体20は、例えば図1のように、遊技機1の遊技盤2に接触する形態で直接的に固定され、このような取付時に、遊技盤2の盤面2aと直交する前後方向において少なくとも遊技盤2の前方側に、盤面2aに沿って流下する遊技球を下方側に通過させ得る入球開口22が配置されるようになっている。更に、図2、図9のように、枠体20の内部において、入球開口22の内部空間の横には、入賞口25が形成された通路部24が設けられている。なお、以下では、代表例として、正面側や上方側から見て内部空間(入球開口22によって囲まれた空間)の左側に通路部24や入賞口25が配置された例について説明するが、内部空間の右側に通路部や入賞口が形成されていてもよい。 【0026】 球誘導体40は、図8~図11のように、上方側に面する誘導面42aを備えると共に、後述するソレノイド90の駆動力を受けて前後方向に沿ってスライドするように枠体20に直接的に保持されている。この球誘導体40は、自身の少なくとも一部を遊技盤2の盤面位置よりも前方側に配置して入球開口内(入球開口22の内部)に入った遊技球を誘導面42aで受けて入賞口25側に誘導する誘導位置(図8(B)、図9(B)、図11等参照)と、その誘導位置のときよりも後方側に退避して入球開口内に入った遊技球を当該入球開口22の下方側に通過させる通過位置(図8(A)、図9(A)、図10等参照)とに変位可能となっている。なお、ここで説明する代表例では、球誘導体40が枠体20の一部に接触して直接的に保持される構成を説明するが、球誘導体40は、枠体20に対して変位可能に取り付けられる構成であればよく、枠体20に取り付けられた他部材に支持される構成で枠体20に間接的に保持されていてもよい。 ・・・ 【0029】 更に、このような基本構造に加えて、図2、図9のような開閉部材50が設けられている。本構成では、開閉部材50が、前後方向に沿ってスライドするように枠体20に直接的に保持されている。この開閉部材50は、図9(A)、図10のように、球誘導体40が通過位置に変位する際に、「自身の一部を入球開口22の内部空間に臨ませて入球開口22から入賞口25への経路に介在させて入賞口25への遊技球の入賞を阻止する阻止位置」に変位し、図9(B)、図10のように、球誘導体40が誘導位置に変位する際には、「阻止位置のときよりも後方側に退避(入球開口22の内部空間から退避)して入賞口25への遊技球の入賞を許容する許容位置」に変位する構成となっている。つまり、ソレノイド90によって球誘導体40を通過位置に戻す際には、この動きと連動して開閉部材50が阻止位置に変位し、迅速に入賞口25への経路が遮断されるため、球誘導体40を通過位置に戻す条件が成立した後に、入球開口22内の空間に存在する遊技球が入賞口25に入り込んでしまうことを確実に抑制し得る構成となっている。 以下では、このような思想を実現するための詳細について更に詳しく説明する。」 (ウ)「【0032】 このような前側部20a、固定部20b、後側部20cが一体的に結合し、図2等に示す枠体20を構成しており、この枠体20が、各種部品を保持すると共に内部に入球開口22や通路部24などを構成するようになっている。枠体20は、図2等で示すように、前側部20a及び固定部20bによって入球開口22が構成されている。 【0033】 入球開口22は、図4に示すように、上端の開口部が平面視矩形状(横方向に長い長方形状)となっている。具体的には、入球開口22の内部空間の後方側に後壁部32が配置され、内部空間の前方側に前壁部31が配置されており、上述の突出部111,112が左右の側壁部となっている。入球開口22は、これら前壁部31、後壁部32、突出部111、112により、上下に貫通する環状の開口となっている。図2、図4のように、入球開口22の上端の開口部は、左右方向に延びる前壁部31及び後壁部32の上端部付近と、突出部111、112の上端部側に形成された前後方向の縁部33、34とによって左右方向に長い長方形状の長孔として構成されており、開口領域が左右方向に広がった構成となっている。 【0034】 入球開口22の前後方向の開口幅は、遊技球の径よりも大きく、遊技球の径の2倍よりも小さい幅(より具体的には、遊技球の径の1.5倍よりも小さい幅)となっている。つまり、前後に遊技球が2つ以上重なって入り込まない位置関係となっている。具体的には、前壁部31の壁面(内面)及び後壁部32の壁面(内面)は、遊技盤2の盤面2aの方向に沿った面となっており、これらの壁面が遊技球の径よりも僅かに広い間隔で前後に対向している。また、入球開口22の左右方向の幅は、入り口の開口部の幅(即ち、縁部33と縁部34の左右の間隔)が遊技球の径の2倍以上となっており、入球開口22の上下方向全領域においても左右の間隔が遊技球の径の2倍以上となっている。つまり、入球開口22の上下方向全領域において、内部空間の左右方向の幅が遊技球の径の2倍以上(図上遊技球4個分)となっており、ゆえに、複数の遊技球が左右に重なって同時に入球開口22の内部に入り込むことが可能となっている。 【0035】 本構成では、図9(B)のように、球誘導体40が誘導位置に保持されたときに、上述の入球開口22と球誘導体40によって遊技球を入賞口25へと導く遊技球誘導路が構成されるようになっている。球誘導体40は、図9(B)、図11のように配置されたときに、上述の遊技球誘導路の底部となり、誘導板42の左右方向一端部側(入賞口25側)が左右方向他端部(入賞口25とは反対側)よりも低位置になるように左下がりの傾斜となる。従って、誘導位置のときには、入球開口22に入り込んだ遊技球が誘導板42上を転がり、入賞口25側(即ち、上方から見て左側)に導かれることになる。 【0036】 図9に示すように、枠体20の内部において、入球開口22の左右方向一方側には、通路部24が形成されている。この通路部24は、図9(B)のように、球誘導体40が誘導位置に位置しているときに、この球誘導体40の左右方向一端側(具体的には、上方から見て左側)に続くように形成されており、球誘導体40から左右方向一端側に流れた遊技球を導入して所定の排出口24dに導く流路として機能する。この通路部24は、球誘導体40側の端部(図9(A)で示すように、開閉部材50に隣接する部分)が入賞口25として機能しており、この入賞口25が、球誘導体40から流れてきた遊技球を受け入れる開口として機能している。入賞口25は、遊技球を1球ずつ通す大きさで構成され、遊技球が2球以上同時に入り込まない開口サイズとなっている。従って、球誘導体40側から流れ込む遊技球は1球ずつ入賞口25を通ることになる。 【0037】 図7、図9(B)等で示すように、通路部24には、誘導位置のときの球誘導体40に隣接する構成で、球誘導体40から流れる遊技球を受けて球誘導体40とは反対の下流側に導く底部120が形成されている。この底部120は、一部が入賞口25として機能する部分であり、前壁部31を基端部とする形で前壁部31に連結され、先端部が後壁部32に近接又は当接する底板として構成されている。この底部120の左右方向一端部120aは、図9 (B) のように誘導位置にある誘導板42の端部(左右方向の端部)と近接(具体的には、遊技球の径の1/2よりも小さい隙間をあけて近接)するようになっている。また、底部120の左右方向他端部120bは、検知スイッチ98の通過孔98aに近接して配置されており、例えば、左右方向一端部120aの方が左右方向他端部120bよりも高くなるように傾斜している。なお、左右方向一端部120aの高さは、誘導位置のある誘導板42の左右方向一方端(底部120側の端部)と同程度の高さとなっており、誘導位置にある誘導板42の板面42aと底部120の上面とがほぼ段差なく連続的に続くようになっている。 【0038】 そして、開閉部材50は、図9(A)のように、阻止位置において底部120に臨むように(具体的には上下に対向するように)当該底部120の上位置で進退する構成となっている。この構成では、底部120が開閉部材50の左右に跨るようになっており、底部120の左右方向一端部120a(図7、図9(B)等)が阻止位置にある開閉部材50よりも右側に配置され、底部120の左右方向他端部120b(図7、図9(B)等)が阻止位置にある開閉部材50よりも左側に配置されるようになっており、これら左右方向一端部120aから左右方向他端部120bに続くように流路底面となる平滑面(底部120の外面)が配置されるようになっている。」 (エ)「【0042】 図9に示すように、入賞口25の開口近傍に通過孔98aが位置するように検知スイッチ98が配置されている。この検知スイッチ98は、前側部20aに形成された取付凹部161(図7等参照)と、固定部20bに形成された取付凹部162(図6等参照)との間に挟み込まれて取り付けられ、上述した底部120に隣接した構成となっている。この通過孔98aは、入賞口25と共に通路部24の一部として機能しており、具体的には、通過孔98aの一部が、上述の底部120に連続する流路底面として機能している。このように構成されているため、入賞口25を通る遊技球は、その直後に通過孔98aを通ることになり、検知スイッチ98によって検知される。また、通過孔98aの下流側(入賞口25とは反対側)には、左右方向に流れる遊技球を後方側に導く転換部24bが続き、この転換部24bの後方側には、固定部20bに形成された流路24cと、後側部20cに形成された排出口24dとが続いている。このように入賞口25から排出口24dまで、遊技球を1球ずつ通す流路が構成されているため入賞口25に1球ずつ入り込んだ遊技球は、1球ずつ検知スイッチ98で検知され、1球ずつ排出口24dから排出されることになる。 【0043】 次に、球誘導体40、開閉部材50、伝達機構R、ソレノイド90について詳述する。 球誘導体40は、遊技盤2の盤面2a(盤面)の前方側に形成された入球開口22の下端側を開閉するように機能するものであり、自身の一部を盤面2aの位置よりも前方側に突出した誘導位置(図8(B)、図9(B)、図11等)と、この誘導位置のときよりも後方側に退避して入球開口22を開放する通過位置(図8(A)、図9(A)、図10等)とに変位し得るように、前後にスライド動作するように構成されている。 【0044】 球誘導体40は、図10、図11等に示すように、板状に構成された誘導板42を備えている。この誘導板42は、一方の板面(上面)が上方側に向き、他方の板面(下面)が下方側に向くように配置され、矩形状に構成された上面が遊技球を案内する誘導面42aとして機能する。この球誘導体40は、誘導位置のときでも、通過位置のときでも、水平方向に対して所定角度(図上5度)で傾斜した姿勢(誘導面42aが上側を向いた状態で、左右方向一端側(入賞口25側)が下位置、他端側が上位置になるように僅かに傾いた姿勢)で保たれるように保持される。・・・」 (オ)【図1】 「 [図:0001387299000001.jpg] 」 (カ)【図2】 「 [図:0001387299000002.jpg] 」 (キ)【図9】 「 [図:0001387299000003.jpg] 」 イ 認定事項 まず、先願明細書等の【0022】に、「本明細書において、「前後方向」とは、遊技盤2の盤面2a(前面)と直交する方向を意味し、盤面2aに対し遊技者が位置するべき側を前方側、それとは反対側(即ち、遊技機1奥側)を後方側とする。また、「上下方向」とは、前後方向と直交する方向であって遊技球が流下する方向を意味する。例えば、図1に示す遊技機1の長手方向が鉛直方向となるように盤面2aが鉛直方向と平行に配置される場合、鉛直方向が上下方向となる。また、「左右方向」とは、上記「前後方向」及び「上下方向」と直交する横方向を意味する。更に、上下方向と直交する平面方向を「水平方向」とする。即ち、「水平方向」は、前後方向及び左右方向と平行な面方向である。なお、図4、図5、図8、図9では、遊技盤2の盤面2aの位置を二点鎖線にて仮想的に示している。」と記載されていることを踏まえ、先願発明について、前後方向、上下方向、左右方向等の位置関係を特定する際には、上記【0022】に記載の例にならって認定を行う。 (ア)認定事項1 先願明細書等の図1の記載から、略長方形状の液晶表示部3は、液晶表示部3の上下方向及び左右方向を囲む部材を備えることが看取され、先願明細書等の【0021】に、「・・・また、遊技盤2の中央付近には、各種表示を行い得る液晶表示部3が配置され、この液晶表示部3の下方には、始動口7が配置されている。・・・また、遊技機1には、遊技盤2の前方において当該遊技盤2の盤面2aとほぼ平行に透明板(ガラス板等)が配置され、ガイドレール5等によって区画された遊技領域内において透明板と遊技盤2との間を遊技球が流下するように構成されている。・・・」と記載されているので、先願明細書等に記載の「遊技機1」は、パチンコ遊技機であって、パチンコ遊技機の分野の技術常識を考慮すると、液晶表示部3の上下方向及び左右方向を囲む部材は、いわゆるセンター役物であって、センター役物が遊技盤面より前方に突出していることは技術常識である。その技術常識を前提として、先願明細書等の図1の記載から、さらに、当該液晶表示部3の上下方向及び左右方向を囲む部材のうち、液晶表示部3の上方に位置する部位の略中央上方には前面視で二重丸の形状の装飾が設けられるとともに、当該装飾の上面から右下がりに傾斜する部位と左下がりに傾斜する部位とがそれぞれ連続して設けられていることが看取される。 そうすると、先願明細書等には、液晶表示部3の上下方向及び左右方向を囲むとともに遊技盤面より前方に突出するセンター役物を備え、当該液晶表示部3を囲むセンター役物のうち、液晶表示部3の上方に位置する部位の略中央上方には前面視で二重丸の形状の装飾が設けられるとともに、当該装飾の上面から右下がりに傾斜する部位と左下がりに傾斜する部位とがそれぞれ連続して設けられていることが記載されていると認められる(認定事項1)。 (イ)認定事項2 先願明細書等の遊技機用可変入賞装置を伝達部材の位置で水平方向に切断した下方側の切断面を概略的に示す断面図である図9のうち、球誘導体が通過位置にあるときの断面図である図9(A)及び球誘導体が誘導位置にあるときの断面図である図9(B)のいずれの記載からも、入賞口25が球誘導体40の左方向に位置していることが看取される。 そうすると、入賞口25が球誘導体40の左方向に位置しているという実施例を前提とすると、先願明細書等の【0035】における「誘導板42の左右方向一端部側(入賞口25側)が左右方向他端部(入賞口25とは反対側)よりも低位置になるように左下がりの傾斜となる」という記載は、「誘導板42の左端部側(入賞口25側)が右端部(入賞口25とは反対側)よりも低位置になるように左下がりの傾斜となる」ことを表していると認められる。 以上より、先願明細書等には、「誘導板42の左端部側(入賞口25側)が右端部(入賞口25とは反対側)よりも低位置になるように左下がりの傾斜となる」ことが記載されていると認められる(認定事項2)。 (ウ)認定事項3 先願明細書等の図2の記載から、突出部112が入球開口22の左方向に位置すること、及び、突出部112の上面は、左右方向の中央部より右側となる位置で高く尖るとともに左右方向に向けてそれぞれ斜め下方に傾斜する山型をなし、突出部112の右端である縁部34に連なる当該山型の上面の右側部分が入球開口22に向けて右下がりに傾斜していることが看取される。 そうすると、先願明細書等には、入球開口22の左方向に位置する突出部112の上面は、左右方向の中央部より右側となる位置で高く尖るとともに左右方向に向けてそれぞれ斜め下方に傾斜する山型をなし、突出部112の右端である縁部34に連なる当該山型の上面の右側部分が入球開口22に向けて右下がりに傾斜していることが記載されていると認められる(認定事項3)。 ウ 先願発明 上記アの記載事項及び上記イの認定事項を総合すると、先願明細書等には、以下の発明(以下「先願発明」という。)が記載されている(符号a~dは、本件補正発明の分説A~Dにおおむね対応させて、当審が付した。)。 先願発明 「a 遊技盤2の盤面2aに沿って遊技球の発射を誘導するガイドレール5が設けられ、遊技盤2の前方において当該遊技盤2の盤面2aとほぼ平行に透明板が配置され、ガイドレール5等によって区画された遊技領域内において透明板と遊技盤2との間を遊技球が流下するように構成されているとともに、遊技盤2の中央付近には、各種表示を行い得る液晶表示部3が配置され(【0021】)、液晶表示部3の上下方向及び左右方向を囲むとともに遊技盤面より前方に突出するセンター役物を備え、当該液晶表示部3を囲むセンター役物のうち、液晶表示部3の上方に位置する部位の略中央上方には前面視で二重丸の形状の装飾が設けられるとともに、当該装飾の上面から右下がりに傾斜する部位と左下がりに傾斜する部位とがそれぞれ連続して設けられ(図1、認定事項1)、この液晶表示部3の下方には、始動口7が配置され、液晶表示部3の下方側且つ始動口7の側方には、遊技機用可変入賞装置10が配置されているパチンコ機として構成される遊技機1において(【0021】)、 b、b1 遊技機用可変入賞装置10は、遊技盤2に固定されて用いられ、その一部が遊技盤2の前方側から視認可能となるように遊技盤2の前方側に露出した状態で配置され(【0023】)、枠体20に形成された入球開口22の上端の開口部を遊技球の導入口とし、所定条件の成立時に、入球開口22に導入された遊技球を入賞口25に導いて入賞させ、それ以外の時期には、入球開口22内に導入された遊技球が入球開口22内を通過して遊技領域の下方に落ちるようになっていて(【0024】)、正面側や上方側から見て入球開口22によって囲まれた空間の左側に通路部24や入賞口25が配置され、遊技盤2の盤面2aと直交する前後方向において少なくとも遊技盤2の前方側に、盤面2aに沿って流下する遊技球を下方側に通過させ得る入球開口22が配置され、枠体20の内部において、入球開口22の内部空間の横には、入賞口25が形成された通路部24が設けられ(【0025】)、入賞口25の開口近傍に通過孔98aが位置するように検知スイッチ98が配置され、この通過孔98aは、入賞口25と共に通路部24の一部として機能し、入賞口25を通る遊技球は、その直後に通過孔98aを通ることになり、検知スイッチ98によって検知され(【0042】)、入賞口25は、遊技球を1球ずつ通す大きさで構成され、遊技球が2球以上同時に入り込まない開口サイズとなっていて(【0036】)、 c、c1 球誘導体40は、上面が遊技球を案内する誘導面42aとして機能する板状に構成された誘導板42を備え(【0044】)、球誘導体40は、ソレノイド90の駆動力を受けて前後方向に沿ってスライドするように枠体20に直接的に保持され、球誘導体40は、自身の少なくとも一部を遊技盤2の盤面位置よりも前方側に配置して入球開口22の内部に入った遊技球を誘導面42aで受けて入賞口25側に誘導する誘導位置と、その誘導位置のときよりも後方側に退避して入球開口内に入った遊技球を当該入球開口22の下方側に通過させる通過位置とに変位可能となっていて(【0026】)、誘導板42の左端部側(入賞口25側)が右端部(入賞口25とは反対側)よりも低位置になるように左下がりの傾斜となり(認定事項2)、 c2、c3 さらに、開閉部材50が、前後方向に沿ってスライドするように枠体20に直接的に保持され、開閉部材50は、球誘導体40が通過位置に変位する際に、自身の一部を入球開口22の内部空間に臨ませて入球開口22から入賞口25への経路に介在させて入賞口25への遊技球の入賞を阻止する阻止位置に変位し、球誘導体40が誘導位置に変位する際には、阻止位置のときよりも後方側に退避(入球開口22の内部空間から退避)して入賞口25への遊技球の入賞を許容する許容位置に変位する構成、つまり、ソレノイド90によって球誘導体40を通過位置に戻す際には、この動きと連動して開閉部材50が阻止位置に変位し、迅速に入賞口25への経路が遮断されるため、球誘導体40を通過位置に戻す条件が成立した後に、入球開口22内の空間に存在する遊技球が入賞口25に入り込んでしまうことを確実に抑制し得る構成となっていて(【0029】)、 通路部24は、球誘導体40が誘導位置に位置しているときに、この球誘導体40の上方から見て左側に続くように形成されており、開閉部材50に隣接する部分が入賞口25として機能しており(【0036】)、通路部24には、誘導位置のときの球誘導体40に隣接する構成で、球誘導体40から流れる遊技球を受けて球誘導体40とは反対の下流側に導く底部120が形成され、この底部120は、一部が入賞口25として機能する部分であり(【0037】)、開閉部材50は、阻止位置において底部120に臨むように当該底部120の上位置で進退する構成となっていて(【0038】)、 c4 入球開口22は、上端の開口部が平面視矩形状となっていて、具体的には、入球開口22の内部空間の後方側に後壁部32が配置され、内部空間の前方側に前壁部31が配置されており、突出部111,112が左右の側壁部となり、これら前壁部31、後壁部32、突出部111、112により、上下に貫通する環状の開口となっていて、入球開口22の上端の開口部は、左右方向に延びる前壁部31及び後壁部32の上端部付近と、突出部111、112の上端部側に形成された前後方向の縁部33、34とによって左右方向に長い長方形状の長孔として構成されており、開口領域が左右方向に広がった構成となり(【0033】)、 また、入球開口22の左右方向の幅は、入り口の開口部の幅、即ち、縁部33と縁部34の左右の間隔が遊技球の径の2倍以上となっており、複数の遊技球が左右に重なって同時に入球開口22の内部に入り込むことが可能となっていて(【0034】)、入球開口22の左方向に位置する突出部112の上面は、左右方向の中央部より右側となる位置で高く尖るとともに左右方向に向けてそれぞれ斜め下方に傾斜する山型をなし、突出部112の右端である縁部34に連なる当該山型の上面の右側部分が入球開口22に向けて右下がりに傾斜している(認定事項3)、 d 遊技機1(【0021】)。」 (3)周知技術 ア 周知技術1 (ア)周知例1 本願の遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2009-285313号公報(以下「周知例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ・「【0019】 <遊技盤4の構成> 図2において、パチンコ遊技機の遊技盤4は、遊技状態において遊技球が流下する領域が、遊技領域4aとされており、この遊技領域4a内に、遊技球の流下方向を変更させる遊技釘5が多数設けられている。」 ・これより、周知例1には、パチンコ遊技機の遊技盤4の遊技領域4a内に遊技球の流下方向を変更させる遊技釘5が多数設けられている技術が記載されている。 (イ)周知例2 本願の遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2009-268697号公報(以下「周知例2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ・「【0033】 以下、図面を参照して、遊技機設置営業店等の場所に設置され、遊技媒体(例えば、遊技球やメダル等)の供給に基づいて遊技者に遊技を行わせる遊技機(例えば、弾球遊技機としてのパチンコ遊技機)の構成及び動作について説明する。」 ・「【0063】 ・・・ また、遊技盤1の前面には、遊技球の流下方向を規制するととも流下方向を転換する遊技釘16(一部だけ図示)や風車(図示略)等の流下規制転換部材が設けられている。」 ・これより、周知例2には、パチンコ遊技機の遊技盤1の前面には、遊技球の流下方向を規制するととも流下方向を転換する遊技釘16等の流下規制転換部材が設けられている技術が記載されている。 (ウ)周知技術1 上記(ア)、(イ)より、パチンコ遊技機の分野において、遊技盤に遊技釘が植設されるとともに、遊技盤に植設された遊技釘によって遊技領域を流下する遊技球の流下方向が変化可能である技術は従来周知の技術(以下「周知技術1」という。)であると認められる。 イ 周知技術2 (ア)周知例3 本願の遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2013-66604号公報(以下「周知例3」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ・「【0014】 以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(遊技機)1は、・・・」 ・「【0059】 大当り遊技状態では、所定期間(例えば29秒間)あるいは所定個数(例えば9個)の遊技球が大入賞口から特別可変入賞装置7の内部へと進入して入賞球が発生するまでの期間にて、大入賞口を継続して開放状態とするラウンド遊技が実行される。この実施の形態では、ラウンド遊技の実行期間以外では、大入賞口が閉鎖状態となり、特別可変入賞装置7の内部に遊技球が進入不可能または進入困難な第2状態となる。」 ・これより、周知例3には、パチンコ遊技機1において、大当り遊技状態では、所定期間(例えば29秒間)あるいは所定個数(例えば9個)の遊技球が大入賞口から特別可変入賞装置7の内部へと進入して入賞球が発生するまでの期間にて、大入賞口を継続して開放状態とするラウンド遊技が実行され、ラウンド遊技の実行期間以外では、大入賞口が閉鎖状態となり、特別可変入賞装置7の内部に遊技球が進入不可能となる技術が記載されている。 (イ)周知例4 本願の遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2012-161532号公報(以下「周知例4」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ・「【課題を解決するための手段】 【0007】 本態様に係るぱちんこ遊技機は、 可変入賞口(例えば、大入賞口2120)が閉鎖している閉状態から、入賞個数が所定個数に到達するまで又は所定時間に到達するまでは、可変入賞口(例えば、大入賞口2120)が開放し続けるか開閉を繰り返す単位遊技を一回又は複数回行う特別遊技を実行可能な特別遊技制御手段(例えば、特別遊技制御手段1170)と、 ・・・を備え、」 ・これより、周知例4には、ぱちんこ遊技機において、可変入賞口(例えば、大入賞口2120)が閉鎖している閉状態から、入賞個数が所定個数に到達するまで又は所定時間に到達するまでは、可変入賞口(例えば、大入賞口2120)が開放し続けるか開閉を繰り返す単位遊技を一回又は複数回行う特別遊技を実行可能である技術が記載されている。 (ウ)周知例5 本願の遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2008-272066号公報(以下「周知例5」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ・「【0029】 ここで、本実施の形態のパチンコ機1における遊技及び演出について説明する。パチンコ機1では、遊技球が普通図柄始動ゲート12を通過すると、普通当たり判定が行われる。本実施の形態では、普通当たり判定において「当たり」と判定される確率が5/719である普通当たり低確率状態(非時短遊技状態)、及び718/719である普通当たり高確率状態(時短遊技状態)を生起させることができる。この普通当たり判定の判定結果が「当たり」であれば、パチンコ機1が普通当たり状態となり、普通電動役物13が開放されて、普通電動役物13への遊技球の入賞が可能な状態となる。この普通電動役物13は、所定時間(C秒)が経過するか、遊技球が8個入賞するかのどちらかの条件が満たされると閉鎖される。」 ・これより、周知例5には、パチンコ機1が普通当たり状態となり、普通電動役物13が開放されて、普通電動役物13への遊技球の入賞が可能な状態となり、この普通電動役物13は、所定時間(C秒)が経過するか、遊技球が8個入賞するかのどちらかの条件が満たされると閉鎖される技術が記載されている。 (エ)周知例6 本願の遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2010-234017号公報(以下「周知例6」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ・「【0025】 ここで、各構成要素について説明する前に、当該タイプの遊技機(従来機)における一般的な特徴(処理概要等)及び本最良形態に係る遊技機の特徴(概要)について説明する。 【0026】 まず、当該タイプの遊技機(従来機)における一般的な特徴について説明する。当該タイプの遊技機は、遊技球が普通図柄始動口(普通図柄始動ゲート)を通過すると普通図柄当たり判定が行われる。ここで、当該普通図柄当たり判定は、例えば、普通図柄通常遊技状態時は「1/100」~「1/200」で当たりと判定され、普通図柄確率変動遊技状態時は「1/1.001」で当たりと判定される。次に、この普通図柄当たり判定の結果が当たりである場合、普通図柄当たり状態となり、普通電動役物(特別図柄始動口に遊技球が入球不能な閉鎖状態と遊技球が入球可能な開放状態に可変可能な部材)が開放し、当該普通電動役物(特別図柄始動口)に遊技球が入球可能な状態となる。尚、普通電動役物は、当該普通電動役物の開放から所定時間(例えば6秒)が経過した場合や特別図柄始動口に遊技球が所定個数(例えば5球)入球した場合に閉鎖する。」 ・これより、周知例6には、遊技機(従来機)における一般的な特徴として、普通図柄当たり状態となり、普通電動役物(特別図柄始動口に遊技球が入球不能な閉鎖状態と遊技球が入球可能な開放状態に可変可能な部材)が開放し、当該普通電動役物(特別図柄始動口)に遊技球が入球可能な状態となり、当該普通電動役物の開放から所定時間(例えば6秒)が経過した場合や特別図柄始動口に遊技球が所定個数(例えば5球)入球した場合に閉鎖する技術が記載されている。 (オ)周知技術2 上記(ア)~(エ)より、パチンコ遊技機の分野において、入賞装置の入賞口が大入賞口であっても、始動口であっても、所定の条件が成立すると、所定時間が経過するか又は入賞口に導かれて入賞する遊技球が所定個数になるまで入賞が許容される一方、所定時間が経過するか又は入賞した遊技球が所定個数に達するという条件が成立すると、入賞が許容されなくなることは通常のことであると認められる(以下「周知技術2」という。)。 ウ 周知技術3 (ア)周知例7 原査定の拒絶の理由に周知技術の例として引用され、本願遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2008-264322号公報(以下「周知例7」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ・「【0269】 本例のパチンコ機1では、一般入賞口1436、第一始動口1431、第二始動口1433、及び大入賞口1435に遊技球が入賞すると、入賞した入賞口に応じて、所定数の遊技球が払出されるようになっている。例えば、遊技球が一般入賞口1436に入賞すると、10個の遊技球が、第一始動口1431に入賞すると3個の遊技球が、第二始動口1433に入賞すると4個の遊技球が、そして、大入賞口1435に入賞すると13個の遊技球が夫々払出される。」 ・「【0299】 このセンター役物1400の上縁部には、左右方向中央からやや右よりの位置に、「MAGMA ZONE」、「FREEZE ZONE」の文字が円形状に施された演出用装飾体1408が配置されている。この演出用装飾体1408の上面には、右側が低くなった誘導棚1409が備えられており、演出用装飾体1408の上側に打ち込まれた遊技球が、誘導棚1409に誘導されて、センター役物1400の右側外周へと誘導されるようになっている。・・・」 ・これより、周知例7には、パチンコ機1のセンター役物1400の上縁部には、左右方向中央からやや右よりの位置に、演出用装飾体1408が配置され、演出用装飾体1408の上面には、右側が低くなった誘導棚1409が備えられており、演出用装飾体1408の上側に打ち込まれた遊技球が、誘導棚1409に誘導されて、センター役物1400の右側外周へと誘導される技術が記載されている。 (イ)周知例8 本願の遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2012-161380号公報(以下「周知例8」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ・「【0197】 図示するように、本実施形態のパチンコ機1における遊技盤4は、・・・」 ・「【0241】 このセンター役物1400の前面環状部1400aは、図示するように、ステージ1406の前面側を除く左右辺及び上辺が、遊技パネル599の前面から所定量(例えば、15mm~25mmの範囲内)前方へ突出した堰状に形成され、前面環状部1400aを越えて遊技球がセンター役物1400の外周側から内周側へ移動しないようになっている。・・・ 【0242】 また、前面環状部1400aには、その外周で上面側に、遊技領域605内を上方から流下してきた遊技球を左右方向外方へ導く誘導棚1408が備えられている。この誘導棚1408は、センター役物1400の左右方向中央から遠ざかるのに従って低くなるような傾斜面とされており、センター役物1400の上方から流下してきた遊技球をセンター役物1400の左右側面側へ誘導できるようになっている。」 ・これより、周知例8には、パチンコ機1のセンター役物1400の前面環状部1400aには、その外周で上面側に、遊技領域605内を上方から流下してきた遊技球を左右方向外方へ導く誘導棚1408が備えられ、この誘導棚1408は、センター役物1400の左右方向中央から遠ざかるのに従って低くなるような傾斜面とされており、センター役物1400の上方から流下してきた遊技球をセンター役物1400の左右側面側へ誘導できるようになっている技術が記載されている。 (ウ)周知例9 本願の遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2010-12320号公報(以下「周知例9」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ・「【0045】 図1には、本実施の形態に係るパチンコ機10が示されている。パチンコ機10は外枠12を備え、外枠12の前面には、窓部を有する額縁状の内枠14の一側部(図1の左辺部)が開閉可能に取付けられている。」 ・「【0058】 センター役物42は、前記表示部43の表示面を露出させるための矩形の開口部200を中央として矩形のフランジ部204が形成された本体207を備えている。 【0059】 フランジ部204における前記開口部200の周縁からは、その上端縁(表示部43の上方)に天板部209設けられている。天板部209は上端面が左右対称の曲線で連続する略三角形状の案内面とされ、案内面は、前記天板部209の上方から落下してくるパチンコ球を受け、センター役物42の左右に振り分ける機能を有している。」 ・これより、周知例9には、パチンコ機10において、センター役物42は、表示部43の表示面を露出させるための矩形の開口部200を中央として矩形のフランジ部204が形成された本体207を備え、フランジ部204における前記開口部200の周縁からは、その上端縁に天板部209が設けられ、天板部209は上端面が左右対称の曲線で連続する略三角形状の案内面とされ、案内面は、前記天板部209の上方から落下してくるパチンコ球を受け、センター役物42の左右に振り分ける機能を有している技術が記載されている。 (エ)周知技術3 上記(ア)~(ウ)より、パチンコ遊技機の分野において、センター役物が、その上面に傾斜面を有するとともに、傾斜面を転動する遊技球があることは従来周知の技術(以下「周知技術3」という。)である。 (4)対比 ア 構成A、Dについて (ア)先願発明の「遊技領域」、「液晶表示部3の上下方向及び左右方向を囲むとともに遊技盤面より前方に突出するセンター役物」、「遊技盤2」、「遊技機1」はそれぞれ、本件補正発明の「遊技領域」、「センター役物」、「遊技盤」、「遊技機」に相当する。 また、先願発明の「遊技領域」は、「遊技盤2の前方において当該遊技盤2の盤面2aとほぼ平行に透明板が配置され、ガイドレール5等によって区画され」ているものであるから、先願発明の「遊技盤2」は、本件補正発明の「遊技領域を形成している」「遊技盤」に相当する。 (イ)先願発明の「当該液晶表示部3を囲むセンター役物のうち、液晶表示部3の上方に位置する部位」に「設けられ」ている「二重丸の形状の装飾」「の上面から右下がりに傾斜する部位」は、傾斜しているという点で、本件補正発明の「センター役物」が「傾斜面を有する」ことと共通する。 また、先願発明において、「遊技領域内において透明板と遊技盤2との間を」「流下する」「遊技球」は、本件補正発明の「遊技領域を流下する遊技球」に相当する。 そして、先願発明の「遊技機1」が、「パチンコ機として構成される」ことから、上記(3)ア(ウ)に周知技術1として示したとおり、パチンコ遊技機の分野において、遊技盤に植設された遊技釘によって遊技領域を流下する遊技球の流下方向が変化可能であることは、遊技盤を備えたパチンコ遊技機が通常有する構成であり、技術常識であることを考慮すると、「遊技領域内において透明板と遊技盤2との間を遊技球が流下するように構成されている」先願発明は、本件補正発明の「前記遊技盤に植設された遊技釘によって前記遊技領域を流下する遊技球の流下方向が変化可能に構成された」ことに相当する構成を備えることは明らかである。 (ウ)そうすると、先願発明の構成aと本件補正発明の構成Aとは、「遊技領域を形成しているとともに傾斜」している部位「を有するセンター役物を有した遊技盤を備え、」「前記遊技領域を流下する遊技球の流下方向が変化可能に構成された遊技機」である点で共通する。 (エ)また、先願発明の構成dは、本件補正発明の構成Dに相当する。 イ 構成B、B1について (ア)構成Bについて 上記アより、先願発明の「遊技領域」、「遊技球」がそれぞれ、本件補正発明の「遊技領域」、「遊技球」に相当し、さらに、先願発明の構成aにおいて、「ガイドレール5」により「誘導」された後、同構成b、b1の「盤面2aに沿って流下する遊技球」は、本件補正発明の「打込まれた遊技球」に相当する。 また、先願発明の「入賞口25」は、本件補正発明の「受入口」に相当する。 そして、先願発明では、「入賞口25の開口近傍に通過孔98aが位置するように検知スイッチ98が配置され、この通過孔98aは、入賞口25と共に通路部24の一部として機能」することから、「入賞口25を通る遊技球は、その直後に通過孔98aを通ること」は、すなわち、「遊技球」は、「入賞口25の開口」を通り、「その直後に」、「入賞口25の開口近傍に」「位置する」「通過孔98a」を通ることを表している。してみれば、先願発明の「入賞口25の開口」は、本件補正発明の「開口部」に相当する。 よって、先願発明の構成b、b1は、本件補正発明の構成Bに相当する構成を備えている。 (イ)構成B1について 上記(ア)より、先願発明の「入賞口25の開口」が、本件補正発明の「開口部」に相当する。 そして、先願発明において、「入球空間22」は、「遊技盤2の前方側に」「配置され」るとともに、「通路部24や入賞口25」は、「正面側や上方側から見て入球開口22によって囲まれた空間の左側に」「配置され」ていることから、「入賞口25の開口」もまた、「遊技盤2の前方側に」配置されていることは明らかである。 以上に加え、上記ア(イ)の検討と同様に、パチンコ遊技機の分野において、遊技盤に植設された遊技釘によって遊技領域を流下する遊技球の流下方向が変化可能であることは、遊技盤を備えたパチンコ遊技機が通常有する構成であり、技術常識であることを考慮すると、先願発明の構成b、b1は、本件補正発明の構成B1に相当する構成を備えることは明らかである。 ウ 構成C、C1について (ア)構成Cについて 先願発明の「誘導板42」の「上面が遊技球を案内する誘導面42aとして機能する」ことは、本件補正発明の「上面を遊技球が転動可能」であることに相当し、先願発明の「誘導板42の左端部側(入賞口25側)が右端部(入賞口25とは反対側)よりも低位置になるように左下がりの傾斜とな」ることは、本件補正発明の「左右に延びている」こと、及び、「左右のうちの一方が低くされた」ことに相当し、先願発明の「誘導板42」は、本件補正発明の「案内部材」に相当する。 また、先願発明において、「球誘導体40」が、「自身の少なくとも一部を遊技盤2の盤面位置よりも前方側に配置して入球開口22の内部に入った遊技球を誘導面42aで受けて入賞口25側に誘導する誘導位置」にあることは、「遊技盤の前面よりも前方の前記遊技領域内に突出可能」であることに相当し、先願発明の「球誘導体40」は、本件補正発明の「突出案内手段」に相当する。 以上に加え、上記ア(イ)の検討と同様に、パチンコ遊技機の分野において、遊技盤に植設された遊技釘によって遊技領域を流下する遊技球の流下方向が変化可能であることは、遊技盤を備えたパチンコ遊技機が通常有する構成であり、技術常識であることを考慮すると、先願発明の構成c、c1は、本件補正発明の構成Cに相当する構成を備えることは明らかである。 (イ)構成C1について 上記(ア)より、先願発明の「球誘導体40」、「誘導板42」の「上面が遊技球を案内する誘導面42aとして機能する」こと、「誘導板42」が、それぞれ、本件補正発明の「突出案内手段」、「上面を遊技球が転動可能」であること、「案内部材」に相当することを踏まえると、先願発明において、「球誘導体40」を、「誘導位置のときよりも後方側に退避して入球開口内に入った遊技球を当該入球開口22の下方側に通過させる通過位置」から、「自身の少なくとも一部を遊技盤2の盤面位置よりも前方側に配置して入球開口22の内部に入った遊技球を誘導面42aで受けて入賞口25側に誘導する誘導位置」へと変位させることは、本件補正発明の「前記案内部材を前記案内部材の上面を遊技球が転動可能となる位置まで前記遊技領域内に突出させることで前記案内部材の上面と前記受入口の前記開口部を連通させ」ることに相当する。 そして、先願発明の「誘導位置」で、「入球開口22の内部に入った遊技球を誘導面42aで受けて入賞口25側に誘導する」ことは、上記イ(ア)において、先願発明の「入賞口25」が、本件補正発明の「受入口」に相当することは検討済みであるから、本件補正発明の「前記案内部材の上面を転動する遊技球を前記受入口へ受け入れ可能と」することに相当する。 よって、先願発明の構成c、c1は、本件補正発明の構成C1に相当する構成を備えている。 エ 構成C2について (ア)先願発明の構成c2、c3において、「球誘導体40が通過位置に変位する」ことは、同構成c、c1より、「球誘導体40」を、「自身の少なくとも一部を遊技盤2の盤面位置よりも前方側に配置して入球開口22の内部に入った遊技球を誘導面42aで受けて入賞口25側に誘導する誘導位置」から、「誘導位置のときよりも後方側に退避して入球開口内に入った遊技球を当該入球開口22の下方側に通過させる通過位置」へと変位させることを表しているので、先願発明の「球誘導体40が通過位置に変位する際に」は、本件補正発明の「前記案内部材を前記遊技領域内に突出させていない状態においては」に相当することは明らかである。また、先願発明の「球誘導体40が通過位置」に変位した状態、すなわち、「球誘導体40」が、「誘導位置のときよりも後方側に退避して入球開口内に入った遊技球を当該入球開口22の下方側に通過させる通過位置」にある状態は、本件補正発明の「前記案内部材の上面と前記受入口の前記開口部が連通しないようにさせている」状態に相当する。 (イ)上記イ(ア)において、先願発明の「入賞口25」、「入賞口25の開口」が、それぞれ、本件補正発明の「受入口」、「開口部」に相当することは検討済みであり、加えて、先願発明の「開閉部材50」は、本件補正発明の「受入阻止部材」に相当する。 (ウ)そして、先願発明において、「入賞口25への遊技球の入賞を許容する許容位置に変位」しているときには、「阻止位置のときよりも後方側に退避(入球開口22の内部空間から退避)して」いる「開閉部材50」は、「前後方向に沿ってスライドする」ものであって、「阻止位置において底部120に臨むように当該底部120の上位置で進退する構成となってい」るから、「開閉部材50」は、「自身の一部を入球開口22の内部空間に臨ませて入球開口22から入賞口25への経路に介在させて入賞口25への遊技球の入賞を阻止する阻止位置に変位し」ているときは、入球開口22の内部空間の前方に位置しているということができる。 そして、先願発明の「通路部24」の「開閉部材50に隣接する部分が入賞口25として機能して」いることを考慮すると、「開閉部材50」が配置されている箇所が、「入賞口25の開口」(本件補正発明の「開口部」に相当。)に「隣接する部分」であるから、先願発明において、「入賞口25の開口」に「隣接する部分」で、「開閉部材50」が、「入賞口25への遊技球の入賞を阻止する阻止位置に変位し」て、入球開口22の内部空間の前方に位置していることは、本件補正発明の「前記開口部からの遊技球の受け入れを阻止するように前記開口部の前方に受入阻止部材を位置させて」いることに相当する。 (エ)したがって、先願発明の構成c2、c3は、本件補正発明の構成C2に相当する構成を備えている。 オ 構成C3について (ア)上記エ(イ)より、先願発明の「開閉部材50」は、本件補正発明の「受入阻止部材」に相当し、上記ウ(ア)より、先願発明の「誘導板42」は、本件補正発明の「案内部材」に相当する。 そして、先願発明の「開閉部材50」が、「球誘導体40が通過位置に変位する際に、自身の一部を入球開口22の内部空間に臨ませて入球開口22から入賞口25への経路に介在させて入賞口25への遊技球の入賞を阻止する阻止位置に変位し、球誘導体40が誘導位置に変位する際には、阻止位置のときよりも後方側に退避(入球開口22の内部空間から退避)して入賞口25への遊技球の入賞を許容する許容位置に変位する構成」であることは、本件補正発明の「受入阻止部材は、」「前記案内部材の動作に合わせて動作するようにされている」ことに相当する。 (イ)先願発明の構成c、c1では、「上面が遊技球を案内する誘導面42aとして機能する」「誘導板42」は、「誘導板42の左端部側(入賞口25側)が右端部(入賞口25とは反対側)よりも低位置になるように左下がりの傾斜とな」っている一方、先願発明の「開閉部材50」は、「前後方向に沿ってスライドする」ものであって、「底部120の上位置で進退する構成となってい」る。 上記(2)イで説明したとおり、先願明細書等の【0022】に、「本明細書において、「前後方向」とは、遊技盤2の盤面2a(前面)と直交する方向を意味し、・・・また、「左右方向」とは、上記「前後方向」及び「上下方向」と直交する横方向を意味する。・・・」と記載され、先願発明について、前後方向、上下方向、左右方向等の位置関係を特定する際には、上記【0022】に記載の例にならって認定を行っている。 そうすると、先願発明において、「誘導板42の左端部側(入賞口25側)が右端部(入賞口25とは反対側)よりも低位置になるように左下がりの傾斜とな」っていることから、「誘導板42」の「上面」である「誘導面42a」で案内される「遊技球」は、「左右方向」、すなわち、「前後方向」「と直交する横方向」に転動することが明らかであるので、先願発明の「開閉部材50が、前後方向に沿ってスライドする」ことは、本件補正発明の「前記受入阻止部材は、前記案内部材の上面を転動する遊技球を上面から見た場合に遊技球の転動方向と直交する方向に」「動作するようにされている」ことに相当する。 (ウ)先願発明は、「所定条件の成立時に、入球開口22に導入された遊技球を入賞口25に導いて入賞させ、それ以外の時期には、入球開口22内に導入された遊技球が入球開口22内を通過して遊技領域の下方に落ちるようになってい」る(構成b、b1)。ここで、先願発明の「入賞装置」について、先願明細書等には、「・・・また、図1等に示す代表例では、遊技球を内部に入球させるように開口形態で構成される入球開口22(図2等参照:後述)が大入賞口として機能するアタッカーとしての例を示すが、遊技球が入球開口22(図2)内に入り込んで入賞し得る構成であれば電動チューリップや役物等の様々な入賞装置に適用できることは勿論である。」(【0023】)と記載されているところ、上記(3)イ(オ)に示したとおり、パチンコ遊技機の分野において、入賞装置の入賞口が大入賞口であっても、始動口であっても、所定の条件が成立すると、所定時間が経過するか又は入賞口に導かれて入賞する遊技球が所定個数になるまで入賞が許容される一方、所定時間が経過するか又は入賞した遊技球が所定個数に達するという条件が成立すると、入賞が許容されなくなることは通常のことである(周知技術2)。 そして、先願発明では、「入賞口25の開口近傍に通過孔98aが位置するように検知スイッチ98が配置され、」「入賞口25を通る遊技球は、その直後に通過孔98aを通ることになり、検知スイッチ98によって検知され」、「入賞口25は、遊技球を1球ずつ通す大きさで構成され、遊技球が2球以上同時に入り込まない開口サイズとなってい」る。そうすると、先願発明において、「球誘導体40が誘導位置に変位」し、「球誘導体40」が、「自身の少なくとも一部を遊技盤2の盤面位置よりも前方側に配置して入球開口22の内部に入った遊技球を誘導面42aで受けて入賞口25側に誘導する誘導位置」にある状態において、「球誘導体40」の「誘導面42a」の上面を遊技球が2個連なっていて誘導されているときに、遊技球が「入賞口25の開口近傍に」配置された「検知スイッチ98によって検知され」たことによって、入賞した遊技球が所定個数に達するという条件が成立して入賞が許容されなくなった場合を考えると、「入球開口22内に導入された遊技球が入球開口22内を通過して遊技領域の下方に落ちるようになってい」るときに、「ソレノイド90によって球誘導体40を通過位置に戻す際には、この動きと連動して開閉部材50が阻止位置に変位し、迅速に入賞口25への経路が遮断される」ことによって、「球誘導体40を通過位置に戻す条件が成立した後に、入球開口22内の空間に存在する遊技球が入賞口25に入り込んでしまうことを確実に抑制し得る構成となってい」る。このことは、すなわち、先願発明では、「球誘導体40」の「誘導面42a」の上面を遊技球が2個連なっていて誘導されていた2個目の遊技球が、「開閉部材50」により「入賞口25に入り込んでしまうことを確実に抑制し得る構成」であることを表していると認められる。また、「球誘導体40」の「誘導面42a」の上面を遊技球が2個連なっていて誘導され、遊技球が「入賞口25の開口近傍」を通過したタイミングで、所定時間が経過するという条件が成立して入賞が許容されなくなった場合を考えても、この場合も同様に、先願発明では、「球誘導体40」の「誘導面42a」の上面を遊技球が2個連なっていて誘導されていた2個目の遊技球が、「開閉部材50」により「入賞口25に入り込んでしまうことを確実に抑制し得る構成」であることを表していると認められる。 してみれば、先願発明は、本件補正発明の「前記突出案内手段により前記案内部材が前記遊技領域内に突出され前記案内部材の上面を2つの遊技球が連なって転動している状態において前記案内部材の突出が終了した場合に前記受入口へ向かう2つの遊技球の間に割り込むように動作可能とされ」ていることに相当する構成を備えているといえる。 (エ)したがって、先願発明の構成c2、c3は、本件補正発明の構成C3に相当する構成を備えている。 カ 構成C4について (ア)上記ウ(ア)で検討したとおり、先願発明の「誘導板42」は、本件補正発明の「案内部材」に相当し、また、先願発明の「誘導板42」は、「左端部側(入賞口25側)が右端部(入賞口25とは反対側)よりも低位置になるように左下がりの傾斜とな」るものであるから、先願発明の「誘導板42」の「左端部側(入賞口25側)」は、本件補正発明の「前記案内部材の左右のうち低くなっている一端側」に相当する。 (イ)次に、先願発明の「山型をな」す「突出部112の上面」のうち、「突出部112の右端である縁部34に連なる当該山型の上面の右側部分が入球開口22に向けて右下がりに傾斜している」ことは、本件補正発明の「左右に延びている」こと及び「前記案内部材の左右のうち低くなっている一端側と相対する一端側が低くなるように上面が傾斜し」ていることに相当し、先願発明の「突出部112の上面」のうち、「突出部112の右端である縁部34に連なる当該山型の上面の右側部分」は、本件補正発明の「固定棚部」に相当する。 (ウ)先願発明の「入球開口22の左方向に位置」し、「遊技球が」「入球開口22の内部に入り込むことが可能となってい」る「縁部34に連なる」「突出部112」の「山型の上面の右側部分」は、本件補正発明の「遊技球を転動可能」であること、及び、「前記案内部材よりも上流側に設けることで、前記固定棚部の上面を転動した遊技球が前記案内部材の上面を転動可能にしている」ことに相当する。 上記ア(イ)で検討したとおり、先願発明の「二重丸の形状の装飾」「の上面から右下がりに傾斜する部位」が設けられた「センター役物」は、傾斜している部位を有するセンター役物であるという点で、本件補正発明の「傾斜面を有するセンター役物」と共通する。 また、先願発明の「当該液晶表示部3を囲むセンター役物のうち、液晶表示部3の上方に位置する部位」に「設けられ」ている「二重丸の形状の装飾」「の上面から右下がりに傾斜する部位」と、「突出部112の上面」のうち、「突出部112の右端である縁部34に連なる当該山型の上面の右側部分」のいずれも、「右下がりに傾斜」していることと本件補正発明の「前記センター役物が有する前記傾斜面を転動する遊技球と同じ方向」であることとは、「前記センター役物が有する前記傾斜」「と同じ方向に遊技球を転動可能」である点で共通する。 (エ)以上を総合すると、先願発明と本件補正発明の構成C4とは、「左右に延びていると共に前記案内部材の左右のうち低くなっている一端側と相対する一端側が低くなるように上面が傾斜し、前記センター役物が有する前記傾斜」「と同じ方向に遊技球を転動可能な固定棚部を前記案内部材よりも上流側に設けることで、前記固定棚部の上面を転動した遊技球が前記案内部材の上面を転動可能にしている」という点で共通する。 キ 一致点・相違点 上記ア~カより、先願発明と本件補正発明とは、 [一致点] 「A’ 遊技領域を形成しているとともに傾斜している部位を有するセンター役物を有した遊技盤を備え、前記遊技盤に植設された遊技釘によって前記遊技領域を流下する遊技球の流下方向が変化可能に構成された遊技機において、 B 前記遊技領域内に打込まれた遊技球を開口部より受入可能とされた受入口と、 C 左右に延びていると共に上面を遊技球が転動可能なように左右のうちの一方が低くされた案内部材を遊技釘が植設される前記遊技盤の前面よりも前方の前記遊技領域内に突出可能な突出案内手段と、 を備え、 B1 前記受入口の前記開口部は、遊技釘が植設される前記遊技盤の前面よりも前方に設けられており、 C1 前記突出案内手段は、前記案内部材を前記案内部材の上面を遊技球が転動可能となる位置まで前記遊技領域内に突出させることで前記案内部材の上面と前記受入口の前記開口部を連通させ、前記案内部材の上面を転動する遊技球を前記受入口へ受け入れ可能とし、 C2 前記案内部材を前記遊技領域内に突出させていない状態においては、前記受入口へ遊技球が受け入れられないように前記案内部材の上面と前記受入口の前記開口部が連通しないようにさせているとともに、前記開口部からの遊技球の受け入れを阻止するように前記開口部の前方に受入阻止部材を位置させており、 C3 前記受入阻止部材は、前記案内部材の上面を転動する遊技球を上面から見た場合に遊技球の転動方向と直交する方向に前記案内部材の動作に合わせて動作するようにされているとともに、前記突出案内手段により前記案内部材が前記遊技領域内に突出され前記案内部材の上面を2つの遊技球が連なって転動している状態において前記案内部材の突出が終了した場合に前記受入口へ向かう2つの遊技球の間に割り込むように動作可能とされ、 C4’ 左右に延びていると共に前記案内部材の左右のうち低くなっている一端側と相対する一端側が低くなるように上面が傾斜し、前記センター役物が有する前記傾斜している部位と同じ方向に遊技球を転動可能な固定棚部を前記案内部材よりも上流側に設けることで、前記固定棚部の上面を転動した遊技球が前記案内部材の上面を転動可能にしている D 遊技機。」である点で一致し、以下の相違点で一応相違する。 [相違点] ・相違点1(構成A、C4) センター役物について、本件補正発明は、「傾斜面を有する」(構成A)とともに、「前記傾斜面を転動する遊技球」(構成C4)があるのに対し、先願発明は、遊技盤面より前方に突出するセンター役物のうち、液晶表示部3の上方に位置する部位に設けられている二重丸の形状の装飾の上面から右下がりに傾斜する部位を有するものの、当該傾斜する部位が「傾斜面」であるかどうか不明であるとともに「前記傾斜面を転動する遊技球」があるかどうかも不明である点。 (5)当審の判断 ア 上記一応の相違点1(構成A、C4)について検討する。 上記(3)ウ(エ)に示したとおり、パチンコ遊技機の分野において、センター役物が、その上面に傾斜面を有するとともに、傾斜面を転動する遊技球があることは従来周知の技術(周知技術3)である。また、上記周知技術3は、センター役物を備えたパチンコ遊技機が通常有する構成であり、技術常識でもあるので、先願発明の「センター役物」も当然、その上面に傾斜面を有するとともに、傾斜面を転動する遊技球があり、上記相違点1は一致点であるか、仮にそうでないとしても、先願発明の「センター役物」に上記周知技術3を付加することは、単なる周知技術の付加であり、新たな効果を奏するものではない。 したがって、上記相違点1は、実質的な相違点といえないから一致点であるか、仮にそうでないとしても課題解決のための具体化手段における微差であるといえる。 イ 請求人の主張について 請求人は審判請求書において、次の主張をしている。 「[4]本願発明が特許されるべき理由 ・・・ このご認定に鑑み、補正後の本願発明は第1補正事項にかかる補正にて本願発明の遊技盤が「センター役物」を備えていることを明確にしたのち、第2補正事項にかかる補正によって「左右に延びていると共に前記案内部材の左右のうち低くなっている一端側と相対する一端側が低くなるように上面が傾斜し、前記センター役物が有する前記傾斜面を転動する遊技球と同じ方向に遊技球を転動可能な固定棚部を前記案内部材よりも上流側に設けることで、前記固定棚部の上面を転動した遊技球が前記案内部材の上面を転動可能にしている」と補正し、令和3年5月14日付け提出の手続補正書により特定した本願発明の固定棚部と同じ方向に遊技球を転動可能な傾斜面がセンター役物に設けられていることを特定しております。 つまり、この補正により補正後の本願発明の「固定棚部」がセンター役物に設けられているものを包含しないことが明らかになったものと思料いたします。 ・・・ 以上のことから、補正後の本願発明は、先願2に記載された発明または先願3に記載された発明と同一でないことは明らかであります。 ・・・」 しかし、上記(4)カ(イ)に判断を示したとおり、原査定の拒絶の理由に引用された先願3の当初明細書等に記載された「入球開口22」の一部をなす「突出部112の上面」のうち、「突出部112の右端である縁部34に連なる当該山型の上面の右側部分」が、本件補正発明の「固定棚部」に相当する部材であって、当該「入球開口22」は、センター役物とは異なる部材である。 よって、請求人の主張を採用することはできない。 ウ まとめ したがって、本件補正発明は、先願発明と同一の発明である。また、本件出願の発明者が先願の発明者と同一ではなく、また本件の遡及日に、本件の出願人と先願の出願人とが同一でもない。 よって、本件補正発明は、特許法第29条の2の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4 補正の却下の決定についてのむすび 上記3より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記第2のとおり却下された。そして、本件補正前の令和3年5月14日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1において、「前記案内部材が前記遊技領域内に突出させていない状態においては、」と記載されるところ、上記「第2」3(1)の検討と同様、当該記載は、「前記案内部材を前記遊技領域内に突出させていない状態においては、」の明らかな誤記であると認められる。 そこで、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)を次のとおりのものと認定する(記号A1~Dは、当審にて分説して付した。なお、本件補正により補正された補正後の分説A、C4に対応する本件補正前の分説には、それぞれ、記号A1、C41を付した。なお、上記の解釈をした箇所は、以下で分説するC2の記載である。)。 本願発明 「【請求項1】 A1 遊技領域が形成された遊技盤を備え、前記遊技盤に植設された遊技釘によって前記遊技領域を流下する遊技球の流下方向が変化可能に構成された遊技機において、 B 前記遊技領域内に打込まれた遊技球を開口部より受入可能とされた受入口と、 C 左右に延びていると共に上面を遊技球が転動可能なように左右のうちの一方が低くされた案内部材を遊技釘が植設される前記遊技盤の前面よりも前方の前記遊技領域内に突出可能な突出案内手段と、 を備え、 B1 前記受入口の前記開口部は、遊技釘が植設される前記遊技盤の前面よりも前方に設けられており、 C1 前記突出案内手段は、前記案内部材を前記案内部材の上面を遊技球が転動可能となる位置まで前記遊技領域内に突出させることで前記案内部材の上面と前記受入口の前記開口部を連通させ、前記案内部材の上面を転動する遊技球を前記受入口へ受け入れ可能とし、 C2 前記案内部材を前記遊技領域内に突出させていない状態においては、前記受入口へ遊技球が受け入れられないように前記案内部材の上面と前記受入口の前記開口部が連通しないようにさせているとともに、前記開口部からの遊技球の受け入れを阻止するように前記開口部の前方に受入阻止部材を位置させており、 C3 前記受入阻止部材は、前記案内部材の上面を転動する遊技球を上面から見た場合に遊技球の転動方向と直交する方向に前記案内部材の動作に合わせて動作するようにされているとともに、前記突出案内手段により前記案内部材が前記遊技領域内に突出され前記案内部材の上面を2つの遊技球が連なって転動している状態において前記案内部材の突出が終了した場合に前記受入口へ向かう2つの遊技球の間に割り込むように動作可能とされ、 C41 左右に延びていると共に前記案内部材の左右のうち低くなっている一端側と相対する一端側が低くなるように上面が傾斜した固定棚部を前記案内部材よりも上流側に設けることで、前記固定棚部の上面を転動した遊技球が前記案内部材の上面を転動可能にしている D ことを特徴とする遊技機。」 2 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由3は、次の理由を含んでいる。 (拡大先願)この出願の、令和3年5月14日付け手続補正書により補正された請求項1に係る発明は、遡及日前の特許出願であって、その遡及日後に出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。 ●理由3(拡大先願)について ・請求項 1 ・先願3、周知例4 <引用文献等一覧> 3.特願2014-97401(特開2015-213589) 4.特開2008-264322号公報(周知技術を示す文献) 3 引用文献等 (1)先願 原査定の拒絶の理由に先願3として引用され、本願の遡及日前の特許出願であって、本願の遡及日後に出願公開された先願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された先願発明は、上記「第2」3(2)ウに示したとおりである。 (2)周知技術 周知技術1~3は、上記「第2」3(3)に示したとおりである。 4 対比 (1)本願発明は、上記第2[理由]3で独立特許要件を検討した本件補正発明から、「遊技領域が形成された遊技盤」について、「傾斜面を有するセンター役物を有した」という特定を省くことに付随して、「遊技領域を形成しているとともに」を、「遊技盤が形成された」と表現を改めるとともに、「固定棚部」について、「前記センター役物が有する前記傾斜面を転動する遊技球と同じ方向に遊技球を転動可能」であるという特定を省くものである。 (2)先願発明と本願発明との対比 ア 構成A1について 本願発明の構成A1は、上記(1)のとおり、本件補正発明から、「遊技領域が形成された遊技盤」について、「傾斜面を有するセンター役物を有した」という特定を省くことに付随して、「遊技領域を形成しているとともに」を、「遊技盤が形成された」と表現を改めるものである。そうすると、先願発明と本件補正発明との相違点として上記「第2」3(4)キに示した、本件補正発明は、「傾斜面を有する」(構成A)のに対し、先願発明は、遊技盤面より前方に突出するセンター役物のうち、液晶表示部3の上方に位置する部位に設けられている二重丸の形状の装飾の上面から右下がりに傾斜する部位を有するものの、当該傾斜する部位が「傾斜面」であるかどうか不明であるという構成Aについての相違点1は存在しなくなる。 してみれば、先願発明の構成aは、本願発明の構成A1に相当する。 イ 構成B、C、B1、C1~C3、Dについて 先願発明と本件補正により補正されていない構成B、C、B1、C1~C3、Dとの対比については、先願発明と本件補正発明との対比を行った上記「第2」3(4)ア~オに示したとおりであって、先願発明の構成dは、本願発明の構成Dに相当し、先願発明の構成b、b1は、本願発明の構成B及び構成B1に相当する構成を備え、先願発明の構成c、c1は、本願発明の構成C及び構成C1に相当する構成を備え、さらに、先願発明の構成c2、c3は、本願発明の構成C2及び構成C3に相当する構成を備えている。 ウ 構成C41について (ア)本件補正発明について検討した上記「第2」3(4)カ(ア)の検討を踏まえると、先願発明の「誘導板42」は、本願発明の「案内部材」に相当し、また、先願発明の「誘導板42」は、「左端部側(入賞口25側)が右端部(入賞口25とは反対側)よりも低位置になるように左下がりの傾斜とな」るものであるから、先願発明の「誘導板42」の「左端部側(入賞口25側)」は、本願発明の「前記案内部材の左右のうち低くなっている一端側」に相当し、先願発明の「誘導板42」が、「上面が遊技球を案内する誘導面42aとして機能する板状に構成された」ことは、本願発明の「遊技球が前記案内部材の上面を転動可能」であることに相当する。 (イ)ここで、先願発明の「誘導板42」が、「左下がりの傾斜とな」る一方、先願発明の「遊技盤面より前方に突出するセンター役物」「のうち、液晶表示部3の上方に位置する部位の略中央上方に」設けられた「前面視で二重丸の形状の装飾」「の上面から右下がりに傾斜する部位」は、「右下がりに傾斜」しているから、先願発明において、当該部位が「右下がりに傾斜する」ことは、本願発明の「左右に延びていると共に前記案内部材の左右のうち低くなっている一端側と相対する一端側が低くなるように上面が傾斜した」ことに相当し、先願発明の「遊技盤面より前方に突出するセンター役物」「のうち、液晶表示部3の上方に位置する部位の略中央上方に」設けられた「前面視で二重丸の形状の装飾」「の上面から右下がりに傾斜する部位」は、本願発明の「固定棚部」に相当する。 (ウ)また、先願発明の「誘導板42」の「上面が遊技球を案内する誘導面42aとして機能する」ことは、本願発明の「遊技球が前記案内部材の上面を転動可能」であることに相当する。また、先願発明において、「誘導板42」を備える「遊技機用可変入賞装置10」が、「センター役物」により「上下方向及び左右方向を囲」まれた「液晶表示部3の下方側且つ始動口7の側方に」配置されていることは、本願発明の「固定棚部を前記案内部材よりも上流側に設けること」に相当する。 そうすると、先願発明と本願発明の構成C41とは、「左右に延びていると共に前記案内部材の左右のうち低くなっている一端側と相対する一端側が低くなるように上面が傾斜した固定棚部を前記案内部材よりも上流側に設け」、「遊技球が前記案内部材の上面を転動可能にしている」という点で共通する。 エ 一致点・相違点 上記ア~ウより、先願発明と本願発明とは、 [一致点] 「A1 遊技領域が形成された遊技盤を備え、前記遊技盤に植設された遊技釘によって前記遊技領域を流下する遊技球の流下方向が変化可能に構成された遊技機において、 B 前記遊技領域内に打込まれた遊技球を開口部より受入可能とされた受入口と、 C 左右に延びていると共に上面を遊技球が転動可能なように左右のうちの一方が低くされた案内部材を遊技釘が植設される前記遊技盤の前面よりも前方の前記遊技領域内に突出可能な突出案内手段と、 を備え、 B1 前記受入口の前記開口部は、遊技釘が植設される前記遊技盤の前面よりも前方に設けられており、 C1 前記突出案内手段は、前記案内部材を前記案内部材の上面を遊技球が転動可能となる位置まで前記遊技領域内に突出させることで前記案内部材の上面と前記受入口の前記開口部を連通させ、前記案内部材の上面を転動する遊技球を前記受入口へ受け入れ可能とし、 C2 前記案内部材が前記遊技領域内に突出させていない状態においては、前記受入口へ遊技球が受け入れられないように前記案内部材の上面と前記受入口の前記開口部が連通しないようにさせているとともに、前記開口部からの遊技球の受け入れを阻止するように前記開口部の前方に受入阻止部材を位置させており、 C3 前記受入阻止部材は、前記案内部材の上面を転動する遊技球を上面から見た場合に遊技球の転動方向と直交する方向に前記案内部材の動作に合わせて動作するようにされているとともに、前記突出案内手段により前記案内部材が前記遊技領域内に突出され前記案内部材の上面を2つの遊技球が連なって転動している状態において前記案内部材の突出が終了した場合に前記受入口へ向かう2つの遊技球の間に割り込むように動作可能とされ、 C41’ 左右に延びていると共に前記案内部材の左右のうち低くなっている一端側と相対する一端側が低くなるように上面が傾斜した固定棚部を前記案内部材よりも上流側に設け、遊技球が前記案内部材の上面を転動可能にしている D 遊技機。」である点で一致し、以下の相違点で一応相違する。 [相違点] ・相違点2(構成C41) 本願発明では、遊技球が、「前記固定棚部の上面を転動」するのに対し、先願発明では、センター役物のうち、液晶表示部3の上方に位置する部位の略中央上方に設けられた前面視で二重丸の形状の装飾の上面から右下がりに傾斜する部位の上面を遊技球が転動するかどうか不明である点。 (3)判断 上記「第2」3(3)ウ(エ)に示したとおり、パチンコ遊技機の分野において、センター役物が、その上面に傾斜面を有するとともに、傾斜面を転動する遊技球があることは従来周知の技術(周知技術3)である。また、上記周知技術3は、センター役物を備えたパチンコ遊技機が通常有する構成であり、技術常識でもあるので、先願発明の「センター役物」も当然、その上面に傾斜面を有するとともに、傾斜面を転動する遊技球があり、上記相違点2は一致点であるか、仮にそうでないとしても、先願発明の「センター役物」に上記周知技術3を付加することは、単なる周知技術の付加であり、新たな効果を奏するものではない。 したがって、上記相違点2は、実質的な相違点といえないから一致点であるか、仮にそうでないとしても課題解決のための具体化手段における微差であるといえる。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、先願発明と同一の発明である。 また、本件出願の発明者が先願の発明者と同一ではなく、また本件の遡及日に、本件の出願人と先願の出願人とが同一でもない。 したがって、本願発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-015490

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