商標拒絶査定不服審判
2021-015183
アイエスビイ
- 審判番号
- 2021-015183
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-158752
- 請求日
- 2021年11月08日
- 審決日
- 2022年09月13日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社アイ・エス・ビー
- 【請求人代理人】特許業務法人朝日特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 淳
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 須田 亮一
- 分類
- T18 .261-Z (W09354142) / T18 .262-Z (W09354142) / T18 .263-Z (W09354142) / T18 .264-Z (W09354142) / T18 .265-Z (W09354142)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-158752拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は,令和2年12月23日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年2月22日付け :拒絶理由通知
令和3年3月3日 :意見書の提出
令和3年10月11日付け:拒絶査定
令和3年11月8日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は,「ISB」の文字を標準文字で表してなり,第9類「携帯情報端末,電子応用機械器具及びその部品」,第35類「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」及び第42類「医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」を含む第9類,第35類,第41類及び第42類に属する商品及び役務を指定商品及び指定役務として,登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した国際登録第1513054号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲1のとおりの構成よりなり,2019年6月19日にUnited States of Americaにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,2019年(令和元年)12月18日に国際商標登録出願,第9類,第41類及び第42類に属する別掲2のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,令和3年6月25日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 商標の類否
商標の類否は,同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が,その外観,観念,称呼等によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して,その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷・民集22巻2号399頁参照)。
また,複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについては,商標の各構成部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合には,その構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,原則として許されないが,商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などには,商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるものと解される(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁,最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁,最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。
イ 本願商標について
本願商標は,上記2のとおり,「ISB」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成文字は,同書,同大,等間隔でまとまりよく一体的に表されているものであり,当該文字は,辞書等に掲載のないものであって,特定の意味合いを想起させることのない一種の造語であると認識されるものである。
したがって,本願商標は,その構成文字に相応して,「アイエスビー」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。
ウ 引用商標について
引用商標は,別掲1のとおり,複数の円図形を組み合わせてなる図形(以下「引用図形部分」という。)の右側に,「ISB」の欧文字を大きく横書きし,さらにその右側に「Science」,「Transforming」及び「Health」の欧文字(以下,これらをまとめて「3段文字部分」という。)を3段に横書きしてなるものである。
そして,引用図形部分と「ISB」の文字部分及び3段文字部分(以下,これらをまとめて「両文字部分」という。)とは,視覚上明確に分離して看取されるものであり,また,引用図形部分は,特定の意味合いを表すものとして認識され,親しまれているというべき事情は認められないことから,称呼及び観念は生じないものである。
次に,両文字部分についてみると,まず外観は,いずれも同色で表されているものの,「ISB」の文字部分は太文字で大きく目立つように表されているのに対し,3段文字部分の構成文字は,「ISB」の文字部分の構成文字のおよそ10分の1程度の大きさで非常に小さく表されていること,また,「ISB」の文字部分は横一列に表されているのに対し,3段文字部分は「Science」,「Transforming」及び「Health」の各文字の1文字目をそろえて,まとまりよく一体的に3段に表されていること,さらに,「ISB」の文字部分と3段文字部分とは間隔をあけて配されていることから,上記各部分のそれぞれが,視覚上分離して看取されるものである。そうすると,両文字部分の上記構成からすれば,「ISB」の文字部分が,自他商品の出所識別標識として,強く支配的な印象を与えるものといえる。
そして,観念についてみると,「ISB」の文字は,上記イのとおり,辞書等に掲載のないものであって,特定の意味合いを想起させることのない一種の造語であると認識されるものである。
また,3段文字部分の構成中,「Science」の文字は「科学」等の意味を有する語,「Transforming」の文字は「・・・の形[様相,構造]を(・・・に)変える」等の意味を有する「Transform」の語の現在分詞,「Health」の文字は,「(心身の)健康,健全」等の意味を有する語(いずれも「ランダムハウス英和大辞典 第2版」株式会社小学館)であるものの,これらを一体的に3段に横書きした当該文字部分全体としては,上記各語の意味を理解させる以上に,特定の意味合いを認識させるものではなく,両文字部分は相互に観念上の関連性を有しているものではない。
さらに,称呼についてみると,両文字部分全体から生じる「アイエスビーサイエンストランスフォーミングヘルス」の称呼は冗長なものである。その他,両文字部分を常に一体のものとしてのみ観察しなければならない特段の事情も見いだせない。
以上からすると,引用商標は,引用図形部分,「ISB」の文字部分及び3段文字部分を,それぞれ分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえず,引用商標の構成中,大きく目立つように表された「ISB」の文字部分が,取引者,需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められるから,当該部分を要部として抽出し,他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるものである。
したがって,引用商標は,その構成中,独立して商品の出所識別標識としての機能を果たし得る「ISB」の文字部分に相応して,「アイエスビー」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。
エ 本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標の要部の一つである「ISB」の文字部分とを比較すると,外観は,上記イ及びウのとおりであるから,それぞれの構成文字の書体において若干の差異はあるものの,いずれも「ISB」の文字を一般的な書体で表したものであって,文字のつづりを共通にするものであるから,両者は外観において類似するものである。
また,称呼においては,本願商標と引用商標の「ISB」の文字部分とは,いずれも「アイエスビー」の称呼を生じるから,両者は,称呼上,同一である。
さらに,観念においては,本願商標と引用商標の「ISB」の文字部分とは,いずれも特定の観念を生じないから,両者は,観念上,比較することはできない。
以上によれば,本願商標と引用商標の要部である「ISB」の文字部分とは,観念上比較することはできないものの,外観が類似するものであって,称呼を同一とするものであるから,その外観,称呼及び観念が,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合すれば,本願商標と引用商標は,商品の出所について誤認を生じさせるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
オ 本願商標の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務との類否について
本願の指定商品及び指定役務中,第9類「携帯情報端末,電子応用機械器具及びその部品」及び第35類「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は,引用商標の指定商品と同一又は類似の商品又は役務であり,また,本願の指定役務中,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」及び第42類「医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」は,引用商標の指定役務と同一又は類似の役務である。
カ 小括
本願商標と引用商標とは,相紛れるおそれのある類似の商標であり,かつ,本願の指定商品及び指定役務は,引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似の商品又は役務を含むものである。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,「引用商標に係る,円の図形,「ISB」の文字,および3段書の文字は,高さ(縦の幅)が同一でバランスよく均等に配置されており,全体としてまとまりのある一つの商標を構成し,円の図形および3段書の文字もそれぞれ特徴的なものであるため,出所識別機能を有するといえる。」旨述べ、「引用商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しており,また,「ISB」の文字が,需要者に対し商品・役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる理由およびそれ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる理由はない。したがって,引用商標から「ISB」の文字を抽出し,この部分の外観および称呼と本願商標の外観および称呼を対比することは許されない。」旨主張している。
しかしながら,上記(1)ウのとおり,引用商標にあっては,図形と文字という構成要素の違い,及び文字の大きさの明らかな相違があり,それぞれが間隔をあけて配されていることにより,各構成部分が外観上互いに融合しているとはいえないし,文字部分から生じる全体の称呼も一連に称呼するには極めて冗長であり,かつ,観念上も一体となって特定の観念を生じるものではないから,引用商標は,不可分的に結合しているものということはできない。そして,引用商標の構成中,太字で大きく表された「ISB」の文字部分が,当該商標に接する取引者,需要者の目を引くものといえるから,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分であると認められる。そうすると,引用商標は,上記(1)ウの認定のとおり,「ISB」の文字部分を要部として抽出し,他の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるものというべきである。
イ 請求人は,最高裁判決(昭和39年(行ツ)110号)を挙げ,「仮に本願商標の称呼が引用商標の称呼と同一の場合でも,本願商標と引用商標とは共に特定の観念を生じないといえ,また,全体の外観においても相紛れるおそれはないといえるため,取引者,需要者に与える印象等を総合的に判断すれば,本願商標は引用商標と非類似であるといえる」旨主張している。
しかしながら,上記(1)ウの認定のとおり,引用商標は,「ISB」の文字部分を要部として抽出し,他の商標(本願商標)と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるものというべきであり,これにより,上記(1)エのとおり,本願商標と引用商標の要部とは,称呼において同一であることに加え,文字のつづりを共通にする外観上類似するものであるから,両者が観念上比較することはできないことを踏まえても,本願商標と引用商標とは商品及び役務の出所に誤認混同をきたすおそれがある互いに類似する商標というのが相当である。また,これを否定すべき商品及び役務の取引の実情等は見いだせない。
ウ したがって,請求人の主張は採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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